ところで、リヤシートが車両幅方向に分割されたタイプでは、リヤシートにおける車両幅方向の内側の下部にヒンジ部が設けられ、ヒンジ部を介してシートバックが可倒可能とされる。このヒンジ部では、シートバックフレームを車体側に対して、固定又は固定解除させる必要があり、シートバックフレームにはヒンジ部用のブラケットが取り付けられる。このため、シートバックフレームに大荷重が入力されるとき、当該ヒンジ部では、ブラケットを介してシートバックフレームに大荷重の一部が伝達される。
本発明は上記事実を考慮し、シートバックフレームに大荷重が入力されたとき、当該シートバックフレームの大変形を抑制することが可能となる車両用シートを得ることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る車両用シートは、着座乗員の上体を支持するシートバックの骨格を成し枠状に形成されたシートバックフレームと、車体側に固定されると共に、前記シートバックフレームの角部において交叉する縦部材及び横部材における車両前後方向の前面又は後面の外形が隠れるように前記前面又は後面に重なった状態で接合されるブラケットと、を備え、前記ブラケットは、前記車体側に固定される固定片と、前記固定片と繋がり前記シートバックフレームの車両幅方向の外側に配置され、当該シートバックフレームに接合される接合片と、前記接合片に形成された貫通孔と、前記貫通孔を通じて前記シートバックフレームに溶接される溶接部と、を含んで構成され、前記貫通孔は、前記縦部材の延在方向に沿った複数の位置に設けられている。さらに、当該貫通孔は、前記横部材と重なる位置にも設けられ、前記縦部材側に設けられた貫通孔は、当該横部材側に設けられた貫通孔よりも数が多く形成されている。
請求項1に記載の発明に係る車両用シートでは、シートバックフレームとブラケットを備えている。シートバックフレームは、着座乗員の上体を支持するシートバックの骨格を成しており、枠状に形成されている。ブラケットは、車体側に固定されると共にシートバックフレームの角部に接合されている。シートバックフレームの角部には、縦部材と横部材が交叉しており、当該縦部材及び横部材における車両前後方向の前面又は後面の外形が隠れるように、当該前面又は後面に重なった状態で、ブラケットはシートバックフレームに接合されている。
なお、ここでの「前面又は後面」について、シートバックフレームに対して、車両前後方向の前面にブラケットが接合される場合と車両前後方向の後面にブラケットが接合される場合を含む目的で記載している。前者においては、シートバックフレームの前面の外形が隠れるように当該前面にブラケットが重なった状態で、当該ブラケットがシートバックフレームの前面に接合される。一方、後者においては、シートバックフレームの後面の外形が隠れるように当該後面にブラケットが重なった状態で、当該ブラケットがシートバックフレームの後面に接合される。
ここで、比較例として、例えば、ブラケットとシートバックフレームの角部(接合部)において、シートバックフレーム(縦部材及び横部材)の前面の外形が隠れないとは、ブラケットが、シートバックフレームの前面の一部しか覆っていない場合を指し、シートバックフレームの前面の他部が、ブラケットの外縁からはみ出している(露出している)状態を示す。
比較例では、当該接合部において、シートバックフレームの前面には、ブラケットが重なる(隠れる)領域とブラケットが重ならない(露出する)領域の両方が設けられる。このため、ブラケットを介してシートバックフレームに大荷重が伝達されるとき、当該接合部におけるシートバックフレームの前面において、ブラケットが重なる領域には、ブラケットを介して大荷重が伝達されるが、ブラケットが重ならない領域には当該大荷重は直接伝達されない。
したがって、ブラケットを介してシートバックフレームに大荷重が伝達されるとき、シートバックフレームの前面において、当該大荷重が伝達される部位と伝達されない部位との境界部では応力が集中し、当該境界部を起点としてシートバックフレームが大きく変形する可能性がある。
これに対して、本発明では、ブラケットとシートバックフレームの角部(接合部)において、ブラケットは、シートバックフレームの前面の外形が隠れる(覆う)ように当該シートバックフレームの前面に重なっている。これにより、本発明では、比較例に比して、ブラケットとシートバックフレームの前面との間で接触可能な面積を増やすことができる。
このため、本発明では、ブラケットを介してシートバックフレームに大荷重が伝達されるとき、当該接合部では、ブラケットが重なるシートバックフレームの前面の略全体に亘って大荷重が伝達される。
このように、本発明では、シートバックフレームは、ブラケットとの間で接触可能な面積を増やすことで、当該シートバックフレームの前面に伝達される大荷重を分散させることができる。その結果、本発明では、シートバックフレームにおいて、応力の集中を抑制することができ、当該シートバックフレームの大変形を抑制することが可能となる。なお、シートバックフレームの車両前後方向の後面にブラケットが接合される場合もこれと同様の効果が得られる。
ここで、「接触可能な」とは、少なくとも大荷重が入力(伝達)されたときにブラケットとシートバックフレームが接触する場合を含む意味であり、大荷重が入力される前の状態では、シートバックフレームの前面の外形が隠れるように当該前面にブラケットが重なった状態で当該ブラケットは必ずしもシートバックフレームに面接触する必要はない。なお、シートバックフレームの車両前後方向の後面にブラケットが接合される場合もこれと同様である。
また、本発明では、ブラケットは、固定片及び接合片を含んで構成されており、固定片は、車体側に固定され、接合片は、固定片と繋がりシートバックフレームの車両幅方向の外側に配置されてシートバックフレームに接合される。つまり、接合片がシートバックフレームの前面又は後面に接合されることによって、当該接合片がシートバックフレームの前面又は後面の外形が隠れるように当該シートバックフレームの前面又は後面に重なることになる。
また、ブラケットは、貫通孔及び溶接部をさらに含んで構成されており、接合片には貫通孔が形成され、当該貫通孔を通じて接合片がシートバックフレームに溶接される(溶接部)。ここで、貫通孔は、縦部材の延在方向に沿った複数の位置に設けられている。なお、「貫通孔」は、孔部の一部が開放された切欠きも含まれる。
ブラケットにおいて、前述のように、接合片は、固定片と繋がりシートバックフレームの車両幅方向の外側に配置され当該シートバックフレームに接合されている。このため、例えば、車両の衝突(車両の後面衝突)により、シートバックフレームに大荷重が入力されるとき、車体側から固定片の固定部を介して当該固定片から接合片に大荷重が伝達され、当該接合片を介してシートバックフレームに大荷重が入力(伝達)される。
本発明では、ブラケットの接合片に貫通孔を設け、当該貫通孔に溶接部を設けることによって、ブラケットをシートバックフレームに接合(溶接)させている。一方、比較例として、ブラケットの外縁に溶接部を設け、当該溶接部を介してブラケットをシートバックフレームに接合させる場合がある。
貫通孔はブラケットの外縁よりも内側に形成されるため、本発明では、比較例に比して、当該溶接部を固定部(固定片)に近づけることができる。このように、本発明では、溶接部を固定部に近づけた分、車両の衝突時にブラケットに生じるモーメントを比較例よりも小さくすることが可能となる。
さらに、本発明では、当該貫通孔は、横部材と重なる位置にも設けられ、縦部材側に設けられた貫通孔は、当該横部材側に設けられた貫通孔よりも数が多く形成されている。
請求項2に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の発明に係る車両用シートにおいて、前記横部材側に設けられた貫通孔は、前記縦部材側に設けられた貫通孔よりも面積が大きくなっている。
請求項3に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の発明に係る車両用シートにおいて、前記横部材側に設けられた貫通孔は、前記縦部材側に設けられた貫通孔よりもシート幅方向の外側に設けられている。
請求項4に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の発明に係る車両用シートにおいて、前記溶接部は前記貫通孔において対向する部位を含み連続して形成されている。
請求項4に記載の発明に係る車両用シートでは、溶接部が、貫通孔において対向する部位を含み連続して形成されることによって、比較例として、貫通孔の一部に溶接部が設けられた場合(貫通孔において対向する部位を含まない)に比して、溶接長を長くすることができる。
これにより、本発明では、比較例に比して、ブラケットとシートバックフレームとの間で接合強度を向上させることができると共に、ブラケットとシートバックフレームとの間で溶接面積を増やすことができ、車両の衝突時において、ブラケットからシートバックフレームに伝達される荷重を分散させることが可能となる。
請求項5に記載の発明に係る車両用シートは、請求項4に記載の発明に係る車両用シートにおいて、前記溶接部の形状は閉じ形状とされている。
請求項5に記載の発明に係る車両用シートでは、溶接部の形状が閉じ形状とされることによって、溶接部の形状が開形状とされた場合に比して、溶接長さを長くすることができる。
これにより、溶接部の形状が開形状とされた場合に比して、ブラケットとシートバックフレームとの間で接合強度をさらに向上させることができると共に、ブラケットとシートバックフレームとの間で溶接面積をさらに増やすことができ、車両の衝突時において、ブラケットからシートバックフレームに伝達される荷重をさらに分散させることが可能となる。
請求項6に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の発明に係る車両用シートにおいて、前記シートバックフレームは、車両幅方向に二分割されると共に、角筒状を成しシート高さ方向に沿って設けられた内側骨格部材と、角筒状を成し前記内側骨格部材と結合され、シート幅方向に沿って設けられた下側骨格部材と、を含んで構成され、かつ前記ブラケットにおいて前記シートバックフレームに接合される接合片は、前記内側骨格部材における車両前後方向の前面又は後面側を隠す上部と、前記上部の車両上下方向の下方側に形成されると共に当該上部よりも車両幅方向の外側に張り出すように形成され、前記下側骨格部材における車両前後方向の前面又は後面側を隠す下部と、を含んで構成されている。
請求項6に記載の発明に係る車両用シートでは、シートバックフレームは、車両幅方向に二分割されると共に、それぞれ角筒状を成す内側骨格部材及び下側骨格部材を含んで構成されている。当該内側骨格部材はシート高さ方向に沿って設けられており、下側骨格部材は内側骨格部材と結合されシート幅方向に沿って設けられている。
一方、ブラケットの接合片は、車両上下方向の上下に形成された、内側骨格部材における車両前後方向の前面又は後面側を隠す上部と、下側骨格部材における車両前後方向の前面又は後面側を隠す下部と、を含んで構成されており、接合片の上部よりも下部の方が車両幅方向の外側に張り出すように形成されている。
すなわち、接合片の下部の方が、接合片の上部よりもシートバックフレームとの間で接触可能な面積が大きくなる。このように、ブラケットとシートバックフレームの前面又は後面との間で接触可能な面積を増やすことで、車両の衝突時において、シートバックフレームの前面に伝達される大荷重を分散させることができる。これにより、シートバックフレームにおいて、応力の集中を抑制することができ、当該シートバックフレームの大変形を抑制することが可能となる。
以上説明したように、請求項1~3に記載の車両用シートによれば、シートバックフレームに大荷重が入力されたとき、当該シートバックフレームの大変形を抑制することができる。
請求項4に記載の車両用シートによれば、溶接長を長くすることができ、ブラケットからシートバックフレームに伝達される荷重を分散させることができる。
請求項5に記載の車両用シートによれば、溶接長をさらに長くすることができ、ブラケットからシートバックフレームに伝達される荷重をさらに分散させることができる。
請求項6に記載の車両用シートによれば、シートバックフレームの前面又は後面に伝達される大荷重を分散させ、当該シートバックフレームの大変形を抑制することができる。
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態に係る車両用シートとしてのリアシート10について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FR、矢印RH、矢印UPは、リアシート10の前方向、右方向、上方向をそれぞれ示している。また、本実施形態では、リアシート10の前後左右上下の方向は、当該リアシート10が搭載された車両(自動車)の前後左右上下の方向と一致している。以下、単に前後左右上下の方向を用いて説明する場合、シート前後方向の前後、シート左右方向(シート幅方向)の左右、シート上下方向の上下を示すものとする。
<車両用シートの構成>
まず、本実施の形態に係る車両用シートが適用されたリアシートの構成について説明する。
図1には、リアシート10のシートバック11の骨格を示すシートバックフレーム25の正面図が示されている。図1に示されるように、本実施形態では、例えば、当該リアシート10は、2列目又は3列目のシートとされており、3人掛け又は2人掛けのシートとされている。また、リアシート10は、左右に分割され、右側に設けられた右側リアシート12と、左側に設けられた左側リアシート14と、に大別されている。なお、シートバックフレーム25は必ずしも左右に分割されなくてもよい。
右側リアシート12は、着座乗員の大腿部及び腰部を支持する図示しない右側シートクッションと、当該シートクッションの後端側に設けられ着座乗員の上体を支持する右側シートバック16と、を備えている。そして、左側リアシート14も右側リアシート12と同様に、着座乗員の大腿部及び腰部を支持する図示しない左側シートクッションと、当該シートクッションの後端側に設けられ着座乗員の上体を支持する左側シートバック18と、を備えている。
当該右側シートバック16及び左側シートバック18は、シート左右方向(車両幅方向)に隣接して設けられており、シート幅方向に沿った軸線回りに互いに独立して回動可能とされている。なお、本実施形態では、右側シートバック16と左側シートバック18との車両幅方向の寸法比が、例えば、60:40に設定されている。
当該左側シートバック18の上端部には、左側ヘッドレスト20が昇降可能に連結される。また、右側シートバック16の右側上端部には、右側ヘッドレスト22が昇降可能に連結され、右側シートバック16の左側上端部には、右側ヘッドレスト22と左側ヘッドレスト20の間に配置されるセンターヘッドレスト24が昇降可能に連結される。なお、2人掛けのシートの場合、当該センターヘッドレスト24は不要とされる。
(シートバック)
ここで、右側シートバック16の構成について説明を行う。なお、左側シートバック18については、右側シートバック16と略同じ構成であるため、右側シートバック16と同じ内容については同じ符号を付して説明を割愛する。
右側シートバック16は、当該右側シートバック16の外縁部を構成し枠状を成すシートバックフレーム26と、シートバックフレーム26の背面に取り付けられた板状のシートバックパネル28と、を備えている。シートバックパネル28は、例えば、板金がプレス成形されて形成されたものであり、溶接等の手段によってシートバックフレーム26の背面に取り付けられている。
(シートバックフレーム)
本実施形態では、当該シートバックフレーム26は、アッパフレーム26Aと、ロアフレーム(横部材、下側骨格部材)26Bと、外側サイドフレーム26Cと、内側サイドフレーム(縦部材、内側骨格部材)26Dと、を含んで構成されている。なお、本実施形態における右側シートバック16では、外側サイドフレーム26Cと内側サイドフレーム26Dの間に、リインフォースメント26Eがさらに設けられている。
そして、アッパフレーム26A及びロアフレーム26Bに対して、外側サイドフレーム26C、リインフォースメント26E及び内側サイドフレーム26Dがそれぞれ溶接されている。これにより、アッパフレーム26A、ロアフレーム26B、外側サイドフレーム26C、リインフォースメント26E及び内側サイドフレーム26Dが一体化され、シートバックフレーム26が形成される。
アッパフレーム26Aは、シートバックフレーム26の上端部において、シート幅方向に沿って設けられており、当該アッパフレーム26Aには、着座乗員の頭部を支持する右側ヘッドレスト22、センターヘッドレスト24を保持する一対の保持部材30、32がそれぞれ取り付けられる。
ロアフレーム26Bは、シートバックフレーム26の下端部において、シート幅方向に沿って設けられており、当該ロアフレーム26Bには、図示しないシートクッションに対して右側シートバック16を回動させるリクライニング用のヒンジ部34が取り付けられている。
外側サイドフレーム26Cは、シートバックフレーム26における車両幅方向の外側において、シート高さ方向に沿って設けられており、当該外側サイドフレーム26Cには、図示しない車体側に固定させるためのロック用のブラケット36が取り付けられている。
内側サイドフレーム26Dは、シートバックフレーム26における車両幅方向の内側において、シート高さ方向に沿って設けられており、当該内側サイドフレーム26D側には、右側シートバック16を可倒させるセンタヒンジ部38が設けられている(後述する)。
本実施形態では、アッパフレーム26A、ロアフレーム26B、外側サイドフレーム26C、内側サイドフレーム26D及びリインフォースメント26Eは、シートバックフレームの軽量化、コスト面から、それぞれアルミニウム合金で形成されている。これらのフレームには、中空構造とされた角パイプが用いられており、各フレームの長手方向に対して直交する幅方向に沿って切断したときに閉断面部が形成される。
なお、シートバックフレームの形状については、中空構造(四角柱構造)に限るものではなく、シートバックフレームにおいて必要とされる強度及び構成を担保することが出来れば良いため、円柱構造や中実などが用いられてもよい。但し、シートバックフレームの形状を円筒形状又は円柱形状にする場合、図示はしないが、後述するブラケット40の接合片44の形状は、当該シートバックフレームの外周に沿うように円弧状に形成させる。
また、アッパフレーム26A及びロアフレーム26Bは、外側サイドフレーム26C、内側サイドフレーム26D、リインフォースメント26Eよりも高い剛性が必要とされる。このため、アッパフレーム26A及びロアフレーム26Bにおける角パイプの幅寸法は、外側サイドフレーム26C、内側サイドフレーム26D、リインフォースメント26Eよりも大きくなるように設定されている。
ここで、本実施形態では、例えば、ロアフレーム26Bは、外側サイドフレーム26Cよりも高い剛性が必要とされ、外側サイドフレーム26Cは、アッパフレーム26Aよりも高い剛性が必要とされる。また、アッパフレーム26Aは、内側サイドフレーム26D及びリインフォースメント26Eよりも高い剛性が必要とされる。このため、角パイプの幅寸法は、ロアフレーム26Bが一番大きく、次に外側サイドフレーム26C、次にアッパフレーム26Aと小さくなり、内側サイドフレーム26Dと、リインフォースメント26Eが一番小さくなるように設定されている。
なお、シートバックフレームの材料は、アルミニウム合金に限るものではなく、シートバックフレームにおいて必要とされる強度及び剛性を担保することができればよいため、アルミニウム合金以外の非鉄金属が用いられてもよいのは勿論のことである。
(センタヒンジ部)
ここで、センタヒンジ部38について説明する。
センタヒンジ部38には、図示しない車体側に固定させると共にシートバックフレーム26に接合されるヒンジブラケット(ブラケット)40が備わっている。ヒンジブラケット40は、シートバックフレーム26と同じ材料が用いられており、本実施形態では、アルミニウム合金が用いられている。
図3に示されるように、ヒンジブラケット40は、正面視で矩形板状を成しており、図示しない車体側に固定される固定片42と、シートバックフレーム26に接合される接合片44と、を含んで構成されている。固定片42と接合片44は、車両幅方向に沿って配置されており、図1に示されるように、当該固定片42の車両幅方向の外側に接合片44が設けられている。
また、図3、図4に示されるように、固定片42と接合片44の間には、接合片44から固定片42へ向かうにつれて車両後方側へ向かって傾斜し、変曲点を有して接合片44と固定片42との間をなだらかに連続させる傾斜面46が設けられている。この傾斜面46により、固定片42は、接合片44の車両後方側に配置されている。
また、図3に示されるように、固定片42には、上下方向に沿って配置された円形状の二つの固定孔48、50が形成されている。この固定孔48、50には、図2に示されるように、ボルト52がそれぞれ挿通可能とされており、当該ボルト52及びナット54を介して、図示はしないが、車体側に固定されたブラケットに締結(固定)される(固定部55)。
図3、図5に示されるように、固定孔48と固定孔50の間には、車両前方側へ向かいかつ車両上下方向に沿って円弧状に突出部56が設けられている。また、固定片42において、接合片44の反対側に位置する内縁部42Aには、車両前方側へ向かって起立するフランジ部58が形成されている。このように、突出部56及びフランジ部58を形成することによって、単に平板状に形成されるよりも固定片42自体の剛性を向上させることができる。
一方、図3に示されるように、接合片44は、車両幅方向に沿った幅寸法D1が固定片42の幅寸法D3よりも大きくなるように形成されており、固定片42の下縁部42Bよりも下方側へ向かって張り出すように形成されている。また、図4に示されるように、接合片44の下部44Bは、接合片44の上部44Aよりも車両前方側へ向かって突出している。
具体的に説明すると、接合片44の上部44Aと下部44Bの間には、上部44Aから下部44Bへ向かうにつれて車両前方側へ向かって傾斜し、変曲点60A、60Bを有して接合片44の上部44Aと下部44Bの間をなだらかに連続させる傾斜面60が設けられている。
前述のように、ロアフレーム26Bは、内側サイドフレーム26Dよりも角パイプの幅寸法が大きくなるように設定されている。このため、ロアフレーム26Bの前面26B1は、内側サイドフレーム26Dの前面26D1よりも車両前方側に位置することになる。接合片44は、上部44Aと下部44Bの間に当該傾斜面60が形成されていることによって、接合片44の上部44Aは内側サイドフレーム26Dの前面26D1に面接触可能に重なり、接合片44の下部44Bは、ロアフレーム26Bの前面26B1に面接触可能に重なる。
また、図3に示されるように、接合片44の下縁部44B1には、固定片42に形成されたフランジ部58が連続して形成されている。これにより、接合片44自体の剛性を向上させることができる。また、接合片44の下部44Bは、接合片44の上部44Aよりも車両幅方向の外側に張り出すように形成されている。
一方、接合片44の上部44Aには、上下方向に沿って配置された二つの貫通孔62、64が形成されている。また、接合片44の下部には、貫通孔66が形成されている。なお、貫通孔62、64は上下方向の長手方向とする略矩形状を成しており、貫通孔66は三角形において対向する頂部が切り落とされて形成されたような略五角形状を成している。
本実施形態では、図2に示されるように、当該貫通孔62、64、66を通じてプラグ溶接が行われる。このプラグ溶接により、シートバックフレーム26において内側サイドフレーム26Dとロアフレーム26Bが溶接により一体化された接合部(角部)68に対して、ヒンジブラケット40の接合片44が接合(溶接)される(溶接部70、72、74)。
溶接部70、72、74は、貫通孔62、64、66の形状に沿って、それぞれ車両幅方向の外側を開口とする略U字状に溶接されている。つまり、当該溶接部70、72、74は、貫通孔62、64、66において対向する部位(例えば、溶接部70では、対向する部位は、70A、70B)を含み連続して形成されている。なお、接合部68では、プラグ溶接以外にすみ肉溶接(溶接部76)も行われている。
ここで、接合片44の幅寸法D1は、内側サイドフレーム26Dの幅寸法D2よりも大きくなるように設定されており、接合片44の下部44Bにおける上下方向の寸法H1は、ロアフレーム26Bの幅寸法(上下方向の寸法)H2よりも大きくなるように設定されている。
このため、ヒンジブラケット40の接合片44が内側サイドフレーム26D及びロアフレーム26Bの接合部68に溶接された状態で、当該接合部68では、内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1の外形が隠れるように、当該ヒンジブラケット40が当該内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1に重なっている。
<車両用シートの作用及び効果>
次に、本実施の形態に係る車両用シートが適用されたリアシート10の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、図1に示されるように、シートバックフレーム26は、アッパフレーム26A、ロアフレーム26B、外側サイドフレーム26C、内側サイドフレーム26D及びリインフォースメント26Eを含んで構成されている。そして、内側サイドフレーム26Dとロアフレーム26Bの接合部68において、ヒンジブラケット40は、前述のように、内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1の外形が隠れるように、当該内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1に重なっている。
ここで、比較例として、図8、図9には、ヒンジブラケット100、102とシートバックフレーム104の接合部106において、ヒンジブラケット100が、シートバックフレーム104の外形を一部しか覆っていない場合が示されている。
具体的に説明すると、図8に示されるように、ヒンジブラケット100の下縁100Aからは、ロアフレーム104Aの前面104A1の一部がはみ出している(露出している)。また、図9に示されるように、ヒンジブラケット102の外縁102Aからは、内側サイドフレーム104Bの前面104B1の一部がはみ出している(露出している)。
つまり、比較例では、図8に示されるように、当該接合部106において、ロアフレーム104Aの前面104A1では、ヒンジブラケット100が重なる(隠れる)領域とヒンジブラケット100が重ならない(露出する)領域の両方が設けられる。ロアフレーム104Aと同様に、図9に示されるように、当該接合部106では、内側サイドフレーム104Bの前面104B1において、ヒンジブラケット102が重なる領域とヒンジブラケット102が重ならない領域の両方が設けられる。
このため、例えば、ヒンジブラケット102を介して、シートバックフレーム104に大荷重が伝達されるとき、当該接合部106におけるシートバックフレーム104の前面104B1において、ヒンジブラケット102が重なる領域には、ヒンジブラケット102を介して大荷重が伝達されるが、ヒンジブラケット100、102が重ならない領域には当該大荷重は直接伝達されない。
ここで、例えば、図10(A)、(B)には、ヒンジブラケット102を介してシートバックフレーム104に大荷重が伝達されたときのヒンジブラケット102及びシートバックフレーム104における残留ひずみが示されており、ドットが濃い方が、ひずみが大きいことを示している。なお、図10(A)はシートバックフレーム104にヒンジブラケット102が接合された状態を示し、図10(B)はヒンジブラケット102を取り除いた状態を示している。後述する図6(A)、(B)についても図10(A)、(B)と同様である。
図10(A)、(B)に示されるように、ヒンジブラケット102を介してシートバックフレーム104に大荷重が伝達されるとき、シートバックフレーム104の前面104B1において、当該大荷重が伝達される部位と伝達されない部位との境界部Qでは応力が集中することが分かる。このため、比較例では、図示はしないが、当該境界部Qを起点としてシートバックフレーム104が大きく変形する可能性がある。
これに対して、本実施形態では、図2に示されるように、ヒンジブラケット40とシートバックフレーム26の接合部68において、ヒンジブラケット40は、内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1の外形が隠れるように、当該内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1に重なっている。
具体的に説明すると、本実施形態では、ヒンジブラケット40は、固定片42及び接合片44を含んで構成されており、固定片42は、車体側に固定され、接合片44は、固定片42の車両幅方向の外側に配置されて当該固定片42と繋がり、シートバックフレーム26に接合される。
ヒンジブラケット40の接合片44が内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1に接合されることによって、当該接合片44が内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1の外形が隠れるようにして当該内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1に重なる。
これにより、本実施形態では、比較例に比して、ヒンジブラケット40の接合片44と内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1との間で接触可能な面積を増やすことができる。
このため、本実施形態では、ヒンジブラケット40を介してシートバックフレーム26に大荷重が伝達されるとき、図6(A)に示されるように、当該接合部68では、ヒンジブラケット40が重なる内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1の略全体に亘って大荷重が伝達される。
このように、シートバックフレーム26は、ヒンジブラケット40との間で接触可能な面積を増やすことで、内側サイドフレーム26Dの前面26D1及びロアフレーム26Bの前面26B1に伝達される大荷重を分散させることができる。その結果、図6(B)に示されるように、シートバックフレーム26において、応力の集中を抑制することができ、当該シートバックフレーム26の大変形を抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態では、図2に示されるように、ヒンジブラケット40は、貫通孔62、64、66及び溶接部70、72、74を含んで構成されている。ヒンジブラケット40の接合片44には略矩形状の貫通孔62、64、66が形成されると共に、当該貫通孔62、64、66を通じて、溶接部70、72、74を介して、接合片44がシートバックフレーム26に溶接される。
ここで、ヒンジブラケット40において、前述のように、接合片44は車体側に固定される固定片42の車両幅方向の外側に配置されている。このため、例えば、車両の衝突により、シートバックフレーム26に大荷重が入力されるとき、車体側から固定片42の固定部55を介して当該固定片42から接合片44に大荷重が伝達され、当該接合片44を介してシートバックフレーム26に大荷重が入力(伝達)される。
本実施形態では、ヒンジブラケット40の接合片44に貫通孔62、64、66及を設け、当該貫通孔62、64、66及に溶接部70、72、74を設けることによって、ヒンジブラケット40をシートバックフレーム26に接合(溶接)させている。
一方、比較例として、図9に示されるように、ヒンジブラケット102の外縁102Aに溶接部108、110、112、114を設け、当該溶接部108、110、112、114を介してヒンジブラケット102をシートバックフレーム104に接合させる場合がある。
これに対して、本実施形態では、図2に示されるように、ヒンジブラケット40の接合片44に貫通孔62、64、66を形成し、当該貫通孔62、64、66を通じて、溶接部70、72、74を介して、接合片44がシートバックフレーム26に溶接される。貫通孔62、64、66はヒンジブラケット40の外縁40Aよりも内側に形成されるため、本実施形態では、比較例に比して、当該溶接部70、72、74を固定部55に近づけることができる。
このように、本実施形態では、溶接部70、72、74を固定部55に近づけた分、車両の衝突時にヒンジブラケット40に生じるモーメントを比較例よりも小さくすることが可能となる。これにより、本実施形態では、シートバックフレーム26に生じるひずみを小さくすることができる。
なお、ヒンジブラケット40とシートバックフレーム26の接合部68において、必ずしもプラグ溶接を行う必要はなく、すみ肉溶接であってもよい。但し、すみ肉溶接を行う場合、ヒンジブラケット40の接合片44において、貫通孔62、64、66を形成する必要はない。
また、本実施形態では、接合片44の下部44Bは、接合片44の上部44Aよりも車両幅方向の外側に張り出すように形成されている。これにより、本実施形態では、接合片44の下部44Bの方が、接合片44の上部44Aよりもシートバックフレーム26との間で接触可能な面積が大きくなる。
このように、ヒンジブラケット40とシートバックフレーム26との間で接触可能な面積を増やすことで、車両の衝突時において、シートバックフレーム26の内側サイドフレーム26D及びロアフレーム26Bに伝達される大荷重を分散させることができる。これにより、シートバックフレーム26において、応力の集中を抑制することができ、当該シートバックフレーム26の大変形を抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、貫通孔62、64、66が略矩形状を成し、溶接部70、72、74は、貫通孔62、64、66の形状に沿って車両幅方向の外側が開口とされる略U字状を成す、いわゆる開形状とされ、当該貫通孔62、64、66において対向する部位を含み連続して形成されている。
これにより、本実施形態では、比較例として、図示はしないが、貫通孔の一部に溶接部が設けられた場合(貫通孔において対向する部位を含まない)に比して、溶接長を長くすることができる。
したがって、本実施形態では、比較例に比して、ヒンジブラケット40とシートバックフレーム26との間で接合強度を向上させることができると共に、ヒンジブラケット40とシートバックフレーム26との間で溶接面積を増やすことができ、車両の衝突時において、ヒンジブラケット40からシートバックフレーム26に伝達される荷重を分散させることが可能となる。
なお、図7に示されるように、溶接部78、80、82のように、いわゆる閉じ形状とされても良いのは勿論のことである。貫通孔62、64、66の大きさによっては、当該貫通孔62、64、66が溶接部78、80、82によって塞がる場合もある。
このように、溶接部78、80、82が閉じ形状とされることによって、図2に示す溶接部70、72、74のように、開形状とされるよりもさらに溶接長さを長くすることができる。これにより、ヒンジブラケット40とシートバックフレーム26との間で接合強度をさらに向上させることができる。
また、溶接長を長くすることにより、ヒンジブラケット40とシートバックフレーム26との間で溶接面積をさらに増やすことができるため、車両の衝突時において、ヒンジブラケット40からシートバックフレーム26に伝達される荷重をさらに分散させることが可能となる。
なお、本実施形態では、図1に示されるように、センタヒンジ部38に用いられるヒンジブラケット40について説明したが、シートバックフレーム26に接合されるブラケットについて適用可能である。このため、必ずしもヒンジブラケット40に限るものではない。例えば、車体側に固定させるためのロック用のブラケット36に適用させてもよい。また、シートバックフレーム25は必ずしも左右に分割されなくてもよい。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは勿論である。