この発明の一例としての第一実施形態に係る非常解錠装置を添付図面の図1~図8に基づいて説明する。
図1~図3に示す非常解錠装置1は、室内から操作される錠機構2を室外から解錠するためのものであって、非常解錠操作される被操作部3と、被操作部3から伝達された操作力で作動する解錠用機構4を収容する室外ケース5と、を有する。
室外ケース5は、戸(図示省略)又は戸と閉じ合う戸枠(図示省略)の室外側に配置される。室外ケース5は、その締結面6において戸又は戸枠に締結される。
室外ケース5は、被操作部3と解錠用機構4とを保持する本体7と、本体7に嵌め合うカバー8とを備える。
ここで、非常解錠装置1における上下の方向概念は、前述の締結状態の際に水平に対する鉛直方向の上方と下方であり、同左右の方向概念は、水平方向の左方と右方であり、同正背(前後)の方向概念は、上下方向及び左右方向に直交する方向であって、室外ケース5の外にカバー8が露出する方(締結面6から遠ざかる方)が前方であり、これと逆方向が後方である。
室外ケース5には、本体7に対するカバー8の開放を阻止するロック機構9と、被操作部3と、表示機構10とがさらに収容されている。
なお、表示機構10は、室外ケース5に設けられた表示窓11から施錠状態又は解錠状態であることを室外に示すためのものであり、省略してもよい。
本体7は、ベース部材12と、ベース部材12の正面に取り付けられた押さえ板13とを有する。ベース部材12の背面に前述の締結面6が形成されている。押さえ板13は、ベース部材12との間に被操作部3、解錠用機構4等を挟んで本体7に保持させるためのものである。
被操作部3は、前後方向の軸線回りに回動可能に配置された部材からなる。被操作部3の正面には、前述の軸線に直交する方向に延びる浅溝14、深溝14aが設けられている。ここで浅溝14と深溝14aは互いに直交する方向に延びている。浅溝14の深さは、例えば2mmであり、浅溝14の正面視の幅は1.6mm以上2.0mm以下、例えば2.0mmであり、摘み面15の直径と同じ長さを有する。深溝14aの深さは例えば9mmであり、深溝14aの正面視の幅は1.6mm以上2.0mm以下、例えば1.6mmであり、かつ全長は2.9mm以上3.3mm以下であり、例えば3.0mmの小判形状をなす。また、被操作部3には、前方に突出した摘み面15が設けられている。被操作部3は、二態様の非常解錠操作のいずれによっても軸線回りにトルクを付与することが可能になっている。その第一の態様は、浅溝14又は深溝14aに差し込んだ所定の操作具によって浅溝14又は深溝14aに軸線回りのトルクを付与する非常解錠操作である。その第二の態様は、摘み面15を人の指で摘んで摘み面15に軸線回りのトルクを付与する非常解錠操作である。
浅溝14にトルクを付与するための前述の所定の操作具として、所定の平板状操作具Cを使用することができる。所定の平板状操作具Cとして、直径が20mm以上26.5mm以下であって、厚みが1.5mm以上1.8mm以下である円形板を使用することができる。現在流通する1~500円硬貨のいずれもが、平板状操作具Cに該当する。
解錠用機構4は、被操作部3から伝達された力を錠機構2に伝達する。錠機構2は、解錠用機構4から伝達された力を駆動力として解錠作動する。解錠用機構4は、錠機構2の施解錠切り替え作動に連動する。
なお、錠機構2は、スライドラッチ錠を例示したが、打ち掛け錠等の他の形式のものを採用することも可能である。
図1に示すように、ベース部材12は、室外ケース5の上下両面及び左右の側面に位置する外壁16を有する。外壁16の内周は、カバー8を後方及び上下左右から支持する段状部17を有する。外壁16の全周には、段状部17から前方に高く突き出た突条18が設けられている。突条18は、室外ケース5の正面周縁部を構成する。外壁16の外周は、突条18に対して前方に向かって接近する程に室外ケース5の外側へ延びている。
外壁16のうち、室外ケース5の左右一方の側面に位置する側壁16aは、長孔部19を有する。長孔部19は、側壁16aを左右方向に貫通し、室外ケース5の左右一方の面に開口している。長孔部19は、矩形孔部になっている。長孔部19の長手方向は、上下方向に設定され、長孔部19の短手方向は、前後方向に設定されている。
1~500円硬貨の平板状操作具Cを長孔部19から左右方向に差し込んでロック機構9によるカバー8の開放阻止を解除するための操作ストロークを左右方向に適切に確保すると共に、長孔部19を室外ケース5の外観上においてなるべく目立ちにくくするため、長孔部19の長手方向の孔径L1は、22mm以上24mm以下、例えば22mmに設定し、長孔部19の短手方向の孔径L2は、1.8mm以上2.0mm以下、例えば2.0mmに設定することが好ましい。
側壁16aは、室外ケース5の正面と長孔部19との間で長孔部19よりも左右一方へ延びる遮蔽壁部20を含む。遮蔽壁部20は、側壁16aの上下方向の全長に亘っている。
外壁16のうち、室外ケース5の左右他方の側面に位置する側壁には、段状部17の背面側で左右一方へ突き出た突壁部21が設けられている。突壁部21は、カバー8の左右他方側を引っ掛けるための部位である。
カバー8は、室外ケース5の正面の構成要素であるカバー部材22と、カバー部材22の背面に取り付けられた可動部材23と、カバー部材22と可動部材23間に介在する弾性部材24とを有する。
カバー部材22は、本体7の外壁16の内側に位置する縁部25と、本体7の突壁部21に引っ掛ける爪部26と、カバー部材22の正面に開口した孔部27とを有する。
カバー8の爪部26を本体7の突壁部21に引っ掛けるようにカバー8を斜め姿勢で本体7の外壁16の内側に差し込み、その引っ掛け部を支点としてカバー8を倒伏させることにより、カバー8の縁部25を外壁16の段状部17の前面に接触させると共に突条18の内側に嵌合させて、カバー8が本体7の外壁16の内側に嵌め合った閉位置となる。
後述のロック機構9は、図1、図4に示すように、カバー8が閉位置にあるとき、カバー8の爪部26と本体7の突壁部21の引っ掛かり部分を支点とした本体7に対するカバー8の開放を阻止し、図5に示すように、長孔部19から平板状操作具Cが差し込まれることによってカバー8の開放阻止を解除する。
図1、図4に示すように、ロック機構9がカバー8の開放を阻止している状態のとき、平板状操作具Cを被操作部3の浅溝14に接触させることができず、また、人の指(図示省略)を被操作部3の摘み面15に接触させることができないように被操作部3がカバー8に覆われた保護状態にある。ロック機構9による開放阻止が解除されてカバー8が開放されることにより、平板状操作具C及び人の指の少なくとも一方を用いて非常解錠操作を行うことができるように被操作部3の浅溝14及び摘み面15が本体7の外に露出させられる。
図1、図2、図4に示すように、本体7の突条18は、その全周に亘って閉位置にあるカバー8の縁部25よりも前方に位置する。このため、突条18は、室外ケース5の上下両面及び左右側面においてカバー8の縁部25を全周にわたって遮蔽する。したがって、室外ケース5の上下両面及び左右両側面の四方の面において、本体7と、閉位置のカバー8との合わせ目が一切存在しない。
図1に示すように、カバー8の孔部27は、カバー8が閉位置にあるとき、平板状操作具Cを孔部27から被操作部3の浅溝14に差し込むことができない範囲で被操作部3の正面を室外ケース5の外に露出させるように設けられている。この露出範囲には、浅溝14と深溝14aとからなる溝の正面視における一部分が含まれている。
また、孔部27は、深溝14aの全長を露出させる位置にあって、3.5mm以上、4.5mm以下の孔径を有することが好ましい。これは、前述の保護状態のときでも、孔部27から深溝14aに差し込み、深溝14aの中央部にトルクを付与可能な形状の専用キー(図示省略)を所定の操作具として使用し、被操作部3に非常解錠操作を行えるようにするためである。
図4、図6に示すように、ロック機構9は、カバー8の可動部材23と、本体7の側壁16aと、弾性部材24とで構成されている。ロック機構9は、可動部材23に設けられた第一係止部28と、側壁16aに設けられた第二係止部29と、可動部材23に設けられた第三係止部30とを有する。
可動部材23は、カバー部材22の背面軸受部31に保持された軸32を中心に揺動可能に配置されている。軸32は、上下方向に向くように保持されている。可動部材23は、軸32よりも左右一方側に位置すると共に軸32よりも後方に位置する腕状の第一係止部28と、軸32よりも左右他方側に位置する付勢アーム部33と、軸32よりも左右一方側に位置すると共に第一係止部28よりも前方に位置するストッパアーム部34とを有する。
第二係止部29は、長孔部19よりも後方の位置で左右他方に突出した断面楔形の突起状に設けられている。第一係止部28は、第二係止部29と係合するための開口28aを含む。第三係止部30は、側壁16aと左右方向に対向する方の第一係止部28の側面において上下方向に延びる溝状に設けられている。第三係止部30の横断面は、左右他方に向かって溝幅を細くしたV字状になっている。
弾性部材24は、付勢アーム部33とカバー部材22の背面との間に介装されている。
可動部材23は、弾性部材24の付勢力が付勢アーム部33に作用することによって軸32周りの第一方向(図1(b)における反時計回り方向)に傾動させられ、長孔部19から左右方向に差し込まれる平板状操作具Cから左右他方へ押されることによって軸32周りの第二方向(図1(b)における時計回り方向)に傾動させられる。カバー8を本体7から完全に分離させた状態のとき、可動部材23の第一方向の傾動は、ストッパアーム部34とカバー部材22の背面との突き合いによって規制される。可動部材23の第二方向の傾動は、図7に示すように、第一係止部28の先端付近と本体7の傾動規制部35との突き合いによって規制される。この傾動規制部35は、ベース部材12の正面において前方に突出した壁部からなる。
図1のようにカバー8を本体7に嵌め合わせる工程では、その当初、可動部材23は第一方向に限界まで傾動した姿勢にある。その嵌め合わせの途中に可動部材23の第一係止部28のテーパ状先端面が第二係止部29のテーパ状正面に接触する。この接触部で生じる反力の左右一方の方向成分が第一係止部28に作用することにより、可動部材23が弾性部材24に抗して第二方向(すなわち側壁16aから遠ざかる方)へ傾動させられる。嵌め合わせの進行に伴い、可動部材23の第二方向への傾動が進み、やがて第二係止部29が第一係止部28の開口28aと左右方向に対向すると、弾性部材24の付勢力によって可動部材23が第一方向(すなわち側壁16aに接近する方)へ傾動させられていき、やがてカバー8が閉位置になったとき、第二係止部29の背面が第一係止部28の開口28aの後方縁部分と前後に係合する。この係合により本体7に対するカバー8の開放が阻止された状態となり、この状態は、弾性部材24の付勢力によって維持される。このため、子供がカバー8を開放させようとしても、図1、図4に示す前述の保護状態が維持される。
その保護状態において平板状操作具Cが長孔部19から左右他方へ差し込まれることにより、可動部材23の第一係止部28付近が平板状操作具Cから左右他方に向かって押される。このため、図5に示すように、可動部材23が第二方向に傾動させられる。その平板状操作具Cの差し込みが進むに連れて、可動部材23の第二方向への傾動が進み、やがて第一係止部28が第二係止部29から脱出するため、第一係止部28と第二係止部29の係合が解除される。また、これに前後して、可動部材23の左右一方側に突出して形成された蹴り出し部38が、側壁16aの前方側に段形状で設けた受け部39に当接し、この当接箇所を支点にすることで、カバー8を前方に離間し始める。こうして、カバー8の開放阻止が解除されるとともに、カバー8が本体7に対して前方へ蹴り出されて、開放し始める。カバー8が前方側に開放されるに従い、蹴り出し部38は受け部39から離間するが、このとき平板状操作具Cは可動部材23上で蹴り出し部38と第三係止部30の間に設けられなめらかな表面を有する摺動部36a(図6参照)に摺接しつつさらに差し込まれるため、この摺接部で生ずる反力の前方成分が可動部材23に作用することにより、さらにカバー8は本体7に対して前方へ蹴り出される。尚も差し込まれる平板状操作具Cは、図7に示すように、第一係止部28と第二係止部29の再係合が不可な状態に蹴り出されたカバー8の開放途中に第三係止部30に滑り込む。これにより、第三係止部30が、平板状操作具Cの背面に前方に向かって引っ掛かるように係合する。この係合により、カバー8の更なる開放が阻止される。
ここで、第三係止部30と平板状操作具Cの係合後、尚も平板状操作具Cが強引に差し込まれようとした場合、カバー8の爪部26に過負荷が加わる懸念がある。ロック機構9の第三係止部30と平板状操作具Cを係合させるのに必要なロック機構9の操作ストローク(すなわち、長孔部19からの平板状操作具Cの左右他方への突出長さL3:図7参照)の最小値L3minと、カバー8の爪部26に過負荷が加わらないための操作ストロークの最大値L3maxが、長孔部19の長手方向長さL1(図1(c)参照)に対して、以下の数式1を満足するように設定すれば、平板状操作具Cの差し込み操作性と、比較的大径な平板状操作具Cの強引な差し込み防止とを両立させることができる。ここでRは平板状操作具Cの半径である。
例えば、平板状操作具Cとして500円硬貨が使用される場合、長孔部19の長手方向長さL1(22~24mm)が500円硬貨の直径(数式1において2R=26.5mm)よりも短いため、第三係止部30と500円硬貨の係合後に500硬貨が強引に差し込まれようとしても、500円硬貨の周縁と長孔部19の左右方向の係合によって500円硬貨の差し込みが規制される。ここで、ロック機構9の第三係止部30と平板状操作具Cを係合させるのに必要なロック機構9の操作ストロークの最小値L3minを5mm、カバー8の爪部26に過負荷が加わらないための操作ストロークの最大値L3maxを8mmとなるように設計すれば、爪部26が損傷する懸念はない。
しかし、上記のように設計した状態で、平板状操作具Cとして例えば1円硬貨(直径20mm)などの小径の硬貨が使用される場合、これら1円硬貨の直径は長孔部19の長手方向長さL1より短いため数式1は成立せず、第三係止部30と1円硬貨の係合後に1円硬貨を尚も強引に差し込むことが可能である。この強引な差し込みが行われたとしても、第一係止部28が本体7の傾動規制部35に突き合うと、それ以上、1円硬貨を差し込むことができなくなり、カバー8の爪部26の損傷が防止される。
なお、1円硬貨などの小径の硬貨を指で摘んで長孔部19に差し込む操作を第三係止部30と1円硬貨の係合まで行えるようにするため、第一係止部28と傾動規制部35の突き合った規制状態において外壁16の外周と1円硬貨の左右一方の端間の左右方向の最短間隔Dが10mm以上であることが好ましい。
第三係止部30に係合している平板状操作具Cが長孔部19から左右一方へ抜き出されるに連れて、可動部材23が弾性部材24の付勢力によって第一方向に傾動させられていく。やがて、図8に示すように、可動部材23に設けられた第一制動面36が本体7の側壁16aに設けられた第二制動面37に接触し、第三係止部30と平板状操作具Cの係合が解除された時点では、弾性部材24の付勢力によって互いに押し付けられた第一制動面36と第二制動面37の接触部でカバー8の開放に抵抗する摩擦力が生じる。この摩擦力によって本体7に対するカバー8の姿勢が仮保持される。このため、弾性部材24の付勢力でカバー8が本体7から飛び出し、落下してしまう事態が防止される。
図1、図4~8に示すように、この非常解錠装置1は、上述のように、非常解錠操作される被操作部3と、被操作部3から伝達された操作力で作動する解錠用機構4を収容する室外ケース5とを有し、室外ケース5が解錠用機構4を保持する本体7と、本体7に嵌め合うカバー8とを備え、室外ケース5の上下両面、左右両側面及び正背両面のうち、上面及び正面以外の部位に開口した長孔部19が本体7に設けられており、本体7に対するカバー8の開放を阻止するロック機構9と、被操作部3とが室外ケース5に収容されており、ロック機構9が長孔部19から平板状操作具Cが差し込まれることによってカバー8の開放阻止を解除するように設けられており、ロック機構9がカバー8の開放を阻止している状態のとき、平板状操作具C及び人の指を被操作部3に接触させることができないように被操作部3がカバー8に覆われた保護状態にあり、ロック機構9による開放阻止が解除されてカバー8が開放されることにより、平板状操作具C及び人の指の少なくとも一方を用いて非常解錠操作を行うことができるように被操作部3が本体7の外に露出させられるものである。
これにより、この非常解錠装置1は、通常時、本体7とカバー8が嵌合し、室外ケース5に収容されたロック機構9でカバー8の開放を阻止し、室外ケース5に収容された被操作部3に平板状操作具C及び人の指を接触させることができない保護状態にあるため、硬貨や指を用いて子供が非常解錠操作を行うことはできない一方、非常時、室外ケース5の長孔部19に硬貨等の平板状操作具Cを差し込めば、ロック機構9によるカバー8の開放阻止を解除し、カバー8を開放して被操作部3を本体7の外に露出させ、平板状操作具C及び人の指の少なくとも一方を用いて非常解錠操作を行うことができる。
また、この非常解錠装置1は、室内側の錠機構2及び室外ケース5が低めの位置に取り付けられたとき、室外ケース5の外面のうち、上面及び正面以外の部位に本体7の長孔部19の開口が位置するため、いたずら心がわきやすい高学年の子供が室外ケース5を眺める方向として最も一般的である前方や上方から室外ケース5を眺めた際に長孔部19の開口が見えにくい。このため、子供が長孔部19に好奇心をもって硬貨を長孔部19に差し込み、ロック機構9にカバー8の開放阻止を解除させてしまい、いたずらに至る事態を起こりにくくすることができる。
このように、この非常解錠装置1は、硬貨等の平板状操作具Cがあれば非常解錠を行える利便性を有しつつ、子供がいたずらに非常解錠操作を行いにくいものとすることができる。
特に、この非常解錠装置1は、室外ケース5の左右一方の側面にのみ長孔部19が開口しているので、左右勝手違いで戸又は戸枠に取り付ける場合にも長孔部19の開口が室外ケース5の上面になることがない。仮に室外ケース5の下面に長孔部が開口しているならば、室外ケース5を前後方向の軸線周りに180°回転させた向きで左右入れ替えて戸等に取り付ける左右勝手違いにすると、当初、室外ケース5の下面である方が左右勝手違いにしたときに室外ケース5の上面となるので、この上面に長孔部が開口していることになり、好ましくない。
さらに、この非常解錠装置1は、長孔部19が室外ケース5の左右一方の側面にのみ開口しながらも、室外ケース5の正面と長孔部19との間で長孔部19よりも左右一方へ延びる遮蔽壁部20が本体7に設けられていることにより、長孔部19の開口が遮蔽壁部20の存在でより一層見えにくくなるため、子供がより長孔部19に気付きにくくなる。
また、この非常解錠装置1は、本体7が室外ケース5の上面及び左右両側面に位置する外壁16を有し、カバー8が外壁16の内側に嵌め合う縁部25を有し、外壁16がカバー8の縁部25と背面部22bの交差する稜線部E(図8及び図4参照)を室外ケース5の上面及び左右両側面において遮蔽する突条18を有することにより、高学年の子供の目に触れ易い室外ケース5の上面及び左右両側面において、カバー8の稜線部Eと本体7の外壁16との隙間が外壁16の突条18に遮蔽されて見えなくすることができ、ひいては、高学年の子供がカバー8の稜線部Eと本体7との隙間に気付きにくくなり、ひいては、カバー8を外そうとする心理に至る契機を子供に与えにくくすることができる。
さらに、この非常解錠装置1は、外壁16の突条18が室外ケース5の上下両面及び左右両側面に位置し、カバー8の縁部25がカバー8の周囲方向の全周に亘って外壁16の内側に嵌め合い、カバー8の稜線部Eが全周に亘って突条18に遮蔽されていることにより、室外ケース5の外観上、カバー8と本体7の間に縁部25の周囲方向においてカバー8の稜線部Eと本体7との隙間が見えないため、カバー8を本体7から外せないと子供に思わせる効果があり、カバー8をいたずらして外そうとする気持ちが子供に生じないようにすることができる。
また、この非常解錠装置1は、ロック機構9がカバー8に設けられた第一係止部28と、本体7に設けられた第二係止部29とを有し、これら第一係止部28と第二係止部29の係合によってカバー8を本体7に嵌め合った閉位置に係止し、かつ長孔部19からの平板状操作具Cの差し込みによって第一係止部28が変位させられて第一係止部28と第二係止部29の係合を解除するように設けられており、ロック機構9が第一係止部28と第二係止部29の係合解除状態でのカバー8の開放途中に長孔部19から差し込まれる平板状操作具Cに係合する第三係止部30をさらに有し、この係合によってカバー8の更なる開放が阻止されるものとすることにより、たとえ子供が長孔部19に硬貨を差し込んで第一係止部28と第二係止部29の係合を解除したとしても、カバー8の開放を再び阻止することができる。
特に、この非常解錠装置1は、カバー8の縁部25を本体7の外壁16の内側に全周にわたって入れ込む嵌合態様であって、第一係止部28と第二係止部29の係合解除が進むに連れてロック機構9がカバー8を本体7から蹴り出すように設けられていることにより、非常時にカバー8の開放操作を行い易いものでありながら、第三係止部30と平板状操作具Cの係合によってカバー8の更なる開放を阻止して、平板状操作具Cを第三係止部30から抜き出すまでカバー8の飛び跳ねを確実に阻止し、ひいてはカバー8の落下による損傷や紛失を防ぐことができる。
また、この非常解錠装置1は、第一係止部28が軸32を中心に揺動する可動部材23に設けられており、ロック機構9が第一係止部28と第二係止部29を係合させる方向に可動部材23を付勢する弾性部材24を有し、可動部材23が長孔部19から差し込まれる平板状操作具Cに押されることによって第一係止部28と第二係止部29の係合を解除する方へ弾性部材24に抗して傾動させられるようになっており、可動部材23に第一制動面36が設けられており、第二係止部29を有する本体7に第二制動面37が設けられており、長孔部19からの平板状操作具Cの抜き出しに伴い弾性部材24の付勢力によって傾動させられる可動部材23の第一制動面36が第二制動面37に接触し、この接触部での摩擦力によって本体7に対するカバー8の姿勢が仮保持されるものとすることにより、子供が長孔部19に硬貨を差し込んで第一係止部28と第二係止部29の係合を解除した際、第三係止部30と硬貨の係合でカバー8の開放が阻止されることで関心を失い、硬貨を長孔部19から抜き取っても、第一制動面36と第二制動面37の接触でカバー8の姿勢が動かず、子供の関心が再びカバー8や長孔部19に向くことを避けることができる。
また、この非常解錠装置1は、室外ケース5の正面に開口した孔部27がカバー8に設けられており、被操作部3の正面に溝としての浅溝14、深溝14aが設けられており、カバー8の孔部27が平板状操作具Cを孔部27から溝に差し込み不可な範囲で溝を室外ケース5の外に露出させるように設けられていることにより、カバー8の孔部27から溝の露出部分に差し込める専用キータイプの操作具が無いと、室外ケース5の外から非常解錠操作ができないと子供に思わせてカバー8の開放を試みさせないようにすることができる。
上述の第一実施形態では、カバー8側の第一係止部28を可動部材23に設けた例を示したが、本体側の第二係止部を可動部材に変更することも可能である。その一例としての第二実施形態を図9~図10に示す。以下、第一実施形態との相違点を述べるに留める。
カバー40側の第一係止部41は、カバー40の背面から後方に突出した片持ち梁状壁部に設けられており、この片持ち梁状壁部の左右他方の側面において左右一方へ凹んだ段状になっている。
本体42側の第二係止部43は、本体42に保持された軸44を中心に揺動する可動部材45に設けられたフック部分からなり、そのフック先端部を左右一方側に有する。
弾性部材46は、本体42の正面と可動部材45の背面との間に介在している。
第三係止部47は、第一係止部41を構成する片持ち梁状壁部からさらに後方に延長されたフック部分からなり、そのフック先端部を左右一方側に有する。
可動部材45の左右一方の側面に第一制動面48と、第一斜面49とが設けられている。第三係止部47の左右一方の側面に第二斜面50が設けられ、第三係止部47の左右他方の側面に第二制動面51が設けられている。
カバー40を本体42に嵌め合わせる工程の途中に、第三係止部47が第二係止部43のテーパ状正面に接触する。この接触部で生じる反力の左右他方の方向成分が第二係止部43に作用することにより、可動部材45が弾性部材46に抗して第一方向(図10における軸44回りの反時計回り方向)へ傾動させられていく。嵌め合わせの進行に伴い、可動部材45の第一方向への傾動が進み、やがて第二係止部43の第一制動面48と第一係止部41の段状部分とが左右方向に対向しつつ摺接すると、弾性部材46の付勢力によって可動部材45が第二方向(図10における軸44回りの時計回り方向)へ傾動させられていき、カバー40が閉位置になったとき、第二係止部43が第一係止部41の段状部分と前後に係合する。この係合により本体42に対するカバー40の開放が阻止されることになる。
カバー40を開放する場合、図10(a)、(b)に示すように長孔部52から差し込まれる平板状操作具Cによって第一斜面49が左右他方へ押されることにより、可動部材45が弾性部材46に抗して傾動させられて第一係止部41と第二係止部43の係合が解除される。この解除後、尚も差し込まれる平板状操作具Cによって第二斜面50も左右他方へ押される。この平板状操作具Cと第二斜面50の接触部で生じる反力の前方成分が第一係止部41に作用することにより、カバー40が本体42に対して前方へ蹴り出されて、開放し始める。尚も差し込まれる平板状操作具Cに対し、第三係止部47が、平板状操作具Cの背面に前方に向かって引っ掛かるように係合する。この係合により、カバー40の更なる開放が阻止される。
第三係止部47に係合している平板状操作具Cが長孔部52から左右一方へ抜き出されるに連れて、可動部材45が弾性部材46の付勢力によって第二方向に傾動させられていき、やがて可動部材45に設けられた第一制動面48がカバー40に設けられた第二制動面51に接触し、第三係止部47と平板状操作具Cの係合が解除された時点では、弾性部材46の付勢力によって互いに押し付けられた第一制動面48と第二制動面51の接触部でカバー40の開放に抵抗する摩擦力が生じ、この摩擦力によって本体42に対するカバー40の姿勢が仮保持される(図10(c)参照)。
このように第二実施形態においては、第二係止部43が軸44を中心に揺動する可動部材45に設けられており、第一係止部41を有するカバー40に第二制動面51が設けられている点で第一実施形態と相違するが、子供が長孔部52に硬貨を差し込んでも、第三係止部47と硬貨の係合でカバー40の開放が阻止されることで子供が関心を失い、硬貨を長孔部52から抜き取っても、子供の関心が再びカバー40や長孔部52に向くことを避けることができる点は第一実施形態と同様である。
上述の各実施形態では、カバーの縁部だけでなく、カバーの正面を全面的に本体の突条の先端と同一面上に配置した例を示したが、室外ケースの外観上、カバーと本体の嵌め合いを分かりにくくするには、図1例のようにカバー8の全体が室外ケース5の上下両面及び左右両側面において完全に遮蔽されていることまでは必要ない。例えば、図11に示す変形例のように、カバー60が本体61に嵌め合う閉位置にあるとき、カバー60の縁部62と本体61の突条63の先端が同一面上に位置するか、突条63が縁部62よりも前方に位置するが、カバー60のその他の正面部分(中央部分)が盛り上がって縁部62よりも前方に位置する部分が存在しても、カバー60と本体61の嵌め合いが分かりにくいことに変わりはない。
さらに、カバーを本体から外せないと子供に思わせるには、カバーの稜線部と本体との間の隙間を全周に亘って遮蔽すればよく、図1例のように室外ケース5の上下両面及び左右両側面においてカバー8の縁部25を突条18で完全に遮蔽することまでは必要ない。例えば、図12に示す他の変形例のように、カバー60の背面部60bと縁部62とが交わる稜線部Eが、突条63によって室外ケースの上下両面及び左右両側面において全周にわたって遮蔽されるが、カバー60の縁部62の前方側は突条63の先端よりも前方に位置してもよい。
また、上述の各実施形態では、平板状操作具として硬貨を例示したが、金尺などでもよく、長孔部に差し込んでロック機構を解除可能な寸法及び強度をもった平板状の物であればよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の
範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。