JP7737016B2 - 溶接部材 - Google Patents

溶接部材

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Description

本開示は、溶接部材に関する。
シールドガスにArとCOあるいはOとの混合ガスを用いるMAG(Metal Arc Gas)溶接が自動車の製造をはじめ、様々な分野で広く用いられている。
例えば、自動車の足回り部品は最中構造をとることが多いこと、連続溶接により部材の強度や剛性の確保が必要であることから、アーク溶接が用いられることが多い。足回り部品は鋼板の溶接後、化成処理、電着塗装を施すことで製造されるが、アーク溶接部が腐食されやすく、対策が必要である。
ガスシールドアーク溶接では溶接ビードの表面にはスラグが付着する。スラグは、鋼板や溶接ワイヤ中の脱酸元素(酸素と親和性の高いSi、Mnなど)がシールドガス中の酸化性ガス(COやO)と反応し、溶接ビード表面や溶接ビード止端部に析出する酸化物である。スラグは一般的に非導電性を示すため、スラグ部分は電着塗膜が成膜されず塗装不良となり、そこから塩水などの腐食因子が浸入するため、腐食の起点となる。
例えば、特許文献1には、溶接ビード表面のスラグの発生を抑制するため、炭素鋼の母材同士を溶接するガスシールドメタル溶接方法であって、少なくとも後工程で電着塗装が施される範囲に亘る溶接施工において、重量%でCr:15%以上、かつ、C:1.2%以下を含む合金鋼から成るソリッド溶接ワイヤを用いるガスシールドメタル溶接方法が開示されている。
また、特許文献2には、ステンレス系成分の溶接金属の耐食性及び耐液体金属脆化割れ性を高めるため、亜鉛系合金めっき鋼板のアーク溶接方法において、合金成分として、ワイヤ全質量に対する質量%で、C:0.01~0.05%、Si:0.1~0.5%、Mn:0.5~3%、Ni:7~12%、Cr:24~30%を含有し、さらに、Mo:1%以下、N:0.1%以下に制限したステンレス系溶接ワイヤを用いて前記亜鉛系合金めっき鋼板の接合部にフェライト相が面積率で25%以上含有し、かつ引張り強さTSWが下記(1)式を満足する溶接金属を形成するアーク溶接方法が開示されている。
TSW/TSB≦1.8 ・・・ (1)
但し、TSBは亜鉛系合金めっき鋼板の母材引張り強さ(MPa)、TSWは溶接金属の引張り強さ(MPa)を示す。
特開2020-59059号公報 特開2006-35293号公報
アーク溶接等により鋼材を溶接して製造する溶接部材では、溶接部における耐食性がより高いことが望ましい。
本開示は、溶接部の耐食性に優れる溶接部材を提供することを課題とする。
本開示の要旨は、以下のとおりである。
<1> 鋼材が溶接された溶接部を含む溶接部材であって、
前記溶接部は、質量%で、Cr:9~30%及びNi:3~25%を含有する合金鋼からなる溶接ビードを含み、
前記鋼材は、鋼母材と、前記鋼母材の少なくとも前記溶接ビードが形成されている側の表面に亜鉛を含有するめっき層とを含み、
前記鋼母材の前記溶接ビードが形成されている側の表面において、前記溶接ビードの止端部から0.1~2.5mmの間隔を空けて前記めっき層が形成されている、溶接部材。
<2> 前記鋼母材が鋼板である<1>に記載の溶接部材。
本開示によれば、溶接部の耐食性に優れる溶接部材が提供される。
腐食進行によるカソード電流の増加を示すグラフである。 シールドガス種毎とZnめっき蒸発距離との関係を示すグラフである。 耐食性試験片の形状を示す概略図である。 JASO M609-91試験の内容を示す図である。 最大侵食深さの測定結果を示すグラフである。 SUSワイヤ適用GAアーク溶接材(Ar+1%COシールドガス)の溶接ビード~HAZの断面SEM像である。
以下、本開示の一例である実施形態について説明する。
なお、本開示において、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。また、本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、特に断りの無い限り、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、「~」の前後に記載される数値に「超」又は「未満」が付されている場合の数値範囲は、これら数値を下限値又は上限値として含まない範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階的な数値範囲の上限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階的な数値範囲の下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の下限値又は実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
溶接部の耐食性を向上させるため、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、アーク溶接を行う際、亜鉛系のめっき層を形成しためっき鋼材に対し、特定のSUSワイヤ(溶接ワイヤ)と特定のシールドガスを用いてアーク溶接を行い、溶接部における溶接ビードのCrとNiの各含有量を特定の範囲内にするとともに溶接ビードの止端部の周辺のめっき消失部を特定の範囲内に抑えることより、溶接部における耐食性を大きく向上させることができることを見出した。
まず、本開示に係る溶接部材を導くに至った実験について説明する。
(A)溶接ビード
表1は、アーク溶接に用いた被溶接部材である鋼材(鋼板)とアーク溶接棒であるワイヤとの組合せと、溶接ビードの平均組成(EDX定量分析結果,測定箇所5点以上の平均wt%)を示している。なお、シールドガスは、通常ワイヤ適用時はAr+20%CO、SUSワイヤ適用時はAr+1%Oを用いた。

表1中、鋼材は以下の鋼板を意味する。
980冷延:980MPa級冷延鋼板
980GA:980MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼鈑
590熱延:590MPa級熱延鋼板
440GA:440MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼鈑
通常ワイヤ:日鉄溶接工業社製、軟鋼用ワイヤ「YM-24T」
SUSワイヤ:日鉄溶接工業社製、「YM-309L」
通常の鋼ワイヤ(通常ワイヤ)を用いた場合、表1に示すように溶接ビード部はほぼ鋼組成であるため、腐食により赤錆が生じ易い。図1は腐食進行によるカソード電流の増加を示している。赤錆が生じると、図1に示すように、カソード電流は大幅に増大するため(赤錆発生後の非めっき鋼板)さらに腐食が加速する。
一方、SUSワイヤを用いた場合は、溶接ビード部は表1に示すようにステンレスの組成となるため、通常ワイヤ適用時と比較して赤錆が発生しにくく、先述したカソード電流の増大が生じにくいために、溶接ビード部の耐食性が向上する。
(B)HAZ(熱影響部)
溶接ビード止端部にはスラグが生成し、塗装不良部が生じ易い。非めっき鋼板を用いた場合、HAZにはFeスケールが形成するため、ビード止端部の塗装不良部分から侵入した腐食因子によって、早期に鉄錆が発生して腐食が進行する。
一方、GA鋼板を用いた場合、溶接ビード止端部近傍は熱影響によりZnめっきが蒸発してFeスケールが生成する。溶接ビード止端部から数百μm~数mm程度の位置ではZnめっきが残存することで、これによる犠牲防食効果により腐食の進行が抑制されると考えられる。
また、GA鋼板にSUSワイヤを適用してガスシールドアーク溶接した場合のZnめっきの蒸発距離を調べたところ、Znめっきの蒸発距離はシールドガス種によって異なることが分った。図2にシールドガス種毎のZnめっき消失距離(蒸発距離)を示す。ここでは、鋼材:980MPa級GA鋼板、目付量:片面45g/m、板厚:1.6mm、溶接電流:120Aとしてガスシールドアーク溶接を行った。
図2に示されるように、シールドガス中の酸素源量が低減すると、Znめっき消失距離が長くなる。これは、シールドガス中の酸素源量の低減により、アークプラズマの広がりが増大し、エネルギーが分散したことでZnの蒸発範囲が広がったためと考えられる。
そこで、亜鉛系めっき鋼板に対し、SUSワイヤとともにアークプラズマの広がりが抑制されるシールドガスを用いてアーク溶接を行えば、溶接ビード止端部付近に残存するめっき層によって犠牲防食効果が得られ、溶接部の耐食性が向上すると考えられる。
本開示に係る溶接部材は、上記のような実験及び考察に基づいて見出されたものである。
[溶接部材]
本開示に係る溶接部材は、鋼材が溶接された溶接部を含む溶接部材であって、前記溶接部は、質量%で、Cr:9~30%及びNi:3~25%を含有する合金鋼からなる溶接ビードを含み、前記鋼材は、鋼母材と、前記鋼母材の少なくとも前記溶接ビードが形成されている側の表面に亜鉛を含有するめっき層とを含んでいる。そして、鋼母材の溶接ビードが形成されている側の表面において、溶接ビードの止端部から0.1~2.5mmの間隔を空けてめっき層が形成されている。
<鋼材>
被溶接部材である鋼材は、鋼母材と、鋼母材の少なくとも一方の面(溶接ビードが形成される面)に亜鉛を含有するめっき層とを含む。鋼材の形状は特に限定されず、板状の鋼材(鋼板)、管状の鋼材(鋼管)、棒状の鋼材(棒鋼)、H形、L形などの一定の断面形状に成形された鋼材(形鋼)であってもよい。
本開示に係る溶接部材は、例えば、亜鉛を含むめっき層が形成された2枚の鋼板(本開示において「亜鉛系めっき鋼板」又は単に「めっき鋼板」と称する場合がある。)の端部同士が溶接されたものでもよいし、亜鉛系めっき鋼板の端部を他の鋼板の表面に溶接して接合したものでもよい。また、亜鉛系めっき鋼板を管状に成形して両端部が接合された管状部材であってもよいし、外周面に亜鉛系めっきが施された2本の鋼管の端部同士を接合した管状部材であってもよい。
鋼材の大きさ、厚み、径なども特に限定されない。
以下、代表例として、鋼材が亜鉛系めっき鋼板である場合について主に説明する。
鋼板は、溶接部以外の部分の耐食性の観点から、母材鋼板と、母材鋼板の少なくとも溶接ビードが形成されている側の表面に亜鉛を含有するめっき層(亜鉛系めっき)とを含むめっき鋼板(亜鉛系めっき鋼板)である。母材鋼板の両面に亜鉛系めっきが形成されていてもよい。
亜鉛系めっきは、溶融亜鉛めっきでもよいし、電気亜鉛めっきでもよい。亜鉛系めっきには、耐食性向上のため、Zn以外の元素、例えば、Mg、Al、Siなどが含まれていてもよい。
鋼材が亜鉛系めっき鋼板である場合、例えば母材鋼板の厚みは0.5mm~9.0mmであり、めっき層の厚みは3~100μmであることが好ましい。
めっき層の厚みが3μm以上であれば、加工後もめっき層が残って溶接部以外においても高い耐食性を維持し易い。また、めっき層の厚みが100μm以下であれば連続めっきラインで製造可能である。
亜鉛系めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼鈑(GI材)でもよいし、めっき後に合金化処理した合金化溶融亜鉛めっき鋼鈑(GA材)でもよい。特に、加工時に亜鉛めっきが工具に付着することを抑制する観点から、GA材が好ましい。
<溶接ビード>
溶接部における溶接ビードは、鋼材(被溶接部材)と溶接ワイヤとが溶融凝固した溶接痕の盛り上がった部分である。溶接ビードの化学組成は、鋼板(被溶接部材)、溶接ワイヤの成分、シールドガスの種類に影響され、特に溶接ワイヤの成分とシールドガスの種類の影響が大きい。
本開示における溶接ビードは、質量%で、Cr:9~30%及びNi:3~25%を含む合金鋼からなる。溶接ビードの化学組成は、残部がFe及び不純物でもよいし、C、Si、Mnなどの任意元素を含んでもよい。溶接部における溶接ビードがCr:9~30%及びNi:3~25%を含む化学組成を有することで高い耐食性を発揮することができる。以下、溶接ビードの各成分について説明する。
Cr:9~30%
溶接ビード中のCrは主にSUSワイヤに由来して含まれる。溶接ビードにおけるCr含有量が9%以上であることで耐食性が向上する。溶接ビードにおけるCr含有量が30%以下であることでワイヤコストの大幅な増加を防止できる。かかる観点から、溶接ビードにおけるCr含有量は9~30%であることが好ましく、9~20%であることがさらに好ましい。
Ni:3~25%
溶接ビード中のNiは主にSUSワイヤに由来して含まれる。溶接ビードにおけるNi含有量が3%以上であることで耐食性が向上する。溶接ビードにおけるNi含有量が25%以下であることでワイヤコストの大幅な増加を防止できる。かかる観点から、溶接ビードにおけるNi含有量は3~25%であることが好ましく、3~15%であることがさらに好ましい。
残部:Fe及び不純物
溶接ビードの合金鋼は、耐食性の影響が大きいCr、Niの他に、強度向上などの目的のため、C、Si、Mnなどを含んでもよい。残部はFe及び不純物である。溶接ビードにおけるCr、Niなどの合金元素のほか、Fe及び不純物は、SUSワイヤ、鋼材のほか、シールドガスに由来して溶接ビードに含まれる。不純物としては、P、S、N、Oなどが挙げられる。
(溶接ビードの止端部とめっき層との間隔)
本開示に係る溶接部材は、溶接ビードの止端部からめっき鋼板の表面方向に0.1~2.5mmの間隔を空けてめっき層が形成されている。めっき鋼板をアーク溶接した場合、溶接部に近い位置では溶接時の熱によってめっき層が溶接ビードの止端部から少なくとも0.1mm程度は消失するが、本開示に係る溶接部材は、溶接ビードの止端部とめっき層との間隔が2.5mm以下、換言すれば、めっき層消失距離が2.5mm以下であり、溶接部付近に残存するめっき層による犠牲防食効果により腐食の進行が抑制される。犠牲防食効果により溶接部の腐食を抑制するため、溶接ビードの止端部とめっき層との間隔は1.5mm以下であることがさらに好ましい。
なお、溶接ビードの止端部とめっき層との間隔(めっき消失距離)は、溶接ビード部の溶接方向かつ鋼板の厚さ方向に切断した断面を顕微鏡(倍率:300倍)で観察して測定する。溶接ビードの溶接方向における無作為の2箇所で切断し、1つの断面につき両側の止端部からそれぞれめっき層までの距離(めっき消失距離)を測定する。合計4つのめっき消失距離の平均値をその溶接ビードにおける溶接ビードの止端部とめっき層との間隔とする。
<用途>
本開示に係る溶接部材の用途は特に限定されないが、例えば、自動車足回り部品として好適である。本開示に係る溶接部材を電着塗装し、溶接部の塗装後耐食性に優れた溶接部材を提供することで、自動車足回り部品の長期防錆を実現することができる。
[溶接部材の製造方法]
次に、本開示に係る溶接部材の製造方法について説明する。本開示に係る溶接部材を製造する方法は特に限定されないが、めっき鋼板をアーク溶接する際、特にSUSワイヤと特定のシールドガスを用いることによって本開示に係る溶接部材を製造することができる。
溶接方法としては、SUSワイヤとAr及び3~20体積%のO又はCOを含むAr-O混合ガス又はAr-CO混合ガスを用いたMAGを適用することが好ましい。
<SUSワイヤ>
SUSワイヤ(ステンレス系溶接ワイヤ)は、鋼材をアーク溶接した際、本開示に係る溶接部材における溶接ビードを形成することができれば特に限定されない。アーク溶接の際、SUSワイヤの成分が鋼材によって希釈されて溶接部が形成されるため、SUSワイヤ中のCr、Niの各含有量は、所望の溶接ビード中の各含有量よりも高いものを用いることが好ましい。鋼材の成分によるが、SUSワイヤとしては、例えば、ワイヤ全質量に対して、Cr:18~30%及びNi:6~25%の化学組成を有するSUSソリッドワイヤが好適である。
<シールドガス>
シールドガスとしては、COガス、Oガス、Ar-O混合ガス、Ar-CO混合ガスが挙げられ、溶接部近傍における亜鉛めっき層の消失を抑制する観点から、特にAr及び3~30体積%のO又はCOを含むAr-O混合ガス又はAr-CO混合ガスを用いることが好ましく、O又はCOが5~20体積%であることがより好ましい。
なお、被溶接部材である亜鉛系めっき鋼板は、溶接部材について前述したとおりであり、ここでの説明は省略する。
溶接ワイヤ及びシールドガス以外の溶接条件は特に限定されないが、アーク溶接により溶接ビード止端部からのめっき消失距離を2.5mm以下に抑える観点から以下の条件を満たすことが好ましい。
溶接電流:200A未満
溶接電圧:23V未満
溶接速度:50cm/min超
以下、本開示に係る溶接部材の実施例について説明する。尚、本開示に係る溶接部材は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<溶接部材の作製>
(鋼板)
供試材として、表2に示す化学成分(質量%)、板厚2.3mm、引張強さ590MPa級の非めっき熱延鋼板(以下、熱延590又は非めっき材と称する場合がある。)および引張強さ440MPa級のGA鋼板(以下、GA440又はGA材と称する場合がある。)を用いた。
(溶接ワイヤ)
溶接ワイヤは表3に示す化学成分(質量%、残部はFe及び不純物)を有する日鉄溶接工業社製の軟鋼用ワイヤ(YM-24T、以下、通常ワイヤと呼称)およびSUSワイヤ(YM-309L)を用いた。

図3に示す形状の耐食性試験片に対し、表4に示す条件でビードオン溶接を行った。
<耐食性試験>
ビードオン溶接後、脱脂(日本パーカライジング製、FC-E2001)、表面調整(日本ペイント製、PL-ZT)、化成処理(日本ペイント製、PBL-3080)、電着塗装(日本ペイント製、PN-1010E、膜厚25μm狙い)を行った後、端面とビード両端をシールし、耐食性評価を行った。耐食性は、図4に示すJASO M609-91試験で評価した。具体的には、塩水噴霧(5%NaCl)を35℃で2時間、乾燥(湿度25%)を60℃で4時間、湿潤(湿度95%)を50℃で2時間を1サイクルとして赤錆発生状況を評価した。
通常ワイヤを適用したサンプルは240サイクル後および360サイクル後に、SUSワイヤを適用したサンプルは360、480、600、720の各サイクル後に塗膜を剥離し、錆を除去した。その後、溶接ビードの両端約10mmを除いた範囲で、レーザー変位計により最大侵食深さを求めた。通常ワイヤは各サイクルn=2の平均値、SUSワイヤは各サイクルn=1の値である。
<評価結果>
図5に最大侵食深さの測定結果を示す。また、各ビード部の組成についてEDX定量分析(エネルギー分散型X線分析)結果(測定箇所5点以上の平均質量%)を表5に示す。

図5に見られるように、非めっき材、GA材のいずれにおいても、通常ワイヤ適用時((A)及び(B))と比較してSUSワイヤ適用時((C)及び(D))の方が、大幅に最大侵食深さが低減している。シールドガス中の酸素源量の低減によりスラグ形成量が低減したことで、塗装不良が抑制されて赤錆発生サイクル(侵食の開始)を延長させたことが一要因と考えられる。
一方、図5に示すSUSワイヤ適用時は、サイクル数ごとに多少のばらつきはあるものの、通常ワイヤ適用時と比較すると、経時的な最大侵食深さの変化量(傾き)が小さくなっている。これは、SUSワイヤ適用時のビード部が、表5に示すようにSUS304Lに類似の組成となっており、ビード部の耐食性が向上したことに起因していると考えられる。
また、いずれのワイヤにおいても、非めっき材と比較してGA材の方が、侵食深さが低減する傾向にあった。これは、ビード際周辺に残存したZnめっきの犠牲防食効果によるものと考えられる。
溶接ビードの止端部とめっき層との間隔(めっき層消失距離)を測定したところ、(D)GA材とSUSワイヤとの組み合わせでは、2.3mmであった。
[実施例2]
表6に示す鋼板2枚の開先を各溶接ワイヤ、シールドガスを用いてガスシールドアーク溶接した。溶接後、実施例1と同様に、脱脂、表面調整、化成処理、電着塗装を行った後、端面とビード両端をシールし、耐食性評価を行った。各測定は前述した方法によって行った。表6において、各記号の意味は以下のとおりである。また、表6における下線は本開示の範囲外又は好ましい条件の範囲外であることを意味する。
(ビード組成)
〇:Cr:9%~30%、かつNi:3%~25%
×:Cr及びNiの少なくとも一方が上記範囲外
(めっき消失距離)
めっき消失距離は溶接ビード部周辺の断面SEM観察により算出した。図6はそのときの観察の一例である。(a)の位置では母材表面におけるめっきが消失し、(b)、(c)の各位置では、めっきが残存している。なお、図6において、24は断面SEM観察のための樹脂埋め込み時の当て板である。
◎:1.5mm以下
○:1.5mm超、2.5mm以下
△:2.5mm超
<評価>
(溶接部塗装後耐食性)
-侵食深さ-
JASO M609-91試験360サイクル後の最大侵食深さ
○:0.4mm以下
△:0.4mm超、0.6mm以下
×:0.6mm超
-チッピング部の侵食深さ-
◎:0.5mm以下
○:0.5mm超、0.7mm以下
△:0.7mm超、1.0mm以下
×:1.0mm超
チッピング部の侵食深さとは、溶接部周辺にチッピングにより塗膜に傷がついた場合の侵食深さである。SAE J400に準拠した試験によりチッピングを模擬した傷をつけ、その後、JASO M609-91試験を行い360サイクル後の最大侵食深さを評価した。

また、表6における鋼板及びワイヤは、それぞれ表7及び表8に示すとおりである。なお、各成分の残部は、Fe及び不純物である。

本開示の要件を満たす本開示例は、いずれも比較例に比べて耐食性が優れていた。

Claims (2)

  1. 鋼材が溶接された溶接部を含む溶接部材であって、
    前記溶接部は、質量%で、Cr:9~30%及びNi:3~25%を含有する合金鋼からなる溶接ビードを含み、
    前記鋼材は、鋼母材と、前記鋼母材の少なくとも前記溶接ビードが形成されている側の表面に亜鉛を含有するめっき層とを含み、
    前記鋼母材の前記溶接ビードが形成されている側の表面において、前記溶接ビードの止端部から0.1~2.5mmの間隔を空けて前記めっき層が形成されている、溶接部材。
  2. 前記鋼母材が鋼板である請求項1に記載の溶接部材。
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