図1に示すように、本開示の一実施形態に係る継手10は、ホース90と配管機器99とを接続するものであり、パイプ部材80に、ナット50や筒状カバー40等の複数の部品が組付けられてなる(図1~図3参照)。
パイプ部材80は、ストレート状の筒形構造をなしている。本実施形態の例では、パイプ部材80は、その軸方向の一端部に配管機器99(図1参照)に接続される機器接続部30を有すると共に、他端側にホース90に接続されるホース接続部12を有する。そして、パイプ部材80の一端部に嵌合されて該一端側に抜け止めされたナット50が、配管機器99の末端部に設けられた雄ねじ部に螺合することで、パイプ部材80が配管機器99に接続される。以下では、パイプ部材80の中心軸J1と平行な方向を「前後方向H0」、ホース接続部12側(図1における右側)を「前側」、機器接続部30側を「後側」、と適宜呼ぶこととする。
なお、配管機器99は、流体が流れる流路を備えた機器であれば、どのような機器であってもよく、単なる配管であってもよい。また、ホース90は、例えば、樹脂製等の単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。後者の場合、例えば、ホース90にアルミニウム等の金属層が含まれていてもよい。ホース90及び配管機器99に流れる流体は、特に限定されるものではなく、例えば、液体であってもよいし、気体であってもよいし、気液混合体であってもよい。
本実施形態の例では、パイプ部材80は、その軸方向の途中位置に前側を縮径する縮径部13Dを有している(図1及び図4参照)。そして、パイプ部材80のうち縮径部13Dよりも前側の小径になった部分に、上述のホース接続部12が設けられている。ホース接続部12は、ホース90の内側に挿入され、その状態でホース90がホース接続部12に外側から後述のホースクランプ60によって締め付けられることで、ホース接続部12がホース90に抜け止めされて接続される(図6及び図7参照)。
なお、例えば、ホース接続部12には、外側に突出する環状突部20が設けられている(図3及び図4参照)。環状突部20は、上述のようにホースクランプ60によってホース90がホース接続部12に締め付けられると、ホース90の内面に食い込み、ホース90とホース接続部12との間をシールする(図7参照)。例えば、環状突部20は、前後方向の複数箇所に設けられていてもよく、本実施形態の例では、2つ設けられている(図4参照)。例えば、これら環状突部20において中心軸J1から最も離れた部分を周方向に繋げてなる稜線は、前後方向H0から見ると円形をなすと共に、中心軸J1に対して傾斜している(例えば、互いに反対側に傾斜している)。
なお、ホース接続部12の外周面には、ホース90とホース接続部12との間をシールする弾性リング29(例えば、Oリング)が嵌着されていてもよい(図1及び図5参照)。弾性リング29は、ホース接続部12の周方向に延びる環状溝に受容されていてもよい。例えば、弾性リング29は、2つの環状突部20の間に配置される。また、弾性リング29は、ホース接続部12の外周面から突出し、その突出先端と中心軸J1との距離である外径は、環状突部20の外径よりも大きくなっていることが好ましい。このようにすることで、ホース接続部12がホース90の内側に挿入されたときに、弾性リング29がホース90の内面に密着して、ホース90とホース接続部12との間をシールし(図7参照)、これらの間のシール性を高めることができる。
図1及び図4に示すように、パイプ部材80の後端部には、外側に張り出すフランジ30Fが形成されている。本実施形態の例では、パイプ部材80のうち縮径部13Dよりも後側には、ホース接続部12よりも大径になった大径部39が設けられていて、フランジ30Fは、大径部39の後端部に(即ち、機器接続部30に)設けられている。また、本実施形態の例では、大径部39のうちフランジ30Fよりも前側の部分の外周面に、環状溝38が形成されている。後述するように、環状溝38には、ナット50が係合する。
パイプ部材80のうち前後方向H0の途中部分には、外面突部32が形成されている。本実施形態の例では、外面突部32は、大径部39のうち環状溝38よりも前側の部分の外周面から突出している。外面突部32は、パイプ部材80の周方向の複数箇所に設けられていてもよく、本実施形態の例では、パイプ部材80の周方向に等間隔に配置されている。本実施形態の例では、外面突部32は、大径部39の前端から環状溝38の近傍まで前後方向H0に延び、外面突部32の前端面は、縮径部13の前端面であるテーパ面の延長面になっている。なお、例えば、外面突部32の後端面は、大径部39の外周面から起立した段差面となっている。
外面突部32の外側面(即ち、突出先端面)は、外側に膨出する湾曲面を有している。本実施形態の例では、外面突部32の外側面は、この湾曲面として円弧面33を有していて、例えば、複数の外面突部32の円弧面33が、中心軸J1を中心とする共通の仮想円筒面に含まれるように配置されている(図9参照)。なお、本実施形態の例では、円弧面33として、小径円弧面33Aと、それより径が大きい大径円弧面33Bの2種類が設けられている(図4参照)。そして、外面突部32の外側面は、前端から、小径円弧面33A、段差面32D、大径円弧面33Bによって構成されている。これにより、外面突部32の外側面の外径が、外面突部32の前側から後側に向かって大きくなっている。なお、例えば、段差面32Dは、中心軸J1を中心とする仮想円錐面上に配置されている。
本実施形態の例では、図9に示すように、外面突部32は、前方から見ると、パイプ部材80の径方向の外側に突出し、外面突部32の両側面は、それぞれ前後方向H0と平行な仮想平面上に配置され、互いに平行になっている。本実施形態の例では、外面突部32が4つ設けられていて、1対の外面突部32は、前後方向H0に対して直交する第1方向H1で互いに反対側に突出し、もう1対の外面突部32は、前後方向H0及び第1方向H1に共に直交する第2方向H2で互いに反対側に突出している。
本実施形態の例では、パイプ部材80は、一体成形品であり、樹脂製である(例えば、射出成形品である)。そして、パイプ部材80の外面は(即ち、外面突部32や環状突部20も)、第1方向H1又は第2方向H2で型抜き可能な形状になっている。従って、パイプ部材80を射出成形等により製造する場合には、パイプ部材80を成形する金型を、第1方向H1又は第2方向H2に型抜きすることで、外面突部32や環状突部20等のパイプ部材80の外周面上の突部の形成を容易に行うことが可能となる。なお、パイプ部材80は、金属製であってもよい(例えば、切削加工品や鍛造品等であってもよい)。
次に、ナット50や筒状カバー40等、継手10におけるパイプ部材80の周りの部品について説明する。
図4に示すように、ナット50は、雌ねじ孔が貫通した環状のナット本体部50Hから、突片52が前側に張り出した構成になっている。突片52は、ナット50の周方向の複数箇所に設けられていてもよく、本実施形態の例では、ナット50の周方向に等間隔に配置されている。なお、ナット本体部50Hの後端部には、工具等でナット50を回転させるための略六角形状の張出部50Fが設けられている。
本実施形態の例では、図10(A)に示すように、突片52は、前方から見ると略円弧状をなしている。また、本実施形態の例では、図11に示すように、突片52は、ナット本体部50Hの前端面からナット50の内側に向かって張り出す内側張出部52Uと、その内側張出部52Uのうち内側の張出先端部から前側に向かって延びる前側張出部52Mと、を有する。前側張出部52Mのうち前側の張出先端部には、ナット50の内側に向かって突出する係合突部52Tが形成されていて、この係合突部52Tが、パイプ部材80の上述の環状溝38に係合する。これにより、ナット50が、パイプ部材80に回転可能に取り付けられると共に、パイプ部材80の軸方向での移動を規制される。この状態では、ナット50の内部の当接面50Mがパイプ部材80のフランジ30Fに前側から当接し、ナット50がパイプ部材80から後側に抜けることが防がれる。当接面50Mは、本実施形態の例では、内側張出部52Uの後面に設けられた段差面である(図10(B)及び図11参照)。なお、本実施形態の例では、複数の突片52の前側張出部52Mの内側面に、パイプ部材80の大径部39が嵌合される。また、ナット本体部50Hの内周面の前端部が、パイプ部材80のフランジ30Fに嵌合される。これらにより、パイプ部材80の径方向でのナット50のがたつきを抑えることができる。なお、ナット50は、パイプ部材80に取り付けられると、パイプ部材80の後端よりも後側に突き出る。
ナット50の突片52の外側面には、ナット50の周方向に延びる嵌合溝部58が形成されている(図4参照)。詳細には、嵌合溝部58は、突片52の前側張出部52Mの前端部から外側に張り出す前端突部53と、内側張出部52Uのうち前端突部53に後方から対向する前向き面52Sと、の間に形成されている(図11参照)。本実施形態の例では、複数設けられた突片52の嵌合溝部58は、同一の仮想円上に配置される。後述するように、嵌合溝部58には、筒状カバー40が嵌合される。
なお、図1に示すように、パイプ部材80の後端部と、配管機器99の末端部との間には、それらの間をシールする環状のパッキン88が挟まれる。例えば、継手10が使用される前(例えば、流通時等)には、継手10にパッキン88を付属させておいてもよく、この場合、例えば、パッキン88を、パイプ部材80に取り付けられたナット50の内側に後側から入れてから、ナット50の後端開口に蓋部材を嵌め込んでパッキン88が落下しないように収容しておいてもよい。
図2及び図3に示すように、上述の筒状カバー40は、パイプ部材80を包囲し、前後方向H0に延びる筒状のカバー本体40Hの外周面の周方向の一部から膨出部43が膨出した構成になっている。膨出部43は、カバー本体40Hの外周面の前端から後端寄り位置までの範囲に配置されている。膨出部43は、中空構造をなし、膨出部43の内部空間は、カバー本体40Hの内部空間と連通している。本実施形態の例では、筒状カバー40は、透明な樹脂製であるが(例えば射出成形品であるが)、不透明な樹脂製であってもよい。なお、膨出部43は、カバー本体40Hから、前後方向H0に対して直交する方向(例えば、第1方向H1)に膨出している。
カバー本体40Hのうち膨出部43より後側には、カバー後側連結部42が設けられていて、カバー後側連結部42は、パイプ部材80及びナット50の外側に嵌合される。具体的には、図1及び図11に示すように、筒状カバー40のカバー後側連結部42は、パイプ部材80とナット50に前後方向H0でまたがって嵌合される。カバー後側連結部42の後端部には、筒状カバー40の後端開口の内側に張り出す後端突部40Tが形成され、この後端突部40Tが、ナット50の嵌合溝部58に嵌合される。これにより、筒状カバー40がナット50に取り付けられ、筒状カバー40の前後方向H0での移動が規制される。
図9に示すように、カバー後側連結部42の内周面は、パイプ部材80の外面突部32の円弧面33に嵌合される。これにより、筒状カバー40が、外面突部32に内側から支持され、パイプ部材80の径方向での筒状カバー40のがたつきを抑えることが可能となり、筒状カバー40の支持の安定化を図ることが可能となる。また、図1に示すように、カバー後側連結部42の内周面には、パイプ部材80の外面突部32の段差面32Dに前側から当接する段差面が設けられていて、これら段差面が当接することで、筒状カバー40の前後方向での位置決めが強化されている。
筒状カバー40のうちカバー後側連結部42より前側部分、即ち、膨出部43が含まれる部分は、ホース接続部12を包囲する包囲部41になっている。包囲部41内には、図1に示すホースクランプ60とクリップ70とが収容される。そして、ホースクランプ60とクリップ70を包囲部41内に留めるために、筒状カバー40の前端部にはキャップ81が嵌合され、キャップ81により筒状カバー40の前端開口が覆われている。キャップ81には、パイプ部材80と同軸に配置され、ホース90を筒状カバー40内に挿入するためのホース挿通孔81Aが貫通形成されている。ホース挿通孔81Aには、ホース接続部12の前端部が挿通され、ホース挿通孔81Aの内周面とホース接続部12の外周面との間には、ホース90を挿入可能な隙間が設けられている。なお、例えば、ホース接続部12の前端面とキャップ81の前端面とは略面一になっている。本実施形態の例では、キャップ81は、樹脂製の成形品であるが、例えば金属製であってもよい。
なお、図6に示すように、ホースクランプ60は、例えば、帯状板金を丸めてなり、リング状をなしている。ホースクランプ60は、その径方向外側に突出する1対の摘まみ片63A,63Bを両端部に備え、それら端部同士が交差した構成になっている。例えば、ホースクランプ60の一端部には、貫通孔61Kが形成され、その貫通孔61Kに、ホースクランプ60の幅狭になった他端部の摘まみ片63Bが挿通されて突出し、ホースクランプ60の両端部が交差している。
なお、図3及び図5に示すように、クリップ70は、例えば板金を略直角に曲げてなり、ホースクランプ60に後側から重ねられる支持ベース71の上側(膨出部43が膨出する側)の端部から前方に1対の挟持片72が延びた構成になっている。また、支持ベース71には、ホース接続部12をまたぐように下側に開脚した1対の被押圧片73が備えられている。
図1及び図5に示すように、膨出部43には、ホースクランプ60の1対の摘まみ片63A,63Bとクリップ70の上部が収容される。ホースクランプ60は、包囲部41の内面に形成された段差面44と、キャップ81の後面とに挟まれ、包囲部41内において前後方向H0で位置決めされる(図1参照)。
ホースクランプ60は、1対の摘まみ片63A,63Bを挟持して近づけると、弾性変形して拡径状態になる。そして、クリップ70は、ホース90の未挿入時には、1対の摘まみ片63A,63Bを1対の挟持片72で挟むように配置され、1対の摘まみ片63A,63Bが互いに離れることを規制して、ホースクランプ60を拡径状態に保持する(図5参照)。この拡径状態のときに、ホース90がホース挿通孔81Aからホース接続部12とホースクランプ60との間に挿入されて、ホース90によりクリップ70が押されると、ホースクランプ60からクリップ70が外れて1対の摘まみ片63A,63Bの挟持が解除される。すると、ホースクランプ60が、弾性復帰して縮径状態となり、ホース90を締め付けてホース接続部12の外面に押し付ける(図6及び図7参照)。
なお、詳細には、上述のようにホース90が挿入されると、図8(A)から図8(B)への変化に示すように、ホース90によりクリップ70の1対の被押圧片73が押される。すると、1対の挟持片72のうち1対のつまみ部63A,63Bを挟持している部分を支点にして支持ベース71が上側に向かうようにクリップ70が回動する。そして、クリップ70が膨出部43の内面に当接すると、1対の挟持片72を下側に移動させるようにクリップ70がさらに回動する。これにより、1対の挟持片72が1対の摘まみ片63A,63Bから外れ、クリップ70がホースクランプ60から外れる。なお、本実施形態の例では、1対の挟持片72のうち一方の挟持片72は、他方の挟持片72よりも短くなっていて、この短い方の一方の挟持片72が、狭幅の摘まみ片63B側に配置される(図5参照)。これにより、一方の挟持片72を狭幅の摘まみ片63Bから外れ易くすることが可能となる。
このように、本実施形態の継手10では、ホース90へのホース接続部12の挿入を深めることで、クリップ70によるホースクランプ60の保持が解除され、ホースクランプ60が縮径されてホース90を締め付けてホース接続部12に固定する(図7参照)。従って、本実施形態の継手10によれば、ホース90をホース挿通孔81Aから筒状カバー40内に挿通して、ホース接続部12をホース90に挿入するだけで、ホースクランプ60によるホース接続部12へのホース90の固定を容易に実現することができる。
ところで、ナット50にパイプ部材80が通されてから、継手10の使用前に(例えば、筒状カバー40の取り付け前等に)、ナット50がパイプ部材80から前側に抜け落ちることがある。これに対し、本実施形態の継手10では、パイプ部材80に外面突部32が形成されていることで、ナット50の抜け落ちを抑制することができる。
ここで、パイプ部材からのナットの抜け落ちを抑制するために、パイプ部材に外面突部32のような抜止用突部を形成することが考えられるが、この場合、この抜止用突部があるために、ナットをパイプ部材の外側に前側から挿入することが困難になるという問題が生じ得る。そのため、例えば、パイプ部材を前後の2部品(即ち、ナットに通されてフランジを有する後側部品と、抜止用突部を有する前側部品)に分けることが考えられ、ナットに後側部品を通してから、その後側部品に前側部品を連結し、前側部品の抜止用突部でナットの前側への抜け落ちを抑制することが考えられる。しかしながら、この場合、パイプ部品が複数の部品になることで、部品点数が増えるという別の問題が生じる(例えば上記2部品間のシール部材等も必要となる)と共に、シール箇所が増加するという問題も生じる。
これに対し、パイプ部材を一体成形品にすることが考えられ、この場合、上記抜止用突部をナットが乗り越えられるように抜止用突部の突出高さを低くすることが考えられる。しかしながら、このようにすると、パイプ部材と筒状カバー40との間の隙間が空き過ぎて、筒状カバー40を内側から支持し難くなり、筒状カバー40ががたつくという問題が生じ得る。
これらの問題を解決するために、本実施形態の継手10では、パイプ部材80とナット50に、以下のような特徴的な構成が備えられている。即ち、ナット50には、ナット50にパイプ部材80が通される際にパイプ部材80の外面突部32が通過可能な突部通過路51が形成されている(図4及び図12参照)。具体的には、突部通過路51は、ナット50のうち当接面50Mの位置から前側の部分に設けられている。本実施形態の例では、突部通過路51は、突片52同士の間に配置されて、突片52にナット50の周方向で隣接している。
図12(A)に示すように、突部通過路51を外面突部32が通過可能となるのは、ナット50がパイプ部材80に対して特定の回転位置(以下、適宜「特定回転位置」という。)に配置されたときである。同図の例では、ナット50は、この特定回転位置には、ナット50が一回転する間に突片52の個数分だけ配置される。例えば、同図の例では、突片52(即ち、突部通過路51)が4つ設けられ、ナット50は、一回転する間に、特定回転位置に90度回転する毎に配置され、4回配置される。
ナット50がパイプ部材80に組付けられる際には、パイプ部材80に対するナット50の回転位置を特定回転位置にしておいてから、ナット50をパイプ部材80の外側に前側から挿入して後側へと通過させる(図4参照)。このとき、上述のように、突部通過路51が設けられていることで、パイプ部材80のうちナット50が通過する前後方向H0の途中部分にある外面突部32は、ナット50とすれ違い、ナット50の通過を許容する(図12(A)参照)。なお、例えば、前側から見たときの外面突部32の形状は、ナット50の上記通過時に、隣り合う突片52間の隙間に嵌合される形状となっていてもよい。また、ナット50の上記通過時に、外面突部32の突出先端が、ナット本体部50Hの内面に近接するように配置されてもよいし、パイプ部材80の外周面のうち外面突部32同士の間の部分が、突片52に近接するように配置されてもよい。なお、本実施形態の例では、パイプ部材80の縮径部13Dの前端のテーパ面と、その延長面である外面突部32の前端面とが、中心軸J1から離れるにつれて徐々に後側に向かうように形成されているので、これらの面に上記通過時にナット50がぶつかった場合でも、ナット50を後側に誘導し易くすることができる。
ナット50が、パイプ部材80に対してさらに後側に移動されると、フランジFに当接すると共に環状溝38に係合し、パイプ部材80に組付けられる。このとき、ナット50は、前後方向H0の移動を規制されるものの、パイプ部材80に対しての回転は可能となるので、ナット50は特定回転位置以外の回転位置(以下、適宜「一般回転位置」という。)にも配置可能となる。そして、図12(B)に示すように、ナット50を一般回転位置に配置すると(例えば45度右回転させると)、ナット50の突片52が、パイプ部材80の外面突部32に後方から対向する。本実施形態では、外面突部32が設けられることにより、パイプ部材80のうちフランジ30Fを除く部分の外周部の最大半径(即ち、中心軸J1と外面突部32の突出先端との最大距離)が、ナット50の内周部の最小半径(即ち、中心軸J1と突片52との最小距離)よりも大きくなっているので、ナット50が一般回転位置に配置されたときには、ナット50が前側に抜け止めされる。これにより、ナット50がパイプ部材80から抜け落ちることが抑制可能となる。
また、一般回転位置では、ナット50の突片52が、パイプ部材80の外面突部32に対して、後方から近接配置されて突き合わされるので、仮に、ナット50が環状溝38から外れても、フランジ30Fと外面突部32とによってナット50の前後方向H0での移動を規制できる。
さらに、本実施形態の継手10によれば、突片52と突部通過路51を備えることで、ナット50が特定回転位置に配置されれば外面突部32をナット50が通過可能になるので、外面突部32の突出高さをナット50(詳細には突片52)が乗り越えられる高さに制限する必要がなくなる。従って、外面突部32の突出高さを、筒状カバー40を内側から支持可能な高さにすることができ、筒状カバー40のがたつきを抑制可能となる。また、例えば、前後に複数の部品を連結させることで上記抜止用突部の突出高さを高くしたパイプ部材に用いられていた従来の筒状カバーに対しても、本実施形態の継手10によれば、その筒状カバーと外面突部32との間の隙間が空き過ぎることを抑制できるので、このような筒状カバーの汎用性を高めることが可能となる。しかも、パイプ部材80が、一体成形品であるので、複数の部品からなる場合に比べて、部品点数の削減が可能となる。
本実施形態の継手10では、ナット50が環状溝38に係合するので、これによっても、ナット50の抜け落ちを抑制することができる。本実施形態の例では、突片52は、環状溝38に係合した状態(図11参照)が変形していない自然状態になっている。従って、突片52は、環状溝38に係合するまで、複数の突片52の内側をパイプ部材80の大径部39が通過する間は、係合突部52Tが大径部39の外周面に当接することにより、外側に弾性変形する。そして、突片52の係合突部52Tが環状溝38内に嵌ると、突片52が内側に弾性復元する。従って、係合突部52Tが環状溝38から外れるためには、突片52を外側に弾性変形させる必要があるので、係合突部52Tを環状溝38から外れ難くすることが可能となり、ナット50の前後方向H0の位置の安定化が図られる。なお、例えば、ナット50は、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよいが、ナット50とパイプ部材80のうち一方が樹脂製で他方が金属製である方が、ナット50の突片52をパイプ部材80の環状溝38に係合させ易いと考えられ、好ましい。
なお、図3及び図4に示すように、ナット50がパイプ部材80に組付けられると、筒状カバー40が、ナット50の嵌合溝部58に前側から嵌合されて取り付られる。筒状カバー40には、クリップ70により拡径状態に保持されたホースクランプ60が収容されると共に、筒状カバー40の前端開口がキャップ81で閉塞される。このようにして、継手10が組み立てられる。本実施形態の継手10によれば、パイプ部材80が一体成形品であることで、パイプ部材80が複数の部品からなる場合に比べて、部品点数の削減ができるので、継手10の組み立てを容易にすることが可能となる。
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、外面突部32の突出先端と筒状カバー40の内面とが嵌合され、外面突部32が筒状カバー40を内側から支持可能であったが、外面突部32と筒状カバー40の間の隙間が空いて外面突部32が筒状カバー40を内側から支持できなくてもよい。
(2)筒状カバー40やホースクランプ60やクリップ70は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、筒状カバー40が、継手10に設けられていなくてもよい。例えば、筒状カバー40の代わりに、パイプ部材80を包囲する外側部材として、断熱部材や保温部材が設けられてもよい。また、継手10に、クリップ70が設けられていなくてもよいし、クリップ70及びホースクランプ60が設けられていなくてもよい。また、ホースクランプ60の代わりに、例えば、ウォーム螺子で締め付け操作を行うタイプのホースクランプや、結束バンドのようにラッチ構造にて締め付け状態を保持するホースクランプを使用してもよい。
(3)パイプ部材80の前端部が、上記実施形態ではホース90に接続されていたが、パイプ部材80の前端部に雄ねじ部又は雌ねじ部が設けられ、他の配管機器(例えば、配管等)の末端部と螺合して接続される構成であってもよい。
(4)パイプ部材80が、上記実施形態では、一体成形品であったが、複数の部品が連結してなるものであってもよい。
(5)パイプ部材80の外面が、上記実施形態では第1方向H1又は第2方向H2で型抜き可能な形状になっていたが、型抜き不能な形状であってもよい。この場合、例えば、パイプ部材80を3Dプリンタ等で形成してもよい。
(6)外面突部32の外側面が、上記実施形態では円弧面を有していたが、外面突部32の形状は限定されるものではなく、例えば、円弧以外の湾曲面(例えば、テーパ面、半球状の面等)を有していてもよい。この場合でも、例えば、外面突部32をパイプ部材80の周方向の複数個所に設けることで、これら複数の外面突部32の先端を、筒状カバー40等のようにパイプ部材80を包囲する外側部材の内面に嵌合させることが可能となる。また、複数の外面突部32の外側面の湾曲面が、上記実施形態の例では、共通の仮想円筒面に含まれるものであったが、共通の仮想円錐面に含まれるものであってもよいし、共通の仮想円筒面にも共通の仮想円錐面にも含まれないものであってもよい。
(7)上記実施形態では、外面突部32の外側面の外径が、前側から後側に向かって大きくなっていたが、大きくなっていなくてもよく、例えば、一定であってもよい(即ち、外側突部32の外側面が、段差面32Dの無い円弧面であってもよい)。なお、例えば、外面突部32の外側面の外径が、前側から後側に向かって複数段階に亘って大きくなっていてもよい。
(8)外面突部32は、1つだけであってもよいし、4つ以外の複数個設けられていてもよい。外面突部32が複数設けられる方が、内側からの筒状カバー40の支持の安定化を図ることが可能となる。また、上記実施形態において、パイプ部材80に、外面突部32が設けられていなくてもよい。この場合でも、環状溝38が設けられていることで、パイプ部材80から前側にナット50が抜け落ちることを抑制可能となる。また、上記実施形態において、環状溝38が設けられていなくてもよい。
(9)ナット50は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。突片52は、1つだけであってもよいし、4つ以外の複数個設けられていてもよい。ナット50は、上記実施形態では前側に突出した突片52を有していたが、例えば、前側に突出せずに内側に突出した突片を有すると共に、その突片に周方向で隣接した突部通過路51を有する構成であってもよい。また、例えば、突片52の代わりに、ナット50から内側に突出して環の周方向の一部が切除された形状の突部(例えば円弧状の突部)を設け、その切除部によって突部通過路51を形成してもよい。また、ナット本体部50の外周面に筒状カバー40が嵌合される嵌合溝部58を形成してもよい。なお、これらの構成において、突部通過路51の形状や個数等は、パイプ部材80の外面突部32に応じて設計すればよい。
(10)パイプ部材80は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、パイプ部材80が、縮径部13Dを有していない構成であってもよい。
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
例えば、以下の特徴群は、継手に関し、「従来から、パイプ部材の一端部に回転可能に係止されたナットを、別のパイプ部材に締め付けて、それらパイプ部材を接続する、いわゆるユニオン継手が知られている。(例えば、実全昭57-165879(図1等)参照)。」という背景技術について、「上述した従来の継手に対して、継手の使用前に、ナットがパイプ部材から抜け落ちることがあるため、その対策が求められている。」という課題をもって想到されたものと考えることができる。また、以下の特徴群は、「従来にない新たな継手の開発が望まれる」という課題に対して想到されたものと考えることもできる。
[特徴1]
フランジを後端部に有するパイプ部材と、
前記パイプ部材の外側に前側から挿入され、前記フランジが当接する当接面を内部に有するナットと、を備える継手であって、
前記パイプ部材のうち前記ナットが通過する前後方向の途中部分に形成されて外側に突出する外面突部と、
前記ナットの前記当接面から前側部分に形成され、前記外面突部が通過可能な突部通過路と、を備える継手。
特徴1によれば、外面突部により、パイプ部材からのナットの抜け落ちを抑制可能となる。
[特徴2]
前記パイプ部材を包囲し、前記外面突部に内側から支持される外側部材を備える特徴1に記載の継手。
特徴2では、外側部材が外面突部に内側から支持されるので、外側部材の支持の安定化を図ることが可能となる。
[特徴3]
前記外面突部の外側面には、前記パイプ部材を包囲する外側部材が嵌合される円弧面が設けられている特徴1に記載の継手。
特徴3では、外面突部の円弧面に外側部材が嵌合されるので、外側部材の支持の安定化を図ることが可能となる。
[特徴4]
前記ナットには、前記外側部材が嵌合される嵌合溝部が形成されている特徴2又は3に記載の継手。
特徴4によれば、ナットによる外側部材の支持の安定化を図ることが可能となる。
[特徴5]
前記ナットには、前記突部通過路に隣接して前側に張り出す突片が備えられている特徴1から4の何れか1の特徴に記載の継手。
特徴5によれば、ナットの突片に対してパイプ部材の外面突部をすれ違わせることが可能となる。
[特徴6]
前記パイプ部材の外周面には、前記当接面に前記フランジが当接した状態で前記突片が係合する環状溝が形成されている特徴5に記載の継手。
特徴6によれば、パイプ部材からのナットの抜け落ちをさらに抑制可能となる。
[特徴7]
前記パイプ部材の前端側部分に設けられ、ホースに挿入されるホース接続部と、
前記ホースを外側から前記ホース接続部に締め付けるホースクランプと、
前記ホースクランプの1対の摘まみ片を挟持して前記ホースクランプを弾性変形させて拡径状態に保持し、前記ホース接続部の前記挿入が深まって前記ホースに押されると前記挟持を解除するクリップと、を備える特徴1から6の何れか1の特徴に記載の継手。
特徴7のように、継手がホースに接続されるものであってもよい。
[特徴8]
フランジを後端部に有するパイプ部材と、
前記パイプ部材の外側に前側から挿入され、前記フランジが当接する当接面を内部に有するナットと、を備える継手であって、
前記パイプ部材の外周面には、前記当接面に前記フランジが当接した状態で前記ナットが係合する環状溝が形成されている継手。
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。