JP7742059B2 - 熱コンダクタンス計測方法及び熱コンダクタンス計測システム - Google Patents
熱コンダクタンス計測方法及び熱コンダクタンス計測システムInfo
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Description
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱源の熱コンダクタンスを把握し、未利用の熱エネルギーの有効利用に貢献することにある。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
本項に記載の熱コンダクタンス計測方法は、熱伝導路中に設置する発熱体としてペルチェ素子を利用するものである。また、ペルチェ素子に与える加熱エネルギーとして、所定周波数の交流電力を与えることで、ペルチェ素子からの発熱量を交流的に変動させる。このときの交流電力の所定周波数には、熱源から熱伝導路へ流れる熱流が有している変動周波数とは異なる周波数を設定する。
本項に記載の熱コンダクタンス計測方法は、熱源の熱コンダクタンスに加えて、更に熱源の内部の熱抵抗を計測するものである。上記(1)項で言及したように、温度変化データ(第1温度と第2温度との差分)と、加熱エネルギー(第1温度を計測したときの加熱エネルギー)とから求められる熱抵抗は、熱源から熱伝導路までの全ての熱抵抗を含む総合熱抵抗である。すなわち、この総合熱抵抗には、比熱や圧力、物性の密度などといった情報が不明な熱源内部の熱抵抗と、熱伝導率などの特性が既知の材料で形成された熱伝導路の受熱部分の熱抵抗と、同じく熱伝導路の熱伝導部分の熱抵抗とが含まれている。このため、熱源の内部の熱抵抗は、上記のような総合熱抵抗と、熱伝導率などが既知の材料で形成されていることで把握される熱伝導路の熱抵抗とに基づいて算出されるものである。これにより、熱源の内部の情報が不明であっても、算出される総合熱抵抗及び既知の熱抵抗情報から、熱源の内部の情報として熱抵抗が把握されるものである。
本項に記載の熱コンダクタンス計測システムは、熱伝導変調部が有する発熱体がペルチェ素子であり、このペルチェ素子に発熱体制御部から与える加熱エネルギーが、所定周波数の交流電力になっていることで、ペルチェ素子からの発熱量が交流的に変動される。このときの交流電力の所定周波数には、熱源から熱伝導変調部などに流れる熱流が有している変動周波数とは異なる周波数が設定されている。
本項に記載の熱コンダクタンス計測システムは、熱伝導変調部の2つの熱伝導媒体のうち、熱源側に配置されることとなる一方の熱伝導媒体に、少なくとも3つの温度計測点が設定されている。これら少なくとも3つの温度計測点は、一方の熱伝導媒体において、熱源から流れる熱の伝導方向に沿って間隔を空けて設定されている。
本項に記載の熱コンダクタンス計測システムは、熱伝導変調部の2つの熱伝導媒体のうち、熱源側に配置されることとなる一方の熱伝導媒体に少なくとも1つの温度計測点が設定されると共に、冷却源側に配置されることとなる他方の熱伝導媒体に少なくとも1つの温度計測点が設定されている。そして、算出処理部は、温度計測部により一方の熱伝導媒体の温度計測点で計測された温度と、他方の熱伝導媒体の温度計測点で計測された温度との大小関係から、熱伝導変調部を通過する熱量が正常であるか否かを判定する。
本項に記載の熱コンダクタンス計測システムは、算出処理部により、熱源の熱コンダクタンスに加えて、更に熱源の内部の熱抵抗を算出するものである。すなわち、上記(1)項及び(3)項で言及したように、温度変化データと加熱エネルギーとから求められる総合熱抵抗には、熱源内部の熱抵抗、熱伝導変調部及び冷却源を含む熱伝導路の受熱部分の熱抵抗、及び熱伝導路の熱伝導部分の熱抵抗が含まれている。このため、これを利用して、算出処理部は、上記のような総合熱抵抗と、熱伝導率などが既知の材料で形成されていることで把握される熱伝導路の熱抵抗とに基づいて、熱源の内部の熱抵抗を算出するものである。これにより、熱源の内部の情報が不明であっても、熱源の内部の熱抵抗が把握されるものである。
図1は、計測対象の熱源50(図2参照)から採取可能な受熱面での熱コンダクタンスを計測すると共に、熱源50の内部の熱抵抗を計測するための、本発明の実施の形態に係る熱コンダクタンス計測システム10の構成の一例を示している。図示のように、熱コンダクタンス計測システム10は、熱伝導変調部12、冷却源36、発熱体制御部40、温度計測部44、及び算出処理部48を含んでいる。また、熱伝導変調部12は、発熱体14と2つの熱伝導媒体16とを含んでおり、図3には、熱伝導変調部12の詳細構造の一例を示している。
ここで、図2に示されるような計測対象の熱源50は、未利用の熱エネルギーを包含するものであれば任意のものであってよい。このような熱源50としては、これらに限定されるものではないが、例えば、熱エネルギーを扱う工業プラントの設備、熱源を用いた各種装置、燃焼装置、内燃機関、焼却炉、温泉水などが流れる流路、排気ダクト、煙突、蒸気配管などが挙げられる。
S20(発熱体制御):発熱体制御部40により、熱伝導変調部12の発熱体14の制御を開始する。すなわち、本実施形態では、ペルチェ素子14Aに対して、熱源50からの熱流の変動周波数と異なる所定周波数(変調周波数)を有する交流電力を、例えば電流波形が正弦波になるようにして供給する。
そして、本ステップS40において、熱源50からの熱流が定常状態であり、且つ、熱伝導変調部12を通過する熱量が正常であると判定した場合に、次ステップへ移行するものとする。なお、熱流の過渡状態や熱量の異常が検出された場合は、熱伝導路54の構成、計測タイミング、ペルチェ素子14Aへ供給する交流電力などの見直しを行う。
S70(周波数成分抽出):算出処理部48により、上記S60で算出した温度変化データから、ペルチェ素子14Aに与えている交流電力の周波数(変調周波数)の周波数成分のデータを抽出する。これによって、熱源50からの熱流が有している変動成分などのノイズを排除する。なお、ここでの抽出方法には、例えば、ローパスフィルターを用いて変調周波数の近傍のみを切り出す方法、変調周波数を中心としたバンドパスフィルターで切り出す方法、同期検波(ベースバンド検波)を行う方法、ベースバンド検波やPSN変調器を多段に用いる2段シフト検波を行う方法などが挙げられるが、ここでの詳しい説明は省略する。
Q0(J)=m・c・T0(K)
QW(J)=m・c・TW(K)
また、図5(a)には、変調時にペルチェ素子14Aに与えた加熱エネルギーを符号W(単位はJ)、変調状態の温度TWと無変調状態の温度T0との差分を符号ΔTとして、下記式の関係、及び加熱エネルギーWが加算されて温度がΔT増加したことが示されている。
QW(J)=Q0(J)+W(J)
m・c=Q0(J)/T0(K)
=QW(J)/TW(K)
更に、加熱エネルギーWに対する応答により生じた温度変化ΔTについても、以下の式が成り立つ。
m・c=W(J)/ΔT(K)
これらの式から、以下のような関係が成り立つ。
Q0(J)/T0(K)=W(J)/ΔT(K)
Q0(J)=T0(K)/ΔT(K)・W(J)
但し、この式には、図2に示した熱伝導路54内の各熱抵抗比が含まれていないため、変調効率を加味する必要がある。更に、変調時にペルチェ素子14Aに与えた加熱エネルギーWは、実際には変調電力(交流電力)であるため、その符号をP(単位はW)とし、加熱エネルギーW(J)と変調電力P(W)との間の変換も考慮して、変調効率を符号ηで表すと以下のような式になる。
Q0(J)=T0(K)/ΔT(K)・P(W)・η(%)
この式は、変調によって変化する温度情報のみで熱源50が有する熱量を推定できることを示し、変調電力P及び変調効率ηが熱コンダクタンス計測システム10に固有の値であれば、熱源50の熱抵抗だけが未知数であることから、この式を元に熱源50の熱コンダクタンスを推定できることを示す。
Rth(℃/W)=ΔT(K)/W(J)
この熱抵抗Rthは、図2の右側に示される熱伝導路54内の全ての熱抵抗を含んでいるため、熱源50の未知の熱抵抗を符号Rrs、計測系に存在する熱抵抗を符号Rseとすると、熱源50の熱抵抗Rrsは以下のように求まる。
Rrs(℃/W)=Rth(℃/W)-Rse(℃/W)
Rth(℃/W)=
(R熱源+R接合材+Rデバイス)×(Rデバイス+R接合材+R冷却源)÷
((R熱源+R接合材+Rデバイス)+(Rデバイス+R接合材+R冷却源))
これは、温度計測点MP点から求めた熱抵抗となり、熱抵抗は、電気回路網で使われるキルヒホッフの第一法則、第二法則(オームの法則)が適用できる。このRthは、熱源側の熱抵抗が直列接続された値すなわち、R熱源+熱源側のR接合材の熱抵抗値+熱源側Rデバイスの合計値とR冷熱源+冷熱源側のR接合材+冷熱源側Rデバイスの合計値の直列値の並列接続となる。電気回路R1とR2の並列抵抗計算式である。
R=(R1×R2)/(R1+R2)で計算できる様にRthは、計算できる。しかし変調デバイスの熱抵抗値Rデバイスは、熱源側、冷熱源側双方に加わっていてその割合は、デバイス固有の値を取るが、ここでは、共通の値として示した為である。
そして、上記のような熱抵抗Rthを構成している熱抵抗のうち、R熱源以外は全て、各々を構成する材料の熱伝導率などが既知であることで、熱抵抗が把握される。このため、算出処理部48は、それらを利用して熱源50の内部の熱抵抗(R熱源)を算出する。
Claims (8)
- 熱源の熱コンダクタンスを計測する方法であって、
一端に冷却源を有する熱伝導路の他端を前記熱源に接続し、
変動する加熱エネルギーを与えることで発熱量が変動するように制御可能な発熱体を前記熱伝導路中に設置し、
前記熱伝導路中の温度を計測して、前記発熱体による発熱の影響を受けているときの第1温度と受けていないときの第2温度とを取得し、
前記第1温度と前記第2温度との差分と、前記第1温度を計測したときの前記加熱エネルギーとに基づいて、前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする熱コンダクタンス計測方法。 - 前記発熱体としてペルチェ素子を利用し、
前記加熱エネルギーとして、前記熱源からの熱流の変動周波数と異なる所定周波数の交流電力を与え、
前記第1温度と前記第2温度との差分の算出結果から、前記所定周波数の周波数成分のデータを抽出し、該抽出結果に基づいて前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする請求項1記載の熱コンダクタンス計測方法。 - 前記熱源の熱コンダクタンスを算出する際に、更に、前記第1温度と前記第2温度との差分と、前記第1温度を計測したときの前記加熱エネルギーとに基づいて、前記熱源から前記熱伝導路までの総合熱抵抗を算出し、該総合熱抵抗に基づいて前記熱源の内部の熱抵抗を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の熱コンダクタンス計測方法。
- 熱源の熱コンダクタンスを計測するシステムであって、
発熱量が変動するように制御可能な発熱体が、熱伝導率が既知の材料で形成された2つの熱伝導媒体で挟持された構成を有し、前記2つの熱伝導媒体のうち一方の熱伝導媒体に対して前記熱源から熱が伝導されるように設置される熱伝導変調部と、
前記熱源よりも低い温度を有し、前記2つの熱伝導媒体のうち他方の熱伝導媒体から熱が伝導されるように設置される冷却源と、
前記発熱体に変動する加熱エネルギーを与えることで、前記発熱体の制御を行う発熱体制御部と、
前記2つの熱伝導媒体の双方或いは何れか一方の所定位置に設定された温度計測点の温度を計測する温度計測部と、
算出処理を行う算出処理部と、を含み、
該算出処理部は、
前記温度計測部の計測結果から、前記発熱体による発熱の影響を受けているときの第1温度と受けていないときの第2温度との差分を算出し、
該差分と前記第1温度が計測されたときの前記加熱エネルギーとに基づいて、前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする熱コンダクタンス計測システム。 - 前記発熱体がペルチェ素子であり、
前記発熱体制御部は、前記加熱エネルギーとして、前記熱源からの熱流の変動周波数と異なる所定周波数の交流電力を与え、
前記算出処理部は、前記第1温度と前記第2温度との差分の算出結果から、前記所定周波数の周波数成分のデータを抽出し、該抽出結果に基づいて前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする請求項4記載の熱コンダクタンス計測システム。 - 前記一方の熱伝導媒体は、前記熱源からの熱の伝導方向に沿って間隔を空けて少なくとも3つの前記温度計測点が設定されており、
前記算出処理部は、前記温度計測部により前記少なくとも3つの温度計測点で計測された温度と、前記少なくとも3つの温度計測点間の間隔とを利用して、前記熱源からの熱流が定常状態であるか否かを判定し、定常状態であると判定した場合に前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする請求項4記載の熱コンダクタンス計測システム。 - 前記一方の熱伝導媒体は、少なくとも1つの前記温度計測点が設定されると共に、前記他方の熱伝導媒体は、少なくとも1つの前記温度計測点が設定されており、
前記算出処理部は、前記温度計測部により前記一方の熱伝導媒体の前記温度計測点で計測された温度と、前記他方の熱伝導媒体の前記温度計測点で計測された温度との大小関係から、前記熱伝導変調部を通過する熱量が正常であるか否かを判定し、正常であると判定した場合に前記熱源の熱コンダクタンスを算出することを特徴とする請求項4記載の熱コンダクタンス計測システム。 - 前記算出処理部は、前記熱源の熱コンダクタンスを算出する際に、更に、前記第1温度と前記第2温度との差分と、前記第1温度が計測されたときの前記加熱エネルギーとに基づいて、前記熱源から、前記熱伝導変調部及び前記冷却源を含む熱伝導路までの総合熱抵抗を算出し、該総合熱抵抗に基づいて前記熱源の内部の熱抵抗を算出することを特徴とする請求項4から7のいずれか1項記載の熱コンダクタンス計測システム。
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