JP7742242B2 - カレーソース及びその製造方法 - Google Patents

カレーソース及びその製造方法

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本発明は、カレーソース及びその製造方法に関し、特に、トマトを使用したカレーソース及びその製造方法に関する。
トマトは、様々な食品に使用されている。カレーソースは、比較的少量のトマトを原料として、加工される場合がある。また、加工時の加熱により、トマトのフレッシュな風味が失われてしまう場合がある。
上記に関連して、例えば、特許文献1(特開2013-135639号公報)の実施例には、トマトペースト35質量%を含み、アスパラギン酸ナトリウムをアスパラギン酸換算量で0.1~1.5質量%添加したトマトケチャップが開示されている。
特開2013-135639号公報
ところで、トマトを含有する食品の一種として、カレーソースがある。本発明者らは、トマトを含有するカレーソースについて、トマト由来のフレッシュな風味を向上させようと検討している。すなわち、本発明の課題は、トマトを含有するカレーソースにおいて、トマトのフレッシュな風味を向上することのできる新たな技術を提供することにある。
本発明者らは、下記の手段により、上記課題が解決できることを見出した。
[1]トマトと、アスパラギン酸と、を含有し、前記アスパラギン酸の含有量が、0.02質量%以上0.13質量%未満である、カレーソース。
[2]可溶性固形分(Brix値)が20%未満である、[1]のカレーソース。
[3]さらに、味噌を含有する、[1]又は[2]のカレーソース。
[4]前記味噌の含有量が、タンパク質量に換算して、0.05~10質量%である、[3]のカレーソース。
[5]さらに、油脂を含有する、[1]~[4]のいずれかのカレーソース。
[6]前記トマトが、生鮮トマト、トマトピューレ、トマトペースト、トマトジュース、ダイストマト、ホールトマト、これらの乾燥物及び濃縮物のいずれかを原料とするものである、[1]~[5]のいずれかのカレーソース。
[7]レトルト食品である、[1]~[6]のいずれかのカレーソース。
[8]トマトと、アスパラギン酸とを含有し、アスパラギン酸の含有量が0.02質量%以上0.13質量%未満であるカレーソースを、密封加熱処理する工程を備える、カレーソースの製造方法。
本発明によれば、トマトのフレッシュな風味が向上したカレーソース及びその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るカレーソースは、トマトと、アスパラギン酸とを含有する。アスパラギン酸の含有量は、0.02質量%以上0.13質量%未満である。このような構成を採用することによって、トマトのフレッシュな風味が向上したカレーソースを得ることができる。
(カレーソース)
本実施形態に係るカレーソースは、トマトを原料として得られるカレーソースであればよく、特に限定されない。カレーソースとしては、例えば、カレーパウダー等のスパイスと、植物原料や澱粉や小麦粉と、油脂(バターが好ましい)と、必要によりブイヨン等とを含む混合物を煮込み、植物の素材感や粘性を付与したものが挙げられる。本発明の効果を達成する上で、澱粉などの小麦粉以外の原料で、カレーソースの物性を調整し、小麦粉を使用しないことが望ましい。
好ましい一態様において、カレーソースは、密閉状態で加熱処理された食品、例えば、レトルト食品である。密閉状態で加熱処理された食品として、好ましくは、容器に密閉された加熱(又は加圧)殺菌済みの食品が挙げられる。
本実施形態に係るカレーソースに含まれるトマトは、いずれの形態のものを原料としたものであってよい。すなわち、生のトマトを原料としてもよいし、加熱、乾燥及び濃縮などの加工がなされて調製されたトマト加工物が原料として用いられてもよい。原料となるトマトとして、例えば、生鮮トマト、トマトピューレ、トマトペースト、トマトジュース、ダイストマト、ホールトマト、これらの乾燥物及び濃縮物などが挙げられる。
トマトは、繊維状、粒状等の微細な形態として、例えば、粉砕物の形態で含まれるのがよい。大きさは限定されないが、例えば、目開き5000μm、好ましくは3000μmのメッシュを通過するような粒度のものがよい。
カレーソース中のトマト含有量は、生換算で、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上である。上限に制限はないが、例えば90質量%以下である。本実施形態によれば、所定量のアスパラギン酸が含まれているので、トマト含有量が、40質量%以下、好ましくは30質量%以下の比較的少量でも、トマトのフレッシュな風味を向上させることができる。
尚、本明細書において、トマト含有量は、カレーソースが具材を含む場合には、具材を除いた液状部分を基準とした含量を指す。以下の説明における他の各成分の含有量も同様である。
(アスパラギン酸)
上記の通り、カレーソースには、トマトのフレッシュな風味を向上させるために、アスパラギン酸が含有されている。カレーソース中のアスパラギン酸の含有量(総量)は、0.02質量%以上、0.13質量%未満、好ましくは0.03~0.12質量%、さらに好ましくは0.04~0.1質量%である。このような範囲であれば、アスパラギン酸による味覚への影響を極限に抑えて、トマトのフレッシュな風味を、向上させることができる。
尚、本明細書において、「アスパラギン酸」とは、「L-アスパラギン酸」を指す。
カレーソース中のアスパラギン酸の総量は、以下の方法により、測定される。本明細書の記載において、カレーソースに含まれるアスパラギン酸の含有量は、全て以下の方法により測定された値による。
[装置]
Thermo Fisher Scientific社『LCMS装置(LC-orbitrapVelosMS)』
[方法]
10mgのアスパラギン酸を超純水で10mLに定容する。うち500uLにメタノール500uLを添加し、500ppmのアスパラギン酸溶液を作成する。さらに500uLを500uLの50(v/v)%メタノールで2倍に希釈する。同じ要領で2倍ずつ段階希釈し、最大1024倍まで希釈する。各濃度のアスパラギン酸溶液について、250uLを0.2umのフィルターに通し、検量線溶液とする。
試料(カレーソース)0.5gを秤量し、50(v/v)%メタノールで15mLに定容し、十分に懸濁させる。3500rpmで10分間遠心した後、上清500uLをプラスチックチューブに採取する。500uLの50(v/v)%メタノールを加えて2倍に希釈した後、500uLを3Kカットの限外ろ過カラムに供す。15000rpmで10分間遠心し、得られたろ過液のうち250uLを0.2umのフィルターに通し、検液とする。
得られた検量線溶液及び検液を、以下の条件でLC-MS分析を行う。[Asp+H]+ に相当するm/z 134.04479±5ppmのMSクロマトグラムを抽出し、保持時間10.8~10.9分に検出されるピークの面積値を算出する。検量線より得られた最終検液の濃度から、最初に試料を定容した時点でのアスパラギン酸含量を算出し、採取した試料の重量で除することにより、試料中のアスパラギン酸の質量/質量%の値を得る。
[分析条件]
LC条件:
注入量:5μL
カラム:Discovery HS F5-5、粒径5μm、長さ25cm×内径4.6mm
カラム温度:40℃
溶媒条件:A/B=100/0(0-15min)→70/30(35min)→50/50(40~62min)→0/100(70-80min)
A液:0.1%ギ酸水溶液
B液:アセトニトリル
MS条件:
極性:ポジティブ
モード:Scan(m/z50-1000)
分解能:30,000
ddMS:Top1、MS3(分解能7,500)
アスパラギン酸は、通常、トマトにも含まれている。従って、カレーソースに含まれるアスパラギン酸の少なくとも一部は、トマトに由来する。
但し、本実施形態では、トマト由来のアスパラギン酸だけではなく、トマト以外の原料を由来とするアスパラギン酸が追加されていることが好ましい。追加のアスパラギン酸が含まれていることにより、トマトのフレッシュな風味がより向上する。
追加のアスパラギン酸は、例えば、アスパラギン酸又はその塩(例えばナトリウム塩)そのものを添加することにより、カレーソースに含有させることができる。あるいは、アスパラギン酸を含有するトマト以外の食品原料を使用することにより、追加のアスパラギン酸を含有させることができる。
好ましくは、カレーソースには、アスパラギン酸ナトリウムを原料とするアスパラギン酸が含まれている。
(味噌)
カレーソースは、好ましくは、味噌を含む。味噌としては、特に限定されるものではなく、米味噌、豆味噌、及び麦味噌などを用いることができる。好ましくは、米味噌である。
原料時点での味噌の形態は、特に限定されず、液状、ペースト状、粉末状、及び顆粒状の味噌のいずれを用いてもよい。
カレーソース中の味噌の含有量は、タンパク質量に換算して、例えば0.05~10質量%、好ましくは0.05~5質量%である。このよう範囲であれば、味噌による味覚への影響を抑えることができる。また、味噌、トマト、及びアスパラギン酸の相互作用により、トマトのフレッシュな風味が向上されるという効果が得られる。
好ましい一態様においては、味噌として、アスパラギン酸を含むものが用いられる。すなわち、カレーソース中に含まれるアスパラギン酸の少なくとも一部は、味噌に由来する。
(油脂)
カレーソースは、好ましくは、油脂を含有する。油脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、植物油脂(菜種油、大豆油、コーン油、オリーブオイル、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、サフラワー油、パーム油、及び米油等)、動物油脂(牛脂(ヘット)、豚脂(ラード)、魚油、バター、ギー等)、及び加工油脂(ジアシルグリセロール、マーガリン等)が挙げられる。
好ましい一態様では、カレーソースは、油脂を含む生クリームを原料とする。
カレーソース中の油脂の含有量は、例えば0.5~30質量%、好ましくは5~20質量%である。
(スパイス;香辛料)
カレーソースは、スパイスを含む。スパイスとしては、カレー風味として、カレーパウダー等の混合スパイスを含む。カレーパウダーの含有量は、例えば、0.2~15質量%、好ましくは0.5~10質量%である。
また、好ましくは、スパイスとして、カルダモンが用いられる。カルダモンは、学名Elettaria cardamomum Maton.で、ショウガ科(Zingiberaceae)の多年生草で、その近縁種も含む。カルダモンとしては、種子の乾燥品、これらを適宜細かくした粉末等の形態で使用してもよいし、油脂又は有機溶媒による抽出物の形態で使用してもよい。抽出溶媒としては、アルコールやヘキサン、アセトン等の有機溶媒を用いることが好ましい。カルダモンの抽出物としては、市販のカルダモンオイル等を使用できる。
カレーソース中のカルダモンの含有量は、例えば、乾燥物である場合は0.01~0.5重量%、好ましくは0.1~0.3重量%である。カルダモンが抽出物である場合には、カルダモンの含有量は、例えば0.001~0.2重量%である。
カルダモンを使用することにより、トマトのフレッシュな風味がより維持されやすくなる。
カレーソースには、カルダモン以外のスパイスが含まれていてもよい。他のスパイスとしては、例えば、クローブ、ナツメグ、フェヌグリーク、ローレル、フェンネル、コリアンダー、クミン、キャラウェー、タイム、セージ、陳皮、胡椒、唐辛子、マスタード、ジンジャー、ターメリック、及びパプリカからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
(pH)
カレーソースのpHは、例えば4.5~5.5、好ましくは4.7~5.3である。上記の範囲のpHとすることで、トマトのフレッシュな風味がより引き立つ。
(Brix)
カレーソースのBrix値は、例えば20%未満、好ましくは10%以上20%未満である。
Brix値は、例えば、市販の糖用屈折計を用いて求めることができ、具体的には、屈折率を、20℃のショ糖溶液の質量百分率濃度(w/w%)に換算した値として求めることができる。
(その他)
カレーソースには、必要に応じて、他の食品原料が含まれていてもよい。他の食品原料としては、例えば、穀類、増粘材類、及び具材などが挙げられる。穀類としては、小麦、コーン、馬鈴薯、米、等が挙げられる。増粘材類としては、澱粉類として小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉等の澱粉やそれらを加工した加工澱粉が挙げられる。また、増粘多糖類などが挙げられる。具材としては、例えば、野菜類、豆類、穀類、果物類、肉類、魚介類等を挙げることができる。これらの具材の処理方法については、各具材について従来知られている方法を採用すればよい。
(製造方法)
本実施形態に係るカレーソースの製造方法は、トマトと、アスパラギン酸とを含有し、アスパラギン酸含有量が0.02質量%以上0.13質量%未満であるカレーソースを、密封加熱処理する工程を備える。具体的には、トマトと、所定量のアスパラギンとを、必要に応じて必要に応じて他の成分ととともに混合する。好ましくは、加熱混合する。混合後、混合物を容器に充填し、密封する。密封後、加熱処理を行う。これにより、カレーソースが得られる。
この方法によれば、カレーソースには、トマトと所定量のアスパラギン酸とが使用されているため、トマトのフレッシュな風味が向上される。
以下に、本発明をより詳細に説明するため、実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されて解釈されるべきものではない。
(実施例1~5、比較例1~3)
表1及び表2に示す組成に従って、実施例1~5及び比較例1~3に係るレトルトカレー(カレーソース)を調製した(尚、参照のため、実施例1の組成は表1及び表2の両方に記載されている)。具体的には、表1及び2に示す原料を、品温約90℃に達温させて、加熱混合し、バターチキンカレー用のソースを得た。得られたソースを鶏肉と混合し、バターチキンカレーを得た。得られたバターチキンカレーを容器に密封し、加圧加熱処理(レトルト処理)を実施した。
尚、表1及び2において、原料そのものの質量を示す。トマトペーストが1質量%の場合、生換算量で約5質量%のトマトが含まれる。米味噌が1質量%である場合、タンパク質換算での米味噌の量は約0.1質量%である。また、製品中のアスパラギン酸含有量の数値は、既述の方法を用いて測定した、バターチキンカレーソース中の、アスパラギン酸の総量を示す。
尚、各バターチキンカレーのBrix値は、いずれも20%未満であった。pHは、いずれも5.0であった。生クリームとしては、油脂を40質量%含有するものを使用した。
続いて、調製したバターチキンカレーの加圧加熱処理(レトルト処理)前後の風味を官能評価により評価した。具体的には、「トマトのフレッシュな風味」について、評価した。官能評価にあたっては、専門のパネラー10名によって、下記の評価基準を用いて4段階で評価し、平均値を結果とした。
(トマトのフレッシュな風味)
◎:加圧加熱処理の前後とも、トマト果実のフレッシュな甘酸っぱさの軽やかな風味を強く感じる。
〇:◎に比べて弱いが、加圧加熱処理の前後とも、トマト果実のフレッシュな風味を感じる。
△:〇に比べて弱いが、加圧加熱処理の前後とも、トマト果実のフレッシュな風味を感じる
×:加圧加熱処理の前に、トマト果実のフレッシュな風味をあまり感じないか、感じず、加圧加熱処理後は、過加熱時のような、重たい風味となる。
(考察)
表1及び表2に結果を示す。
実施例1~5は、比較例1~3に比べて、加圧加熱処理前後において、トマトのフレッシュな風味が向上していた。従って、トマトと、所定量のアスパラギン酸とを含有させることにより、トマトのフレッシュな風味が向上できることが確認された。同時に、トマトと、味噌と、アスパラギン酸とを含有し、所定量のアスパラギン酸を含有させることによっても、トマトのフレッシュな風味が向上できることが確認された。

Claims (7)

  1. トマトと、
    アスパラギン酸と、
    味噌と、
    を含有し、
    前記トマトの含有量が、生換算で、5質量%以上であり、
    前記アスパラギン酸の含有量が、0.03質量%以上0.12質量%以下である、
    カレーソース。
  2. 可溶性固形分(Brix値)が20%未満である、請求項1のカレーソース。
  3. 前記味噌の含有量が、タンパク質量に換算して、0.05~10質量%である、請求項1又は2のカレーソース。
  4. さらに、油脂を含有する、請求項1~のいずれかのカレーソース。
  5. 前記トマトが、生鮮トマト、トマトピューレ、トマトペースト、トマトジュース、ダイストマト、ホールトマト、これらの乾燥物及び濃縮物のいずれかを原料とするものである、請求項1~のいずれかのカレーソース。
  6. レトルト食品である、請求項1~のいずれかのカレーソース。
  7. 生換算で5質量%以上のトマトと、アスパラギン酸と、味噌とを含有し、さらにアスパラギン酸又はその塩を添加してアスパラギン酸の含有量が0.03質量%以上0.12質量%以下であるように調整したカレーソースを、密封加熱処理する工程を備える、カレーソースの製造方法。
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