JP7742584B2 - 固体電解質組成物、固体電解質材料および固体電解質組成物の製造方法 - Google Patents

固体電解質組成物、固体電解質材料および固体電解質組成物の製造方法

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Description

本開示は、固体電解質組成物、固体電解質材料および固体電解質組成物の製造方法に関する。
特許文献1には、硫化物固体電解質を用いた固体電解質組成物が開示されている。
国際公開第2018/168505号
固体電解質を使用するとき、例えば、固体電解質を粉砕するとき、固体電解質は、有機溶媒と混合されることがある。このとき、固体電解質のイオン伝導度が低下することがある。そのため、固体電解質のイオン伝導度の低下を抑制することが望まれている。
本開示は、
Li、M1、O、およびX1を含む固体電解質と、
M2およびX2を含むハロゲン化物と、
有機溶媒と、
を含み、
ここで、
M1は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
M2は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
X1は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つであり、
X2は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである、固体電解質組成物を提供する。
本開示によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下を抑制するのに適した固体電解質組成物を提供できる。
図1は、固体電解質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図2は、固体電解質材料のリチウムイオン伝導度の評価方法を示す模式図である。
(本開示の基礎となった知見)
従来、高エネルギー密度化と大容量化が求められる二次電池の分野では、有機溶媒に電解質塩を溶解させた有機電解液を用いることが主流である。有機電解液を用いる二次電池では、液漏れの懸念があり、短絡等が生じた場合の発熱量が大きくなる可能性も指摘されている。
一方、有機電解液の代わりに無機固体電解質を用いる全固体二次電池が注目されつつある。全固体二次電池は、液漏れを起こさない。無機固体電解質が可燃性を有さないため、短絡等が生じた場合の発熱も抑制されると期待されている。
全固体二次電池に用いる無機固体電解質として、硫黄を主成分として含む硫化物系固体電解質と、金属酸化物を主成分として含む酸化物系固体電解質とが知られている。しかし、硫化物系固体電解質は、水分と反応した場合に毒性を有する硫化水素を発生させることがある。酸化物系固体電解質のイオン伝導度は低い。そのため、高いイオン伝導度を有する新たな固体電解質の開発が望まれている。
新たな固体電解質として、例えば、リチウム元素と、タンタル元素と、酸素元素と、少なくとも1種のハロゲン元素とを含む、オキシハライド系固体電解質が期待されている。オキシハライド系固体電解質とは、酸素元素およびハロゲン元素を含む固体電解質を意味する。
全固体二次電池を実用化するためには、固体電解質を含む流動性を有する組成物を調製し、電極または集電体の表面に塗布して固体電解質層を形成する技術が必要である。また、固体電解質層を薄層化するためには、固体電解質を数μmオーダーに微粒子化する技術も必要となる。
固体電解質を微粒子化するために、固体電解質は、有機溶媒と混合されて粉砕されることがある。
そこで、本発明者らは、リチウムイオン伝導度を指標として、有機溶媒を用いた湿式法によるオキシハライド系固体電解質の微粉化の実現性を検討した。その結果、有機溶媒を用いた湿式法によってオキシハライド系固体電解質を粉砕すると、オキシハライド系固体電解質のリチウムイオン伝導度が粉砕前に比べて大幅に低下する場合があることが判明した。同様の現象は、粉砕を行わない場合、すなわち、固体電解質組成物を所定形状に成形して有機溶媒を除去する場合にも起こる可能性がある。以上の着眼点から、本開示の構成が得られた。
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る固体電解質組成物は、
Li、M1、O、およびX1を含む固体電解質と、
M2およびX2を含むハロゲン化物と、
有機溶媒と、
を含み、
ここで、
M1は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
M2は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
X1は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つであり、
X2は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。
以上の構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下を抑制するのに適した固体電解質組成物を提供することができる。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る固体電解質組成物では、X1は、Clを含んでいてもよい。Clを含むことによって、高いイオン伝導度を有する固体電解質が提供されうる。
本開示の第3態様において、例えば、第1または第2態様に係る固体電解質組成物では、M1は、Taを含んでいてもよい。Taを含むことによって、高いイオン伝導度を有する固体電解質が提供されうる。
本開示の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つに係る固体電解質組成物では、前記固体電解質は、LiTaOCl4を含んでいてもよい。LiTaOCl4は、本開示の技術を適用するのに適している。
本開示の第5態様において、例えば、第1から第4態様のいずれか1つに係る固体電解質組成物では、X2は、Clを含んでいてもよい。このような構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下が効果的に抑制されうる。
本開示の第6態様において、例えば、第1から第5態様のいずれか1つに係る固体電解質組成物では、M2は、Taを含んでいてもよい。このような構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下が効果的に抑制されうる。
本開示の第7態様において、例えば、第1から第6態様のいずれか1つに係る固体電解質組成物では、前記ハロゲン化物は、TaCl5を含んでいてもよい。TaCl5によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下が効果的に抑制されうる。
本開示の第8態様において、例えば、第1から第7態様のいずれか1つに係る固体電解質組成物では、M1は、M2と同一であってもよい。この場合、ハロゲン化物の構成元素であるM2は、固体電解質組成物から有機溶媒を除去して作製される固体電解質材料に悪影響を及ぼしにくい。
本開示の第9態様において、例えば、第1から第8態様のいずれか1つに係る固体電解質組成物では、X1は、X2と同一であってもよい。この場合、ハロゲン化物の構成元素であるX2は、固体電解質組成物から有機溶媒を除去して作製される固体電解質材料に悪影響を及ぼしにくい。
本開示の第10態様において、例えば、第1から第9態様のいずれか1つに係る固体電解質組成物では、前記有機溶媒は、ハロゲン基を有する化合物および炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。これらは、固体電解質組成物の溶媒として適している。
本開示の第11態様において、例えば、第1から第10態様のいずれか1つに係る固体電解質組成物では、前記有機溶媒は、テトラリン、エチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、キシレン、クメン、1,2,4-トリクロロベンゼン、クロロベンゼン、2,4-ジクロロベンゼン、o-クロロトルエン、1,3-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、1,2-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロブタン、2,4-ジクロロトルエン、3,4-ジクロロトルエン、およびペンタンからなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。これらの有機溶媒に対する酸素元素とハロゲン元素を含む固体電解質の分散性は良好である。
本開示の第12態様において、例えば、第1から第11態様のいずれか1つに係る固体電解質組成物では、前記固体電解質の質量および前記ハロゲン化物の質量の合計に対する前記ハロゲン化物の質量の比は、1%以上かつ50%以下であってもよい。このような構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下が効果的に抑制されうる。
本開示の第13態様において、例えば、第12態様に係る固体電解質組成物では、前記比は、10%以上かつ50%以下であってもよい。当該比が50%以下であれば、固体電解質材料がより高いイオン伝導度を有しうる。
本開示の第14態様に係る固体電解質材料は、
Li、M1、O、およびX1を含む固体電解質と、
M2およびX2を含むハロゲン化物と、
を含み、
ここで、
M1は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
M2は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
X1は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つであり、
X2は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。
上記の固体電解質材料は、固体電解質の本来のイオン伝導度を発揮しうる。
本開示の第15態様に係る固体電解質組成物の製造方法は、
第1から第13態様のいずれか1つに記載の固体電解質組成物の製造方法であって、
ハロゲン化物を含む原料を用いて固体電解質を合成することと、
前記固体電解質、前記ハロゲン化物、および有機溶媒を混合して固体電解質組成物を調製することと、
を含む。
以上の構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下を抑制するのに適した固体電解質組成物を提供することができる。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
(第1実施形態)
第1実施形態において、固体電解質組成物は、固体電解質、ハロゲン化物、および有機溶媒を含む。固体電解質は、Li、M1、O、およびX1を含む。M1は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つである。X1は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。固体電解質は、いわゆるオキシハライド系固体電解質である。ハロゲン化物は、M2およびX2を含む。M2は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つである。X2は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである。
以上の構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下を抑制するのに適した固体電解質組成物を提供することができる。例えば、固体電解質組成物を用いた湿式粉砕によって固体電解質を粉砕した後、有機溶媒を除去した場合でも、固体電解質の本来のイオン伝導度を十分に発揮しうる固体電解質材料を得ることができる。固体電解質材料は、粉体であってもよく、固体電解質シートであってもよい。
固体電解質組成物は、ペースト状であってもよく、分散液の状態であってもよい。固体電解質組成物において、固体電解質の粒子および/または塊は、有機溶媒と混ぜ合わされている。固体電解質組成物の粘度は、適宜調整されうる。例えば、スプレー法のような方法で塗布が行われる場合、固体電解質組成物の粘度は比較的低い。ドクターブレード法のような方法で塗布が行われる場合、固体電解質組成物の粘度は比較的高い。固体電解質の粒子または塊の粉砕が目的である場合、固体電解質組成物の粘度は、粉砕方法に応じて適宜調整されうる。
(固体電解質)
固体電解質は、Li、M1、O、およびX1を含む。固体電解質において、X1は、Clを含んでいてもよい。X1は、Clであってもよい。Clを含むことによって、高いイオン伝導度を有する固体電解質が提供されうる。
固体電解質において、M1は、Taを含んでいてもよい。M1は、Taであってもよい。Taを含むことによって、高いイオン伝導度を有する固体電解質が提供されうる。
固体電解質は、Li、M1、O、およびX1のみからなっていてもよい。固体電解質は、LiTaOCl4を含んでいてもよく、LiTaOCl4であってもよい。LiTaOCl4は、高いイオン伝導度を示す一方、湿式処理によってイオン伝導度の低下を示す傾向にある。そのため、LiTaOCl4は、本開示の技術を適用するのに適している。
本明細書において、「のみからなる」の語句は、不可避不純物を除き、他の成分が意図的に添加されていないことを意味する。
固体電解質は、硫黄(S)を含んでいなくてもよい。この場合、硫化水素の発生が防止される。
固体電解質は、単一の組成を有する1種のオキシハライド系固体電解質であってもよく、互いに異なる組成を有する2種以上のオキシハライド系固体電解質の混合物であってもよい。
固体電解質の形状は、特に限定されない。固体電解質の形状は、粒子状であってもよい。粒子状の例は、針状、球状、または楕円球状である。固体電解質の形状は、塊状であってもよい。固体電解質は、ペレットまたは板の形状を有してもよい。
固体電解質は、例えば、メカノケミカルミリング法によって作製される。具体的には、複数の種類の原料粉を混合する。所望の組成を有する固体電解質が得られるように、複数の種類の原料粉の混合比率を調整する。その後、遊星型ボールミルのような混合装置を用いて原料粉を互いに反応させて反応物を得る。真空中または不活性雰囲気中で反応物を焼成してもよい。これにより、所望の組成を有する固体電解質が得られる。
(ハロゲン化物)
ハロゲン化物は、M2およびX2を含む。X2は、Clを含んでいてもよい。このような構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下が効果的に抑制されうる。X2は、Clであってもよい。
M2は、Taを含んでいてもよい。このような構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下が効果的に抑制されうる。M2は、Taであってもよい。
ハロゲン化物は、M2およびX2のみからなっていてもよい。ハロゲン化物は、TaCl5を含んでいてもよく、TaCl5であってもよい。TaCl5によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下が効果的に抑制されうる。
固体電解質の組成におけるM1は、ハロゲン化物の組成におけるM2と同一であってもよい。つまり、M1がTaであるとき、M2もTaである。この場合、ハロゲン化物の構成元素であるM2は、固体電解質組成物から有機溶媒を除去して作製される固体電解質材料に悪影響を及ぼしにくい。
固体電解質の組成におけるX1は、ハロゲン化物の組成におけるX2と同一であってもよい。つまり、X1がClであるとき、X2もClである。この場合、ハロゲン化物の構成元素であるX2は、固体電解質組成物から有機溶媒を除去して作製される固体電解質材料に悪影響を及ぼしにくい。
ハロゲン化物は、M2とは別のカチオンを少なくとも1つ含んでいてもよい。別のカチオンとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Sn、Al、Sc、Ga、Bi、Sb、Zr、Hf、Ti、Ta、Nb、W、Y、Gd、Tb、Smなどが挙げられる。
ハロゲン化物は、X2とは別のアニオンを含んでいてもよい。
ハロゲン化物は、単一の組成を有する1種の化合物であってもよく、互いに異なる組成を有する2種以上の化合物の混合物であってもよい。
ハロゲン化物は、結晶質であってもよく、非晶質であってもよい。
ハロゲン化物の形状は、特に限定されない。ハロゲン化物の形状は、粒子状であってもよい。粒子状の例は、針状、球状、または楕円球状である。ハロゲン化物は、ペレットまたは板の形状を有してもよい。固体電解質組成物において、ハロゲン化物は、粒子の形状を維持して有機溶媒に分散していてもよい。
固体電解質の質量およびハロゲン化物の質量の合計に対するハロゲン化物の質量の比は、1%以上かつ50%以下であってもよい。このような構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下が効果的に抑制されうる。固体電解質組成物における当該比は、既知の化学分析方法によって特定されうる。例えば、ハロゲン化物が結晶質である場合、X線回折分析によって質量比が算出されうる。ハロゲン化物が非晶質である場合、ICP発光分光分析のような組成分析によって質量比が算出されうる。
当該比は、10%以上かつ50%以下であってもよい。当該比が50%以下であれば、固体電解質材料がより高いイオン伝導度を有しうる。当該比の下限は5%であってもよい。当該比の上限は20%であってもよい。
当該比の適切な範囲は、1%、5%、10%、20%、および50%から選ばれる下限および上限の組み合わせによって規定されてもよい。
固体電解質がリチウムを有するのに対し、ハロゲン化物はリチウムを有していなくてもよい。固体電解質がリチウムイオン伝導性を有するのに対し、ハロゲン化物はリチウムを有していなくてもよい。両者はこれらの相違点も有する。
ハロゲン化物は、オキシハライド系固体電解質の合成に使用した原料と同一の化合物であってもよい。例えば、メカノケミカルミリングなどの方法によって、ハロゲン化物を含む原料を用いてオキシハライド系固体電解質を合成する。この合成のときに使用したハロゲン化物、合成したオキシハライド系固体電解質、および有機溶媒を混合して固体電解質組成物を調製することができる。このような構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下を抑制するのに適した固体電解質組成物が得られる。固体電解質の原料に含まれたハロゲン化物は、得るべき固体電解質材料に影響を及ぼしにくい。
(有機溶媒)
有機溶媒は、ハロゲン基を有する化合物および炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。これらは、固体電解質組成物の溶媒として適している。
炭化水素は、炭素および水素のみからなる化合物である。炭化水素は、脂肪族炭化水素であってもよい。炭化水素は、飽和炭化水素であってもよく、不飽和炭化水素であってもよい。炭化水素は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。炭化水素に含まれる炭素の数は、特に限定されず、7以上であってもよい。炭化水素を使用することによって、分散性に優れた固体電解質組成物を得ることができる。
炭化水素は、環構造を有していてもよい。環構造は、脂環式炭化水素であってもよく、芳香族炭化水素であってもよい。環構造は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。炭化水素が環構造を有することによって、オキシハライド系固体電解質は、有機溶媒に容易に分散しうる。固体電解質組成物におけるオキシハライド系固体電解質の分散性を高める観点から、炭化水素は、芳香族炭化水素を含んでいてもよい。炭化水素は、芳香族炭化水素であってもよい。
ハロゲン基を有する化合物は、ハロゲン基以外の部分が炭素および水素のみからなっていてもよい。すなわち、ハロゲン基を有する化合物は、炭化水素に含まれる水素原子の少なくとも1つをハロゲン基に置換した化合物を意味する。ハロゲン基として、F、Cl、Br、およびIが挙げられる。ハロゲン基を有する化合物は、高い極性を有しうる。ハロゲン基を有する化合物に含まれるハロゲン基の数は、特に限定されない。当該ハロゲン基の数は、例えば1つであってもよい。有機溶媒は、オキシハライド系固体電解質を分散しうる液体でありうる。有機溶媒は、オキシハライド系固体電解質を溶解させなくてもよい。
以上の構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下を抑制するのに適した固体電解質組成物を提供することができる。
ハロゲン基を有する化合物に含まれる炭素の数は、特に限定されず、7以上であってもよい。この場合、ハロゲン基を有する化合物の揮発性が低下するので、固体電解質組成物を安定して製造できる。ハロゲン基を有する化合物は、大きい分子量を有しうる。すなわち、ハロゲン基を有する化合物は、高い沸点を有しうる。
ハロゲン基を有する化合物は、環構造を有していてもよい。環構造は、脂環式炭化水素であってもよく、芳香族炭化水素であってもよい。環構造は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。ハロゲン基を有する化合物が環構造を有することによって、オキシハライド系固体電解質は、ハロゲン基を有する化合物に容易に分散しうる。ハロゲン基を有する化合物は、芳香族炭化水素を含んでいてもよい。ハロゲン基を有する化合物は、芳香族化合物であってもよい。
ハロゲン基を有する化合物は、官能基として、ハロゲン基のみを有していてもよい。この場合、ハロゲン基を有する化合物に含まれるハロゲンの数は、特に限定されない。ハロゲンとして、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1種が用いられてもよく、複数種が用いられてもよい。このような化合物を使用することによって、オキシハライド系固体電解質は容易に分散しうるため、分散性に優れた固体電解質組成物を得ることができる。その結果、固体電解質組成物は、優れたリチウムイオン伝導度を有し、かつ、より緻密な固体電解質材料を形成しうる。このような化合物を使用することによって、固体電解質組成物は、例えば、ピンホール、凹凸等の少ない緻密な固体電解質シートを容易に形成しうる。
ハロゲン基を有する化合物は、ハロゲン化炭化水素であってもよい。ハロゲン化炭化水素は、炭化水素に含まれているすべての水素がハロゲン基に置換された化合物を意味する。ハロゲン化炭化水素を使用することによって、オキシハライド系固体電解質は容易に分散しうるため、分散性に優れた固体電解質組成物を得ることができる。その結果、固体電解質組成物は、優れたリチウムイオン伝導度を有し、かつ、より緻密な固体電解質材料を形成しうる。ハロゲン化炭化水素を使用することによって、固体電解質組成物は、例えば、ピンホール、凹凸等の少ない緻密な固体電解質シートを容易に形成しうる。
有機溶媒は、例えば、テトラリン、エチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、キシレン、クメン、1,2,4-トリクロロベンゼン、クロロベンゼン、2,4-ジクロロベンゼン、o-クロロトルエン、1,3-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、1,2-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロブタン、3,4-ジクロロトルエン、およびペンタンからなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。これらの有機溶媒に対する酸素元素とハロゲン元素とを含む固体電解質の分散性は良好である。すなわち、オキシハライド系固体電解質が有機溶媒に容易に分散しうる。
以上の構成によれば、固体電解質のイオン伝導度の低下を抑制するのに適した固体電解質組成物を提供することができる。
有機溶媒の沸点は、特に限定されず、100℃以上250℃以下であってもよい。有機溶媒は、常温(25℃)で液体であってもよい。このような有機溶媒は、常温で揮発しにくいため、固体電解質組成物を安定して製造できる。有機溶媒は、乾燥によって容易に除去されうる。有機溶媒は、オキシハライド系固体電解質を分散しうる液体でありうる。
ハロゲン化物も有機溶媒に分散されうる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態が説明される。第1実施形態において説明された事項は、適宜、省略され得る。
第2実施形態は、第1実施形態による固体電解質組成物から有機溶媒を除去することにより得られる固体電解質材料に関する。固体電解質材料は、粉体のような不定形の材料であってもよく、固体電解質シートのような定形性を有する材料であってもよい。
第2実施形態による固体電解質材料は、固体電解質およびハロゲン化物を含む。固体電解質材料は、固体電解質の本来のイオン伝導度を発揮しうる。固体電解質およびハロゲン化物については、第1実施形態で説明した通りである。
固体電解質材料は、例えば、2.0mS/cm以上の高いリチウムイオン伝導度を有する。
固体電解質材料は、充放電特性に優れた電池に使用されうる。電池は、例えば、全固体電池である。全固体電池は、一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。
固体電解質材料は、以下に説明する方法によって製造されうる。
図1は、固体電解質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。図1に示す製造方法は、調合工程S01、微粒子化工程S02および除去工程S03を含む。しかし、これらの工程は必須ではない。例えば、調合工程S01を経て得られた固体電解質組成物を用いて固体電解質シートを作製してもよい。
調合工程S01は、材料を混合して固体電解質組成物を得る工程である。調合工程S01において、固体電解質、ハロゲン化物、および有機溶媒が混合される。このようにして、固体電解質組成物が得られる。調合工程S01において、混合の方法は、特に限定されない。固体電解質、ハロゲン化物、および有機溶媒のそれぞれの比率は、適宜調整されうる。
調合工程S01の後に、微粒子化工程S02が実施されうる。
微粒子化工程S02は、固体電解質を粉砕して微粒子化する工程である。微粒子化工程S02では、例えば、固体電解質組成物と粉砕用メディアとを容器に入れ、当該容器を回転させることによって粉砕が行われる。このような粉砕方法は、ロールミル、ポットミル、または遊星型ボールミルを用いる方法である。あるいは、ローター付きの粉砕室に粉砕用メディアを入れ、ローターを高速で回転させ、粉砕室に固体電解質組成物を通過させることによって粉砕が行われてもよい。このような粉砕方法は、例えば、ビーズミルを用いる方法である。粉砕後の混合物から粉砕用メディアを取り除くために、ふるいなどが用いられてもよい。粉砕条件は、粉砕機に応じて適切に設定されうる。
粉砕用メディアの形状は、例えば、球形または俵型である。粉砕用メディアのサイズは、粉砕後の固体電解質の粒径に影響する。例えば、直径1.0mm以下の球状の粉砕用メディアを用いることが望ましい。
除去工程S03は、例えば、微粒子化工程S02の後に実施される。
除去工程S03は、固体電解質組成物から有機溶媒を除去する工程である。
有機溶媒は、例えば、減圧乾燥により固体電解質組成物から除去されてもよい。
減圧乾燥は、大気圧よりも低い圧力雰囲気中で固体電解質組成物から有機溶媒を除去することを意味する。大気圧よりも低い圧力雰囲気は、例えば、ゲージ圧で-0.01MPa以下の圧力の雰囲気である。減圧乾燥は、真空乾燥であってもよい。真空乾燥は、例えば、有機溶媒の沸点よりも20℃低い温度での蒸気圧以下の圧力で有機溶媒を除去することを意味する。減圧乾燥の際、例えば、50℃以上かつ250℃以下の雰囲気温度で固体電解質組成物を加熱して乾燥させてもよい。
除去工程S03では、不活性ガスの雰囲気で固体電解質組成物を加熱することにより、固体電解質組成物から有機溶媒を除去してもよい。不活性ガスを流しながら加熱を行ってもよい。不活性ガスの例は、窒素またはアルゴンである。加熱の際の雰囲気温度は、例えば、50℃以上かつ250℃以下である。
有機溶媒の存在は、例えば、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、X線光電子分光法(XPS)、ガスクロマトグラフィー(GC)、またはガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)によって確認できる。
以上の工程を経て、第2実施形態による固体電解質材料が得られる。
以下、実施例を参照しながら、本開示の詳細が説明される。
<実施例1>
(固体電解質組成物の調製)
3.96gのLiTaOCl4、0.04gのTaCl5、および16gのp-クロロトルエンを遊星ボールミルの粉砕用ポットに入れ、スパチュラで軽く攪拌した。このようにして、実施例1による固体電解質組成物を得た。以下において、LiTaOCl4を「LTOC」と記載する。
(微粒子化工程)
上記の遊星ボールミルの粉砕用ポットに、ジルコニア製かつ直径が0.5mmの球状の粉砕用メディアを25g入れた。遊星ボールミル(Fritsch社製、PULVERISETTE 7)を用いて、300rpm、60分間の条件で固体電解質組成物を粉砕した。その後、目開き212μmのふるいを用いて、粉砕用メディアを取り除いた。このようにして、粉砕後の固体電解質組成物(すなわち、微粒子化された固体電解質組成物)を得た。
(有機溶媒の除去)
ガラス製の密閉ビーカーに粉砕後の固体電解質組成物を入れ、10リットル/分の流量で窒素を流しながら密閉ビーカーを200度まで加熱し、2時間かけて固体電解質組成物から有機溶媒を除去した。このようにして、固体電解質材料を得た。
(リチウムイオン伝導度の測定)
図2は、固体電解質材料のリチウムイオン伝導度の評価方法を示す模式図である。加圧成形ダイス200は、パンチ上部201、枠型202、およびパンチ下部203を具備していた。枠型202は、絶縁性のポリカーボネートから形成されていた。パンチ上部201およびパンチ下部203は、いずれも電子伝導性のステンレス鋼から形成されていた。
図2に示す加圧成形ダイス200を用いて、下記の方法にて、固体電解質材料のイオン伝導度が測定された。
-50℃以下の露点を有するドライ雰囲気中で、実施例1による固体電解質材料101を加圧成形ダイス200に充填した。パンチ上部201およびパンチ下部203を用いて、固体電解質材料101に300MPaの圧力が印加された。
圧力が印加されたまま、パンチ上部201およびパンチ下部203が、周波数応答アナライザを搭載したポテンショスタット(Bio-Logic社、EC-Lab)に接続された。パンチ上部201は、作用極および電位測定用端子に接続された。パンチ下部203は、対極および参照極に接続された。電気化学的インピーダンス測定法により、25℃において、固体電解質材料101のリチウムイオン伝導度が測定された。その結果、イオン伝導度は、3.4×10-3S/cmであった。
(平均粒子径)
固体電解質材料を走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、Regulus8230、観測倍率10000倍)で観察し、ランダムに選択した30個の一次粒子の定方向径(フェレー径)を測定した。得られた測定値の単純平均を算出した。算出された値を平均粒子径と定義した。
実施例1による固体電解質材料の平均粒子径は2.0μmであった。
<実施例2>
3.6gのLTOC、0.4gのTaCl5、および16gのp-クロロトルエンを用いたことを除き、実施例1と同じ方法によって、実施例2の固体電解質材料を得た。
実施例1と同じ方法にて、実施例2の固体電解質材料のイオン伝導度および平均粒子径を測定した。その結果、イオン伝導度は、4.0×10-3S/cmであった。平均粒子径は2.6μmであった。
<実施例3>
3.2gのLTOC、0.8gのTaCl5、および16gのp-クロロトルエンを用いたことを除き、実施例1と同じ方法にて、実施例3の固体電解質材料を得た。
実施例1と同じ方法にて、実施例3の固体電解質材料のイオン伝導度および平均粒子径を測定した。その結果、イオン伝導度は、4.1×10-3S/cmであった。平均粒子径は、1.9μmであった。
<実施例4>
2gのLTOC、2gのTaCl5、16gのp-クロロトルエンを用いたことを除き、実施例1と同じ方法にて、実施例4の固体電解質材料を得た。
実施例1と同じ方法にて、実施例4の固体電解質材料のイオン伝導度および平均粒子径を測定した。その結果、イオン伝導度は、4.1×10-3S/cmであった。平均粒子径は、1.8μmであった。
<実施例5>
3.2gのLTOC、0.8gのTaBr5、16gのp-クロロトルエンを用いたことを除き、実施例1と同じ方法にて、実施例5の固体電解質材料を得た。
実施例1と同じ方法にて、実施例5の固体電解質材料のイオン伝導度および平均粒子径を測定した。その結果、イオン伝導度は、2.9×10-3S/cmであった。平均粒子径は、1.8μmであった。
<実施例6>
3.2gのLTOC、0.8gのNbCl5、16gのp-クロロトルエンを用いたことを除き、実施例1と同じ方法にて、実施例6の固体電解質材料を得た。
実施例1と同じ方法にて、実施例6の固体電解質材料のイオン伝導度および平均粒子径を測定した。その結果、イオン伝導度は、2.2×10-3S/cmであった。平均粒子径は、2.0μmであった。
<参考例1>
4gのLTOC、および16gのp-クロロトルエンを用いたことを除き、実施例1と同じ方法にて、参考例1の固体電解質材料を得た。すなわち、参考例1の固体電解質組成物は、M2およびX2を含むハロゲン化物を含んでいなかった。
実施例1と同じ方法にて、参考例1の固体電解質材料のイオン伝導度および平均粒子径を測定した。その結果、イオン伝導度は、1.4×10-3S/cmであった。平均粒子径は、1.4μmであった。
実施例および参考例の固体電解質材料のイオン伝導度および平均粒子径が表1に示される。表1および考察において、固体電解質の質量およびハロゲン化物の質量の合計に対するハロゲン化物の質量の比は、単に「質量比」と表記されている。
(考察)
実施例1から6の固体電解質材料は、参考例1に比べて、高いイオン伝導性を有していた。つまり、実施例1から6の固体電解質組成物は、微粒子化されても高いイオン伝導性を維持していた。
実施例2から4を実施例1と比較すると明らかなように、質量比が10%以上かつ50%以下であるとき、固体電解質材料がより高いイオン伝導性を有していた。
以上のように、本開示の固体電解質組成物は、微粒子化および有機溶媒の除去工程による固体電解質のイオン伝導性の低下を抑制するのに適していた。
本実施例では、LiTaOCl4を固体電解質として用いた。しかし、本開示の技術はニオブを含むオキシハライド系固体電解質にも有用である。タンタルおよびニオブは、いずれも周期表の第5族に属し、よく似た化学的性質を示す。また、Nbを含むオキシハライド系固体電解質は、LiTaOCl4のイオン伝導度に近いイオン伝導度を示す。したがって、LiNbOCl4、LiTaxNb1-xOCl4(0<x<1)のようなNbを含むオキシハライド系固体電解質もLTOCと同様の効果を奏すると推測される。
本開示に係る固体電解質組成物は、例えば、全固体リチウムイオン二次電池の製造において用いられる。

Claims (15)

  1. Li、M1、O、およびX1を含む固体電解質と、
    M2およびX2を含むハロゲン化物と、
    有機溶媒と、
    を含み、
    ここで、
    M1は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
    M2は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
    X1は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つであり、
    X2は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである、固体電解質組成物。
  2. X1は、Clを含む、
    請求項1に記載の固体電解質組成物。
  3. M1は、Taを含む、
    請求項1または2に記載の固体電解質組成物。
  4. 前記固体電解質は、LiTaOCl4を含む、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の固体電解質組成物。
  5. X2は、Clを含む、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の固体電解質組成物。
  6. M2は、Taを含む、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の固体電解質組成物。
  7. 前記ハロゲン化物は、TaCl5を含む、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の固体電解質組成物。
  8. M1は、M2と同一である、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の固体電解質組成物。
  9. X1は、X2と同一である、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の固体電解質組成物。
  10. 前記有機溶媒は、ハロゲン基を有する化合物および炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種を含む、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の固体電解質組成物。
  11. 前記有機溶媒は、テトラリン、エチルベンゼン、メシチレン、プソイドクメン、キシレン、クメン、1,2,4-トリクロロベンゼン、クロロベンゼン、2,4-ジクロロベンゼン、o-クロロトルエン、1,3-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、1,2-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロブタン、2,4-ジクロロトルエン、3,4-ジクロロトルエン、およびペンタンからなる群より選択される少なくとも1つを含む、
    請求項10に記載の固体電解質組成物。
  12. 前記固体電解質の質量および前記ハロゲン化物の質量の合計に対する前記ハロゲン化物の質量の比は、1%以上かつ50%以下である、
    請求項1から11のいずれか一項に記載の固体電解質組成物。
  13. 前記比は、10%以上かつ50%以下である、
    請求項12に記載の固体電解質組成物。
  14. Li、M1、O、およびX1を含む固体電解質と、
    M2およびX2を含むハロゲン化物と、
    を含み、
    ここで、
    M1は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
    M2は、NbおよびTaからなる群より選択される少なくとも1つであり、
    X1は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つであり、
    X2は、F、Cl、Br、およびIからなる群より選択される少なくとも1つである、固体電解質材料。
  15. 請求項1から13のいずれか一項に記載の固体電解質組成物の製造方法であって、
    ハロゲン化物を含む原料を用いて固体電解質を合成することと、
    前記固体電解質、前記ハロゲン化物、および有機溶媒を混合して固体電解質組成物を調製することと、
    を含む、固体電解質組成物の製造方法。
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