JP7742643B2 - 油脂の酸化原因の特定方法 - Google Patents

油脂の酸化原因の特定方法

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特許法第30条第2項適用 (その1) ウェブサイトの掲載日 2021年8月26日 ウェブサイトのアドレス https://confit.atlas.jp/guide/event/jsfst68/top (その2) 開催日 2021年8月26日から2021年8月28日 集会名、開催場所 日本食品科学工学会第68回大会(Zoomを使用したオンライン開催) (その3) 発行日 2021年8月26日 刊行物 日本食品科学工学会第68回大会講演集 (その4) 開催日 2021年10月18日から2021年10月21日 集会名、開催場所 The 20th International Conference on NIR(Web) (その5) 開催日 2021年11月6日 集会名、開催場所 公益社団法人日本食品科学工学会 東北支部令和3年大会(Teamsを使用したオンライン開催) (その6) 開催日 2021年11月17日から2021年11月19日 集会名、開催場所 第37回近赤外フォーラム(Zoomを使用したオンライン配信) (その7) ウェブサイトの掲載日 2021年11月22日 ウェブサイトのアドレス https://drive.google.com/file/d/1ftrnSQ0a7JkQ_06NWVMTxlo7aPThsrqV/view
本発明は、油脂の酸化原因の特定方法に関する。
油脂は熱や光等によって酸化されるが、油脂の酸化は当該油脂を含む製品の品質低下をもたらすことが知られている。ここで、酸化の要因により抗酸化対策が異なってくることから、品質管理には油脂の酸化度合いのみならず、酸化原因を見極めることが重要である。
これまでに、LC-MS/MSを用いた脂質ヒドロペルオキシドの詳細な異性体解析による酸化原因の特定法が報告されている(非特許文献1)。しかし、当該方法は煩雑な操作やラボレベルの施設・機器を要し、分析時間の長さや有機溶媒の使用による環境負荷といった課題を有していた。
また、食品の非破壊分析に広く活用されている近赤外分光分析(NIR)は、植物油の酸価、過酸化物価等の油の酸化評価に広く活用されているものの(特許文献1,2)、酸化の原因究明に応用された例はなかった。
特開2018-205226号公報 特開2015-232528号公報
NPJ Science of Food, 2 (2018) doi:10.1038/s41538-017-0009-x
本発明は、近赤外分光分析を用いた、より簡便な油脂の酸化原因の特定方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、近赤外分光分析(NIR)を用いることで脂質ヒドロペルオキシドを定量できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、以下に示す広い態様の発明を含むものである。
[項1]
油脂の酸化原因を特定する方法であって、
被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定する工程、
近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記工程において測定した波数範囲の一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する工程、
前記定量結果から油脂の酸化原因を特定する工程、
を含む方法。
[項2]
前記検量線が、
酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する工程、
当該油脂標準試料についてラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する工程、
測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータと定量したラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量とから検量線を作成する工程、
を含む方法により得られるものである、項1に記載の方法。
[項3]
前記波数領域が、
酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する工程、
測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータを主成分分析により解析する工程、
解析結果に基づいて、波数領域を決定する工程、
を含む方法により決定されるものである、項1又は2に記載の方法。
[項4]
前記波数領域が、5500~4500cm-1及び/又は7500~6000cm-1である、項1~3のいずれか1項に記載の方法。
[項5]
コンピュータで実行されるプログラムであって、
被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定するステップと、
近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記ステップにおいて測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量するステップと、
前記定量結果から油脂の酸化原因を特定するステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、油脂の酸化原因特定用プログラム。
[項6]
前記検量線の作成について、
酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定するステップと、
当該油脂標準試料についてラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量するステップと、
測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータと定量したラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量とから検量線を作成するステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、項5に記載の油脂の酸化原因特定用プログラム。
[項7]
前記波数領域が、
酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定するステップと、
測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータを主成分分析により解析するステップと、
解析結果に基づいて、波数領域を決定するステップと、
を前記コンピュータに実行させることにより決定されるものであることを特徴とする、項5又は6に記載の油脂の酸化原因特定用プログラム。
[項8]
被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定する測定部、
近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記測定部において測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する算出部、
前記定量結果から油脂の酸化原因を特定する評価部、
を含む分析装置。
[項9]
前記波数領域について、
酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する測定部、
測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータを主成分分析により解析する解析部、
解析結果に基づいて、波数領域を決定する評価部、
により決定する機構をさらに含む項8に記載の分析装置。
本発明によれば、より簡便な油脂の酸化原因の特定方法を提供することができる。
実施例2における、各波数領域でのなたね油の近赤外分光スペクトルの主成分分析結果である。A:Range 1(5500-4500 cm-1)。B:Range 2(6000-5500 cm-1)。C:Range 3(7500-6000 cm-1)。D:Range 4(9500-7500 cm-1)。 実施例2における、各波数領域でのオリーブ油の近赤外分光スペクトルの主成分分析結果である。A:Range 1(5500-4500 cm-1)。B:Range 2(6000-5500 cm-1)。C:Range 3(7500-6000 cm-1)。D:Range 4(9500-7500 cm-1)。 実施例3における、なたね油中のTG 18:1_18:1_18:2;13OOH(リノール酸の13位が酸化された脂質ヒドロペルオキシド異性体)の部分最小二乗(PLS)回帰分析結果である。 実施例3における、なたね油中のTG 18:1_18:1_18:2;12OOH(リノール酸の12位が酸化された脂質ヒドロペルオキシド異性体)の部分最小二乗(PLS)回帰分析結果である。 実施例3における、なたね油中のTG 18:1_18:1_18:2;9OOH(リノール酸の9位が酸化された脂質ヒドロペルオキシド異性体)の部分最小二乗(PLS)回帰分析結果である。 実施例3における、なたね油中のTG 18:1_18:1_18:2;10OOH(リノール酸の10位が酸化された脂質ヒドロペルオキシド異性体)の部分最小二乗(PLS)回帰分析結果である。 実施例3における、オリーブ油中のTG 18:1_18:1_18:1;10OOH(オレイン酸の10位が酸化された脂質ヒドロペルオキシド異性体)の部分最小二乗(PLS)回帰分析結果である。 実施例3における、オリーブ油中のTG 18:1_18:1_18:1;11OOH(オレイン酸の11位が酸化された脂質ヒドロペルオキシド異性体)の部分最小二乗(PLS)回帰分析結果である。 実施例3における、オリーブ油中のTG 18:1_18:1_18:1;9OOH(オレイン酸の9位が酸化された脂質ヒドロペルオキシド異性体)の部分最小二乗(PLS)回帰分析結果である。 実施例3における、オリーブ油中のTG 18:1_18:1_18:1;8OOH(オレイン酸の8位が酸化された脂質ヒドロペルオキシド異性体)の部分最小二乗(PLS)回帰分析結果である。
[油脂の酸化原因を特定する方法]
本発明は、一つの態様において、油脂の酸化原因を特定する方法を提供する。当該方法において、以下の(1)、(2)及び(3)の工程を含むことを特徴とする。
(1)被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定する工程。
(2)近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記工程において測定した波数範囲の一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する工程。
(3)前記定量結果から油脂の酸化原因を特定する工程。
本発明の方法は、上記(1)、(2)、(3)以外の工程を含んでいても良く、その内容は問わない。
<工程(1)>
工程(1)では、被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定する。
本発明の方法に用いられる被験油脂としては、不飽和脂肪酸を構造中に含むものであれば特に限定されず、食用油脂であっても工業用油脂であっても良いが、食用油脂が好ましい。また、食用油脂としては、植物由来であっても動物由来であっても良いが、植物由来であることが好ましい。植物由来の食用油脂としては、例えば、あまに油、えごま油、オリーブ油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、なたね油、パーム油、ひまわり油、ぶどう油、綿実油、やし油、落花生油等が挙げられる。これらの油脂は、一種単独で、もしくは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
不飽和脂肪酸としては、特に限定されないが、例えば、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸が好ましい。本発明の方法に用いられる油脂としては、これらの不飽和脂肪酸のうちの一種のみを構造中に含むものであっても良く、二種以上を構造中に含むものであっても良い。
本発明において、被験油脂は、任意選択で前処理を施した後、近赤外分光スペクトルの測定に供される。
前処理としては、例えば、固液分離、希釈、抽出等の処理が挙げられる。固液分離については、例えば、濾紙やフィルター等を用いて被験油脂から固形物を濾別し、又は静置によって固形物と分離させるものである。希釈、抽出については、各種溶媒を用いることができる。
近赤外分光スペクトルの測定方法は特に限定されないが、拡散反射法又は透過法が好ましく、これらを測定試料によって使い分けることがより好ましい。測定試料が固体であれば主に拡散反射法を用い、測定試料が液体であれば主に透過法を用いて測定することが好ましいが、液体の場合でも着色が強く、光を透過しにくい測定試料の場合は拡散反射光を測定することが好ましい。測定試料が溶液の場合は、適宜濃度を調整して透過光を測定することが好ましい。測定セルは特に限定されないが、測定試料、測定法に応じて使い分けることが好ましい。近赤外分光スペクトルの測定は、オフライン(off line)分析だけではなく、アットライン(at line)、オンライン(on line)、インライン(in line)、無侵襲(non-invasive)分析等の形で実施してもよい。近赤外分光スペクトルの測定は、測定試料を採取し分析室の近赤外分析計で測定することもできるが、生産現場や倉庫に近赤外分析計を持ち込みその場で測定することもできる。また製造ラインに近赤外分析計を組み込むことにより連続的に測定試料の近赤外分光スペクトルを測定することも可能である。
近赤外分光スペクトルの測定には、市販の近赤外分光分析計を用いることができるが、透過光と拡散反射光を測定できるものが好ましい。また、測定試料に応じて固体測定モジュール、液体測定モジュール、光ファイバーモジュール、固体透過測定モジュールを備えたものが利用できる。また、測定セルの温度調節機能を備えたものがより好ましい。得られるスペクトルは、フーリエ変換スペクトルであることが好ましい。
温度によって測定試料の透明度が変化するような場合もあるため、近赤外分光スペクトルの測定は一定の温度で行うことが好ましい。測定試料の粘度が高い場合には測定試料を入れた測定セルを加温して粘度を下げることが好ましい。本発明においては、測定温度は25~40℃であることが好ましく、25~30℃であることがより好ましい。
また、迅速に測定することを考慮すると、測定セルの厚さは薄いものが好ましく、例えば、0.5~10mmであってよく、2~8mmが好ましい。
近赤外スペクトルを測定する波数範囲は、下記(波数領域の決定)の項に記載の方法により決定された波数領域を含むものであればよく、例えば12500~4000cm-1である。
近赤外スペクトルデータは、原スペクトルデータでもよいが、原スペクトルデータを加工したものを使用することが好ましい。データ加工の方法としては、例えば、1次微分、2次微分、3次微分等の多次微分、平滑化、スペクトルの減算、正規化、MSC補正、標準化(SNV補正)等が挙げられる。これらの加工方法は単独で用いても組み合わせて用いてもよい。中でも好ましい加工方法として、多次微分、平滑化、標準化を挙げることができる。
<工程(2)>
工程(2)では、近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記工程において測定した波数範囲の一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する。
前記工程において測定した近赤外分光スペクトルデータを、以下の(検量線の作成)の項に記載の方法により得られる検量線に適用することにより、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量することができる。上記波数範囲の一部の波数領域については、下記(波数領域の決定)の項に記載の方法により決定された波数領域が適用される。
本発明において、「脂質ヒドロペルオキシド」とは、ヒドロペルオキシ基で置換された不飽和脂肪酸酸化物を構造中に含む油脂を意味する。「ラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド」は、ヒドロペルオキシ基で置換された不飽和脂肪酸酸化物のうち、不飽和脂肪酸のラジカル酸化反応によって得られるヒドロペルオキシドを構造中に含む油脂を意味する。「一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド」は、ヒドロペルオキシ基で置換された不飽和脂肪酸酸化物のうち、不飽和脂肪酸の一重項酸素酸化反応によって得られるヒドロペルオキシドを構造中に含む油脂を意味する。不飽和脂肪酸は、光や加熱等により酸化反応が進行するが、ラジカル酸化反応は主に熱により反応が進行し、一重項酸素酸化反応は主に光により反応が進行する。
ラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの構造中に含まれる、ヒドロペルオキシ基で置換された不飽和脂肪酸酸化物としては例えば、
オレイン酸(FA 18:1)の
8位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:1;8OOH)、
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:1;9OOH)、
10位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:1;10OOH)、又は
11位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:1;11OOH)、
リノール酸(FA 18:2)の
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:2;9OOH)、又は
13位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:2;13OOH)、
α-リノレン酸(FA 18:3)の
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;9OOH)、
12位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;12OOH)、
13位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;13OOH)、又は
16位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;16OOH)、
アラキドン酸(FA 20:4)の
5位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;5OOH)、
8位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;8OOH)、
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;9OOH)、
11位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;11OOH)、
12位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;12OOH)、又は
15位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;15OOH)、
エイコサペンタエン酸(FA 20:5)の
5位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;5OOH)、
8位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;8OOH)、
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;9OOH)、
11位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;11OOH)、
12位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;12OOH)、
14位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;14OOH)、
15位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;15OOH)、又は
18位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;18OOH)、
ドコサヘキサエン酸(FA 22:6)の
4位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;4OOH)、
7位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;7OOH)、
8位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;8OOH)、
10位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;10OOH)、
11位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;11OOH)、
13位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;13OOH)、
14位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;14OOH)、
16位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;16OOH)、
17位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;17OOH)、又は
20位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;20OOH)
等が挙げられる。
この中でも、FA 18:1;8OOH及びFA 18:1;11OOHは、ラジカル酸素酸化特異的な不飽和脂肪酸酸化物であるため、被験油脂の脂質ヒドロペルオキシドの構造中に当該不飽和脂肪酸酸化物が含まれている場合には、被験油脂の酸化原因の一つとして、熱酸化が含まれると判定することができる。
一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの構造中に含まれる、ヒドロペルオキシ基で置換された不飽和脂肪酸酸化物としては例えば、
オレイン酸(FA 18:1)の
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:1;9OOH)、又は
10位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:1;10OOH)、
リノール酸(FA 18:2)の
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:2;9OOH)、
10位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:2;10OOH)、
12位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:2;12OOH)、又は
13位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:2;13OOH)、
α-リノレン酸(FA 18:3)の
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;9OOH)、
10位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;9OOH)、
12位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;12OOH)、
13位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;13OOH)、
15位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;15OOH)、又は
16位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 18:3;16OOH)、
アラキドン酸(FA 20:4)の
5位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;5OOH)、
6位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;6OOH)、
8位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;8OOH)、
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;9OOH)、
11位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;11OOH)、
12位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;12OOH)、
14位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;14OOH)、又は
15位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:4;15OOH)、
エイコサペンタエン酸(FA 20:5)の
5位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;5OOH)、
6位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;6OOH)、
8位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;8OOH)、
9位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;9OOH)、
11位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;11OOH)、
12位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;12OOH)、
14位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;14OOH)、
15位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;15OOH)、
17位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;17OOH)、又は
18位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 20:5;18OOH)、
ドコサヘキサエン酸(FA 22:6)の
4位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;4OOH)、
5位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;5OOH)、
7位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;7OOH)、
8位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;8OOH)、
10位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;10OOH)、
11位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;11OOH)、
13位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;13OOH)、
14位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;14OOH)、
16位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;16OOH)、
17位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;17OOH)、
19位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;19OOH)、又は
20位にヒドロペルオキシ基が挿入された分子種(FA 22:6;20OOH)、
等が挙げられる。
この中でも、FA 18:2;10OOH、FA 18:2;12OOH、FA 18:3;10OOH、FA 18:3;15OOH、FA 20:4;6OOH、FA 20:4;14OOH、FA 20:5;6OOH、FA 20:5;17OOH、FA 22:6;5OOH、FA 22:6;19OOHは、一重項酸素酸化特異的な不飽和脂肪酸酸化物であるため、被験油脂の脂質ヒドロペルオキシドの構造中に当該不飽和脂肪酸酸化物が含まれている場合には、被験油脂の酸化原因の一つとして、光酸化が含まれると判定することができる。
<工程(3)>
工程(3)では、工程(2)における定量結果から油脂の酸化原因を特定する。
被験油脂中において、ラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドが検出された場合には、熱酸化が進行していると判定することができる。熱酸化が進行していると判定する場合には、ラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドは5nmol/g以上検出されることが好ましく、20nmol/g以上検出されることがより好ましい。
また、被験油脂中において、一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドが検出された場合には、光酸化が進行していると判定することができる。光酸化が進行していると判定する場合には、一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドは5nmol/g以上検出されることが好ましく、20nmol/g以上検出されることがより好ましい。
さらに、被験油脂中において、ラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドと、一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの両方が検出された場合には、熱酸化及び光酸化が進行していると判定することができる。
ラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドが一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドよりも多く含まれている場合には、熱酸化が光酸化より進行していると判定することができ、一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドがラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドよりも多く含まれている場合には、光酸化が熱酸化より進行していると判定することができる。
なお、本発明に係る方法は、他の分析法と併せて実施することも可能である。併せて実施する分析としては、例えば、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーや超高速液体クロマトグラフィー等の液体クロマトグラフィー、質量分析、フーリエ変換赤外分光分析等の赤外分光分析、フーリエ変換核磁気共鳴分析等の核磁気共鳴分析等が挙げられる。
(検量線の作成)
本発明においては、被験油脂の近赤外分光スペクトルデータを基に、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量するための検量線が作成される。より詳しくは、以下の(A)~(C)の工程を含む方法により、検量線が作成される。
(A)酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する工程。
(B)当該油脂標準試料についてラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する工程。
(C)測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータと定量したラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量とから検量線を作成する工程。
工程(A)では、酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する。
工程(A)に供する油脂標準試料として、酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料を用いる。例えば、なたね油を油脂標準試料とする場合、なたね油を光照射及び/又は加熱し、劣化の進行に応じて経時的に測定に必要な量をサンプリングして測定すること、測定に適した量を最初からサンプリングして保存し、その同じ油脂標準試料を経時的に測定すること等ができる。
工程(A)に供する複数の油脂標準試料は、試料に含まれる脂質ヒドロペルオキシドの最小値と最大値の範囲内に、得られる検量線を用いて定量する被験油脂中の脂質ヒドロペルオキシド含量が含まれるように調製することが好ましい。油脂標準試料に含まれるラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量の最小値は、特に限定されないが、10nmol/g以下が好ましく、1nmol/g以下が好ましい。また、油脂標準試料に含まれるラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量の最大値は、特に限定されないが、200~2000nmol/gであることが好ましく、500~1000nmol/gであることがより好ましい。
工程(A)に供する油脂標準試料の数は多いほどよく、十分な予測精度を得るためには20試料以上が好ましく、50試料以上であることがより好ましい。
典型的には、油脂標準試料として用いられる油脂は、<工程(1)>の項に記載の被験油脂と同種のもの(例えば、同一種類の材料から同一の手法で製造した油脂)が用いられる。
検量線を得るために油脂標準試料の近赤外分光スペクトルデータを取得する方法としては、<工程(1)>の項に記載の被験油脂の近赤外分光スペクトルデータの測定方法と同様の方法で行うことができる。
工程(B)では、工程(A)に供した油脂標準試料中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する。
工程(B)において、ラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する方法は、特に限定されないが、LC-MS/MS法が好ましい。
LC-MS/MS法で定量する場合、まず、油脂標準試料を有機溶媒に希釈して分析用試料を調製する。有機溶媒としては、特に限定されないが、ヘキサン、クロロホルム、イソプロパノール、メタノール等が好ましい。希釈倍率は500~1000倍に調製することが好ましい。また、任意選択で上記分析用試料に内部標準を添加することができる。内部標準としては、一部/又はすべての炭素がC13ラベル化された脂質ヒドロペルオキシド、もしくは一部/又はすべての水素が重水素化された脂質ヒドロペルオキシドを用いることができる。
LC-MS/MS法に用いる分離カラムとしては、脂質ヒドロペルオキシドの異性体を分離できるものであれば特に限定されないが、逆相カラム又は順相カラムであるものが好ましい。カラムの形状は必要な分離が得られるものであれば特に限定されない。カラム充填剤の材質は特に限定されないが、C8、C18又はシリカ固定相が好ましい。カラム温度はカラムの性能及び脂質ヒドロペルオキシドの安定性の観点から問題ない範囲であれば特に限定されないが、40℃以下が好ましい。本発明に適するカラムとしては例えば、逆相カラム(C8、2μm、2.1×150 mm; GL Science)が挙げられる。なお一本のカラムで必要な分離を得ることが好ましいが、任意選択で同種又は異種のカラムを複数本接続して用いてもかまわない。
LC-MS/MS法に用いられる移動相は、油脂標準試料を溶解でき、かつLC-MS/MSに適した溶媒が好ましい。好ましい溶媒としては例えば、メタノール、イソプロパノール、ヘキサン及びこれらの混合溶媒等が挙げられる。
移動相の流速はカラムの性能上問題ない範囲であれば特に限定されないが、0.2~0.4 mL/minが好ましい。
LC-MS/MS法における質量分析計としては、磁場セクター型質量分析計(sector mass spectrometer)、三連型四重極質量分析計(triple quadrupole mass spectrometer) 、飛行時間質量分析計(time-of-flight mass spectrometer:TOF-MS)、イオントラップ質量分析計(ion trap mass spectrometer)、フーリエ変換質量分析計(Fourier transform mass spectrometer)等が挙げられる。本発明においては、なかでも、三連型四重極質量分析計が好ましい。
質量分析計におけるイオン化法としては、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)、大気圧化学イオン化法(APCI)、高速原子衝撃法(FAB)、光イオン化法(APPI)、電子イオン化法(EI) 、化学イオン化法(CI)、電界脱離法(FD)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)、及び音速イオン化法(SSI)が挙げられるが、特にESIが好ましい。
MS/MSは、プリカーサーイオンを衝突誘起解離させて得られたプロダクトイオンをモニターする手法が好ましい。これには、多重反応モニタリング(Multiple Reaction Monitoring:MRM)あるいは選択反応モニタリング(Selected Reaction Monitoring:SRM)があるが、本発明においては、多重反応モニタリング(MRM)が好ましい。
また、工程(B)において、脂質ヒドロペルオキシドを、ナトリウム付加体として測定することが好ましい。ナトリウム付加体とすることで、ヒドロペルオキシドの置換位置の異なる異性体を区別して分析することができる。
工程(C)では、測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータと定量した脂質ヒドロペルオキシドの含有量とから検量線を作成する。
検量線は、近赤外分光スペクトルデータと、ラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量の定量値とを基に、多変量解析を行うことにより作成される。多変量解析としては、ケモメトリクスに通常用いられる解析ツールを使用することができ、例えば、主成分分析、階層クラスター分析、PLS回帰分析、判別分析等の種々の多変量ツールを好適に使用できる。この中でも、PLS回帰分析を用いることが好ましい。
解析に用いる波数領域のスペクトルデータと定量した脂質ヒドロペルオキシド含有量(脂質ヒドロペルオキシドの実測値) とを多変量解析法に供することにより、脂質ヒドロペルオキシド含有量と関係する因子を決定して回帰式を得ることができる。脂質ヒドロペルオキシド含有量と関係する因子とは、スペクトルデータの中に内在する脂質ヒドロペルオキシド含有量の変化と相関の高い仮想的な変量を指す。この因子の回帰係数を用いてスペクトルデータから脂質ヒドロペルオキシド含有量を予測する検量線を作成する。
(波数領域の決定)
また、検量線の作成に用いられる近赤外分光スペクトルデータの波数領域は、以下の工程を含む方法により決定することができる。
(i) 酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する工程。
(ii) 測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータを主成分分析により解析する工程。
(iii) 解析結果に基づいて、波数領域を決定する工程。
工程(i)では、上記(検量線)の項に記載の工程(A)と同様の方法で、酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定することができる。
工程(ii)では、得られたスペクトルデータを主成分分析により解析する。主成分分析は、近赤外分光スペクトルを測定した波数範囲の全部に対して行っても良いが、一部の波数領域に対して行うことが好ましい。近赤外分光スペクトルを測定した一部の波数領域とは近赤外分光スペクトルを測定した波数範囲に含まれる任意の部分領域である。一部の波数領域としては特に限定されないが、9500~4500cm-1又はその一部であることが好ましく、5500~4500cm-1又はその一部、6000~5500cm-1又はその一部、7500~6000cm-1又はその一部、又は9500~7500cm-1又はその一部、であることがより好ましい。また、この1つの波数領域は最大波数と最小波数の差が1000cm-1以上の連続した領域であることが好ましい。この波長領域は1つのみを設定してもよく、複数設定してもよい。
工程(iii)では、主成分分析による解析結果に基づいて、本発明に用いられる波数領域を決定する。解析結果に基づいて決定される波数領域としては、主成分分析により、熱酸化された複数の油脂標準試料、光酸化された複数の油脂標準試料、及び熱酸化及び光酸化された複数の油脂標準試料を識別できる波数領域であれば特に限定されないが、5500~4500cm-1及び/又は7500~6000cm-1であることが好ましい。
[油脂の酸化原因特定用プログラム]
本発明は、一つの態様において、コンピュータで実行される、油脂の酸化原因特定用プログラムを提供する。当該プログラムにおいて、以下の(1)及び(2)のステップを含むことを特徴とする。
(1)被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定するステップ。
(2)近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記ステップにおいて測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量するステップ。
(3)前記定量結果から油脂の酸化原因を特定するステップ。
上記(1)、(2)、(3)のステップは、それぞれ[油脂の酸化原因を特定する方法]の項における工程(1)、工程(2)、工程(3)を実行するステップであり、[油脂の酸化原因を特定する方法]の項に記載の方法より行われる。
また、上記(2)のステップにおける検量線については、以下の(A)、(B)、及び(C)のステップをコンピュータに実行させることにより作成することができる。
(A)酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定するステップ。
(B)当該油脂標準試料についてラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量するステップ。
(C)測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータと定量したラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量とから検量線を作成するステップ。
上記(A)、(B)、(C)のステップは、それぞれ[油脂の酸化原因を特定する方法]の項における工程(A)、工程(B)、工程(C)を実行するステップであり、[油脂の酸化原因を特定する方法]の項に記載の方法により行われる。
また、上記(2)のステップ及び上記(C)のステップにおける波数領域については、以下の(i)、(ii)、及び(iii)のステップをコンピュータに実行させることにより決定することができる。
(i)酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定するステップ。
(ii)測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータを主成分分析により解析するステップ。
(iii)解析結果に基づいて、波数領域を決定するステップ。
上記(i)、(ii)、(iii)のステップは、それぞれ[油脂の酸化原因を特定する方法]の項における工程(i)、工程(ii)、工程(iii)を実行するステップであり、[油脂の酸化原因を特定する方法]の項に記載の方法により行われる。
[分析装置]
本発明は、一つの態様において、油脂の酸化原因を特定することができる分析装置を提供する。当該分析装置において、以下の(1)測定部、(2)算出部、(3)評価部を含むことを特徴とする。
(1)被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定する測定部。
(2)近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記測定部において測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する算出部。
(3)前記定量結果から油脂の酸化原因を特定する評価部。
上記(1)測定部、(2)算出部、(3)評価部は、それぞれ[油脂の酸化原因を特定する方法]の項における工程(1)、工程(2)、工程(3)を実行する部分であり、[油脂の酸化原因を特定する方法]の項に記載の工程を行うことができるものである。
また、本発明の分析装置は、上記(2)算出部における波数領域について決定する機構をさらに含むことができる。その場合、以下の(i)測定部、(ii)解析部、(iii)評価部をさらに含むことを特徴とする。
(i)酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する測定部。
(ii)測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータを主成分分析により解析する解析部。
(iii)解析結果に基づいて、波数領域を決定する評価部。
上記(i)測定部、(ii)解析部、(iii)評価部は、それぞれ[油脂の酸化原因を特定する方法]の項における工程(i)、工程(ii)、工程(iii)を実行する部分であり、[油脂の酸化原因を特定する方法]の項に記載の工程を行うことができるものである。
本発明を製造例及び実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。
<実施例1>油脂標準試料の作成
1.なたね油の酸化
(光酸化)
市販のなたね油4mLを10mL試験管に入れたものを24本作成し、それぞれ酸素を封入した後、25 mmのセプタムラバーにて蓋をした。その後、各サンプル(24本)を光酸化条件(4℃、15,000lux)で酸化させ、酸化開始から0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、24時間後、30時間後、48時間後、3日後、4日後、7日後、8日後、9日後、10日後、 11日後、14日後、16日後、18日後、21日後、23日後、25日後、28日後、30日後に、NIR測定用(下記「3.近赤外分光スペクトル測定」参照)に1mL、LC-MS/MS分析用(下記「4.LC-MS/MS分析」参照)に0.1mLのサンプリングを行った。
(熱酸化)
市販のなたね油4mLを10mL試験管に入れたものを24本作成し、それぞれ酸素を封入した後、25 mmのセプタムラバーにて蓋をした。その後、各サンプル(24本)を熱酸化条件(40℃、暗所)で酸化させ、酸化開始から0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、24時間後、30時間後、48時間後、3日後、4日後、7日後、8日後、9日後、10日後、 11日後、14日後、16日後、18日後、21日後、23日後、25日後、28日後、30日後に、NIR測定用(下記「3.近赤外分光スペクトル測定」参照)に1mL、LC-MS/MS分析用(下記「4.LC-MS/MS分析」参照)に0.1mLのサンプリングを行った。
(光酸化及び熱酸化)
市販のなたね油4mLを10mL試験管に入れたものを24本作成し、それぞれ酸素を封入した後、25 mmのセプタムラバーにて蓋をした。その後、各サンプル(24本)を光酸化及び熱酸化条件(40℃、15,000lux)で酸化させ、酸化開始から0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、24時間後、30時間後、48時間後、3日後、4日後、7日後、8日後、9日後、10日後、 11日後、14日後、16日後、18日後、21日後、23日後、25日後、28日後、30日後に、NIR測定用(下記「3.近赤外分光スペクトル測定」参照)に1mL、LC-MS/MS分析用(下記「4.LC-MS/MS分析」参照)に0.1mLのサンプリングを行った。
(暗所保存)
市販のなたね油4mLを10mL試験管に入れたものを24本作成し、それぞれ酸素を封入した後、25 mmのセプタムラバーにて蓋をした。その後、各サンプル(24本)を暗所に保存し、保存開始から0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、24時間後、30時間後、48時間後、3日後、4日後、7日後、8日後、9日後、10日後、 11日後、14日後、16日後、18日後、21日後、23日後、25日後、28日後、30日後に、NIR測定用(下記「3.近赤外分光スペクトル測定」参照)に1mL、LC-MS/MS分析用(下記「4.LC-MS/MS分析」参照)に0.1mLのサンプリングを行った。
2.オリーブ油の酸化
(光酸化)
市販のオリーブ油4mLを10mL試験管に入れたものを24本作成し、それぞれ酸素を封入した後、25 mmのセプタムラバーにて蓋をした。その後、各サンプル(24本)を光酸化条件(4℃、15,000lux)で酸化させ、酸化開始から0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、24時間後、30時間後、48時間後、3日後、4日後、7日後、8日後、9日後、10日後、 11日後、14日後、16日後、18日後、21日後、23日後、25日後、28日後、30日後に、NIR測定用(下記「3.近赤外分光スペクトル測定」参照)に1mL、LC-MS/MS分析用(下記「4.LC-MS/MS分析」参照)に0.1mLのサンプリングを行った。
(熱酸化)
市販のオリーブ油4mLを10mL試験管に入れたものを24本作成し、それぞれ酸素を封入した後、25 mmのセプタムラバーにて蓋をした。その後、各サンプル(24本)を熱酸化条件(40℃、暗所)で酸化させ、酸化開始から0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、24時間後、30時間後、48時間後、3日後、4日後、7日後、8日後、9日後、10日後、 11日後、14日後、16日後、18日後、21日後、23日後、25日後、28日後、30日後に、NIR測定用(下記「3.近赤外分光スペクトル測定」参照)に1mL、LC-MS/MS分析用(下記「4.LC-MS/MS分析」参照)に0.1mLのサンプリングを行った。
(光酸化及び熱酸化)
市販のオリーブ油4mLを10mL試験管に入れたものを24本作成し、それぞれ酸素を封入した後、25 mmのセプタムラバーにて蓋をした。その後、各サンプル(24本)を光酸化及び熱酸化条件(40℃、15,000lux)で酸化させ、酸化開始から0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、24時間後、30時間後、48時間後、3日後、4日後、7日後、8日後、9日後、10日後、 11日後、14日後、16日後、18日後、21日後、23日後、25日後、28日後、30日後に、NIR測定用(下記「3.近赤外分光スペクトル測定」参照)に1mL、LC-MS/MS分析用(下記「4.LC-MS/MS分析」参照)に0.1mLのサンプリングを行った。
(暗所保存)
市販のオリーブ油4mLを10mL試験管に入れたものを24本作成し、それぞれ酸素を封入した後、25 mmのセプタムラバーにて蓋をした。その後、各サンプル(24本)を暗所に保存し、保存開始から0時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、24時間後、30時間後、48時間後、3日後、4日後、7日後、8日後、9日後、10日後、 11日後、14日後、16日後、18日後、21日後、23日後、25日後、28日後、30日後に、NIR測定用(下記「3.近赤外分光スペクトル測定」参照)に1mL、LC-MS/MS分析用(下記「4.LC-MS/MS分析」参照)に0.1mLのサンプリングを行った。
3.近赤外分光スペクトル測定
上記「1.なたね油の酸化」及び「2.オリーブ油の酸化」における各サンプル1mLを、それぞれ8 mmバイアル(6.6 mm idバイアル、Bruker Optics)に入れ、12500~4000 cm-1領域の近赤外分光スペクトルをFT-NIR(MPA、Bruker Optics)を用いて室温にて測定した。測定条件は以下のとおりである。サンプルはすべて2回分析を行った。
・測定モード:透過モード
・スペクトル分解能:8 cm-1
・スペクトルの積算回数:128スキャン
4.LC-MS/MS分析
上記「1.なたね油の酸化」及び「2.オリーブ油の酸化」における各サンプルをクロロホルム:イソプロパノール(1:9)で10倍に希釈した後、さらにイソプロパノール:メタノール(1:1)にて50倍に希釈し、そのうち2 μLをLC-MS/MSにて分析した。HPLCは、真空デガッサー、ポンプ、オートサンプラー(島津製作所)を含む島津LCシステムを、質量分析は4000 QTRAP質量分析計(AB SCIEX)を使用した。 HPLC条件は、カラムオーブン40°C、溶媒A(メタノール)と溶媒B(イソプロパノール)、逆相カラム(C8、2μm、2.1×150 mm; GL Science)にて分離を行った。グラジエント条件は、表1に示す。カラム溶出液は、ポストカラム溶媒(2 mM酢酸ナトリウムを含むメタノール、0.01mL/min)と混合し、質量分析に供した。質量分析は、multiple reaction monitoring(MRM)モードにて各脂質ヒドロペルオキシド異性体の検出を行った。検出した脂質ヒドロペルオキシド異性体は、以下のとおりである。各MRM条件を表2に、エレクトロスプレーイオン化条件を表3に示す。各脂質ヒドロペルオキシド濃度は、対応する外部標準曲線(0.01 pmol-10 pmol)によって計算した。
<検出した脂質ヒドロペルオキシド異性体>
・なたね油:TG 18:1_18:1_18:2(Dioleoyl-linoleoyl-glycerol)の構造中のリノール酸が酸化された分子種
TG 18:1_18:1_18:2;9OOH:リノール酸の9位が酸化された分子種
TG 18:1_18:1_18:2;10OOH:リノール酸の10位が酸化された分子種
TG 18:1_18:1_18:2;12OOH:リノール酸の12位が酸化された分子種
TG 18:1_18:1_18:2;13OOH:リノール酸の13位が酸化された分子種
・オリーブ油:TG 18:1_18:1_18:1(Trioleoyl- glycerol)のうち、1つのオレイン酸が酸化された分子種
TG 18:1_18:1_18:1;8OOH:オレイン酸の8位が酸化された分子種
TG 18:1_18:1_18:1;9OOH:オレイン酸の9位が酸化された分子種
TG 18:1_18:1_18:1;10OOH:オレイン酸の10位が酸化された分子種
TG 18:1_18:1_18:1;11OOH:オレイン酸の11位が酸化された分子種
<実施例2>波数領域の決定
実施例1において得られた近赤外分光スペクトルについて、Unscrambler(ver. 11:CAMO AS)ソフトウェアプログラムにて解析を行った。まず、12500-4000 cm-1領域の吸光度スペクトルを、Salvizky-Golay平滑化(17ポイント)により二次微分した。その後、油脂酸化原因の違いを判別可能な波数領域を特定するために、近赤外分光スペクトル領域を4つの領域(Range 1: 5500-4500 cm-1、Range 2: 6000-5500 cm-1、Range 3: 7500-6000 cm-1、Range 4: 9500-7500 cm-1)に分け、それぞれの波数領域におけるスペクトルの主成分分析(PCA)を実行した。結果を図1、図2に示す。この結果から、なたね油、オリーブ油ともにRange 1: 5500-4500 cm-1、Range 3: 7500-6000 cm-1の波数領域において油脂酸化原因の違いを判別可能であることが分かった。
<実施例3>検量線の作成
実施例1における近赤外分光スペクトル結果及びLC-MS/MS分析の結果を基に部分最小二乗(PLS)回帰分析を行い、検量線を作成した。ここで、実施例2において油脂酸化原因の違いを判別可能であることが明らかとなった波数領域であるRange 1: 5500-4500 cm-1及びRange 3: 7500-6000 cm-1の二次微分スペクトルを説明変数とし、LC-MS/MS分析によって定量された脂質ヒドロペルオキシド濃度を目的変数とした。予測モデルの精度はクロスバリデーションにより、それぞれ決定係数(R2)と二乗平均平方根誤差(RMSEC)によって確認した。結果を図3~図10に示す。この結果から、作成した検量線は高い予測精度を持つことが明らかとなった。
なたね油においては、TG 18:1_18:1_18:2;10OOH及びTG 18:1_18:1_18:2;12OOHは、一重項酸素酸化特異的な脂質ヒドロペルオキシドであることから、なたね油の被験油脂において、TG 18:1_18:1_18:2;10OOH及びTG 18:1_18:1_18:2;12OOHが検出された場合には光酸化が進行していると判定することができる。TG 18:1_18:1_18:2;9OOH及びTG 18:1_18:1_18:2;13OOHは、ラジカル酸化及び光酸化の両方の酸化反応により生成する脂質ヒドロペルオキシドであることから、なたね油の被験油脂において、TG 18:1_18:1_18:2;9OOH及びTG 18:1_18:1_18:2;13OOHが検出され、TG 18:1_18:1_18:2;10OOH及びTG 18:1_18:1_18:2;12OOHが検出されない場合には、熱酸化のみが進行していると判定することができる。また、なたね油の被験油脂において、TG 18:1_18:1_18:2;10OOH、TG 18:1_18:1_18:2;12OOH、TG 18:1_18:1_18:2;9OOH、TG 18:1_18:1_18:2;13OOHのいずれも検出された場合には、熱酸化及び光酸化の両方が進行していると判定することができ、それぞれの脂質ヒドロペルオキシドの含有量により、なたね油の被験油脂における光酸化と熱酸化の進行の程度についても判定することができる。
オリーブ油においては、 TG 18:1_18:1_18:1;8OOH及びTG 18:1_18:1_18:1;11OOHは、ラジカル酸化特異的な脂質ヒドロペルオキシドであることから、オリーブ油の被験油脂において、TG 18:1_18:1_18:1;8OOH及びTG 18:1_18:1_18:1;11OOHが検出された場合には熱酸化が進行していると判定することができる。TG 18:1_18:1_18:1;9OOH及びTG 18:1_18:1_18:1;10OOHは、ラジカル酸化及び光酸化の両方の酸化反応により生成する脂質ヒドロペルオキシドであることから、オリーブ油の被験油脂において、18:1_18:1_18:1;9OOH及びTG 18:1_18:1_18:1;10OOHが検出され、TG 18:1_18:1_18:1;8OOH及びTG 18:1_18:1_18:1;11OOHが検出されない場合には、光酸化のみが進行していると判定することができる。オリーブ油の被験油脂において、TG 18:1_18:1_18:1;8OOH、18:1_18:1_18:11OH、TG 18:1_18:1_18:1;9OOH、TG 18:1_18:1_18:1;10OOHのいずれも検出された場合には、熱酸化及び光酸化の両方が進行していると判定することができ、それぞれの脂質ヒドロペルオキシドの含有量により、オリーブ油の被験油脂における光酸化と熱酸化の進行の程度についても判定することができる。
本実施例においては、なたね油及びオリーブ油を例として使用したが、上記の結果及び技術常識(例えば、(S.Kato et al.npj Sci.Food,2:1, 2018)に記載の知見等)を参酌すると、他の油脂においても同様の判定をし得ることは明らかである。

Claims (9)

  1. 油脂の酸化原因を特定する方法であって、
    被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定する工程、
    近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記工程において測定した波数範囲の一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する工程、
    前記定量結果から油脂の酸化原因を特定する工程、
    を含む方法。
  2. 前記検量線が、
    酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する工程、
    当該油脂標準試料についてラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する工程、
    測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータと定量したラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量とから検量線を作成する工程、
    を含む方法により得られるものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記波数領域が、
    酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する工程、
    測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータを主成分分析により解析する工程、
    解析結果に基づいて、波数領域を決定する工程、
    を含む方法により決定されるものである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記波数領域が、5500~4500cm-1及び/又は7500~6000cm-1である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. コンピュータで実行されるプログラムであって、
    被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定するステップと、
    近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記ステップにおいて測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量するステップと、
    前記定量結果から油脂の酸化原因を特定するステップと、
    を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、油脂の酸化原因特定用プログラム。
  6. 前記検量線の作成について、
    酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定するステップと、
    当該油脂標準試料についてラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量するステップと、
    測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータと定量したラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量とから検量線を作成するステップと、
    を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、請求項5に記載の油脂の酸化原因特定用プログラム。
  7. 前記波数領域が、
    酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定するステップと、
    測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータを主成分分析により解析するステップと、
    解析結果に基づいて、波数領域を決定するステップと、
    を前記コンピュータに実行させることにより決定されるものであることを特徴とする、請求項5又は6に記載の油脂の酸化原因特定用プログラム。
  8. 被験油脂の近赤外分光スペクトルを測定する測定部、
    近赤外分光スペクトルを用いてあらかじめ作成しておいた検量線に基づいて、前記測定部において測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータから、被験油脂中のラジカル酸化由来の脂質ヒドロペルオキシド及び/又は一重項酸素酸化由来の脂質ヒドロペルオキシドの含有量を定量する算出部、
    前記定量結果から油脂の酸化原因を特定する評価部、
    を含む分析装置。
  9. 前記波数領域について、
    酸化の程度の異なる複数の油脂標準試料の近赤外分光スペクトルを測定する測定部、 測定した波数範囲の全部又は一部の波数領域で得られた近赤外分光スペクトルデータを主成分分析により解析する解析部、
    解析結果に基づいて、波数領域を決定する評価部、
    により決定する機構をさらに含む請求項8に記載の分析装置。
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