JP7743246B2 - 標的rna検出方法及びプローブキット - Google Patents

標的rna検出方法及びプローブキット

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Description

本発明は、標的RNA検出方法及びプローブキットに関し、より詳しくは、標的RNA検出方法、及びこれに好適に用いることができるプローブキットに関する。
細胞内には、タンパク質へと翻訳されない短鎖RNAが多量に存在している。これらの短鎖RNAには、機能がないと考えられていた時期もあったが、1990年代以降の研究により、生体において重要な役割があることが明らかとなってきている。例えば、かかる短鎖RNAのうち、miRNA(microRNA)と称される19~25塩基長程度の一本鎖RNAは、遺伝子の発現を調節することによって細胞機能において重要な役割を果たすことが明らかになっている。
miRNAの産生プロセスは、典型的には次のとおりである。すなわち、先ず、ゲノム上のmiRNA遺伝子がRNAポリメラーゼで転写されることによって、ヘアピン構造を含むpri-miRNA(primary miRNA)が産生され、次いで、pri-miRNAが核内RNaseであるDroshaに切断さることによって、60~70塩基のヘアピン構造であるpre-miRNA(precursor miRNA)が産生される。次いで、pre-miRNAは、核内から細胞質に輸送され、細胞質内RNaseであるDicerに切断されることによって、21~24塩基の二本鎖RNA(miRNA duplex)となる。次いで、miRNA duplexは、Agoタンパク質に取り込まれ、二本鎖の片側のRNA鎖のみが最終的に成熟型miRNAとなる。
成熟型miRNAは、Agoタンパク質と結合してRNA誘導型サイレンシング複合体(RNA-induced silencing complex:RISC)を形成する。RISCは、これに含まれる成熟型miRNAの塩基配列と相補的な配列を部分的に有する標的mRNAに結合し、標的mRNAの翻訳を抑制することで、多数の遺伝子の発現を調節することが知られている。
また、miRNAは、様々な疾患との関連性が深いことも明らかになってきている。近年では、例えば、癌等の様々な疾患において発現異常を示すmiRNAが報告されていることから、かかるmiRNAをこれら疾患の診断ツールとして検出する技術の開発が期待されている。
miRNA等の短鎖RNAを検出する方法としては、予め、標的RNAと特異的に結合するプローブを搭載したマイクロアレイを使用するマイクロアレイ法が多く用いられている(例えば、特許文献1等)。
また、miRNA等の短鎖RNAを検出する方法としては、他に、核酸増幅法も用いられており、例えば、標的miRNAをポリアデニル化してポリA配列を付加した上で、ポリT配列と標的miRNAの塩基配列に相補的な配列とを含むプライマーを用いた逆転写反応によりcDNAの合成を行い、このcDNAを鋳型として核酸増幅を行うことで、標的miRNAを検出する方法が開発されている(特許文献2)。
さらに、例えば、標的miRNAの塩基配列に相補的な3’領域とステムループとを有するプライマーに標的miRNAをハイブリダイズさせて、前記プライマーの伸長反応を行い、伸長反応させたプライマーを鋳型として核酸増幅を行うことで、標的miRNAを検出する方法も開発されている(特許文献3)。
また、核酸増幅法によって核酸を検出する方法としては、例えば、RNAを一部に含むキメラプローブを標的DNAにハイブリダイズさせ、それにより生じたDNA・RNAハイブリッド鎖をリボヌクレアーゼで切断して遊離させたキメラプローブの断片をプライマーとして伸長反応を行うことにより、標的DNAを検出する方法も開発されている(特許文献4)。
さらに、特定のポリヌクレオチドを検出する方法としては、例えば、非検出ポリヌクレオチド配列と、これと相補的な塩基配列を含む標識核酸プローブとをハイブリダイズさせ、これにより生じたDNA・RNAハイブリット鎖を、抗DNA・RNA抗体を用いて検出する方法も開発されており(特許文献5)、標的miRNAに、これと相補的な塩基配列を含むビオチン化DNAプローブをハイブリダイズさせ、これにより生じたDNA-RNA-ビオチン複合体を、抗DNA・RNA抗体を用いたELISA法で検出するためのキットがBioVendor社によって開発されている(非特許文献1)。
特開2007-075095号公報 米国特許出願公開第2009/0220969号明細書 米国特許第7575863号 特開2008-307029号公報 特開昭60-179657号公報
DENISファーマ株式会社、"miREIA-miRNA(micro RNA)Enzyme Immunoassay Kit"、[online]、[2021年8月5日検索]、インターネット<URL:https://research.sceti.co.jp/images/upload/flyer/16/16.pdf>
しかしながら、マイクロアレイ法は、操作が複雑である、高価であるといった課題を有している。また、一般的に用いられているマイクロアレイ法や核酸増幅法においては、標的となる核酸を一旦増幅反応させた後に検出するため増幅反応の精度に結果が左右されることが多く、また逆転写反応によって検出精度にバラツキが生じる場合もあり、試料中の標的核酸の量を厳密に反映できないという課題があった。さらに、本発明者らは、従来の抗DNA・RNA抗体を用いてDNA-RNA複合体をELISA法で検出する方法では、標的RNAの種類によっては感度が不十分であり、miRNA等の短鎖RNAの検出においては特に、適用できる標的RNAが限定されてしまうという課題を有していることも新たに見出した。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、miRNA等の短鎖RNAであっても、高感度かつ簡便に検出することができる標的RNA検出方法、並びに、これに好適に用いることができるプローブキットを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ね、標的RNAとDNAプローブとをハイブリダイズさせた複合体を、抗DNA・RNA抗体で捕捉して検出する方法において、前記DNAプローブを、標識物質を結合させるDNAプローブと、ステムループ構造を形成し、かつ、そのステム領域がDNA・RNAハイブリッドとなるキメラプローブと、の2種類に分割して設計したところ、これらのプローブを組み合わせて用いることにより、標的RNAがmiRNA等の短鎖RNAであっても、検出感度を著しく向上できることを見出した。さらに、この方法においては、核酸増幅反応を含む必要がないため、増幅反応の精度に拠らず、試料中の標的RNA量を反映した高精度の定量も可能となる。
また、かかる方法によれば、加熱等の温度管理をしなくとも、ハイブリッドから検出までの工程を等温で行ない、標的RNA量を高精度で検出することが可能であり、上記の核酸増幅反応が不要であることにも合わせて、従来よりも飛躍的に簡便に標的RNAを検出できることも本発明者らは見出し、本発明を完成するに至った。
かかる知見により得られた本発明の態様は以下のとおりである。
[1]
標的RNAを検出する方法であり、
(I)一本鎖の標的RNAの5’末端側又は3’末端側の第一の領域、及び第一の領域の側の他方の末端を含みかつ第一の領域と重複しない第二の領域に対して、
前記標的RNAの第一の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D1、及び標識物質を結合可能な領域SGを含むDNAプローブ、及び
前記標的RNAの第二の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D2、DNAからなる塩基配列SD、リンカー、及びRNAからなる塩基配列SRをこの順で含み、かつ、塩基配列SDと塩基配列SRとは互いに相補的な塩基配列からなり、塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRはステムループ構造を形成する、キメラプローブ
をハイブリダイズさせるハイブリダイズ工程と、
(II)非水溶性担体と前記非水溶性担体に固定された抗DNA・RNAキメラ抗体とを含む捕捉体で、前記標的RNA、前記DNAプローブ、及び前記キメラプローブの複合体を捕捉する捕捉工程と、
(III)前記捕捉体に捕捉された前記複合体を検出する検出工程と、
を含む、標的RNA検出方法。
[2]
前記検出工程が、領域SGに結合させた標識物質に由来するシグナルを指標として前記複合体を検出する工程である、[1]に記載の標的RNA検出方法。
[3]
前記標的RNAが、長さが19~25塩基長の一本鎖RNA分子である、[1]又は[2]に記載の標的RNA検出方法。
[4]
前記リンカーが、DNA及び/又はRNAからなる塩基配列である、[1]~[3]のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法。
[5]
前記リンカーの長さが3~50塩基長である、[4]に記載の標的RNA検出方法。
[6]
塩基配列SDの長さ及び塩基配列SRの長さがそれぞれ3~30塩基長である、[1]~[5]のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法。
[7]
前記ハイブリダイズ工程の温度が15~60℃である、[1]~[6]のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法。
[8]
前記非水溶性担体が粒子担体である、[1]~[7]のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法。
[9]
一本鎖の標的RNAの5’末端側又は3’末端側の第一の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D1、及び標識物質を結合可能な領域SGを含むDNAプローブと、
前記標的RNAの第一の領域の側の他方の末端を含みかつ第一の領域と重複しない第二の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D2、DNAからなる塩基配列SD、リンカー、及びRNAからなる塩基配列SRをこの順で含み、かつ、塩基配列SDと塩基配列SRとは互いに相補的な塩基配列からなり、塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRはステムループ構造を形成する、キメラプローブと、
を含む、プローブキット。
[10]
前記DNAプローブの領域SGに結合可能な標識物質をさらに含む、[9]に記載のプローブキット。
[11]
塩基配列D1の長さ及び塩基配列D2の長さの合計が10~100塩基長である、[9]又は[10]に記載のプローブキット。
[12]
前記リンカーが、DNA及び/又はRNAからなる塩基配列である、[9]~[11]のうちのいずれか一項に記載のプローブキット。
[13]
前記リンカーの長さが3~50塩基長である、[12]に記載のプローブキット。
[14]
塩基配列SDの長さ及び塩基配列SRの長さがそれぞれ3~30塩基長である、[9]~[13]のうちのいずれか一項に記載のプローブキット。
[15]
非水溶性担体と前記非水溶性担体に固定された抗DNA・RNAキメラ抗体とを含む捕捉体をさらに含む、[9]~[14]のうちのいずれか一項に記載のプローブキット。
[16]
前記非水溶性担体が粒子担体である、[15]に記載のプローブキット。
[17]
[1]~[8]のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法に用いるためのキットである、[9]~[16]のうちのいずれか一項に記載のプローブキット。
なお、本発明の構成によって上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明では、上記のように、標的RNAにハイブリダイズさせるDNAプローブを、標識物質を結合させるDNAプローブと、ステムループ構造を形成し、かつ、ステム領域がDNA・RNAハイブリッドとなるキメラプローブと、の2種類に分割している。これらのプローブの塩基配列は、標的RNAの塩基配列に基づいて設計され、当該標的RNA上の互いに重複しない領域(第一の領域、第二の領域)にハイブリダイズする。このとき、前記キメラプローブのステムループ構造により、前記標的RNAの塩基長に加えて、ステム領域分の塩基長のRNAが付加されるため、抗DNA・RNAキメラ抗体による認識部位が増加したことが同標的RNAの検出の高感度化につながったと推察される。
さらに、標的RNAの全長にDNAプローブをハイブリダイズさせる従来の方法では、その塩基長に応じて、当該DNAプローブのTm値が高くなる傾向にある。RNAとDNAとのハイブリダイズは低温でも可能であるが、十分なハイブリダイズの精度を維持するためには、通常、Tm値よりも5℃程度低い温度(例えば55℃以上)であることが必要であり、これよりも低い温度でハイブリダイズさせると非特異性が上がって精度が低下してしまう。これに対して、本発明では、上記のように標的RNAにハイブリダイズさせるプローブを2つに分割しているため、各プローブのTm値を低くすることができ、ハイブリッドから検出までの工程を常温(例えば37℃程度以下)かつ、等温(全工程を同じ温度)で行なっても十分なハイブリダイズの精度を維持することが可能となったと推察される。そのため、上記の核酸増幅反応が不要であることも合わせて、従来よりも飛躍的に簡便に標的RNAを高感度で検出できることが可能となったと本発明者らは推察する。
本発明によれば、miRNA等の短鎖RNAであっても、高感度かつ簡便に検出することができる標的RNA検出方法、並びに、これに好適に用いることができるプローブキットを提供することが可能となる。
本発明に係る標的RNA、DNAプローブ、キメラプローブ、及びこれらの複合体の一形態を示す模式概念図である。 本発明に係る標的RNA、DNAプローブ、キメラプローブ、及びこれらの複合体の他の一形態を示す模式概念図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を例に挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<標的RNA検出方法>
本発明の標的RNA検出方法は、
(I)一本鎖の標的RNAの5’末端側又は3’末端側の第一の領域、及び第一の領域の側の他方の末端を含みかつ第一の領域と重複しない第二の領域に対して、
前記標的RNAの第一の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D1、及び標識物質を結合可能な領域SGを含むDNAプローブ、及び
前記標的RNAの第二の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D2、DNAからなる塩基配列SD、リンカー、及びRNAからなる塩基配列SRをこの順で含み、かつ、塩基配列SDと塩基配列SRとは互いに相補的な塩基配列からなり、塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRはステムループ構造を形成する、キメラプローブ
をハイブリダイズさせるハイブリダイズ工程と、
(II)非水溶性担体と前記非水溶性担体に固定された抗DNA・RNAキメラ抗体とを含む捕捉体で、前記標的RNA、前記DNAプローブ、及び前記キメラプローブの複合体を捕捉する捕捉工程と、
(III)前記捕捉体に捕捉された前記複合体を検出する検出工程と、
を含む、方法である。
以下、本発明の標的RNA検出方法の好ましい形態について、場合により図1及び図2を参照しながら例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1及び図2は、それぞれ、本発明に係る標的RNA、DNAプローブ、キメラプローブ、及びこれらの複合体の一形態を示す模式概念図である。以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
なお、本発明において、「DNAからなる塩基配列」とは、デオキシリボヌクレオチドからなる塩基配列(オリゴDNA)であることを示し、「RNAからなる塩基配列」とは、リボヌクレオチドからなる塩基配列(オリゴRNA)であることを示し、「DNA及び/又はRNAからなる塩基配列」とは、デオキシリボヌクレオチドからなる塩基配列、リボヌクレオチドからなる塩基配列、又は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドからなる塩基配列(オリゴヌクレオチド)であることを示す。
また、本発明に係る標的RNA、DNAプローブ、及びキメラプローブを構成するヌクレオチドとしては、それぞれ独立に、天然のヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチド)のみから構成されていなくともよく、また例えば、前記非天然型のヌクレオチドにてその一部又は全部が構成されていてもよい。さらに、本発明に係るDNAプローブ及びキメラプローブを構成する塩基配列を得る方法としては、特に制限されず、従来公知の方法又はそれに準じた方法を適宜採用することができ、例えば、市販の合成機によって化学的に合成し、合成オリゴヌクレオチドとして製造することができる。
さらに、本発明において、ある塩基配列(又は領域)に対して「相補的な塩基配列」とは、互いにハイブリダイズして二本鎖を形成可能な塩基配列であればよく、完全に相補的でなくともよい。本発明において、「塩基配列(又は領域、以下同じ)Xと塩基配列(又は領域、以下同じ)Yとが相補的である」という場合、かかるハイブリダイズの条件としては、塩基配列Xと塩基配列Yとの配列相補性として、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、(例えば、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上)であることが好ましい。なお、前記配列相補性は、当業者であれば公知の手法(例えば、BLAST(NCBI))を用いて適宜計算することができる。また、前記ハイブリダイズの条件としては、塩基配列Xが、塩基配列Yの全長に対して完全に相補的な塩基配列の1~複数個所において、連続して1~5塩基長(好ましくは1~3塩基長、例えば、3塩基長、2塩基長、1塩基長)の塩基が挿入、欠失、又は置換されたものであってもよい。
(標的RNA)
本発明において、「標的RNA」とは、本発明の標的RNA検出方法によって検出する目的のRNAである。本発明において、前記標的RNAとしては、下記のDNAプローブ及びキメラプローブがハイブリダイズしうるものであれば特に制限されず、下記のDNAプローブ及びキメラプローブがハイブリダイズする領域が一本鎖であればよく、かかる一本鎖を部分的に含む二本鎖であっても、ヘアピン構造、ハンマーヘッド構造等の3次元構造を有するものであってもよい。
これらの中でも、本発明に係る標的RNAとしては、mRNA(メッセンジャーRNA)、ウイルスRNA、断片RNA、miRNA(マイクロRNA)、tRNA(トランスファーRNA)、rRNA(リボソームRNA)、snRNA(核内低分子RNA)、snoRNA(核小体低分子RNA)、siRNA(small interfering RNA)等が挙げられる。本発明の標的RNA検出方法を特に有効に適用することができる観点からは、長さが10~100000塩基長であるRNA分子であることが好ましく、長さが15~30塩基長である一本鎖RNA分子であることがより好ましく、miRNAであることがさらに好ましい。なお、「miRNA」とは、通常、19~25塩基長の一本鎖RNA分子を示し、タンパク質には翻訳されず、真核生物において、主に、遺伝子の転写後の発現調節に関与するといわれている。
miRNAは、各種疾患のマーカーとしても知られており、このようなmiRNAとしては、例えば、miR21-5p、Let7a、miR1185-3p、miR6875-5p、miR17-3p、miR421、miR27-a-3p、miR149-3p、miR-192-5p、miR-15b-5p、miR-125b、miR-155-5p、miR-885-5p、miR-1306-5p等が知られている。これらの中でも、特に、miR21-5p、Let7a、miR1185-3p、miR6875-5p、miR17-3p、miR421、miR27-a-3p、miR149-3p、miR-192-5p、miR-15b-5p等については、本発明の標的RNA検出方法によって従来の検出方法よりも特に高感度で検出することが可能である。
このような標的RNAとしては、特に制限されず、当該標的RNAを含みうる試料から抽出されたものであっても、人工的に合成されたものであってもよい。前記標的RNAを含みうる試料としても特に制限されず、例えば、化学合成したRNAを含む溶液の他、各種生物(細胞、組織、器官、個体を含む)及びその抽出液;ヒト及び動物の体液(唾液、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、うがい液、鼻汁、涙、汗、尿、喀痰、気管支肺胞洗浄液、血液、血清、血漿、髄液、リンパ液、精液、羊水等)や糞便;植物生体液;生物培養液;環境中の水(河川、湖沼、港湾、水路、地下水、浄水、下水、排水等);固形物(土壌、燃え殻等)の懸濁液等を目的に応じて適宜用いることができる。また、前記試料としては、希釈液で適宜希釈又は懸濁したものであっても、適宜pH調整したものであってもよい。前記希釈液としては、例えば、ナトリウムリン酸バッファー、TriS緩衝液、リン酸緩衝液、グッド緩衝液等の生化学緩衝液が挙げられる。さらに、前記試料から標的RNAを抽出する方法としては、適宜公知の方法を採用することができる。
下記のDNAプローブ及びキメラプローブとの対応を示すために、以下場合により、便宜的に、標的RNAの一本鎖部分を、互いに重複しない第一の領域及び第二の領域を含むものとする。図1の(a1)に示すように、第一の領域(111)を標的RNA(110)の5’末端側に設定する場合には、第二の領域(112)は、第一の領域の側の他方の末端、すなわち、同標的RNA上の3’末端側に設定され、図2の(a2)に示すように、第一の領域(121)を標的RNA(120)の3’末端側に設定する場合には、第二の領域(122)は、第一の領域の側の他方の末端、すなわち、同標的RNA上の5’末端側に設定されるものとする。
ただし、第一の領域及び第二の領域の態様は、図1及び図2に示した態様に限られるものではなく、例えば、第一の領域(111、121)は、標的RNAの一本鎖部分(110、120)の末端部分を含んでいなくともよく、この場合、第一の領域は、標的RNA上の5’末端又は3’末端から1塩基長以上の領域分を空けて配置されていてもよい。他方、第二の領域(112、122)は、標的RNA(110、120)の末端部分を含んでいる(すなわち、標的RNA上の5’末端又は3’末端から1塩基目より配置される)ことが好ましい。また、第一の領域と第二の領域とは、互いに隣接していなくともよく、1塩基長以上(例えば前記標的RNAが前記miRNAである場合、好ましくは、1~15塩基長)の領域(スペーサー)を介して配置されていてもよいが、互いに隣接していることがより好ましい。
本発明に係る第一の領域の長さ及び第二の領域の長さの好ましい範囲は、下記の塩基配列D1の長さ及び塩基配列D2の長さの好ましい範囲とそれぞれ対応する。
(DNAプローブ)
本発明に係る「DNAプローブ」は、前記標的RNAの第一の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D1、及び標識物質を結合可能な領域SGを含むオリゴヌクレオチドプローブである。
本発明に係るDNAプローブの全長としては、前記標的RNAの長さに応じて調整可能であるが、例えば、5~100塩基長であることが好ましく、10~60塩基長であることがより好ましく、15~40塩基長であることがさらに好ましく、例えば前記標的RNAが前記miRNAである場合には、15~30塩基長であることが好ましい。
〔塩基配列D1〕
本発明に係る塩基配列D1は、前記標的RNAの第一の領域と相補的であって、DNAからなる塩基配列である。このような塩基配列D1は、上記ハイブリダイズの条件を満たすように、目的の標的RNAの第一の領域の塩基配列に合わせて、より好ましくは、下記のキメラプローブや他の領域にハイブリダイズすることがないように、適宜設計及び調製することができる。
本発明に係る塩基配列D1の長さとしては、5塩基長以上であることが好ましく、5~50塩基長であることがより好ましく、例えば前記標的RNAが前記miRNAである場合には、5~20塩基長であることが好ましい。塩基配列D1の長さが前記下限未満であると、標的RNAの第一の領域とハイブリダイズしにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、非特異反応が生じやすくなる傾向にある。
〔領域SG〕
本発明に係る領域SGは、標識物質を結合可能な部位からなる領域である。領域SG(標識物質を結合可能な部位)としては、複数のヌクレオチドからなる領域であっても、特定のヌクレオチドの一部の箇所のみからなる領域であってもよい。なお、領域SGが複数のヌクレオチドからなる領域である場合、領域SGに含まれるヌクレオチドとしては、デオキシリボヌクレオチドであることが好ましい。
かかる領域SGの態様としては、特に制限されず、図1及び図2において、塩基配列D1(211、221)と領域SG(212、222)とは互いに別の領域として、領域SGが塩基配列D1(211)の3’末端側(212)又は塩基配列D1(221)の5’末端側(222)に隣接して1つずつ配置されているが、領域SGは、塩基配列D1に含まれていても、複数あってもよい。また、塩基配列D1と領域SGとが別の領域である場合には、塩基配列D1と領域SGとは、1~50塩基長(好ましくは、1~20塩基長)の領域(スペーサー)を介して配置されていてもよい。前記スペーサーとしては、例えば、ポリA配列が挙げられる。これらの中でも、領域SGの態様としては、DNAプローブが標的RNA及びキメラプローブと複合体(410、420)を形成したときに、塩基配列D1の、下記の塩基配列D2が配置される側とは他方の末端側に、必要に応じてスペーサーを介して、配置されることが好ましい。
前記標識物質を結合可能な部位としては、特に制限されず、下記の標識物質との結合方法によって適宜選択することができる。例えば、下記の標識物質とDNAプローブとをビオチンとストレプトアビジン(又はアビジン)との結合を介して結合させる場合、前記標識物質を結合可能な部位としては、ビオチンにより修飾された部位が挙げられる。このようなビオチンによる修飾(ビオチン化)の方法としては、適宜従来公知の方法又はそれに準じた方法を採用することができ、例えば、塩基配列D1の合成中にビオチンホスホロアミダイト(phosphoramidite)を用いてその5’末端にビオチンを導入して前記DNAプローブとする方法;5’-Amino-modified oligoを合成して、biotin-X-NHSエステル試薬を用いてoligoのアミノ基にビオチン残基を付加する方法等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
〔標識物質〕
本発明の標的RNA検出方法においては、DNAプローブに、領域SGを介して標識物質を結合させ、かかる標識物質に由来するシグナルを指標として標的RNAを検出する。前記標識物質は、下記のハイブリダイズ工程(I)の前に前記DNAプローブに予め結合させておいても、同ハイブリダイズ工程(I)の後又は下記の捕捉工程(II)の後に前記DNAプローブに結合させてもよい。
前記標識物質としては、公知の免疫学的測定方法やそれに準じた方法において標識物質として用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、酵素;ラテックス粒子、金コロイド粒子等の粒子;フルオレセインイソチオシアネート(FITC)及びローダミンイソチオシアネート(RITC)等の低分子量標識物質;アクリジニウム誘導体等の発光物質;ユーロピウム等の蛍光物質;アロフィコシアニン(APC)及びフィコエリスリン(R-PE)等の蛍光タンパク質;H、32P、35S、125I等の放射性物質が挙げられ、これらのうちの1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。
例えば、前記標識物質として酵素を用いる場合には、ルミノール、ルシフェリン、ルシゲニン等の発光基質、発色基質、蛍光基質等を基質として添加することにより、当該基質に応じて種々の検出を行うことができる。前記酵素としては、例えば、ペルオキシダーゼ(POD:西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)等)、アルカリホスファターゼ(ALP)、β-ガラクトシダーゼ(β-gal)、グルコースオキシダーゼ、β-D-グルコシダ―ゼ、ルシフェラーゼを挙げることができる。これらの中でも、感度が特に高い観点からは、ルシフェラーゼ等の生物発光酵素が好ましい。
前記標識物質を領域SGに結合させる方法としては、前記標識物質と前記DNAプローブとを直接的に結合させても、間接的に結合させてもよい。
直接的に結合させる場合には、下記のハイブリダイズ工程(I)の前に前記DNAプローブに予め結合させておくことが好ましく、適宜従来公知の方法又はそれに準じた方法により直接結合させることができる。
間接的に結合させる場合には、例えば、前記DNAプローブに結合する介在分子等を介して結合させることにより、前記標識物質を前記DNAプローブに間接的に結合させることができる。前記介在分子としては、特に制限されず、従来公知のものを適宜用いることができる。また、前記DNAプローブの領域SGとして、何らかの修飾を行い、その修飾部分を捕捉する物質を前記標識物質に結合させて、前記標識物質を前記DNAプローブに間接的に結合させてもよい。例えば、前記修飾部分の代表例としてはビオチンが、その修飾部分を捕捉する物質の代表例としてはストレプトアビジン又はアビジンが、それぞれ挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(キメラプローブ)
本発明に係る「キメラプローブ」は、前記標的RNAの第二の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D2、DNAからなる塩基配列SD、リンカー、及びRNAからなる塩基配列SRをこの順で含み、かつ、塩基配列SDと塩基配列SRとは互いに相補的な塩基配列からなり、塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRはステムループ構造を形成するオリゴヌクレオチドプローブである。
本発明に係るキメラプローブの全長としては、前記標的RNAの長さに応じて調整可能であるが、例えば、10~200塩基長であることが好ましく、例えば前記標的RNAが前記miRNAである場合には、15~50塩基長であることが好ましい。
〔塩基配列D2〕
本発明に係る塩基配列D2は、前記標的RNAの第二の領域と相補的であって、DNAからなる塩基配列である。このような塩基配列D2は、上記ハイブリダイズの条件を満たすように、目的の標的RNAの第二の領域の塩基配列に合わせて、より好ましくは、前記DNAプローブや他の領域にハイブリダイズすることがないように、適宜設計及び調製することができる。
本発明に係る塩基配列D2の長さとしては、5塩基長以上であることが好ましく、5~50塩基長であることがより好ましく、例えば前記標的RNAが前記miRNAである場合には、5~20塩基長であることが好ましい。塩基配列D2の長さが前記下限未満であると、標的RNAの第二の領域とハイブリダイズしにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、非特異反応が生じやすくなったり、前記標的RNAが短鎖RNAの場合に塩基配列D1が結合しにくくなる傾向にある。
また、本発明において、塩基配列D2の長さと、塩基配列D1の長さとの合計長さとしては、10~100塩基長であることが好ましく、例えば前記標的RNAが前記miRNAである場合には、10~25塩基長であることが好ましい。前記合計長さが前記下限未満であると、標的RNAとハイブリダイズしにくくなったり、抗DNA・RNAキメラ抗体が認識しにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、非特異反応が生じやすくとなる傾向にある。
さらに、本発明において、塩基配列D2の長さと、塩基配列D1の長さとの比としては、標的RNAの塩基配列に応じて、標的RNAの長さ、塩基配列D1と第一の領域との間の配列相補性、塩基配列D2と第二の領域との間の配列相補性、塩基配列D1から求められるTm値と塩基配列D2から求められるTm値とのバランス等を考慮して設定されるものであるため一概にはいえないが、例えば、塩基配列D2の塩基長:塩基配列D1の塩基長で、1:9~9:1であることが好ましく、例えば前記標的RNAが前記miRNAである場合には、1:4~4:1であることが好ましく、1:3~4:1であることがより好ましい。
〔塩基配列SD、リンカー、塩基配列SR〕
本発明に係る塩基配列SDはDNAからなる塩基配列であり、塩基配列SRはRNAからなる塩基配列であり、リンカーは、これら塩基配列SDと塩基配列SRとを繋ぐ領域である。
本発明に係るキメラプローブは、標的RNA及びDNAプローブと複合体(410、420)を形成したときに、塩基配列D2の、塩基配列D1が配置される側とは他方の末端側に、塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRをこの順で含み、かつ、塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRはステムループ構造を形成する。このようなステムループ構造を形成するキメラプローブの態様としては、前記標的RNA上に設定する第一の領域及び第二の領域の位置、並びに、組み合わせるDNAプローブに応じて、図1に示すように、3’末端側から、塩基配列D1(311)-塩基配列SD(312)-リンカー(313)-塩基配列SR(314)-5’となる態様(310)であっても、図2に示すように、5’末端側から、塩基配列D1(321)-塩基配列SD(322)-リンカー(323)-塩基配列SR(324)-3’となる態様(320)であってもよい。
塩基配列SDと塩基配列SRとは、互いに相補的な塩基配列からなり、前記ステムループ構造において、DNA・RNAキメラであるステム領域を形成する。このような塩基配列SDの長さ及び塩基配列SRの長さとしては、特に制限されないが、それぞれ独立して、3~30塩基長であることが好ましい。また、互いに同じ長さであることが好ましい。塩基配列SDの長さ及び塩基配列SRの長さが前記下限未満であると、互いにハイブリダイズすることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、非特異反応が生じやすくなったり、抗DNA・RNAキメラ抗体が標的となる複合体と競合してしまい、反応性が低下する傾向にある。
リンカーは、前記ステムループ構造において、塩基配列SDと塩基配列SRとをヘアピンループ状に繋げるループ領域を形成する。このようなリンカーとしては、塩基配列SDと塩基配列SRとを結合できる線状分子であれば特に制限されない。例えば、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、その他一般的にリンカーと呼ばれる周知の線状分子を用いることができる。これらの中でも、本発明に係るリンカーとしては、前記キメラプローブを製造する際に、オリゴヌクレオチドである塩基配列SD及び塩基配列SRの化学合成と共に一貫して容易に製造可能であるという観点から、オリゴヌクレオチドであることが好ましい。前記オリゴヌクレオチドとしては、デオキシリボヌクレオチドからなる塩基配列、リボヌクレオチドからなる塩基配列、及び、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドからなる塩基配列が挙げられる。リンカーによって塩基配列SDと塩基配列SRとが繋がれているため、容易に上記のステム構造を形成して標的RNAに塩基配列SRからなるRNAを付加することができる。
本発明に係るリンカーの長さとしては、オリゴヌクレオチドである場合、3~50塩基長であることが好ましく、5~20塩基長であることがより好ましい。リンカーの長さが前記下限未満であると、ヘアピンループ状に折れ曲がることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、自己アニールが優先的に行われなくなってステム構造を形成することが困難となる傾向にある。
塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRの配列は、塩基配列SDと塩基配列SRとが上記ハイブリダイズの条件を満たすように、より好ましくはDNAプローブや他の領域にハイブリダイズすることがないように、適宜設計及び調製することができる。
(捕捉体)
本発明に係る捕捉体は、非水溶性担体と前記非水溶性担体に固定された抗DNA・RNAキメラ抗体とを含む複合体であって、前記非水溶性担体と前記抗DNA・RNAキメラ抗体とが直接的又は間接的に結合してなる。
〔非水溶性担体〕
本発明において、「非水溶性担体」としては、抗DNA・RNAキメラ抗体を固定させて担持できるものであり、かつ、常温常圧下において水に不溶である限り特に制限はなく、免疫学的測定法等において従来公知の非水溶性担体が挙げられる。
より具体的には、例えば、ポリスチレンラテックス粒子やポリエチレンラテックス粒子といったラテックス粒子、金コロイド粒子といった金属コロイド粒子、ゼラチン粒子、磁性体粒子等の粒子担体;ポリスチレン製のウェルプレート等のプレート担体;ニトロセルロース、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン類、ガラス、セルロースなどの繊維からなるメンブレン担体等が挙げられ、一般的に用いられる素材のものであれば人工素材、天然素材、及びこれらの混合素材のいずれでもよい。これらの中でも、本発明に係る非水溶性担体としては、自動化が容易である観点から、粒子担体であることが好ましく、磁性体粒子であることがより好ましい。
本発明において、「担持」は固相化(固定化ともいう)と同義であり、前記担持の方法としては、物理吸着法や化学結合法等、適宜従来公知の方法又はそれに準じた方法を採用することができる。
〔抗DNA・RNAキメラ抗体〕
本発明において、「抗DNA・RNAキメラ抗体」とは、リボヌクレオチドからなるオリゴRNAとこれに相補的なデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴDNAとの二本鎖ヌクレオチド(本明細書中、場合により「DNA・RNAキメラ」という)と特異的に結合する抗体を示す。
本発明において、「抗体」には、完全な抗体の他、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、単鎖抗体、ダイアボディー等)や抗体の可変領域を結合させた低分子化抗体も含まれる。また、本発明に係る抗DNA・RNAキメラ抗体としては、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよいが、モノクローナル抗体であることがより好ましい。本発明に係る抗DNA・RNAキメラ抗体は、従来公知の産生方法を適宜採用、改良することによって産生することができ、また、一般に流通されているものを適宜用いてもよい。
本発明に係る捕捉体は、前記非水溶性担体に前記抗DNA・RNAキメラ抗体を結合させることによって製造することができる。かかる製造方法としては、適宜従来公知の方法又はそれに準じた方法を採用することができ、前記非水溶性担体に前記抗DNA・RNAキメラ抗体を直接的に結合させてもよく、間接的に結合させてもよい。
直接的に結合させる場合には、例えば、前記非水溶性担体及び/又は前記抗DNA・RNAキメラ抗体として活性基を有するものを用い、又は必要に応じて前記活性基を付与することにより、当該活性基によって前記抗DNA・RNAキメラ抗体を前記非水溶性担体に直接結合させることができる。また、前記非水溶性担体がプレートである場合には、プレート上に前記被抗DNA・RNAキメラ抗体を塗布し、必要に応じてブロッキングした後、これを乾燥させることにより、前記抗DNA・RNAキメラ抗体を前記非水溶性担体に直接結合させることができる。
間接的に結合させる場合には、例えば、前記抗DNA・RNAキメラ抗体に結合する介在分子等を介して結合させることにより、前記抗DNA・RNAキメラ抗体を前記非水溶性担体に間接的に結合させることができる。前記介在分子としては、特に制限されず、例えば、前記抗DNA・RNAキメラ抗体に結合可能な二次抗体、プロテインG、プロテインA、前記活性基を有する分子等が挙げられる。また、前記抗DNA・RNAキメラ抗体に何らかの修飾を行い、その修飾部分を捕捉する物質を前記非水溶性担体に固定化して、前記非水溶性担体上に前記抗DNA・RNAキメラ抗体を固定してもよい。例えば、前記修飾部分の代表例としてはビオチンが、その修飾部分を捕捉する物質の代表例としてはストレプトアビジン又はアビジンが、それぞれ挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、このような捕捉体としては、市販のものを適宜用いてもよい。
(複合体)
上記のように、前記DNAプローブの塩基配列D1及び前記キメラプローブの塩基配列D2は、それぞれ、前記標的RNAの第一の領域及び第二の領域の塩基配列に基づいて設計されるため、これらをハイブリダイズさせることにより、標的RNA、DNAプローブ、及びキメラプローブからなる複合体(標的RNA-DNAプローブ-キメラプローブ複合体(本明細書中、場合により単に「複合体」という))が形成される。標的RNAの5’末端側に第一の領域を設定した場合には、図1の(b1)に示すように、その第一の領域(111)に相補的な塩基配列D1(211)がハイブリダイズし、かつ、第二の領域(112)に相補的な塩基配列D2(311)がハイブリダイズするため、標的RNA(110)、DNAプローブ(210)、及びキメラプローブ(310)からなる複合体(410)が形成される。このとき、キメラプローブ(310)の5’末端側には塩基配列SD(312)、リンカー(313)、及び塩基配列RD(314)によってステムループ構造が形成され、標的RNA(110)の3’末端側に塩基配列RD(314)分のRNAが配置される。標的RNAの3’末端側に第一の領域を設定した場合には、図2の(b2)に示すように、5’末端と3’末端とが図1と逆の態様となる。
(ハイブリダイズ工程(I))
本発明の標的RNA検出方法は、第一の工程として、前記標的RNAに対して、前記DNAプローブ、及び前記キメラプローブをハイブリダイズさせるハイブリダイズ工程を含む。
前記ハイブリダイズ工程においては、前記標的RNAと、前記DNAプローブと、前記キメラプローブとを接触させることにより、前記複合体(標的RNA-DNAプローブ-キメラプローブ複合体)を形成させることができる。前記接触方法としては特に制限されず、3者を同時に接触させても、前記標的RNAに前記DNAプローブ及び前記キメラプローブを同時又は別々に添加しても、前記DNAプローブ又は前記キメラプローブに他を同時又は別々に添加してもよい。
前記ハイブリダイズ工程の反応系には、適宜反応バッファーを添加してもよい。前記反応バッファーとしては、pH5~9の公知の緩衝液(例えば、ナトリウムリン酸バッファー、MES、Tris、CFB、MOPS、PIPES、HEPES、トリシンバッファー、ビシンバッファー、グリシンバッファー等)が挙げられ、また、界面活性剤、塩、防腐剤、安定化剤(Mgなど)、タンパク質等が適宜添加されたものであってもよい。
前記ハイブリダイズ工程において、前記DNAプローブ及び前記キメラプローブの使用量としては、それぞれ独立に、前記反応系において、例えば、10fM~10mMであることが好ましく、10pM~10μMであることがより好ましい。
本発明において、前記ハイブリダイズ工程の温度としては、例えば、15~60℃の範囲が挙げられるが、本発明に係るハイブリダイズ工程は、加温が不要な比較的低温で行なうことが可能であり、このような温度としては、例えば、25~40℃の範囲が挙げられる。反応時間としては、特に制限されないが、例えば、5~60分間の範囲が挙げられる。
(捕捉工程(II))
本発明の標的RNA検出方法は、第二の工程として、前記捕捉体で、前記複合体(標的RNA-DNAプローブ-キメラプローブ複合体)を捕捉する捕捉工程を含む。
前記捕捉工程においては、前記複合体と、前記捕捉体とを接触させることにより、前記複合体のDNA・RNAキメラと抗DNA・RNAキメラ抗体との結合を介して、前記複合体を前記非水溶性担体に捕捉させ、同複合体を固相化させることができる。前記接触方法としては特に制限されず、前記捕捉体に前記ハイブリダイズ後の複合体(例えば反応液)を添加しても、前記捕捉体(例えば粒子懸濁液)を前記複合体に添加してもよい。また、下記のようにハイブリダイズ工程と捕捉工程とは同時並行で行なうことが可能であるため、前記捕捉体の存在下で前記ハイブリダイズ工程を行ってもよい。前記捕捉工程の反応系には、適宜反応バッファーを添加してもよい。前記反応バッファーとしては、前記ハイブリダイズ工程において挙げたものと同じものが挙げられる。
本発明において、前記捕捉工程の温度としては、特に制限されず、例えば、25~40℃の範囲が挙げられる。反応時間としても特に制限されず、例えば、5~60分間の範囲が挙げられる。本発明の標的RNA検出方法では、上記のハイブリダイズ工程の温度と捕捉工程の温度とを等温にすることが可能であり、簡便性の観点から好ましい。また、そのため、前記ハイブリダイズ工程と前記捕捉工程とは、同条件で同時に行なうことが可能である。
(洗浄工程)
本発明の標的RNA検出方法には、前記捕捉工程の後に、前記捕捉体に捕捉された複合体と、それ以外の前記捕捉体に結合していない(捕捉されていない)夾雑物とを分離し、前記夾雑物を除去する洗浄工程をさらに含むことが好ましい。前記夾雑物を除去する方法としては、特に制限されず、適宜従来公知の方法又はそれに準じた方法を採用することができ、例えば、前記捕捉体が抗体固相化プレートである場合にはプレート上から液相(上清)を除去する方法や、抗体固相化粒子である場合には前記粒子を遠心や集磁によって回収して液相(上清)を除去する方法が挙げられる。また、前記洗浄工程においては、必要に応じて、洗浄液の注入及び除去を繰り返してもよい。
前記洗浄液としては、例えば、pH5~9の公知の緩衝液(例えば、ナトリウムリン酸バッファー、MES、Tris、CFB、MOPS、PIPES、HEPES、トリシンバッファー、ビシンバッファー、グリシンバッファー等)が挙げられ、また、界面活性剤、塩、防腐剤、安定化剤(Mgなど)、タンパク質等が適宜添加されたものであってもよい。
(検出工程(III))
本発明の標的RNA検出方法は、第三の工程として、前記捕捉体に捕捉された前記複合体を検出する検出工程を含む。
前記検出工程においては、前記標識物質に由来するシグナルを検出する。例えば、前記標識物質が酵素である場合には、当該酵素に対応する発色基質や発光基質を添加して反応させることによって生じるシグナルを検出する。前記DNAプローブとして前記標識物質を予め結合させていないものを用いた場合には、前記DNAプローブの領域SGに結合可能な標識物質をこの検出工程で添加してもよい。このような標識物質としては、例えば、領域SGがビオチン化された部位である場合には、ストレプトアビジン(又はアビジン)化された標識物質が挙げられる。
これにより、前記標識物質に応じたシグナルを検出し、前記複合体の有無、すなわち試料中の標的RNAの有無を、前記シグナルの有無により検出することができる。本発明において、「シグナル」には、呈色(発色)、反射光、発光、消光、蛍光、放射性同位体による放射線等が含まれ、肉眼で確認できるものの他、シグナルの種類に応じた測定方法・装置によって確認できるものも含まれる。例えば、前記標識物質としてルシフェラーゼ等の生物発光酵素を用いた場合には、ルシフェリン等の基質の添加によって生じる発光を前記シグナルとして検出することができる。
さらに、試料中に標的RNAが存在する場合には、当該試料中の標的RNA量をシグナル量(例えば発光強度)として得ることができ、また、必要に応じて標準試料におけるシグナル量との比較をすることによって試料中の標的RNA量を定量することができる。
<プローブキット>
本発明は、上記の本発明の標的RNA検出方法に好適に用いることが可能なプローブキットも提供する。本発明のプローブキットは、
一本鎖の標的RNAの5’末端側又は3’末端側の第一の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D1、及び標識物質を結合可能な領域SGを含むDNAプローブと、
前記標的RNAの第一の領域の側の他方の末端を含みかつ第一の領域と重複しない第二の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D2、DNAからなる塩基配列SD、リンカー、及びRNAからなる塩基配列SRをこの順で含み、かつ、塩基配列SDと塩基配列SRとは互いに相補的な塩基配列からなり、塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRはステムループ構造を形成する、キメラプローブと、
を含む、キットである。
本発明のプローブキットとしては、前記DNAプローブの領域SGに結合可能な標識物質、並びに、非水溶性担体と前記非水溶性担体に固定された抗DNA・RNAキメラ抗体とを含む捕捉体からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでいることが好ましい。
本発明のプローブキットにおいて、標的RNA、DNAプローブ、キメラプローブ、標識物質、及び捕捉体としては、その好ましい態様も含めて、それぞれ、本発明の標的RNA検出方法において述べたとおりである。
本発明のプローブキットにおいて、標的RNA、DNAプローブ、キメラプローブ、標識物質、及び捕捉体(例えば抗体固相化粒子)としては、緩衝液、ブロッキング剤、保存剤、防腐剤等の他の成分が添加してあってもよい。
また、本発明のプローブキットとしては、前記希釈液、前記反応バッファー、前記洗浄液、標的RNAを抽出・精製するための試薬、各標識物質の検出に必要な試薬(例えば、各酵素反応に必要な基質)、他の緩衝液、pH調整剤等の試薬、標準RNA、対照試薬、使用説明書等をさらに備えていてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例に用いた標的RNA、DNAプローブ、及びキメラプローブは、それぞれ以下のものを用いた。
<miR6875-5p>
(1)標的RNA1として、下記の表1に示すmiR6875-5p(21塩基長、配列番号1)を常法で合成したものを用いた。
(2)DNAプローブとしては、標的RNA1の塩基配列に基づいて、その全長にハイブリダイズするDNAプローブ(miR6875-5p-全長、配列番号2)、標的RNA1の3’末端の14塩基にハイブリダイズするDNAプローブ(miR6875-5p-short(14nt)、配列番号3)、標的RNA1の3’末端の13塩基にハイブリダイズするDNAプローブ(miR6875-5p-short(13nt)、配列番号4)、標的RNAの3’末端の12塩基にハイブリダイズするDNAプローブ(miR6875-5p-short(12nt)、配列番号5)をそれぞれ常法で合成したものを用いた。これらDNAプローブとしては、5’末端にポリAを付加し、かつ、その5’末端にビオチンを付加したものをそれぞれ用いた。
(3)キメラプローブとしては、標的RNA1の塩基配列に基づいて、その5’末端の7塩基にハイブリダイズし、かつ、DNA・RNAキメラのステム領域を含むステムループを形成する(すなわち、図2(a2)の320の構造を形成する)キメラプローブ(miR-6875-5p-Chimera(7nt)(miR-6875-5p-Chimera(7nt)A LOOP5nt及びmiR-6875-5p-Chimera(7nt)stem8ntを兼ねる)、配列番号6)を常法で合成したものを用いた。さらに、キメラプローブとして、miR-6875-5p-Chimera(7nt)の、標的RNA1の5’末端の塩基配列とハイブリダイズする塩基長を8塩基にしたキメラプローブ(miR-6875-5p-Chimera(8nt)、配列番号7)、及び9塩基にしたキメラプローブ(miR-6875-5p-Chimera(9nt)、配列番号8)をそれぞれ常法で合成したものも用いた。
(4)また、キメラプローブとして、miR-6875-5p-Chimera(7nt)のループ部分(A×5)のAの数を10塩基としたキメラプローブ(miR-6875-5p-Chimera(7nt)A LOOP10nt、配列番号9)、及び20塩基としたキメラプローブ(miR-6875-5p-Chimera(7nt)A LOOP20nt、配列番号10)をそれぞれ常法で合成したものも用いた。
(5)さらに、キメラプローブとして、miR-6875-5p-Chimera(7nt)のステム部分(G×8、C×8)のG、Cの数をそれぞれ10塩基としたキメラプローブ(miR-6875-5p-Chimera(7nt)stem10nt、配列番号19)を常法で合成したものも用いた。
<miR149-3p>
(1)標的RNA2として、下記の表1に示すmiR149-3p(miR149、21塩基長、配列番号11)を常法で合成したものを用いた。
(2)DNAプローブとしては、標的RNA2の塩基配列に基づいて、その全長にハイブリダイズするDNAプローブ(miR149-全長、配列番号12)、標的RNA2の3’末端の14塩基にハイブリダイズするDNAプローブ(miR149-short、配列番号13)を常法で合成したものを用いた。これらDNAプローブとしては、5’末端にポリAを付加し、かつ、その5’末端にビオチンを付加したものをそれぞれ用いた。
(3)キメラプローブとしては、標的RNA2の塩基配列に基づいて、その5’末端の7塩基にハイブリダイズし、かつ、DNA・RNAキメラのステム領域を含むステムループを形成する(すなわち、図2(a2)の320の構造を形成する)キメラプローブ(miR149-Chimera、配列番号14)を常法で合成したものを用いた。
<miR1268b>
(1)標的RNA3として、下記の表1に示すmiR1268b(20塩基長、配列番号15)を常法で合成したものを用いた。
(2)DNAプローブとしては、標的RNA3の塩基配列に基づいて、その全長にハイブリダイズするDNAプローブ(miR1268b-全長、配列番号16)、標的RNA3の3’末端の13塩基にハイブリダイズするDNAプローブ(miR1268b-short、配列番号17)を常法で合成したものを用いた。これらDNAプローブとしては、5’末端にポリAを付加し、かつ、その5’末端にビオチンを付加したものをそれぞれ用いた。
(3)キメラプローブとしては、標的RNA3の塩基配列に基づいて、その5’末端の7塩基にハイブリダイズし、かつ、DNA・RNAキメラのステム領域を含むステムループを形成する(すなわち、図2(a2)の320の構造を形成する)キメラプローブ(miR1268b-Chimera、配列番号18)を常法で合成したものを用いた。
(試験例1)生物発光酵素免疫測定法によるキメラプローブの効果の確認
(1)先ず、公知の方法により、抗DNA/RNA抗体を抗体固相化用磁性粒子に固相化させた。これをアジ化ナトリウムを含むリン酸緩衝液で希釈して、1.5mg/mLの抗体固相化磁性粒子懸濁液を調製した。
(2)次いで、各標的RNAを1×10又は1×10cp/μL、及び各プローブを10nM含むハイブリダイズ液を常温(約25℃)で混合し、調製した。各標的RNA及びプローブは、下記の表2に示す組み合わせで用い、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせた場合には、それぞれの濃度が10nMとなるように前記ハイブリダイズ液を調製した。次いで、前記ハイブリダイズ液200μL、前記抗体固相化磁性粒子懸濁液20μL、及び緩衝液(塩及び界面活性剤を含むTris-HCl(pH8.0)溶液)40μLを混合し、37℃で15分間反応させた。
(3)以下、「BLEIA(登録商標)‘栄研’H.ピロリ抗原(栄研化学株式会社製)」付属のプロトコールに準じ、全自動生物化学発光免疫測定装置「BLEIA(登録商標)-1200(栄研化学株式会社製、以下同じ)」を用いて、標的RNAを検出した。
すなわち、先ず、上記(2)の反応後、BLEIA(登録商標)-1200用の洗浄液で磁性粒子を含む固相を5回洗浄し、洗浄液を除去後、BLEIA(登録商標)-1200用の標識ストレプトアビジンを80μL添加して攪拌し、37℃で15分間反応させた。
次いで、前記洗浄液で磁性粒子を含む固相を5回洗浄した後、洗浄液を除去した。これに、BLEIA(登録商標)-1200用のBL発光試薬1を50μL加えて攪拌した後、BLEIA(登録商標)-1200用のBL発光基質を50μL加えて攪拌し、ルシフェラーゼによる波長480~650nm(λmax:560nm)における発光強度(PC)を測定した。また、各標的RNA及びプローブの組み合わせについて、標的RNAを添加しないこと以外は上記と同様にして発光強度を測定し、コントロール(NC)とした。
(4)各標的RNA及びプローブの組み合わせ(実施例1~5、比較例1~3)について、次式:S/N比=PC/NCにより、それぞれS/N比を算出した。また、DNAプローブを単独で用いたとき(比較例)に対する、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いたとき(実施例)のS/N比(対比較例)をそれぞれ算出した。結果を下記の表2に示す。
表2に示したように、DNAプローブを単独で用いたとき(比較例1~3)に比べて、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いたとき(実施例1~5)には、検出強度を示すS/N比が、標的RNA1(miR6875-5p)では約12倍、標的RNA2(miR149-3p)では約96倍、標的RNA3(miR1268b)では約23倍と、いずれの標的RNAでも著しく高くなった。これより、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いることにより、miRNAを高感度で検出可能となることが確認された。
(試験例2)キメラプローブによる定量性確認
試験例1と同様の方法により、キメラプローブを用いたときの定量性を確認した。具体的には、標的RNA1(miR6875-5p)を1×10~1×10cp/μLとなるように調整してそれぞれ用いたこと以外は、試験例1の比較例1及び実施例3と同様にして各発光強度(PC及びNC)を測定し、S/N比を算出した。結果を下記の表3に示す。
表3に示したように、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いたとき(実施例3)にも、DNAプローブを単独で用いたとき(比較例1)と同様に、標的RNA1の濃度に応じてS/N比が増加した。
(試験例3)生物発光酵素免疫測定法によるキメラプローブのループ領域の長さ検討
試験例1と同様の方法により、キメラプローブのループ領域(A LOOP)の長さを検討した。具体的には、標的RNA1(miR6875-5p)を1×10cp/μL、及び各プローブを10nM含むハイブリダイズ液を調製し、各プローブを下記の表4に示す組み合わせとしたこと以外は、試験例1と同様にして各発光強度(PC及びNC)を測定し、S/N比を算出した。また、DNAプローブを単独で用いたとき(比較例4)に対する、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いたとき(実施例6~8)のS/N比(対比較例)をそれぞれ算出した。結果を下記の表4に示す。
表4に示したように、試験例1と同様に、DNAプローブを単独で用いたとき(比較例4)に比べて、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いたとき(実施例6~8)には、いずれの場合にもS/N比が高くなった。中でも、キメラプローブのループ領域(A LOOP)の塩基数が5塩基長である場合(実施例6)が最も高くなった。これは、ループ領域がより短い方がステム領域をより形成しやすいためと推察される。
(試験例4)生物発光酵素免疫測定法によるステム長さ検討
試験例1と同様の方法により、キメラプローブのステム領域(stem)の長さを検討した。具体的には、標的RNA1(miR6875-5p)を1×10cp/μL、及び各プローブを10nM含むハイブリダイズ液を調製し、各プローブを下記の表5に示す組み合わせとしたこと以外は、試験例1と同様にして各発光強度(PC及びNC)を測定し、S/N比を算出した。また、DNAプローブを単独で用いたとき(比較例4)に対する、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いたとき(実施例9~10)のS/N比(対比較例)をそれぞれ算出した。結果を下記の表5に示す。
表5に示したように、試験例1と同様に、DNAプローブを単独で用いたとき(比較例4)に比べて、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いたとき(実施例9~10)には、いずれの場合にもS/N比が高く、ステム領域(stem)の長さ(塩基数)には影響を受けなかった。
(試験例5)酵素免疫測定法によるキメラプローブの効果の確認
「miREIA-miRNA(micro RNA)Enzyme Immunoassay Kit(BioVendor社製)」付属のプロトコールに準じ、標的RNAを検出した。すなわち、前記キットのmiRNAとして標的RNA3(miR1268b)を用い、ビオチン化DNAプローブとして下記の表6に記載の組み合わせでDNAプローブ及びキメラプローブを用いたこと以外は、前記キットにより、同キットに付属のプロトコールにしたがって測定を行った。具体的には、先ず、サーマルサイクラーにより、85℃で3分、4℃で2分、37℃で5分にてプローブのプレヒートを行なった後、抗体固相化プレートにおいてインキュベーションした。その後、抗体固相化プレートを洗浄し、ストレプトアビジン-HPR(ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ)コンジュケートを添加してインキュベーションした後、再度洗浄し、TMB基質を添加して生じた発光強度を測定した。なお、各プローブは、DNA Probe working Solusion作製時に0.17μMになるように添加した。
発光強度は、波長450nm及び630nmで測定し、これらの差(波長450nmにおける発光強度-波長630nmnmにおける発光強度)をPCとした。また、標的RNAを添加しないこと以外は上記と同様にしてコントロール(NC)値を得た。さらに、次式:S/N比=PC/NCにより、それぞれS/N比を算出し、また、DNAプローブを単独で用いたとき(比較例5)に対する、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いたとき(実施例11)のS/N比(対比較例)も算出した。結果を下記の表6に示す。
表6に示したように、酵素免疫測定法によっても、プレヒートを行わなかった生物発光酵素免疫測定法に比べて低下はしたものの、DNAプローブを単独で用いたとき(比較例5)、すなわち、従来の抗DNA・RNA抗体を用いてDNA-RNA複合体をELISA法で検出する方法に比べて、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いたとき(実施例11)には、S/N比が高くなった。これより、酵素免疫測定法によっても、DNAプローブとキメラプローブとを組み合わせて用いることにより、miRNAを高感度で検出可能となることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、miRNA等の短鎖RNAであっても、高感度かつ簡便に検出することができる標的RNA検出方法、並びに、これに好適に用いることができるプローブキットを提供することが可能となる。
110、120…標的RNA、111、121…第一の領域、112、122…第二の領域、210、220・・・DNAプローブ、211、221・・・塩基配列D1、212、222・・・領域SG、310、320・・・キメラプローブ、311、321・・・塩基配列D2、312、322・・・塩基配列SD、313、323・・・リンカー、314、324・・・塩基配列RD、410、420・・・標的RNA-DNAプローブ-キメラプローブ複合体。
配列番号:2
<223> miR6875-5p-全長
配列番号:3
<223> miR6875-5p-short(14nt)
配列番号:4
<223> miR6875-5p-short(13nt)
配列番号:5
<223> miR6875-5p-short(12nt)
配列番号:6
<223> miR-6875-5p-Chimera(7nt)
<223> 21~28はRNAを示す
配列番号:7
<223> miR-6875-5p-Chimera(8nt)
<223> 22~29はRNAを示す
配列番号:8
<223> miR-6875-5p-Chimera(9nt)
<223> 23~30はRNAを示す
配列番号:9
<223> miR-6875-5p-Chimera(7nt)A LOOP10nt
<223> 26~33はRNAを示す
配列番号:10
<223> miR-6875-5p-Chimera(7nt)A LOOP20nt
<223> 36~43はRNAを示す
配列番号:12
<223> miR149-全長
配列番号:13
<223> miR149-short
配列番号:14
<223> miR149-Chimera
<223> 21~28はRNAを示す
配列番号:16
<223> miR1268b-全長
配列番号:17
<223> miR1268b-short
配列番号:18
<223> miR1268b-Chimera
<223> 21~28はRNAを示す
配列番号:19
<223> miR-6875-5p-Chimera(7nt)stem10nt
<223> 23~32はRNAを示す

Claims (17)

  1. 標的RNAを検出する方法であり、
    (I)一本鎖の標的RNAの5’末端側又は3’末端側の第一の領域、及び第一の領域の側の他方の末端を含みかつ第一の領域と重複しない第二の領域に対して、
    前記標的RNAの第一の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D1、及び標識物質を結合可能な領域SGを含むDNAプローブ、及び
    前記標的RNAの第二の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D2、DNAからなる塩基配列SD、リンカー、及びRNAからなる塩基配列SRをこの順で含み、かつ、塩基配列SDと塩基配列SRとは互いに相補的な塩基配列からなり、塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRはステムループ構造を形成する、キメラプローブ
    をハイブリダイズさせるハイブリダイズ工程と、
    (II)非水溶性担体と前記非水溶性担体に固定された抗DNA・RNAキメラ抗体とを含む捕捉体で、前記標的RNA、前記DNAプローブ、及び前記キメラプローブの複合体を捕捉する捕捉工程と、
    (III)前記捕捉体に捕捉された前記複合体を検出する検出工程と、
    を含み、
    第一の領域の長さが5~50塩基長であり、
    第二の領域の長さが5~50塩基長であり、
    第一の領域と第二の領域とは互いに隣接しており、
    前記DNAプローブにおいて、領域SGは、前記DNAプローブが前記標的RNA及び前記キメラプローブと複合体を形成したときに、塩基配列D1の、塩基配列D2が配置される側とは他方の末端側に配置されている、
    ことを特徴とする、標的RNA検出方法。
  2. 前記検出工程が、領域SGに結合させた標識物質に由来するシグナルを指標として前記複合体を検出する工程であることを特徴とする、請求項1に記載の標的RNA検出方法。
  3. 前記標的RNAが、長さが19~25塩基長の一本鎖RNA分子であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の標的RNA検出方法。
  4. 前記リンカーが、DNA及び/又はRNAからなる塩基配列であることを特徴とする、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法。
  5. 前記リンカーの長さが3~50塩基長であることを特徴とする、請求項4に記載の標的RNA検出方法。
  6. 塩基配列SDの長さ及び塩基配列SRの長さがそれぞれ3~30塩基長であることを特徴とする、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法。
  7. 前記ハイブリダイズ工程の温度が15~60℃であることを特徴とする、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法。
  8. 前記非水溶性担体が粒子担体であることを特徴とする、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法。
  9. 一本鎖の標的RNAの5’末端側又は3’末端側の第一の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D1、及び標識物質を結合可能な領域SGを含むDNAプローブと、
    前記標的RNAの第一の領域の側の他方の末端を含みかつ第一の領域と重複しない第二の領域と相補的なDNAからなる塩基配列D2、DNAからなる塩基配列SD、リンカー、及びRNAからなる塩基配列SRをこの順で含み、かつ、塩基配列SDと塩基配列SRとは互いに相補的な塩基配列からなり、塩基配列SD、リンカー、及び塩基配列SRはステムループ構造を形成する、キメラプローブと、
    を含み、
    第一の領域の長さが5~50塩基長であり、
    第二の領域の長さが5~50塩基長であり、
    第一の領域と第二の領域とは互いに隣接しており、
    前記DNAプローブにおいて、領域SGは、前記DNAプローブが前記標的RNA及び前記キメラプローブと複合体を形成したときに、塩基配列D1の、塩基配列D2が配置される側とは他方の末端側に配置されている、
    ことを特徴とする、プローブキット。
  10. 前記DNAプローブの領域SGに結合可能な標識物質をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のプローブキット。
  11. 塩基配列D1の長さ及び塩基配列D2の長さの合計が10~100塩基長であることを特徴とする、請求項9又は10に記載のプローブキット。
  12. 前記リンカーが、DNA及び/又はRNAからなる塩基配列であることを特徴とする、請求項9~11のうちのいずれか一項に記載のプローブキット。
  13. 前記リンカーの長さが3~50塩基長であることを特徴とする、請求項12に記載のプローブキット。
  14. 塩基配列SDの長さ及び塩基配列SRの長さがそれぞれ3~30塩基長であることを特徴とする、請求項9~13のうちのいずれか一項に記載のプローブキット。
  15. 非水溶性担体と前記非水溶性担体に固定された抗DNA・RNAキメラ抗体とを含む捕捉体をさらに含むことを特徴とする、請求項9~14のうちのいずれか一項に記載のプローブキット。
  16. 前記非水溶性担体が粒子担体であることを特徴とする、請求項15に記載のプローブキット。
  17. 請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の標的RNA検出方法に用いるためのキットであることを特徴とする、請求項9~16のうちのいずれか一項に記載のプローブキット。
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