JP7745363B2 - 電極用分散体の製造方法 - Google Patents

電極用分散体の製造方法

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの電極に用いられる電極用分散体の製造方法に関する。
従来より、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池においては、長期間の繰り返し充放電に耐えうる電池性能が求められている。そのような電池性能を確保する試みの一つとして、従来より電極の製造方法などに関する検討が行われている。
例えば、特許文献1には、正極活物質を含む正極および負極活物質を含む負極の製造方法であって、正極および負極を製造するための電極用スラリーの製造工程を含み、前記電極用スラリーの製造工程は、少なくとも、前記正極活物質または前記負極活物質と、導電助剤と、非水溶媒とを混合する第一工程と、前記第一工程で得られたスラリーを希釈または濃縮して混練することで、電極用スラリーを製造する第二工程と、を有し、前記第一工程では、得られるスラリーの水分含有量が1000ppm以下、粘度が500cP以上8000cP以下の条件となるように混合し、前記第二工程では、得られる電極用スラリーの水分含有量が、前記第一工程を終えた後のスラリーの水分含有量に維持されるように混練することを特徴とする、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法であり、上記第一工程と第二工程におけるスラリー中の水分量と粘度を制御することで、ゲル化及び混合による活物質への化学的なダメージが抑えられる手法が提案されている。
しかしながら、この特許文献1では、第一工程から第二工程にかけて多くの頻度で混合装置を開閉させることで、低露点環境下であっても大気中の水分がスラリーに吸収される懸念があり、加熱や減圧を駆使してスラリーに含まれる水分を除去したとしても、水分による活物質の変質は極短時間で不可逆的に起きるため、水分による活物質への化学的なダメージを確実に抑制できないなどの課題があるものであった。
また、特許文献2には、粉末と溶媒とを含む材料が混合されたリチウムイオン二次電池またはキャパシタの電極用塗料を製造する方法であって、上記材料を予備撹拌する予備撹拌工程と、上記予備撹拌工程によって得られた中間材料を、容器とこの容器の内壁面のわずかに内側で高速回転する回転部材とを有する高速撹拌機に供給し、上記回転部材による遠心力によって上記回転部材と上記内壁面との間に膜状に存在させた上記中間材料を連続撹拌する高速撹拌工程と、上記高速撹拌工程で得られた撹拌済み材料を撹拌羽根付きの処理タンクに導入して真空脱泡処理を行う真空脱泡工程と、を含むことを特徴とする、塗料の製造方法であり、上記貯蔵工程を経た中間材料を高速撹拌機に連続的に供給することで、凝集物等の除去工程を不要とするか簡略化が可能である手法が提案されている。
しかしながら、この特許文献2では、予備撹拌工程がバッチ方式であるため、低速回転する大径の撹拌羽根や容器の上部に材料の付着物が発生し、意図した組成の均一なスラリーとすることができない恐れがあった。また、高速撹拌機による撹拌では凝集物等を確実には除去できないことが発明者らにより確認されている。さらに、工程におけるスラリーの吸湿の影響については言及されていないものである。
更に、特許文献3には、電極活物質粉末と、結着材粉末とを、混合装置に投入して混合する混合工程と、前記混合工程後に溶剤を前記混合装置に投入して、前記電極活物質粉末と前記結着材粉末とを含む粉末材料を混練する混練工程と、を有する電極スラリーの製造方法において、前記混合工程では、前記結着材粉末を前記混合装置に投入した後に、前記電極活物質粉末を前記混合装置に投入することを特徴とする、電極スラリーの製造方法が開示されており、前記結着材はバッチ方式で結着材を配合した後に、比重が大きく多量に配合する活物質を投入することで、結着材のダマの発生を抑制でき、電極表面の筋などの発生や、ダマを解消するために混練時間が長くなることを避けられる手法が提案されている。
しかしながら、この特許文献3では、混練工程がバッチ方式であるため容器内上部などの混練が成されない部分への材料の付着物は抑制することができず、凝集物等を確実には除去できないものであった。また、混練時の粘度を調整するために時間を要し、上記のように容器内上部などへの付着を解消するために容器を開閉するため、低露点環境であってもスラリーが吸湿し易いという問題があった。さらに、付着の解消を人の手で行うため、人からの発湿の影響を顕著に受けてしまう点も問題となっている。また、工程におけるスラリーの吸湿の影響については言及されていないものである。
更にまた、特許文献4には、活物質と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の良溶媒と、導電性炭素材料とを含有してなる合材スラリーの製造方法であって、活物質と、ポリフッ化ビニリデン系樹脂とを混合して混合粉末を製造する工程となる第1工程、混合粉末をポリフッ化ビニリデン系樹脂の良溶媒に添加し、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の溶解と、活物質の分散とを同時に行い、分散溶液を製造する工程となる第2工程、分散溶液に導電性炭素材料を分散溶液に添加し、混練して合材スラリーを製造する工程となる第3工程を順次行うことを特徴とする合材スラリーの製造方法が開示されており、上記活物質と結着材であるポリフッ化ビニリデン系樹脂を混合し、溶媒に添加することで、活物質が分散されると同時にポリフッ化ビニリデン系樹脂が迅速に溶解され、結着材の未溶解物の残存を抑制できる手法が提案されている。
しかしながら、この特許文献4では、活物質と結着材であるポリフッ化ビニリデン系樹脂を事前に粉体で混合する工程を必要とするため、活物質と結着材が比表面積の大きい粉体の状態で、長時間大気に曝露されることとなり、低露点環境下であっても吸湿の影響を多大に受けてしまう点が問題となっている。また、工程におけるスラリーの吸湿の影響については言及されていないものである。
国際公開2017/188043(特許請求の範囲、実施例等) 国際公開2010/018771(特許請求の範囲、実施例等) 特開2015-141737号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2013-196804号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来の課題等について解消しようとするものであり、ゲル化することなく安定した粘度である分散体性能、塗工時の筋の発生などを抑制する塗工性能、分散体の品質が均一であるために、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがなく、ガスの発生による不具合がないといった電池性能を実現する、電極用分散体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題について鋭意検討した結果、下記の第1乃至第15発明により、上記目的の電極用分散体の製造方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本第1発明は、少なくとも溶媒と結着材と導電材と活物質とを混合する混合工程(第一工程)と、材料の投入を伴わない分散工程(第二工程)と、材料の投入を伴わず第二工程とは分散条件が異なる分散工程(第三工程)と、を有する電極用分散体の製造方法であって、前記第一工程では、混合装置に前記溶媒を投入した後に、前記結着材及び前記導電材を投入し、該結着材及び前記導電材を投入した後に、前記活物質を投入し、第一工程から第三工程の環境が、少なくとも、露点温度-25℃以下であることを特徴とする、電極用分散体の製造方法。
本第2発明は、材料の投入を伴わない真空脱泡工程(第四工程)を含むことを特徴とする、本第1発明に記載の電極用分散体の製造方法。
本第3発明は、孔径10μm乃至50μmのフィルターで濾過をする濾過工程(第五工程)を含むことを特徴とする、本第1発明又は本第2発明に記載の電極用分散体の製造方法。
本第4発明は、露点温度が-25℃以下の環境において、3時間以上乾燥させたか、又は接液部に親水性基を有さない材料から構成されるフィルターを用いることを特徴とする、本第3発明に記載の電極用分散体の製造方法。
本第5発明は、前記溶媒の水分量が200ppm以下であることを特徴とする、本第1乃至第4発明の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
本第6発明は、第一工程において分散体の粘度が8000mPa・s以下であることを特徴とする、本第1発明乃至第5発明の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
本第7発明は、前記結着材を投入した後に前記導電材を投入することを特徴とする、本第6発明に記載の電極用分散体の製造方法。
本第8発明は、前記活物質を投入した後に絶対圧力20kPa以下に減圧することを特徴とする、本第1発明乃至第7発明の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
本第9発明は、前記導電材を投入した後に絶対圧力20kPa以下に減圧することを特徴とする、本第1発明乃至第8発明に記載の電極用分散体の製造方法。
本第10発明は、前記結着材を投入した後に絶対圧力20kPa以下に減圧することを特徴とする、本第1発明乃至第9発明の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
本第11発明は、前記活物質がリチウム-ニッケル複合酸化物であることを特徴とする、本第1発明乃至第10発明の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
本第12発明は、前記リチウム-ニッケル複合酸化物が、LiNiM1M2(M1およびM2は、Al、B、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の元素のうち少なくとも1種以上の金属元素、0.8≦X≦1.0、0≦Y≦0.2、0≦Z≦0.2)であることを特徴とする、本第11発明に記載の電極用分散体の製造方法。
本第13発明は、前記分散体の固形分濃度が40質量%以上90質量%以下であることを特徴とする、本第1発明乃至第12発明の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
本第14発明は、前記分散体のレーザー回折法において体積基準により算出されたメジアン径(D50)が5μm以上15μm以下であることを特徴とする、本第1発明乃至第13発明の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
本第15発明は、前記環境露点温度が-30℃以下であることを特徴とする、本第1発明乃至本第14発明の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
なお、本明細書において「露点温度(Dew Point Temperature:dp)」とは、水蒸気を含む空気を冷却したとき、相対湿度が100%となって飽和に達し、水蒸気の一部が凝縮して結露が始まる温度をいう。また、「環境露点」とは、電極用分散体や電極用分散体を構成する原材料に触れる大気の露点温度のことを指し、タンクや混合機内における気相のことをいう。
本発明によれば、ゲル化することなく安定した粘度である分散体性能、塗工時の筋の発生などを抑制する塗工性能、分散体の品質が均一であるために、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがなく、ガスの発生による不具合がないといった電池性能を実現する電極用分散体の製造方法を提供することができる。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
本発明の電極用分散体の製造方法の一例を説明するための各工程をフローチャート態様で示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述する実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。また、本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識(設計事項、自明事項を含む)に基づいて実施することができる。
図1は、本発明の電極用分散体の製造方法の一例を説明するための各工程をフローチャート態様で示す説明図である。
本発明の電極用分散体の製造方法は、例えば、図1に示すように、少なくとも溶媒と結着材と導電材と活物質とを混合する混合工程(第一工程:S1)と、材料の投入を伴わない分散工程(第二工程:S2)と、材料の投入を伴わず第二工程とは分散条件が異なる分散工程(第三工程:S3)と、を有する電極用分散体の製造方法であって、前記第一工程では、混合装置に前記溶媒を投入した後に、前記結着材及び前記導電材を投入し、該結着材及び前記導電材を投入した後に、前記活物質を投入し、前記第一工程S1から前記第三工程S3の環境が、少なくとも、露点温度-25℃以下であることを特徴とするものである。
本発明にあっては、本発明の効果を発揮せしめる点から、少なくとも、前記第一工程S1から前記第三工程S3の環境が露点温度-25℃以下で行うものであり、前記第一工程S1から前記第三工程S3における環境において露点温度が-25℃を超える温度(例えば、-24℃や-20℃など)がある場合には、急激に溶媒が水分を吸収することで、ゲル化や活物質への化学的ダメージによる劣化が進行し易くなり、本発明の効果を十分に発揮することができず、好ましくないものとなる。
より好ましくは、電極用分散体を製造する前記第一工程S1から前記第三工程S3の環境露点は、少なくとも-25℃以下、より好ましくは-30℃以下であることが望ましい。-25℃以下であれば、環境露点を含む露点温度は低ければ低いほど良いが、ドライ環境を構築するためのコストの面から、環境露点を含む露点温度は-80℃以上、-75℃以上、-70℃以上、-65℃以上、-60℃以上、-55℃以上、-50℃以上、-45℃以上であってよい。
上記第一工程S1から第三工程S3における混合装置外や分散装置外で電極用分散体や電極用分散体を構成する原材料が大気に曝露される状況においては、その部屋の露点温度も、少なくとも、-25℃以下に制御しなければならない。本明細書において、露点温度の計測は、オンライン露点計TK-100(テクネ計測社製)を用いて計測した。
少なくとも溶媒と結着材と導電材と活物質とを混合する混合工程(第一工程)に用いられる混合機としては、例えば、プラネタリーミキサー、コンビミックス、コニカルミキサー、ニーダー、自転公転ミキサー、ヘンシェルミキサー等の公知のものが使用でき、特に限定されない。これらの混合機は、投入した材料を溶媒に短時間で確実に溶媒へ濡らす必要性、投入時に生成される気泡を除去する必要性の点から、真空ポンプにより絶対圧力20kPa以下に減圧できる構造になっているものが好ましい。
また、上記各混合機の内部において、電極用分散体や電極用分散体を構成する原材料を均一に混合するための撹拌羽根は、更なる均一性を実現するために逆回転可能である構造にすることができる。逆回転することにより、密閉された混合機を開けて、電極用分散体や電極用分散体を構成する原材料を混合機外の大気に曝露する頻度を減らすことができる。撹拌羽根は、逆回転可能であることの他、密閉状態を保った状態で振動や、上下する構造にすることもできる。
上記第一工程S1後の、材料の投入を伴わない分散工程(第二工程)S2と、材料の投入を伴わず第二工程S2とは分散条件が異なる分散工程(第三工程)S3に用いられる分散機としては、例えば、プラネタリーミキサー、コンビミックス、ニーダー、自転公転ミキサー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、薄膜旋回型高速撹拌機等の公知のものが使用でき、特に限定されない。
この第二工程S2と第三工程S3においては、電極用分散体が分散機の外部に存在する水分を吸収するため、新たに原材料の投入は行わないものである。原材料の投入により、原材料表面や近傍に存在する水分が多量に分散機内に導入されることとなり、好ましくないものとなる。
当然、第二工程S2と第三工程S3の分散機と分散機を構成する配管やタンクは、外部と遮断された密閉構造であることが好ましい。開放部を設ける場合は、分散機外部の圧力に対して分散機内部の圧力が陽圧になるように、露点温度-25℃以下の乾燥空気を、分散機内部に供給する。前記陽圧は1Pa以上、2Pa以上、3Pa以上、4Pa以上、5Pa以上、6Pa以上、7Pa以上、8Pa以上、9Pa以上、10Pa以上、15Pa以上、20Pa以上であってよく、また100000Pa以下、90000Pa以下、80000Pa以下、70000Pa以下、60000Pa以下、50000Pa以下、40000Pa以下、30000Pa以下、20000Pa以下、10000Pa以下、5000Pa以下、3000Pa以下、1000Pa以下、500Pa以下、300Pa以下、200Pa以下、100Pa以下、80Pa以下、60Pa以下、50Pa以下、40Pa以下、30Pa以下であってよい。前記陽圧が1Paより小さいと、分散機内部に外部の大気が流入する恐れがあり、一方、陽圧が100000Paを超えてより大きいと分散機の軸封部等への悪影響が出る恐れがある。
上記第二工程S2と第三工程S3の分散機および分散機を構成する配管やタンクの一部を開放させる必要があり、分散機内部と外部の大気を接触させる場合は、前記陽圧を維持することが好ましい。また、万が一、分散機を開放させる際に前記陽圧を維持することができない事態に備え、第二工程S2と第三工程S3を電極用分散体が流れる上流から下流にかけて、複数個所に流れを遮断するバルブを設けることが好ましい。
バルブを設ける間隔は、配管内径の4倍以上、8倍以上、16倍以上、24倍以上であってよく、200倍以下、100倍以下、50倍以下であってよい。バルブは、ボールバルブ、ダイヤフラムバルブ、バタフライバルブ等の公知のものが使用できるが、内容物が滞留しない構造であるダイヤフラムバルブ、バタフライバルブが好ましく、圧力損失の少ないタイプのダイヤフラムバルブがより好ましい。バルブの設置の間隔が小さいと、多数のバルブを設置する必要があり、コストやメンテナンスの面で好ましくなく、間隔が大きいと、前記陽圧を維持することができない事態となった場合に、より多くの水分が分散機内部に流入する恐れがある。
本発明の電極用分散体の製造においては、図1に示すように、本発明の効果を更に高めるために、上記分散工程S3後に、材料の投入を伴わない真空脱泡工程(第四工程:S4)を含むこともできる。この第四工程S4に用いられる真空脱泡機としては、例えば、プラネタリーミキサー、コンビミックス、アンカーミキサー、自転 公転ミキサー、ヘンシェルミキサー、連続減圧脱泡機等の公知のものが使用でき、特に限定されない。真空脱泡機は、真空ポンプにより絶対圧力20kPa以下に減圧できる構造になっていることが好ましい。
また、好ましくは、上記真空脱泡工程(第四工程:S4)後に、孔径10μm乃至50μmのフィルターで濾過をする濾過工程(第五工程:S5)を含むことが望ましい。第五工程S5に用いられるフィルターとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ナイロン、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレン等の公知の材質のものが使用でき、電極用分散体に含まれる溶媒に溶出しない材質であれば、特に限定されない。濾過器としては、例えば、カートリッジ方式、枚葉式、バッグ方式、クロスフロー方式等の公知のものが使用でき、特に限定されない。
フィルターの孔径は、10μm以上、より好ましくは、12μm以上、15μm以上、18μm以上、20μm以上、25μm以上であってよく、上限は、50μm以下、より好ましくは、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下であってよい。孔径が10μmより小さいと、目詰まりによるフィルター交換頻度が多くなり、フィルターが含有する水分を電極用分散体が吸収する量も多くなり、好ましくない。一方、孔径が50μmを超えて大きいと、粗大な凝集物等の除去が十分になされず、塗工工程において歩留り低下の原因となる。ここでいうフィルターの孔径は、基準粒子を添加した水を一定流量でフィルターに通水させ、フィルター前後の各粒子の粒子数をパーティクルカウンターで測定したとき、フィルター後の粒子数がフィルター前の粒子数の20%、つまり捕集効率80%に最も近い基準粒子の粒子径で定義される。
上記フィルターは、接液部に親水性の官能基を含まない材質であることが好ましい。特に、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンが好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレンがコストや含有水分の観点から好ましい。
また、上記フィルターは、上記接液部に親水性の官能基を含まない材質、及び/又は、露点温度-25℃以下の環境下において、予め乾燥させておくことが好ましい。
乾燥時間は、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、12時間以上、24時間以上、48時間以上、72時間以上、168時間以上、400時間以上であってよい。親水性官能基を有する材質のフィルターの場合は、3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、12時間以上、24時間以上、48時間以上、72時間以上、168時間以上、400時間以上であってよい。乾燥時間が短いと、フィルター材質に吸着・含有する水分を十分に除去することができない場合ある。一方、乾燥時間を長いと水分の除去効率は逓減し、保管場所を空間的に圧迫することとなる。
本発明において、電極用分散体を構成する材料としては、リチウムイオン電池などの電極用に用いられている各種材料を挙げることができ、少なくとも、溶媒、結着材、導電材、活物質などが挙げられ、例えば、以下のものを使用できる。
(溶媒)
溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミンなどのアミン系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸メチルなどのエステル系溶媒、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド系溶媒などが挙げられる。以下、N-メチル-2-ピロリドンのことを、「NMP」と称することがある。これらの溶媒は、各単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
これらの溶媒の量は、電極用分散体を塗工する際に、適切な粘性に仕上げる必要性の点から、好ましくは、活物質100質量部に対して、25~100質量部、より好ましくは、40~70質量部が望ましい。
上記各溶媒に含まれる水分量は、本発明の効果を更に発揮せしめる点から、1000ppm以下、より好ましくは、900ppm以下、800ppm以下、700ppm以下、600ppm以下、500ppm以下、400ppm以下、300ppm以下、特に好ましくは、200ppm以下とすることが望ましい。2種以上を混合して用いる場合は、混合溶媒全体の水分量を前記の水準に制御することとなる。溶媒に含まれる水分は、モレキュラーシーブス等による吸着除去、アルカリ金属とベンゾフェノンを用いた蒸留除去など、既知の方法を用いて除去することもできる。
(結着材)
結着材(バインダー)としては、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、六フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロビニルエーテル系共重合体などのフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などを挙げることができる。これらの結着材は2種以上を混合して用いてもよい。これらの結着材は、予め溶媒に溶解及び/又は分散させた状態で使用することもできる。また、使用する前に予め露点温度-25℃以下の雰囲気にて保存し、粉体や包装材に付着した水分を除去しておくことが好ましい。付着している水分は、真空乾燥、熱風乾燥などの既知の方法を用いて強制的に除去することもできる。以下、ポリフッ化ビニリデンのことを、PVdFと称することがある。
これらの結着材の量は、集電箔に対する密着性、セル化された後の電池容量や充放電特性の点から、好ましくは、活物質100質量部に対して、0.2~3.0質量部、より好ましくは、0.5~2.5質量部が望ましい。
(導電材)
導電材としては、例えば、炭素材料や金属化合物を用いることができる。炭素材料として黒鉛粉末、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)、繊維状炭素材料(例えば、マルチウォールカーボンナノチューブ)などを挙げることができる。これらの導電材は、予め溶媒に溶解及び/又は分散させた状態で使用することもできる。また、使用する前に予め露点温度-25℃雰囲気にて保存し、粉体や包装材に付着した水分を除去しておくことが好ましい。付着している水分は、真空乾燥、熱風乾燥などの既知の方法を用いて強制的に除去することもできる。
これらの導電材の量は、セル化された後の電池容量や充放電特性の点から、好ましくは、活物質100質量部に対して、0.5~10.0質量部、より好ましくは、1.0~6.0質量部が望ましい。
(活物質)
活物質としては、正極活物質が好ましく、例えば、リチウムイオン電池の正極に使用可能な通常の正極活物質であれば、特に限定されない。例えば、リチウム-ニッケル複合酸化物、リチウム-コバルト複合酸化物、リチウム-マンガン複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト複合酸化物、リチウム-ニッケル-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム複合酸化物等のリチウムと遷移金属との複合酸化物、TiS、FeS、MoS等の遷移金属硫化物、MnO、V---、V13、TiO等の遷移金属酸化物、オリビン型リチウムリン酸化物等が挙げられる。オリビン型リチウムリン酸化物は、例えば、Mn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nb、およびFeよりなる群のうちの少なくとも1種の元素と、リチウムと、リンと、酸素とを含んでいる。これらの化合物はその特性を向上させるために一部の元素を部分的に他の元素に置換したものであってもよい。
好ましい活物質としては、リチウム-ニッケル複合酸化物であり、更に好ましくは、該リチウム-ニッケル複合酸化物が、式:LiNiM1M2(M1およびM2は、Al、B、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属の元素のうち少なくとも1種以上の金属元素、0.8≦X≦1.0、0≦Y≦0.2、0≦Z≦0.2)で表されるリチウム-ニッケル複合酸化物が望ましい。
これらの正極などの活物質は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの活物質は、予め溶媒に溶解及び/又は分散させた状態で使用することもできる。また、使用する前に予め露点温度-25℃以下の雰囲気にて保存し、粉体や包装材に付着した水分を除去しておくことが好ましい。付着している水分は、真空乾燥、熱風乾燥などの既知の方法を用いて強制的に除去することもできる。
上記結着材、導電材、活物質を、予め溶媒に溶解及び/又は分散させた状態で使用する場合、これらで用いる溶媒の合計量は、上述の如く、活物質100質量部に対して、好ましくは、25~100質量部、より好ましくは、40~70質量部となるものである。
上記溶媒、結着材、導電材、活物質の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、レベリング剤、固体電解質材などを適宜配合することができる。
上記結着材、導電材、活物質などの各平均粒子径、各配合量は好適な電極が製造されるように上記各所定の範囲で調整され、後述する好ましい電極用分散体の粒子の平均粒子径、分散体の粘度、固形分濃度となるように調整される。これらの調整などは、用いる結着材種、導電材種、活物質種、これらの粒子径及びその各量、溶媒種及びその量等、また、上記混合工程、分散工程(1)、(2)の上記所定の処理条件などを好適に組み合わせることなどにより、調整することができる。
本発明において、上記第一工程の混合工程で、上記溶媒、結着材、導電材、活物質の各材料の混合装置への投入順は、大気中から粉体材料への水分吸着の回避、混合容器内における均一性の点から、前記溶媒を投入した後に、前記結着材及び前記導電材を投入し、該結着材及び前記導電材を投入した後に、前記活物質を投入して混合するものである。この混合手順により、本発明の効果を発揮することができ、上記第一工程の混合工程で、結着材・導電材を投入前に、活物質を投入して混合したり、結着材・導電材を投入後に、溶媒を投入して混合したりする場合、並びに、混合工程、分散工程で溶媒を逐一配合したりした場合も、電極用分散体中に望ましくない水分が大気中より混入したり、混合容器内において材料が不均一な状態となり、本発明の効果を発揮できないものとなる。
好ましくは、前記溶媒を投入した後、前記結着材を投入し、該結着材を投入した後に、前記導電材を投入し、該導電材を投入した後に、前記活物質を投入して混合することが望ましい。
前記第一工程の混合工程で、溶媒を投入した混合装置に、結着材を投入した後に、または、導電材を投入した後に、更に、活物質を投入した後に、その度毎に、絶対圧力を20kPa以下に減圧することが望ましい。これらの減圧操作により、投入した材料を溶媒に短時間で確実に濡らす処理を更に施すことができる。
この混合工程での通算混合(混練)時間は、活物質が均一となり、下記粘度値以下となるように適宜調整すればよく、0.5時間以上8時間以下が好ましい。
また、上記混合工程S1後の、材料の投入を伴わない分散工程(第二工程)S2における分散条件としては、プラネタリーミキサー、コンビミックス、ニーダー、自転公転ミキサー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、薄膜旋回型高速撹拌機など用い、ダマとなったり、凝集していて湿潤や解砕が不十分な各種材料の一部を均一に分散、混合し、その分散時間は好ましい平均粒子径の範囲を逸脱することなく、各種材料の一部を十分に均一に分散、混合した状態となるように適宜調整すればよい。この第二工程S2後の分散条件が異なる材料の投入を伴わない分散工程(第三工程)S3における分散条件としては、プラネタリーミキサー、コンビミックス、ニーダー、自転公転ミキサー、ヘンシェルミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、薄膜旋回型高速撹拌機など用い、分散工程(第二工程)S2の処理を経て残存した、ダマとなったり、凝集していて湿潤や解砕が不十分な各種材料を均一に分散、混合し、その分散時間は好ましい平均粒子径の範囲を逸脱することなく、各種材料を十分に均一に分散、混合した状態となるように適宜調整すればよい。この上記分散工程(1)と(2)とが同じ分散条件であると、同一条件下においては分散が有効に進行しない一部の材料により、塗工性及び/又は品質安定性が劣る傾向となる。
上記分散工程S3後に、材料の投入を伴わない好ましい真空脱泡工程(第四工程:S4)における真空脱泡機などでの処理時間は、泡のない好適な分散体となるように適宜の処理時間が調整される。
上記第一工程(混合工程)において混合後の分散体の粘度は23000mPa・s以下、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは8000mPa・s以下、特に好ましくは4000mPa・s以下が望ましい。上記第一工程において分散体の粘度を上記各粘度以下とすることにより、更に本発明の効果を更に発揮することができる。ここで、「粘度の測定」は、液温25℃において、E型回転粘度計を用い、剪断速度38/sにおける1分後の値である。
また、得られる電極用分散体中の粒子の平均粒子径は、充放電時の副反応を抑えて充放電効率の低下を抑える点から、好ましくは、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、10μm以上であってよい。また、塗工性の観点(電極表面の平滑性等)から、30μm以下、25μm以下、20μm以下であってよく、15μm以下が好ましく、特に好ましくは、5μm以上15μm以下が望ましい。ここで、「平均粒子径」は、レーザー回折散乱法による粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒子径(メジアン径:D50)を意味する。
測定は、マイクロトラックベル社製のMT3300EXIIを用い、測定のパラメータは次の通りに設定した。
溶媒の屈折率:電極用分散体主溶媒の20℃における屈折率。混合溶媒の場合は、電極用分散体に含有する各溶媒の比率で混合した混合溶媒の20℃における屈折率を用いた。
透過性:「反射」とした。
得られる電極用分散体の固形分濃度は、好ましくは、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上であってよく、上限は90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下であってよい。固形分濃度が40質量%より低いと、塗工時の乾燥に時間を要し生産性を損なう。固形分濃度が90質量%を超えて高いと、均一な塗工が困難となり塗工工程の歩留り低下の原因となる。本発明において、「固形分濃度」は、ハロゲン水分計(メトラー・トレド製)を用い、200℃、30分の条件で測定した固形分を意味する。
このように構成される本発明の電極用分散体の製造方法は、図1に示すように、少なくとも溶媒と結着材と導電材と活物質とを混合する混合工程(第一工程:S1)と、材料の投入を伴わない分散工程(第二工程:S2)と、材料の投入を伴わず第二工程とは分散条件が異なる分散工程(第三工程:S3)と、を有する電極用分散体の製造方法であって、前記第一工程では、混合装置に前記溶媒を投入した後に、前記結着材及び前記導電材を投入し、該結着材及び前記導電材を投入した後に、前記活物質を投入し、前記第一工程S1から前記第三工程S3の環境が、少なくとも、露点温度-25℃以下で製造することにより、リチウムイオン二次電池などに用いられる電極(正極)用の分散体が得られる。この分散体を用いて、リチウムイオン二次電池の正極用の導電性部材である正極集電体上に塗布して乾燥することにより所定のリチウムイオン二次電池用正極が得られることとなる。
本発明では、図1に示すように、更に高品質の電極用の分散体を得るために、好ましい形態として、上記分散工程(第三工程:S3)後に、上述の真空脱泡工程(第四工程:S4)、または、上述の濾過工程(第五工程:S5)を経て電極(正極)用の分散体を得てもよく、更に好ましい形態として、上記分散工程(第三工程:S3)後に、上述の真空脱泡工程(第四工程:S4)及び上述の濾過工程(第五工程:S5)を経て電極(正極)用の分散体が得てもよいものであり、これらの工程(S1~S4の環境、S1~3及びS5の環境、S1~S5の環境)の露点温度-25℃以下で製造することにより、更に高品質のリチウムイオン二次電池などに用いられる電極(正極)用の分散体が得られものとなる。
このように構成される本発明方法によれば、少なくとも溶媒と結着材と導電材と活物質とを用いて、前記第一工程S1から前記第三工程S3〔上記手順の混合工程、上記分散工程(1)、(2)〕を経ると共に、これらの工程中の環境を少なくとも、露点温度-25℃以下で製造することにより、バインダーや活物質への化学的ダメージを抑制することができ、結着材の未溶解物や各種材料の凝集物等がないので、ゲル化することなく安定した粘度であったり、塗工時の筋の発生などを抑制したり、分散体の品質が均一であるために、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがなく、ガスの発生による不具合がない電池性能を実現する電極用分散体の製造方法が得られることとなる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の各実施例において、混合工程(第一工程)、分散工程(1)(第二工程)、分散工程(2)(第三工程)、真空脱泡工程(第四工程)及び濾過工程(第五工程)は外部と遮断された密閉構造で主に行ったものであり、一部開放部(第一工程の材料投入を伴う空間など)においては、混合機の材料投入を伴う空間外部の圧力に対して混合機の材料投入を伴う空間内部の圧力が陽圧になるように、露点温度-35℃以下の乾燥空気を、内部に供給して露点温度-35℃に維持した。
(実施例1)
<第一工程>
露点温度-35℃の環境下において、混合機としてプラネタリーミキサーに、NMPを45質量部投入し、撹拌しながら、結着材としてPVdFを2質量部、導電材としてアセチレンブラック(デンカ社製)を2質量部投入し、絶対圧力5kPaまで減圧し、1時間処理した。
次に、活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1を、撹拌しながら100質量部投入し、絶対圧力5kPaまで減圧し、1時間撹拌した。
このとき、使用したNMPの水分量は100ppmであり、混合後の粘度は3000mPa・sであった。溶媒の水分量の測定は、カールフィッシャー水分計を用いた。粘度の測定は、E型回転粘度計を用い、剪断速度38/sにて測定した。
<第二工程>
第一工程で得られた電極用分散体を、メディアレス高速撹拌機を用い、周速15m/sの条件で5分間処理した。
<第三工程>
第二工程で得られた電極用分散体を、ビーズミルを用い、ジルコニアビーズφ1.0mm、周速10m/sの条件で3分間処理した。
<第四工程>
プラネタリーミキサーに、第三工程で得られた電極用分散体を投入し、絶対圧力10kPaの真空度で撹拌しながら30分間処理した。
<第五工程>
第四工程で得られた電極用分散体を、露点温度-35℃の環境で1時間乾燥させた孔径25μmのポリプロピレン製カートリッジフィルターにて濾過を実施した。得られた電極用分散体の平均粒子径D50は10μmであり、固形分濃度は70質量%であった。
(実施例2)
第一工程において、結着材を投入後に一度減圧(絶対圧力5kPaまで減圧)し、次いで導電材を投入後に減圧(絶対圧力5kPaまで減圧)した以外は実施例1と同様とした。第一工程における混合後の粘度は3100mPa・sであった。以下、実施例、比較例における各粘度と固形分を下記表1に示す。
(実施例3)
使用したNMPの水分量が300ppmであった以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例4)
結着材と導電材を投入後に減圧しない点を除いては、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例5)
活物質を投入後に減圧しない点を除いては、上記実施例4と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例6)
投入するNMPの量を35質量部とした以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例7)
第三工程において、メディアレス高速撹拌機を用い、周速20m/sの条件で5分間処理した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例8)
第二工程において、ビーズミルを用い、ジルコニアビーズφ1.0mm、周速10m/sの条件で3分間処理、第三工程において、ビーズミルを用い、ジルコニアビーズφ0.5mm、周速10m/sの条件で3分間処理した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例9)
活物質にLiNi0.8Co0.15Al0.05を用いた以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例10)
第五工程において、露点温度-35℃の環境で6時間乾燥させた孔径25μmのナイロン製カートリッジフィルターにて濾過を実施した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例11)
第五工程において、露点温度-35℃の環境で1時間乾燥させた孔径25μmのナイロン製カートリッジフィルターにて濾過を実施した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例12)
投入するNMPの量を17質量部とした以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例13)
投入するNMPの量を156質量部とした以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例14)
第五工程にて用いるフィルターの孔径を10μmとした以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例15)
第五工程にて用いるフィルターの孔径を50μmとした以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例16)
第四工程を省略した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(実施例17)
第三工程において、ビーズミルを用い、ジルコニアビーズφ1.0mm、周速10m/sの条件で9分間処理した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(比較例1)
露点温度-20℃の環境下で実施した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(比較例2)
第四工程を省略した以外は、上記比較例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(比較例3)
第一工程において、投入するNMPを12質量部とし、第二工程において、プラネタリーミキサーを用い、公転20rpmの条件で適宜混練具合を調整するためにNMPを段階的に投入しながら4時間混練処理を実施し、第三工程においてプラネタリーミキサーを用い、最終固形分が70質量%となるように適宜NMPを段階的に投入し、公転30rpmの条件で2時間混合した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(比較例4)
第三工程において、メディアレス高速撹拌機を用い、周速15m/sの条件で5分間処理した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(比較例5)
第二工程において、ビーズミルを用い、ジルコニアビーズφ1.0mm、周速10m/sの条件で3分間処理した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(比較例6)
第一工程において、結着材・導電材を投入前に、活物質を投入して減圧した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(比較例7)
第一工程において、結着材・導電材を投入後に、溶媒を投入して減圧した以外は、上記実施例lと同様にして電極用分散体を製造した。
(比較例8)
露点温度-24℃の環境下で実施した以外は、上記実施例1と同様にして電極用分散体を製造した。
(比較例9)
露点温度-24℃の環境下で実施した以外は、上記実施例17と同様にして電極用分散体を製造した。
上記の実施例・比較例で得られた電極用分散体について、以下の各評価指標(経時粘度評価、塗工性評価、100回サイクル維持率評価、品質安定性評価、ガス発生量)に基づき、比較評価した。これらの結果を下記表1に示す。
(経時粘度評価指標)
経時粘度評価は、式「(25℃・1週間後の粘度/製造時粘度)×100」により以下の基準で評価した。測定は、レオメータ―MC102(アントンパール社製)を用い剪断速度1000/sにて行った。
評価基準:
◎:製造時粘度の110%以内
○:製造時粘度の150%以内
△:製造時粘度の200%以内
×:ゲル化
(塗工性評価指標)
塗工性評価は、得られた分散体を塗工幅300mmのコンマコーターを用いアルミ箔に湿潤膜厚50μmで10m塗工したときに、10mm以上の筋の個数より以下の基準で評価した。筋の個数は目視によりカウントした。
評価基準:
◎:1mあたりの筋発生が1未満
○:1mあたりの筋発生が10未満
△:1mあたりの筋発生が20未満
×:1mあたりの筋発生が20以上
(100回サイクル維持率評価指標)
100回サイクル維持率評価は、アルミ箔に塗布された実施例の電極用分散体を正極としてコイン二次電池を5つ作製し、初期の放電容量(A)と、充放電レート1Cにて100回の充放電を繰り返したときの100回目の放電容量(B)から、式「B/A×100」によりコイン二次電池5つの平均値を求めて以下の基準で評価した。
評価基準:
◎:98%以上
○:95%以上
△:85%以上
×:85%未満
電解液には、カーボネート系溶媒を用いた。セパレーターにはポリプロピレン製のものを用いた。負極にはチタン酸化物系の活物質、導電材、結着材、溶剤からなる電極用分散体をアルミ箔に塗布・乾燥したものを用いて作製した。
(品質安定性評価指標)
品質安定性評価は、100回サイクル維持率評価指標で得られた各条件の5つのデータの最大値と最小値の差(パーセントポイント)より以下の基準で評価した。
評価基準:
◎:1%ポイント未満
○:3%ポイント未満
△:5%ポイント未満
×:5%ポイント以上
(ガス発生量評価指標)
ガス発生量評価は、前記コイン二次電池と同様の条件で100mm×200mmサイズで5層のラミネート型セルを作製し、50℃の環境で充放電レート1Cにて100回の充放電を繰り返したときに、ラミネート型セル内に発生したガスの量により以下の基準で評価した。ガスの量は、アルキメデス法により測定した。ガス発生量が少ないほど優れることを示す。
評価基準:
◎:5cc未満
○:10cc未満
△:30cc未満
×:30cc以上
上記表1中の第一工程の投入条件A1~D1、第二・第三工程の分散条件A2~D2、C3、第二工程分散条件E2、第三工程分散条件F2、フィルターG~H、活物質J、Kは、下記のとおりである。
第一工程:投入条件A1:溶媒→結着材・導電材→活物質の順に投入
第一工程:投入条件B1:溶媒→結着材→導電材→活物質の順に投入
第一工程:投入条件C1:溶媒→活物質→結着材・導電材の順に投入
第一工程:投入条件D1:活物質→結着材・導電材→溶媒の順に投入
第二・第三工程:分散条件A2:高速撹拌機(周速15m/s、メディアレス、処理時間5分)を1パス
第二・第三工程:分散条件B2:高速撹拌機(周速20m/s、メディアレス、処理時間5分)を1パス
第二・第三工程:分散条件C2:ビーズミル(周速10m/s、ジルコニアビーズφ1.0mm、処理時間3分)を1パス
第二・第三工程:分散条件D2:ビーズミル(周速10m/s、ジルコニアビーズφ0.5mm、処理時間3分)を1パス
第二・第三工程:分散条件C3:ビーズミル(周速10m/s、ジルコニアビーズφ1.0mm、処理時間9分)を1パス
第二工程:分散条件E2:プラネタリーミキサー(公転20rpm、処理時間4時間)、主溶媒を適宜添加して混練具合を調整した。
第三工程:分散条件F2:プラネタリーミキサー(公転30rpm、処理時間2時間)中へ主溶媒を投入して希釈の後、ビーズミル(周速10m/s、ジルコニアビーズφ1.0mm、処理時間3分)を1パス。
フィルターG:ナイロン製フィルター、乾燥時間6時間
フィルターH:ナイロン製フィルター、乾燥時間1時間
フィルターI:ポリプロピレン製フィルター、乾燥時間1時間
活物質J:LiNi0.8Co0.1Mn0.1
活物質K:LiNi0.8Co0.15Al0.05
上記表1の評価結果を考察すると、本発明の範囲内である実施例1~17の電極用分散体は、ゲル化することなく安定した粘度である分散体性能、塗工時の筋の発生などを抑制する塗工性能、分散体の品質が均一であるために、長期間の繰り返し充放電に耐え、作製される電池毎の品質のばらつきがなく、ガスの発生による不具合がないといった電池性能の各方面に優れるものであることが確認された。これに対し、比較例1~9の電極用分散体は、上記特性を満足することはできなかった。
電極用分散体の製造方法に得られる分散体は、リチウムイオン二次電池などの電極(正極)の製造に好適に用いることができ、長期間の繰り返し充放電に耐えうる優れた電池性能を実現することができる。

Claims (11)

  1. 少なくとも溶媒と結着材と導電材と活物質とを混合する混合工程(第一工程)と、材料の投入を伴わない分散工程(第二工程)と、材料の投入を伴わず第二工程とは分散条件が異なる分散工程(第三工程)と、を有する電極用分散体の製造方法であって、
    前記第一工程では、混合装置に前記溶媒を投入した後に、前記結着材及び前記導電材を投入し、該結着材及び前記導電材を投入した後に、前記活物質を投入し、前記第一工程から前記第三工程の環境が、少なくとも、露点温度-25℃以下であることを特徴とする、電極用分散体の製造方法。
  2. 材料の投入を伴わない真空脱泡工程(第四工程)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電極用分散体の製造方法。
  3. 孔径10μm乃至50μmのフィルターで濾過をする濾過工程(第五工程)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電極用分散体の製造方法。
  4. 露点温度-25℃以下の環境において、3時間以上乾燥させたフィルター、及び/又は、接液部に親水性基を有さない材料から構成されるフィルターを用いることを特徴とする、請求項3に記載の電極用分散体の製造方法。
  5. 前記溶媒の水分量が200ppm以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
  6. 第一工程において分散体の粘度が8000mPa・s以下であることを特徴とする、請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
  7. 前記結着材を投入した後に、前記導電材を投入することを特徴とする、請求項6に記載の電極用分散体の製造方法。
  8. 前記活物質を投入した後に、絶対圧力20kPa以下に減圧することを特徴とする、請求項1乃至請求項7の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
  9. 前記導電材を投入した後に、絶対圧力20kPa以下に減圧することを特徴とする、請求項1乃請求項8の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
  10. 前記結着材を投入した後に、絶対圧力20kPa以下に減圧することを特徴とする、請求項1乃請求項9の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
  11. 前記活物質がリチウム-ニッケル複合酸化物であることを特徴とする、請求項1乃至請求項10の何れか一つに記載の電極用分散体の製造方法。
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