JP7746674B2 - 酸化セルロース及びナノセルロースの製造方法、並びに、酸化剤 - Google Patents
酸化セルロース及びナノセルロースの製造方法、並びに、酸化剤Info
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また、非特許文献1には、次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶の高濃度の水溶液、具体的には、次亜塩素酸ナトリウム濃度22%の水溶液を用いてパルプを酸化し、続く機械解繊によって、ナノセルロースを製造できることが開示されている。
このような方法、特に、有効塩素濃度を高めた次亜塩素酸ナトリウムによって解繊性に優れた酸化セルロースを効率的に得られる傾向にあるが、酸化セルロースの解繊性をさらに高めることが求められている。
[1]
次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない酸化セルロースの製造方法であって、
次亜塩素酸又はその塩を含む酸化剤を用い、セルロース系原料を酸化することにより酸化セルロースを得る工程を含み、
前記酸化剤中の次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度と、前記次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度との比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)が、0.05以上である、製造方法。
[2]
前記次亜塩素酸又はその塩以外の成分が、無機塩、金属類、及び有機物から選択される少なくとも一種を含む、
[1]に記載の製造方法。
[3]
[1]又は[2]に記載の製造方法により得られた酸化セルロースを解繊し、ナノセルロースを得る工程を含む、
ナノセルロースの製造方法。
[4]
次亜塩素酸又はその塩を含む、酸化セルロース製造用酸化剤であり、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない酸化セルロースであり、
前記酸化剤に含まれる次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度と、前記次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度との比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)が、0.05以上である、
酸化セルロース製造用酸化剤。
[5]
前記次亜塩素酸又はその塩以外の成分が、無機塩、金属類、及び有機物から選択される少なくとも一種を含む、
[4]に記載の酸化セルロース製造用酸化剤。
本発明の製造方法は、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない、酸化セルロースの製造方法である。本発明の製造方法は、次亜塩素酸又はその塩を含む酸化剤を用い、セルロース系原料を酸化することにより酸化セルロースを得る工程を含む。また、本発明の製造方法において用いられる酸化剤中の次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度と有効塩素濃度との比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)は、0.05以上である。
本発明者らは、上記次亜塩素酸又はその塩以外の成分を除くことにより、活性種である次亜塩素酸又はその塩の分解を抑えられ、セルロース系原料の酸化を促進し、解繊性の向上につながると考えていた。しかしながら、本発明者らが検討した結果、上記次亜塩素酸又はその塩以外の成分をある程度含むことにより、上記成分を低減させた場合に比べて解繊性に優れた酸化セルロースを得られることを見出した。これは、自己分解時に発生する酸素の活性が高く、この酸素によってもセルロース系原料の酸化が進行するためであると考えられる。ただし、本発明の製造方法により解繊性に優れる酸化セルロースを得られる理由は、これに限定されない。
上記金属は、遷移金属であることが好ましい。なお、本明細書における金属類は、金属そのものであってもよく、金属の酸化物や塩化物のような金属化合物であってもよい。本発明における金属類には、金属化合物の態様を包含する。また、上記有機物は、水への不溶分であることが好ましく、ガラスフィルター等のフィルター上に残留する物であることがより好ましい。その残留物である有機物の大きさは5μm以上であることが好ましい。
次亜塩素酸又はその塩以外の成分に係る好ましい態様としては、無機塩及び金属類を含む態様であり、より好ましい態様としては、NaCl及び金属類を少なくとも含む態様である。
上記比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)の上限は、特に限定されないが、通常5.0以下であればよい。5.0以下であることにより、反応中のその他の成分が析出することなく、反応が円滑に進行する傾向にある。また、5.0以下であることにより、活性種の割合が高まり、解繊性の良い酸化セルロースが得られる傾向にある。上記比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)の上限は、4.0以下であってもよく、2.0以下であってもよく、1.2以下であってもよく、1.0以下であってもよく、0.8以下であってもよい。
上記上限と下限とは適宜組み合わせることができる。
本発明に係る酸化剤は、市販品であってもよく、自ら製造したものであってもよい。また、本発明に係る酸化剤には、酸化反応の際、次亜塩素酸又はその塩に溶媒やその他の成分を添加又は除去することにより濃度調整した態様も含まれる。
次亜塩素酸又はその塩以外の成分としては、無機塩、好ましくはNaClが主成分であることが好ましい。ここで「主成分である」とは、その他の成分の総量に対する無機塩、好ましくはNaClの割合が、50質量%以上であることを指す。上記割合は、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。
無機塩以外のその他の成分は、次亜塩素酸又はその塩全量(すなわち、活性種である次亜塩素酸又はその塩とその他の成分の総量)に対して、0.001~1000ppmの範囲であることが好ましく、0.01~100ppmの範囲であることがより好ましく、0.5~50ppmの範囲であることがさらに好ましい。
次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度の中で無機塩の濃度は、例えば、滴定法、イオンクロマトグラフ法、イオンクロマトグラフ-ポストカラム吸光光度法又は液体クロマトグラフ質量分析法により測定することができる。次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度の中で金属類の濃度は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置、原子吸光光度計、又は吸光光度計を用いて測定することができる。次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度の中で有機物の濃度は、ガラスフィルター等で不溶分を捕捉し定量することにより測定することができる。
次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度は、具体的には、実施例に記載の方法により求められる。
次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度は、後述のとおり定義される。
本発明の製造方法においては、セルロース系原料として、セルロースを機械的処理や化学的処理に得られる微細セルロースを用いてもよい。微細セルロースとしては、粉末パルプを好適に挙げることができる。粉末パルプを使用することにより、微細化がより進行し、ナノセルロースを効率的に得られる傾向にある。また、粉末パルプの粒子径は、通常1~1000μmの範囲であり、好ましくは1~500μmの範囲であり、より好ましくは1~100μmの範囲である。ここでいう粒子径とは、平均粒子径であって、測定原理としてレーザー散乱法を用い、粒度分布を体積蓄積分布として表した場合に、体積蓄積分布が50%となるときの値を意味する。
酸化においては、次亜塩素酸又はその塩の使用量は特に制限されないが、有効塩素濃度が6質量%以上43質量%以下の次亜塩素酸又はその塩を用いることが好ましい。有効塩素濃度が6質量%以上43質量%以下の次亜塩素酸又はその塩を用いることにより、酸化セルロース中のカルボキシ基量を十分に多くでき、十分に微細化が進行し、酸化反応の後の機械解繊処理を省略できる。
また、反応液(反応系)における次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度も、6~43質量%の範囲であることが好ましい。
酸化反応の反応時間は、酸化の進行の程度にしたがって設定することができるが、通常15分~50時間程度である。酸化反応の進行をより高める観点から、反応時間は、好ましくは2時間以上、より好ましくは2時間超過、さらに好ましくは3時間以上である。
セルロース系原料の濃度の下限は、通常0.1質量%以上であればよく、生産性向上の観点から、好ましくは6.5質量%超過、より好ましくは6.6質量%以上、さらに好ましくは6.8質量%以上であり、よりさらに好ましくは7質量%以上である。
セルロース系原料の濃度は、好ましくは6.5質量%超過35質量%以下の範囲であり、より好ましくは6.5質量%超過20質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは6.5質量%超過15質量%以下の範囲である。
ここでいう酸化反応の際のセルロース系原料の濃度は、仕込み時のセルロース系原料の濃度である。
加圧下で酸化を行うことにより、次亜塩素酸又はその塩の使用量を抑えられ、より効率的に酸化セルロースを製造できる傾向にある。効率性の観点から、圧力は、好ましくは0.1MPaG以上1.0MPaG以下である。このとき、次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度は、0質量%超過43質量%以下であればよく、効率性を高める観点から、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上15質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上10質量%以下である。
本発明の製造方法では、次亜塩素酸又はその塩を用いセルロース系原料を酸化し、これにより酸化セルロースを得ることができる。酸化セルロースは、スラリーの形態であることが好ましい。ここでいうスラリーとは、酸化セルロースを含む懸濁液である。上記スラリーは、酸化の際に用いた溶媒を含んでいてもよい。また、分散媒を適宜添加してスラリーの形態としてもよい。酸化セルロースがスラリーであることにより、取り扱いがしやすく、また、微細化が進行しやすい傾向にある。
本発明における酸化セルロースがスラリーである場合、スラリーの全量を100質量%としたとき、酸化セルロースの量は、通常0.1質量%以上95質量%以下の範囲であり、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上30質量%以下である。
本発明における酸化セルロースの重合度は、600以下であることが好ましい。酸化セルロースの重合度が600を超えると、解繊に大きなエネルギーを要する傾向にあり、十分な易解繊性を発現することができない傾向がある。酸化セルロースの重合度が600以下であることにより、温和な条件によって微細化され、通常の撹拌や混練りによってナノ化でき、効率的にナノセルロースを得られる傾向にある。易解繊性の観点からは、上記酸化セルロースの重合度の下限は特に設定されない。ただし、上記酸化セルロースの重合度が30未満であると、繊維状というより粒子状のセルロースの割合が多くなり、酸化セルロースを含むスラリーの品質が不均一になり粘度が不安定になる。上記の観点から、酸化セルロースの重合度は、30~600であることが好ましい。
さらに、酸化セルロースの重合度は、酸化反応時の反応系の撹拌条件によって調整することができる。例えば、撹拌翼等を用いて反応系を十分に均一化した条件下であれば、酸化反応が円滑に進行し、重合度が低下する傾向がある。一方、スターラーによる撹拌等のように反応系の撹拌が不十分となりやすい条件下では、反応が不均一になりやすく、酸化セルロースの重合度を十分に低減することが難しい。また、酸化セルロースの重合度は、原料セルロースの選択によっても変動する傾向がある。このため、セルロース系原料の選択によって酸化セルロースの重合度を調整することもできる。なお、本明細書において、酸化セルロースの重合度は、粘度法により測定された平均重合度(粘度平均重合度)である。酸化セルロースの重合度は、具体的には以下の測定方法により測定することができる。
〔酸化セルロースの粘度平均重合度の測定〕
pH10に調整した水素化ホウ素ナトリウム水溶液に酸化セルロースを加え、25℃で5時間、還元処理を行う。水素化ホウ素ナトリウム量は、酸化セルロース1gに対して0.1gとした。還元処理後、吸引ろ過にて固液分離、水洗を行い、得られた酸化セルロースを凍結乾燥させる。純水10mlに乾燥させた酸化セルロース0.04gを加えて2分間撹拌した後、1M銅エチレンジアミン溶液10mlを加えて溶解させる。その後、キャピラリー型粘度計にて25℃でブランク溶液の流下時間とセルロース溶液の流下時間測定する。ブランク溶液の流下時間(t0)とセルロース溶液の流下時間(t)、酸化セルロース繊維の濃度(c[g/ml])から次式のように相対粘度(ηr)、比粘度(ηsp)、固有粘度([η])を順次求め、粘度測の式から酸化セルロース繊維の重合度(DP)を計算する。
ηr=η/η0=t/t0
ηsp=ηr-1
[η]=ηsp/(100×c(1+0.28ηsp))
DP=175×[η]
酸化セルロースのカルボキシ基量は、0.30~2.0mmol/gであることが好ましい。当該カルボキシ基量が0.30mmol/g以上であると、酸化セルロースに十分な易解繊性を付与することができる。これにより、温和な条件によって微細化でき、通常の撹拌や混練りによってナノ化できる傾向にある。一方、カルボキシ基量が2.0mmol/g以下であると、酸化セルロースが他の成分と配合した際に過度に分解することを抑制でき、粒子状のセルロースの比率が少なく品質が均一なナノセルロースを得ることができる。こうした観点から、酸化セルロースのカルボキシ基量は、より好ましくは0.35mmol/g以上であり、さらに好ましくは0.40mmol/g以上であり、よりさらに好ましくは0.42mmol/g以上である。カルボキシ基量の上限については、より好ましくは1.5mmol/g以下であり、さらに好ましくは1.2mmol/gであり、よりさらに好ましくは1.0mmol/g以下である。
カルボキシ基量=a(ml)×0.05/酸化セルロース質量(g)
カルボキシ基量は、具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明における酸化セルロースは、微細化してナノセルロースとしてもよい。本発明の一つは、本発明の製造方法により得られた酸化セルロースを解繊することによりナノセルロースを得る工程を含む、ナノセルロースの製造方法である。すなわち、本発明のナノセルロースの製造方法は、次亜塩素酸又はその塩を用い、セルロース系原料を酸化することにより酸化セルロースを得る工程、及び、前記酸化セルロースを解繊することによりナノセルロースを得る工程を含む。
また、本発明における酸化セルロースは、そのものを他の成分と配合する等して用いてもよい。すなわち、微細化せずとも他の成分と配合して、適宜撹拌等による酸化セルロースの撹拌をすることにより、ナノセルロースと少なくとも1種の他の成分とを含むナノセルロース含有組成物を得ることができる。さらに、本発明における酸化セルロースは、当該酸化セルロースの使用者が、使用時に自ら微細化してナノセルロースとすることもできる。
ナノセルロースの品質をより高める観点から、平均繊維長は、より好ましくは50nm以700nm以下、さらに好ましくは100nm以上700nm以下、よりさらに好ましくは100nm以上600nm以下である。
ナノセルロースの品質をより高める観点から、平均繊維幅は、より好ましくは1nm以上50nm以下、さらに好ましくは1nm以上30nm以下、よりさらに好ましくは1nm以上10nm以下である。
アスペクト比が200以下であることにより、ナノセルロースが均一に分散し品質を高められる傾向にある。こうした観点から、アスペクト比は、より好ましくは190以下であり、さらに好ましくは180以下である。
その一方で、アスペクト比が低すぎる、すなわち、ナノセルロースの形状が細長い繊維状というよりも太い棒状である場合、偏在により凝集が起こり、ナノセルロースの品質が低下する傾向にある。そのため、アスペクト比は、好ましくは20以上であり、より好ましくは30以上であり、さらに好ましくは40以上である。
解繊は、例えば、任意の強度の速度場と速度変動;介在物や障害物への衝突;超音波;圧力負荷;等を利用することができる。このような分散させる操作には、液中分散機を好適に用いることができる。
液中分散機としては、特に限定されず、例えば、ホモミキサー、マグネチックスターラー、撹拌棒、撹拌翼付き撹拌機、ディスパー型ミキサー、ホモジナイザー、外部循環撹拌、自転公転撹拌機、振動型撹拌機、超音波分散機等を用いる方法が挙げられる。また、液中分散機としては、上述した装置の他、回転せん断型撹拌機、コロイドミル、ロールミル、圧力式ホモジナイザー、容器駆動型ミル、媒体撹拌ミル等も挙げることができる。さらに、液中分散機としては、ニーダーを用いることができる。
回転せん断型撹拌機とは、回転翼と外筒との間隙へ撹拌対象物を通すことにより分散する装置であり、間隙でのせん断流れと前後の強度な速度変動により分散する。
コロイドミルは、回転ディスクと固定ディスクとの間の間隙でのせん断流れにより分散する装置である。ロールミルは、複数の回転するロール間の間隙を利用したせん断力と圧縮力により分散する。
圧力式ホモジナイザーとは、細孔から高圧でスラリー等を吐出する分散機として用いられ、圧力噴射式分散器とも呼ばれる。上記圧力式ホモジナイザーとしては、高圧ホモジナイザーが好ましい。高圧ホモジナイザーとは、例えば10MPa以上、好ましくは100MPa以上の圧力でスラリーを吐出できる能力を有するホモジナイザーをいう。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、マイクロフルイダイザー、湿式ジェットミル等の対向衝突型高圧ホモジナイザーが挙げられる。
容器駆動型ミルは、容器内中のボール等の媒体の衝突、摩擦により分散する装置であり、具体的には、回転ミル、振動ミル、及び遊星ミル等がある。媒体撹拌ミルは、ボールやビーズ等の媒体を用い、媒体の衝撃力とせん断力により分散する装置であり、具体的には、アトライター及びビーズミル(サンドミル)等がある。
ニーダーとは、粉体等を液体でぬらす操作(ニーディングあるいは捏和ともいう)を行う装置であり、具体的には、双腕型捏和機(2つの半円柱形の容器内で二軸の混合翼によって分散する装置である);バンバリーミキサー(密閉系、加圧下で分散する装置である);スクリュー押し出し機、コニーダー、エクストルーダー等の押出型捏和機;等がある。
本発明の一つは、次亜塩素酸又はその塩を含む、酸化セルロース製造用酸化剤である。上記酸化セルロースは、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない酸化セルロースである。前記酸化剤に含まれる次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度と、前記次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度との比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)が、0.05以上である。
本発明の酸化剤により、解繊性に優れる酸化セルロースを製造することができる。本発明の酸化剤は溶液であってもよく、酸化剤の溶媒は水であることが好ましい。
本発明の酸化剤における、酸化セルロース、次亜塩素酸又はその塩、セルロース系原料等の態様は、<酸化セルロースの製造方法>に述べたとおりである。
各種物性の測定は以下のとおり行った。
ナノセルロースの水分散体に純水を加え、酸化CNF水分散体中の酸化CNFの濃度が5ppmになるように調整した。濃度調整後のCNF水分散体をマイカ基材上で自然乾燥させ、オックスフォード・アサイラム社製 走査型プローブ顕微鏡「MFP-3D infinity」を用いて、ACモードで酸化CNFの形状観察を行った。
平均繊維長については、得られた画像を画像処理ソフトウェア「ImageJ」を用いて二値化し解析を行った。繊維100本以上について、繊維長=「周囲長」÷2として平均繊維長を求めた。
平均繊維幅については、「MFP-3D infinity」に付属されているソフトウェアを用いて、繊維50本以上について、形状像の断面高さ=繊維幅として数平均繊維幅[nm]を求めた。
酸化セルロースの濃度を0.5質量%に調整した酸化セルロース水分散体60mlに、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5にした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHが11.0になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が穏やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、上記式を用いてカルボキシ基量(mmol/g)を算出する。
解繊により得られたナノセルロース水分散体を10mm厚の石英セルに入れて、分光光度計(JASCO V-550)により波長660nmの光透過率を測定した。
次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度は、日本水道協会規格「水道用次亜塩素酸ナトリウム」JWWA K120-2008の試験方法、日本水道協会規格「水道用薬品」JWWA Z 109-2001の別紙5「誘導結合プラズマ発光分光分析装置による一斉分析法」の試験方法、日本水道協会規格「水道用次亜塩素酸ナトリウム」JWWA K120-1981の4・4不溶分の試験方法に準じて測定した。上記試験方法はそれぞれ、無機塩の濃度、金属類の濃度、並びに有機物の濃度を測定する。
有効塩素濃度が33質量%である次亜塩素酸ナトリウム水溶液に純水を加えて撹拌し、有効塩素濃度21質量%液700gを調整した。次亜塩素酸ナトリウム以外の成分濃度と、有効塩素濃度は表1に記載のとおりであり、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分濃度と有効塩素濃度との比は、0.18であった。実施例1にて用いた次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、ソーダ技術ハンドブック2009(日本ソーダ工業会)に準じて製造されたものを使用した。具体的には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、低食塩次亜塩素酸ソーダの製造によって得られる高有効塩素濃度の次亜塩素酸液(析出塩化ナトリウムを分離後)を希釈したものである。なお、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分において、塩化ナトリウムの占める割合は、50質量%以上であった。金属類の総量は、次亜塩素酸ナトリウム中0.05ppm以上10ppm以下の範囲であった。
なお、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の有効塩素濃度は以下の方法により測定した。
(次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の有効塩素濃度の測定)
次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を純水に加えた水溶液0.582gを精密に量り、純水50mlを加え、ヨウ化カリウム2g及び酢酸10mlを加え、直ちに密栓して暗所に15分間放置した。15分間の放置後、遊離したヨウ素を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定した結果(指示薬 デンプン試液)、滴定量は34.55mlであった。別に空試験を行い補正し、0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1mlが3.545mgClに相当するので、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の有効塩素濃度は21質量%である。
前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液を新東科学社製の撹拌機(スリーワンモータ、BL600)にてプロペラ型撹拌羽根を使用して200rpmで撹拌しながら恒温水浴にて30℃に加温した後、セルロース系原料として、日本製紙社の粉末パルプ(KCフロックW-100GK)を50g加えた。
セルロース系原料を供給後、同じ恒温水槽で30℃に保温しながら、48質量%水酸化ナトリウムを添加しながら反応中のpHを11に調整して、2時間、撹拌機にて同条件で撹拌を行った。
反応終了後、遠心分離(1000G、10分間)及びデカンテーションを6回繰り返すことで酸化セルロースを回収した。
酸化セルロースのカルボキシ基量は0.63mmol/gであった。その酸化セルロースに純水を加えて1質量%に調整した後、ホモミキサーで解繊(10,000rpm、10分間)した結果、平均繊維長200nm、平均繊維幅3nmのナノセルロースが得られていることを確認した。解繊により得られたナノセルロース水分散体を固形分濃度0.1質量%に調整した後、その光透過率(660nm)を測定した結果、83%であり良好な解繊ができた。
次亜塩素酸ナトリウム以外の成分濃度と、有効塩素濃度は表1に記載のとおりであり、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分濃度と有効塩素濃度との比は、0.15であった。実施例2にて用いた次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、ソーダ技術ハンドブック2009(日本ソーダ工業会)に準じて製造されたものを使用した。具体的には、次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、低食塩次亜塩素酸ソーダを希釈したものである。なお、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分において、塩化ナトリウムの占める割合は、50質量%以上であった。金属類の総量は、次亜塩素酸ナトリウム中0.05ppm以上10ppm以下の範囲であった。
そこへ、35質量%塩酸を加えて撹拌し、pH10の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を得た。
前記次亜塩素酸ナトリウム水溶液を新東科学社製の撹拌機(スリーワンモータ、BL600)にてプロペラ型撹拌羽根を使用して200rpmで撹拌しながら恒温水浴にて30℃に加温した後、セルロース系原料として、日本製紙社の粉末パルプ(KCフロックW-100GK)を50g加えた。
セルロース系原料を供給後、同じ恒温水槽で40℃に保温しながら、48質量%水酸化ナトリウムを添加しながら反応中のpHを10に調整して、4時間、撹拌機にて同条件で撹拌を行った。
反応終了後、遠心分離(1000G、10分間)及びデカンテーションを6回繰り返すことで酸化セルロースを回収した。
酸化セルロースのカルボキシ基量は0.64mmol/gであった。その酸化セルロースに純水を加えて1質量%に調整した後、ホモミキサーで解繊(10,000rpm、10分間)した結果、平均繊維長210nm、平均繊維幅4nmのセルロースナノファイバーが得られていることを確認した。解繊により得られたナノセルロース水分散体を固形分濃度0.1質量%に調整した後、その光透過率(660nm)を測定した結果、77%であり良好な解繊ができた。
次亜塩素酸ナトリウム以外の成分濃度と有効塩素濃度との比を0.22としたこと以外は、実施例1と同様にして行った。なお、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分において、塩化ナトリウムの占める割合は、50質量%以上であった。金属類の総量は、次亜塩素酸ナトリウム中0.05ppm以上10ppm以下の範囲であった。また、上記の比は、実施例1にて用いた次亜塩素酸ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを添加し、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分量を大きくすることにより調整した。
酸化セルロースのカルボキシ基量は0.71mmol/gであった。
ナノセルロースの光透過率は89%であり、良好な解繊ができた。
次亜塩素酸ナトリウム以外の成分濃度と有効塩素濃度との比を0.51としたこと以外は、実施例1と同様にして行った。なお、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分において、塩化ナトリウムの占める割合は、50質量%以上であった。金属類の総量は、次亜塩素酸ナトリウム中0.05ppm以上10ppm以下の範囲であった。また、上記の比は、実施例1にて用いた次亜塩素酸ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを添加し、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分量を大きくすることにより調整した。
酸化セルロースのカルボキシ基量は0.75mmol/gであった。
ナノセルロースの光透過率は97%であり、良好な解繊ができた。
次亜塩素酸ナトリウム以外の成分濃度と有効塩素濃度との比を0.82としたこと以外は、実施例2と同様にして行った。なお、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分において、塩化ナトリウムの占める割合は、50質量%以上であった。金属類の総量は、次亜塩素酸ナトリウム中0.05ppm以上10ppm以下の範囲であった。また、上記の比は、実施例2にて用いた次亜塩素酸ナトリウム水溶液に塩化ナトリウムを添加し、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分量を大きくすることにより調整した。
酸化セルロースのカルボキシ基量は0.74mmol/gであった。
ナノセルロースの光透過率は85%であり、良好な解繊ができた。
有効塩素濃度が42質量%である次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶を使用したこと以外は実施例1と同じとした。上記次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶は、特開2000-290003号に準じて製造したものであった。すなわち、有効塩素濃度が42質量%である次亜塩素酸ナトリウム5水和物結晶に純水を加えて撹拌し、有効塩素濃度21質量%液700gを調整したこと以外は実施例1と同じとした。次亜塩素酸ナトリウム以外の成分濃度と、有効塩素濃度は表1に記載のとおりであり、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分濃度と有効塩素濃度との比は、0.03であった。なお、次亜塩素酸ナトリウム以外の成分において、塩化ナトリウムの占める割合は、50質量%未満であった。金属類の総量は、次亜塩素酸ナトリウム中0.05ppm未満であった。
酸化セルロースのカルボキシ基量は0.51mmol/gであった。その酸化セルロースに純水を加えて1質量%に調整した後、ホモミキサーで解繊(10,000rpm、10分間)した結果、平均繊維長260nm、平均繊維幅6nmのセルロースナノファイバーが得られていることを確認した。解繊により得られたCNF水分散体を固形分濃度0.1質量%に調整した後、その光透過率(660nm)を測定した結果、44%であり、粗大な酸化セルロースが残存したと考えられる。
Claims (5)
- 次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料(ただし、レーヨンパルプシートは除く)の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない酸化セルロースの製造方法であって、
酸化剤を用い、セルロース系原料(ただし、レーヨンパルプシートは除く)を酸化することにより酸化セルロースを得る工程を含み、
前記酸化剤が、次亜塩素酸又はその塩の水溶液であり、
前記水溶液中の次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度と、前記次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度との比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)が、0.05以上であり、
前記次亜塩素酸又はその塩以外の成分が、塩化ナトリウムを含み、
前記次亜塩素酸又はその塩以外の成分の総量に対する塩化ナトリウムの割合が、50質量%以上である、
製造方法。 - 前記水溶液中の次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度と、前記次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度との比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)が、5.0以下である、
請求項1に記載のナノセルロースの製造方法。 - 請求項1又は2に記載の製造方法により得られた酸化セルロースを解繊し、ナノセルロースを得る工程を含む、
ナノセルロースの製造方法。 - 酸化セルロース製造用酸化剤であり、
前記酸化剤が、次亜塩素酸又はその塩の水溶液であり、
前記酸化セルロースが、次亜塩素酸又はその塩によるセルロース系原料(ただし、レーヨンパルプシートは除く)の酸化物を含み、且つ、N-オキシル化合物を実質的に含まない酸化セルロースであり、
前記水溶液に含まれる次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度と、前記次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度との比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)が、0.05以上であり、
前記次亜塩素酸又はその塩以外の成分が、塩化ナトリウムを含み、
前記次亜塩素酸又はその塩以外の成分の総量に対する塩化ナトリウムの割合が、50質量%以上である、
酸化セルロース製造用酸化剤。 - 前記水溶液中の次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度と、前記次亜塩素酸又はその塩の有効塩素濃度との比(次亜塩素酸又はその塩以外の成分濃度/有効塩素濃度)が、5.0以下である、
請求項4に記載の酸化セルロース製造用酸化剤。
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