以下に、本発明を具体化した実施形態を、作業車両の一例であるコンバインに適用した場合の図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、方向を特定するために「前後」「左右」「上下」の用語を使用しているが、走行機体1の前進方向を基準として左右および上下の方向を決定している。ただし、これらの用語は説明の便宜上用いたものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1および図2に示すように、コンバインは、左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備えている。走行機体1の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4を介して、刈取入力ケース16回りに昇降調節可能に装着されている。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、脱穀装置5から取り出された穀粒を貯留する穀物タンク7とが横並び状に搭載されている。刈取装置3の右側方で且つ穀物タンク7の前方には、運転操縦部9が設けられている。
運転操縦部9には、操縦レバー10、運転座席11、変速操作具としての主変速レバー12、副変速レバー13、脱穀クラッチを入り切り操作する脱穀クラッチレバー14、および刈取クラッチを入り切り操作する刈取クラッチレバー15が設けられている。運転座席11の下方には、駆動源としてのエンジン17が搭載されている。エンジン17の前方には、エンジン17の動力を適宜変速して左右の走行クローラ2に伝達するミッションケース18が配置されている。運転操縦部9における運転座席11の前方下部には、左右の走行クローラ2,2を同時に制動操作する駐車ブレーキペダル27が設けられている。
図1に示すように、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21が配置されている。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン17の動力を伝達する駆動スプロケット22が設けられている。
次に、図3を主に参照しながら、エンジン17から走行クローラ2に動力を伝達する走行駆動構造について説明する。エンジン17前方に配置されたミッションケース18(油圧式変速装置)は、油圧ポンプ31および油圧モータ32を組み合わせてなる油圧無段変速機30を備えている。ミッションケース18の入力軸である油圧ポンプ31のポンプ入力軸33には、伝動ベルト35を介して、エンジン17の出力軸19が連動連結されている。エンジン17からの動力が油圧ポンプ31を駆動させ、油圧ポンプ31から吐出された作動油を受けて油圧モータ32が駆動する。なお、エンジン17には、油圧ポンプ31および油圧モータ32の間で循環する作動油の補充分を送るチャージポンプ20が取り付けられている。チャージポンプ20も、エンジン17の動力によって駆動する。
油圧モータ32のモータ出力軸34には、平ギヤ機構36を介して、カウンタ軸37とPTO出力軸38とが連動連結されている。カウンタ軸37には、副変速ギヤ機構39、左右サイドクラッチ41,42および油圧切換多板型の左右サイドブレーキ43,44を介して、ミッションケース18から外向きに突出した左右車軸26,26に連動連結されている。カウンタ軸37に伝達された動力は、副変速ギヤ機構39、左右サイドクラッチ41,42および左右サイドブレーキ43,44を介して、左右車軸26,26に連結された駆動スプロケット22を回転させ、走行部としての左右の走行クローラ2,2に伝達される。すなわち、エンジン17の動力は油圧無段変速機30にて変速されて、左右の走行クローラ2,2に伝達される。なお、PTO出力軸38は、ミッションケース18から外向きに突出している。PTO出力軸38に伝達された動力は、刈取装置3の各部に伝達される。
次に、図4を参照しながら、第1実施形態における油圧無段変速機30の油圧回路構造について説明する。油圧無段変速機30の油圧回路50は、油圧ポンプ31および油圧モータ32とチャージポンプ20とを備えている。油圧ポンプ31と油圧モータ32とは、閉回路51によって作動油を循環させるように接続されている。エンジン17によって、油圧ポンプ31およびチャージポンプ20が駆動する。そして、主変速レバー12の手動操作に応じて油圧ポンプ31の斜板角を制御することによって、油圧ポンプ31の作動油の吐出方向および吐出量が変更され、油圧モータ32が正逆転および無段増減速作動する。
ここで、図4では説明の便宜上、閉回路51において、油圧モータ32を正転させて走行機体1を前進させる際に、油圧ポンプ31から油圧モータ32に作動油が送られる油路を前進油路51aと称し、油圧モータ32から油圧ポンプ31に作動油が送られる油路を後進油路51bと称する。したがって、油圧モータ32を逆転させて走行機体1を後進させるに際して、後進油路51bでは、油圧ポンプ31から油圧モータ32に作動油が供給され、前進油路51aでは、油圧モータ32から油圧ポンプ31に作動油が供給される。
図4に示すように、油圧回路50は、油圧ポンプ31の斜板角を制御する油圧サーボ機構52を備えている。油圧サーボ機構52は、主変速レバー12の手動操作に対応して切換作動する変速バルブ53と、変速バルブ53を介してチャージポンプ20に接続された変速シリンダ54とを有している。主変速レバー12の手動操作に連動して変速バルブ53を切換作動させると、変速シリンダ54が作動して油圧ポンプ31の斜板角を変更させ、油圧モータ32におけるモータ出力軸34の回転速度を無段階に変化させたり逆転させたりする変速動作が実行される。
前進油路51aおよび後進油路51bと、チャージポンプ20によるチャージ圧力がかかったチャージ油路55との間には、チェックリリーフ弁56a,56bが設けられている。一方の油路51a(または51b)内の圧力が高くなり過ぎた場合、チェックリリーフ弁56a(または56b)は、油圧モータ32または油圧ポンプ31に作動油を供給せずに、他方の油路51b(または51a)や油圧無段変速機30(ひいてはミッションケース18)に作動油を逃がして、油圧モータ32に過負荷が作用したときに生ずる異常圧を抜く。チェックリリーフ弁56a,56bに設定されるリリーフ圧は、前述の異常圧相当に規定される。
一方の油路51a(または51b)内の作動油が不足する場合、チェックリリーフ弁56a(または56b)は、チャージ油路55からチェックリリーフ弁56a(または56b)を介して、一方の油路51a(または51b)に作動油を補給する。すなわち、チェックリリーフ弁56a,56bは、チェック弁の機能とリリーフ弁の機能との両方を有している。
チャージ油路55は、閉回路51を構成する前進油路51aと後進油路51bとの両方に接続されている。このため、エンジン17の駆動中は、チャージポンプ20からの作動油が閉回路51に常時補充される。チャージ油路55のうちチェックリリーフ弁56a,56bに至る中途部には、チャージポンプ20の吐出圧をチャージ圧力に規定する余剰リリーフ弁57が設けられている。チャージ油路55は、余剰リリーフ弁57を介して、油圧無段変速機30経由でミッションケース18に接続されている。したがって、チャージポンプ20からの作動油の余剰分は、余剰リリーフ弁57を介して、油圧無段変速機30経由でミッションケース18内に戻される。
なお、チャージ油路55は、サーボ油路58を介して油圧サーボ機構52に接続されている。油圧サーボ機構52には、チャージ油路55からサーボ油路58を介して、変速シリンダ54を作動させるサーボ圧力が供給される。また、チャージ油路55のうちチャージポンプ20の吸入側は、ストレーナ59を介して、作動油タンクでもあるミッションケース18に連通接続されている。
前進油路51aと後進油路51bとには、油圧ポンプ31と油圧モータ32との間をバイパスさせるバイパス油路60が接続されている。バイパス油路60中には、油圧モータ32に対する作動油圧を開放可能なバイパス弁61が設けられている。第1実施形態のバイパス弁61は、開度を調整可能な比例電磁式で、かつノーマリーオープンタイプのものである。換言すると、第1実施形態のバイパス弁61は、電磁ソレノイドの励磁および消磁によって、バイパス油路60を開放する開放位置と、バイパス油路60を閉止する閉止位置との2位置に切換可能な2ポート2位置切換形でノーマリーオープンタイプの比例電磁弁である。
第1実施形態では、主変速レバー12が中立位置にあるとバイパス弁61は開放位置にあり、主変速レバー12が中立位置以外にあるとバイパス弁61は閉止位置にあるように構成されている。エンジン17の駆動中において、電磁ソレノイドによってバイパス弁61を開放位置に切換作動させると、バイパス油路60が開放されて、油圧モータ32に対する作動油圧がバイパス油路60側にバイパスされ、バイパス弁61の開度に応じて、油圧モータ32に対する作動油圧が減圧される。そして、最終的には、油圧モータ32にチャージ圧力は作用するものの、前進油路51a側と後進油路51b側との間で差圧がなくなるから、油圧ポンプ31の斜板が中立状態か否かに拘らず、油圧モータ32の出力(モータ出力軸34の回転)が停止する。
次に、図5および図6を参照しながら、油圧無段変速機30、ひいては走行系の制御構造、ならびにその制御態様の一例について説明する。コンバインには、本発明の制御手段としてのコントローラ70が搭載されている。詳細な図示は省略するが、コントローラ70は、各種演算処理や制御を実行するCPUのほか、制御プログラムやデータを記憶させるROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるRAM、および入出力インターフェイス等を備えている。コントローラ70は、電源印加用のキースイッチ71を介してバッテリ72に接続されている。
コントローラ70の入力側には、操縦レバー10の操作位置を検出する操舵角ポテンショ73、主変速レバー12の操作位置を検出する主変速ポテンショ74、副変速レバー13の操作位置を検出する副変速ポテンショ75、駐車ブレーキペダル27の踏み込みを検出する駐車ブレーキセンサ76、および走行機体1の車速を検出する車速センサ77等が電気的に接続されている。
コントローラ70の出力側には、変速アクチュエータである変速シリンダ54に対する変速バルブ53、左右サイドクラッチ41,42を継断作動させる左右クラッチシリンダ81,82に対する左右クラッチ電磁弁91,92、左右サイドブレーキ43,44を制動させるブレーキアクチュエータとしての左右ブレーキシリンダ83,84に対する左右ブレーキ電磁弁93,94、およびバイパス弁61等が電気的に接続されている。
コントローラ70は、主変速レバー12を中立位置に戻し操作するのに連動してバイパス弁61を開放させ、油圧ポンプ31の斜板中立化とバイパス弁61開放との両方によって、コンバインを走行停止させる走行停止制御を実行するように構成されている。
すなわち、図6のフローチャートに示すように、コントローラ70は、走行停止制御のスタートに続いて、主変速ポテンショ74による主変速レバー12の中立位置以外への操作状態の検出、および車速センサ77による車速ゼロ以外かの走行状態の検出に基づいて、コンバインが走行中であると判断すれば(S01:YES)、主変速ポテンショ74の検出値を読み込み、主変速レバー12を中立位置に戻し操作したか否かを判別する(S02)。
コンバインが走行中であれば、主変速レバー12は中立位置以外に操作されているので、バイパス弁61は閉止位置にあり、バイパス油路60は閉止されている。主変速レバー12を中立位置に戻し操作した場合は(S02:YES)、主変速ポテンショ74の検出値から主変速レバー12の中立戻し時間Tnを算出し、中立戻し時間Tnが予め設定された設定時間TS以上か否かを判別する(S03)。設定時間TSは、例えば0.5秒程度に設定すればよい。
中立戻し時間Tnが設定時間TS以上であれば(設定時間TSを上回る場合、S03:YES)、オペレータが主変速レバー12を比較的ゆっくりと中立位置に戻し操作していることを意味するから、電磁ソレノイドによって、例えば中立戻し時間Tnに対応したデューティ制御にてバイパス弁61を徐々に開放位置に切換作動させ、バイパス油路60を開放して、油圧モータ32に対する作動油圧をバイパス油路60側にバイパスさせる(迂回させる、S04)。すなわち、ステップS04でのバイパス弁61の開放速度は、後述するステップS07の場合と比較して遅くなっている。
そうすると、バイパス弁61の開度に応じて油圧モータ32に対する作動油圧が減圧され、最終的には、油圧モータ32にチャージ圧力は作用するものの、前進油路51a側と後進油路51b側との間で差圧がなくなり、油圧ポンプ31の斜板が中立状態か否かに拘らず、油圧モータ32の出力(モータ出力軸34の回転)が停止する。
ここでは、主変速レバー12を中立位置に戻し操作しているため、バイパス弁61が全開になり油圧モータ32の出力(モータ出力軸34の回転)が停止するのに前後して、油圧ポンプ31の斜板が中立状態になっている。そこで、駐車ブレーキペダル27の踏み込みの検出によって(S05:YES)、コントローラ70は、左右ブレーキ電磁弁93,94を切換作動させて、左右ブレーキシリンダ83,84の作動によって左右サイドブレーキ43,44を制動させ、コンバインを確実に走行停止させる(S06)。
ステップS03に戻り、中立戻し時間Tnが設定時間TS未満であれば(設定時間TSを下回る場合、S03:NO)、オペレータが主変速レバー12をすばやく中立位置に戻し操作していることを意味するから、電磁ソレノイドによって、バイパス弁61を瞬時に全開に切換作動させ、バイパス油路60を開放して、油圧モータ32に対する作動油圧をバイパス油路60側にバイパスさせる(迂回させる、S07)。すなわち、ステップS07でのバイパス弁61の開放速度は、ステップS04の場合と比較して速くなっている。
その結果、ステップS04の場合よりもすばやく、前進油路51a側と後進油路51b側との間で差圧がなくなり、油圧ポンプ31の斜板が中立状態か否かに拘らず、油圧モータ32の出力(モータ出力軸34の回転)が停止する。この場合も、バイパス弁61が全開になり油圧モータ32の出力(モータ出力軸34の回転)が停止するのに前後して、油圧ポンプ31の斜板が中立状態になっているので、次いで、ステップS05に移行し、駐車ブレーキペダル27の踏み込みの検出によって(ステップS05:YES)、コントローラ70は、左右ブレーキ電磁弁93,94を切換作動させて、左右ブレーキシリンダ83,84の作動によって左右サイドブレーキ43,44を制動させ、コンバインを確実に走行停止させる(S06)。
その後は、駐車ブレーキペダル27の踏み込み解除の検出によって(S08:YES)、左右ブレーキ電磁弁93,94を切換作動させて、左右ブレーキシリンダ83,84の解除作動によって左右サイドブレーキ43,44を制動解除させ(S09)、コンバインを走行可能な状態に戻すのである。なお、設定時間TS自体は下回る側に含めてもよいし、上回る側に含めてもよい。第1実施形態では上回る側に含めている。
上記のように制御すると、主変速レバー12の中立位置への戻し操作に連動してバイパス弁61を開放させるので、油圧ポンプ31の斜板が中立状態か否かに拘らず、油圧モータ32に対する作動油圧が開放され、油圧ポンプ31の斜板中立化とバイパス弁61開放との両方によって、油圧モータ32の出力(モータ出力軸34の回転)を確実に停止できる。
したがって、閉回路51中にバイパス油路60およびバイパス弁61を追加するという簡単な構成を採用するだけで、仮に油圧ポンプ31の斜板が中立状態にならない等の油圧無段変速機30の不具合が生じたとしても、エンジン17を強制停止させたり副変速レバー13を中立操作したりすることなく、油圧モータ32の出力(モータ出力軸34の回転)を確実に停止でき、油圧無段変速機30の出力(車速)をゼロにでき、確実にコンバインを走行停止できる。主変速レバー12の中立位置への戻し操作だけで、コンバインを急停止させることも可能である。また、エンジンを停止させる必要がないので、脱穀や排出等の作業もそのまま実行できる。
また、主変速レバー12の戻し操作のスピードに合わせて、バイパス弁61の開度を変化させて油圧モータ32に対する作動油圧を減圧させ、油圧モータ32の出力(モータ出力軸34の回転)を停止にまで移行でき、主変速レバー12における極めて良好な操作追従性を確保できる。
図7には、別例のバイパス弁62を図示している。図7に示す別例のバイパス弁62は、電磁ソレノイドの励磁および消磁によって、バイパス油路60を開放する開放位置と、バイパス油路60を閉止する閉止位置との2位置に切換可能な3ポート2位置切換形でノーマリーオープンタイプの比例電磁弁である。この場合、電磁ソレノイドによってバイパス弁62を開放位置に切換作動させると、油圧モータ32に対する作動油圧は、油圧無段変速機30経由でミッションケース18にドレンされる。このように構成した場合も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
次に、図8~図11を参照しながら、第2実施形態における油圧無段変速機130,160の油圧回路構造について説明する。詳細な図示は省略するが、第2実施形態の油圧無段変速機130,160を有するコンバインは、操縦レバー10に代えて、丸形状の操縦ハンドル110を採用したものである。
第2実施形態において、操縦ハンドル110および主変速レバー12と、油圧無段変速機130,160とは、
(1)主変速レバー12を中立位置以外に操作した状態で、操縦ハンドル110を中立位置以外に回動操作すると、回動操作量が大きいほど小さな旋回半径で走行機体1が左または右に旋回し、かつ旋回半径が小さいほど走行機体1の車速(前後進時の旋回速度)が減速する、
(2)主変速レバー12を前後進いずれの方向に操作した場合でも、操縦ハンドル110の回動操作方向と走行機体1の旋回方向とが一致する(操縦ハンドル110を右に回せば走行機体1は右旋回し、操縦ハンドル110を左に回せば走行機体1は左旋回する)、
(3)主変速レバー12が中立位置にあると操縦ハンドル110を回動操作しても機能しない、
という各種動作を実行するために、主変速レバー12や操縦ハンドル110の操作に連動して油圧無段変速機130,160を制御するように電気的または機械的に関連付けられている。
第2実施形態の油圧無段変速機130,160は、直進ポンプ131および直進モータ132を有する走行変速用の直進油圧無段変速機130と、旋回ポンプ161および旋回モータ162を有する操舵用の旋回油圧無段変速機160とで構成されている。すなわち、第2実施形態の油圧無段変速機130,160は、走行変速用と操舵用の2つの油圧無段変速機を備えている。
図8を参照しながら、第2実施形態におけるコンバインの走行駆動構造を説明する。ミッションケース18は、直進ポンプ131および直進モータ132を有する走行変速用の直進油圧無段変速機130と、旋回ポンプ161および旋回モータ162を有する操舵用の旋回油圧無段変速機160とを備えている。直進ポンプ131のポンプ軸133、および旋回ポンプ161のポンプ軸163に、ミッションケース18のミッション入力軸120がそれぞれギヤ連結されて駆動するように構成されている。エンジン17の出力軸19から出力される動力は、プーリベルト伝動系119およびミッション入力軸120を経由して、直進ポンプ131のポンプ軸133、および旋回ポンプ161のポンプ軸163に伝達される。
直進油圧無段変速機130では、ポンプ軸133に伝達された動力によって、直進ポンプ131から直進モータ132に向けて作動油が適宜送り込まれる。同様にして、旋回油圧無段変速機160では、ポンプ軸163に伝達された動力にて、旋回ポンプ161から旋回モータ162に向けて作動油が適宜送り込まれる。旋回ポンプ161のポンプ軸163には、直進ポンプ131、直進モータ132、旋回ポンプ161、および旋回モータ162に作動油を供給するチャージポンプ20が取り付けられている。
直進油圧無段変速機130は、主変速レバー12の操作量に応じて、直進ポンプ131の斜板角を変更調節することによって、直進モータ132への作動油の吐出方向および吐出量を変更する。その結果、直進モータ132から突出した直進モータ軸134の回転方向および回転数が任意に調節される。直進モータ軸134の回転動力は、直進伝達ギヤ機構135から副変速ギヤ機構136に伝達される。副変速ギヤ機構136は、互いに連動する副変速シフタ137,138にて切り換える副変速低速ギヤ139、副変速中速ギヤ140、および副変速高速ギヤ141を備えている。
低速用副変速シフタ137は、副変速ギヤ機構136の出力側に位置する駐車ブレーキ軸143(副変速出力軸)に軸支されている。高速用副変速シフタ138は、直進伝達ギヤ機構135を構成する副変速カウンタ軸142に軸支されている。運転操縦部9に配置した副変速レバー13の操作によって、直進モータ軸134の出力回転数は、低速、中速または高速という3段階の変速段に択一的に切り換えられる。
駐車ブレーキ143には、ドラム式等の駐車ブレーキ144が設けられている。副変速ギヤ機構136からの回転動力は、駐車ブレーキ軸143に固着した副変速出力ギヤ145から左右の差動機構である遊星ギヤ機構146に伝達される。駐車ブレーキ軸144上には直進用パルサ121が設けられている。直進用パルサ121の外周側には、直進車速センサ122が対向配置されている。直進車速センサ122が直進出力の回転数(直進車速、副変速出力ギヤ145の変速出力とも言える)を検出する。
左右の遊星ギヤ機構146は、副変速出力ギヤ145に噛み合うサンギヤ147と、サンギヤ147に噛み合う複数の遊星ギヤ148と、遊星ギヤ148に噛み合うリングギヤ149と、複数の遊星ギヤ148を同一円周上に回転可能に配置したキャリア150とをそれぞれ備えている。左右のキャリア150は、同一軸線上(サンギヤ軸151および強制デフ出力軸153の軸線上)において適宜間隔を空けた状態で相対向している。左右のサンギヤ147は、サンギヤ軸151の軸方向両端側に固着されている。サンギヤ軸151の軸方向中途部に、センターギヤ152が固着されている。
左右のリングギヤ149は、内周面の内歯を複数の遊星ギヤ148に噛み合わせた状態で、サンギヤ軸151と同心状に配置されている。左右のリングギヤ149外周面の外歯は、後述する左右の中間ギヤ170,172および逆転ギヤ171を介して操向出力軸169に連結されている。各リングギヤ149は、キャリア150の外側面から左右外向きに突出した左右の強制デフ出力軸153に回転可能に被嵌されている。左右の強制デフ出力軸153には、終ギヤ機構154を介して左右の車軸26が連結されている。副変速ギヤ機構136から左右の遊星ギヤ機構146に伝わった回転動力は、左右の車軸26から各駆動スプロケット22に同方向の同一回転数にて伝達され、左右の走行クローラ2を同方向の同一回転数にて駆動させ、走行機体1を直進(前進、後退)移動させる。
旋回油圧無段変速機160は、操縦ハンドル110の操作量に応じて、旋回ポンプ161の斜板角を変更調節することによって、旋回モータ162への作動油の吐出方向および吐出量を変更する結果、旋回モータ162から突出した旋回モータ軸164の回転方向および回転数が任意に調節される。後述する操向カウンタ軸167上には、旋回用パルサ123が設けられている。旋回用パルサ123の外周側には、旋回車速センサ124が対向配置されている。旋回車速パルサ123が旋回出力の回転数(旋回車速とも言える)を検出する。
ミッションケース18内には、旋回モータ軸164上に設けた湿式多板形の旋回ブレーキ165と、旋回モータ軸164に上流減速ギヤ166を介して連結され操向カウンタ軸167と、操向カウンタ軸167に下流減速ギヤ168を介して連結された操向出力軸169とが設けられている。旋回モータ軸164の回転動力は、上流減速ギヤ166経由で操向カウンタ軸167に伝達される。操向カウンタ軸167から操向出力軸169に伝達された回転動力は、操向出力軸169上の左中間ギヤ170と逆転ギヤ171を経由した逆転回転動力として、左リングギヤ149に伝達される一方、操向出力軸169上の右中間ギヤ172を経由した正転回転動力として、右リングギヤ149に伝達される。
副変速ギヤ機構136を中立にした場合は、直進モータ132から左右の遊星ギヤ機構146への動力伝達が阻止される。副変速ギヤ機構136を中立以外の変速段に設定した場合は、副変速ギヤ機構136を介して直進モータ132から左右の遊星ギヤ機構146へ動力伝達される。旋回ポンプ161の出力を中立(ニュートラル)状態とし、かつ旋回ブレーキ165を入り状態とした場合は、旋回モータ162から左右の遊星ギヤ機構146への動力伝達が阻止される。旋回ポンプ161の出力を中立以外の状態とし、かつ旋回ブレーキ165を切り状態とした場合は、旋回モータ162の回転動力が操向カウンタ軸167、操向出力軸169、左中間ギヤ170および逆転ギヤ171等を経て左リングギヤ149に伝達される一方、操向カウンタ軸167、操向出力軸169、および右中間ギヤ172等を経て右リングギヤ149に伝達される。
旋回モータ162の正転(逆転)時は、互いに逆方向の同一回転数で左右のリングギヤ149が回転する。つまり、各モータ軸134,164の変速出力は、副変速ギヤ機構136または左右の遊星ギヤ機構146をそれぞれ経由して、左右の駆動スプロケット22にそれぞれ伝達され、走行機体1の車速(走行速度)および進行方向が決定される。
次に、図9を参照しながら、第2実施形態における油圧無段変速機130,160の油圧回路200について説明する。第2実施形態の直進油圧無段変速機130および旋回油圧無段変速機160は、第1実施形態で説明した油圧無段変速機30(図4参照)と基本的に同様の構成である。
第2実施形態の油圧回路200は、直進油圧無段変速機130および旋回油圧無段変速機160を備えている。すなわち油圧回路200は、直進ポンプ131、直進モータ132、旋回ポンプ161、旋回モータ162、およびチャージポンプ20を備えている。直進ポンプ131と直進モータ132とは、直進第1油路201a及び直進第2油路201bによって閉ループ状に接続されている。直進第1油路201aおよび直進第2油路201bが直進閉回路201を構成している。旋回ポンプ161と旋回モータ162とは、旋回第1油路202aおよび旋回第2油路202bによって閉ループ状に接続されている。旋回第1油路202aおよび旋回第2油路202bが旋回閉回路202を構成している。
エンジン17の回転動力によって、直進ポンプ131および旋回ポンプ161を駆動させ、直進ポンプ131や旋回ポンプ161の斜板角を制御することによって、直進モータ132や旋回モータ162への作動油の吐出方向及び吐出量が変更され、直進モータ132や旋回モータ162が正逆転および無段増減速作動する。
第2実施形態の油圧回路200は、主変速レバー12の手動操作に対応して切換作動する直進バルブ203と、直進バルブ203を介してチャージポンプ20に接続された直進シリンダ204とを備えている。直進バルブ203を切換作動させると、直進シリンダ204が作動して直進ポンプ131の斜板角を変更させ、直進モータ132の直進モータ軸134回転数を無段階に変化させたり逆転させたりする直進変速動作が実行される。また、油圧回路200は、直進変速用の油圧サーボ機構205を備えている。直進ポンプ131の斜板角制御によって直進バルブ203が中立復帰するフィードバック動作を油圧サーボ機構205で実行させ、主変速レバー12の操作量に比例して直進ポンプ131の斜板角を変化させ、直進モータ132の直進モータ軸134回転数を変更させる。
第2実施形態の油圧回路200は、操縦ハンドル110の操作に対応して切換作動する旋回バルブ206と、旋回バルブ206を介してチャージポンプ20に接続された旋回シリンダ207とを備えている。旋回バルブ206を切換作動させると、旋回シリンダ207が作動して旋回ポンプ161の斜板角を変更させ、旋回モータ162の旋回モータ軸164回転数を無段階に変化させたり逆転させたりする左右旋回動作が実行される。また、油圧回路200は、旋回変速用の油圧サーボ機構208を備えている。旋回ポンプ161の斜板角制御によって旋回バルブ206が中立復帰するフィードバック動作を油圧サーボ機構208で実行させ、操縦ハンドル110の操作量に比例して旋回ポンプ161の斜板角を変化させ、旋回モータ162の旋回モータ軸164回転数を変更させる。
図9に示すように、両方の閉回路201,202の全ての油路201a,201b,202a,202bには、チャージ分岐油路213が接続されている。直進第1油路201aおよび直進第2油路201bとチャージ分岐油路213との間には、チェックリリーフ弁209a,209bが設けられている。また、旋回第1油路202aおよび旋回第2油路202bとチャージ分岐油路213との間にも、チェックリリーフ弁210a,210bが設けられている。直進側のチェックリリーフ弁209a,209b、および旋回側のチェックリリーフ弁210a,210bの機能はいずれも、第1実施形態のチェックリリーフ弁56a,56bと同じである。
チャージポンプ20の吸入側には、ミッションケース18内にあるストレーナ211が接続されている。チャージポンプ20の吐出側には、チャージ油路212が接続されている。チャージ油路212の下流側には、チャージ分岐油路213が接続されている。前述の通り、チャージ分岐油路213は、両方の閉回路201,202の全ての油路201a,201b,202a,202bに接続されている。このため、エンジン17駆動中は、チャージポンプ20からの作動油が両方の閉回路201,202に常時補充される。
チャージ分岐油路213は、直進サーボ油路214を介して、直進バルブ203ひいては直進シリンダ204に接続されているとともに、旋回サーボ油路215を介して、旋回バルブ206ひいては旋回シリンダ207に接続されている。直進変速用の油圧サーボ機構205には、チャージ油路212およびチャージ分岐油路213から直進サーボ油路214を介して、サーボ圧力が供給され、旋回変速用の油圧サーボ機構208には、チャージ油路212およびチャージ分岐油路213から旋回サーボ油路215を介して、サーボ圧力が供給される。
チャージ分岐油路213は、余剰リリーフ弁216を介して、直進油圧無段変速機130および旋回油圧無段変速機160を収容する変速ケース199ひいてはミッションケース18に接続されている。したがって、チャージポンプ20から供給された作動油の余剰分は、余剰リリーフ弁216を介して、変速ケース199経由でミッションケース18内に戻される。
直進第1油路201aと直進第2油路201bとには、直進ポンプ131と直進モータ132との間をバイパスさせる直進バイパス油路220が接続されている。直進バイパス油路220中には、直進モータ132に対する作動油圧を開放可能な直進バイパス弁221が設けられている。また、旋回第1油路202aと旋回第2油路202bとには、旋回ポンプ161と旋回モータ162との間をバイパスさせる旋回バイパス油路222が接続されている。旋回バイパス油路222中には、旋回モータ162に対する作動油圧を開放可能な旋回バイパス弁223が設けられている。
第2実施形態の直進バイパス弁221および旋回バイパス弁223は基本的に、第1実施形態のバイパス弁61と同じ構成のものである。ただし、旋回バイパス弁223は、開度調整をしないオンオフタイプの電磁切換弁が採用されている。第2実施形態では、主変速レバー12が中立位置にあると直進バイパス弁221は開放位置にあるとともに、操縦ハンドル110の操作状態に拘らず旋回バイパス弁223も開放位置にあり、主変速レバー12が中立位置以外にあると直進バイパス弁221は閉止位置にあるように構成されている。また、操縦ハンドル110が中立位置(操舵角ゼロ)にあると旋回バイパス弁223は開放位置にあり、操縦ハンドル110が中立位置以外にあると旋回バイパス弁223は閉止位置にあるように構成されている。
第2実施形態では、前述の通り、主変速レバー12が中立位置にあると直進バイパス弁221は開放位置にあるとともに、操縦ハンドル110の操作状態に拘らず旋回バイパス弁223も開放位置にあるように構成されているから、例えばコンバインの左右旋回中(操縦ハンドル110の回動操作中)に、オペレータが不用意に主変速レバー12に当たって中立位置に操作してしまったとしても、旋回モータ162に対する作動油圧が開放され、旋回ポンプ161の斜板中立化と旋回バイパス弁223開放との両方によって、旋回モータ162の出力(旋回モータ軸164の回転)を確実に停止でき、旋回油圧無段変速機160の出力をゼロにできる。その結果、主変速レバー12の不用意な中立操作で、コンバインがスピンターン(信地旋回)するおそれは確実になくなる。その上、主変速レバー12の中立操作で、直進油圧無段変速機130の出力はゼロになるから、確実にコンバインを走行停止できる。
次に、図10および図11を参照しながら、第2実施形態における油圧無段変速機130,160、ひいては走行系の制御構造、ならびにその制御態様の一例を説明する。第2実施形態におけるコントローラ70の基本構造は、第1実施形態のものと同様である。第2実施形態におけるコントローラ70の入力側には、操縦ハンドル110の操作位置を検出する操舵角ポテンショ73、主変速レバー12の操作位置を検出する主変速ポテンショ74、副変速レバー13の操作位置を検出する副変速ポテンショ75、駐車ブレーキペダル27の踏み込みを検出する駐車ブレーキセンサ76、直進車速センサ122、および旋回車速センサ124等が電気的に接続されている。
コントローラ70の出力側には、直進シリンダ204に対する直進バルブ203、旋回シリンダ207に対する旋回バルブ206、駐車ブレーキ144を制動させるブレーキアクチュエータとしての駐車ブレーキシリンダ217に対する駐車ブレーキ電磁弁218、直進バイパス弁221、および旋回バイパス弁223等が電気的に接続されている。
第2実施形態のコントローラ70は、主変速レバー12を中立位置に戻し操作するのに連動して直進および旋回バイパス弁221,223を開放させ、油圧ポンプ31の斜板中立化と直進および旋回バイパス弁221,223開放との両方によって、コンバインを走行停止させる走行停止制御を実行するように構成されている。
すなわち、図11のフローチャートに示すように、コントローラ70は、走行停止制御のスタートに続いて、主変速ポテンショ74による主変速レバー12の中立位置以外への操作状態の検出、および両車速センサ122,124による車速ゼロ以外かの走行状態の検出に基づいて、コンバインが走行中であると判断すれば(S11:YES)、主変速ポテンショ74の検出値を読み込み、主変速レバー12を中立位置に戻し操作したか否かを判別する(S12)。
コンバインが走行中であれば、主変速レバー12は中立位置以外に操作されているので、直進バイパス弁221は閉止位置にあり、直進バイパス油路220は閉止されている。また、旋回バイパス弁223(旋回バイパス油路222)の開閉状態は、操縦ハンドル110の操作状態による。主変速レバー12を中立位置に戻し操作した場合は(S12:YES)、主変速ポテンショ74の検出値から主変速レバー12の中立戻し時間Tnを算出し、中立戻し時間Tnが予め設定された設定時間TS以上か否かを判別する(S13)。設定時間TSは、例えば0.5秒程度に設定すればよい。
中立戻し時間Tnが設定時間TS以上であれば(設定時間TSを上回る場合、S13:YES)、オペレータが主変速レバー12を比較的ゆっくりと中立位置に戻し操作していることを意味するから、電磁ソレノイドによって、例えば中立戻し時間Tnに対応したデューティ制御にて直進バイパス弁221を徐々に開放位置に切換作動させ、直進バイパス油路222を開放して、直進モータ132に対する作動油圧を直進バイパス油路220側にバイパスさせる(迂回させる、S14)。すなわち、ステップS14での直進バイパス弁221の開放速度は、後述するステップS17の場合と比較して遅くなっている。
そうすると、直進バイパス弁221の開度に応じて直進モータ132に対する作動油圧が減圧され、最終的には、直進モータ132にチャージ圧力は作用するものの、直進第1油路201a側と直進第2油路201b側との間で差圧がなくなり、直進ポンプ131の斜板が中立状態か否かに拘らず、直進モータ132の出力(直進モータ軸134の回転)が停止する。
なお、ステップS12において、操縦ハンドル110を中立位置以外に回動操作していた場合は、直進バイパス弁221の切換作動に並行して、電磁ソレノイドによって旋回バイパス弁223を全開に切換作動させ、旋回バイパス油路222を開放して、旋回モータ162に対する作動油圧を旋回バイパス油路222側にバイパスさせ、旋回ポンプ161の斜板が中立状態か否かに拘らず、旋回モータ162の出力(旋回モータ軸164の回転)を停止させる。
この段階では、主変速レバー12を中立位置に戻し操作しているため、直進および旋回バイパス弁221,223が全開になり直進および旋回モータ132,162の出力が停止するのに前後して、直進および旋回ポンプ131,161の斜板が中立状態になっている。そこで、駐車ブレーキペダル27の踏み込みの検出によって(S15:YES)、コントローラ70は、駐車ブレーキ電磁弁218を切換作動させて、駐車ブレーキシリンダ217の作動によって駐車ブレーキ144を制動させ、コンバインを確実に走行停止させる(S16)。
ステップS13に戻り、中立戻し時間Tnが設定時間TS未満であれば(設定時間TSを下回る場合、S13:NO)、オペレータが主変速レバー12をすばやく中立位置に戻し操作していることを意味するから、電磁ソレノイドによって、直進バイパス弁221を瞬時に全開に切換作動させ、直進バイパス油路220を開放して、直進モータ132に対する作動油圧を直進バイパス油路220側にバイパスさせる(迂回させる、S17)。すなわち、ステップS17での直進バイパス弁221の開放速度は、ステップS14の場合と比較して速くなっている。
その結果、ステップS14の場合よりもすばやく、直進第1油路201a側と直進第2油路201b側との間で差圧がなくなり、直進ポンプ131の斜板が中立状態か否かに拘らず、直進モータ132の出力(直進モータ軸134の回転)が停止する。この場合も、操縦ハンドル110を中立位置以外に回動操作していれば、前述の通り、直進バイパス弁221の切換作動に並行して、電磁ソレノイドによって旋回バイパス弁223を全開に切換作動させ、旋回ポンプ161の斜板が中立状態か否かに拘らず、旋回モータ162の出力(旋回モータ軸164の回転)を停止させる。
また、直進および旋回バイパス弁221,223が全開になり直進および旋回モータ132,162の出力が停止するのに前後して、直進および旋回ポンプ131,161の斜板が中立状態になっているので、次いで、ステップS15に移行し、駐車ブレーキペダル27の踏み込みの検出によって(ステップS15:YES)、コントローラ70は、駐車ブレーキ電磁弁218を切換作動させて、駐車ブレーキシリンダ217の作動によって駐車ブレーキ144を制動させ、コンバインを確実に走行停止させる(S16)。
その後は、駐車ブレーキペダル27の踏み込み解除の検出によって(S18:YES)、駐車ブレーキ電磁弁218を切換作動させて、駐車ブレーキシリンダ217の解除作動によって駐車ブレーキ144を制動解除させ(S19)、コンバインを走行可能な状態に戻すのである。なお、設定時間TS自体は、第1実施形態と同様に、下回る側に含めてもよいし、上回る側に含めてもよい。
上記のように制御すると、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、直進ポンプ131の斜板中立化と直進バイパス弁221開放との両方によって、油圧モータ32の出力(モータ出力軸34の回転)を確実に停止できる。仮に直進ポンプ131の斜板が中立状態にならない等の直進油圧無段変速機130の不具合が生じたとしても、エンジン17を強制停止させたり副変速レバー13を中立操作したりする必要がない。また、主変速レバー12の戻し操作のスピードに合わせて、直進バイパス弁221の開度を変化させて直進モータ132に対する作動油圧を減圧させ、直進モータ132の出力(直進モータ軸134の回転)を停止にまで移行でき、主変速レバー12における極めて良好な操作追従性を確保できる。
特に第2実施形態では、前述の通り、主変速レバー12を中立位置に操作すると、操縦ハンドル110の操作状態に拘らず、旋回バイパス弁223も開放位置に切換作動するから、例えばコンバインの左右旋回中(操縦ハンドル110の回動操作中)に、オペレータが不用意に主変速レバー12に当たって中立位置に操作してしまったとしても、旋回モータ162に対する作動油圧が開放され、旋回ポンプ161の斜板中立化と旋回バイパス弁223開放との両方によって、旋回モータ162の出力(旋回モータ軸164の回転)を確実に停止でき、旋回油圧無段変速機160の出力をゼロにできる。その結果、主変速レバー12の不用意な中立操作で、コンバインがスピンターン(信地旋回)するおそれは確実になくなる。その上、主変速レバー12の中立操作で、直進油圧無段変速機130の出力はゼロになるから、確実にコンバインを走行停止できる。
前述した通り、第2実施形態の直進および旋回バイパス弁221,223は、基本的に第1実施形態のバイパス弁61と同じ構成のものであるが、これらに代えて、図7に示すバイパス弁62を直進および旋回バイパス弁225,227として採用してもよい(図12参照)。この場合、直進および旋回バイパス弁225,227を開放位置に切換作動させると、直進及び旋回モータ132,162に対する作動油圧は、変速ケース199経由でミッションケース18にドレンされる。ただし、ここでも旋回バイパス弁227は、開度調整をしないオンオフタイプの電磁切換弁を採用すれば足りる。直進および旋回バイパス弁として、図9に示すチャージ圧力作用タイプのものと、図12に示すドレンタイプのものとを組み合わせて用いることも可能である。
なお、本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば油圧式変速装置は、コンバインに限らず、トラクタ、田植機、フォークリフトカーおよびバックホウといった各種作業車両や船舶等に対して広く適用できる。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。