JP7748274B2 - ラッピングパッド、その製造方法、及びラップ加工物の製造方法 - Google Patents
ラッピングパッド、その製造方法、及びラップ加工物の製造方法Info
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Description
[1]
細孔を有する樹脂シートを備える、ラッピングパッドであって、
接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した前記樹脂シートの細孔分布において、0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが0.21cm3/g以上1.00cm3/g以下であり、
前記樹脂シートの密度が0.3g/cm3以上0.9g/cm3以下である、ラッピングパッド。
[2]
前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0に対する、前記積算細孔容積Vの割合が50%以上である、[1]に記載のラッピングパッド。
[3]
前記樹脂シートにおける10μm以上の開孔を対象として測定される平均開孔径が、50μm以上200μm以下である、[1]又は[2]に記載のラッピングパッド。
[4]
前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置が、0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲内にある、[1]~[3]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[5]
前記樹脂シートは、ミクロ相分離構造を有する、[1]~[4]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[6]
前記樹脂シートがポリウレタンを含む、[1]~[5]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載のラッピングパッドを製造する方法であって、
少なくとも1種のプレポリマーと少なくとも2種の硬化剤との混合液を硬化させることにより、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得る工程を含む、ラッピングパッドの製造方法。
[8]
前記硬化剤が、NH2当量が100以上300以下である第1の硬化剤と、OH当量が1000以上2000以下である第2の硬化剤と、を含む、[7]に記載のラッピングパッドの製造方法。
[9]
スラリーの存在下、[1]~[6]のいずれかに記載のラッピングパッドを用いて、被加工物をラップ加工するラッピング工程を有する、ラップ加工物の製造方法。
本実施形態のラッピングパッドは、細孔を有する樹脂シートを備える、ラッピングパッドであって、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した前記樹脂シートの細孔分布において、0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが0.21cm3/g以上1.00cm3/g以下であり、前記樹脂シートの密度が0.3g/cm3以上0.9g/cm3以下である。本実施形態のラッピングパッドは、上記のように構成されているため、ドレス性に優れ、表面が平滑化されにくい。
(密度)
本実施形態における樹脂シートは、密度が0.3g/cm3以上0.9g/cm3以下である。本実施形態における樹脂シートの密度が0.3g/cm3以上であると、ラッピングパッドは圧力に対して変形しにくいものとなるため、ラップ加工において、ラッピングパッドから被加工物に対して与えられる力がラッピング面方向において均一になる。その結果、そのような樹脂シートを備えるラッピングパッドを用いたラップ加工において、被加工物の表面を一層平坦にすることができる。なお、本明細書において「被加工物の表面が平坦である」とは、被加工物のラップ加工された表面が全体としてより平坦であることを意味する。これは、グローバル平坦性が良好であると換言してもよい。同様の観点から、本実施形態における樹脂シートの密度は、好ましくは0.4g/cm3以上、より好ましくは0.45g/cm3以上である。
一方、本実施形態における樹脂シートの密度が0.9g/cm3以下であると、砥粒が被加工物に強く接してスクラッチを与えることを抑制できる。また、樹脂シートの硬度が低くなる傾向にあり、このような観点からも、スクラッチの発生を抑制できる傾向にある。
本実施形態における樹脂シートの密度は、従来公知の方法により測定することができ、例えば、樹脂シート片の質量、及び体積を通常の方法により測定し、得られた値から密度を求めればよい。また、樹脂シートの密度を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する本実施形態のラッピングパッドの製造方法によりラッピングパッドを得ればよい。特に、本実施形態における樹脂シートの製造工程において、発泡剤の量を少なくする場合、樹脂シートの密度が高くなる傾向にある。
(積算細孔容積V)
本実施形態における樹脂シートは、細孔を有し、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した前記樹脂シートの細孔分布において、0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが0.21cm3/g以上1.00cm3/g以下である。
なお、以下、本明細書中において、特に断りがない限り、「細孔分布」とは、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した細孔分布を意味するものとする。水銀圧入法は、印加する圧力を掃引しながら、測定試料表面の細孔に水銀を満たしていくことにより、測定試料表面における細孔分布を測定することができる方法である。したがって、発泡材料について水銀圧入法により細孔分布を測定する場合、その細孔分布は、主に連通気泡(一般に、「連続気泡」ともいう。)の細孔分布を反映するものであり、独立気泡の細孔分布の寄与は小さい。
スラリーとの親和性を一層向上させる観点から、本実施形態における樹脂シートにおいて、上記積算細孔容積Vは、好ましくは0.30cm3/g以上であり、より好ましくは0.40cm3/g以上である。
本実施形態における樹脂シートにおいて、上記積算細孔容積Vは、1.00cm3/g以下である。積算細孔容積Vが1.00cm3/g以下であることにより、樹脂シートの密度が上記の範囲内となりやすい傾向にあり、そのような樹脂シートを備えるラッピングパッドを用いたラップ加工において、被加工物の表面を一層平坦にすることができる。同様の観点から、積算細孔容積Vは、好ましくは0.90cm3/g以下である。
積算細孔容積Vが0.21cm3/g以上1.00cm3/g以下の範囲内にあると、樹脂シートは、ドレス性に優れるようになる。なお、「ドレス」、又は「ドレス処理」とは、被加工物をラップ加工する前に、砥粒等が固定されたドレス治具(例えば、ダイヤモンドドレッサー、又はサンドペーパー)を用いて、ラッピングパッドのラッピング面の表面粗さを整えたり、平坦度を整えたりする処理を意味する。また、「ドレス性に優れる」とは、比較的容易な条件の処理によって、十分なドレス処理が行えることを意味する。「ラッピング面」とは、ラッピングパッドによって被加工物をラップ加工する際に、ラッピングパッドが被加工物に接触する面、又は接触することが想定される面を意味する。
本実施形態のラッピングパッドにおいて、被加工物に付与する平坦性と、スラリーとの親和性とのバランスを一層向上させる観点から、樹脂シートの細孔分布において、0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0に対する、0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vの割合は、好ましくは、50%以上である。換言すると、積算細孔容積V0に対する積算細孔容積Vの比(V/V0)は、好ましくは0.50以上である。このような態様によれば、樹脂シートは、相対的に小さい細孔径を有する細孔の割合が増えるため、密度を従来品と同等に保ちつつ、樹脂シート内の連通気泡の数を一層多くすることができる。
同様の観点から、積算細孔容積V0に対する積算細孔容積Vの割合は、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは65%以上であり、更により好ましくは70%以上である。積算細孔容積V0に対する積算細孔容積Vの割合の上限は特に限定されず、積算細孔容積V0に対する積算細孔容積Vの割合は、100%以下であってもよく、99%以下であってもよく、95%以下であってもよく、90%以下であってもよく、85%以下であってもよく、80%以下であってもよい。
本実施形態における樹脂シートの細孔分布において、0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置は、0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲内にあることが好ましい。一般的に、水銀圧入法において、細孔分布は、測定範囲の最大の細孔径からの積算細孔容積として測定される。したがって、「0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置」とは、水銀圧入法で得られた細孔分布から算出されるLog微分細孔容積分布(dV/d(logD))の最大ピークの位置(細孔径)を意味する。また、最大ピークとは、0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲における極大点が複数ある場合、極大値が最も大きい極大点を意味する。
0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置が0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲内にあることにより、樹脂シートは、0.010μm以上1.0μm以下の範囲で、分布が一層均一な細孔を有することとなるため、ラッピングパッドのスラリーとの親和性、及びドレス性が一層向上する傾向にある。ラッピングパッドのスラリーとの親和性、及びドレス性を一層向上させる観点から、より好ましくは0.010μm以上0.5μm以下、さらに好ましくは0.030μm以上0.5μm以下、よりさらに好ましくは0.050μm以上0.5μm以下の細孔径の範囲内にある。
同様の観点から、1.0μm以上360μm以下の範囲内における最大ピークの位置は、より好ましくは50μm以上200μm以下の細孔径の範囲内にある。
本実施形態における樹脂シートのLog微分細孔容積分布において、0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲におけるピークの数は、好ましくは2以上4以下であり、より好ましくは2であり、更に好ましくは0.010μm以上1.0μm以下に1かつ1.0μm以上360μm以下に1である。ピークの数が上記の範囲内にあることにより、分布が一層均一な細孔を有することとなるため、ラッピングパッドのスラリーとの親和性、及びドレス性が一層向上する傾向にある。
同様の観点から、Log微分細孔容積分布において、0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲における最大ピーク高さは、1.0μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピーク高さに比べて、好ましくは2倍以上であり、より好ましくは2.5倍以上であり、更に好ましくは3倍以上である。
本実施形態における樹脂シートの細孔分布において、0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0は、好ましくは0.1cm3/g以上2.0cm3/g以下であり、より好ましくは0.4cm3/g以上2.0cm3/g以下であり、更に好ましくは0.5cm3/g以上1.5cm3/g以下であり、より更に好ましくは0.6cm3/g以上1.2cm3/g以下である。積算細孔容積V0が上記の範囲内にあることにより、被加工物に付与する平坦性と、スラリーとの親和性とのバランスが一層向上する傾向にある。
本実施形態における樹脂シートは、ミクロ相分離構造を有することが好ましい。本明細書中、「ミクロ相分離構造」は、ミクロ相分離を経て形成された相分離構造を意味する。また、本明細書中、「ミクロ相分離」とは、巨視的には均質な物体において、微視的(典型的には、マイクロメートルオーダー)な構造パターンが少なくとも1次元の周期性をもって繰り返されるように生じる相分離を意味する。ミクロ相分離は、例えば、後述する本実施形態のラッピングパッドの製造方法における好ましい製造条件を採用することで生じさせることができる。ミクロ相分離構造の典型例としては、以下に限定されないが、球状構造(海島構造)、シリンダー構造、ラメラ構造、及び三次元網目構造が挙げられる。本実施形態におけるミクロ相分離構造は、好ましくは、シリンダー構造、ラメラ構造及び三次元網目構造を含み、より好ましくは三次元網目構造である。
本明細書中、三次元網目構造は、三次元方向に網目状のネットワークを形成した構造を意味する。ミクロ相分離由来の三次元網目構造としては、シングルジャイロイド構造及び/又はダブル(多重)ジャイロイド構造を含むものであってもよい。本明細書において、シングルジャイロイド構造は、典型的には、2つの三叉路が捻じれて対となった細線構造が組み合わさって単位胞を形成し、それが周期的に繰り返されたネットワーク構造を意味し、ダブル(多重)ジャイロイド構造は、2以上のシングルジャイロイド構造が入れ子に組み合わされた構造を意味する。
従来の発泡剤や不活性気体の注入等に由来する連続発泡構造を有する樹脂シートの断面は略球状の発泡断面と樹脂平坦部(つまり、樹脂の海と空隙の島との海島状)が観察される傾向にある。一方、本実施形態における樹脂シートがダブル(多重)ジャイロイド構造を有する場合、その断面では、典型的には、2つ以上の樹脂がマイクロメーターオーダーでまだら状に入り組んで相分離した構造が観察される傾向にある。また、本実施形態における樹脂シートがシングルジャイロイド構造を有する場合、その断面では、典型的には、不定形の空隙断面と樹脂骨格/樹脂骨格断面とが観察される。樹脂骨格部が空隙と比較して充分に大きい場合では、樹脂骨格部が観察できず実質的に樹脂の海状に観察される場合があるが、この場合でも本実施形態における樹脂シートの空隙は、三次元網目状に相互に連通して形成されている。
なお、本実施形態における樹脂シートの断面を観察したときに、2つ以上の樹脂のまだら状模様と、不定形の空隙断面と樹脂骨格/樹脂骨格断面との両方の特徴が観察され、すなわち、ダブル(多重)ジャイロイド構造とシングルジャイロイド構造との境界が明確に区別できない場合もあるが、この場合はシングルジャイロイド構造及びダブル(多重)ジャイロイド構造の少なくとも一方を含むものと評価できる。
本実施形態における樹脂シートがシングルジャイロイド構造及び/又はダブル(多重)ジャイロイド構造を有する場合も、典型的にはLog微分細孔容積分布において0.010μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲内にシャープなピーク(極大値)が計測される。
本実施形態における樹脂シートにおいて、10μm以上の開孔を対象として測定される平均開孔径は、特に限定されないが、好ましくは50μm以上300μm以下であり、より好ましくは50μm以上200μm以下である。
上記平均開孔径は、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。また、上記平均開孔径は、例えば、発泡剤や整泡剤の種類及び/又は添加量により上記した範囲に調整することができる。
本実施形態における樹脂シートの平均厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.5mm以上10.0mm以下であり、より好ましくは0.6mm以上8.0mm以下であり、更に好ましくは0.7mm以上5.0mm以下である。
本実施形態における樹脂シートの圧縮率は、特に限定されないが、好ましくは0.1%以上5.0%以下であり、より好ましくは0.3%以上3.0%以下である。なお、樹脂シートの圧縮率は、日本産業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることが出来る。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終圧力を30秒間かけた後の厚さt1を測定することにより、以下の式から算出することができる。なお、初荷重は100g/cm2、最終圧力は1120g/cm2である。
圧縮率(%)=100×(t0-t1)/t0
圧縮率(%)=100×(t0’-t1)/(t0-t1)
本実施形態における樹脂シートの材料は特に限定されない。樹脂シートの材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂が挙げられる。ポリウレタン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のラッピングパッドの製造方法は、少なくとも1種のプレポリマーと少なくとも2種の硬化剤との混合液を硬化させることにより、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得る工程を含む。このような方法によれば、簡便に本実施形態のラッピングパッドを製造することができる。以下、ラッピングパッドの製造方法の各工程を詳述する。
本実施形態のラッピングパッドの製造方法は、少なくとも1種のプレポリマーと少なくとも2種の硬化剤との混合液を調製する混合工程を含むことができる。混合工程において、少なくとも2種の硬化剤を用いることにより、混合工程の後の成形工程において、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得ることができる。特に、硬化剤を2種以上用いてミクロ相分離構造を形成することにより、プレポリマーを2種以上用いてミクロ相分離構造を形成する場合よりも、硬化反応を制御しやすく、ミクロ相分離構造の形状を容易に制御することができる傾向にある。
混合工程において用いられる硬化剤は特に限定されないが、例えば、アミノ基含有化合物、及び水酸基含有化合物が挙げられる。アミノ基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、4-メチル-2,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[3-(イソプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルペンチルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス(3,5-ジアミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,6-ジアミノ-4-メチルフェノール、トリメチルエチレンビス-4-アミノベンゾネート、及びポリテトラメチレンオキサイド-ジ-p-アミノベンゾネート等が挙げられる。アミノ基含有化合物としては、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)が好ましい。
混合工程において用いられるプレポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ウレタンプレポリマーが挙げられる。ウレタンプレポリマーとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物;2,4-トリレンジイソシアネートとプレンツカテコールとの付加物;2,4-トリレンジイソシアネートとポリ(オキシテトラメチレン)グリコールとジエチレングリコールとの付加物;トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物;トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物;キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物;ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物;及びイソシアヌル酸とヘキサメチレンジイソシアネートとの付加物が挙げられる。また、これ以外の、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応により調製されるイソシアネート基含有化合物や、市販されている多様なウレタンプレポリマーを用いてもよい。
混合工程において、プレポリマー及び硬化剤以外の成分を添加剤として混合してもよい。添加剤としては、ポリプロピレングリコールのような溶媒(希釈剤);シリコーン系消泡剤のような消泡剤;触媒;水や中空微粒子のような発泡剤;シリコーン系整泡剤のような整泡剤;並びに、酸化セリウムのようなフィラー(砥粒);染料;顔料;中実微粒子;難燃剤;親水化剤;疎水化剤;耐光剤;酸化防止剤;帯電防止剤等が挙げられる。得られる樹脂シートの密度を0.3g/cm3以上0.9g/cm3以下とする観点から、密度調整のために発泡剤を添加することが好ましく、発泡剤の添加量を調整することがより好ましい。
成形工程は、上記のようにして得られた混合液を硬化させることによりミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得る工程である。成形工程は、例えば、混合工程により得られた混合液を30℃~150℃に予熱した型枠内に流し込み、30℃~150℃程度で10分~5時間程度加熱すればよい。これにより、プレポリマーと硬化剤とが反応して樹脂を形成することにより、上記混合液が硬化する。また、更に、オーブンにより、50℃~180℃程度で10分~10時間程度加熱することで、2次硬化してもよい。本実施形態のラッピングパッドの製造方法では、混合液が上記のものであるため、ミクロ相分離構造を有する樹脂ブロックを得ることができる。
本実施形態のラップ加工物の製造方法は、スラリーの存在下、上記のラッピングパッドを用いて、被加工物をラップ加工し、ラップ加工物を得るラッピング工程を有する。
樹脂シートの積算細孔容積(細孔分布)は、水銀圧入法により測定した。厚み2mmの樹脂シートから10mm角の試料片を切り出し測定に用いた。積算細孔容積の測定は、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmの条件で、マイクロメリティックス社製の製品名「Auto Pore III」を用いて行った。水銀圧を0.5psiaから30000psiaに掃引することにより、細孔径360μmから細孔径0.005μmまでの積算細孔容積を求めた。細孔分布は、ポロシメーター用データ処理ソフト(島津製作所製、製品名「POREPLOT-PCW」)を用いて求めた。なお、各測定結果について、細孔径360μmから細孔径0.010μmまでの細孔分布を示す。
樹脂シートが、ミクロ相分離構造を有するか否かについては、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により確認した。SEM観察の倍率は300倍~3000倍程度とした。
マイクロスコープ(VH-6300、KEYENCE製)でラッピングパッド表面の約1.3mm四方の範囲を175倍に拡大して観察し、得られた画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3、ニコン製)により二値化処理して気泡個数を確認し、各々の開孔の面積から円相当径を求め、それらの平均値を平均開孔径(μm)とした。このとき、開孔径のカットオフ値(下限)は10μmとすることで、10μm以上の開孔径の平均値として平均開孔径を得た。
2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)を主成分とするNCO当量407のウレタンプレポリマーを用意した。このウレタンプレポリマー61.83質量部に、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)(NH2当量134)15.18質量部、及びポリプロピレングリコール(OH当量1345)5.65質量部を混合した。これに、シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング社製、製品名「SH193」)0.15質量部、触媒(東ソー株式会社製、製品名「トヨキャットET」)0.03質量部、発泡剤としての水0.16質量部、及び砥粒としての炭酸カルシウムフィラー17質量部を更に添加することにより、樹脂シートの前駆体となる混合液を得た。混合液のR値は0.9であった。
2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)を主成分とするNCO当量382のウレタンプレポリマーを用意した。このウレタンプレポリマー55.26質量部に、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)(NH2当量134)15.27質量部、及びポリテトラメチレングリコール(OH当量972)7.04質量部、及びポリプロピレングリコール(OH当量1345)4.24質量部を混合した。これに、シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング社製、製品名「SH193」)0.11質量部、触媒(東ソー株式会社製、製品名「トヨキャットET」)0.03質量部、発泡剤としての水0.05質量部、及び砥粒としての炭酸カルシウムフィラー18質量部を更に添加することにより、樹脂シートの前駆体となる混合液を得た。混合液のR値は0.9であった。
実施例1と同じウレタンプレポリマー61.59質量部に、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)(NH2当量134)9.24質量部、及び粗製MOCA(NH2当量189)9.24質量部を混合した。これに、シリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング社製、製品名「SH193」)0.18質量部、希釈剤としてのポリエーテル(OH当量1007)2.58質量部、触媒(東ソー株式会社製、製品名「トヨキャットET」)0.04質量部、発泡剤としての水0.13質量部、及び砥粒としての炭酸カルシウムフィラー17質量部を更に添加することにより、樹脂シートの前駆体となる混合液を得た。混合液のR値は0.9であった。
以上の測定結果より、実施例1の樹脂シートは、発泡剤に由来する空隙と、ミクロ相分離構造に由来する空隙との両方を含み、後者の空隙はラッピングパッド全体にわたって相互に連通していることが確認された。
以上の測定結果より、実施例2の樹脂シートは、発泡剤に由来する空隙と、ミクロ相分離構造に由来する空隙との両方を含み、後者の空隙はラッピングパッド全体にわたって相互に連通していることが確認された。
Claims (9)
- 細孔を有する樹脂シートを備える、ラッピングパッドであって、
接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した前記樹脂シートの細孔分布において、0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが0.21cm3/g以上1.00cm3/g以下であり、
前記樹脂シートの密度が0.3g/cm3以上0.9g/cm3以下である、ラッピングパッド。 - 前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0に対する、前記積算細孔容積Vの割合が50%以上である、請求項1に記載のラッピングパッド。
- 前記樹脂シートにおける10μm以上の開孔を対象として測定される平均開孔径が、50μm以上200μm以下である、請求項1又は2に記載のラッピングパッド。
- 前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.010μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置が、0.010μm以上1.0μm以下の細孔径の範囲内にある、請求項1~3のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
- 前記樹脂シートは、ミクロ相分離構造を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
- 前記樹脂シートがポリウレタンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載のラッピングパッドを製造する方法であって、
少なくとも1種のプレポリマーと少なくとも2種の硬化剤との混合液を硬化させることにより、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得る工程を含む、ラッピングパッドの製造方法。 - 前記硬化剤が、NH2当量が100以上300以下である第1の硬化剤と、OH当量が1000以上2000以下である第2の硬化剤と、を含む、請求項7に記載のラッピングパッドの製造方法。
- スラリーの存在下、請求項1~6のいずれか1項に記載のラッピングパッドを用いて、被加工物をラップ加工するラッピング工程を有する、ラップ加工物の製造方法。
Priority Applications (4)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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