以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1~図9は、本開示の一実施の形態を説明するための図である。容器セット20は、液体入り第1容器30L及び第2容器40を有している。液体入り第1容器30Lは、第1容器30と、第1容器30に収容された液体Lと、を有している。第1容器30は、少なくとも部分的に酸素を透過可能な部分を含んでいる。第2容器40は、酸素バリア性を有している。第2容器40は、液体入り第1容器30Lを収納可能である。液体入り組合せ容器10Lは、液体入り第1容器30L及び第2容器40を有し、液体入り第1容器30Lは第2容器40に収容されている。この液体入り組合せ容器10Lによれば、第2容器40内の酸素濃度を調整することにより、第1容器30内の酸素濃度だけでなく液体Lの酸素溶解量も調整できる。
図示された具体例を参照して液体入り組合せ容器10Lの各構成要素について更に詳述する。まず、液体入り第1容器30Lについて説明する。
上述したように、液体入り第1容器30Lは、第1容器30と、第1容器30内に収容された液体Lと、を有している。第1容器30の少なくとも一部分は、酸素を透過させることができる。その一方で、第1容器30は、液体Lを密封できる。すなわち、第1容器30は、酸素を透過可能としながら、液体Lを透過不可能とする。
第1容器30に収容される液体Lは、特に限定されない。液体は、溶媒と溶媒中に溶けた溶質とを含む溶液であってもよい。溶媒は、特定に限定されず、水やアルコールでもよい。液体は、厳密な意味での液体に限られず、固体粒子が分散した懸濁液でもよい。食品としての液体Lは、茶、コーヒー、紅茶、スープ、汁、出汁、又は、これらの一以上を濃縮した濃縮液でもよい。薬品としての液体は、内服薬、外用薬、又は、注射剤でもよい。食品や薬品以外として、液体Lを血液や体液としてもよい。
第1容器30の内部は無菌状態であってもよい。すなわち、液体Lは無菌状態に維持されるべき液体でもよい。無菌状態に維持されるべき液体Lとして、食品や薬品が例示される。食品や薬品としての液体Lは高感受性であり、劣化を抑制する観点から無菌状態で保存されることが好ましい。食品や薬品としての液体Lは、製造後に実施される後滅菌処理によって劣化しやすい。高感受性の液体に対し、高圧蒸気法、乾熱法、放射線法、酸化エチレンガス法、過酸化水素ガスプラズマ法等の後滅菌(最終滅菌とも言う)を適用できない。このような高感受性の液体Lは、無菌環境に配置された製造ラインを用いて、製造され得る。すなわち、無菌操作法により製造され得る。無菌操作法によって製造される液体Lの酸素量を調整しようとすると、液体Lの製造ラインが配置された空間の全体を、不活性ガスで置換すればよい。ただし、液体Lの製造ラインが配置された空間の全体を不活性ガス雰囲気とすることは、莫大な設備投資をともない、且つ、作業者の安全上の懸念も生じ得る。以上の背景から、一般的に、液体Lの酸素量の調整は、液体Lを収容した製剤容器内の雰囲気を不活性ガスで置換することに委ねられてきた。
これに対して、以下に説明する本件発明者らの工夫によれば、液体入り第1容器30Lを第2容器40内で保存するだけで、第1容器30内の酸素濃度(%)および第1容器30内の液体Lの酸素溶解量(mg/L)を十分に低減できる。このような本件発明者らの工夫に起因した作用効果は、技術水準から予測される範囲を超えた顕著なものと言える。
なお、「滅菌済」や「無菌」等と表記された製品(液体L)及び当該製品を収容する容器の内部や、「無菌」であることが製品化の条件となって医薬品等の製品(液体L)及び当該製品を収容する容器の内部は、ここで用いる「無菌状態」に該当する。JIS T0806:2014で規定された無菌性補償水準(Sterility assurance level:SAL)が10-6満たす製品(液体L)及び当該製品を収容する容器の内部も、ここで用いる「無菌状態」に該当する。室温(例えば20℃)以上の温度で4週間保存して菌が増殖しない製品及び当該製品を収容する容器の内部や、冷蔵状態(例えば8℃以下)で8週間以上保存して菌が増殖しない製品及び当該製品を収容する容器の内部も、ここで用いる「無菌状態」に該当する。さらに、28℃以上32℃以下の温度で2週間保存して菌が増殖しない薬品及び当該薬品を収容する容器の内部も、ここで用いる「無菌状態」に該当する。
次に、液体Lを収容する第1容器30について説明する。上述したように、第1容器30は、液体Lを密閉できる。すなわち、第1容器30は、液体Lを漏れなく保持できる。
第1容器30は、少なくとも部分的に酸素を透過可能な部分を含んでいる。第1容器30の全体が酸素を透過可能であってもよい。第1容器30の一部分のみが酸素を透過可能であってもよい。また、全ての気体が第1容器30を透過可能であってもよい。酸素を含む一部の気体のみが、例えば酸素のみが、第1容器30を透過可能であってもよい。
酸素透過性を有した部分を構成する材料は、1×10-12(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以上、より好ましくは5×10-12(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以上、更に好ましくは1×10-11(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以上の酸素透過係数を有している。酸素透過性を有する部分が複数の層を有する場合、少なくとも一つの層を構成する材料がこのような透過係数を有することが好ましく、すべての層を構成する材料が上記の透過係数を有することがより好ましい。これにより、第1容器30の酸素透過が促進され、第1容器30内の酸素濃度調整を迅速に行える。
水蒸気等の漏出を抑制することや、第2容器40を開放した後における気体透過速度が速いことに起因した第1容器30内の液体への影響を抑制するため、酸素透過性を有した部分を構成する材料の酸素透過係数に上限を設定してもよい。具体的には、酸素透過係数を1×10-1(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下、好ましくは1×10-2(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下、より好ましくは1×10-3(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下としてもよい。酸素透過性を有する部分が複数の層を有する場合、少なくとも一つの層を構成する材料がこのような透過係数を有することが好ましく、すべての層を構成する材料が上記の透過係数を有することがより好ましい。
測定対象が樹脂フィルムや樹脂シートである場合、酸素透過係数はJIS K7126-1に準拠して測定された値である。測定対象がゴムである場合、酸素透過係数は、JIS K6275-1に準拠して測定された値である。酸素透過係数は、温度25℃および湿度60RH%の環境下で、米国、モコン(MOCON)社製の透過度測定機であるオクストラン(OXTRAN、2/21)を用いて測定できる。
酸素透過性を有した部分の面積は、好ましくは1mm2以上であり、より好ましくは10mm2以上であり、更に好ましくは30mm2以上である。同様に、酸素透過性を有した部分の厚みは、好ましくは3mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.数mm以下である。これらにより、第1容器30の気体透過が促進され、第1容器30内の酸素濃度の調整を迅速に行える。
第1容器30の全体を透過する酸素量は、好ましくは1×10-3(mL/(day×atm))以上、より好ましくは1×10-2(mL/(day×atm))以上、更に好ましくは1×10-1(mL/(day×atm))以上である。これにより、第1容器30の酸素透過が促進され、第1容器30内の酸素濃度調整を迅速に行える。第1容器30の全体を透過する酸素量は、好ましくは100(mL/(day×atm))以下、より好ましくは50(mL/(day×atm))以下、更に好ましくは10(mL/(day×atm))以下である。これにより、水蒸気等の漏出を抑制できる。また、第2容器40を開放した後における気体透過速度が速いことに起因した第1容器30内の液体への影響を抑制できる。第1容器30の全体を透過する酸素量は、例えば次のようにして測定できる。最初に第1容器30中の酸素濃度をほぼ0%とし、大気中に第1容器30を放置する。経時で第1容器30中の酸素濃度の変化を測定する。酸素濃度の経時変化から、一日当たりどの程度の量の酸素が第1容器30内に入り込んだかを算出することによって、第1容器30の全体を透過する酸素量を特定できる。
例えば、酸素溶解量が8mg/Lである液体を収容した第1容器30を第2容器40内で4週間保存することによって、第1容器30内の酸素濃度(%)を5%以上低下させ得るように、第1容器の酸素透過性を有する部分の構成が決定されてもよい。
図示された第1容器30は、開口部33を有した容器本体32と、容器本体32の開口部33に保持された栓34と、を有している。栓34は、開口部33からの液体Lの漏出を規制する。このような例において、栓34が、酸素透過性を有し、上述した酸素透過係数(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))を有した材料で形成されていてもよい。そして、栓34を構成する材料の酸素透過係数は、容器本体32を構成する材料の酸素透過係数より大きくてもよい。また、栓34の一部分が、酸素透過性を有してもよい。栓34の一部分が、その全厚みに亘って、酸素透過性を有する材料によって構成されていてもよい。例えば、栓34が、周縁から離間した中心部分においてその全厚みに亘って酸素透過性を有し、中心部分を取り囲む周縁部分において酸素バリア性を有していてもよい。
図示された例において、開口部33の面積、すなわち容器本体32の開口面積は、好ましくは1mm2以上であり、より好ましくは10mm2以上であり、更に好ましくは30mm2以上である。同様に、栓34の厚みは、好ましくは3mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.数mm以下である。これらにより、第1容器30の酸素透過が促進され、第1容器30内の酸素濃度調整を迅速に行える。また、柔軟性や密閉性を確保する観点から、栓の厚み、例えばゴム製の栓の厚みを、20mm以下としてもよい。また、シリンジの針やストローが穿刺可能とする観点から、栓の厚み、例えばゴム製の栓の厚みを、1mm以下としてもよい。
水蒸気等の漏出を抑制する観点や、第2容器40を開放した後における気体透過速度が速いことに起因した第1容器30内の液体への影響を抑制する観点から、開口部33の面積に上限を設けてもよい。具体的には、開口部33の面積を5000mm2以下としてもよい。強度を確保する観点から、栓の厚み、例えばゴム製の栓の厚みを、0.01mm以上としてもよい。
酸素を透過可能な栓34は、特に限定されず、種々の構成を採用することができる。図示された例において、栓34は、容器本体32の開口部33に挿入されて、開口部33を塞いでいる。図示された栓以外にも、酒瓶のキャップ、より具体的には、開口部33に挿入される栓本体部と、栓本体部から拡径したフランジ部と、を有する栓を用いてもよい。また、外螺旋や内螺旋を有し、螺旋の噛み合いによって容器本体部に取り付けられる栓を用いてもよい。
栓34は、シリコーンによって形成されてもよい。シリコーンは、シロキサン結合を主鎖とする物質である。栓34は、シリコーンゴムによって形成されてもよい。シリコーンゴムは、シリコーンからなるゴム状のものをいう。シリコーンゴムは、シリコーンを主成分とする合成樹脂であって、ゴム状の物質である。シリコーンゴムは、シロキサン結合を主鎖とするゴム状の物質である。シリコーンゴムは、シロキサン結合を含む熱硬化性の化合物としてもよい。シリコーンゴムとして、メチルシリコーンゴム、ビニル-メチルシリコーンゴム、フェニル-メチルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が例示される。シリコーンの酸素透過係数およびシリコーンゴムの酸素透過係数は1×10-12(mL/(m2×day×atm))以上、更には1×10-11(mL/(m2×day×atm))以上となる。シリコーンの酸素透過係数およびシリコーンゴムの酸素透過係数は1×10-9(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下である。シリコーン及びシリコーンゴムは、天然ゴムと比較して、10倍程度の水素透過係数を有し、20倍程度の酸素透過係数を有し、30倍程度の窒素透過係数を有する。シリコーン及びシリコーンゴムは、ブチルゴムと比較して、70倍以上の水素透過係数を有し、40倍以上の酸素透過係数を有し、650倍以上の窒素透過係数を有する。
栓34は少なくとも一部分をシリコーンによって構成されてもよい。すなわち、栓34の全体または一部分が、シリコーン又はシリコーンゴムによって構成されてもよい。例えば、栓34の一部分が、その全厚みに亘って、シリコーン又はシリコーンゴムによって構成されてもよい。一部分は、栓34の中心部分であってもよいし、中心部分を取り囲む周縁部分の一部または全部でもよい。
図2に示すように、図示された容器本体32は、底部32a、胴壁部32b、首部32c及び頭部32dを、この順で有している。底部32a及び胴壁部32bによって、主として、液体Lの収容空間が形成されている。頭部32dは、容器本体32の先端部を形成している。頭部32dは、他の部分と比較して厚肉となっている。首部32cは、胴壁部32b及び頭部32dの間に位置している。首部32cは、胴壁部32b及び頭部32dに対して縮幅、とりわけ縮径している。容器本体32は、収容した液体Lを外部から観察可能とするよう、透明であってもよい。ここで、透明とは、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm~780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率が、50%以上であることを意味し、好ましくは80%以上である。
図示された例において、容器本体32は、栓34をなす材料よりも酸素透過係数の小さい材料によって構成されている。容器本体32は、酸素バリア性を有していてもよい。すなわち、第1容器30は、一部分のみにおいて、酸素を透過可能となっていてもよい。酸素バリア性を有するとは、酸素透過係数が1×10-13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下の材料で構成されていることを意味する。酸素バリア性を有する構成は、好ましくは酸素透過係数が1×10-17(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下の材料で構成されてもよい。
酸素バリア性を有する容器本体32として、金属により作製された缶、蒸着や転写によって形成された金属層を有する容器本体、ガラス瓶を例示できる。樹脂シートや樹脂板を用いて作製された容器本体32にも酸素バリア性を付与できる。この例において、樹脂シートや樹脂板は、例えばエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリビニルアルコール(PVA)等の酸素バリア性を有した層を含んでもよい。また、金属蒸着膜を含む積層体を、容器本体32が有してもよい。積層体を用いた容器本体32、及びガラスや樹脂を用いた容器本体32には、酸素バリア性とともに透明性を付与できる。第1容器30や容器本体32が透明である場合、内部に収容した液体Lを第1容器30の外部から確認できる点において好ましい。
第1容器30の容積は、例えば、1mL以上1100mL以下としてもよく、3mL以上700mL以下としてもよく、5mL以上200mL以下としてもよい。
図示された例において、容器本体32は、無色または有色のガラス瓶である。容器本体32は、例えばホウケイ酸ガラスによって形成される。この第1容器30はバイアル瓶である。バイアル瓶である第1容器30の容積は、1mL以上でもよく、3mL以上でもよい。バイアル瓶である第1容器30の容積は、500mL以下でもよく、200mL以下でもよい。
第1容器30がバイアル瓶である場合、栓34を構成する材料の酸素透過係数は、容器本体32を構成するガラスの酸素透過係数より大きくてもよい。
図示されたれた第1容器30は、さらに固定具36を有している。固定具36は、栓34が容器本体32から外れることを規制する。固定具36は、容器本体32の頭部32dに取り付けられている。固定具36は、図1及び図2に示すように、栓34の周縁を覆っている。これにより、固定具36は栓34を一部分において露出させながら、栓34が容器本体32から外れることを規制する。固定具36は、頭部32dに固定されたシート状の金属であってもよい。固定具36は、頭部32dに螺子留めされるキャップでもよい。
図示された第1容器30は、大気下で、内圧を陰圧に維持できる。すなわち、第1容器30は、大気下で、気体を陰圧に維持しながら当該気体を収容し得る。また、第1容器30は、大気下で、気体を陽圧に維持しながら当該気体を収容可能であってもよい。これらの例において、第1容器30は、十分に形状を維持可能な剛性を有していてもよい。ただし、第1容器30は、内圧を陰圧や陽圧に維持する際に、大気下でいくらか変形してもよい。内圧を陰圧や陽圧に維持し得る第1容器30として、上述の図示された具体例や、金属により作製された缶が例示される。
次に、第2容器40について説明する。
第2容器40は、例えばヒートシールや超音波接合等の溶着や、粘着材や接着材等の接合材を用いた接合によって、気密に密閉され得る。第2容器40は、酸素バリア性を有している。酸素バリア性を有する第2容器40として、金属により作製された缶、蒸着や転写によって形成された金属層を有する容器、ガラス瓶を例示できる。また、酸素バリア性を有した積層体を、第2容器40が含んでもよい。積層体は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリビニルアルコール(PVA)等の酸素バリア性を有した樹脂層や、金属蒸着膜を含んでもよい。第2容器40の少なくとも一部分が透明であってもよい。積層体を用いた第2容器40、及びガラスや樹脂を用いた第2容器40には、酸素バリア性とともに透明性を付与できる。第2容器40に透明性を付与することによって、内部に収容した液体入り第1容器30Lを第2容器40の外部から確認できる点において好ましい。
第2容器40は、第1容器30を収容可能な容積を有している。第2容器40の容積は、例えば、500mL以上でもよく、1L以上でもよく、5L以上でもよく、10L以上でもよく、20L以上でもよい。第2容器40の容積は、例えば、50L以下でもよく、40L以下でもよく、30L以下でもよい。第1容器30内の酸素濃度調整と液体Lの酸素溶解量とを調整する観点から、第2容器40は、液体Lの体積γ(mL)等を考慮して定める所定体積の気体を収容し得る。所定体積については、後に詳述する。
図示された例において、第2容器40は酸素バリア性を有した樹脂フィルムにより作製されている。第2容器40は、いわゆるパウチとして形成されている。第2容器40は、いわゆるガゼット袋として形成されている。具体的には、第2容器40は、第1主フィルム41a、第2主フィルム41b、第1ガゼットフィルム41c及び第2ガゼットフィルム41dを有している。第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bは、互いに対向して配置される。第1ガゼットフィルム41cは、折り目を付けられて、第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bの間に配置されている。第1ガゼットフィルム41cは、第1主フィルム41aの一方の側縁及び第2主フィルム41bの一方の側縁を連結している。第2ガゼットフィルム41dは、折り目を付けられて、第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bの間に配置されている。第2ガゼットフィルム41dは、第1主フィルム41aの他方の側縁及び第2主フィルム41bの他方の側縁を連結している。第1及び第2主フィルム41a,41b及び第1及び第2ガゼットフィルム41c,41dは、上縁および下縁においても互いに接合されている。フィルム41a~41dは、例えばヒートシールや超音波接合等の溶着や、粘着材や接着材等の接合材を用いた接合によって、気密に接合されている。ただし、別々のフィルムを接合することに代えて、一枚のフィルムを折り曲げることによって、フィルム41a~41dの隣接配置された二以上を形成してもよい。図1に示すように、ガゼット袋は、第2容器40に矩形形状の底面を形成可能である。底面上に第1容器30を配置することによって、第1容器30を第2容器40内に安定して保存できる。ただし、第2容器40は、ガゼット袋に代えて、第1主フィルム41a及び第2主フィルム41bとともに底面フィルムを有するパウチであってもよい。このようなパウチによっても底面を形成することができ、第1容器30を第2容器40内に安定して保存できる。これらの例において、第2容器40を形成するフィルムは透明であってもよい。
また、他の例としては、図7に示すように、第2容器40は、容器本体42及び蓋44を有してもよい。容器本体42は、収容部42a及びフランジ部42bを有している。収容部42aは、直方体状の収容空間を形成する。第1容器30は、この収容空間に収容される。収容部42aは、一つの面が開口した直方体状の外形状を有している。フランジ部42bは、収容部42aの開口の周縁に設けられている。蓋44は平板状である。蓋44の周縁部が、容器本体42のフランジ部42bと気密に接合し得る。容器本体42及び蓋44は、気体バリア性を有した樹脂板によって形成されていてもよい。蓋44及び容器本体42は、透明であってもよい。気体バリア性を有した樹脂板の厚みは、0.05mm以上2mm以下としてもよく、0.1mm以上1.5mm以下としてもよい。この第2容器40は、大気下で、内圧を陰圧に維持できる。すなわち、第2容器40は、大気下で、気体を陰圧に維持しながら当該気体を収容可能である。この第2容器40は、大気下で、気体を陽圧に維持しながら当該気体を収容可能であってもよい。第2容器40は、十分に形状を維持可能な剛性を有している。ただし、第2容器40は、内圧を陰圧や陽圧に維持する際に、大気下でいくらか変形してもよい。
以上に説明した液体入り第1容器30L及び第2容器40によって容器セット20が構成される。液体入り第1容器30L及び第2容器40を有する容器セット20を用いて、液体入り組合せ容器10Lが得られる。第1容器30及び容器セット20を用いて組合せ容器10が得られる。
次に、液体入り組合せ容器10Lの製造方法について説明する。液体入り組合せ容器10Lを製造することによって、酸素濃度を調整された液体入り第1容器30Lが得られる。
まず、液体入り第1容器30L及び閉鎖前の第2容器40を用意する。液体入り第1容器30Lは、第1容器30に液体Lを充填することにより製造される。例えば食品や薬品等の液体Lは、陽圧に維持された無菌環境下に設置された製造ラインを用いて、製造される。このようにして得られた液体入り第1容器30Lの内圧は、製造環境と同様に、陽圧となる。
図3に示すように、閉鎖前の第2容器40は、液体入り第1容器30Lを収容するための開口40aが残っている。図1に示された第2容器40では、例えば、フィルム41a~41dの上縁部が互いに接合されることなく開口40aを形成する。図7に示された第2容器40では、蓋44を取り付けられていない容器本体42が用意される。そして、図3に示すように、開口40aを介して第2容器40内に液体入り第1容器30Lを収容する。
その後、第2容器40内に不活性ガス、例えば窒素を充填する。図4に示された例において、供給パイプ55から不活性ガスが供給される。供給パイプ55は、開口40aを通過して第2容器40内に進入している。供給パイプ55の吐出口56は、第2容器40の内部に位置している。供給パイプ55から不活性ガスを供給することによって、第2容器40の内部が不活性ガスで置換される。すなわち、液体入り第1容器30Lは、不活性ガス雰囲気に置かれる。なお、不活性ガスは、反応性の低い安定した気体である。窒素以外の不活性ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類が例示される。
なお、第2容器40内への不活性ガスの充填と、第2容器40内への液体入り第1容器30Lの配置は、いずれを先に行ってもよいし、並行して実施してもよい。
次に、図5に示すように、液体入り第1容器30Lを収容し且つ不活性ガスを充填された状態で、第2容器40を閉鎖する。図1に示された第2容器40では、フィルム41a~41dの上縁部を互いに接合して開口40aを塞ぐことによって、第2容器40を閉鎖する。図7に示された第2容器40では、容器本体42のフランジ部42bに蓋44の周縁部を接合することによって、第2容器40を閉鎖する。接合は、粘着材や接着材等の接合材を用いて実施されてもよいし、ヒートシールや超音波接合等による溶着でもよい。
なお、供給パイプ55から不活性ガスを供給することに代え、不活性ガス雰囲気下で液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40を閉鎖してもよい。この方法によっても、液体入り第1容器30Lが不活性ガスとともに第2容器40内に密閉される。
また、第2容器40を閉鎖するまでの工程は、無菌環境下で実施されていてもよい。すなわち、無菌状態で製造された液体入り第1容器30Lと、滅菌処理された又は無菌状態で製造された第2容器40とが、例えば無菌チャンバー等の無菌環境下に持ち込まれる。このチャンバーが大気と区画されて不活性ガス雰囲気となっていれば、供給パイプ55による不活性ガスの供給を省略できる。そして、無菌環境下で、液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40が閉鎖される。したがって、液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40内も無菌状態となる。すなわち、液体入り第1容器30Lは、無菌状態にて、第2容器40内に保存され得る。
その後、液体入り第1容器30Lを第2容器40内で保存する。上述したように、第2容器40は酸素バリア性を有している。したがって、酸素が第2容器40を透過することは効果的に抑制される。一方、第1容器30は、少なくとも一部分において、酸素を透過可能となっている。また、第2容器40内に不活性ガスが充填され、第2容器40内の酸素濃度は非常に小さい。この液体入り組合せ容器10Lでは、第1容器30内の酸素が、第1容器30を透過し、第2容器40内へ移動する。酸素の第1容器30から第2容器40への移動にともなって、第2容器40内の酸素濃度が上昇し、第1容器30内の酸素濃度が低下する。第1容器30を介した酸素の透過が平衡する最終的な平衡状態において、第1容器30内の酸素濃度は、第2容器40内の酸素濃度と一致し得る。
加えて、第1容器30内の酸素濃度が低下すると、第1容器30内での酸素分圧が低下する。第1容器30内での酸素分圧が低下すると、第1容器30内における液体Lへの酸素の飽和溶解度(mg/L)も低下する。そして、液体Lの酸素溶解量(mg/L)が減少する。
ところで、液体Lの酸素濃度(%)および液体Lに溶解した酸素溶解量(mg/L)を十分に低減するには、液体入り第1容器30Lとともに多量の不活性ガスを第2容器40に充填して、当該第2容器40を閉鎖することが好ましい。同様に、液体Lとともに多量の不活性ガスを第1容器30に充填して当該第1容器30を閉鎖することが好ましい。すなわち、第2容器40の最大容積V2MAX(mL)から第1容器30が占める体積を差し引いた第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)は、大きいことが好ましい。また、第1容器30内を不活性ガスで置換することを前提とすると、第1容器30の最大容積V1MAX(mL)から前記体積γ(mL)を差し引いた第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)は、大きいことが好ましい。第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)は、第2容器40に液体入り第1容器30Lと気体のみが収容されている場合、第2容器40に収容し得る気体の最大体積となる。第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)は、第1容器30に液体Lと気体のみが収容されている場合、第1容器30に収容し得る気体の最大体積となる。
具体的には、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計は、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の(2.56×10-4×(β×T/α))倍以上であってもよい。ここで、Tは、液体入り組合せ容器10Lが配置された環境の温度(K)である。Tは、液体入り組合せ容器10Lの収容空間、すなわち第2容器40の内部の温度(K)とも言える。βは温度T(K)で大気圧下における空気雰囲気での液体Lへの酸素の飽和溶解度(mg/L)である。αは第2容器40内の酸素濃度(%)である。αは、平衡状態における、第2容器40内の酸素濃度(%)でもよい。
なお、最大容積V1MAX(mL)及び最大容積V2MAX(mL)は、対象となる容器30,40が変形等により容積が変化する場合における最大の容積を意味する。したがって、対象となる容器30,40の容積が一定である場合には、一定である容積が最大容積V1MAX(mL)及び最大容積V2MAX(mL)に該当する。
温度T(K)の空気雰囲気に置かれた体積γ(mL)の液体Lに溶解し得る最大の酸素量は、次のように表される。次のように表される酸素量は、一例として、温度T(K)の空気雰囲気で製造されて第1容器30に収容された体積γ(mL)の液体Lに溶解し得る最大の酸素量となり得る。
酸素分子量:β×γ/1000(mg)
酸素mol量:β×γ/1000/32(mmol)
そして、液体Lに溶解した最大量の酸素がすべて液体Lから脱気されて酸素の溶解度が0(mg/L)となり、第1容器30及び第2容器40内の酸素濃度がα(%)になったと仮定する。この仮定において、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖した直後において、第1容器30及び第2容器40内には酸素ガスが含まれていない。このとき、第1容器30及び第2容器40内における酸素の体積Vx(mL)は、状態方程式を用いて、次のように特定される。
Vx=nRT/P
=(β×γ/1000/32)×0.082×T/(α/100)
=2.56×10-4×(β×T/α)×γ(mL)
この状態方程式において、気体定数を0.082(L×atm/K/mol)とした。なお、第1容器30及び第2容器40内の酸素濃度がα(%)であれば、酸素の分圧は「α/100」(atm)となる。
すなわち、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の(2.56×10-4×(β×T/α))倍は、液体Lに溶解した酸素が液体Lからすべて脱気された状態での、液体入り組合せ容器10L内における酸素の体積である。したがって、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を液体Lの体積γ(mL)の「2.56×10-4×(β×T/α)」倍以上に設計しておくことにより、液体Lに溶解し得る最大量の酸素が、脱気された気体として、第1容器30および第2容器40に存在し得る。これにより、液体Lへの酸素溶解量(mg/L)を十分に低下でき且つ液体Lの溶存酸素量を十分に低減できる。
実際には、平衡状態において、第1容器30内の酸素濃度(%)または酸素の分圧に応じた溶解度で酸素が液体Lに溶解する。例えば、酸素の分圧が21.0(%)となる空気雰囲気で液体Lが製造されていたとすると、平衡状態における液体Lへの酸素溶解量は「β×α/21.0」(mg/L)となる。したがって、液体Lから脱気されて気体として存在する酸素の体積は、液体Lの体積γ(mL)の「2.56×10-4×(β×T/α)」倍未満となる。
以上の考察に基づき、目標とする液体入り組合せ容器10L内の酸素濃度や、目標とする液体Lの酸素溶解量(mg/L)から、第1容器30の容積及び第2容器40の容積を決定してもよい。また、目標とする液体入り組合せ容器10L内の酸素濃度や、目標とする液体Lの酸素溶解量(mg/L)から、第1容器30及び第2容器40が合計で収容する気体の体積を決定してもよい。
例えば、第1容器30及び第2容器40内の酸素濃度を1%未満まで低下できるよう、容器30,40の容積や容器30,40に収容する気体の体積を決定してもよい。この例において、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の(2.56×10-4×β×T)倍より大きくしてもよい。より具体的には、液体Lが水溶液である場合、温度Tを室温程度の293Kとすると、溶媒である水の酸素飽和溶解度βは8.84(mg/L)となる。この具体例では、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の0.663倍より大きくしてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の(2.56×10-4×β×T)倍より大きい体積の気体を収容してもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の0.663倍より大きい体積の気体を収容してもよい。
別の例として冷蔵保存を検討すると、液体Lが水溶液であって、温度Tを冷蔵状態にある276Kとすると、溶媒である水の酸素飽和溶解度βは13.04(mg/L)となる。この具体例では、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の0.921倍より大きくしてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の0.921倍より大きい体積の気体を収容してもよい。
また、第1容器30及び第2容器40内の酸素濃度を0.5%以下まで低下できるよう、容器30,40の容積や容器30,40に収容する気体の体積を決定してもよい。この例において、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の(5.12×10-4×β×T)倍以上としてもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の1.32倍以上としてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の(5.12×10-4×β×T)倍以上の体積の気体を収容してもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の1.32倍以上の体積の気体を収容してもよい。
別の例として冷蔵保存を検討すると、液体Lが水溶液であって、温度Tを冷蔵状態にある276Kとすると、溶媒である水の酸素飽和溶解度βは13.04(mg/L)となる。この具体例では、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の1.84倍より大きくしてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の1.84倍より大きい体積の気体を収容してもよい。
さらに、第1容器30及び第2容器40内の酸素濃度を0.2%以下まで低下できるよう、容器30,40の容積や容器30,40に収容する気体の体積を決定してもよい。この例において、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の(1.28×10-3×β×T)倍以上としてもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の3.32倍以上としてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の(1.28×10-3×β×T)倍以上の体積の気体を収容してもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の3.32倍以上の体積の気体を収容してもよい。
別の例として冷蔵保存を検討すると、液体Lが水溶液であって、温度Tを冷蔵状態にある276Kとすると、溶媒である水の酸素飽和溶解度βは13.04(mg/L)となる。この具体例では、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の4.61倍より大きくしてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の4.61倍より大きい体積の気体を収容してもよい。
また、液体入り第1容器30Lの製造時に、第1容器30の液体Lが占めていない空間、いわゆるヘッドスペースHSに、酸素が存在していることも想定され得る。例えば液体Lの第1容器30への収納および第1容器30の閉鎖を空気雰囲気で行った場合、第1容器30のヘッドスペースHSには空気が存在する。すなわち、液体入り第1容器30L内の酸素濃度は21.0%程度となる。すなわち、初期状態で液体入り第1容器30Lは、液体Lへ溶解した酸素と、ヘッドスペースHS内の気体の酸素と、を含むことになる。このとき、ヘッドスペースHSの酸素量は、次のように特定される。
酸素mol量:0.210×EV1MAX/0.082/T(mmol)
ここで、EV1MAXは、第1容器30の最大容積V1MAX(mL)から前記体積γ(mL)を差し引いた第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)であり、ヘッドスペースHSの最大容積(mL)である。ヘッドスペースHS内に気体で存在する酸素の体積は、酸素濃度がα(%)となる平衡状態において、(EV1MAX×21.0/α)(mL)に広がる。
上述した液体Lの体積γ(mL)の(2.56×10-4×(β×T/α))倍は、液体Lに溶解した酸素が液体Lからすべて脱気された状態での、液体入り組合せ容器10L内における気体の体積である。したがって、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mLを(2.56×10-4×(β×T/α))倍した値と第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を(21.0/α)倍した値との合計値以上としてもよい。この設計によれば、液体Lに溶解し得る最大量の酸素が、脱気された気体として、ヘッドスペースHSに存在した酸素とともに第1容器30および第2容器40に存在し得る。これにより、液体Lへの酸素溶解量を十分に低下でき且つ液体Lの溶存酸素量を十分に低減できる。
液体Lの酸素による劣化を抑制する観点から、液体入り第1容器30Lの製造直後における第1容器30内の酸素濃度は、低いことが好ましい。第1容器30内の酸素濃度を好ましくは1.5%以下としてもよい。このような第1容器30内の酸素濃度は、液体Lを収容した第1容器30内に不活性ガスを供給することによって、実現し得る。
液体入り第1容器30Lの製造時にヘッドスペースHSに存在する空気中の酸素を考慮する場合にも、目標とする液体入り組合せ容器10L内の酸素濃度や、目標とする液体Lの酸素溶解量(mg/L)から、第1容器30の容積及び第2容器40の容積を決定してもよい。また、目標とする液体入り組合せ容器10L内の酸素濃度や、目標とする液体Lの酸素溶解量(mg/L)から、第1容器30及び第2容器40が合計で収容する気体の体積を決定してもよい。
例えば、第1容器30及び第2容器40内の酸素濃度を1%未満まで低下できるよう、容器30,40の容積や容器30,40に収容する気体の体積を決定してもよい。この例において、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を(2.56×10-4×β×T)倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を21.0倍した値との合計値より大きくしてもよい。より具体的には、液体Lが水溶液である場合、温度Tを室温程度の293Kとすると、水の酸素飽和溶解度βは8.84(mg/L)となる。この具体例では、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)を0.663倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を21.0倍した値との合計値より大きくしてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を2.56×10-4×β×T)倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を21.0倍した値との合計値より大きい体積の気体を収容してもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を0.663倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を21.0倍した値との合計値より大きい体積の気体を収容してもよい。
別の例として冷蔵保存を検討すると、液体Lが水溶液であって、温度Tを冷蔵状態にある276Kとすると、溶媒である水の酸素飽和溶解度βは13.04(mg/L)となる。この具体例では、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の0.921倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を21.0倍した値との合計値より大きくしてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を0.921倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を21.0倍した値との合計値より大きい体積の気体を収容してもよい。
また、第1容器30及び第2容器40内の酸素濃度を0.5%以下まで低下できるよう、容器30,40の容積や容器30,40に収容する気体の体積を決定してもよい。この例において、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を(5.12×10-4×β×T)倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を41.9倍した値との合計値以上としてもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)を1.32倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を41.9倍した値との合計値以上としてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を5.12×10-4×β×T)倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を41.9倍した値との合計値以上の体積の気体を収容してもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を1.32倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を41.9倍した値との合計値以上の体積の気体を収容してもよい。
別の例として冷蔵保存を検討すると、液体Lが水溶液であって、温度Tを冷蔵状態にある276Kとすると、溶媒である水の酸素飽和溶解度βは13.04(mg/L)となる。この具体例では、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の1.84倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を41.9倍した値との合計値より大きくしてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を1.84倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を41.9倍した値との合計値より大きい体積の気体を収容してもよい。
さらに、第1容器30及び第2容器40内の酸素濃度を0.2%以下まで低下できるよう、容器30,40の容積や容器30,40に収容する気体の体積を決定してもよい。この例において、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)の(1.28×10-3×β×T)倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を105倍した値との合計値以上としてもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の3.32倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を105倍した値との合計値以上としてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を1.28×10-3×β×T)倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を105倍した値との合計値以上の体積の気体を収容してもよい。より具体的には、液体Lが水溶液であり且つ温度Tを室温程度の293Kと想定して、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を3.32倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を105倍した値との合計値以上の体積の気体を収容してもよい。
別の例として冷蔵保存を検討すると、液体Lが水溶液であって、温度Tを冷蔵状態にある276Kとすると、溶媒である水の酸素飽和溶解度βは13.04(mg/L)となる。この具体例では、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAX(mL)の合計を、液体Lの体積γ(mL)の4.61倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を105倍した値との合計値より大きくしてもよい。また、第1容器30及び第2容器40が、合計で、第1容器30に収容された液体Lの体積γ(mL)を4.61倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を105倍した値との合計値より大きい体積の気体を収容してもよい。
以上のことから、液体入り第1容器30Lを第2容器40内で保存することにより、第1容器30内における液体とともに収容された気体の酸素濃度を減少させることができる。加えて、第1容器30内の液体Lに溶解した溶存酸素量も減少させることができる。一方、高感受性の液体L、例えば食品や薬品は、酸素によって分解され得る。第2容器40内に保存された第1容器30に液体Lを収容することによって、液体Lの酸素による分割を抑制できる。すなわち、液体Lの封入後に第1容器30内の酸素濃度を調整し得る本実施の形態は、高感受性の液体L、例えば食品や薬品に対して好適である。
なお、不活性ガスで置換された雰囲気にて液体を製造し、酸素バリア性を有した容器に当該液体を収容することによれば、容器に収容された液体への溶存酸素量を低減できると考えられる。ただし、液体を製造するラインの全体を不活性ガスで置換された雰囲気に設置することは、大がかりな製造設備の改修や莫大な設備投資を必要とする。また、高価な薬品等の分野では、温度、酸素、水分、光等に対する安定性を確保するため、当該薬品を凍結乾燥させて粉末状にして保存することも行われている。ただし、液体の薬品を保存のために粉末状とすること並びに使用に際して粉末状の薬品を液体に戻すことは、手間、時間、コストの面におけるデメリットが大きい。
これに対して本実施の形態によれば、既存の設備等を用いて、従来通りに液体入りの第1容器を製造することができる。したがって、設備改修や設備投資を回避できる。とりわけ薬品等の液体への適用においては、製造設備や製造工程の変更に関する公的機関への承認申請を省くことができる点においても有用である。また、液体Lを乾燥凍結することや粉末を液体に戻すといった手間を省くことができる。さらに、第1容器30に特別な制約を受けることもない。したがって、溶出量の少ないことで食品や薬品等の容器として広く普及した材料、例えばガラスや、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂を、第1容器の材料として用いることができる。
加えて、上述した具体例において、第1容器30は、容器本体32及び栓34を有している。この第1容器30はバイアル瓶であってもよい。ただし、従来、液体を収容したバイアル瓶、特に無菌状態で液体を収容したバイアル瓶は、酸素透過性の低い、更には酸素バリア性を有したブチルゴムやフッ素ゴムを用いて作製される。これに対して、上述した具体例では、酸素が栓34を透過可能となっている。すなわち、栓34を構成する材料の酸素透過係数(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))が大きく設定されている。具体的には、栓34はシリコーン又はシリコーンゴムによって構成されている。さらに、栓34を構成するシリコーン又はシリコーンゴムの酸素透過係数は、容器本体32を構成する材料の酸素透過係数よりも大きくなっている。このような具体例によれば、酸素は、栓34を透過して、第1容器30外へと移動する。したがって、従来使用されてきたバイアル瓶等の既存の容器に対して、簡易に、酸素透過性を付与できる。
この具体例において、平衡状態に至るまでの時間は、栓34の酸素透過可能量に依存する。したがって、容器本体32の開口部33の面積の下限や栓34の厚みの上限を上述したように調整することによって、第2容器40内に第1容器30を収容してから第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。
また、第1容器30の最大容積V1MAXから液体Lの体積γを差し引いた第1容器30の最大有効容積EV1MAXを20mL以下としてもよく、5mL以下としてもよい。第1容器30に液体Lとともに収容される気体の体積を20mL以下としてもよく、5mL以下としてもよい。このような液体入り組合せ容器10Lによれば、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖してから、第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。
同様に、第1容器30に収容された液体Lの体積を、20mL以下としてもよく、5mL以下としてもよい。このような液体入り組合せ容器10Lによれば、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖してから、第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。また、このように第1容器30内の液体量に上限を設定することによって、第2容器40が大型化して組合せ容器10の取り扱い性が低下することを抑制できる。なお、高濃度の茶や出汁類の原液を液体として第1容器に収容する用途や、高価かつ高薬理活性の薬品を液体として第1容器に収容する用途に好適である。
さらに、第1容器30の最大容積V1MAXから液体Lの体積γを差し引いた第1容器30の最大有効容積EV1MAXの、第2容器40の最大容積V2MAXから第1容器30が占める体積を差し引いた第2容器40の最大有効容積EV2MAXに対する割合(%)に、上限および下限を設定してもよい。この割合を、50%以下としてもよく、20%以下としてもよい。このような上限を設定することによって、第1容器30の酸素濃度を低減できる。また、第2容器40内に第1容器30の収容スペースを確保でき、第2容器40内に第1容器30を容易に収容できる。さらに、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖してから、第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。また、この割合を、5%以上としてもよく、1%以上としてもよい。このように下限を設定することによって、第2容器40が第1容器30に対して大きくなり過ぎず、組合せ容器10の取り扱い性低下を抑制できる。
なお、第1容器30を介した酸素透過が平衡状態にあるかは、第1容器30内の酸素濃度に基づいて判断する。この判断には、或る時点における第1容器30内の酸素濃度値(%)と当該或る時点よりも24時間前における第1容器30内の酸素濃度値(%)との差が、当該或る時点における第1容器30内の酸素濃度値(%)の±5%以下である場合、平衡状態に至っていると判断する。
以上のようにして、酸素濃度及び酸素溶解量を調整された液体入り第1容器30L及び液体入り組合せ容器10Lを得ることができる。第1容器30を介した酸素の透過が平衡した平衡状態において、一例として、第1容器30内の酸素濃度および第2容器40内の酸素濃度は1%未満としてもよい。従来技術における不活性ガスによる置換だけでは、第1容器30中のヘッドスペースHSでの酸素濃度(%)の低減は、第1容器30に液体Lが収容されていることによって困難となることも多かった。結果として、液体Lに大量に溶解している溶存酸素の低減は困難であった。これに対し、上述の一実施の形態の一具体例によれば、第2容器40内には、液状製剤入り容器30LF及び気体が収容され、液体Lをそのまま収容する必要がないので、第2容器40内の酸素濃度を十分に低減することができる。したがって、第2容器40の容積を調整しておくことによって、平衡状態での第1容器30内の酸素濃度を1%未満、好ましくは0.5%以下、より好ましく0.2%以下にできる。このような作用効果は、液体Lが高感受性の薬品や食品である場合に好適である。
これに対して、第2容器40を用いることなく、第1容器30の最大容積V1MAXから液体Lの体積γを差し引いた第1容器30の最大有効容積EV1MAXを大きく確保し、第1容器30内に不活性ガスを充填することも考えられ得る。ただしこの場合、液体の体積γ(mL)と比較して第1容器内の余分な空間が大きくなり、第1容器からの液体の排出が容易でなくなる。また、第1容器内において液体が拡販され、酸素劣化が促進され得る。また、食品等の液体への適用においては、購買意欲を損ない商品力を低下させる。薬品等の液体への適用においては、第1容器内で液体の状態を確認しにくくなり、また第1容器から液体を適量取り出すことが困難となる。
なお、酸素濃度や酸素溶解量が低減されるまでに長期間を要すると、液体Lの酸素による劣化が進行する。第2容器40を閉鎖してから第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの期間または時間は、また4週間以内であることが好ましい。4週間以内に平衡状態に達して、例えば第2容器40内の酸素濃度が1%未満となれば、薬品としての液体Lの劣化を効果的に抑制できる。また、より高感受性の液体Lについては、平衡状態までの期間は20日以内であることが好ましく、1週間以内であることがより好ましく、3日以内であることが更に好ましい。その一方で、液体Lの酸素溶解量を或る程度低下させる平衡状態に至るまでには、一定期間を要する。有効な酸素溶解量の調整を実現するため、第2容器40を閉鎖してから第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの期間または時間を、1時間以上としてもよい。
酸素濃度(%)や酸素溶解量(mg/L)の特定に用いられる測定装置として、ドイツのPreSens社の酸素量測定器Fibox3が例示される。酸素量測定器Fibox3によれば、例えば図1に示された液状製剤入り組合せ容器や図2に示された液状製剤入り製剤容器について、容器を破壊することなく酸素濃度や酸素溶解量を非接触で測定可能である。また、ドイツのPreSens社の酸素量測定器Microx4を用いて、酸素濃度(%)や酸素溶解量(mg/L)を測定してもよい。酸素量測定器Microx4は、ニードル式の装置である。酸素量測定器Microx4は、ニードルを容器に穿刺することによって、容器内の酸素濃度や酸素溶解量を測定可能である。
第2容器40内における第1容器30の保存は、第1容器30を介した酸素の透過が平衡する迄、実施されてもよい。第2容器40内における第1容器30の保存は、第2容器40内の酸素濃度が所定の値に上昇するまで実施されてもよい。第2容器40内における第1容器30の保存は、第1容器30内の酸素濃度が所定の値に低下するまで実施されてもよい。第2容器40内における第1容器30の保存は、第1容器30内の液体Lの酸素溶解量が所定の値に低下するまで実施されてもよい。第2容器40内における第1容器30の保存は、組合せ容器10の液体Lを使用する時まで実施されてもよい。また、第2容器40内に第1容器30を保存している間、液体入り組合せ容器10Lを流通させてもよい。
次に、液体入り組合せ容器10Lの使用方法について説明する。
組合せ容器10に収容された液体Lの使用するにあたり、まず、第2容器40を開放する。次に、開放された第2容器40から液体入り第1容器30Lを取り出す。その後、液体入り第1容器30Lから液体Lを取り出して使用することができる。図示された第1容器30については、固定具36を容器本体32から取り外し、更に栓34を容器本体32から取り外すことによって、第1容器30を開放できる。これにより、第1容器30内の液体Lを使用できる。
また、図6に示すように液体Lが、シリンジ60に注入される薬品であってもよい。すなわち、液体Lは注射剤であってもよい。シリンジ60は、シリンダ62及びピストン66を有している。シリンダ62は、シリンダ本体63及びシリンダ本体63から突出した針64を有している。筒状の針64は、シリンダ本体63の液体Lを収容するための空間へのアクセスを可能にする。ピストン66は、ピストン本体67及びピストン本体67に保持されたガスケット68を有する。ガスケット68は、ゴム等によって構成され得る。ガスケット68は、シリンダ本体63内に挿入されて、液体Lの収容空間をシリンダ本体63内に区画する。
ところで、液体入り第1容器30L内の圧力は調整されていることが好ましい。一例として、液体入り第1容器30L内の圧力が低く維持されていること、とりわけ陰圧に維持されていることが好ましい。この例によれば、液体入り第1容器30Lの保存時における液体の意図しない漏出や、第1容器30の開放時における液体Lの飛散等を効果的に抑制できる。容器漏出や飛散の問題は、毒性を有した液体、例えば高薬理活性の薬品おいてより深刻となる。また、図6に示された例において、液体入り第1容器30L内が陽圧であると、シリンジ60内に液体Lが自動的に入ってくる。この場合、シリンジ60内に液体Lを所望量だけ高精度に注入することが難しくなる。
その一方で、例えばガス、熱、ガンマ線等を用いて製造後に実施される後滅菌処理によって劣化してしまう高感受性の液体、例えば食品や薬品は、無菌環境下で製造され且つ容器に封入される。すなわち、最終滅菌法を適用できない液体は、無菌操作法により製造される。この無菌環境は、菌の侵入を抑制するため、通常所定の陽圧に維持されている。したがって、容器内の圧力は無菌環境に対応した所定の陽圧となり、容器の閉鎖後に容器の内圧を調整することは困難である。
上述した具体例によれば、このような不具合に対処できる。上述したように、液体入り第1容器30Lは第2容器40内で保存される。この保存中、不活性ガス置換による第2容器40内の酸素濃度の低下に起因して、第1容器30内の酸素が第1容器30を透過して第2容器40内に移動する。これにより、第1容器30内の圧力を低下させることができる。すなわち、液体Lを収容した第1容器30の圧力を、第1容器30を閉鎖して液体Lを封入した後に、調整できる。
第1容器30の内圧調整の観点から、気体を陰圧に維持して収容可能な第2容器40を用いてもよい。例えば、図7に示された第2容器40を用い、陰圧に維持された不活性ガス雰囲気下で、第1容器30を収容した第2容器40を閉鎖してもよい。閉鎖された第2容器40内の圧力は、大気圧未満となる。この場合、第1容器30から第2容器40への酸素透過が促進される。とりわけ、第2容器40の容積を大きく確保することや、第2容器40の初期圧力を大きく低下させておくことによって、第1容器30内の圧力を大幅に調整できる。これにより、当初陽圧であった第1容器30内の圧力を、第1容器30を第2容器40内で保存することによって、陰圧に調整できる。これにより、液体Lの製造方法や液体の第1容器30への液体Lの封入方法等に依存することなく、圧力調整された液体入り第1容器30Lを製造できる。
なお、液体入り第1容器30L内の圧力を調整することにより、第1容器30から所望量の液体Lを取り出すことが可能となる。第1容器30から液体Lを所望量だけ高精度に取り出すことを可能にする観点から、第1容器30に収容された液体Lの体積を0.5mL以上としてもよく、より好ましくは1mL以上としてもよい。
また、第2容器40を陰圧にして閉鎖することは、第1容器30の酸素透過を促進させることになる。したがって、液体入り第1容器30Lを収容した第2容器40を閉鎖してから第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。
なお、陰圧とは、大気圧である1atm未満の圧力を意味する。陽圧とは、大気圧である1atmを超える圧力を意味する。なお、いずれかの容器内が陰圧であるか否かは、容器に圧力計が設けられている場合には当該圧力計を用いて判断できる。容器に圧力計が設けられていない場合には、シリンジを用いても判断できる。具体的には、対象となる容器にシリンジの針を刺した際に、シリンジのピストンに大気圧のみが印加されている状態でシリンジ内に収容されていた液体や気体が容器内に流入するか否かによって、判断できる。シリンジ内に収容されていた液体や気体が容器内に流入する場合、容器内は陰圧であったと判断される。同様に、いずれかの容器内が陽圧であるか否かは、圧力計を用いて判断できるが、シリンジを用いても判断できる。具体的には、対象となる容器にシリンジの針を刺した際に、シリンジのピストンに大気圧のみが印加されている状態で容器内に収容されていた液体や気体がシリンジ内に流入するか否かによって、判断できる。容器内に収容されていた液体や気体がシリンジ内に流入する場合、容器内は陽圧であったと判断される。
以上に説明してきた一実施の形態において、容器セット20は、液体Lを収容し且つ少なくとも一部分において気体を透過可能な第1容器30と、第1容器30を収容可能であり気体バリア性を有した第2容器40と、を有する。組合せ容器10は、第1容器30を第2容器40に収容することによって得られる。すなわち、液体入り組合せ容器10Lは、液体Lを収容し且つ少なくとも一部分において気体を透過可能な第1容器30と、第1容器30を収容し且つ酸素バリア性を有した第2容器40と、を有する。また、液体入り第1容器30Lの製造方法は、液体入り第1容器30Lを収容し且つ不活性ガスを充填された第2容器40を閉鎖する工程と、第2容器40内で第1容器30を保存する工程と、を含む。保存する工程において、第1容器30内の酸素が第1容器30を透過することによって、第1容器30内の酸素濃度が低下する。第1容器30内の酸素濃度が低下することによって、液体L内に溶解した溶存酸素量を低減し得る。
このような一実施の形態によれば、第1容器30内の酸素が、第1容器30を透過して第2容器40内に移動し得る。第2容器40内の雰囲気を不活性ガスで置換しておくことにより、第1容器30内の酸素濃度(%)を低下させ得る。第1容器30内の酸素濃度(%)の低下にともない、液体Lへの酸素溶解量(mg/L)も低下する。したがって、液体Lへ溶存した酸素量を低減でき、液体Lの酸素による分解を抑制できる。
この組合せ容器10において、第2容器40が酸素量の低減や酸素バリア性を担っている。一方、液体入り第1容器30Lは、内部および収容される液体Lの無菌性を担ってもよい。このように、液体Lに要求される収容環境を、第1容器30及び第2容器40の組合せによって効率的に実現している。組合せ容器10および容器セット20によれば、液体Lに要求される保存環境を高い自由度で安価かつ簡易に実現できる。
この一実施の形態において、第1容器30の最大容積V1MAX(mL)から体積γ(mL)を差し引いた第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)と、第2容器40の最大容積V2MAX(mL)から第1容器30が占める体積(mL)を差し引いた第2容器40の最大有効容積EV2MAXとの合計は、液体Lの体積γ(mL)の(2.56×10-4×(β×T/α))倍以上としてもよい。ここでTは液体入り組合せ容器10Lが置かれる環境の温度(K)である。βは温度T(K)で大気圧下における空気雰囲気での液体Lへの酸素の飽和溶解度(mg/L)である。αは第1容器30を介した酸素の透過が平衡した状態での第2容器40内の酸素濃度(%)である。このような容積を有した第1容器30及び第2容器40を用いることによって、第1容器30及び第2容器40が十分な体積の気体を収容できる。これにより、第1容器30を介した酸素の透過が平衡する平衡状態において、第2容器40内の酸素濃度をα(%)以下まで低減できる。
一具体例として、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)および第2容器40の最大有効容積EV2MAXの合計を、液体Lの体積γ(mL)の0.663倍より大きくしてもよい。この例によれば、温度が293Kで大気圧下である空気雰囲気において、第2容器40内の酸素濃度を1%未満まで低減できる。
また、この一実施の形態において、第1容器30を収容して第2容器40が閉鎖された状態において、第1容器30及び第2容器40は、合計で、液体Lの体積γ(mL)の(2.56×10-4×β×T)倍より大きい体積の気体を収容してもよい。この例によれば、第2容器40内の酸素濃度を1%未満まで低減できる。一具体例として、第1容器30を収容して第2容器40が閉鎖された状態において、第1容器30及び第2容器40は、合計で、液体Lの体積γ(mL)の0.663倍より大きい体積の気体を収容してもよい。この例によれば、温度が293Kで大気圧下である空気雰囲気において、第2容器40内の酸素濃度を1%未満まで低減できる。
以上の一実施の形態によれば、液体Lへ溶解した酸素溶存量を低減でき、液体Lの酸素による分解を抑制できる。例えば、薬品を液体として第1容器に収容する用途では、3年の間における薬理成分の消失を、5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下にできる。
なお、第2容器を用いることなく、大量の気体を収容するための容積を第1容器のみによって確保すると、液体の体積γ(mL)と比較して第1容器内の余分な空間が大きくなり、液体を第1容器から取り出すことが容易でなくなる。また、第1容器内において液体が攪拌され、酸素による劣化が促進され得る。さらに、食品等の液体への適用においては、購買意欲を損ない商品力を低下させる。薬品等の液体への適用においては、第1容器内で液体の状態を確認しにくくなり、また第1容器から液体を適量取り出すことが困難となる。これに対して上述の一実施の形態によれば、液体入り組合せ容器10Lは、液体入り第1容器30Lに加えて、第2容器40を有している。したがって、第1容器30内における液体Lが収容されていない余分な空間を減少できる。また、第2容器40が液体Lを直接収容していないことから、第2容器40の内部雰囲気を不活性ガスによって容易に置換できる。
上述した一実施の形態の一具体例として、液体Lの体積γ(mL)は第1容器30の最大容積(mL)の半分より大きくてもよい。このように第1容器30内の液体Lが収容されていない空間、所謂ヘッドスペースHSを小さくすることによって、液体Lを収容した第1容器30を閉鎖する際に、第1容器30内への酸素ガスの残留量を低減できる。これにより、液体Lの酸素による分解を抑制できる。また、最終的に第2容器40から取り出される第1容器30を小型化でき、第1容器30の取り扱い性を改善できる。さらに、第1容器30からの液体Lの取り出しを容易化できる。
より好ましくは、第1容器30に収容される液体Lの体積γ(mL)を、第1容器30の最大容積V1MAX((mL)の97.5%以上としてもよい。この例によれば、第1容器30内に液体Lに溶解した溶存酸素mol数が、第1容器30のヘッドスペースHS中の酸素mol数より多くなる。上述したように、液体Lに溶解した溶存酸素量の低減は、不活性ガス置換によって十分低下することが難しい。したがって、液体Lの体積γ(mL)が第1容器30の最大容積V1MAX((mL)の97.5%以上となっている液体入り第1容器30Lに対して本実施の形態は特に有用である。
上述した一実施の形態の一具体例として、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAXの合計が、体積γ(mL)を(2.56×10-4×(β×T/α))倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を(21.0/α)倍した値との合計値以上でもよい。このような容積を有した第1容器30及び第2容器40を用いることによって、第1容器30及び第2容器40が十分な体積の気体を収容できる。ヘッドスペースHSに空気が収容された液体入り第1容器30Lを第2容器40内で保存することによって、第1容器30を介した酸素の透過が平衡する平衡状態において、第2容器40内の酸素濃度をα(%)以下まで低減できる。
より具体的な例として、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)及び第2容器40の最大有効容積EV2MAXの合計が、液体Lの体積γ(mL)を0.663倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を21.0倍した値との合計値より大きくてもよい。この例によれば、ヘッドスペースHSに空気が収容された液体入り第1容器30Lを第2容器40内で保存することによって、温度が293Kで大気圧下である空気雰囲気において第2容器40内の酸素濃度を1%未満まで低減できる。
上述した一実施の形態の一具体例として、第1容器30を収容して第2容器40が閉鎖された状態において、第1容器30及び第2容器40は、合計で、液体Lの体積γ(mL)を(2.56×10-4×β×T)倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を21.0倍した値との合計値より大きい体積の気体を収容していてもよい。この例によれば、ヘッドスペースHSに空気が収容された液体入り第1容器30Lを第2容器40内で保存することによって、第2容器40内の酸素濃度を1%未満まで低減できる。より具体的な例として、第1容器30を収容して第2容器40が閉鎖された状態において、第1容器30及び第2容器40は、合計で、液体Lの体積γ(mL)を0.663倍した値と、第1容器30の最大有効容積EV1MAX(mL)を21.0倍した値との合計値より大きい体積の気体を収容していてもよい。この例によれば、ヘッドスペースHSに空気が収容された液体入り第1容器30Lを第2容器40内で保存することによって、温度が293Kで大気圧下である空気雰囲気において、第2容器40内の酸素濃度を1%未満まで低減できる。
上述した一実施の形態の一具体例において、液体Lの体積γは0.5mL以上、より好ましくは1mL以上でもよい。このように第1容器30内の液体量に下限を設定することによって、第1容器30から或る程度の量の液体を取り出すことができ、取り出し量の誤差を低減できる。
上述した一実施の形態の一具体例において、第1容器30は、開口部33を有した容器本体32と、開口部33を閉鎖する栓34と、を有する。栓34を構成する材料の酸素透過係数は1×10-12(mL/(m2×day×atm))以上でもよい。栓34はシリコーンゴムによって構成されてもよい。栓34を構成する材料の酸素透過係数(mL/(m2×day×atm))は、容器本体32を構成する材料の酸素透過係数(mL/(m2×day×atm))より大きくてもよい。このような具体例によれば、酸素は、栓34を透過して、第1容器30外へと移動する。したがって、所謂ヘッドスペースHS等の第1容器30内において液体Lから露出した領域に酸素透過性を付与することができる。これにより、第1容器30を介した酸素の透過が円滑に進み、第2容器40内に第1容器30を収容してから第1容器30を介した酸素の透過が平衡するまでの時間を短縮できる。
上述の一実施の形態の一具体例において、容器本体32は酸素バリア性を有してもよい。第1容器30を透過した酸素は、第1容器30内のヘッドスペースHS等の液体Lから離間した領域に進入する。したがって、第1容器30を透過した酸素の液体Lへの溶解を抑制できる。
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
上述の具体例において、第1容器30の具体的構成を説明したが、この例に限られず、種々の容器を用いてもよい。例えば、図8に示すように、第1容器30の栓34を、開口部33を覆うフィルム状またはシート状としてもよい。図8に示された栓34は、例えば接合材を用いて又は溶着により、容器本体32の先端面に接合されている。栓34は、酸素透過性を有してもよいし、酸素バリア性を有してもよい。
図9は、第1容器30の別の変形例を示している。図9に示された第1容器30は、シリンジ60である。図6を参照して既に説明したシリンジと同様に、図9に示されたシリンジ60は、シリンダ62及びピストン66を有している。シリンダ62は、ガラス又は樹脂製のシリンダ本体63および金属製の針64を有している。シリンダ62は、第1容器30の容器本体32であって、液体Lの収容空間を形成する。ピストン66は、ガラス又は樹脂製のピストン本体67と、シリンダ62の開口部33内に配置されたガスケット68と、を有している。ガスケット68は、第1容器30の栓34であって、開口部33を閉鎖する。シリンダ62及びガスケット68の間に、液体Lの収容空間が区画されている。図示されたシリンジ60は、さらにキャップ69を有している。キャップ69は、取り外し可能に針64に取り付けられる。キャップ69は、針64からの液体Lの漏出を規制し、液体Lをシリンジ60に密封する。図9に示された例では、シリンジ60を第1容器30とすることで、第2容器40から取り出したシリンジ60をそのまま患者等に使用できる。
図9に示された例において、ガスケット68に酸素透過性を付与してもよい。酸素透過性を有するガスケット68として、シリコーンゴムによって作製された栓を用いてもよい。シリンダ62に酸素バリア性を付与してもよい。ガスケット68の酸素透過係数は、上述の栓34の酸素透過係数と同様に設定してもよい。シリンダ62の酸素透過係数は、上述の容器本体32の酸素透過係数と同様に設定してもよい。
図9に示された例において、ガスケット68を酸素が透過することによって、シリンダ本体63及びガスケット68によって区画された第1容器30の内部から酸素が排出される。これにより、シリンジ60内の酸素濃度が低下し、液体Lに溶解した溶存酸素量が減少する。この結果、液体Lの酸素による分解を効果的に抑制できる。
上述の具体例において、第1容器30は容器本体32及び栓34を有し、栓34が気体透過性を有していた。しかしながら、容器本体32の少なくとも一部分が気体を透過し、栓34が気体バリア性を有してもよい。また上述した第2容器40の具体的構成は例示に過ぎず、種々の変更が可能である。