JP7749210B2 - ボルト外し工具及びボルト外し工具の使用方法 - Google Patents

ボルト外し工具及びボルト外し工具の使用方法

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本発明は、頭部の係合溝が摩耗しているボルトを取外すためのボルト外し工具、及びボルト外し工具の使用方法に関するものである。
頭部に係合溝を有するボルトとして、例えば、頭部に内周が六角形の穴からなる係合溝を有する六角穴付きボルトがあり、係合溝に六角柱状のレンチ(六角レンチ)を挿入することで回転させることができる。このようなボルトは、取付対象物に締め付けた状態で使用される。そして、経年変化や腐食などによりボルトが固着した場合、ボルトを取外すためにレンチにより回転させた時に、レンチだけが回ると六角形の穴が円形に近い穴に摩耗(いわゆる“なめる”)してしまい、ボルトを回すことができなくなる問題があった。
このような問題に対して、ペンチを使用してボルトの頭部を挟み、その状態でペンチを回転させることで、ボルトを一緒に回転させて取外すようにすることが知られている。しかしながら、ボルトの固着状態によっては、ボルトの頭部に対してペンチが滑ってしまい、ボルトを取外すことができなかった。また、座グリ孔によりボルトの頭部が沈み込んでいるような場合では、ペンチで挟むことができなかった。
一方、先端にテーパ状の左ネジの切刃を備えた工具が提案されている。この工具は、ボルトの摩耗した係合溝に対して、ボルトが抜ける方向へ回転させながらテーパ状の切刃をねじ込ませ、徐々にテーパの径が大きくなることで切削抵抗が大きくなり、その抵抗によりボルトが一緒に回転することで、取外すことを意図している。しかしながら、この技術では、ボルトの径が大きくなるとボルトの回転抵抗も大きくなるため、刃先が回転方向を向いている切刃により係合溝が削れてしまい、ボルトを取外すことができない問題があった。
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、頭部の係合溝が摩耗しているボルトを取外すことが可能なボルト外し工具及びボルト外し工具の使用方法の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係るボルト外し工具は、
「頭部の係合溝が摩耗しているボルトを取外すためのボルト外し工具であって、
筒状の本体部、該本体部の外周に設けられている多角形の工具掛部、前記本体部における一方の端面から軸方向外方へ突出していると共に周方向へ間隔をあけて複数設けられている拡開部、夫々の該拡開部の外側面に設けられている刃部、及び夫々の前記拡開部の内側面に設けられており先端へ向かうに従って軸芯へ接近するように傾斜しているテーパ部、を有する筒状の第一部材と、
該第一部材に対して前記拡開部とは反対側の端部から挿入するためのものであり、先端側が前記テーパ部に当接可能な棒状の第二部材と
を具備し
前記刃部は、
前記拡開部の外側面の中央から先端まで前記軸方向へ延びていると共に、夫々の前記拡開部の外側面が周方向中央を残して両側が湾曲状に凹んでいることにより形成されており、
前記刃部の刃先は、前記本体部の外周面の延長面と一致していると共に、前記第一部材の前記軸芯に対して半径方向外方を向いている」ことを特徴とする。
本構成のボルト外し工具は、頭部の係合溝が摩耗しているボルトに対して、その摩耗している係合溝に、第一部材の複数の拡開部を挿入する。また、第一部材における拡開部とは反対側の端部から第二部材を挿入する。この状態で、第二部材の先端がボルトへ接近するように第二部材を移動させると、第二部材の先端がテーパ部に当接し、テーパ部を介して拡開部が軸芯から遠ざかる方向へ押圧されることとなる。これにより、複数の拡開部が本体部に対して外方に曲がるように塑性変形し、複数の拡開部が軸芯に対して拡開する。これら複数の拡開部の外側面には、刃部が設けられているため、各拡開部の拡開に伴って夫々の刃部が係合溝の内面に接近し当接する。そして、更に、第二部材をボルトの方向へ移動させると、夫々の刃部が係合溝の内面に喰い込んだ状態となる。この状態で、第一部材の工具掛部にスパナのような工具を掛けて、ボルトが外れる方向へ第一部材を回転させると、第一部材と一緒にボルトが回転し、ボルトを取外すことができる。
本発明に係るボルト外し工具の使用方法は、
「上記のボルト外し工具を使用する使用方法であり、
頭部の係合溝が摩耗しているボルトの前記係合溝に、前記第一部材の複数の前記拡開部を挿入すると共に、前記第一部材に前記拡開部とは反対側の端部から前記第二部材を挿入し、
前記第二部材の先端が前記ボルトへ接近するように前記第二部材を移動させることにより、該第二部材の先端を複数の前記テーパ部に当接させて複数の前記拡開部を拡開させることで、夫々の前記刃部を前記係合溝の内面に喰い込ませ、
その後、前記工具掛部に工具を掛けて前記第一部材を回転させる」
ことを特徴とする。
本構成は、上述したボルト外し工具の使用方法であり、これにより、頭部の係合溝が摩耗しているボルトを取外すことができる。
以上のように、本発明の効果として、頭部の係合溝が摩耗しているボルトを取外すことが可能なボルト外し工具及びボルト外し工具の使用方法を提供することができる。
(a)は本発明の一実施形態であるボルト外し工具の平面図であり、(b)はボルト外し工具の正面図であり、(c)はボルト外し工具の底面図であり、(d)はボルト外し工具の右側面図であり、(e)はボルト外し工具の縦断面図であり、(f)はボルト外し工具の斜視図である。 (a)~(f)はボルト外し工具の使用方法を斜視図で示す説明図である。 (a)~(c)はボルト外し工具の作用を断面で示す説明図である。 図1とは異なるボルト外し工具の縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態であるボルト外し工具1について、図1乃至図3を参照して詳細に説明する。ボルト外し工具1は、図1などに示すように、筒状の第一部材10と、第一部材10の筒内に挿入するための棒状の第二部材20と、を備えている。
第一部材10は、筒状の本体部11と、本体部11の外周に設けられている多角形の工具掛部12と、本体部11における一方の端面から軸方向外方へ突出していると共に周方向へ間隔をあけて複数設けられている拡開部13と、夫々の拡開部13の外側面に設けられている鋭利な刃部14と、夫々の拡開部13の内側面に設けられており先端へ向かうに従って軸芯へ接近するように傾斜しているテーパ部15と、を備えている。
本体部11は、円筒状であり、工具掛部12が設けられている部位の外周が多角形に形成されている。工具掛部12は、本体部11における拡開部13とは反対側の端部付近の外周面に設けられている。本実施形態では、工具掛部12の外形を、六角形としている。なお、工具掛部12は、工具が掛けられれば良く、その外形を六角形以外としても良い。
複数の拡開部13は、本実施形態では周方向へ等間隔に6個設けられている例を示しているが、その数は限定されない。ここでは、各拡開部13の外側面は、本体部11の外周面の延長面上にある。
刃部14は、拡開部13の外側面における軸方向の中央付近から先端まで、軸方向へ長く設けられている。刃部14は、拡開部13における周方向の中央に設けられている。刃部14は、拡開部13の外側面がその周方向中央を残して両側が湾曲状に凹むことで形成されている。従って、刃部14の刃先は、本体部11の外周面の延長面と一致していると共に、第一部材10の軸芯に対して半径方向外方を向いている。
テーパ部15は、拡開部13における刃部14が設けられている部位の裏側に設けられている。テーパ部15は、全体が本体部11の内周面よりも軸芯側へ突出している。テーパ部15は、円錐状の内周面の一部を構成するように、その表面が周方向へ湾曲している。
第二部材20は、棒状の挿入本体部21と、挿入本体部21の基端に設けられている頭部22と、を有している。挿入本体部21は、基端から先端へ向かって直径がやや細くなるような円錐台状に形成されている。挿入本体部21は、基端側の直径が第一部材10における本体部11の内径よりもやや小さい。また、挿入本体部21は、先端側の直径が、第一部材10における複数のテーパ部15が接する最小円の直径よりも大きく、複数のテーパ部15が接する最大円の直径よりもやや小さい。従って、挿入本体部21は、第一部材10に対して工具掛部12側から挿入させることができ、挿入した先端を複数のテーパ部15に当接させることが可能である。
第二部材20の頭部22は、挿入本体部21の直径よりも大きく、上面が平らである。これにより、頭部22をハンマーで叩くことができる。また、ここでは、頭部の外形は多角形(ここでは、六角形)に形成されている。これにより、頭部22にスパナのような工具を掛けることも可能である。
本実施形態では、第一部材10及び第二部材20が、金属の削り出しにより形成されている。
続いて、本実施形態のボルト外し工具1の使用方法について、図2及び図3を参照して説明する。ここでは、頭部2aに係合溝2bを有するボルトとして、六角穴付きボルト2(単にボルト2とも称す)を例にとり説明する。まず、図2(a)はボルト2が取付対象物3に取付けられている状態を示している。この状態で経年変化や腐食などによりボルト2が取付対象物3に対して固着した状態で、ボルト2を取外すために係合溝2bにレンチ(図示は省略)を挿入してボルト2を回転させようとした時に、ボルト2の固着具合によっては、レンチだけが回ってしまうことがある。そして、レンチだけが回ると、図2(b)に示すように、レンチによって係合溝2bが摩耗する(いわゆる“なめる”)ことで、角形の穴が円形に近い穴となってしまい、ボルト2を回転させることができなくなる。
このようにして係合溝2bが摩耗したボルト2に対して、第一部材10の複数の拡開部13を摩耗した係合溝2bに挿入する(図2(c)及び図3(a)を参照)。そして、第一部材10における拡開部13とは反対側の端部、つまり、工具掛部12が設けられている端部側から、第二部材20の挿入本体部21を挿入する(図2(d)及び図3(b)を参照)。この状態では、図3(b)に示すように、第二部材20の先端が第一部材10における複数のテーパ部15に当接している。
第二部材20を第一部材10に挿入したら、ハンマー(図示は省略)などを使用して第二部材20の頭部22を叩いて、打ち込むように第二部材20をボルト2側へ移動させる(図2(e)を参照)。すると、テーパ部15に当接している第二部材20の先端が、テーパ部15を介して拡開部13が軸芯から遠ざかる方向へ押圧し、複数の拡開部13が本体部11に対して外方に曲がるように塑性変形して拡開することとなる。
これら複数の拡開部13の外側面には、刃部14が設けられているため、各拡開部13の拡開に伴って夫々の刃部14が摩耗している係合溝2bの内面に接近し当接する。そして、更に、頭部22を叩いて第二部材20をボルト2の方向へ移動させると、夫々の刃部14が摩耗している係合溝2bの内面に喰い込んだ状態となる(図3(c)を参照)。この際に、刃部14の刃先が第一部材10の軸芯に対して半径方向外方を向いているため、係合溝2bの内面に対して確実に喰い込ませることができる。
この状態で、第一部材10の工具掛部12にスパナのような工具(図示は省略)を掛けて、ボルト2が外れる方向へ第一部材10を回転させると、第一部材10と一緒にボルト2が回転し、ボルト2を取付対象物3から取外すことができる(図2(f)を参照)。この際に、刃部14の刃先が第一部材10の軸芯に対して半径方向外方を向いていると共に、軸方向へ長く延びているため、第一部材10の回転により刃部14の刃先が係合溝2bの内面を削ってしまうことはないと共に、回転方向へ滑ることはない。
なお、上記では、第一部材10と第二部材20とを分離させておき、第一部材10の複数の拡開部13を係合溝2bに挿入してから、第一部材10に第二部材20を挿入させる方法を示したが、これに限定するものではなく、第一部材10に第二部材20を浅く挿入させたままの状態で、第一部材10の複数の拡開部13を係合溝2bに挿入するようにしても良い。
また、上記では、第一部材10において、本体部11の外径と複数の拡散部13の部位の外径とが同じものを示したが、これに限定するものではなく、本体部11の外径よりも複数の拡散部13の部位の外径が小さいものとしても良い。これにより、工具を工具掛部12に掛けて第一部材10を回転させる操作性を損なうことなく、係合溝2bが小さいボルト2を対象とすることができる。
このように、本実施形態によれば、頭部2aの係合溝2bが摩耗しているボルト2を取外すことができる。また、摩耗した頭部2aに複数の拡開部13を挿入し、工具を掛ける工具掛部12を拡開部13から離れた位置に設けているため、座グリ孔により頭部2aが取付対象物3の表面から沈み込んでいるようなボルト2でも取外すことができる。
また、軸方向に長い複数の刃部14を、摩耗した係合溝2bの内面に喰い込ませるようにしており、刃先がボルト2を取外すための回転方向を向いていないため、第一部材10を回転させても刃部14が係合溝2bを削ることはなく、係合溝2bの内面に対して複数の刃部14を滑り難いものとすることができ、取外す際の回転抵抗が大きくなる径の大きいボルト2でも取外すことができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、第二部材20をハンマーなどで叩くことで、打ち込むようにボルト2側へ移動させるものを示したが、これに限定するものではなく、図4に示すような、構成としても良い。図4において、上記と同じ構成については同じ符号を付し、説明は省略する。図4に示すボルト外し工具1は、第一部材10における本体部11の内周面に、雌ネジからなる雌ネジ部16を設けると共に、第二部材20における挿入本体部21の外周面に、雌ネジ部16と螺合する雄ネジ部23を設けたものである。これにより、第一部材10に対して第二部材20を相対的に回転させると、雌ネジ部16と雄ネジ部23とのネジの作用により、第二部材20をボルト2側へ移動させることができ、上記と同様の作用効果を奏することができる。なお、第二部材20を回転させる時には、その六角形の頭部22にスパナのような工具を掛けて回転させれば良い。
また、上記の実施形態では、ボルト2の頭部2aの係合溝2bとして、平面視が六角形のものを示したが、これに限定するものではない。当該係合溝としては、四角形、十字&四角形、六角星形、ポジドライブ形、ピン六角形、トライウイング形、ピン5ロブ形、ピン6ロブ形、えぼし形、を例示することができる。
1 ボルト外し工具
2 六角穴付きボルト(ボルト)
2a 頭部
2b 係合溝
3 取付対象物
10 第一部材
11 本体部
12 工具掛部
13 拡開部
14 刃部
15 テーパ部
16 雌ネジ部
20 第二部材
21 挿入本体部
22 頭部
23 雄ネジ部

Claims (2)

  1. 頭部の係合溝が摩耗しているボルトを取外すためのボルト外し工具であって、
    筒状の本体部、該本体部の外周に設けられている多角形の工具掛部、前記本体部における一方の端面から軸方向外方へ突出していると共に周方向へ間隔をあけて複数設けられている拡開部、夫々の該拡開部の外側面に設けられている刃部、及び夫々の前記拡開部の内側面に設けられており先端へ向かうに従って軸芯へ接近するように傾斜しているテーパ部、を有する筒状の第一部材と、
    該第一部材に対して前記拡開部とは反対側の端部から挿入するためのものであり、先端側が前記テーパ部に当接可能な棒状の第二部材と
    を具備し
    前記刃部は、
    前記拡開部の外側面の中央から先端まで前記軸方向へ延びていると共に、夫々の前記拡開部の外側面が周方向中央を残して両側が湾曲状に凹んでいることにより形成されており、
    前記刃部の刃先は、前記本体部の外周面の延長面と一致していると共に、前記第一部材の前記軸芯に対して半径方向外方を向いている
    ことを特徴とするボルト外し工具。
  2. 請求項1に記載のボルト外し工具を使用する使用方法であり、
    頭部の係合溝が摩耗しているボルトの前記係合溝に、前記第一部材の複数の前記拡開部を挿入すると共に、前記工具掛部側から前記第一部材に前記第二部材を挿入し、
    前記第二部材の先端が前記第一部材の先端へ接近するように前記第二部材を移動させることにより、該第二部材の先端を複数の前記テーパ部に当接させて複数の前記拡開部を拡開させることで、夫々の前記刃部を前記係合溝の内面に喰い込ませ、
    その後、前記工具掛部に工具を掛けて前記第一部材を回転させる
    ことを特徴とするボルト取り外し工具の使用方法。
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