JP7749829B2 - 導電圧電フィルム、デバイス、及び導電圧電フィルムの製造方法 - Google Patents

導電圧電フィルム、デバイス、及び導電圧電フィルムの製造方法

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Description

本発明は、導電圧電フィルム、導電圧電フィルムを備えるデバイス、及び導電圧電フィルムの製造方法に関する。
画像表示部に直接触れることにより、情報を入力できるデバイスとしてタッチパネルが広く用いられている。この代表的な形式として、透明電極と指との間に生じる電流容量の変化を利用した静電容量式タッチパネルがある(特許文献1)。
タッチパネルに利用される位置検出センサには透明導電膜が使用されており、例えば、スパッタリングなどのドライコーティングによってPETフィルムにITO(酸化インジウムスズ)を成膜した後、加熱処理(150℃前後)によりITOの結晶性を高めることで、低抵抗及び高透過率を実現している。
最近は、指などにより操作面がタッチされる際の位置と押圧を同時に検知する技術に注目が高まっており、圧電センサからなる押圧検出センサを位置検出センサに組み合わせる方法が提案されている。しかしながら、圧電センサに使用される圧電フィルムは、PETフィルムのように高温での加熱処理を行うと抵抗が悪化したりフィルムの色味を損なったりするため、スパッタリングなどのドライコーティングによってITOを成膜した導電圧電フィルムをタッチパネルで使用することが困難である。
特開平5-324203号公報
本発明者は、高温での加熱処理を必要としない導電層形成方法として、金属ナノワイヤや導電性高分子などの導電性物質を含む溶液を塗布するウェットコーティング法を検討した。しかしながら、圧電フィルムにウェットコーティング法を適用して導電層を形成すると、性能のばらつき、特に透明性のばらつきが生じることが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、透明性のばらつきが抑制された導電圧電フィルム、導電圧電フィルムを備えるデバイス、及び導電圧電フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、金属ナノワイヤなどを含む導電層を備え、全光線透過率及び全光線透過率の標準偏差が特定の範囲を満たす導電圧電フィルムにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものに関する。
本発明は、圧電フィルムと、前記圧電フィルムの一方の面に積層された導電層とを備え、全光線透過率が80%以上であり、全光線透過率の標準偏差が1.4%以下であり、前記導電層が、金属ナノワイヤ、導電性高分子、カーボンナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、導電圧電フィルムに関する。
前記圧電フィルムの、前記導電層との界面における表面うねりWaが30μm以下であることが好ましい。
前記導電圧電フィルムにおいて、80℃で30分間熱処理したときの熱収縮率の絶対値が最大でも1.0%未満であることが好ましい。
ASTM D3359に基づいて評価される前記導電層の密着性が4B以上であることが好ましい。
前記金属ナノワイヤが銀ナノワイヤであることが好ましい。
前記圧電フィルムはフッ素系樹脂を含有することが好ましい。
また、本発明は、前記導電圧電フィルムを備えるデバイスに関する。
さらに、本発明は、保護フィルムが積層された圧電フィルムの前記保護フィルムとは反対側の面に、金属ナノワイヤ、導電性高分子、カーボンナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1種を含む導電性物質を含む溶液を塗布することで、全光線透過率が80%以上である導電層を形成する工程を含む、導電圧電フィルムの製造方法に関する。
前記工程において、前記溶液を塗布する面の水接触角は70°以下であることが好ましい。
前記保護フィルムの弾性率は1.0GPa以上であることが好ましい。
本発明によれば、透明性のばらつきが抑制された導電圧電フィルム、導電圧電フィルムを備えるデバイス、及び導電圧電フィルムの製造方法を提供できる。
本発明の導電圧電フィルムの一実施形態である導電圧電フィルム1を模式的に示す断面図である。 本発明の導電圧電フィルムの別の実施形態である導電圧電フィルム2を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
≪導電圧電フィルム≫
本発明に係る導電圧電フィルムは、圧電フィルムと、圧電フィルムの一方の面に積層された導電層と、を備え、全光線透過率が80%以上であり、全光線透過率の標準偏差が1.4%以下であり、導電層が、金属ナノワイヤ、導電性高分子、カーボンナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1種を含む。なお、本明細書において、「積層」とは、各層が順番に積層されていればよく、各層の間に他の層が積層されていてもよい。
<導電圧電フィルムの特性>
導電圧電フィルムは、全光線透過率が80%以上であり、全光線透過率の標準偏差が1.4%以下である。
導電圧電フィルムの全光線透過率が高いほど透明性が高くなるので好ましい。前記フィルムの全光線透過率は、84%以上がより好ましく、86%以上がさらに好ましく、90%以上がとくに好ましい。全光線透過率の上限は特に限定されない。
導電圧電フィルムの全光線透過率の標準偏差は小さいほど透明性のバラツキが小さくなるので好ましい。前記フィルムの全光線透過率の標準偏差は、1.4%以下が好ましく、1.1%以下がより好ましく、0.8%以下がさらに好ましく、0.5%以下がとくに好ましい。全光線透過率の標準偏差の下限は特に限定されない。
本明細書において、導電圧電フィルムの全光線透過率は、JIS K 7361-1に準拠して測定される値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。全光線透過率の標準偏差は測定された全光線透過率の値より計算された値である。
全光線透過率の標準偏差は、例えば、圧電フィルムに導電性物質を含む溶液を塗布する前に、前記溶液の塗布面と反対側の圧電フィルムの面に保護フィルムを積層することで小さくすることができる。圧電フィルムはPETなどのフィルムと比較して表面の平滑性が低く、このような圧電フィルムの面に上記溶液を塗布することで透明性のばらつきが生じると考えられる。そのため、保護フィルムを積層することで圧電フィルムの平滑性が改善されると考えられる。
また、例えば、導電性物質を含む溶液を圧電フィルムの面に塗布する前に、塗布予定の圧電フィルムの面に表面改質処理(コロナ処理やプラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理など)を行ったり、塗布予定側の圧電フィルムの面に透明コーティング層を形成したりすることで、塗布する面の水接触角を70°以下にする方法によっても、全光線透過率の標準偏差を小さくすることができる。圧電フィルムは上記の水系溶液に対する濡れ性が低く、上記溶液がはじかれてムラが生じることによっても透明性のばらつきが生じると考えられる。そのため、塗布する面の水接触角を70°以下にすることで上記溶液の塗布ムラを解消できると考えられる。
前記圧電フィルムの、前記導電層との界面における表面うねりWaは、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。表面うねりWaの下限は特に限定されない。表面うねりWaが30μm以下であると、圧電フィルムの表面の平滑性が良好であり、導電層の塗膜がより均一になりやすく、透明性のばらつきが抑制されやすい。
なお、本明細書において、表面うねりWaは、輪郭曲線としてのうねり曲線の基準長さにおける算術平均高さである。うねり曲線は、粗さ曲線によって表される微細な凹凸ではなく、より大きなスケールの凹凸(すなわちうねり)を表すものである。表面うねりWaは、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
導電圧電フィルムにおいて、80℃で30分間熱処理したときの熱収縮率の絶対値が最大でも(いずれの方向においても)1.0%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。熱収縮率の絶対値の下限は特に限定されない。熱収縮率の絶対値が上記範囲であることは、使用する圧電フィルムの熱収縮率の絶対値が低いことを意味しており、塗膜の乾燥過程で圧電フィルムが収縮しにくいため、より均一な導電層が得られやすく、透明性のばらつきが抑制されやすい。
なお、本明細書において、熱収縮率は、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
導電圧電フィルムの熱収縮率は、分極処理を加えた圧電フィルムに、例えば、130℃で1分間のような熱処理を加えることによって低減することができる。
導電圧電フィルムにおいて、ASTM D3359に基づいて評価される導電層の密着性が4B以上であることが好ましい。
なお、本明細書において、導電層の密着性とは、圧電フィルム側で導電層と隣接する層と、導電層との密着性を意味する。例えば、圧電フィルムと導電層が隣接している場合は、圧電フィルムと導電層との密着性を意味し、圧電フィルムと導電層の間に透明コーティング層が配置されている場合は、透明コーティング層と導電層との密着性を意味する。導電層の密着性は、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
導電圧電フィルムのヘイズ値は、3.0%以下が好ましく、2.5%以下がより好ましく、2.0%以下がさらに好ましく、1.5%以下がとくに好ましい。ヘイズ値の下限は特に限定されない。
なお、本明細書において、導電圧電フィルムのヘイズ値は、JIS K 7136に準拠して測定される値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
導電圧電フィルムのシート抵抗は、1000Ω/sq以下が好ましく、600Ω/sq以下がより好ましく、400Ω/sq以下がさらに好ましく、200Ω/sq以下がとくに好ましい。シート抵抗の下限は特に限定されないが、透明性の観点では、10Ω/sq以上が好ましく、20Ω/sq以上がより好ましく、40Ω/sq以上がとくに好ましい。また、シート抵抗の下限は特に限定されないが、数値範囲の組み合わせとしては、10Ω/sq以上1000Ω/sq以下が好ましく、10Ω/sq以上600Ω/sq以下がより好ましく、20Ω/sq以上400Ω/sq以下がさらに好ましく、40Ω/sq以上200Ω/sq以下がとくに好ましい。
なお、本明細書において、導電圧電フィルムのシート抵抗は、JIS K 7194に準拠して測定される値であり、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
導電圧電フィルムの厚みは、例えば25μm以上120μm以下であることが好ましい。圧電フィルムの厚みが25μm以上であると、圧電効果により発生する電荷量がより多くなり、より高い圧電性が得られやすい。圧電フィルムの厚みは30μm以上がより好ましく、35μm以上がさらに好ましい。圧電フィルムの厚みが120μm以下であると、圧電フィルムの透明性がより損なわれにくい。圧電フィルムの厚みは100μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。同様の観点から、圧電フィルムの厚みは、35μm以上80μm以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、導電圧電フィルムや各層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて1万~10万倍にて撮影された層の断面写真からランダムに10箇所厚みを測定し、測定された10箇所の厚みの算術平均値とする。
次に、図面を参照しながら導電圧電フィルムの各層について説明する。
図1は、導電圧電フィルムの一実施形態である導電圧電フィルム1を模式的に示す断面図である。導電圧電フィルム1は、圧電フィルム11の一方の面に、導電層31が積層されている。
図2は、導電圧電フィルムの別の実施形態である導電圧電フィルム2を模式的に示す断面図である。導電圧電フィルム2は、圧電フィルム11を挟むようにして一対の透明コーティング層(第一の透明コーティング層21及び第二の透明コーティング層22)を備える点で、導電圧電フィルム1と異なっている。その他の構成は、導電圧電フィルム1と同様である。
<圧電フィルム>
圧電フィルム11は、圧電性(加えられた力を電圧に変換する性質、又は加えられた電圧を力に変換する性質)を有するフィルム(薄膜)である。
圧電フィルム11を構成する材料としては、一般に熱ポーリング処理と呼ばれる分極処理によって分子双極子を分極させることで圧電性を発現できる分極化極性高分子や、キラルな高分子に延伸処理を加えることによって圧電性を発現できる延伸キラル高分子などが挙げられる。分極化極性高分子としては、フッ素系樹脂;シアン化ビニリデン系重合体;酢酸ビニル系重合体;ナイロン9、ナイロン11などの奇数ナイロン;ポリウレアなどが挙げられる。延伸キラル高分子としては、ポリ乳酸などのヘリカルキラル高分子;ポリヒドロキシブチレートなどのポリヒドロキシカルボン酸;セルロース系誘導体などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。なかでも、圧電フィルムの圧電定数d33を大きくしやすく、圧電効果をより得やすくする観点では、フッ素系樹脂が好ましく、フッ化ビニリデンの単独重合体がより好ましい。
圧電フィルムの圧電定数d33は、10pC/N以上40pC/N以下であることが好ましい。圧電フィルムの圧電定数d33が10pC/N以上であると、圧電効果により発生する電荷量がより多いため、感圧性をより高めることができる。圧電フィルムの圧電定数d33が40pC/N以下であると、例えば分極処理に起因する圧電フィルムの表面の平坦性の低下をより低減できるため、全光線透過率の標準偏差をより低減することができる。同様の観点から、圧電フィルムの圧電定数d33は、13pC/N以上35pC/N以下であることがより好ましく、15pC/N以上30pC/N以下であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、圧電定数d33は、圧電定数測定装置(「ピエゾメーターシステムPM300」、PIEZOTEST社製)を用いて、0.2Nでサンプルをクリップし、0.15N、110Hzの力を加えた際の発生電荷である。圧電定数d33の実測値は、測定されるフィルムの表裏によって、プラスの値又はマイナスの値となるが、本明細書においては絶対値を記載した。
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン系共重合体(例えば、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体、パーフルオロビニルエーテル/フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレンオキシド/フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレンオキシド/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体);テトラフルオロエチレン系重合体;クロロトリフルオロエチレン系重合体などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。なかでも、得られる圧電性の高さ、耐候性、耐熱性などの観点で、ポリフッ化ビニリデン及び/又はフッ化ビニリデン系共重合体がより好ましい。
圧電フィルム11の圧電定数d33は、主に、圧電フィルム11に含まれる樹脂の種類や製造条件(分極処理や延伸処理の条件)によって調整することができる。例えば、フッ素系樹脂の中でも、フッ化ビニリデンに由来する構成単位を多く含む樹脂ほど、圧電フィルム11の圧電定数d33は大きくなりやすい。また、分極処理や延伸処理を強くすることで、圧電フィルムの圧電定数d33は大きくなりやすい。
圧電フィルム11の厚みは、例えば25μm以上120μm以下であることが好ましい。圧電フィルム11の厚みが25μm以上であると、圧電効果により発生する電荷量がより多くなり、より高い圧電性が得られやすい。圧電フィルム11の厚みは30μm以上がより好ましく、35μm以上がさらに好ましい。圧電フィルム11の厚みが120μm以下であると、圧電フィルム11の透明性がより損なわれにくい。圧電フィルムの厚みは100μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。同様の観点から、圧電フィルムの厚みは、35μm以上80μm以下であることがより好ましい。
<導電層>
導電層31は、金属ナノワイヤ、導電性高分子、カーボンナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1種を含む。これらの導電性物質を含むことにより、導電性と透明性を両立できる。
金属ナノワイヤとは、材質が金属であり、形状が針状または糸状であり、径がナノメートルサイズである導電性物質をいう。金属ナノワイヤは直線状であってもよく、曲線状であってもよい。金属ナノワイヤとしては、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、ニッケルナノワイヤなどが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。なかでも、銀ナノワイヤが好ましい。
金属ナノワイヤの平均直径、平均長さ、及びアスペクト比(平均長さ/平均直径)は、良好な導電性と透明性が得られる範囲であれば特に限定されない。例えば、平均直径は、好ましくは10nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下である。平均長さは、好ましくは1μm以上300μm以下、より好ましくは1μm以上100μm以下である。アスペクト比(平均長さ/平均直径)は、好ましくは10以上10000以下、より好ましくは100以上5000以下である。金属ナノワイヤの平均直径及び平均長さは、走査型電子顕微鏡を用いて、任意に選択した100本の金属ナノワイヤの寸法を測定し、その算術平均値として求められる値である。
金属ナノワイヤの製造方法としては、公知の製造方法を用いることができる。例えば、銀ナノワイヤの場合、ポリオール(Poly-ol)法を用いて、ポリビニルピロリドン存在下で硝酸銀を還元することによって合成することができる(Chem.Mater.,2002,14,4736~4745参照)。金ナノワイヤも同様に、ポリビニルピロリドン存在下で塩化金酸水和物を還元することによって合成することができる(J.Am.Chem.Soc.,2007,129,1733~1742参照)。
導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフルオレンなどを用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもポリチオフェンが好ましく、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の混合物(PEDOT/PSS)がより好ましい。
カーボンナノチューブは、良好な導電性と透明性が得られる範囲であれば特に限定されない。例えば、単層カーボンナノチューブであってもよいし、二層カーボンナノチューブなどの多層カーボンナノチューブであってもよい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
グラフェンは、良好な導電性と透明性が得られる範囲であれば特に限定されない。例えば、単層グラフェンであってもよいし、多層グラフェンであってもよい。また、酸化グラフェン、グラフェンナノリボンなどであってもよい。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
導電層には、その機能を損なわない範囲で、これらの導電性物質以外の他の成分を併用してもよい。他の成分としては、界面活性剤、表面調整剤、腐食防止剤、pH調整剤、バインダー樹脂、増粘剤などが挙げられる。また、導電層は、その機能を損なわない範囲で、微量成分や不可避的成分を含んでいても良い。
界面活性剤は、界面活性機能を有する化合物であればよい。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
表面調整剤は、塗膜の泡、ハジキ、ピンホール、まだらなどの表面欠陥を防止できるものであればよい。表面調整剤としては、アクリル系化合物、ビニル系化合物、シリコーン系化合物、フッ素系化合物などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
腐食防止剤は、金属が錆びることを防ぐことができる化合物であればよく、具体例としては、イミダゾール類、ベンゾイミダゾール類、ベンゾトリアゾール類、テトラゾール類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、チアジアゾール類、チアゾリン類などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
pH調整剤は、導電性物質を含む溶液のpHを調整するために用いられる化合物であり、具体例としては、硫酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジメチルアミン、エタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
バインダー樹脂は、導電性物質を含む溶液に使用する溶媒に溶解又は分散可能な樹脂であれば、特に限定はなく用いることができる。具体例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエステル樹脂、多糖類及びその誘導体などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
増粘剤は、導電性物質を含む溶液の粘度を増加させることができる化合物であればよく、具体的には、アルカリ型増粘剤やウレタン型増粘剤などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
導電層の厚みは、100nm以上2μm以下が好ましく、200nm以上1μm以下がより好ましい。上記数値範囲内であると、良好な導電性が得られやすく、可視光の透過率が高くなりやすい。このように、より良好な透明性を有する導電圧電フィルムを得るには導電層の厚みを薄くすることが好ましい。しかしながら、上記の通り、圧電フィルムはPETなどのフィルムと比較して表面の平滑性が低いため、導電層の厚みが薄いと膜厚のばらつきの影響が大きくなり、透明性などのばらつきに繋がると考えられる。すなわち、上記数値範囲内であると、透明性のばらつきが生じやすく、本発明の効果が発揮されやすい。
なお、金属ナノワイヤを含む導電層の場合、金属ナノワイヤがまばらに分散していることで厚みの測定が困難となりやすい。そのような場合には、増粘剤やバインダー樹脂などの他の成分からなる塗膜の厚みを導電層の厚みとする。
<透明コーティング層>
本発明に係る導電圧電フィルムは、透明コーティング層を備えていてもよい。
導電圧電フィルム2は、一対の透明コーティング層として、導電層31側の圧電フィルム11の面に第一の透明コーティング層21と、導電層31側とは反対側の圧電フィルム11の面に第二の透明コーティング層22とを備える。すなわち、導電圧電フィルム2は、第二の透明コーティング層22、圧電フィルム11、第一の透明コーティング層21、導電層31がこの順に積層された積層構造を有している。第一の透明コーティング層21と第二の透明コーティング層22の厚み、構造及び組成は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、必ずしも第一の透明コーティング層21と第二の透明コーティング層22の両方を備える必要はなく、どちらか一方のみを備えていてもよい。
透明コーティング層としては、例えば、ハードコート層、アンダーコート層、オーバーコート層が挙げられる。透明コーティング層は、これらの単独の層であってもよいし、組み合わせた複数の層であってもよい。
ハードコート層またはアンダーコート層は、圧電フィルムの表面を傷や汚れから守るだけでなく、圧電フィルムの表面の傷を埋めることで透明性が向上する(ヘイズが低下する)。また、導電層と圧電フィルムとの間にハードコート層またはアンダーコート層を設けることで、導電性物質を含む溶液を塗布する面の水接触角を70°以下にでき、全光線透過率の標準偏差を低減することができる。
オーバーコート層は金属ナノワイヤの水や空気、光による酸化を抑制することができる。
透明コーティング層は、例えば、樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物を含有する。樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物、及び電子線硬化性樹脂組成物から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、及びメラミン系樹脂から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。
樹脂組成物は、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などのエネルギー線反応性基を有する硬化性化合物を含む組成物である。なお、(メタ)アクリロイル基なる表記は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を含む意味である。硬化性化合物は、1つの分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上のエネルギー線によって反応する官能基を含む多官能モノマー又はオリゴマーを含んでいることが好ましい。
エネルギー線で硬化する樹脂組成物を用いると、紫外線などのエネルギー線を照射することによって、樹脂組成物を硬化させることができる。したがって、このような樹脂組成物を用いることが製造工程上の観点からも好ましい。
硬化性化合物は、好ましくはアクリル系モノマーを含有する。アクリル系モノマーとしては、ウレタン変性アクリレート、及びエポキシ変性アクリレートなどが挙げられる。
樹脂組成物は、塗膜の強度を高めること、導電層との密着性を高めること、などの観点で、微粒子(有機微粒子及び/又は無機微粒子)を含むことが好ましい。有機微粒子としては、例えば、有機珪素微粒子、架橋アクリル微粒子、及び架橋ポリスチレンン微粒子などが挙げられる。無機微粒子としては、例えば、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化ジルコニウム微粒子、酸化チタン微粒子、及び酸化鉄微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
透明コーティング層が薄すぎると、透明コーティング層が圧電フィルムの表面の微細な凹凸形状を十分に覆うことが困難であることがあり、圧電フィルムのヘイズを低減する効果が十分に得られない虞がある。また、透明コーティング層が厚すぎると、導電圧電フィルムの圧電性が不十分になることがある。したがって、透明コーティング層の厚みは、0.20μm以上3.5μm以下であることが好ましく、0.35μm以上2.5μm以下であることがより好ましく、0.50μm以上1.5μm以下であることがさらに好ましい。透明コーティング層の厚みが上記範囲であることにより、導電圧電フィルムにおいて、用途に応じた十分な圧電性と透明性とを両立することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の導電圧電フィルム2は一対の透明コーティング層を有しているが、第一の透明コーティング層21及び第二の透明コーティング層22のどちらか一方のみを備えていてもよい。また、導電圧電フィルム1、2は、導電層31の耐久性を高める観点から、オーバーコート層として、圧電フィルム11とは反対側の導電層31の面に透明コーティング層を備えていてもよい。さらに、導電圧電フィルム1、2には、その機能が大きく損なわれない範囲で、上述の層以外に任意の位置に任意の層を設けてもよい。
<導電圧電フィルムの用途>
本発明に係る導電圧電フィルムは、静電容量方式、抵抗膜方式などのタッチパネルを含む圧電パネル、圧力センサ、ハプティックデバイス用アクチュエータ、圧電振動発電装置及び平面スピーカーなどのデバイスに好適に用いられる。上記圧電パネルは、上記導電圧電フィルムの下に、LCDなどの一般的な表示パネルユニットをさらに備える。上記デバイスは、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、ノートパソコン、ATM、FA機器、OA機器、医療機器、カーナビゲーションシステムなどに好適に用いられる。
≪導電圧電フィルムの製造方法≫
本発明に係る導電圧電フィルムは、保護フィルムが積層された圧電フィルムの前記保護フィルムとは反対側の面に、導電性物質を含む溶液を塗布することで、全光線透過率が80%以上である導電層を形成する工程を含む方法により製造することができる。
圧電フィルムとしては、<圧電フィルム>で説明したものを用いることができる。フッ素系樹脂を含む圧電フィルムを用いる場合、当該圧電フィルムは、以下の方法で製造することができる。
フッ素系樹脂を含む圧電フィルムを製造する場合、当該圧電フィルムは、フッ素系樹脂を含むフィルムを分極処理する工程を経て得ることができる。フッ素系樹脂を含むフィルムは、延伸フィルムであってもよいし、未延伸フィルムであってもよい。本実施形態では、高い圧電効果を発現させる観点から、フッ素系樹脂を含むフィルムを延伸した後、分極処理することが好ましい。
フッ素系樹脂を含むフィルムは、溶融押出法や熱プレス法、溶液キャスティング法等の任意の方法で製造することができる。中でも、所定以上の厚みの圧電フィルムを得やすい観点等から、フッ素系樹脂を含むフィルムは、溶融押出法で製造されることが好ましい。溶融押出法では、フッ素系樹脂及び任意の添加剤を、押出機のシリンダー内で加熱溶融させた後、ダイから押し出して、フィルムを得ることができる。
得られたフィルムは、α型結晶(主鎖は螺旋型構造)とβ型結晶(主鎖は平面ジグザグ構造)等が混在した構造を有している。β型結晶は大きな分極構造をしている。フィルムを延伸することにより、α型結晶をβ型結晶とすることができ、延伸工程ではフッ素系樹脂をβ型結晶とするために、必要に応じて延伸倍率を調整することが好ましい。延伸方向は、TD方向であってもよいし、MD方向であってもよく、MD方向であることがより好ましい。
延伸方法は、特に限定されず、テンター法、ドラム法等の公知の延伸方法で行うことができる。
延伸倍率は、例えば3.0倍以上6.0倍以下とすることができる。延伸倍率が3.0倍以上であると、フィルムの厚みや分極性をより適度な範囲に調整しやすい。延伸倍率が3.0倍以上であると、β型結晶の転位がより十分となり、より高い圧電性が発現しやすいだけでなく、透明性もより高めることができる。延伸倍率が6.0倍以下であると、延伸による破断を一層抑制することができる。
得られた延伸フィルムを分極処理することが好ましい。分極処理は、例えばグランド電極と針状電極の間に直流電圧を印加することによって行うことができる。電圧は、延伸フィルムの厚みに応じて調整すればよいが、例えば1kV以上50kV以下とすることができる。
このように、本実施形態においては、延伸フィルムを分極処理することによって圧電フィルムを得ることができる。
保護フィルムが積層された圧電フィルムは、例えば、ラミネーターやマルチコーターなどにより、保護フィルムと圧電フィルムを貼り合わせる方法などにより得られる。
保護フィルムの弾性率は、1.0GPa以上が好ましく、2.0GPa以上がより好ましく、2.5GPa以上がさらに好ましい。弾性率が1.0GPa以上である保護フィルムを圧電フィルムと貼り合わせることで、圧電フィルムの表面を好適に平坦化することができる。それにより、導電圧電フィルムの透明性のばらつきをより抑制することができる。
なお、本明細書において、保護フィルムの弾性率とは、基材の引張弾性率を意味し、JIS K 7127:1999に準拠して測定される値である。
保護フィルムの基材としては、弾性率が上記範囲を満たすものであれば特に制限されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の含ハロゲン系重合体;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系重合体を挙げることができる。中でも、PET及びPPが好ましく、弾性率がより高い観点から、PETがより好ましい。また、これらのフィルムは、無延伸フィルムであってもよいし、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。
保護フィルムの基材の厚みは、30μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。また、基材の厚みは、300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。上記範囲内であると、圧電フィルムの平滑性がより改善され、導電圧電フィルムの透明性のばらつきをより抑制することができる。
導電性物質としては、特に限定されないが、透明(例えば、全光線透過率が80%以上)である導電層を形成する導電性物質(透明導電性物質)が好ましく、例えば、上述した銀ナノワイヤ、導電性高分子、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが挙げられる。不透明な導電層を形成するカーボンブラック、黒鉛などは含まないことが好ましい。
導電性物質を含む溶液に使用する溶媒としては、導電性物質が分散可能であれば特に限定されず、所望する粘度や乾燥速度などに応じて適宜選択できる。例えば銀ナノワイヤの場合、水や、エタノール、メタノール、1-プロパノールなどのアルコール系溶媒などを使用でき、導電性高分子の場合、水やアルコール系溶媒に加えて、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒、N-メチルピロリドンなどの窒素原子含有溶媒、ジメチルスルホキシドなどの硫黄原子含有溶媒などを使用できる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、溶液は、導電性物質以外に上述した他の成分含んでいてもよい。
溶液100質量%中の導電性物質の含有量は、特に限定されず、塗工性や乾燥性などを考慮して適宜設定できるが、例えば0.01質量%以上5質量%である。
導電性物質を含む溶液を塗布する方法は特に限定されず、公知の方法により行うことができる。塗布方法としては、例えば、エクストルージョンノズル法、ブレード法、ナイフ法、バーコート法、キスコート法、キスリバース法、グラビアロール法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、カーテン法、及びスクイズ法などが挙げられる。
塗布後の乾燥方法としては、任意の適切な乾燥方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用され得る。例えば、加熱乾燥の場合には、圧電フィルムの抵抗が悪化したりフィルムの色味を損なったりすることを防ぐため、例えば、乾燥温度は50℃~130℃であり、乾燥時間は0.5~10分である。
導電性物質を含む溶液に対する圧電フィルムの濡れ性が低く、該溶液がはじかれてムラが生じることで透明性にばらつきが生じる虞があるため、該溶液を塗布する面の水接触角は70°以下であることが好ましい。なお、水接触角を70°以下にすることで、導電層の密着性も良好となりやすい。なお、本明細書において、水接触角とは、接触角計FACE CA-V(協和界面科学株式会社製)を用い、表面に純水液滴(2.0μL)を滴下して、滴下3秒後における接触角を10回測定し、それを算術平均した値である。
上記溶液を塗布する面の水接触角を70°以下にする手法としては、塗布予定の圧電フィルムの面にコロナ処理やプラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理などの表面改質処理を行う手法や、塗布予定側の圧電フィルムの面に透明コーティング層を形成する手法などが挙げられる。
透明コーティング層は、樹脂組成物の溶液又は分散液を、圧電フィルムの面上に塗布して乾燥し、樹脂組成物を硬化させて作製することができる。この際の塗布は、上述した導電性物質を含む溶液の塗布方法と同様の方法により行うことができる。
上記工程によって導電層を形成した後、保護フィルムを圧電フィルムから剥離してもよい。剥離方法は特に限定されない。保護フィルムを剥離した後に、剥離した側の圧電フィルムの面や、圧電フィルムとは反対側の導電層の面に、透明コーティング層を形成してもよい。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をさらに説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
本発明の導電圧電フィルムにおける特性は、以下の方法により測定し、結果を表1に示した。
<物性評価>
(表面うねり)
実施例及び比較例の導電圧電フィルムについて、導電層側の表面うねりWa(μm)を、3D形状測定機(株式会社キーエンス製、「VR-5000」)及びマルチファイル解析アプリケーション(株式会社キーエンス製、「VR-H3CA」)を用いて測定した。ステージ台に、50mm×50mmのサイズにカットした試験片を、導電層の面が表になるように乗せ、テンションをかけないように、試験片の4隅をテープで固定した。前処理として、複数点指定で基準面を設定し、うねり除去を補正の強さ5で面形状補正を行い、3×3の単純平均で平滑化した。測定は、低倍率カメラで撮影して行った。モードは複数線粗さモード、周囲本数5本、間隔は70本飛ばし、領域は水平線(TD方向)、カットオフは無しの条件で測定を実施した。測定は3回実施し、算術平均値を表面うねりWaとした。
(熱収縮率)
JIS K 7133に準じた試験法にて、導電圧電フィルムを100mm×100mmの寸法に切り出し、切り出した試験片に縦方向及び横方向に印した二つの標線の試験前の標線間距離(L0及びT0)を測定した。なお、導電層形成時のフィルムの流れ方向を縦方向とし、その直角方向を横方向とした。次いで、所定の温度(80℃)に加熱した熱風乾燥炉で規定の時間(30分間)加熱後、少なくとも30分間、常温下で状態調節し、縦方向及び横方向の標線間距離(L及びT)を再度測定し、下記式(1)及び(2)にて、上記試験片について縦方向及び横方向の標線間距離の変化(ΔL及びΔT)を算出した。
ΔL=[(L-L0)/L0]×100(%) (1)
ΔT=[(T-T0)/T0]×100(%) (2)
そして、上記縦方向の標線間距離の変化(ΔL)を、フィルムの縦方向(MD)の熱収縮率とし、上記横方向の標線間距離の変化(ΔT)を、フィルムの横方向の熱収縮率とした。いずれの実施例及び比較例においても横方向の熱収縮率の絶対値は縦方向の熱収縮率の絶対値よりも小さかったため、縦方向の熱収縮率の絶対値が最大であった。
(密着性)
各導電圧電フィルムの密着性についてクロスカット法を用いて評価した。各導電圧電フィルムの導電層において、1mm間隔のラインを縦横11本ずつカッターで引き、100個の碁盤目を作製した後、テープ(ニチバン株式会社製のセロテープ(登録商標)、粘着力4.01N/10mm)を貼って剥離することにより、導電圧電フィルムから剥離した導電層の割合をASTM D3359に基づき、以下の評価基準で評価した。
0B:65%以上の剥離
1B:35%以上、65%未満の剥離
2B:15%以上、35%未満の剥離
3B:5%以上、15%未満の剥離
4B:5%未満の剥離
5B:剥離無し
(シート抵抗)
実施例及び比較例の導電圧電フィルムのそれぞれの抵抗(Ω/sq)を、抵抗率計(「LorestaGP MCP-T610」、日東精工アナリテック株式会社製)を用いて、JIS K 7194に準拠して測定した。抵抗の測定は3回行い、3回の算術平均値を代表値として求めた。
<光学特性評価>
(全光線透過率)
実施例及び比較例の導電圧電フィルムのそれぞれの全光線透過率(%)を、ヘイズメータ(「NDH7000SP II」、日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K 7361-1に準拠して測定した。10cm×15cmの試験片に対して15点測定し、その算術平均値を代表値として求めた。
全光線透過率の標準偏差は下記式に基づいて算出した。
(式中、sは標準偏差、nは測定点の数、xiは各測定点における全光線透過率、xaveは各測定点における全光線透過率の平均値を表す。)
(ヘイズ値)
実施例及び比較例の導電圧電フィルムのそれぞれのヘイズ値(%)を、ヘイズメータ(「NDH7000SP II」、日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K 7136に準拠して測定した。10cm×15cmの試験片に対して15点測定し、その算術平均値を代表値として求めた。
〔実施例1〕
インヘレント粘度が1.1dl/gであるポリフッ化ビニリデン(株式会社クレハ製)から成形された樹脂フィルム(厚さ120μm)を延伸倍率が4.2倍になるように一軸延伸した。延伸後、フィルムをグランド電極と針状電極の間に直流電圧を0kVから12.0kVへと増加させながら印加することで分極処理を行った。分極処理後のフィルムをさらに130℃で1分間熱処理することで、厚みが40μmの圧電フィルムを得た。圧電フィルムのd33は14.0pC/Nであり、表面の水接触角は84°であった。
次に、保護フィルム(基材:ポリエチレンテレフタレート、弾性率:3800MPa、厚み:125μm)と圧電フィルムとを、マルチコーターを用いて貼り合わせた後、ロール状に巻き取り積層フィルムを得た。マルチコーターは、ライン速度5m/min、ラミネートロール接圧およそ0.3Nに設定した。さらに、積層フィルムの圧電フィルム側の面にコロナ処理を施すことにより、圧電フィルム側の面の水接触角が70°である積層フィルムを得た。
Chem.Mater.,2002,14,4736~4745に記載された方法を参考にして、平均直径30nm、平均長さ9.5μmの銀ナノワイヤを作製し、フィルターを用いて銀ナノワイヤを濾別、水洗処理を施した後、エタノール中に再分散して銀ナノワイヤ分散液(銀ナノワイヤ含有量:0.2質量%)を調製した。さらに、銀ナノワイヤ分散液63質量%と、増粘剤及び界面活性剤を含む分散媒(超純水)37質量%とを含有する銀ナノワイヤインクを調製した。
積層フィルムの圧電フィルム側の面に、調製した銀ナノワイヤインクをウェット厚みが18μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で4分間乾燥させた。
続いて、保護フィルムを圧電フィルムから剥がした後、保護フィルムを剥がした側の圧電フィルムの面に、アクリル樹脂からなる非晶質シリカ含有紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、80℃で2分間乾燥させた。乾燥させた塗膜に、UV照射装置CSOT-40(株式会社GSユアサ製)を用い、400mJ/cm2の積算光量でUVを照射することで、圧電フィルムの一方の面に厚みが200nmの導電層、他方の面に厚みが0.7μmの透明コーティング層を有する導電圧電フィルムを得た。
〔実施例2〕
銀ナノワイヤインクのウェット厚みを11μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、圧電フィルムの一方の面に厚みが160nmの導電層、他方の面に厚みが0.7μmの透明コーティング層を有する導電圧電フィルムを得た。
〔比較例1〕
実施例1と同様にして、厚みが40μmの圧電フィルムを得た。
圧電フィルムの片面に、調製した銀ナノワイヤ分散液をウェット厚みが25μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で4分間乾燥させることで、導電圧電フィルムを得た。
〔比較例2〕
銀ナノワイヤ分散液のウェット厚みを18μmに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、導電圧電フィルムを得た。
〔実施例3〕
実施例1と同様にして得た圧電フィルムの片面にアクリル樹脂からなる非晶質シリカ含有紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、80℃で2分間乾燥させた。乾燥させた塗膜に、UV照射装置CSOT-40(株式会社GSユアサ製)を用い、400mJ/cm2の積算光量でUVを照射し、透明コーティング層aを形成した。次に透明コーティング層aの面に実施例1と同様にして保護フィルムを貼り合わせて積層フィルムを得た。
積層フィルムの圧電フィルム側の面にアクリル樹脂からなる非晶質シリカ含有紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、80℃で2分間乾燥させた。乾燥させた塗膜に、UV照射装置CSOT-40(株式会社GSユアサ製)を用い、400mJ/cm2の積算光量でUVを照射し、透明コーティング層bを形成した。
次に、透明コーティング層bの面に固形分濃度2.5質量%の導電性高分子(PEDOT:PSS)分散液をウェット厚みが25μmになるようにバーコーターで塗布し、80℃で4分間乾燥させることで、圧電フィルムの両方の面に厚みが0.7μmの透明コーティング層と、一方の面に厚みが0.7μmの導電層とを有する導電圧電フィルムを得た。
〔実施例4〕
実施例1と同様にして、保護フィルムと圧電フィルムとを貼り合わせた積層フィルムを得た。
積層フィルムの圧電フィルム側の面にアクリル樹脂からなる非晶質シリカ含有紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、80℃で2分間乾燥させた。乾燥させた塗膜に、UV照射装置CSOT-40(株式会社GSユアサ製)を用い、400mJ/cm2の積算光量でUVを照射し、透明コーティング層を形成した。次に、透明コーティング層の面に固形分濃度2.5質量%の導電性高分子(PEDOT:PSS)分散液をウェット厚みが10μmになるようにバーコーターで塗布し、80℃で4分間乾燥させることで、圧電フィルムの一方の面に厚みが0.7μmの透明コーティング層と厚みが0.3μmの導電層とを有する導電圧電フィルムを得た。
〔比較例3〕
実施例1と同様にして、厚みが40μmの圧電フィルムを得た。
圧電フィルムの片面に、固形分濃度2.5%の導電性高分子(PEDOT:PSS)分散液をウェット厚みが52μmとなるようにバーコーターで塗布し、80℃で4分間乾燥させることで、導電圧電フィルムを得た。なお、シート抵抗は測定困難であった。
表1に示される通り、実施例において、全光線透過率の標準偏差が低かった。よって、本発明により、透明性のばらつきが抑制された導電圧電フィルムを得られることが確認された。
1、2:導電圧電フィルム、11:圧電フィルム、21:第一の透明コーティング層、22:第二の透明コーティング層、31:導電層

Claims (12)

  1. 圧電フィルムと、前記圧電フィルムの一方の面に積層された導電層とを備え、
    全光線透過率が80%以上であり、
    全光線透過率の標準偏差が1.4%以下であり、
    前記圧電フィルムがフッ素系樹脂を含有し、
    前記導電層が、金属ナノワイヤ、導電性高分子、カーボンナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、導電圧電フィルム。
  2. 前記導電層とは反対側の前記圧電フィルムの面に積層された保護フィルムをさらに備える、請求項1に記載の導電圧電フィルム。
  3. 前記導電圧電フィルムが、透明コーティング層をさらに備え、
    前記透明コーティング層が、前記圧電フィルムの少なくとも一方の面に備えられた、請求項1又は2に記載の導電圧電フィルム。
  4. 前記透明コーティング層が、樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂硬化物を含有する透明コーティング層であり、
    前記樹脂組成物が、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、及びメラミン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項3に記載の導電圧電フィルム。
  5. 前記圧電フィルムの、前記導電層との界面における表面うねりWaが30μm以下である、請求項1又は2に記載の導電圧電フィルム。
  6. 80℃で30分間熱処理したときの熱収縮率の絶対値が最大でも1.0%未満である、請求項1又は2に記載の導電圧電フィルム。
  7. ASTM D3359に基づいて評価される前記導電層の密着性が4B以上である、請求項1又は2に記載の導電圧電フィルム。
  8. 前記金属ナノワイヤが銀ナノワイヤである、請求項1又は2に記載の導電圧電フィルム。
  9. 請求項1又は2に記載の導電圧電フィルムを備えるデバイス。
  10. 請求項1に記載の導電圧電フィルムの製造方法であって、
    保護フィルムが積層された圧電フィルムの前記保護フィルムとは反対側の面に、金属ナノワイヤ、導電性高分子、カーボンナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択される少なくとも1種を含む導電性物質を含む溶液を塗布して導電層を形成する工程と、を含む、導電圧電フィルムの製造方法。
  11. 前記工程において、前記溶液を塗布する面の水接触角が70°以下である、請求項10に記載の導電圧電フィルムの製造方法。
  12. 前記保護フィルムの弾性率が1.0GPa以上である、請求項10又は11に記載の導電圧電フィルムの製造方法。
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