本発明の実施形態のパワーユニット支持装置は、鞍乗型車両の走行の動力源を有するユニットスイング式のパワーユニットを鞍乗型車両の車体フレームに支持する装置である。パワーユニット支持装置は、リンクと、パワーユニット揺動規制機構とを備えている。
リンクは、車体フレームとパワーユニットとを連結する部材である。リンクの一側は車体フレームに、左右方向に伸長した第1のシャフトを介して揺動可能に連結され、リンクの他側にはパワーユニットが、左右方向に伸長した第2のシャフトを介して揺動可能に連結されている。
パワーユニット揺動規制機構は、パワーユニットのリンクに対する揺動を規制する機構である。パワーユニット揺動規制機構は、突出部と、上側規制部と、下側規制部とを有している。突出部は、パワーユニットに設けられ、パワーユニットから前方に突出している。上側規制部は、リンクに設けられ、突出部の上方に配置され、パワーユニットの揺動により突出部が上方に移動したときに突出部に当たることによって突出部の上方への移動を規制する。下側規制部は、リンクに設けられ、突出部の下方に配置され、パワーユニットの揺動により突出部が下方に移動したときに突出部に当たることによって突出部の下方への移動を規制する。上側規制部および下側規制部により突出部の上下方向の移動が規制されることにより、パワーユニットの揺動が規制される。
本実施形態のパワーユニット支持装置において、突出部はパワーユニットに設けられ、上側規制部および下側規制部はリンクに設けられている。このように、本実施形態のパワーユニット支持装置においては、パワーユニット揺動規制機構を構成する部品が車体フレームには設けられていない。上述した従来のパワーユニット支持装置は、車体フレームに対するリンクの揺動を規制するリンク揺動規制機構を備えており、従来のパワーユニット支持装置には、リンク揺動規制機構が有する凹状の部材および凸状の部材のうちの一方を車体フレームのクロスフレームまたはブリッジフレームに設けることによって、クロスフレームまたはブリッジフレームの配置が制限されるという問題がある。本発明の実施形態のパワーユニット支持装置によれば、パワーユニット揺動規制機構を構成する部品が車体フレームに設けられていないので、この問題を解決することができる。本実施形態のパワーユニット支持装置によれば、パワーユニット支持装置を適用することによるクロスフレームまたはブリッジフレームの配置の制限をなくし、または少なくすることができるので、車体フレームの設計を容易化することができ、または車体フレームの設計の自由度を高めることができる。例えば、車体フレームの剛性を所望の剛性に設定するために、ブリッジフレームを適切な位置に配置することができる。また、ブリッジフレームを適切な位置に配置することで、車体フレームの所望の剛性を確保しつつも、他のブリッジフレームや補強フレームの本数を減らすことができ、車体フレームの軽量化、および低コスト化を図ることができる。
本発明のパワーユニット支持装置の実施例について説明する。なお、実施例の説明において、前(Fd)、後ろ(Bd)、上(Ud)、下(Dd)、左(Ld)、右(Rd)の方向を述べる際には、各図中の右下に描いた矢印に従う。
(鞍乗型車両)
図1は本発明の実施例のパワーユニット支持装置41が設けられた鞍乗型車両1を左から見た状態を示している。図2は、図1中の鞍乗型車両1におけるパワーユニット21およびパワーユニット支持装置41等を拡大して示している。図3は、パワーユニット21の前部およびパワーユニット支持装置41を下から見た状態を示している。
本実施例の鞍乗型車両1は、図1に示すように、スクータ型の自動二輪車である。鞍乗型車両1はその骨格を形成する車体フレーム2を備えている。車体フレーム2は例えば鉄鋼等の金属材料により形成されている。車体フレーム2は、ヘッドパイプ3、ダウンフレーム4、一対のサイドフレーム5、およびブリッジフレーム6を有している。
ヘッドパイプ3は、鞍乗型車両1の前部上側に配置されている。ダウンフレーム4は、ヘッドパイプ3から後方に傾斜しつつ下方に伸長している。一対のサイドフレーム5は、ダウンフレーム4の下端側から左右方向に広がりながら、鞍乗型車両1の前後方向中間部における左下部および右下部をそれぞれ通って後方に向かって伸長し、その後、上後方に向かってさらに伸長している。また、各サイドフレーム5はロアフレーム部5Aおよびシートレール部5Bを有している。ロアフレーム部5Aは、サイドフレーム5において、ダウンフレーム4の下端側から鞍乗型車両1の前後方向中間部の左下部または右下部を後方に向かって伸長している部分である。すなわち、ロアフレーム部5Aは、鞍乗型車両1の側方視において、サイドフレーム5の前端から、サイドフレーム5においてシート18の前部の下方に位置する部分までの部分である。シートレール部5Bは、サイドフレーム5において、鞍乗型車両1の前後方向中間部の左下部または右下部から上後方に向かって伸長している部分である。すなわち、シートレール部5Bは、鞍乗型車両1の側方視において、サイドフレーム5においてシート18の前部の下方に位置する部分からサイドフレーム5の後端までの部分である。ブリッジフレーム6は、図3に示すように、左右方向に伸長し、一対のサイドフレーム5間に架設されている。具体的には、ブリッジフレーム6は、左側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aと右側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aとの間に設けられ、これらロアフレーム部5A同士を互いに接続している。また、ブリッジフレーム6は、パワーユニット支持装置41のリンク部材42から離れた位置に設けられている。また、図示していないが、一対のサイドフレーム5のそれぞれのシートレール部5Bの後端側部分の間には補強フレームが架設されている。
また、各サイドフレーム5において、ロアフレーム部5Aの後部(ロアフレーム部5Aとシートレール部5Bとの境界部分)には、パワーユニット支持装置41のリンク部材42をサイドフレーム5に連結するためのリンク部材連結部7が設けられている。リンク部材連結部7は、図2に示すように、ロアフレーム部5Aの後部から下後方に突出している。また、リンク部材連結部7は、ロアフレーム部5Aの後部の外周面に例えば溶接等の手段により固定されている。
また、鞍乗型車両1において、ヘッドパイプ3内にはステアリングシャフト(図示せず)が回転可能に支持され、ステアリングシャフトの下端側には、図1に示すように、フロントフォーク11が取り付けられている。また、フロントフォーク11の下端側には前輪12が回転可能に支持されている。また、ステアリングシャフトの上端側にはハンドル13が取り付けられている。
また、鞍乗型車両1はユニットスイング式のパワーユニット21を備えている。パワーユニット21は鞍乗型車両1の後部の下側に設けられ、後述するパワーユニット支持装置41により、車体フレーム2、具体的には、一対のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部に支持されている。
パワーユニット21は、図2に示すように、内燃機関としてのエンジン22、および変速機35を有している。エンジン22は、例えば単気筒の4サイクルガソリンエンジンである。エンジン22は、クランクシャフトが収容されたクランクケース23と、ピストンが収容されたシリンダ31と、吸気バルブ、排気バルブおよびカムシャフト等が収容され、点火プラグが取り付けられたシリンダヘッド32と、シリンダヘッド32の頭部を覆うシリンダヘッドカバー33とを有している。また、シリンダ31およびシリンダヘッド32はシリンダカバー34により覆われている。エンジン22は、クランクケース23からシリンダ31が上方に僅かに傾斜しつつ前方に突出するように配置され、それゆえ、シリンダ31がクランクケース23の略前方に位置し、シリンダヘッド32がシリンダ31の略前方に位置し、シリンダヘッドカバー33がシリンダ31の略前方に位置している。また、エンジン22は鞍乗型車両1の左右方向における略中央に配置されている。
クランクケース23は、図3に示すように、クランクケース23の左部を形成する左ケース部24と、クランクケース23の右部を形成する右ケース部25とを互いに結合することにより形成されている。左ケース部24および右ケース部25の材料としては例えばアルミニウム合金が用いられている。また、左ケース部24および右ケース部25の製造方法としては例えばダイカスト鋳造法が用いられている。また、左ケース部24と右ケース部25とは、例えばボルト等の締結部材30を用いて互いに結合されている。なお、クランクケース23は「収容ケース」の具体例であり、左ケース部24は「第1のケース部」の具体例であり、右ケース部25は「第2のケース部」の具体例である。また、クランクシャフトは「動力源を形成する部品」の具体例である。
また、クランクケース23の前部の下部には、パワーユニット21をパワーユニット支持装置41のリンク部材42に連結するための左右一対のアーム部26が設けられている。左側のアーム部26は、左ケース部24の左前部の下部から前方に突出している。右側のアーム部26は、右ケース部25の右前部の下部から前方に突出している。左側のアーム部26は左ケース部24に、右側のアーム部26は右ケース部25に、それぞれ一体成形(本実施例においては鋳造)されている。
変速機35は、例えば遠心式無段変速機である。変速機35は、ドライブプーリ、ドリブンプーリ、ドライブベルトおよびクラッチ等を有し、さらに、それらが収容された変速機ケース36を有している。変速機ケース36はクランクケース23の左ケース部24と一体的に形成されている。
また、シリンダヘッド32の下部において、鞍乗型車両1の左右方向中央Kよりも右側の位置には排気口が設けられ、その排気口に排気管15の一端部が接続されている。また、排気管15は、図3に示すように、シリンダヘッド32の排気口から、シリンダヘッド32とパワーユニット支持装置41のリンク部材42との間を通って右方に伸長した後、後方に伸長している。また、排気管15の他端部は、鞍乗型車両1の後部の右下側に設けられたサイレンサ(図示せず)に接続されている。
また、図1に示すように、パワーユニット21の後部には後輪16が回転可能に支持されている。また、パワーユニット21の後部は、リアクッション17を介して左側のサイドフレーム5のシートレール部5Bの後部に支持されている。また、鞍乗型車両1の前後方向中間部から後部に掛けての部分の上部には、運転者等が着座するシート18が設けられている。また、鞍乗型車両1には車体カバー19(図1において二点鎖線で図示)が設けられている。また、鞍乗型車両1には、制動装置、吸気系部品、燃料タンク等が設けられているが、これらについては図示および説明を省略する。
(パワーユニット支持装置)
鞍乗型車両1には、パワーユニット21を、車体フレーム2、具体的には、一対のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部に支持するパワーユニット支持装置41が設けられている。パワーユニット支持装置41は、図2および図3に示すように、リンク部材42、2本の前連結シャフト47、後ろ連結シャフト59、およびパワーユニット揺動規制機構71を備えている。リンク部材42は、サイドフレーム5とパワーユニット21とを連結する部材である。2本の前連結シャフト47は、リンク部材42を左側のサイドフレーム5および右側のサイドフレーム5に揺動可能に連結するシャフトである。後ろ連結シャフト59は、リンク部材42にパワーユニット21を揺動可能に連結するシャフトである。パワーユニット揺動規制機構71は、パワーユニット21のリンク部材42に対する揺動を規制する機構である。なお、リンク部材42は「リンク」の具体例であり、前連結シャフト47は「第1のシャフト」の具体例であり、後ろ連結シャフト59は「第2のシャフト」の具体例である。
(リンク部材、前連結シャフト、後ろ連結シャフト)
図4(A)はリンク部材42を左後ろから見た状態を示し、図4(B)はリンク部材42に設けられた揺動規制部材72を後ろから見た状態を示し、図4(C)は図4(B)中の切断線C-Cに沿って切断した揺動規制部材72の断面を示している。図5は、一対のサイドフレーム5にそれぞれ固定されたリンク部材連結部7と、パワーユニット21のクランクケース23に設けられた一対のアーム部26とを連結しているリンク部材42を左から見た状態を示している。なお、図5では、リンク部材連結部7とリンク部材42との連結部分の一部を切除し、当該連結部分の内部を示すと共に、リンク部材42とアーム部26との連結部分の一部を切除し、当該連結部分の内部を示している。図6は、図2中の切断線A-Aに沿って切断したリンク部材42およびクランクケース23の断面等を概ね下から見た状態を示している。
リンク部材42は、図4(A)に示すように、例えば鉄鋼等の金属材料により形成されたパイプ材を大略U字状に曲げることにより形成されている。リンク部材42は、図3に示すように、その両端側部分が前上方に伸長し、中間部が左右方向に伸長するように配置されている。また、リンク部材42の左端部は左側のサイドフレーム5の下方に位置し、リンク部材42の右端部は右側のサイドフレーム5の下方に位置し、リンク部材42の中間部はシリンダヘッド32の下方に位置している。
リンク部材42の左端部および右端部には、図4(A)に示すように、前連結シャフト47を挿通するための前連結シャフト挿通部43がそれぞれ設けられている。各前連結シャフト挿通部43は、例えば鉄鋼等の金属材料により円筒状に形成され、その軸線の伸長方向が左右方向となるように配置されている。2つの前連結シャフト挿通部43は、それらの外周面をリンク部材42の左端部および右端部に例えば溶接等の手段でそれぞれ接合することにより、リンク部材42にそれぞれ固定されている。また、これら前連結シャフト挿通部43は互いに同軸に配置されている。また、図5に示すように、各前連結シャフト挿通部43の内側には、外カラー44が設けられ、外カラー44の内側にはゴムブッシュ45が設けられ、ゴムブッシュ45の内側には内カラー46が設けられている。例えば、外カラー44は前連結シャフト挿通部43の内側に圧入され、ゴムブッシュ45は外カラー44の内側に圧入され、内カラー46はゴムブッシュ45の内側に圧入されている。なお、ゴムブッシュ45を外カラー44および内カラー46に焼付固定してもよい。また、内カラー46は、前連結シャフト47およびナット48により、リンク部材連結部7の左右の側壁間に固定されている。
各前連結シャフト47は、図3に示すように、左右方向に伸長している。また、2本の前連結シャフト47は互いに同軸となるように配置されている。一方の前連結シャフト47は、左側のリンク部材連結部7の左右の側壁に形成された穴内、および左側の前連結シャフト挿通部43の内側に設けられた内カラー46の内側に挿通されている。また、当該一方の前連結シャフト47は、その右端部に形成されたねじにナット48を締結することにより、左側のリンク部材連結部7に固定されている。また、他方の前連結シャフト47は、右側のリンク部材連結部7の左右の側壁に形成された穴内、および右側の前連結シャフト挿通部43の内側に設けられた内カラー46の内側に挿通されている。また、当該他方の前連結シャフト47は、その左端部に形成されたねじにナット48を締結することにより、右側のリンク部材連結部7に固定されている。これにより、リンク部材42は、左側のサイドフレーム5および右側のサイドフレーム5に揺動可能に連結されている。
また、リンク部材42において左右方向に伸長している部分の左部および右部には、パワーユニット21のクランクケース23に設けられた一対のアーム部26をリンク部材42に連結するためのアーム連結部49がそれぞれ設けられている。各アーム連結部49は、図4(A)に示すように、リンク部材42から後方に突出している。また、各アーム連結部49は、例えば鉄鋼等の金属材料により形成されている。また、各アーム連結部49は、底壁50、外側側壁51および内側側壁52を有し、後方から見て大略U字状に形成されている。また、各アーム連結部49の前部は、例えば溶接等の手段によりリンク部材42の外周面に接合され、固定されている。また、各アーム連結部49の外側側壁51には、後ろ連結シャフト59を挿通させるための穴53が形成されている。また、各アーム連結部49の内側側壁52には、円筒部材55を挿入するための穴54が形成されている。
また、左右のアーム連結部49間には、後ろ連結シャフト59が挿通される円筒部材55が設けられている。円筒部材55は、左右方向に伸長した円筒状に形成されている。円筒部材55は、図4(C)に示すように、リンク部材42よりも後側に配置されている。また、図4(A)に示すように、円筒部材55の左端部は左側のアーム連結部49の穴54内に例えば溶接等の手段により固定され、円筒部材55の右端部は右側のアーム連結部49の穴54内に例えば溶接等の手段により固定されている。また、円筒部材55は後述のブラケット83を左右方向に貫通している。
また、パワーユニット21のクランクケース23に設けられた左右のアーム部26の前端部には、図5および図6に示すように、後ろ連結シャフト59を挿通するための後ろ連結シャフト挿通穴27が形成されている。それぞれの後ろ連結シャフト挿通穴27は左右方向に伸長し、互いに同軸に配置されている。各後ろ連結シャフト挿通穴27内には、外カラー56が設けられ、外カラー56の内側にはゴムブッシュ57が設けられ、ゴムブッシュ57の内側には内カラー58が設けられている。例えば、外カラー56は後ろ連結シャフト挿通穴27内に圧入され、ゴムブッシュ57は外カラー56の内側に圧入され、内カラー58はゴムブッシュ57の内側に圧入されている。なお、ゴムブッシュ57を外カラー56および内カラー58に焼付固定してもよい。また、左側のアーム部26の後ろ連結シャフト挿通穴27内に設けられた内カラー58は、後ろ連結シャフト59およびナット60により、左側のアーム連結部49の外側側壁51の右面と円筒部材55の左端面との間に固定されている。また、右側のアーム部26の後ろ連結シャフト挿通穴27内に設けられた内カラー58は、後ろ連結シャフト59およびナット60により、右側のアーム連結部49の外側側壁51の左面と円筒部材55の右端面との間に固定されている。
後ろ連結シャフト59は、図3または図6に示すように、左右方向に伸長している。また、後ろ連結シャフト59は、リンク部材42よりも後側に配置されている。後ろ連結シャフト59は、左側のアーム連結部49の穴53内、左側のアーム部26の後ろ連結シャフト挿通穴27内に設けられた内カラー58の内側、円筒部材55内、右側のアーム部26の後ろ連結シャフト挿通穴27内に設けられた内カラー58の内側、および右側のアーム連結部49の穴53内に挿通されている。後ろ連結シャフト59は、その右端部に形成されたねじにナット60を締結することにより、左右のアーム連結部49に固定されている。これにより、パワーユニット21はリンク部材42に揺動可能に連結されている。
(パワーユニット揺動規制機構)
パワーユニット揺動規制機構71は、図3に示すように、リンク部材42に設けられた揺動規制部材72、およびパワーユニット21のクランクケース23に設けられた突出部85を有している。後に詳述するように、パワーユニット21がリンク部材42に対して上下方向に揺動したときに、突出部85が、揺動規制部材72に設けられたクッション部材75、77に当たることによって、パワーユニット21のリンク部材42に対する揺動範囲が制限される(図9参照)。
揺動規制部材72は、図3に示すように、後ろ連結シャフト59よりも後側、かつクランクケース23の左右方向中央部(左右のアーム部26間の部分)の前面よりも前側に配置されている。また、揺動規制部材72は、鞍乗型車両1の左右方向中央Kよりも左側に配置されているが、鞍乗型車両1の左右方向中央Kに接近した位置に配置されている。また、揺動規制部材72はシリンダ31の下方に位置している。鞍乗型車両1を下から見たとき、揺動規制部材72は、シリンダ31の左外面よりも右側に位置し、シリンダ31の右外面よりも左側に位置している。また、揺動規制部材72は、図4(A)に示すように、2つのアーム連結部49間に配置されている。揺動規制部材72は、例えば鉄鋼等からなる金属板を、概ね、く字形、コ字形またはU字形に曲げることにより形成されている。
揺動規制部材72は、例えば鉄鋼等の金属材料により形成されたブラケット83を介して、リンク部材42において左右方向に伸長した部分に固定されている。ブラケット83はリンク部材42から後方に突出している。揺動規制部材72は、く字形、コ字形またはU字形において開いた部分が後方を向くように、ブラケット83の後端部に固定されている。また、リンク部材42とブラケット83とは例えば溶接等の手段により接合され、また、ブラケット83と揺動規制部材72も例えば溶接等の手段により接合されている。また、ブラケット83の両側の側壁には穴が形成され、円筒部材55は、図4(C)に示すように、それらの穴を通ることによりブラケット83を左右方向に貫通している。
揺動規制部材72は上側規制部73および下側規制部74を有している。すなわち、揺動規制部材72の上側部分は上後方に伸長し、揺動規制部材72の下側部分は下後方に伸長している。揺動規制部材72において上後方に伸長した上側部分が上側規制部73であり、揺動規制部材72において下後方に伸長した下側部分が下側規制部74である。上側規制部73は、左右方向および前後方向に伸長し、かつ後端が斜め上を向くように傾斜した平板状の形状を有している。上側規制部73は、突出部85の上方への移動を規制することによって、パワーユニット21のリンク部材42に対する上方への揺動を規制する機能を有している。下側規制部74は、左右方向および前後方向に伸長し、かつ後端が斜め下を向くように傾斜した平板状の形状を有している。下側規制部74は、突出部85の下方への移動を規制することによって、パワーユニット21のリンク部材42に対する下方への揺動を規制する機能を有している。
また、図4(B)に示すように、上側規制部73において下後方を向いた面にはクッション部材75が設けられている。クッション部材75は、ゴム等の弾性を有する材料により概ね板状に形成されている。クッション部材75において下後方を向いた表面は、その左右方向中央部が若干下後方に盛り上がっているものの、全体的に見て概ね平らである。また、クッション部材75において上前方を向いた裏面には、クッション部材75を上側規制部73に固定するための突起76が一体形成されている。クッション部材75は、図4(C)に示すように、上側規制部73に形成された貫通穴内に突起76をそれぞれ圧入することにより、上側規制部73に固定されている。また、下側規制部74において上後方を向いた面にはクッション部材77が設けられている。クッション部材77は、クッション部材75と同じものである。クッション部材77は、下側規制部74に形成された貫通穴内に突起78を圧入することにより、下側規制部74に固定されている。
また、クッション部材75の突起76は上側規制部73の上前方を向いた面から上前方に突出している。また、クッション部材77の突起78は下側規制部74の下前方を向いた面から下前方に突出している。このように、クッション部材75、77の突起76、78が揺動規制部材72から外向きに突出する構造であるため、パワーユニット支持装置41の製造時に、クッション部材75、77を揺動規制部材72に取り付ける際には、クッション部材75の突起76の先端部を上側規制部73の貫通穴に挿入した後、突起76の先端部を引っ張ることにより、クッション部材75を上側規制部73に容易に取り付けることができ、また、クッション部材77の突起78の先端部を下側規制部74の貫通穴に挿入した後、突起78の先端部を引っ張ることにより、クッション部材77を下側規制部74に容易に取り付けることができる。
また、上側規制部73に固定されたクッション部材75の下後方を向いた表面は上側受け面81となっている。パワーユニット21がリンク部材42に対して上方に揺動して、突出部85が上方に移動したとき、突出部85の上面85Aが上側受け面81に当たる。また、下側規制部74に固定されたクッション部材77の上後方を向いた表面は下側受け面82となっている。パワーユニット21がリンク部材42に対して下方に揺動して、突出部85が下方に移動したとき、突出部85の下面85Bが下側受け面82に当たる。
図7は、リンク部材42を取り外した状態のパワーユニット21の前部を下から見た状態を示している。図8(A)は、クランクケース23の左ケース部24を右から見た状態を示している。図8(B)は、図8(A)中の切断線D-Dに沿って切断したアーム部26および突出部85の断面を下から見た状態を示している。図8(C)は、図8(A)中の切断線E-Eに沿って切断したアーム部26および突出部85の断面を前から見た状態を示している。
突出部85は、図7に示すように、パワーユニット21に固定され、パワーユニット21から前方に突出している。具体的には、突出部85は、クランクケース23の前下部に固定され、クランクケース23の前下部から前方に突出している。また、突出部85は、図3に示すように、後ろ連結シャフト59よりも後ろ側に配置されている。すなわち、突出部85はクランクケース23から前方に突出しているが、その突出端部は後ろ連結シャフト59には達していない。また、突出部85は左右一対のアーム部26間に配置されている。また、突出部85は、鞍乗型車両1の左右方向中央Kから左部に掛けての領域に配置されている。具体的には、鞍乗型車両1の左右方向中央Kから左側のアーム部26に掛けての領域に配置されている。
また、突出部85は、図8(A)に示すように、クランクケース23の左ケース部24に一体成形(本実施例においては鋳造)されている。また、上述したように、左ケース部24には左側のアーム部26が一体成形されている。突出部85は、この左側のアーム部26と一体成形されている。すなわち、突出部85の左端部が左側のアーム部26の右後部と一体化している。
また、左ケース部24には、左ケース部24と右ケース部25とを結合するための締結部材30を取り付けるための複数のボス28A~28Hが一体成形されている。各ボス28A~28Hには、締結部材30を挿入して締結するための穴29が形成されている。突出部85は、左ケース部24に一体成形された複数のボス28A~28Hのうち、左ケース部24の前下部に配置された1つのボス28Gと一体成形されている。すなわち、突出部85の下後部は、図8(B)に示すように、ボス28Gと一体化している。
また、突出部85を下から見たとき、図7に示すように、突出部85は、左ケース部24の右端から左側のアーム部26に亘って左右方向に伸長している。また、突出部85を左から見たとき、図8(A)に示すように、突出部85は概ね三角形状に形成されている。また、突出部85の先端は円弧状である。また、突出部85は、下方に傾斜しつつ前方に伸長した平らな上面85A、および略水平に伸長した平らな下面85Bを有している。
また、突出部85の内部には、左空洞部86、右空洞部87、およびリブ88が形成されている。図8(B)および図8(C)に示すように、左空洞部86は、突出部85の左部の内部に形成され、突出部85の左面に開口している。右空洞部87は、突出部85の右部の内部に形成され、突出部85の右面に開口している。リブ88は、突出部85の内部において左空洞部86と右空洞部87との間に位置し、左空洞部86と右空洞部87とを隔てるように形成されている。リブ88は前後方向および上下方向に拡がる隔壁である。なお、左空洞部86が「第1の空洞部」の具体例であり、右空洞部87が「第2の空洞部」の具体例である。
図9は、図3中の切断線B-Bに沿って切断した揺動規制部材72および突出部85等の断面を右(図3中の左)から見た状態を示している。図9に示すように、揺動規制部材72および突出部85は、全体的に見て前後方向に対向するように配置されている。突出部85は、揺動規制部材72の上側規制部73と下側規制部74との間の空間内に入り込んでいる。上側規制部73は突出部85の上方に配置され、下側規制部74は突出部85の下方に配置されている。また、上述したように、上側規制部73に固定されたクッション部材75の下後方を向いた表面は上側受け面81となっている。上側受け面81は突出部85の上面85Aと対向している。また、上述したように、下側規制部74に固定されたクッション部材77の上後方を向いた表面は下側受け面82となっている。下側受け面82は突出部85の下面85Bと対向している。
また、突出部85の上面85Aは、前方に向かうに従って突出部85の下面85Bに接近するように傾斜している。また、上側受け面81は、前方に向かうに従って下側受け面82に接近するように傾斜している。下側受け面82に対する上側受け面81の傾斜角度αは、突出部85の下面85Bに対する突出部85の上面85Aの傾斜角度βよりも大きい。
また、突出部85の上面85A、突出部85の下面85B、上側受け面81、および下側受け面82は、それぞれ、後ろ連結シャフト59の径方向に伸長している。すなわち、突出部85の上面85Aは、突出部85の上面85A上を通って前後方向に伸長する直線L1が後ろ連結シャフト59の軸線Xと交わるように形成されている。具体的には、直線L1が軸線Xと交わるように突出部85の上面85Aの配置および傾斜が設定されている。また、突出部85の下面85Bは、突出部85の下面85B上を通って前後方向に伸長する直線L2が後ろ連結シャフト59の軸線Xと交わるように形成されている。具体的には、直線L2が軸線Xと交わるように突出部85の下面85Bの配置および傾斜が設定されている。また、上側受け面81は、上側受け面81上を通って前後方向に伸長する直線L3が後ろ連結シャフト59の軸線Xと交わるように形成されている。具体的には、直線L3が軸線Xと交わるように上側受け面81の配置および傾斜が設定されている。また、下側受け面82は、下側受け面82上を通って前後方向に伸長する直線L4が後ろ連結シャフト59の軸線Xと交わるように形成されている。具体的には、直線L4が軸線Xと交わるように下側受け面82の配置および傾斜が設定されている。
例えば後輪16が地面の凹凸上を通過したとき、パワーユニット21はリンク部材42に対して揺動する。具体的には、このとき、パワーユニット21は後ろ連結シャフト59の軸線Xを中心に回動する。それに伴って、突出部85も後ろ連結シャフト59の軸線Xを中心に回動する。図9において、パワーユニット21が軸線Xを中心に時計回り方向に回動したとき、それに伴って突出部85が軸線Xを中心に時計回り方向に回動し、突出部85が上方に移動する。パワーユニット21の時計回り方向の回動量が所定の回動量以上となったとき、突出部85の上面85Aが上側受け面81に当たる。これにより、パワーユニット21の時計回り方向の回動が制限される。また、突出部85の上面85Aが上側受け面81に当たったときの衝撃は、クッション部材75の弾性変形により低減される。また、図9において、パワーユニット21が軸線Xを中心に反時計回り方向に回動したとき、それに伴って突出部85が軸線Xを中心に反時計回り方向に回動し、突出部85が下方に移動する。パワーユニット21の反時計回り方向の回動量が所定の回動量以上となったとき、突出部85の下面85Bが下側受け面82に当たる。これにより、パワーユニット21の反時計回り方向の回動が制限される。また、突出部85の下面85Bが下側受け面82に当たったときの衝撃は、クッション部材77の弾性変形により低減される。
以上の構成を有するパワーユニット支持装置41において、エンジン22の作動によって発生する振動の車体フレーム2への伝達は、主に、リンク部材連結部7とリンク部材42との連結部分に設けられたゴムブッシュ45、およびアーム連結部49とアーム部26との連結部分に設けられたゴムブッシュ57により低減される。また、例えば後輪16が地面の凹凸上を通過したことによってパワーユニット21が揺動したとき、そのパワーユニット21の揺動による振動は、主にリアクッション17によって低減されるが、ゴムブッシュ45、57、および揺動規制部材72に設けられたクッション部材75、77によっても低減される。
以上説明した通り、本発明の実施例のパワーユニット支持装置41は、リンク部材42に対するパワーユニット21の揺動を規制するパワーユニット揺動規制機構71を備え、パワーユニット揺動規制機構71は突出部85、上側規制部73および下側規制部74を有し、突出部85はパワーユニット21に設けられ、上側規制部73および下側規制部74はリンク部材42に設けられている。このように、本実施例のパワーユニット支持装置41においては、パワーユニット揺動規制機構71を構成する部品が車体フレーム2には設けられていない。上述した従来のパワーユニット支持装置は、車体フレームに対するリンクの揺動を規制するリンク揺動規制機構を備えており、従来のパワーユニット支持装置には、リンク揺動規制機構が有する凹状の部材および凸状の部材のうちの一方を車体フレームのクロスフレームまたはブリッジフレームに設けることによって、クロスフレームまたはブリッジフレームの配置が制限されるという問題がある。本発明の実施例のパワーユニット支持装置41によれば、パワーユニット揺動規制機構71を構成する部品が車体フレーム2に設けられていないので、この問題を解決することができる。本実施例のパワーユニット支持装置41によれば、パワーユニット支持装置41を適用することによるクロスフレームまたはブリッジフレームの配置の制限をなくし、または少なくすることができるので、車体フレーム2の設計を容易化することができ、または車体フレーム2の設計の自由度を高めることができる。例えば、車体フレーム2の剛性を所望の剛性に設定するために、ブリッジフレーム6を適切な位置に配置することができる。また、ブリッジフレーム6を適切な位置に配置することで、車体フレーム2の所望の剛性を確保しつつも、他のブリッジフレームや補強フレームの本数を減らすことができ、車体フレーム2の軽量化、および低コスト化を図ることができる。
また、本実施例のパワーユニット支持装置41のパワーユニット揺動規制機構71においては、突出部85が後ろ連結シャフト59よりも後ろ側かつ一対のアーム部26の間に配置され、上側規制部73および下側規制部74が後ろ連結シャフト59よりも後ろ側かつ一対のアーム連結部49の間に配置されている。これにより、パワーユニット揺動規制機構71をクランクケース23の一対のアーム部26間に配置することができる。これにより、左側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部と、右側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部との間に大きな空間を確保することができる。したがって、左側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部と、右側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部との間に配置されるシリンダヘッド32や排気管15の配置の自由度を高めることができる。例えば、シリンダヘッド32の位置を低く設定して、シート20の下方の荷物収容室を拡大することや、シリンダヘッド32の位置を前に移動して、ホイールベースの短い小型のスクータを製造することができるようになる。
また、本実施例のパワーユニット支持装置41のパワーユニット揺動規制機構71においては、突出部85がクランクケース23に一体成形されている。これにより、パワーユニット支持装置41の部品点数を減らすことができる。また、アルミダイカストにより形成されるクランクケース23に突出部85を一体成形することにより、鞍乗型車両1の軽量化を図ることができる。
また、本実施例のパワーユニット支持装置41のパワーユニット揺動規制機構71においては、突出部85がアーム部26と一体形成されている。これにより、突出部85の剛性を高めることができる。また、本実施例のパワーユニット支持装置41のパワーユニット揺動規制機構71においては、突出部85が、クランクケース23の左ケース部24と右ケース部25とを結合する締結部材30を取り付けるためのボス28Gと一体成形されている。これによっても、突出部85の剛性を高めることができる。
また、本実施例のパワーユニット支持装置41のパワーユニット揺動規制機構71において、突出部85は、クランクケース23の左ケース部24に一体成形され、突出部85の左部の内部には、突出部85の左面に開口した左空洞部86が形成され、突出部85の右部の内部には、突出部85の右面に開口した右空洞部87が形成され、突出部85の内部において左空洞部86と右空洞部87との間には、左空洞部86と右空洞部87とを隔てるリブ88が形成されている。このように、突出部85に空洞部86、87を形成することにより、突出部85が一体化した左ケース部24を軽くすることができ、また、突出部85にリブ88を形成することにより、突出部85の剛性を高めることができる。また、突出部85が一体化した左ケース部24を鋳造により成形するに当たり、金型の構造を単純化することができ、また、鋳巣を低減することができる。
また、本実施例のパワーユニット支持装置41のパワーユニット揺動規制機構71において、上側規制部73および下側規制部74は、鞍乗型車両1の左右方向中央Kに接近した位置に配置されている。これにより、パワーユニット21の揺動時に突出部85が上側規制部73または下側規制部74に当たって上側規制部73または下側規制部74を押す押圧力がリンク部材42の左右方向中央K付近に加わるようになる。したがって、パワーユニット21の揺動時にリンク部材42に加わる力が左または右に偏ることを抑制することができる。リンク部材42に加わる力の左右の偏りが大きい場合には、そのように偏った大きな力の入力に耐えるためにリンク部材42またはリンク部材連結部7等の強度を高める必要があるが、そのような偏った力が小さい場合には、それに応じて、リンク部材42またはリンク部材連結部7等の強度を下げることができる。その結果、リンク部材42またはリンク部材連結部7の軽量化または小型化を図ることができる。
本実施例のパワーユニット支持装置41のパワーユニット揺動規制機構71において、下側受け面82に対する上側受け面81の傾斜角度は、突出部85の下面85Bに対する突出部85の上面85Aの傾斜角度以上である。また、突出部85、上側規制部73および下側規制部74は後ろ連結シャフト59よりも後ろ側に配置され、突出部85の上面85Aは、突出部85の上面85A上を通って前後方向に伸長する直線L1が後ろ連結シャフト59の軸線Xと交わるように形成され、突出部85の下面85Bは、突出部85の下面85B上を通って前後方向に伸長する直線L2が後ろ連結シャフト59の軸線Xと交わるように形成され、上側受け面81は、上側受け面81上を通って前後方向に伸長する直線L3が後ろ連結シャフト59の軸線Xと交わるように形成され、下側受け面82は、下側受け面82上を通って前後方向に伸長する直線L4が後ろ連結シャフト59の軸線Xと交わるように形成されている。これにより、パワーユニット21の揺動により、突出部85の上面85Aが上側受け面81に当たったとき、突出部85の上面85Aから上側受け面81に加わる力の方向が、上側受け面81に対して垂直になり、すなわち、突出部85の上面85Aからクッション部材75の表面に加わる力の方向が、クッション部材75の表面に対して垂直になる。したがって、クッション部材75の偏摩耗、および突起76の破損等を抑制することができる。仮に、直線L1が軸線Xと交わるように突出部85の上面85Aが形成されておらず、または、直線L3が軸線Xと交わるように上側受け面81が形成されていない場合には、パワーユニット21の揺動により、突出部85の上面85Aが上側受け面81(クッション部材75の表面)に当たったとき、突出部85の上面85Aからクッション部材75の表面に加わる力の方向が、クッション部材75の表面に対して垂直にならない。この場合には、クッション部材75を上側規制部73に対して前後方向にスライドさせようとする力がクッション部材75に加わる。その結果、クッション部材75が早期に偏摩耗することがあり、または、突起76がちぎれるなど、突起76が破損することがある。本実施例におけるパワーユニット揺動規制機構71によれば、クッション部材75の偏摩耗、および突起76の破損を抑制することができる。同様に、本実施例におけるパワーユニット揺動規制機構71によれば、パワーユニット21の揺動により、突出部85の下面85Bが下側受け面82(クッション部材77の表面)に当たったとき、突出部85の下面85Bからクッション部材77の表面に加わる力の方向が、クッション部材77の表面に対して垂直になるので、クッション部材77の偏摩耗、または突起78の破損等を抑制することができる。
また、本実施例のパワーユニット支持装置41においては、大略U字状のリンク部材42の両端部が、2本の前連結シャフト47を用いて、左側のサイドフレーム5に固定されたリンク部材連結部7、および右側のサイドフレーム5に固定されたリンク部材連結部7にそれぞれ連結されている。これにより、リンク部材42の両端部を1本の長いシャフトを用いて左側および右側のサイドフレーム5にそれぞれ固定されたリンク部材連結部7に連結する場合と比較して、左側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部と、右側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部との間に大きな空間を確保することができる。よって、左側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部と、右側のサイドフレーム5のロアフレーム部5Aの後部との間に配置されるシリンダヘッド32や排気管15の配置の自由度を高めることができる。
なお、上記実施例では、図8(A)に示すように、突出部85の側方視の形状を概ね三角形状としたが、図10(A)に示すように、突出部91の側方視の形状を、上面91Aと下面91Bとが平行であり、前端部が円弧状である形状としてもよい。また、上記実施例では、突出部85を左ケース部24のアーム部26と一体形成したが、図10(B)に示すように、円筒状の部材をボルト等の締結部材93で左ケース部24のアーム部26に取り付けることにより突出部92を形成することもできる。
また、上記実施例では、揺動規制部材72および突出部85を後ろ連結シャフト59よりも後側に配置する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、揺動規制部材および突出部を後ろ連結シャフトよりも前側に配置してもよい。その一例を図10(C)および図10(D)に示す。
図10(C)は、揺動規制部材128および突出部132が後ろ連結シャフト125よりも前側に配置された本発明の他の実施例であるパワーユニット支持装置121を下から見た状態を示している。図10(D)は、図10(C)中の切断線F-Fに沿って切断したパワーユニット支持装置121の断面を右(図10(C)中の左)から見た状態を示している。図10(C)に示すように、前後方向に伸長した左右一対のリンク部材122のそれぞれの前端部は、前連結シャフト123およびゴムブッシュ124を介して、上記実施例と同様に、左右のサイドフレームに揺動可能に連結されている。また、一対のリンク部材122のそれぞれの後端部は後ろ連結シャフト125およびゴムブッシュ126を介してクランクケース120の前下部に揺動可能に連結されている。また、一対のリンク部材122間であって、クランクケース120の前下部の前方には、揺動規制部材128および突出部132を有するパワーユニット揺動規制機構127が設けられている。すなわち、一対のリンク部材122間には、左右方向に伸長した取付部材131が架設され、取付部材131に揺動規制部材128が取り付けられている。揺動規制部材128は後ろ連結シャフト125よりも前側に位置している。また、クランクケース120の前下部には、前方に突出した突出部132が設けられている。突出部132は、クランクケース120の前下部において、後ろ連結シャフト125が挿通された部分よりも前側の部分から前方に突出しており、それゆえ、突出部132は後ろ連結シャフト125よりも前側に位置している。また、図10(D)に示すように、突出部132の前端部は揺動規制部材128の上側規制部129と下側規制部130との間に入り込んでいる。
図10(D)において、例えば後輪が地面の凹凸上を通過したとき、パワーユニットは後ろ連結シャフト125の軸線Jを中心に回動する。それに伴って、突出部132も後ろ連結シャフト125の軸線Jを中心に回動する。パワーユニットが軸線Jを中心に時計回り方向に回動することによって上方に移動したとき、それに伴って突出部132が軸線Jを中心に時計回り方向に回動することによって下方に移動する。パワーユニットの時計回り方向の回動量が所定の回動量以上となったとき、突出部132が下側規制部130に当たる。これにより、パワーユニットの時計回り方向の回動が制限される。また、パワーユニットが軸線Jを中心に反時計回り方向に回動することによって下方に移動したとき、それに伴って突出部132が軸線Jを中心に反時計回り方向に回動することによって上方に移動する。パワーユニットの反時計回り方向の回動量が所定の回動量以上となったとき、突出部132が上側規制部129に当たる。これにより、パワーユニットの時計回り方向の回動が制限される。
また、上記実施例では、鞍乗型車両1の左右方向中央Kよりも左側にパワーユニット揺動規制機構71を配置している。これにより、パワーユニット揺動規制機構71が、鞍乗型車両1の左右方向中央Kよりも右側に配置されている排気管15と干渉することを避けることができる。しかしながら、本発明はこれに限らず、パワーユニット揺動規制機構71を鞍乗型車両1の左右方向中央Kよりも右側に配置してもよいし、パワーユニット揺動規制機構71を鞍乗型車両1の左右方向中央に配置してもよい。
また、突出部85の上面85Aと上側受け面81との間の距離の最大値、および突出部85の下面85Bと下側受け面82との間の距離の最大値は、振動低減の観点等から適宜設定することができる。また、突出部85の上面85Aと上側受け面81との間の距離、および突出部85の下面85Bと下側受け面82との間の距離をそれぞれ零にしてもよい。すなわち、突出部85の上面85Aと上側受け面81とが常時接触し、突出部85の下面85Bと下側受け面82とが常時接触しているようにしてもよい。
また、上記実施例では、鞍乗型車両1の走行の動力源としてエンジン22を例にあげたが、鞍乗型車両の走行の動力源として電動モータを用いてもよい。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うパワーユニット支持装置もまた本発明の技術思想に含まれる。