JP7750334B2 - アルミニウム合金鋳造品、アルミニウム合金鍛造品及びその製造方法 - Google Patents
アルミニウム合金鋳造品、アルミニウム合金鍛造品及びその製造方法Info
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Description
本願は、2022年12月27日に、日本に出願された特願2022-210255号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
(1)Zrの添加により、Al-Ti-B系合金の結晶粒微細化効果が弱められ、鋳塊自体の結晶粒が粗くなり、塑性加工後の加工品(鍛造品)の強度低下を招く。
(2)鋳塊自体の結晶粒微細化効果が弱められるため、鋳塊割れが発生し易くなり、内部欠陥が増加し、歩留まりが悪化する。
(3)Zrは、Al-Ti-B系合金と化合物を形成し、合金溶湯を貯留する炉の底に化合物が堆積し、炉を汚染すると共に、製造した鋳塊においてもこれら化合物が鋳塊中に粗大に晶出し、強度を低下させる。
本発明によれば、常温における機械的特性に優れたアルミニウム合金鍛造品を提供できる。
また、本発明によれば、これまでアルミ合金溶湯を鋳造したのちに、偏析除去するために施していた均質化処理工程を削減している為、低コスト・省エネなアルミニウム合金鍛造品の製造方法を提供できる。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その効果を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
先ず、本発明の一実施形態に係るアルミニウム合金鍛造用素材である。
本実施形態のアルミニウム合金鍛造用素材は、Cuを0.25質量%以上0.55質量%以下の範囲内、Mgを0.60質量%以上1.25質量%以下の範囲内、Siを0.90質量%以上1.4質量%以下の範囲内、Mnを0.35質量%以上0.60質量%以下の範囲内、Feを0.15質量%以上0.30質量%以下の範囲内、Znを0.25質量%以下の範囲内、Crを0.050質量%以上0.30質量%以下の範囲内、Tiを0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲内、Bを0.0010質量%以上0.030質量%以下の範囲内、Zrを0.0010質量%以上0.050質量%以下の範囲内で含有し、Mnの含有量に対するFeの含有量の比Fe/Mnが質量比で1.4未満であり、残部がAl及び不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金鍛造用素材であって、鋳造後の導電率が25%IACS以上35%IACS以下、かつ、ロックウェル硬さHRFが62以上82以下である。
Fe/Mnは、質量比で0.3以上1.0以下とすることができ、また、0.4以上0.8以下とすることができ、また、0.4以上0.7以下とすることができる。
上記実施形態のアルミニウム合金鍛造用素材の導電率は、25%IACS以上35%IACS以下である。この導電率は室温における導電率であるとし、この室温とは20℃±15℃程度とする。
導電率が25%IACS未満の場合は硬すぎて加工性が低下する、35%IACSを超える場合は柔らかいことで切削性(切粉分断性)の悪化、及び最終製品の保証強度を満足できないことがある。
上記実施形態のアルミニウム合金鍛造用素材のロックウェル硬さHRFは、62以上82以下である。ここで、ロックウェル硬さHRFはJISZ2245:2016の「ロックウェル硬さ試験-試験方法」に準拠して測定された値である。
ロックウェル硬さHRFがこの範囲であれば、加工性が良好だからである。すなわち、ロックウェル硬さHRFが62未満の場合は柔らかいことで切削性(切粉分断性)の悪化、及び最終製品の保証強度を満足できないことがあり、82を超える場合は硬すぎて加工性が低下する。
本発明の一実施形態に係るアルミニウム合金鍛造品について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアルミニウム合金鍛造品の斜視図である。
図1に示すように、アルミニウム合金鍛造品1aは、長尺部2と、長尺部2の長手方向の両端にそれぞれ接続された連結部4a,4bとを有する。長尺部は断面が4角形とされている。これら2つの連結部4には、それぞれ貫通孔が設けられていればよい。この形状のアルミニウム合金鍛造品1aは、例えば、I型サスペンションアームとして用いることができる。
また、本実施形態のアルミニウム合金鍛造品は、常温における衝撃値において、10J/cm2以上とされている。
Cuは、アルミニウム合金中でMg-Si系化合物を微細に分散させる作用や、Q相を始めとするAl-Cu-Mg-Si系化合物として析出することでアルミニウム合金の引張強さを向上させる作用を有する。Cuの含有率が上記の範囲内にあることによって、アルミニウム合金鍛造品1aの常温における機械的特性を向上させることができる。
Mgは、アルミニウム合金の引張強さを向上させる作用を有する。アルミニウム母相へMgが固溶する、あるいは、β”相などのMg-Si系化合物(Mg2Si)、またはQ相を始めとするAl-Cu-Mg-Si系化合物(AlCuMgSi)として析出することで、アルミニウム合金の強化に寄与する。また、Mg2Siは、アルミニウム合金中でのCuAl2相の生成を抑制する作用がある。CuAl2相の生成が抑制されることによって、アルミニウム合金鍛造品1aの耐食性が向上する。Mgの含有率が上記の範囲内にあることによって、アルミニウム合金鍛造品1aの常温における機械的特性とともに耐食性を向上させることができる。
Siは、Mgと同様にアルミニウム合金鍛造品1aの常温における機械的特性と共に耐食性を向上させる作用を有する。但し、アルミニウム合金にSiを過剰に添加すると、粗大な初晶Si粒が晶出することにより、アルミニウム合金の引張強さが低下するおそれがある。Siの含有率が上記の範囲内にあることによって、初晶Siの晶出を抑えつつ、アルミニウム合金鍛造品1aの常温における機械的特性と共に耐食性を向上させることができる。
Mnは、アルミニウム合金中でAl-Mn-Fe-SiやAl-Mn-Cr-Fe-Siなどの金属間化合物を含む微細な粒状の晶出物を形成することで、アルミニウム合金の引張強さを向上させる作用を有する。Mnの含有率が上記の範囲内にあることによって、アルミニウム合金鍛造品1aの常温における機械的特性を向上させることができる。
Feは、アルミニウム合金中でAl-Mn-Fe-Si、Al-Mn-Cr-Fe-Si、Al-Fe-Si、Al-Cu-Fe、Al-Mn-Feなどの金属間化合物を含む微細な晶出物として晶出することで、アルミニウム合金の引張強さを向上させる作用がある。Feの含有率が上記の範囲内にあることによって、アルミニウム合金鍛造品1aの常温における機械的特性を向上させることができる。
なお、Fe/Mnの関係は1.4未満である。Fe/Mnの関係が1.4未満であることによって、3.0μm以上のAlFeSi系化合物の晶出を抑制することができ、且つ結晶粒内にAlMn系化合物の数密度を向上させることができる。
Crは、アルミニウム合金中でAl-Mn-Cr-Fe-SiやAl-Fe-Crなどの金属間化合物を含む微細な粒状の晶出物を形成することで、アルミニウム合金の引張強さを向上させる作用を有する。Crの含有率が上記の範囲内にあることによって、アルミニウム合金鍛造品1aの常温における機械的特性を向上させることができる。
Tiは、アルミニウム合金の結晶粒を微細化し、展伸加工性を向上させる作用を有する。Ti含有率が0.01質量%未満の場合、結晶粒の微細化効果が十分に得られないおそれがある。一方、Ti含有率が0.1質量%を超えると、粗大な晶出物を形成し、展伸加工性が低下するおそれがある。また、アルミニウム合金鍛造品1aにTiを含む粗大な晶出物が多量に混入すると靭性が低下する場合がある。したがって、Tiの含有率は0.012質量%以上、0.035質量%以下とする。Tiの含有率は、好ましくは0.015質量%以上、0.050質量%以下である。
Bは、アルミニウム合金の結晶粒を微細化し、展伸加工性を向上させる作用を有する。上述したTiと共にBをアルミニウム合金に添加することによって、結晶粒の微細化効果が向上する。Bの含有率が0.0010質量%未満では、結晶粒の微細化効果が十分に得られないおそれがある。一方、Bの含有率が0.030質量%を超えると、粗大な晶出物を形成し、介在物としてアルミニウム合金鍛造品1aに混入するおそれがある。また、アルミニウム合金の最終製品にBを含む粗大な晶出物が多量に混入すると靭性が低下する場合がある。したがって、Bの含有率は0.0010質量%以上、0.030質量%とする。Bの含有率は、好ましくは0.0050質量%以上、0.025質量%である。
Zrは、0.05質量%以下であれば、Al3ZrおよびAl-(Ti,Zr)という形で析出することで、再結晶抑制効果や析出強化によりアルミニウム合金鍛造品1aの強度の向上に寄与する。Zrの含有率が0.050質量%を超えると粗大なZr化合物として晶出することによって、アルミニウム合金鍛造品1aの耐食性の低下につながるおそれがある。このため、Zrの含有率は、0.050質量%以下とする。また、上記の再結晶抑制効果や析出強化による鍛造品の強度の向上の効果を得るためにはZrの含有率は、0.0010質量%以上であることが好ましい。
Znは0.250質量%以下であればよい。Znの含有率が0.250質量%を超えるとMgZn2が生成し、Al母相から粒界に析出することで粒界腐食を起こし、アルミニウム合金鍛造品の耐食性の低下につながる。このため、Znの含有率は、0.250質量%以下、あるいは全く含まないことが好ましい。
不可避不純物は、原料又は製造工程から不可避的にアルミニウム合金に混入する不純物である。不可避不純物の例としては、Ni、Sn、Beなどを挙げることができる。これらの不可避不純物の含有率は0.1質量%を超えないことが好ましい。
アルミニウム合金鍛造品1aの中央部断面における合金組織には、平均粒子径が3.0μm以上のAIFeSi(Mn)系化合物を含まないようにする。平均粒子径が3.0μm以上のAIFeSi(Mn)系化合物が存在すると、機械的特性(引張特性/疲労特性等)が低下するおそれがある。
アルミニウム合金製鍛造品1aの中央部断面は、常温(20℃)での衝撃値が10J/cm2以上の機械的特性を有する。この衝撃値が10J/cm2未満では、部品の耐久性が低下する虞がある。
本明細書において、「衝撃値」はJIS Z2242-2005の「金属材料のシャルピー衝撃試験方法」の規定に準拠して測定して得られたシャルピー衝撃強度を意味するものである。試験片としては、円柱状の試験片を使用して測定するものとする。
アルミニウム合金鍛造品1aの中央部断面において、結晶方位差15°以上の結晶粒界(大角粒界)は、アルミニウム合金鍛造品1aの長尺部2の再結晶化の進行程度の指標となる。この大角粒界の比率が27%以下であることは、再結晶化が十分に抑制されていることを表す。再結晶化が十分に抑制されていることによって、長尺部2の機械的特性が向上する。大角粒界の比率は、EBSD像から得ることができる。
このため、長尺部2の中央部2aは、引張特性や疲労特性が高く、靭性に優れ耐衝撃性が向上する。
図2に示すアルミニウム合金鍛造品1bは、3つの連結部4c,4d,4eを有する。連結部4cと連結部4dは長尺部2で接続され、連結部4dと連結部4eとは、長尺部2よりも相対的に長さが短く短尺部5で接続されている。連結部4cには、貫通孔が設けられている。このアルミニウム合金鍛造品1bは、例えば、L型サスペンションアームとして用いることができる。
図3に示すアルミニウム合金鍛造品1cは、3つの連結部4f,4g,4hを有する。連結部4fと連結部4g及び連結部4fと連結部4hはそれぞれ長尺部2で接続されている。連結部4fには、貫通孔が設けられている。このアルミニウム合金鍛造品1bは、例えば、A型サスペンションアームとして用いることができる。
また、本実施形態のアルミニウム合金鍛造品は、常温における衝撃値において、10J/cm2以上とされている。
Fe/Mnは、質量比で0.3以上1.0以下とすることができ、また、0.4以上0.8以下とすることができ、また、0.4以上0.7以下とすることができる。
次に、本実施形態のアルミニウム合金鍛造品の製造方法について説明する。
本実施形態のアルミニウム合金鍛造品の製造方法は、例えば、溶湯形成工程と、鋳造工程と、鍛造工程と、溶体化処理工程と、焼き入れ処理工程と、時効処理工程とを含む。
溶湯形成工程は、原料を溶解して組成を調製したアルミニウム合金溶湯を得る工程である。アルミニウム合金溶湯の組成は、Cuを0.25質量%以上0.55質量%以下の範囲内、Mgを0.60質量%以上1.25質量%以下の範囲内、Siを0.90質量%以上1.4質量%以下の範囲内、Mnを0.35質量%以上0.60質量%以下の範囲内、Feを0.15質量%以上0.30質量%以下の範囲内、Znを0.25質量%以下の範囲内、Crを0.050質量%以上0.30質量%以下の範囲内、Tiを0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲内、Bを0.0010質量%以上0.030質量%以下の範囲内、Zrを0.0010質量%以上0.050質量%以下の範囲内で含有し、Mnの含有量に対するFeの含有量の比Fe/Mnが質量比で1.4未満であり、残部がAl及び不可避不純物からなる合金組成になるように調整して6000系アルミニウム合金の溶湯を得る。
Fe/Mnが質量比で0.3以上1.2以下となるように調整してもよい。
鋳造工程では、アルミニウム合金の溶湯(液相)を冷却して固体(固相)に凝固させて、アルミニウム合金鋳造品を得る。鋳造工程は、例えば、水平連続鋳造法を用いることができる。
なお、図4は、水平連続鋳造装置10の鋳型12付近の一例を示す断面図である。図5は、水平連続鋳造装置10の冷却水キャビティ24付近の要部を拡大した断面図である。
供給量が過多であると、余剰分がアルミニウム合金棒B中に混入して内部欠陥となるおそれがある。
Q=-k×(T1-T2)/L・・・(1)
Q:熱流束
k:熱を通過する箇所(本実施形態では鋳型12の冷却壁部27)の熱伝導率(W/m・K)
T1:熱が通過する箇所の低温側温度(本実施形態では冷却水キャビティ24の内底面24a)
T2:熱が通過する箇所の高温側温度(本実施形態では鋳型12の中空部21の内周面21a)
L:熱が通過する箇所の区間長さ(mm)(本実施形態では鋳型12の冷却壁部27の厚みt)
鍛造工程は、鋳造後のアルミニウム合金鋳造品を所定のサイズに切断して、得られた鍛造用素材を所定の温度に加熱し、その後プレス機で圧力をかけて金型成型する工程である。本実施形態では、従来、鋳造後に偏析除去のために実施していた均質化処理を施さずに鍛造加工を実施する。そのため均質化処理でおこなっていた偏析除去を鍛造時素材加熱で実施する必要があるため、加熱は500℃以上、融点以下の温度で素材加熱を実施する必要がある。その後鍛造加工を行って鍛造品(例えば自動車のサスペンションアーム部品等)を得る。鍛造時素材加熱温度が500℃未満になると合金組織中のAlFeSi系、Mg2Si系等の化合物が偏析した状態で残存し、変形抵抗が高くなって十分な加工ができなくなる、及び割れが発生する。また融点温度を超えると共晶融解等の欠陥が発生し易くなる。
溶体化処理工程は、鍛造工程で得られた鍛造品を加熱して溶体化させることにより、鍛造工程で導入された歪みを緩和し、溶質元素の固溶を行う工程である。
焼き入れ処理工程は、溶体化処理工程によって得られた固溶状態の鍛造品を急速に冷却せしめて、過飽和固溶体を形成する工程である。
時効処理工程は、鍛造品を比較的低温で加熱保持し過飽和に固溶した元素を析出させて、適度な硬さを付与する工程である。
この実施形態のアルミニウム合金鍛造品の製造方法は、上記実施形態のアルミニウム合金鍛造品の製造方法とは、均質化熱処理工程を有する点が異なる。
(連続鋳造品の作製)
先ず、下記の表1に示す合金組成(残部はアルミニウム)のアルミニウム合金を用意した。用意したアルミニウム合金を用いて、直径82mmの断面円形の連続鋳造品を作製した。
次に、得られた連続鋳造品に対して、均質化熱処理工程(比較例1~3のみ)、鍛造加工工程、溶体化処理工程、焼き入れ処理工程、人工時効処理工程をこの順で行って、図1に示す形状のアルミニウム合金鍛造品1aを得た。均質化熱処理工程(比較例1~3のみ)、鍛造加工工程、溶体化処理工程、焼き入れ処理工程、人工時効処理工程の条件を下記の表2に示す。
以上のようにして得られた実施例1~8及び比較例1~3のアルミニウム合金鍛造品1aにおける、長尺部2の長さ方向の中央部2aについて、下記の評価を行った。長尺部2の中央部2aの評価結果を下記の表3に示す。
Fe/Mnは実施例が0.3以上1.2以下、比較例が1.2超えとなるように調整した。
「〇」・・・0.3以上1.2以下である。
「×」・・・1.2超えである。
得られた連続鋳造品の導電率は、室温にて測定した。
(判定基準)
「〇」・・・25%IACS以上35%IACS以下である。
「×」・・・25%IACS未満、または、35%IACS超えである。
得られた連続鋳造品のロックウェル硬さ(HRF)は、JISZ2245:2016の「ロックウェル硬さ試験-試験方法」に準拠して測定した。
(判定基準)
「〇」・・・62以上82以下である。
「×」・・・62未満、または、82超えである。
アルミニウム合金製鍛造品1aの長尺部2の中央部2aを、図7に示すように切断して、機械的特性(衝撃特性)評価用試験片の作製用の角柱体を採取した。得られた角柱体を加工して、図8に示す円柱状の機械的特性評価用試験片を作製した。機械的特性評価用試験片の平行部直径Aは8.0mm、標点間距離Gは30.0mmとした。機械的特性評価用試験片について、常温(25℃)でJIS Z2242に準拠してシャルピー衝撃試験を行うことによって、衝撃値を測定した。得られた衝撃値を、下記の判定基準に基づいて評価した。
(判定基準)
「〇」・・・常温で衝撃値が10J/cm2以上である。
「×」・・・常温で衝撃値が10J/cm2未満である。
アルミニウム合金鍛造品1aの長尺部2の中央部2aを、中央部2aの表面に対して垂直方向に切断して、微細化評価用試験片の作製用の板状体(厚さ2mm)を採取した。得られた板状体を7mm角に切断して、7mm×7mm×厚さ2mmの微細化評価用の試験片とした。採取した微細化評価用の試験片の表面(中央部2aの断面)について、SEM-EBSD(走査型電子顕微鏡-電子線後方散乱回折装置)を用いて、3.0μm以上のAlFeSi系化合物の数、及び、結晶方位差15゜以上の大角粒界の比率を測定した。得られた3.0μm以上のAlFeSi系化合物の数、及び、大角粒界の比率をそれぞれ下記の基準に基づいて判定して、結晶粒子の微細化及び再結晶・結晶粗大化を評価した。なお、SEM-EBSDの測定条件は、加速電圧を15kV、測定ピッチを0.5μm/px、解析領域を500×500μm2、粒界定義角を15゜とした。
(判定基準)
(3.0μm以上のAlFeSi系化合物の数の判定基準)
「O」・・・無い場合(0個)。
「×」・・・有る場合。
(大角粒界の比率の判定基準)
「O」・・・27%以下である。
「×」・・・27%超えである。
また、各アルミニウム合金鍛造品についてFE―SEM装置(電界放出型走査電子顕微鏡装置)を用いて、粒界を含む2.0μm以内にMnを含む析出物の数密度測定を行った。なお、アルミニウム合金鍛造品1aの長尺部2の中央部2aより約10mm×横10mm×厚さ10mmの大きさの組織観察用サンプル片を切り出し、このサンプル片を断面試料作製装置(Cross section polisher)を用いて研磨した。そして、この研磨後のサンプル片のFE-SEM写真(電界放出型走査電子顕微鏡写真)を撮影し、このSEM写真における視野面積1.5815mm2の範囲において、粒界を含む2.0μm以内にMnを含む析出物の数密度を求め、以下の判定基準で数密度を評価した。
(数密度の判定基準)
「O」・・・4個/μm2以上である。
「×」・・・4個/μm2以下である。
Fe/Mn比、導電率、ロックウェル硬さ、衝撃特性、3.0μm以上のAlFeSi系化合物の数、AlMn系化合物の数密度、結晶方位差15°以上の大角粒界の比率の7つの評価結果を、下記の判定基準に基づいて評価した。
(判定基準)
「O」・・・7つの評価の全てが「O」である。
「×」・・・7つの評価のうち1つ以上が「×」である。
11…溶湯受部(タンディッシュ)
11a…溶湯流入部
11b…溶湯保持部
11c…流出部
12…鋳型
12a…一端側
12b…他端側
13…耐火物製板状体(断熱部材)
13a…注湯用通路
21…中空部
21a…内周面
21b…他端側
22…流体供給管
22a…潤滑材供給口
23…冷却装置
24…冷却水キャビティ
24a…内底面
25…冷却水噴射通路
25a…シャワー開口
26…冷却水供給管
27…冷却壁部
B…アルミニウム合金棒
M…合金溶湯
W…冷却水
100…アルミニウム合金鍛造品
Claims (2)
- Cuを0.25質量%以上0.55質量%以下の範囲内、Mgを0.60質量%以上1.25質量%以下の範囲内、Siを0.90質量%以上1.4質量%以下の範囲内、Mnを0.35質量%以上0.60質量%以下の範囲内、Feを0.15質量%以上0.30質量%以下の範囲内、Znを0.25質量%以下の範囲内、Crを0.050質量%以上0.30質量%以下の範囲内、Tiを0.01質量%以上0.1質量%以下の範囲内、Bを0.0010質量%以上0.030質量%以下の範囲内、Zrを0.0010質量%以上0.050質量%以下の範囲内で含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる合金組成を有するアルミニウム合金から構成されるアルミニウム合金鍛造品であって、粒界を含む2.0μm以内にMnを含有する析出物の数密度が4個/μm2以上含まれており、結晶方位差15゜以上の大角粒界の比率が27%以下であり、かつ、常温における衝撃値が10J/cm2以上である、アルミニウム合金鍛造品の製造方法であって、
前記アルミニウム合金の溶湯を得る溶湯形成工程と、
前記得られた溶湯を鋳造加工することによって鋳造品を得る鋳造工程と、
前記鋳造品を500℃~融点以下の温度で素材加熱し塑性加工を施して鍛造品を得る鍛造工程と、
前記得られた鍛造品に20℃~500℃までの昇温速度が5.0℃/min以上で昇温し、530~560℃で0.3~3時間以内で保持する溶体化処理を行う溶体化処理工程と、
前記溶体化処理の後5~60秒以内に前記鍛造品の全ての表面が焼き入れ水に接触し、1分を超え、40分以内水槽内で焼き入れする焼き入れ工程と、
前記焼き入れ処理工程を経た鍛造品に180℃~220℃の温度で0.5時間~8時間加熱して時効処理を行う時効処理工程と、を有し、
前記鋳造工程と前記鍛造工程との間に均質化熱処理を行う均質化熱処理工程を有しない、アルミニウム合金鍛造品の製造方法。 - 前記析出物のサイズが0.5μm以下である、請求項1に記載のアルミニウム合金鍛造品の製造方法。
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