JP7764150B2 - 多層コイル体 - Google Patents

多層コイル体

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Description

本発明は、多層コイル体に関する。
血管などの体腔内に挿入して病変部位などを処置する器具として、例えば、カテーテルなどの長尺形状の医療器具が知られている。このような医療器具においては、体腔内に挿入された医療器具の先端部を回転する際、手元の回転力を先端部に確実に伝達するため、優れたトルク伝達性が求められる。
上述したような医療器具としては、例えば、医療器具の長軸方向に直交する方向(半径方向)に隣接するように配置された複数のコイル層を有するコイル体を備えたものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-107326号公報
しかしながら、上述したような従来の医療器具に用いられるコイル体においては、十分なトルク伝達性は確保することはできるものの、複雑に湾曲した体腔形状に追従するような高い柔軟性を確保する点で、必ずしも十分であるとは言えない。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、十分なトルク伝達性と高い柔軟性とを両立することが可能な多層コイル体を提供することにある。
本開示のいくつかの態様は、
(1)第1の巻線が螺旋状に巻回された中空の第1のコイル層と、
前記第1のコイル層を覆うように設けられ、第3の巻線が螺旋状に巻回された第3のコイル層と、
前記第1のコイル層と前記第3のコイル層との間に隣接するように設けられ、第2の巻線が螺旋状に巻回された第2のコイル層と、を備えている多層コイル体であって、
前記第2のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積が、前記第1のコイル層および前記第3のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積よりも大きく、
長軸方向において、隣り合う少なくとも一部の前記第2の巻線の間に隙間が形成されていることを特徴とする多層コイル体、
(2)前記第2の巻線の横断面における最外周の輪郭形状が略矩形状である前記(1)に記載の多層コイル体、
(3)前記第2の巻線の間に形成された前記隙間は、前記長軸方向における長さが異なる二以上の隙間を含んでいる前記(1)または(2)に記載の多層コイル体、
(4)前記第2の巻線が放射線不透過性材料を含んでいる前記(3)に記載の多層コイル体、並びに
(5)前記第2の巻線の間に形成された前記隙間に導体が備えられている前記(1)~(4)のいずれか1項に記載の多層コイル体、である。
なお、本明細書において、「巻線」とは、コイル層を構成するために螺旋状に巻回される線状の部材を意味する。上記部材は、単線(単一線)であってもよく、撚線であってもよい。また、「巻線の横断面積」とは、巻線の螺旋方向に直交する断面における断面積である。すなわち、螺旋状に進行する巻線の進行方向(螺旋方向)に直交する断面における断面積ということもできる。
本発明は、十分なトルク伝達性と高い柔軟性とを両立することが可能な多層コイル体を提供することができる。
第1の実施形態の全体を示す概略的縦断面図である。 第1の実施形態の一部を示す概略的縦断面図である。 変形例の一部を示す概略的縦断面図である。 第2の実施形態の一部を示す概略的縦断面図である。 第3の実施形態の一部を示す概略的縦断面図である。 第4の実施形態の全体を示す概略的縦断面図である。 第5の実施形態の全体を示す概略的縦断面図である。 第6の実施形態の全体を示す概略的縦断面図である。 第6の実施形態の一部を示す概略的縦断面図である。 変形例の一部を示す概略的縦断面図である。
本開示の多層コイル体は、第1の巻線が螺旋状に巻回された中空の第1のコイル層と、上記第1のコイル層を覆うように設けられ、第3の巻線が螺旋状に巻回された第3のコイル層と、上記第1のコイル層と上記第3のコイル層との間に隣接するように設けられ、第2の巻線が螺旋状に巻回された第2のコイル層と、を備えている多層コイル体であって、上記第2のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積が、上記第1のコイル層および上記第3のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積よりも大きく、上記長軸方向において、隣り合う少なくとも一部の上記第2の巻線の間に隙間が形成されている。
なお、本明細書において、「先端側」とは、多層コイル体の長軸方向に沿う方向であって、治療部位に向って進行する方向を意味する。「基端側」とは、長軸方向に沿う方向であって、上記先端側と反対の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端側の端部をそれぞれ示す。「長軸方向」および「半径方向」とは、特に記載がない限り、それぞれ多層コイル体の長軸方向および半径方向(長軸方向に直交する方向)を意味する。
以下、本発明の第1~第6の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。また、各図面に示した寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、必ずしも実際の寸法に対応するものではない。各図において、図示左側が多層コイル体の先端側、右側が多層コイル体の基端側をそれぞれ示している。
[第1の実施形態]
図1,図2は、第1の実施形態を示す概略図である。多層コイル体1は、図1,図2に示すように、概略的に、第1のコイル層11と、第2のコイル層21と、第3のコイル層31とにより構成されている。
第1のコイル層11は、第1の巻線11wが螺旋状に巻回された中空の層である。第1のコイル層11は、具体的には、例えば、第1の巻線11wとして、横断面が円形等の単線(単一線)または撚線を用い、この部材を単条または多条で巻回することで形成することができる。長軸方向において隣り合う第1の巻線11wどうしは、互いに接していてもよく、離間していてもよい。第1の巻線11wどうしが離間している場合、第1の巻線11w間の隙間は、例えば、後述する第2の巻線21wの隙間よりも小さくなるように構成してもよい(不図示)。本実施形態では、第1の巻線11wとして横断面が円形の単線111wを用い、この第1の巻線11wを単条で巻回しかつ隣り合う第1の巻線11wどうしが互いに接するように配置されている。また、第1のコイル層11の内側には内腔1hが形成されている。内腔1hには、例えば、ガイドワイヤ(不図示)等を挿通することができる。
第2のコイル層21は、第1のコイル層11と、後述する第3のコイル層31との間に隣接するように設けられ、第2の巻線21wが螺旋状に巻回された層である。第2のコイル層21は、具体的には、例えば、第2の巻線21wとして、単線(単一線)または撚線を用い、この部材を単条または多条で巻回することで形成することができる。
第2の巻線21wの横断面における最外周の輪郭形状は、円形であってもよく、略矩形状であってもよい。上記輪郭形状が矩形状である場合、第2の巻線21wの断面積を省スペースで高めることができ、矩形状の断面を有する第2の巻線によりトルク伝達性を効果的に向上することができる。本実施形態では、第2の巻線21wとして横断面における最外周の輪郭形状が矩形状である単線211wを用い、この第2の巻線21wを単条で巻回した第2のコイル層21が例示されている。
第2の巻線21wの横断面の輪郭形状が矩形状である場合、上記横断面におけるアスペクト比(矩形状の縦横比)は、例えば、縦寸法:横寸法=1:10(扁平形状)~1:1(正方形状)に設定してもよい。なお、扁平形状の場合、扁平面が第1および第3のコイル層11,31に接するように配置されるのが好ましい。これにより、多層コイル体1が半径方向外側からの圧力により圧壊するのを防止すると共に、トルク伝達性および柔軟性のうち、特にトルク伝達性をより高めることができる。また、正方形状の場合、トルク伝達性および柔軟性のうち、特に柔軟性をより高めることができる。
第3のコイル層31は、第1のコイル層11を覆うように設けられ、第3の巻線31wが螺旋状に巻回された層である。第3のコイル層31は、具体的には、例えば、第3の巻線31wとして、横断面が円形等の単線(単一線)または撚線を用い、この部材を単条または多条で巻回することで形成することができる。長軸方向において隣り合う第3の巻線31wどうしは、互いに接していてもよく、離間していてもよい。第3の巻線どうしが離間している場合、図3に示すように、第3の巻線A31w間の隙間A31gは、例えば、第2の巻線21wの隙間21gよりも小さくなるように構成してもよい。本実施形態では、第3の巻線31wとして横断面が円形の単線311wを用い、この第3の巻線31wを単条で巻回しかつ隣り合う第3の巻線31wどうしが互いに接するように形成された第3のコイル層31が例示されている(図2参照)。
ここで、長軸方向において、隣り合う少なくとも一部の第2の巻線21wの間には隙間21gが形成されている。この隙間21gは、隣り合う第2の巻線それぞれの間に形成されていてもよく、特定の第2の巻線の間にのみ形成されかつ上記特定の第2の巻線以外の第2の巻線の間は接していてもよい。
隙間21gの長軸方向における長さLは、多層コイル体1の長軸方向における各部位に求められる柔軟性等により適宜決定することができる。隙間21gの長さLとしては、例えば、0.001mm~1mmに設定することができる。隙間21gの長さLが大きい場合は当該部位の多層コイル体の柔軟性を高めることができ、隙間21gの長さLが小さい場合は当該部位の多層コイル体の剛性を高めることができる。本実施形態では、長さLが同じ隙間21gの第2の巻線21wどうしが隣り合う多層コイル体1が例示されている。
また、多層コイル体1では、第2のコイル層21を構成する少なくとも1本の巻線21wの横断面積が、第1のコイル層11および第3のコイル層31を構成する少なくとも1本の巻線11w,31wの横断面積よりも大きくなるように構成されている。より具体的には、第2のコイル層21を構成する少なくとも1本の巻線21wの横断面積が、第1のコイル層11および第3のコイル層31を構成する巻線11w,31wのうち最も横断面積が大きい巻線の断面積よりも大きくなるように構成されている。
本実施形態の多層コイル体1は、第1の巻線11wおよび第3の巻線31wそれぞれが単線かつ単条の巻線で構成されており、第2の巻線21wが単線かつ単条の巻線で構成されている。このため、第2の巻線21wを構成する単線211w(素線)の断面積が、第1の巻線11wを構成する単線111w(素線)の断面積、および第3の巻線31wを構成する単線311w(素線)の断面積、のいずれよりも大きくなるように構成されている。
半径方向に隣接する巻線どうしの巻回方向は、互いに逆向きであってもよい(例えば、第1の巻線がS撚り、第2の巻線がZ撚り、第3の巻線がS撚りなど)。このように巻線の巻回方向が逆向きの場合、多層コイル体を長軸廻りに回転する際、半径方向に隣接する巻線に加わる長軸方向の力の向きを相対させることができ、多層コイル体をいずれの方向に回転させる場合であっても、長軸方向に隣り合う巻線どうしの離間に起因するトルク伝達性の低下を抑制することができる。
第1の巻線11w、第2の巻線21w、および第3の巻線31wを構成する線材としては、抗血栓性および生体適合性を付与する観点から、例えば、SUS316などのステンレス鋼;Ni-Ti合金などの超弾性合金;白金、タングステンなどの放射線不透過性の金属等を採用することができる。各巻線の線材は、互いに同一の材料であってもよく、異なる材料を含んでいてもよい。
以上のように、多層コイル体1は、上記構成であるので、十分なトルク伝達性と高い柔軟性とを両立することができる。また、隙間21gの長さL(間隔)を適宜調整することによって多層コイル体1を硬くも柔らかくもすることができるため、柔軟性と剛性とのバランスを適度に調整することもできる。
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態を示す概略図である。多層コイル体2は、図4に示すように、概略的に、第1のコイル層11と、第2のコイル層22と、第3のコイル層31とにより構成されている。多層コイル体2は、第2のコイル層22を備えている点で第1の実施形態と異なっている。なお、第1のコイル層11および第3のコイル層31は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、以下に示す第2のコイル層22の構成以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
第2のコイル層22は、第1のコイル層11と第3のコイル層31との間に隣接するように設けられ、第2の巻線22wが螺旋状に巻回された層である。本実施形態では、第2の巻線22wとして横断面における最外周の輪郭形状が矩形状かつ上記横断面の面積が互いに等しい3本の単線221w,222w,223wを用い、これらを3条(多条)で巻回した第2のコイル層22が例示されている。
多層コイル体2は、第2のコイル層22の長軸方向において、隣り合う第2の巻線22wの間には隙間が形成されている。具体的には、多層コイル体2は、第2の巻線22wを構成する3本の単線221w,222w,223wが長軸方向において接しながら一組となり、長軸方向において隣り合う一組の巻線(3本の第2の巻線22w)どうしの間に隙間22gが形成されている。
本実施形態の多層コイル体2は、第1の巻線11wおよび第3の巻線31wそれぞれが単線かつ単条の巻線で構成されており、第2の巻線22wが単線かつ3条(多条)の巻線で構成されている。具体的には、第2のコイル層21を構成する少なくとも1本の巻線21wの横断面積が、第1のコイル層11および第3のコイル層31を構成する少なくとも1本の巻線11w,31wの横断面積よりも大きくなるように構成されている。より具体的には、第2のコイル層21を構成する少なくとも1本の巻線21wの横断面積が、第1のコイル層11および第3のコイル層31を構成する巻線11w,31wのうちの最も横断面積が大きい巻線の断面積よりも大きくなるように構成されている。
以上のように、多層コイル体2は、上記構成であるので、十分なトルク伝達性と高い柔軟性とを両立することができる。また、隙間22gの長さL(間隔)を適宜調整することによって多層コイル体2を硬くも柔らかくもすることができるため、柔軟性と剛性とのバランスを適度に調整することもできる。
[第3の実施形態]
図5は、第3の実施形態を示す概略的縦断面図である。多層コイル体3は、図5に示すように、概略的に、第1のコイル層11と、第2のコイル層23と、第3のコイル層31とにより構成されている。多層コイル体3は、第2のコイル層23を備えている点で第1の実施形態と異なっている。なお、第1のコイル層11および第3のコイル層31は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、以下に示す第2のコイル層23の構成以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
第2のコイル層23は、第1のコイル層11と第3のコイル層31との間に隣接するように設けられ、第2の巻線23wが螺旋状に巻回された層である。本実施形態では、第2の巻線23wとして横断面における最外周の輪郭形状が矩形状である1本の単線231wを用い、これを1条(単条)で巻回した第2のコイル層23が例示されている。
多層コイル体3は、第2のコイル層23の長軸方向において、隣り合う第2の巻線23wの間には隙間23gが形成されている。多層コイル体3における第2の巻線23wの間に形成された隙間23gは、長軸方向における長さが異なる二以上の隙間23gを含んでいる(例えば、隙間231g,232g)。
長さが異なる隙間23gとしては、例えば、隙間23gの長さLが長軸方向に沿って単調および/または段階的に増加しているもの、長さLが長軸方向における所定の部位のみ異なっている(所定の部位のみ隙間23gの長さLが大きい若しくは小さい)もの等が挙げられる。本実施形態では、隙間23gの長さLが先端側に向かって単調に増加している第2のコイル層23が例示されている。
多層コイル体3は、第2の巻線23wが放射線不透過性材料(例えば、X線不透過性材料など)を含んでいてもよい。第2の巻線23wを構成する線材が放射線不透過性材料を含んでいることで、放射線透過画像において、造影された隙間の長さLや他の隙間の長さとの関係から長軸方向における当該隙間の位置を特定することができ、体腔内において多層コイル体をより的確に操作することができる。
上記放射線不透過材料としては、例えば、金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金など)等が挙げられる。なお、放射線不透過性材料は、放射線不透過性ではない材料(放射線透過材料)の表面にコートされるものなど、当該放射線不透過性材料と放射線透過材料とを組み合わせたものであってもよい。
以上のように、多層コイル体3は、長軸方向における長さLが異なる二以上の隙間23gを含んでいるので、長軸方向における多層コイル体3の柔軟性に強弱を付けることができる。また、隙間23gの長さL(間隔)を適宜調整することによって多層コイル体3を硬くも柔らかくもすることができるため、柔軟性と剛性とのバランスを適度に調整することもできる。
[第4の実施形態]
図6は、第4の実施形態を示す概略的縦断面図である。本実施形態では、本開示の多層コイル体を用いたカテーテルが例示されている。カテーテルCは、図6に示すように、概略的に、多層コイル体4と、先端チップ44と、基部54とにより構成されている。
多層コイル体4は、第1のコイル層11と、第2のコイル層24と、第3のコイル層31とを備えている。第1のコイル層11および第3のコイル層31は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、以下に示す第2のコイル層24の構成以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
カテーテルCにおける第2のコイル層24は、多層コイル体4の先端部における第2の巻線24wの隙間241gの長さLが、基端部の隙間242gの長さLよりも大きくなるように構成されている。これにより、多層コイル体4の先端部を基端部に比べてより柔軟にすることができ、先端部が湾曲した体腔へ追従しながらカテーテルCをより円滑に進行させることができる。
先端チップ44は、多層コイル体4の一端に接合された部材である。先端チップ44は、具体的には、例えば、多層コイル体4が血管などの体腔内を移動し易いように、先端部が先端側に向かって丸みを帯びた形状となるように形成されている。先端チップ44は、先端に開口44aを有する内腔44hを備えている。
先端チップ44と多層コイル体4との接合方法としては、例えば、多層コイル体4を構成する第1の巻線11w、第2の巻線24w、および第3の巻線31wの先端を、先端チップ44の基端部に溶着等で埋設する方法等を採用することができる。
先端チップ44を構成する材料としては、抗血栓性、生体適合性体と共に、体腔等への衝撃を緩和できるように、柔軟性を有していることが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマーなどの樹脂材料等が挙げられる。
基部54は、オペレータがカテーテルCを把持する部材である。基部54は、例えば、多層コイル体4の基端部に接続され、多層コイル体4の内腔4hに連通する内腔54hを有している。内腔54hの基端側の端部には開口54aが形成されている。なお、基部54の形状は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、オペレータが操作しやすい形状に形成することができる。
ここで、先端チップ44の内腔44hと、多層コイル体4の内腔4hと、基部54の内腔54hとによりルーメンMが形成される。このルーメンMには、例えば、ガイドワイヤ(不図示)などの医療器具が挿通される。
次に、カテーテルCの使用態様について説明する。ここでは、カテーテルCをガイディングカテーテルとして用い、心臓の冠動脈に生じた狭窄部をバルーンカテーテルで拡張する手技を例示する。
カテーテルCの使用に先立ち、まず、ガイドワイヤA(不図示)を血管内に挿入し、その先端を心臓の冠動脈入口近くまで送り込む。次いで、カテーテルCのルーメンMにガイドワイヤAを挿入し、先端が心臓の冠動脈入口まで達するように、ガイドワイヤAに沿ってカテーテルCを血管内に押し込みながら前進させる。この際、カテーテルCは、血管の湾曲に追従しながら送り込まれる。
次に、ガイドワイヤAを抜き取ってバルーンカテーテル用のより細いガイドワイヤB(不図示)に入れ替え、カテーテルCを介してガイドワイヤBの先端が狭窄部を通過する位置まで到達させる。次いで、ガイドワイヤBに沿ってバルーンカテーテル(不図示)を狭窄部の内側まで挿入し、バルーンにより狭窄部を拡張することで治療を行う。この治療後は、バルーンカテーテル、ガイドワイヤB、カテーテルCの順でこられを体外に抜去することで手技が完了する。
以上のように、カテーテルCは、上記構成であるので、多層コイル体4が有する優れたトルク伝達性および高い柔軟性により、基部54に加えた回転力をカテーテルCの先端部に確実に伝達することができると共に、複雑に湾曲した血管内においても高い追従性を発揮することができる。また、隙間24gの長さL(間隔)を適宜調整することによって多層コイル体4を硬くも柔らかくもすることができるため、カテーテルCにおける柔軟性と貫通力のバランスを適度に調整することもできる。
[第5の実施形態]
図7は、第5の実施形態を示す概略的縦断面図である。本実施形態では、本開示の多層コイル体を用いたガイドワイヤが例示されている。ガイドワイヤG1は、図7に示すように、概略的に、コアシャフト65と、多層コイル体5と、先端固着部75と、基端固着部85とにより構成されている。
コアシャフト65は、長手形状のシャフトである。コアシャフト65は、例えば、拡径部652と、小径部651と、大径部653とを有するように構成することができる。
拡径部652は、基端側に向かって拡径する部位である。小径部651は、基端が拡径部652の先端に位置し先端側に向かって延設された部位である。大径部653は、先端が拡径部652の基端に位置し基端側に向かって延設された部位である。なお、小径部651および大径部653それぞれは、コアシャフト65の長軸方向に沿って一定の外径を有するように構成することができる。
コアシャフト65を構成する材料としては、ガイドワイヤG1の柔軟性を向上すると共に、抗血栓性および生体適合性を付与する観点から、例えば、SUS304などのステンレス鋼、Ni-Ti合金などの超弾性合金等を採用することができる。
多層コイル体5は、第1のコイル層11と、第2のコイル層25と、第3のコイル層31とを備えている。第1のコイル層11および第3のコイル層31は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、以下に示す第2のコイル層25の構成以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
ガイドワイヤG1における第2のコイル層25は、多層コイル体5の先端部の隙間251gの長さLが基端部の隙間252gの長さLよりも大きくなるように構成されている。これにより、多層コイル体5の先端部を基端部に比べてより柔軟にすることができ、湾曲した体腔に追従しながらガイドワイヤG1をより円滑に進行させることができる。
先端固着部75は、多層コイル体5の先端部とコアシャフト65の先端部とを固着する部位である。先端固着部75は、具体的には、例えば、先端部が先端側に向かって凸状に湾曲した略半球形状となるように形成することができる。これにより、ガイドワイヤG1が血管内を前進する際の抵抗を減らすことができ、ガイドワイヤG1を円滑に挿入することができる。
先端固着部75の形成方法としては、例えば、コアシャフト65および/または多層コイル体5を構成する第1の巻線11w、第2の巻線25w、および第3の巻線31wの先端部を溶融して形成する方法、ロウ材を用いてコアシャフト65と多層コイル体5とを接合する方法等を採用することができる。上記ロウ材としては、例えば、Sn-Pb合金、Pb-Ag合金、Sn-Ag合金、Au-Sn合金などの金属ロウ等が挙げられる。
基端固着部85は、多層コイル体5の基端部とコアシャフト65とを固着する部位である。基端固着部85は、具体的には、例えば、コアシャフト5の拡径部652上に形成することができる。
基端固着部85の形成方法としては、例えば、多層コイル体5を構成する第1の巻線11w、第2の巻線25w、および第3の巻線31wの基端部を溶融して形成する方法、ロウ材を用いてコアシャフト65と多層コイル体5とを接合する方法等を採用することができる。なお、ロウ材としては、例えば、先端固着部75の形成に用いるロウ材と同様のロウ材等を用いることができる。
なお、ガイドワイヤG1の使用態様としては、例えば、第4の実施形態のカテーテルCの使用態様にて説明したガイドワイヤAやガイドワイヤBと同様の態様を例示することができる。
以上のように、ガイドワイヤG1は、上記構成であるので、多層コイル体5が有する優れたトルク伝達性および高い柔軟性により、コアシャフト65の基端部に加えた回転力をガイドワイヤG1の先端部に確実に伝達することができると共に、複雑に湾曲した血管内においても高い追従性を発揮することができる。また、隙間25gの長さL(間隔)を適宜調整することによって多層コイル体5を硬くも柔らかくもすることができるため、ガイドワイヤG1における柔軟性と貫通力のバランスを適度に調整することもできる。
[第6の実施形態]
図8,図9は、第6の実施形態を示す概略的縦断面図である。本実施形態では、本開示の多層コイル体を用いて導体(リード線)を配策したガイドワイヤが例示されている。ガイドワイヤG2は、図8,図9に示すように、概略的に、コアシャフト65と、多層コイル体6と、先端固着部75と、基端固着部85と、センサ961と、リード線962と、被覆部材963とにより構成されている。ガイドワイヤG2は、多層コイル体6、センサ961、リード線962および被覆部材963を備えている点で、第5の実施形態と異なっている。なお、コアシャフト65、先端固着部75、基端固着部85は、第5の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
多層コイル体6は、第1のコイル層11と、第2のコイル層25と、第3のコイル層36とを備えている。第1のコイル層11および第2のコイル層25は、第5の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。また、以下に示す第3のコイル層36の構成以外の構成は、第5の実施形態と同様である。
ガイドワイヤG2における第3のコイル層36は、長軸方向において隣り合う第3の巻線36wどうしが互いに離間している。第3の巻線36w間の隙間36gは、例えば、第2の巻線25wの隙間25gよりも小さくなるように構成することができる。
センサ961は、基端が後述するリード線962の先端に接続され、隣り合う第2の巻線25wの間に形成された螺旋状の隙間25gに沿うように配置されている。センサ961の先端は、例えば、先端固着部75に埋設したり、先端固着部75の基端に当接または近接するように配置することができる。
センサ961としては、例えば、温度センサ、圧力センサ等が挙げられる。
センサ961の形状としては、隣り合う第2の巻線25wの間に形成された隙間25gに収まるように、線状またはリボン状のセンサを好適に用いることができる。
リード線962は、センサ961と、図示していない外部の測定器本体とを電気的に接続する電気伝導体である。リード線962の先端側の部位は、第2の巻線25wの間に形成された隙間25gに備えられている。具体的には、リード線962の先端側の部位は、隣り合う第2の巻線25wの間に形成された螺旋状の隙間25gに沿うように配置されている。リード線962の基端側の部位は、例えば、コアシャフト65の外周面上を長軸方向に沿って直線状に延設することができる。
なお、リード線962の外周は、多層コイル体6における第2の巻線25wの外周よりも内側(ガイドワイヤG2の中心軸方向)に位置していることが好ましい。これにより、リード線962に大きな外力が直接的に加わるのを抑制することができ、リード線962が変形したり受傷するのを防止することができる。
リード線962を構成する材料としては、第1、第2および第3の巻線11w,25w,36wを構成する材料とは異なる金属が好ましく、第1、第2および第3の巻線11w,25w,36wを構成する材料よりも抵抗が低い金属であることがより好ましい。このような材料としては、例えば、金、銀、銅、およびこれらを含む合金等が挙げられる。なお、これらの材料は、多層コイル体6を構成するSUS316などのステンレス鋼や、Ni-Ti合金などの超弾性合金に比べて剛性が小さくかつ弾性領域も小さい。
被覆部材963は、センサ961およびリード線962を、多層コイル体6などの周囲の部材や、血管,血液などの身体組織等から電気的に絶縁すると共に、多層コイル体6に固定する部材である。
被覆部材963を構成する材料としては、例えば、ポリイミドなどの熱硬化性の電気絶縁性樹脂;ポリアミドなどの熱可塑性の電気絶縁性樹脂等が挙げられる。このような樹脂は、例えば、センサ961およびリード線962を多層コイル体6およびコアシャフト65に配策した後、上記樹脂を形成するための樹脂組成物を、ディッピング、スプレイ等によりセンサ961およびリード線962の外周に塗工し、加熱処理することで形成することができる。
以上のように、ガイドワイヤG2は、上記構成であるので、例えば、SUS316などのステンレス鋼や、Ni-Ti合金などの超弾性合金に比べて剛性が小さくかつ弾性領域も小さいリード線962を多層コイル体6で補強することができ、リード線962の断線等を防止することができる。また、リード線962を第2の巻線25wの隙間25gに収めることで、空間を有効に利用することができ、ガイドワイヤG2が嵩張るのを抑制することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。例えば、上述した実施形態の構成のうちの一部を削除したり、他の構成に置換してもよく、上述した実施形態の構成に他の構成を追加等してもよい。
例えば、上述した実施形態では、第2の巻線として横断面における最外周の輪郭形状が矩形状である単線を用い、この第2の巻線を単条または多条で巻回した第2のコイル層を備えている多層コイル体について説明した。しかしながら、第2のコイル層27は、第2の巻線27wの輪郭形状が、例えば円形の単線271wなど、矩形状以外の形状であってもよい(図10参照)。
また、上述した実施形態では、第2の巻線として単線を用いた第2のコイル層を備えている多層コイル体について説明した。しかしながら、第2のコイル層は、第2の巻線として撚線を含む巻線で構成されていてもよい。かかる場合、上記撚線を構成する素線(単一線)の横断面の形状は、矩形状であってもよく、矩形状以外の形状(円形など)であってもよく、これらが混在したものであってもよい。また、第2のコイル層を構成する第2の巻線は、素線全体として横断面における最外周の輪郭形状が略矩形状となるように形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、三つの層(第1のコイル層、第2のコイル層、および第3のコイル層)からなる多層コイル体について説明した。しかしながら、当該多層コイル体は、第1のコイル層と第3のコイル層との間に第2のコイル層が設けられていればよい。例えば、第1のコイル層の内側に更に他のコイル層を備えている多層コイル体であってもよく、第3のコイル層の外側に更に他のコイル層を備えてる多層コイル体であってもよい。
1、2,3,4,5,6 多層コイル体
11 第1のコイル層
11w 第1の巻線
21,22,23,24,25,27 第2のコイル層
21w,22w,23w,24w,25w,27w, 第2の巻線
21g,22g,23g,24,25g 隙間
31,A31,36 第3のコイル層
31w,A31w,36w 第3の巻線
C カテーテル
G1,G2 ガイドワイヤ

Claims (6)

  1. 第1の巻線が螺旋状に巻回された中空の第1のコイル層と、
    前記第1のコイル層を覆うように設けられ、第3の巻線が螺旋状に巻回された第3のコイル層と、
    前記第1のコイル層と前記第3のコイル層との間に隣接するように設けられ、第2の巻線が螺旋状に巻回された第2のコイル層と、を備えている多層コイル体であって、
    前記第2のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積が、前記第1のコイル層および前記第3のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積よりも大きく、
    長軸方向において、隣り合う少なくとも一部の前記第2の巻線の間に隙間が形成されており、
    前記第2のコイル層は、長軸方向の全長にわたって、前記第1のコイル層及び第3のコイル層の両方に隣接し、
    前記第2の巻線の横断面における最外周の輪郭形状が略矩形状である
    多層コイル体。
  2. 第1の巻線が螺旋状に巻回された中空の第1のコイル層と、
    前記第1のコイル層を覆うように設けられ、第3の巻線が螺旋状に巻回された第3のコイル層と、
    前記第1のコイル層と前記第3のコイル層との間に隣接するように設けられ、第2の巻線が螺旋状に巻回された第2のコイル層と、を備えている多層コイル体であって、
    前記第2のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積が、前記第1のコイル層および前記第3のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積よりも大きく、
    長軸方向において、隣り合う少なくとも一部の前記第2の巻線の間に隙間が形成されており、
    前記第2のコイル層は、長軸方向の全長にわたって、前記第1のコイル層及び第3のコイル層の両方に隣接し、
    前記第2の巻線の間に形成された前記隙間は、前記長軸方向における長さが異なる二以上の隙間を含んでいる
    多層コイル体。
  3. 前記第2の巻線の間に形成された前記隙間は、前記長軸方向における長さが異なる二以上の隙間を含んでいる請求項1に記載の多層コイル体。
  4. 前記第2の巻線が放射線不透過性材料を含んでいる請求項2又は請求項3に記載の多層コイル体。
  5. 第1の巻線が螺旋状に巻回された中空の第1のコイル層と、
    前記第1のコイル層を覆うように設けられ、第3の巻線が螺旋状に巻回された第3のコイル層と、
    前記第1のコイル層と前記第3のコイル層との間に隣接するように設けられ、第2の巻線が螺旋状に巻回された第2のコイル層と、を備えている多層コイル体であって、
    前記第2のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積が、前記第1のコイル層および前記第3のコイル層を構成する少なくとも1本の巻線の横断面積よりも大きく、
    長軸方向において、隣り合う少なくとも一部の前記第2の巻線の間に隙間が形成されており、
    前記第2のコイル層は、長軸方向の全長にわたって、前記第1のコイル層及び第3のコイル層の両方に隣接し、
    前記第2の巻線の間に形成された前記隙間に導体が備えられている
    多層コイル体。
  6. 前記第2の巻線の間に形成された前記隙間に導体が備えられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多層コイル体。
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