JP7764672B2 - 塵埃抑制処理剤組成物 - Google Patents

塵埃抑制処理剤組成物

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Description

本発明は、発塵性物質の塵埃を抑制する性能に優れ、再分散性にも優れた塵埃抑制処理剤組成物に関し、より詳細には、非溶融流動性のテトラフルオロエチレン(以下、TFEという)共重合体の水性分散液から成り、該TFE共重合体の再分散沈降率が60%以下であり、パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が10ppb未満である発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物に関する。
塵埃を出す物質の塵埃を抑制する技術は、健康上、安全上、環境上その他の要請から、生活のために、また産業のために重要な技術である。
このような塵埃抑制技術としては、下記特許文献1において、PTFE(TFE重合体)を粉末状物質と混合し、該混合物に約20~200℃の温度で圧縮-剪断作用を施すことによりTFE重合体をフィブリル化して粉末状物質の塵埃発生を抑制する方法が提案されている。
下記特許文献1に記載されているTFE重合体は、組成としてはTFEのホモポリマーで形態としてはファインパウダー又はエマルジョンであるテフロン(登録商標)6又はテフロン(登録商標)30、並びに組成としてはTFEの変性ポリマーで形態としてはファインパウダーであるテフロン(登録商標)6Cなどである。
また、下記特許文献2には、TFEのホモポリマー(TFE重合体)に対して1.0質量%以上の炭化水素系アニオン界面活性剤を含有する安定性のよい水性エマルジョンを使用する塵埃抑制方法が提案されており、粉末状物質について塵埃抑制効果があることが示されている。この特許文献2によれば、TFE重合体の粒子は、下記特許文献3及び4に開示されている乳化重合法、即ちTFEを水溶性重合開始剤及びフルオロアルキル基を疎水基とするアニオン系界面活性剤(以下、含フッ素乳化剤という)を乳化剤として含む水性媒体中に圧入、重合させることにより、水性エマルジョンの形態で製造されるが、安定性を増すためにさらに乳化安定剤が添加されている。
更に、下記特許文献5には、含フッ素乳化剤の含有率が50ppm以下である含フッ素重合体水性分散液からなる塵埃抑制処理剤組成物を用いることにより、塵埃抑制効果があって、環境への影響を懸念することなく塵埃を抑制できる方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法に塵埃抑制処理剤組成物として用いられるTFE重合体水性分散液は、長期間静置された場合には沈降し易く、一度沈降したTFE重合体は強固に固まり再分散し難いという問題がある。更に、TFE重合体水性分散液中のTFE重合体濃度の低下を引き起こすなど、使用条件によっては本来TFE重合体が備えている塵埃抑制効果を十分に発揮できなくなるおそれがあった。
特公昭52-32877号公報 特開平8-20767号公報 特表2010―509441号公報 特表2010-509442号公報 国際公開2007/000812号公報
すなわち本発明は、優れた塵埃抑制効果を有すると共に、長期間静置された後の塵埃抑制処理剤組成物中の固形分である非溶融流動性のTFE共重合体粒子の再分散性にも優れ、且つ、環境性能にも優れた塵埃抑制処理剤組成物を提供することを目的とする。
本発明は、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液から成り、下記式(1)で示される共重合体の再分散沈降率が60%以下であり、前記水性分散液中のパーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が10ppb未満であり、前記共重合体の累積体積百分率が84%の時の粒径(d84)が50~250nmであり、前記共重合体の累積体積百分率が84%の時の粒径(d84)が50~250nmであり、前記非溶融流動性のテトラフルオロエチレン共重合体が、テトラフルオロエチレンと、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン及びヘキサフルオロプロピレンから選択される少なくとも1種のコモノマーとの非溶融流動性の共重合体であることを特徴とする発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物を提供する。
再分散沈降率(%)=X/X ×100・・・(1)
式中、
:前記共重合体と同濃度のTFE重合体の水性分散液15gを、温度
20℃、回転速度3000rpmにて30分間、遠心分離機により
遠心分離した後、再分散させた際の、下記式(2)にて示される再
分散後の固形分沈降割合(%)
:前記共重合体の水性分散液15gを、温度20℃、回転速度300
0rpmにて30分間、遠心分離機により遠心分離した後、再分散
させた際の、下記式(2)にて示される再分散後の固形分沈降割合
(%)
再分散後の固形分沈降割合(%)
=(再分散後の固形分沈降量)/(遠心分離前の固形分量) ×100
・・・(2)
前記パーフルオロオクタン酸及びその塩が、前記水性分散液の質量に対し5ppb未満であることは、本発明の好適な態様である。
前記(パーフルオロアルキル)エチレン中のパーフルオロアルキル基が、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であることは、本発明の好適な態様である。
前記(パーフルオロアルキル)エチレンが、(パーフルオロエチル)エチレン、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、及び(パーフルオロオクチル)エチレンから選択される少なくとも1種であることは、本発明の好適な態様である。
前記コモノマーが、TFEに対して0.01~1.00質量%の量で含有されていることは、本発明の好適な態様である。
前記コモノマーが、TFEに対して0.01~0.50質量%の量で含有されていることは、本発明の好適な態様である。
前記共重合体が、塵埃抑制処理剤組成物中に10~80質量%の濃度で含有されていることは、本発明の好適な態様である。
前記共重合体の比重(SSG)が2.27以下であることは、本発明の好適な態様である。
本発明はまた、前記塵埃抑制処理剤組成物を造粒後、乾燥して得られる粉末からなる発塵性物質の塵埃抑制処理剤粉末を提供する。
前記発塵性物質が、発塵性粉末状物質であることは、本発明の好適な態様である。
本発明により、優れた発塵性物質の塵埃を抑制する性能に加え、長期間静置後であっても塵埃抑制処理剤組成物中の固形分である非溶融流動性のTFE共重合体粒子の再分散性に優れると共に、環境性能に優れた発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物が提供される。
実施例1~3及び比較例1の遠心分離沈降試験及び遠心分離沈降再分散試験の結果を示す図である。 実施例1~2、及び比較例1の静置沈降試験及び静置沈降再分散試験の結果を示す図である。 実施例2及び比較例1の静置90日後の写真である。
本発明の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物は、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液であって、上記式(1)にて示される共重合体の再分散沈降率が60%以下であり、水性分散液中のパーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が10ppb未満であることが重要な特徴である。
本発明の塵埃抑制処理剤組成物を発塵性物質と混合し、該混合物に約20~200℃の温度で圧縮-剪断作用を施すことにより、非溶融流動性のTFE共重合体をフィブリル化して発塵性物質の塵埃の発生を抑制することが可能である。
前述した通り、塵埃抑制処理剤組成物中の固形分であるTFE重合体粒子は沈降し易いため、TFE重合体の水性分散液が長期間静置された場合には、TFE重合体粒子が沈降し、沈降したTFE重合体粒子が強固に固まり攪拌等で再分散させることが困難であるが、本発明の塵埃抑制処理剤組成物においては、上記非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液の再分散沈降率が60%以下であることにより、沈降した非溶融流動性のTFE共重合体粒子が強固に固まることを抑制し、再分散性を顕著に向上することが可能となる。その結果、少量の塵埃抑制処理剤組成物を均一に発塵性物質と混合することができるため、発塵性物質の塵埃の発生を効率よく抑制することが可能となる。更に難分解性のパーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が10ppb未満であることから、環境性能にも優れている。
本発明の塵埃抑制処理剤組成物が、塵埃を抑制する性能及び再分散性に優れていることは、後述する実施例の遠心分離沈降試験、遠心分離再分散試験、静置沈降試験、静置沈降再分散試験、及び落下発塵量試験の結果からも明らかである。
(再分散沈降率)
遠心分離沈降試験及び遠心分離沈降再分散試験の結果を表す図1からも明らかなように、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液の再分散沈降率が60%以下である本発明の塵埃抑制処理剤組成物は、再分散沈降率が60%を超えるTFE重合体の水性分散液に比して沈降量が低減されている。
また後述する実施例1~3に示すように、本発明の塵埃抑制処理剤組成物は、上記式(1)で示す再分散沈降率が60%以下、好ましくは50%以下、好適には30%以下であることにより、良好に再分散できることが明らかである。更に、本発明の非溶融流動性のTFE共重合体は、沈降し易い棒状粒子が少ないため、沈降安定性に優れると考えられる。
上記式(1)で示される再分散沈降率が60%を超える場合には、沈降した非溶融流動性のTFE共重合体粒子が強固に固まり、再分散が困難になる。また固形分である非溶融流動性のTFE共重合体粒子が沈降した結果、塵埃抑制処理剤組成物中に分散している非溶融流動性のTFE共重合体粒子が減少し、沈降前と同等の発塵性物質の塵埃を抑制する性能を維持するためには、より多くの非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液が必要となる。更に、強固に固まった非溶融流動性のTFE共重合体は、塵埃抑制処理剤として利用することができないため廃棄しなければならず、有用な資源である非溶融流動性のTFE共重合体の多くを無駄にしてしまうと共に、廃棄コストが発生する等、経済性の点からも好ましくない。
(非溶融流動性のTFE共重合体)
本発明に用いる非溶融流動性のTFE共重合体は、テトラフルオロエチレン(TFE)と、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン、及びヘキサフルオロプロピレンから選択される少なくとも1種のコモノマーとの非溶融流動性の共重合体であることが好ましい。
前記(パーフルオロアルキル)エチレンは、(パーフルオロアルキル)エチレン中のパーフルオロアルキル基が、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、より好ましくは(パーフルオロエチル)エチレン、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、(パーフルオロオクチル)エチレンから選択される少なくとも1種である。更に好ましくは(パーフルオロブチル)エチレンである。
前記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)は、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)中のパーフルオロアルキル基が、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、より好ましくは、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)から選択される少なくとも1種である。
本発明に用いる非溶融流動性のTFE共重合体中の前記コモノマーは、TFEに対して0.01~1.00質量%、好ましくは0.01~0.50質量%、より好ましくは0.01~0.30質量%の量で含有されている。前記コモノマーの含有量が0.01~1.00質量%の場合には、沈降し易い棒状粒子が少ないため水性分散液の安定性が向上する。一方、前記コモノマーの含有量が1.00質量%を超える場合には、熱安定性が低下するため好ましくない。また、前記コモノマーの含有量が0.01質量%未満の場合には、再分散沈降率に劣るため好ましくない。
本発明に用いる非溶融流動性TFE共重合体の融点は320~350℃であり、好ましくは334~342℃である。融点が、320℃未満の場合には、非溶融流動性中のコモノマー含有量が多くなりフィブリル化し難くなるため、好ましくない。
本発明に用いる非溶融流動性TFE共重合体は、融点以上の温度において溶融成形性を示さない共重合体であって、ASTM D1238(372℃、荷重5kg)に準拠して、融点より高い温度でMFRを測定できない共重合体であることが好ましい。この様な非溶融流動性のTFE共重合体は、溶融流動性を有し溶融成形が可能なTFE共重合体とは異なる共重合体である。
また、非溶融流動性のTFE共重合体の比重(SSG)は2.27以下、好ましくは2.22以下、より好ましくは2.20以下であることが望ましい。SSGはその値が大きいほど分子量が小さく、小さいほど分子量は大きくなるため、SSGの値が小さい、すなわち、高分子量になるほど小さな剪断力でフィブリル化し易く、発塵性物質と混合すると容易にフィブリルを発生し高い塵埃抑制効果を得ることが出来る。一方、SSGの値が大きく(2.27を超える)、すなわち、分子量が小さくなるほどフィブリル化し難くなり、発塵性物質の塵埃を抑制する効果が劣り好ましくない。
本発明の非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液は、高分子量の非溶融流動性のTFE共重合体の微粒子(コロイド粒子)が分散した水性分散液である。
非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液中の上記コロイド粒子は、累積体積百分率が84%の時の粒径(d84)が250nm以下、好ましくは50~250nm、より好ましくは50~225nmのコロイド粒子であることが望ましい。d84が50nmより小さい場合には、上記範囲にある場合に比して、発塵性物質の塵埃を抑制する効果が低くなるおそれがあり、一方d84が250nmを超える場合には、コロイド粒子の沈降安定性(分散安定性)が低くなるため、好ましくない。
粒径(d84)が250nm以下であることは、粒径(d50)が250nm以下の場合とは異なり、一次粒子に極端に大きなものが無いことを意味し、水性分散液の沈降安定性に優れることを意味している。
本発明において、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液中の非溶融流動性のTFE共重合体の濃度は特に限定されないが、10~80質量%、好ましくは15~80質量%、より好ましくは20~80質量%の範囲にある。
発塵性物質への非溶融流動性のTFE共重合体の分散効果を高めるためには、非溶融流動性のTFE共重合体濃度は低いほど好ましく、非溶融流動性のTFE共重合体濃度が高いと沈降安定性(分散安定性)が損なわれるおそれがあるため好ましくない。その一方、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液を輸送する際には、その濃度が高いほど輸送コストが節約できる。従って、本発明の塵埃抑制処理剤組成物中の非溶融流動性のTFE共重合体濃度は、10質量%以上、特に20~80質量%の範囲であることが好ましい。
また、発塵性物質へ混合する際には、塵埃抑制処理剤組成物中の非溶融流動性のTFE共重合体の分散効果を高めるため、非溶融流動性のTFE共重合体濃度が5質量%以下となるように上記塵埃抑制処理剤組成物を水で希釈して使用することも可能である。
本発明において、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液中のパーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量は、水性分散液の質量に対し10ppb未満、好ましくは5ppb未満、より好ましくは0ppbであることが望ましい。パーフルオロオクタン酸及びその塩は、難分解性で環境への影響が懸念されるため、その含有率は可及的に低いことが望まれている。
非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液中のパーフルオロオクタン酸及びその塩の濃度は、ポリエチレン容器に入れた非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液10mlを-20℃の冷凍庫に入れて凍らせ、非溶融流動性のTFE共重合体を凝集させて水と分離した後、ポリエチレン容器の中身を全てソックスレーの抽出器に移し、約80mlのメタノールで7時間抽出し、メスアップしたサンプル液を液体クロマトグラフで測定することにより算出することが出来る。
パーフルオロオクタン酸及びその塩の含有率が10ppb未満である非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液を調製する方法は特に制限がないが、以下の方法を例示できる。
例えば、前述した特許文献3及び特許文献4に開示されているように、重合時に重合剤としてパーフルオロオクタン酸及びその塩を使用せず、フルオロモノエーテル酸(C-0-CF(CF)COOH)のアンモニウム塩及びフルオロポリエーテル酸(C-O-[CF(CF)CF]n-CF(CF)COOH)のアンモニウム塩を用いてTFE共重合体を重合する方法が挙げられる。
本発明においては、発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物中の非溶融流動性のTFE共重合体が、TFEと上記コモノマーとの非溶融流動性のTFE共重合体であって、再分散沈降率が60%以下であることにより、TFEの単独重合体と同様にフィブリル化し塵埃抑制効果を得ることが可能となることに加え、優れた再分散沈降率を得ることが可能になる。また非溶融流動性TFE共重合体水性分散液中のパーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が10ppb未満であることにより、優れた環境性能をも有している。
本発明に用いる非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液は、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液の安定性を高めるため、更に乳化安定剤を含んでいてもよい。乳化安定剤としては、炭化水素系アニオン系界面活性剤が好ましい。この界面活性剤は本質的に土中成分であるカルシウム、アルミニウム及び鉄分と水に不溶性又は難溶性の塩を形成するため、界面活性剤に起因する河川、湖沼及び地下水汚染を回避することが出来る。
このような炭化水素系アニオン系界面活性剤としては、高級脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、二塩基性脂肪酸エステルスルホン酸塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などがあるが、特にポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルエチレンスルホン酸(ポリオキシエチレンのnは1~6、アルキルの炭素数は8~11)、アルキルベンゼンスルホン酸(アルキルの炭素数は10~12)、ジアルキルスルホコハク酸エステル(アルキルの炭素数は8~10)などのNa,K,Li及びNH 塩は、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液に高い機械的安定性の付与が可能であり、高速攪拌等により非溶融流動性のTFE共重合体粒子が凝集すること等が防止されるため、好ましいものとして例示することができる。
(塵埃抑制処理方法)
本発明の塵埃抑制処理剤組成物を用いた塵埃抑制処理方法は、本発明の塵埃抑制処理剤組成物を発塵性物質と混合し、該混合物に20~200℃、好ましくは50~150℃の温度で圧縮-剪断作用を施し、該組成物中の非溶融流動性のTFE共重合体をフィブリル化することにより、発塵性物質の塵埃の発生を抑制することができる。
すなわち、本発明に用いる特定の非溶融流動性のTFE共重合体は、上記したような適度な条件下で圧縮-剪断作用を施すとクモの巣状にフィブリル化し超微細繊維化するため、本発明の塵埃抑制処理剤組成物を用いて処理された塵埃抑制処理物は、発塵性物質がクモの巣状の微細繊維に捕捉凝集されて塵埃抑制されていると考えられる。
本発明の塵埃抑制処理剤組成物を用いて塵埃抑制処理される発塵性物質は、無機及び/または有機の発塵性物質であって、物質、形状などには特に限定はない。本発明の塵埃抑制処理剤組成物は、発塵性物質として発塵性粉末状物質にも効果的に適用できる。特に好適に処理可能な発塵性物質としては、例えば、ポルトランドセメント、アルミナセメントなどのセメント類、消石灰、生石灰粉末、炭酸カルシウム、ドロマイト、マグネサイト、タルク、珪石、蛍石などの鉱産物粉末、カオリン、ベントナイト等の粘土鉱物粉、鉄鋼等の金属、非鉄金属の製造工程で副生されるスラグ粉末、石炭、ゴミ等の燃焼灰粉末、石膏粉末、粉末状金属、カーボンブラック、活性炭粉、金属酸化物等のセラミックス粉、顔料等が挙げられ、すなわち固体粒子状物質が空気中に飛散し浮遊し、塵埃を発生する全ての発塵性物質が挙げられる。
本発明の塵埃抑制処理剤組成物の発塵性物質への添加量は、発塵性物質の種類、粒度分布、比重(真比重、見掛け比重)、塵埃抑制処理温度、施す圧縮-剪断作用の度合い、得られる塵埃抑制処理物の塵埃抑制の程度等によって適宜設定することができる。
なお、添加量の目安としては、例えば、発塵性粉末状物質に対して塵埃抑制処理剤組成物を非溶融流動性のTFE共重合体樹脂固形分換算で0.001~1.0質量%、好ましくは0.005~0.50質量%の範囲で添加することにより、発塵性粉末状物質から発生する塵埃を抑制することができる。
更に、本発明の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物は、長期間の静置後であっても、非溶融流動性のTFE共重合体が強固に固まることが無く、すなわち、再分散性に優れている(再分散沈降率が低い)ため、廃棄コストの削減が可能になる等、経済性の点からも好ましい。
更に、本発明の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物を造粒後、乾燥して得られる粉末からなる発塵性物質の塵埃抑制処理剤粉末を用いることにより、吸湿性または潮解性等を有する水分を嫌う発塵性物質に対して防塵処理することも出来る。尚、粉末を用いた防塵処理方法については、例えば、特公昭52-32877号公報を参酌することが出来る。
以下に本発明を、実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、この説明が本発明を限定するものではない。尚、実施例11~13及び実施例32~35は参考例である。
本発明において各物性の測定は、下記の方法によって行った。
[1]累積体積百分率84%における粒径(d84)
非溶融流動性のTFE共重合体粒子の粒径(d84)、またはTFE重合体粒子の粒径は、マイクロトラックUPA150 Model No.9340(日機装社製)を用いて測定した。
[2]標準比重(SSG)
ASTM D-4894により測定した。
乳化重合により得られる非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液、またはTFE重合体水性分散液を、純水を用いて15質量%濃度に調整した。その後ポリエチレン容器(500ml容量)に上記濃度に調整された非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液、またはTFE重合体水性分散液を約750ml入れ、手で激しく振蕩して固形分を凝集させ分離した。分離した固形分を150℃で2時間乾燥した。乾燥した固形分(樹脂粉末)12.0gを直径2.85cmの円筒形型中に入れてならし、30秒後に最終圧力が350kg/cmとなるよう圧力を次第に増加し、350kg/cmの最終圧力で2分間保持した。このようにして得られた予備成形体(1サンプルに対して2個作成)を空気炉中で290℃から2℃/minで380℃まで昇温して380℃にて30分間保持、1℃/minで294℃まで降温、294℃で1分間保持した後、空気炉中から取り出し室温(23±1℃)で冷却して標準試料とした。室温(23±1℃)における同体積の水の質量に対する標準試料の質量比を標準比重とした。この場合、2個の試料の標準比重の平均値を求めて標準比重とした。
この標準比重は平均分子量の目安となり、一般に標準比重が低い程分子量は大きい。
[3―1]コモノマー含有量((パーフルオロブチル)エチレン(PFBE)の含有量)
上記[2]と同一の方法にて、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液、またはTFE重合体水性分散液から得られた乾燥した固形分(樹脂粉末)0.8±0.050gを直径2.85cmの円筒形型中に入れアルミ箔の間でならし、30秒後に最終圧力が496kg/cmになるように圧力を次第に増加し、この最終圧力をかけたまま2分間保ち、測定用の試料を得た。同様にPFBE含有量(質量%)が既知の樹脂粉末(PFBE含有量が0質量%と0.03質量%の2点)についても測定試料を作成した。これらの試料の赤外線スペクトルを測定し、以下の式(3)により吸光度比Xを求めた。
吸光度比X=(C-B)/(A-B)・・・(3)
A:936cm-1ピーク高さ(吸光度)
B:887cm-1ピーク高さ(吸光度)
C:875cm-1ピーク高さ(吸光度)
PFBE含有量(質量%)が既知の試料2点のPFBE含有量(質量%)と吸光度比Xから検量線を作成し、当該試料の吸光度比Xから当該試料のPFBE含有量(質量%)を求めた。
[3―2]コモノマー含有量(パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)の含有量)
上記[2]と同一の方法にて、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液、またはTFE重合体水性分散液から得られた乾燥した固形分(樹脂粉末)1.75±0.005gを直径2.85cmの円筒形型中に入れアルミ箔の間でならし、30秒間圧力をかけて次第に増加させて最後の圧力が1470kg/cmになるようにし、この最終圧力をかけたまま2分間保ち、測定用の試料1を得た。同様にPPVEの含有量(質量%)が既知の樹脂粉末(PPVE含有量が0質量%と0.75質量%の2点)についても測定試料を作成した。これらの試料の赤外線スペクトルを測定し、以下の式(4)、(5)により吸光度比および吸光度比Xを求めた。
吸光度比X=(試料1の吸光度比/既知の樹脂粉末の吸光度比)×
0.75・・・(4)
吸光度比=B/A・・・(5)
:936cm-1ピーク高さ(吸光度)
:994cm-1ピーク高さ(吸光度)
PPVE含有量(質量%)が既知の試料2点のPPVE含有量(質量%)と吸光度比Xから検量線を作成し、当該試料の吸光度比Xから当該試料のPPVE含有量(質量%)を求めた。
[3―3]コモノマー含有量(ヘキサフルオロプロピレン(HFP)の含有量)
上記[2]と同一の方法にて、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液、またはTFE重合体水性分散液から得られた乾燥した固形分(樹脂粉末)のサンプル1.75±0.005gを直径2.85cmの円筒形型中に入れアルミ箔の間でならし、30秒間圧力をかけて次第に増加させて最後の圧力が1470kg/cmになるようにし、この最終圧力をかけたまま2分間保ち、測定用の試料を得た。同様にHFP含有量(質量%)が既知の樹脂粉末(HFP含有量が0.06質量%、0.08質量%、0.12質量%の3点)についても測定試料を作成する。これらの試料の赤外線スペクトルを測定し、以下の式(6),(7)により吸光度比および吸光度比Xを求めた。
吸光度比X=(試料の吸光度比/既知試料の吸光度比)×0.42
・・・(6)
吸光度比=B/A・・・(7)
:936cm-1ピーク高さ(吸光度)
:983cm-1ピーク高さ(吸光度)
HFP含有量(質量%)が既知の試料3点のHFP含有量(質量%)と吸光度比Xから検量線を作成し、当該試料の吸光度比Xから当該試料のHFP含有量(質量%)を求めた。
[4]固形分質量%
6g未満の非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液、またはTFE重合体水性分散液を、風袋質量計量済みのアルミ皿に計り取り、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液、またはTFE重合体水性分散液の質量(乾燥前質量)を計量(小数点以下4桁まで計量)した。その後、105℃の乾燥機中で2時間静置し水分を除去し、380℃の恒温オープンで20分間焼成し室温まで冷却した後、その質量(乾燥後質量)を計量し、下記式(8)にて固形分質量%を算出した。
固形分質量%=[(乾燥後質量-アルミ皿の風袋質量)/乾燥前質量]×
100・・・(8)
[5]融点
上記[2]と同一の方法にて、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液、またはTFE重合体水性分散液から得られた乾燥した固形分(樹脂粉末)を、測定用スーパークリーンアルミニウム製サンプルパン(株式会社パーキンエルマージャパン製)に10.0±0.3mg入れた後カバーを乗せ、標準クリンパープレスを用いて密閉し測定用サンプルを作成した。その測定用サンプルを入力補償型示差走査熱量測定装置Diamond DSC(株式会社パーキンエルマージャパン製)を用い、空のスーパークリーンアルミニウム製サンプルパンを基準物質とし、200℃から370℃まで10℃毎分で昇温しながら熱量を測定した。測定の結果、観測された吸熱ピークが最大となる点の温度を測定用サンプル(樹脂粉末)の融点とした。
[6]遠心分離沈降試験
表1に示す組成の非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液またはTFE重合体水性分散液15gを、遠沈管(コーニング株式会社製、15ml遠沈管)に入れ、遠心分離機(クボタ株式会社製、テーブルトップ冷却遠心機5500、アングルローター RA508)を用い、温度20℃、回転数3000rpmにて30分間遠心分離を行った。遠心分離後の遠沈管から遠沈管の底に沈降した固形分以外(液部分:上澄み及び沈降していない固形分)を除去し、遠沈管を逆さの状態で30分間静置し液部分を更に除去して、その質量(遠沈管の質量と遠沈管の底に沈降した固形分質量の合計)を測定し、そこから遠沈管の質量を減じた質量を固形分沈降量として、下記式(10)から固形分沈降割合、及び下記式(9)から沈降率を算出した。
沈降率=X/X ×100・・・(9)
式中、
:比較例1に示すTFE重合体水性分散液15gを、温度20℃、回
転速度3000rpmにて30分間、遠心分離機により遠心分離し
た後、遠沈管の底に沈降した固形分以外(液部分:上澄み及び沈降
していない固形分)を除去した際の下記式(10)で示される固形
分沈降割合(%)である。
:実施例に示す非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液15gを、
温度20℃、回転速度3000rpmにて30分間、遠心分離機に
より遠心分離した後、遠沈管の底に沈降した固形分以外(液部分:
上澄み及び沈降していない固形分)を除去した際の下記式(10)
で示される固形分沈降割合(%)である
固形分沈降割合(%)
=(固形分沈降量)/(遠心分離前の固形分質量)×100・・・(10)
[7]遠心分離再分散試験
上記[6]において液部分を除去した遠沈管の質量を測定し、該遠沈管に10gの純水を加え、遠沈管の底に沈降した固形分を、38kHzにて1分間超音波分散した後、遠沈管の底に沈降した固形分以外(液部分及び再分散した固形分)を除去し、遠沈管を逆さの状態で30分間静置し液部分を更に除去して、その重量(遠沈管の質量と遠沈管の底に沈降した固形分質量の合計)を測定し、そこから遠沈管の質量を減じた質量を再分散後の固形分沈降量として、下記式(2’)から再分散後の固形分沈降割合、及び下記式(1’)から再分散沈降率を算出した。
再分散沈降率(%)=X/X ×100・・・(1’)
式中、
:比較例1に示すTFE重合体の水性分散液15gを、温度20℃、
回転速度3000rpmにて30分間、遠心分離機により遠心分離
した後、再分散させた際の下記式(2’)で示される固形分沈降割
合(%)である。
:実施例に示す非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液15gを、
温度20℃、回転速度3000rpmにて30分間、遠心分離機に
より遠心分離した後、再分散させた際の下記式(2’)で示される
固形分沈降割合(%)である。
再分散後の固形分沈降割合(%)
=(再分散後の固形分沈降量)/(遠心分離前の固形分質量)×100
・・・(2’)
[8]静置沈降試験
表2に示すように、15gの非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液またはTFE重合体水性分散液を遠沈管に入れ、遠沈管の口を閉じた後に、30日間及び60日間、90日間、各々室温にて静置した。30日間または60日間、90日間静置後、遠沈管の口を開け、沈降している固形分以外(液部分:上澄み及び沈降していない固形分)を除去し、遠沈管を逆さの状態で30分間静置し液部分を更に除去して、その質量(遠沈管の質量と遠沈管の底に沈降した固形分質量の合計)を測定し、そこから遠沈管の質量を減じた質量を静置後の固形分沈降量として、下記式(12)から固形分沈降割合、及び下記式(11)から沈降率を算出した。
沈降率=X/X ×100・・・(11)
式中、
:比較例1に示すTFE重合体水性分散液15gを、遠沈管の口を閉
じた後に、30日間及び60日間、90日間、各々室温にて静置し
た後、沈降している固形分以外(液部分:上澄み及び沈降していな
い固形分)を除去し、遠沈管を逆さの状態で30分間静置し液部分
を更に除去した際の下記式(12)で示される固形分沈降割合(%
)である。
:実施例に示す非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液15gを、
遠沈管の口を閉じた後に、30日間及び60日間、90日間、各々
室温にて静置した後、沈降している固形分以外(液部分:上澄み及
び沈降していない固形分)を除去し、遠沈管を逆さの状態で30分
間静置し液部分を更に除去した後、静置後の固形分沈降量(質量)
を測定し、下記式(12)で示される固形分沈降割合(%)である

固形分沈降割合(%)
=(静置後の固形分沈降量)/(静置前の固形分質量)×100
・・・(12)
[9]静置沈降再分散試験
上記[8]において静置した試験管の質量を測定し、該遠沈管に10gの純水を加え、遠沈管の底に沈降した固形分を、38kHzにて1分間超音波分散した後、遠沈管の底に沈降した固形分以外(液部分及び再分散した固形分)を除去し、遠沈管を逆さの状態で30分間静置し液部分を更に除去して、その質量(遠沈管の質量と遠沈管の底に沈降した固形分量の合計)を測定し、そこから遠沈管の質量を減じた質量を再分散後の固形分沈降量として、下記式(14)から再分散固形分沈降割合、及び下記式(13)から再分散沈降率を算出した。
再分散沈降率=X/X ×100・・・(13)
式中、
:比較例1に示すTFE重合体水性分散液15gを、遠沈管の口を閉
じた後に、30日間及び60日間、90日間、各々室温にて静置し
た後、沈降している固形分以外(液部分:上澄み及び沈降していな
い固形分)を除去し、遠沈管を逆さの状態で30分間静置し液部分
を更に除去した後、再分散させた際の下記式(14)で示される固
形分沈降割合(%)である。
:実施例に示す非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液15gを、
遠沈管の口を閉じた後に、30日間及び60日間、90日間、各々
室温にて静置した後、沈降している固形分以外(液部分:上澄み及
び沈降していない固形分)を除去し、遠沈管を逆さの状態で30分
間静置し液部分を更に除去した後、再分散させた際の下記式(14
)で示される固形分沈降割合(%)である。
再分散後の固形分沈降割合(%)
=(再分散後の固形分沈降量)/(遠心分離前の固形分質量)×100
・・・(14)
[10]落下発塵試験(落下発塵量)
内径39cm、高さ59cmの円筒容器の頂部投入口より試料(塵埃抑制処理物)200gを自然落下させ、底面より高さ45cmの位置の容器内の浮遊粉塵量(相対濃度(CPM:Count per Minute)を散乱光式デジタル粉塵計により測定した。
浮遊粉塵量の測定は、試料投入後1分間の計測を連続5回行い、試料投入前の測定値(ダークカウント)を差し引いた値の幾何平均値x(CPM)を当該試料の「落下発塵量」とした。幾何平均値xは下記式(15)により求めた。
Log x=(1/5)×Σlog(xi‐d)・・・(15)
式中、xi:個々の浮遊粉塵量、d:ダークカウントである。
この落下発塵量(CPM)が50以下である場合には、防塵性能がより優れているため更に好ましい。
(実施例1)
(非溶融流動性のTFE共重合体の重合)
攪拌翼及び温度調節用ジャケットを備えた、内容量が4リットルのステンレス鋼(SUS316)製オートクレーブに、パラフィンワックスを60g、脱イオン水を2087 ml、フルオロモノエーテル酸(式C-0-CF(CF)COOH)のアンモニウム塩を12.03g、フルオロポリエーテル酸(C-O-[CF(CF)CF]n-CF(CF)COOH)のアンモニウム塩を1.0g、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを0.01g仕込み、80℃に加温しながら窒素ガスで3回系内を置換し酸素を除いた後、真空引きを行った。その後、PFBEを4.4g、フルオロモノエーテル酸のアンモニウム塩を0.2g、及び脱イオン水を199.8ml仕込んだ後、テトラフルオロエチレン(TFE)を供給して、内圧を1.90-1.98MPaにし、110rpmで攪拌しながら、内温を80℃に保った。
次に、400mlの水に0.12gの過硫酸アンモニウムを溶かした水溶液から、水溶液100mlをポンプで注入した。過硫酸アンモニウム水溶液の注入が終了した後、内圧を2.0MPaに保つように引き続きTFEを供給した。TFEの消費が1106.79gになった時点で、攪拌を停止した。オートクレーブ内のガスを常圧まで放出し、真空引きを行い、窒素ガスで常圧に戻した後で内容物を取り出し反応を終了し、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液を得た。
得られた非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液について、累積体積百分率84%における粒径(d84)、SSG、PFBE含有量、固形分質量、融点、並びにパーフルオロオクタン酸及びその塩の量を測定した。また、遠心分離沈降試験、遠心分離沈降再分散試験を行った。結果を表1及び図1に示す。
(実施例2及び3)
PFBEを表1に示す量とした以外は実施例1と同様にして、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液を得た。得られた非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液について、累積体積百分率84%における粒径(d84)、SSG、PFBE含有量、固形分質量、融点、並びにパーフルオロオクタン酸及びその塩の量を測定した。また、遠心分離沈降試験、遠心分離沈降再分散試験を行った。結果を表1及び図1に示す。
(比較例1)
TFE重合体水性分散液(テフロン(登録商標)PTFEディスパージョン 312-JR、三井・ケマーズ フロロプロダクツ株式会社製)について、累積体積百分率84%における粒径(d84)、SSG、PFBE含有量、固形分質量、並びにパーフルオロオクタン酸及びその塩の量を測定した。また、遠心分離沈降試験、遠心分離沈降再分散試験を行った。また、実施例1と同様にして物性分析した。結果を表1及び図1に示す。
さらに、実施例1及び2、並びに比較例1について、静置沈降試験、静置沈降再分散試験を行った。結果を表2及び図2に示す。併せて、実施例2及び比較例1について静置90日後の写真を図3に示す。
(落下発塵試験)
(実施例4、比較例2)
CaOを95.7%及びMgOを1.6%含有する粉末生石灰(2.0mmの標準網フルイを全通、1.0mmの標準網フルイ残分17.3%、600μmの標準網フルイ残分18.9%、300μmの標準網フルイ残分18.1%、150μmの標準網フルイ残分14.1%、150μmの標準網フルイ通過分31.6%の粉末生石灰)1,000gを容積5リットルの小型ソイルミキサーに投入し、回転数140rpmで攪拌しながら、実施例2または比較例1で調製した非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液またはTFE重合体水性分散液を固形分質量換算で0.05g(生石灰に対し非溶融流動性のTFE共重合体またはTFE重合体の固形分質量で0.005質量%)に相当する質量を秤量し、非溶融流動性TFE共重合体水性分散液またはTFE重合体水性分散液に含まれる水分と水との合計が100gになるように水で希釈して、該組成物を分散させた分散液を徐々に投入した。
投入開始より約1分後には生石灰の水和反応熱による水蒸気を発生し始め、その後約2分で水分のすべてが生石灰の水和による消石灰の生成のため使用され尽くし、水蒸気の発生が無くなった。攪拌開始より3分後にミキサーの攪拌を止めた。このときの温度を温度計で計測すると107℃であった。この塵埃抑制処理された生石灰は、水和反応により新たに生成した消石灰約30%を含む生石灰と消石灰の混合物であった。得られた塵埃抑制
処理物について落下発塵試験を行った。結果を表3に示す。
(実施例5及び6、比較例3及び4)
実施例2または比較例1で調製した非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液またはTFE重合体水性分散液を、表3に示す添加量(発塵性物質に対する固形分質量%)に相当する質量を秤量し、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液またはTFE重合体水性分散液に含まれる水分と水との合計が100gになるように水で希釈した分散液を使用した以外は、実施例4と同様にして塵埃抑制処理された生石灰と消石灰の混合物を得た。得られた塵埃抑制処理物の落下発塵試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例5)
非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液またはTFE重合体水性分散液を使用せず、水100gを用いた以外は、実施例4と同様にして得られた生石灰と消石灰の混合物の落下発塵試験を行った。結果を表3に示す。
(実施例7~13)
(非溶融流動性のTFE共重合体の重合)
攪拌翼及び温度調節用ジャケットを備えた、内容量が4リットルのステンレス鋼(SUS316)製オートクレーブに、パラフィンワックスを60g、脱イオン水を2087 ml、フルオロモノエーテル酸(式C-0-CF(CF)COOH)のアンモニウム塩を12.03g、フルオロポリエーテル酸(C-O-[CF(CF)CF]n-CF(CF)COOH)のアンモニウム塩を1.0g、及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを0.01g仕込み、80℃に加温しながら窒素ガスで3回系内を置換し酸素を除いた後、真空引きを行った。その後、コモノマー(HFPまたはPPVE)を、表4に記載する量ポンプで注入した。その後、テトラフルオロエチレン(TFE)を供給して、内圧を1.90-1.98MPaにし、110rpmで攪拌しながら、内温を80℃に保った。
次に、400mlの水に0.12gの過硫酸アンモニウムを溶かした水溶液から、水溶液100mlをポンプで注入した。過硫酸アンモニウム水溶液の注入が終了した後、内圧を2.0MPaに保つように引き続きTFEを供給した。TFEの消費が1106.79gになった時点で、攪拌を停止した。オートクレーブ内のガスを常圧まで放出し、真空引きを行い、窒素ガスで常圧に戻した後で内容物を取り出し反応を終了し、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液を得た。
得られた非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液について、累積体積百分率84%における粒径(d84)、SSG、PFBE含有量、固形分質量、融点、並びにパーフルオロオクタン酸及びその塩の量を測定した。また、遠心分離沈降試験、遠心分離沈降再分散試験を行った。結果を表4に示す。
(実施例14、15、21、23、24、29、30、32~35)
下記に示す発塵性物質、及び実施例7~13で調製した非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液を表5又は表6に示す添加量(発塵性物質に対する固形分質量%)に相当する質量を秤量し、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液に含まれる水分と水との合計が100gになるように水で希釈した分散液を使用し、下記の方法にて塵埃抑制処理物を得た。得られた塵埃抑制処理物の落下発塵試験を行った。結果を表5又は表6に示す。
(実施例16~20、22、25~28、31)
下記に示す発塵性物質、及び実施例7~13で調製した非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液を表5又は表6に示す添加量(発塵性物質に対する固形分質量%)に相当する質量を秤量し、非溶融流動性のTFE共重合体水性分散液に含まれる水分と水との合計が35gになるように水で希釈した分散液を使用し、下記の方法にて塵埃抑制処理物を得た。得られた塵埃抑制処理物の落下発塵試験を行った。結果を表5又は表6に示す。
<発塵性物質>
・粉末生石灰(CaOを96.0%及びMgOを0.9%含有)
(2.0mmの標準網フルイを全通、1.0mmの標準網フルイ残分0.18%、600μmの標準網フルイ残分2.48%、300μmの標準網フルイ残分20.44%、150μmの標準網フルイ残分20.58%、150μmの標準網フルイ通過分56.32%の粉末生石灰)
粉末生石灰の防塵処理(実施例14、15、21、23、24、29、30、32~35):
粉末生石灰1000gをモルタルミキサの容器に秤量し、容器をモルタルミキサにセットして低速で攪拌し、上記の水で希釈した分散液(表5に示す添加量に相当する非溶融流動性のTFE共重合体の質量+水100g)をモルタルミキサ内に投入し、攪拌開始より3分後にミキサーの攪拌を止めた。その後、モルタルミキサ内の生石灰をホーロートレイに移し、約5分間放冷して塵埃抑制処理物を得た。
・普通ポルトランドセメント、(CaOを64.3%及びMgOを1.1%、SiOを20.5%、Alを5.1%、Feを3.1%及びSOを2.0%含有)
(2.0mmの標準網フルイを全通、1.0mmの標準網フルイを全通、600μmの標準網フルイを全通、300μmの標準網フルイを全通、150μmの標準網フルイ残分0.22%、150μmの標準網フルイ通過分99.78%の普通ポルトランドセメント)
普通ポルトランドセメント(以下、セメントという)と前記粉末生石灰の9:1混合物の防塵処理(実施例16、22、25、31):
セメントを450g×2秤量し、ホーロー製トレイに敷均して、105℃で1昼夜加温した。粉末生石灰100gをモルタルミキサの容器に秤量し、上記の水で希釈した分散液(表5又は表6に示す添加量に相当する非溶融流動性のTFE共重合体の質量+水35g)をモルタルミキサ内に投入し、低速で1分間攪拌し材料Aを得た。得られた材料Aに、105℃に加温したセメント450gを加え、更に1分間攪拌して材料Bを得た。得られた材料Bに105℃に加温したセメント450gを加え、モルタルミキサで3分間攪拌して塵埃抑制処理物を得た。
・無水石膏
(2.0mmの標準網フルイを全通、1.0mmの標準網フルイを全通、600μmの標準網フルイ残分0.13%、300μmの標準網フルイ残分0.22%、150μmの標準網フルイ残分11.33%、150μmの標準網フルイ通過分88.31%の無水石膏)
無水石膏の防塵処理(実施例17,26):
無水石膏を500g×2秤量し、ホーロー製トレイに敷均して、105℃で1昼夜加温した。加温した無水石膏500gをモルタルミキサの容器に秤量し、上記の水で希釈した分散液(表5又は表6に示す添加量に相当する非溶融流動性のTFE共重合体の質量+水35g)をモルタルミキサ内に投入し低速で1分間攪拌し、更に105℃に加温した無水石膏500gを加え3分間攪拌した後、ホーロー製トレイに敷き均し、105℃で1時間加温して混合物を得た。該混合物約1kgを乳鉢に入れ乳棒で9分間攪拌して塵埃抑制処理物を得た。
・高炉水砕スラグ微粉末
(2.0mmの標準網フルイを全通、1.0mmの標準網フルイを全通、600μmの標準網フルイ残分0.02%、300μmの標準網フルイ残分0.06%、150μmの標準網フルイ残分0.31%、150μmの標準網フルイ通過分99.61%の高炉水砕スラグ)
高炉水砕スラグ微粉末スラグの防塵処理(実施例18,27):
高炉水砕スラグ微粉末スラグを用いた以外は前記無水石膏の防塵処理と同様にして、塵埃抑制処理物を得た。
・ドロマイト
(2.0mmの標準網フルイを全通、1.0mmの標準網フルイ残分0.06%、600μmの標準網フルイ残分0.50%、300μmの標準網フルイ残分3.44%、150μmの標準網フルイ残分8.20%、150μmの標準網フルイ通過分87.79%のドロマイト)
ドロマイトの防塵処理(実施例19,28):
ドロマイトを500g×2秤量し、ホーロー製トレイに敷均して、105℃で1昼夜加温した。加温したドロマイト500gをモルタルミキサの容器に秤量し、上記の水で希釈した分散液(表5又は表6に示す添加量に相当する非溶融流動性のTFE共重合体の質量+水35g)をモルタルミキサ内に投入し低速で1分間攪拌し、更に105℃に加温したドロマイト500gを加え3分間攪拌した後、ホーロー製トレイに敷き均し、105℃で1時間加温して混合物を得た。該混合物約1kgをモルタルミキサに入れ3分間攪拌して塵埃抑制処理物を得た。
・亜炭粉末
(2.0mmの標準網フルイを全通、1.0mmの標準網フルイを全通、600μmの標準網フルイを全通、300μmの標準網フルイ残分0.02%、150μmの標準網フルイ残分33.03%、150μmの標準網フルイ通過分66.95%の亜炭粉末)
亜炭粉末の防塵処理(実施例20):
亜炭粉末(吸湿性を有する発塵性粉体)を500g秤量し、ホーロー製トレイに敷均して、105℃で1昼夜加温した。実施例7の水性分散液の固形分が15%になるよう純水を添加し、攪拌機をセットした造粒槽に投入した後、600~700rpmにて粉末が析出するまで攪拌し、析出後更に3~5分間攪拌を継続し、析出した粉末をメッシュで回収し水分と分離した後、150℃のオーブンにて2~15時間水分が無くなるまで乾燥し室温まで放冷して、実施例7の水性分散液からなる粉末を得た。得られた該粉末5gと加温んした亜炭粉末の約1/4を、乳鉢に入れた後、乳棒でゆっくりと混合した。更に亜炭粉末を1/4ずつ3回に分けて加えながら混合した後、ホーロー製トレイに敷き均し、105℃で1時間加温して混合物を得た。該混合物約500gを乳鉢に入れ、非溶融流動性のTFE共重合体が十分にフィブリル化するまで乳棒で混合し、塵埃抑制処理物を得た。
本発明の塵埃抑制処理剤組成物は、建材分野、土壌安定材分野、固化材分野、肥料分野、焼却灰又は有害物質の埋立処分分野、防爆分野、化粧品分野、各種プラスチックス類への充填材分野等において、発塵性物質を塵埃抑制処理して発塵性物質の塵埃抑制処理物を得るのに好適に用いる。

Claims (10)

  1. 非溶融流動性のテトラフルオロエチレン共重合体の水性分散液から成り、下記式にて示される共重合体の再分散沈降率が60%以下であり、前記水性分散液中のパーフルオロオクタン酸及びその塩の含有量が10ppb未満であり、前記共重合体の累積体積百分率が84%の時の粒径(d84)が50~250nmであり、前記非溶融流動性のテトラフルオロエチレン共重合体が、テトラフルオロエチレンと、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン及びヘキサフルオロプロピレンから選択される少なくとも1種のコモノマーとの非溶融流動性の共重合体であることを特徴とする発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物。
    再分散沈降率(%)=X/X×100
    式中、
    :前記共重合体と同濃度のテトラフルオロエチレン重合体の水性分散液15gを、温度20℃、回転速度3000rpmにて30分間、遠心分離機により遠心分離した後、再分散させた際の、下記式にて示される再分散後の固形分沈降割合(%)
    :前記共重合体の水性分散液15gを、温度20℃、回転速度3000rpmにて30分間、遠心分離機により遠心分離した後、再分散させた際の、下記式にて示される再分散後の固形分沈降割合(%)
    再分散後の固形分沈降割合(%)
    =(再分散後の固形分沈降量)/(遠心分離前の固形分質量)×100
  2. 前記パーフルオロオクタン酸及びその塩の前記水性分散液中の含有量が、5ppb未満である請求項1に記載の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物。
  3. 前記(パーフルオロアルキル)エチレン中のパーフルオロアルキル基が、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基である請求項1または2記載の塵埃抑制処理剤組成物。
  4. 前記(パーフルオロアルキル)エチレンが、(パーフルオロエチル)エチレン、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、及び(パーフルオロオクチル)エチレンから選択される少なくとも1種である請求項1または2記載の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物。
  5. 前記コモノマーが、テトラフルオロエチレンに対し0.01~1.00質量%の量で含有されている請求項1または2に記載の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物。
  6. 前記コモノマーが、テトラフルオロエチレンに対し0.01~0.50質量%の量で含有されている請求項1または2に記載の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物。
  7. 前記共重合体が、塵埃抑制処理剤組成物中に10~80質量%の濃度で含有されている請求項1または2に記載の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物。
  8. 前記共重合体の比重(SSG)が、2.27以下である請求項1または2に記載の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物。
  9. 前記発塵性物質が、発塵性粉末状物質である請求項1または2に記載の発塵性物質の塵埃抑制処理剤組成物。
  10. 請求項1記載の塵埃抑制処理剤組成物を造粒後、乾燥して得られる粉末からなる発塵性物質の塵埃抑制処理剤粉末。
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