JP7765230B2 - 滑り軸受の製造方法 - Google Patents

滑り軸受の製造方法

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Description

本発明は、滑り軸受の製造方法に関する。
例えば、回転体を支持軸に回転可能に支持する軸受として、滑り軸受が広く用いられている。一般に滑り軸受は、転がり軸受と比較して、軽量であり構造が単純で部品点数が少なく安価である。例えば、合成樹脂製の滑り軸受は、ペレットを用いて射出成形することなどにより製造される。
従来、合成樹脂製の滑り軸受の摩擦摩耗特性を向上させるため、ベース樹脂に様々な充填剤が混合されて使用されている。例えば、ポリアミド樹脂に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂やその他の充填剤などが配合された樹脂材が一般的に知られている。このような滑り軸受の製造方法としては、ベース樹脂に各充填剤の原料を混合した混合物を溶融混練してペレットを作製し、当該ペレットを用いて成形する方法が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
特開昭63-251448号公報 特開平7-41666号公報 特開2012-102189号公報
近年、合成樹脂製の滑り軸受の使用環境が多岐にわたっており、過酷な条件でも使用されている。従来、種々の充填剤の選定によって、滑り軸受の摩擦摩耗特性は向上しているものの、省エネ要求などにより、さらなる摩擦摩耗特性の向上が求められている。また、例えば、高面圧(5MPa程度)などの過酷な条件で使用される滑り軸受や潤滑油の使用できない環境で無潤滑かつ高面圧で使用される滑り軸受においても、同様の要求がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、従来の合成樹脂製の滑り軸受よりも優れた摩擦摩耗特性を備え、例えば、無潤滑条件や高面圧条件であっても好適に使用可能な滑り軸受を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の滑り軸受の製造方法は、滑り軸受の製造方法であって、(1)PTFE樹脂の粉末と上記PTFE樹脂以外の添加剤の粉末を混合する工程と、(2)上記(1)工程で得られた混合粉末を圧縮して、焼成する工程と、(3)上記(2)工程で得られた焼成体を粉砕する粉砕工程と、(4)上記(3)工程で得られた粉砕体を、ベース樹脂と混合する工程と、(5)上記(4)工程で得られた混合物をペレット化する工程と、(6)上記(5)工程で得られたペレットを用いて成形する工程と、を備えることを特徴とする。
上記(3)工程で得られた上記粉砕体において、上記添加剤の粒子は、その表面の全体または一部が上記PTFE樹脂で覆われていることを特徴とする。ここで、「PTFE樹脂で覆われている」とは、添加剤粒子がPTFE樹脂の塊内に分散された状態や添加剤粒子の表面の少なくとも一部の領域がPTFE樹脂により内包されている状態をいい、例えば、添加剤粒子の全体をPTFE樹脂が包み込んだ状態や、添加剤粒子の一部の表面が露出するようにPTFE樹脂に包まれた状態も含まれる。なお、「PTFE樹脂で覆われている」には、添加剤粒子とPTFE樹脂粒子とが単に付着している状態は含まれない。ここで、添加剤粒子やPTFE樹脂粒子とは、添加剤やPTFE樹脂の個々の粉体単位(粉体1個)を意味しており、個々の粉体の形状を特定するものではない。例えば、球状、鱗片状、繊維状などの形状を含む概念である。
上記(3)工程で得られた上記粉砕体は、平均粒子径が100μm~200μmであることを特徴とする。
上記(1)工程において、上記PTFE樹脂の配合量は、上記添加剤の配合量よりも多いことを特徴とする。なお、ここでいう配合量とは、体積基準である。
上記PTFE樹脂以外の添加剤は、グラファイトおよびコークスのうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする。
上記ベース樹脂は、熱可塑性ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、およびポリアセタール(POM)樹脂から選ばれる少なくとも1つの合成樹脂であり、上記(6)工程は、上記ペレットを用いて射出成形する工程であることを特徴とする。
本発明の滑り軸受の製造方法は、従来の滑り軸受の製造方法とは異なり、上記(1)~(3)の工程を有する。すなわち、射出成形用ペレットを製造する際、ベース樹脂と各種添加剤を同時に混合してペレットを製造するのではなく、ベース樹脂とは別個に所定の添加剤成分のみを混合、成形、焼成した後に粉砕して、粉砕体の形態としてベース樹脂と混合してペレットを製造する。その結果、PTFE樹脂が添加剤粒子を内包するような形態となり、それぞれの添加剤粒子より大きな粒子として存在するため、摺動時に添加剤が脱落、剥離しにくくなり、摩耗特性が向上する。また、例えば滑り軸受の摩耗特性を向上させるために硬い添加剤を含む場合、直接摺動すると相手材を傷つけたり動摩擦係数を増大させたりする要因になり得るが、添加剤粒子がPTFE樹脂に包まれていることで、摺動時に添加剤と相手材が直接接触する頻度が減少し、相手材の損傷を抑え、動摩擦係数を低減できる。これにより、優れた摩擦摩耗特性を備える滑り軸受を得ることができる。
上記(1)工程において、PTFE樹脂の配合量は、添加剤の配合量よりも多いので、後の(3)工程で粉砕体とした際に、PTFE樹脂が添加剤の粒子を分散および内包しやすくなる。
上記添加剤は、グラファイトおよびコークスのうち少なくともいずれか一方であるので、軸受の要求特性に応じて、グラファイトにより摩擦特性、コークスにより摩耗特性の向上に一層寄与できる。
本発明の製造方法で製造される滑り軸受の一例を示す斜視図である。 本発明の製造方法の工程フローを示す図である。 ラム押出し法の製造工程図である。 粉砕体の粒度分布を示す図である。 リングオンディスク型試験機の概要を示す図である。 実施例および比較例の摩擦摩耗試験の結果を示す図である。
本発明の製造方法で製造される滑り軸受の一例を図1に示す。図1に示す滑り軸受1は円筒状の単一の樹脂部材からなる。例えば、滑り軸受1の内周に相手材としての軸(図示省略)が挿入され、当該軸が滑り軸受1によって回転自在に支持される。この場合、滑り軸受1の内周面が相手材と摺動する摺動面となる。
滑り軸受1は樹脂組成物の成形体であり、ベース樹脂と、PTFE樹脂と、PTFE樹脂以外の添加剤とを含む。滑り軸受1において、添加剤の粒子のうち少なくとも一部の粒子は、その表面の全体または一部がPTFE樹脂で覆われた状態で存在している。そのため、PTFE樹脂と添加剤の各原料よりも大きな塊となって、ベース樹脂中に存在することになり、各原料単体の状態でベース樹脂中に存在する場合よりも、摩擦摩耗特性を向上させることができる。
滑り軸受1は、駆動軸などの回転部材をラジアル方向に支持するラジアル滑り軸受や、回転部材をスラスト方向に支持するスラスト滑り軸受として使用される。
なお、滑り軸受は、図1に示すような単一の樹脂部材からなる滑り軸受に限定されず、複数の部材を組み合わせて構成されてもよい。例えば、樹脂部材と金属部材とが複合化された滑り軸受としてもよい。この場合、樹脂部材は、少なくとも相手材と摺動する摺動面に形成される。例えば、円筒状の金属部材の内周面に、後述するペレットを用いてインサート成形して滑り軸受を製造してもよい。
本発明の製造方法は、上記滑り軸受を製造するための方法である。本発明の滑り軸受の製造方法について、図2のフロー図に基づいて説明する。図2に示すように、この製造方法は(1)粉末混合工程と、(2)成形・焼成工程と、(3)粉砕工程と、(4)混合工程と、(5)溶融混合工程と、(6)成形工程とをこの順で実施している。本発明の製造方法は、従来の製造方法とは異なり、(4)混合工程の前に、(1)~(3)の工程を実施することを特徴としている。
まず、本発明の製造方法に用いる各種原料(ベース樹脂、PTFE樹脂、PTFE樹脂以外の添加剤)について説明する。
ベース樹脂となる合成樹脂は、特に限定されないが、射出成形可能な合成樹脂を用いることが好ましい。射出成形可能な合成樹脂としては、例えば、熱可塑性PI樹脂、PEK系樹脂、PPS樹脂、PAI樹脂、PA樹脂、PE樹脂、POM樹脂、射出成形可能なフッ素樹脂などが挙げられる。なお、これらの樹脂は単独で使用しても、2種類以上混合したポリマーアロイとしてもよい。
PA樹脂としては、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド6-6(PA66)樹脂、ポリアミド6-10(PA610)樹脂、ポリアミド6-12(PA612)樹脂、ポリアミド4-6(PA46)樹脂、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)などの脂肪族ポリアミド樹脂や、ポリアミド9T(PA9T)樹脂、ポリアミド6T(PA6T)樹脂、ポリメタキシレンアジパミド(ポリアミドMXD-6)樹脂などの高分子主鎖に芳香族環を持つ芳香族ポリアミド樹脂などが挙げられる。なお、各PA樹脂において、数字はアミド結合間の炭素数を表し、Tはテレフタル酸残基を表す。
PEK系樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂などがある。
PTFE樹脂は、固体潤滑剤であり、例えば、滑り軸受のドライ条件における摩擦摩耗特性を向上できる。PTFE樹脂として、懸濁重合法によるモールディングパウダー、乳化重合法によるファインパウダー、再生PTFEのいずれを採用してもよい。流動性を安定させるためには、成形時のせん断により繊維化し難く、溶融粘度を増加させ難い再生PTFEを採用することが好ましい。再生PTFEとは、熱処理(熱履歴が加わったもの)粉末、γ線または電子線などを照射した粉末のことである。例えば、モールディングパウダーまたはファインパウダーを熱処理した粉末、また、この粉末をさらにγ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーの成形体を粉砕した粉末、また、その後γ線または電子線を照射した粉末、モールディングパウダーまたはファインパウダーをγ線または電子線を照射した粉末などのタイプがある。γ線または電子線を照射後にさらに熱処理を加えたタイプもある。原料に用いられるPTFE樹脂の50%粒子径は、特に限定されるものではないが、PTFE樹脂以外の添加剤(以降、単に添加剤と呼ぶ場合もある)との均一混合のため、10μm~50μmとすることが好ましい。
PTFE樹脂以外の添加剤は粒子状をなし、滑り軸受の低摩擦化や耐摩耗性の向上に寄与できるものであれば、特に制限なく用いることができる。添加剤として、グラファイト、コークス、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、球状シリカ、青銅粉末、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、ウィスカ(炭酸カルシウム、チタン酸カリウムなど)、炭素繊維、ガラス繊維などが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上使用してもよい。添加剤の融点は、PTFE樹脂の融点(327℃)よりも高いことが好ましい。
原料に用いられる添加剤の50%粒子径(添加剤が2種類以上の場合は、各50%粒子径)は特に限定されないが、3μm~50μmが好ましく、10μm~30μmがより好ましい。また、添加剤の50%粒子径は、PTFE樹脂の50%粒子径よりも小さいことが好ましい。
添加剤は、グラファイトおよびコークスのうち少なくともいずれか一方であることが好ましい。グラファイトは、固体潤滑剤であり、例えば、滑り軸受のドライ条件における摩擦摩耗特性を向上できる。グラファイトとしては、天然黒鉛、人造黒鉛のいずれを用いてもよい。グラファイトの粒子の形状は、鱗片状、粒状、球状などがあるが、いずれを用いてもよい。また、コークスは、例えば、滑り軸受のドライ条件の耐摩耗性を向上できる。
なお、原料に用いられるPTFE樹脂およびPTFE樹脂以外の添加剤の50%粒子径(D50)は、粒子径分布を累積分布としたとき、体積基準の累積値が50%となる点の粒子径であり、例えば、レーザー光散乱法を利用した粒子径分布測定装置などを用いて測定することができる。
以下には、本発明の製造方法の各工程について説明する。
(1)粉末混合工程
この工程は、PTFE樹脂の粉末とPTFE樹脂以外の添加剤の粉末を混合する工程である。PTFE樹脂の配合量と添加剤の配合量(添加剤が2種類以上の場合はその合計量、以下同じ)は特に限定されないが、添加剤の粒子の表面を覆いやすくするという観点から、PTFE樹脂の配合量の方が、添加剤の配合量よりも多いことが好ましい。添加剤とPTFE樹脂の配合比は、(1:1.2)~(1:5)が好ましく、(1:2)~(1:4)がより好ましい。
混合する方法は、特に限定されず、例えば、ヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどにて乾式混合することができる。
(2)成形・焼成工程
この工程は、上記(1)工程で得られた混合粉末を圧縮して、焼成する工程である。この工程では、例えばラム押出し法が行われる。この方法は、混合粉末の充填、圧縮、焼成、冷却をシリンダー内で連続して行う方法である。ラム押出し法の一例を図3に示す。図3に示すように、ラム押出し機2は、ホッパー3と、ラム4と、充填部5a、焼成部5b、および冷却部5cを有する単一のシリンダー5とを有している。ラム押出し機2のホッパー3からシリンダー内に投入された混合粉末6は、ラム4により押圧されて圧縮され、シリンダー内を移動しながら焼成され、最後に冷却されて、シリンダー先端部から押し出される。これにより焼成体(焼結体)7が得られる。
ラム押出し法における成形温度は、PTFE樹脂の融点(327℃)よりも高い温度に設定され、例えば330℃~400℃に設定される。成形速度は、例えば0.5mm/h~5mm/hに設定される。図3において、混合粉末6に含まれるPTFE樹脂の粉末は徐々に溶融しながらシリンダー内を移動し、添加剤が分散されたPTFE樹脂組成物の焼成体が得られる。溶融したPTFE樹脂が添加剤の粒子に密着し、個々の粒子の少なくとも一部を包み込む。
なお、(2)工程は、上述のラム押出し法に限らず、成形、焼成を段階的に行う方法で実施してもよい。例えば、混合粉末を金型へ充填して圧縮成形した後、成形体を金型から取り出し、焼成炉にて焼成して、焼成体を得てもよい。この場合、焼成温度は、PTFE樹脂の融点(327℃)よりも高い温度に設定され、例えば330℃~400℃に設定される。
(3)粉砕工程
この工程は、上記(2)工程で得られた焼成体を粉砕する工程である。粉砕には、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミルなどの粉砕機を用いることができ、これらを適宜組み合わせて粉砕してもよい。
(3)工程では、粉砕後の粉砕体に対して篩分けを行ってもよい。篩分けには、所望のメッシュの篩を用いることができる。例えば、篩分けは60メッシュ(目開き250μm)の篩を通過する粒子とすることが好ましい。また、(3)工程後の粉砕体は、篩分け法による平均粒子径が100μm~200μmであることが好ましい。この平均粒子径の測定には、音波振動式ふるい分け測定器を用いることができる。
(4)混合工程
この工程は、上記(3)工程で得られた粉砕体を、ベース樹脂と混合する工程である。ベース樹脂と粉砕体の配合比は、例えば(1:2)~(4:1)である。また、混合する方法は、特に限定されず、上述した(1)工程と同様の方法を採用できる。
なお、この工程で上述した添加剤のうちの一部を混合してもよい。また、上述した添加剤以外の添加剤を混合してもよい。例えば、酸化鉄、酸化チタン、カーボンブラックなどの顔料が挙げられる。
(5)溶融混合工程
この工程は、上記(4)工程で得られた混合物をペレット化する工程である。具体的には、混合物を二軸押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練して、ペレットを得ることができる。また、PTFE樹脂および上述した添加剤以外の添加剤を、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用して投入してもよい。
(6)成形工程
この工程は、上記(5)工程で得られたペレットを用いて所望の形状に成形する工程である。成形方法としては、射出成形や押出し成形を選択できる。例えば、射出成形は以下の手順で行われる。ペレットが射出成形機のホッパーに投入され、該ホッパーからシリンダーに導入される。その後、ペレットは、シリンダー内で、ヒータで加熱溶融されつつ、スクリューで押され、計量部を経て、ノズル側に成形体1ショット分の溶融樹脂として充填される。このノズルから、所望の形状のキャビティに、ゲートを介して溶融樹脂を射出充填して成形が行われる。
成形工程後、必要に応じて研磨などの機械加工が施されて、滑り軸受が製造される。
滑り軸受の樹脂組成について、滑り軸受に含まれるベース樹脂は、樹脂組成物全体に対して40体積%~90体積%含まれることが好ましく、50体積%~80体積%含まれることがより好ましい。また、滑り軸受に含まれる粉砕体は、樹脂組成物全体に対して10体積%~60体積%含まれることが好ましく、20体積%~50体積%含まれることがより好ましい。さらに、当該粉砕体において、PTFE樹脂の配合量の方が添加剤の配合量よりも多いことが好ましい。
本発明の製造方法で製造される滑り軸受は、例えば、自動車部品、電子・電気機器部品、機械部品、OA機器部品などの滑り軸受として使用される。
滑り軸受の使用条件は特に限定されないが、優れた摩擦摩耗特性を備え、過酷な条件でも好適に使用できることから、例えば、潤滑剤を介在させない無潤滑条件(ドライ条件)や高面圧条件に適している。高面圧条件としては、例えば面圧3MPa~10MPaの条件や面圧5MPa~10MPaの条件である。
以下の手順で実施例および比較例の摩擦摩耗試験用試験片を作成した。これらの原料には、PA12樹脂と、PTFE樹脂(50%粒子径:40μm)と、コークス(50%粒子径:20μm)と、グラファイト(50%粒子径:20μm)とを用いた。なお、上記PTFE樹脂には焼成品を使用した。この試験例では、添加剤としてコークスおよびグラファイトを用いている。
実施例
(1)PTFE樹脂の粉末にコークスとグラファイトを混合して混合粉末を得た。
(2)混合粉末を用いて、ラム押出し加工(成形温度:360℃~390℃、成形速度:0.8mm/h~1.6mm/h)により成形、焼成して焼成体(焼結体)を得た。
(3)焼成体をカッターミルで粗粉砕(粒径1mm程度)、ハンマーミルで微粉砕(粒径200μm程度)して粉砕体を得た。さらに、この粉砕体を60メッシュ(目開き250μm)の篩にて分級した。
(4)分級後の粉砕体をPA12樹脂に混合した。
(5)混合物を溶融混合にてペレットを得た。
(6)得られたペレットを用いて射出成形により成形素材を作製し、機械加工によって、円筒状試験片を作製した。この試験片の寸法は、内径17mm、外径21mm、高さ4mmである。なお、内径および外径は摺動部の寸法を示している。
上記(1)~(3)の工程において、60メッシュ分級後の粉砕体の粒度分布を図4に示す。図4の粒度分布は、目開き38μm、53μm、75μm、106μm、150μm、212μm、300μm、425μmの8種類のメッシュでの分級による粒度分布測定の結果を示している。粉砕体の粒度分布のピーク径は、PTFE樹脂、コークス、グラファイトの各原料の50%粒子径と比べて十分大きく、60メッシュ分級後の粉砕体の篩分け法による平均粒子径は100μm~200μmであった。
比較例
(A)PTFE樹脂粉末、コークス、グラファイトおよびPA12樹脂を一度の工程で混合した。
(B)混合物を溶融混合にてペレットを得た。
(C)得られたペレットを用いて射出成形により成形素材を作製し、機械加工によって、実施例と同寸法の円筒状試験片を作製した。
実施例および比較例の試験片の組成を以下の表1に示す。表1に示すように、各試験片は、ベース樹脂、PTFE樹脂、コークス、グラファイトのみからなっている。
<摩擦摩耗試験>
実施例および比較例の試験片を用いて、リングオンディスク型試験機により動摩擦係数を測定した。また、試験前後の寸法変化から摩耗量を算出した。リングオンディスク型試験機の概要を図5に示す。リングオンディスク型試験機は、押圧力が印加され固定された試験片8に対して相手材9を所定の条件で回転させ動摩擦係数、摩耗量を測定する試験装置である。なお、10はロードセルである。
リングオンディスク試験の条件は、以下のとおりである。
面圧 :5MPa
速度 :5.28m/min
雰囲気 :ドライ
温度 :常温
試験時間 :50時間
試験数 :実施例(n=1)、比較例(n=2)
相手材 :材質 SUS304
:寸法 φ33×φ6×6mm(旋削加工、面粗度0.5μmRa)
実施例および比較例について、リングオンディスク試験における動摩擦係数の推移を図6に示す。また、試験前後の各試験片の寸法変化から算出した50時間の摩耗量を表1に併記する。
図6に示すように、50時間経過時の動摩擦係数は、実施例の方が、比較例よりも約30%低減された。
また、表1に示すように、実施例の試験片は、比較例の試験片に比べて摩耗量を約1/3以下に低減できた。
以上より、実施例の方法で作製した滑り軸受は、同じ原料組成で従来の方法で作製した滑り軸受に比べて、動摩擦係数と摩耗量を低減できた。
本発明の製造方法により製造される滑り軸受は、優れた摩擦摩耗特性を備え、例えば、無潤滑条件や高面圧条件であっても好適に使用可能であるので、滑り軸受の製造方法として広く利用することができる。
1 滑り軸受
2 ラム押出し機
3 ホッパー
4 ラム
5 シリンダー
6 混合粉末
7 焼成体
8 試験片
9 相手材
10 ロードセル

Claims (6)

  1. 滑り軸受の製造方法であって、
    (1)ポリテトラフルオロエチレン樹脂の粉末と前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂以外の添加剤の粉末を混合する工程と、
    (2)前記(1)工程で得られた混合粉末を圧縮して、焼成する工程と、
    (3)前記(2)工程で得られた焼成体を粉砕する粉砕工程と、
    (4)前記(3)工程で得られた粉砕体を、ベース樹脂と混合する工程と、
    (5)前記(4)工程で得られた混合物をペレット化する工程と、
    (6)前記(5)工程で得られたペレットを用いて成形する工程と、
    を備え
    前記(3)工程で得られた前記粉砕体において、前記添加剤は、その表面の全体または一部が前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂で覆われている、ことを特徴とする滑り軸受の製造方法。
  2. 前記(3)工程で得られた前記粉砕体は、平均粒子径が100μm~200μmであることを特徴とする請求項1記載の滑り軸受の製造方法。
  3. 前記(1)工程において、前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂の配合量は、前記添加剤の配合量よりも多いことを特徴とする請求項1または請求項2記載の滑り軸受の製造方法。
  4. 前記添加剤は、グラファイトおよびコークスのうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項記載の滑り軸受の製造方法。
  5. 前記ベース樹脂は、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、およびポリアセタール樹脂から選ばれる少なくとも1つの合成樹脂であり、
    前記(6)工程は、前記ペレットを用いて射出成形する工程であることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項記載の滑り軸受の製造方法。
  6. 滑り軸受の製造方法であって、
    (1)ポリテトラフルオロエチレン樹脂の粉末と前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂以外の添加剤の粉末を混合する工程と、
    (2)前記(1)工程で得られた混合粉末を圧縮して、焼成する工程と、
    (3)前記(2)工程で得られた焼成体を粉砕する粉砕工程と、
    (4)前記(3)工程で得られた粉砕体を、ベース樹脂と混合する工程と、
    (5)前記(4)工程で得られた混合物をペレット化する工程と、
    (6)前記(5)工程で得られたペレットを用いて成形する工程と、
    を備え、
    前記添加剤は、グラファイトおよびコークスのうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする滑り軸受の製造方法。
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