JP7765498B2 - ゲル状添加剤を添加したフィルター、該フィルターを備える香味吸引物品、及び香味吸引物品パッケージ - Google Patents
ゲル状添加剤を添加したフィルター、該フィルターを備える香味吸引物品、及び香味吸引物品パッケージInfo
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Description
特許文献2には、粉糖、結晶セルロース等の顆粒基材の中に油脂を包含した粉状物を、ポリオールを介して凝集した顆粒状の吸着剤を用いることで、喫煙物品用フィルター濾材への油染みを低減できることが報告されている。
特許文献3には、フェノール等の半揮発性化合物を除去するために、ポリエチレングリコール、高分子メトキシポリエチレングリコール等の室温で固体の添加剤をフィルターに添加する技術が開示されている。
特許文献4には、フィルターに滴点50℃以上のフェノール捕捉剤をフィルターに添加することで、香味を改善したり、フィルターからの液体の漏出を低減したりする技術が報告されている。
また、特許文献2では、顆粒状の添加剤を使用することにより、液体の漏出を抑制できるものの、香味吸引物品に使用した際にユーザに与える香味に関しては、改善の余地がある。
特許文献3では、固体の添加剤をフィルター材に添加後に加熱溶融させるため、均一な添加が難しく、また、巻き上げ後に加熱するため操作性に劣る。
特許文献4では、半固体の添加剤を使用しているものの、フィルターへの添加は、加熱により当該添加剤を融解した状態又は流動性を持たせた状態で行われる。そのため、フィルターに添加されてから固化するまでの間に添加剤が巻取紙に染み出す場合があり、この問題を解消することが望ましい。また、香味は、実用化に耐えうるものの、改善の余地がある。
したがって、液体漏出の抑制効果及び香味改善効果の両立及びさらなる改善が求められている。
香味吸引物品用のフィルターであって、
生分解性を有する素材を含む濾材と、前記濾材を巻装する巻取紙とを有し、
前記濾材が、フェノール濾過能を有するゲル状添加剤を含有する、フィルター。
〔2〕
前記フェノール濾過能を有するゲル状添加剤が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ジグリセリン、カプリリルグリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、リン脂質、ヒドロキシ脂肪酸、及びハイエルシン菜種極度硬化油からなる群より選択される2種以上の化合物を含有し、
前記2種以上の化合物うち1種以上が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ジグリセリン、カプリリルグリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、及びリン脂質からなる群より選択されるフェノール濾過能を有する成分である、〔1〕に記載のフィルター。
〔3〕
前記ポリプロピレングリコールの重量平均分子量が2,000以上4,000以下であり、前記ポリプロピレングリコールグリセリルエーテルの重量平均分子量が3,000以上4,000以下である、〔2〕に記載のフィルター。
〔4〕
前記フェノール濾過能を有する成分が、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸、及び脂肪酸アルキルエステルからなる群より選択される1種以上である、〔2〕に記載のフィルター。
〔5〕
前記巻取紙は、前記濾材と接する領域に撥液層を備える、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のフィルター。
〔6〕
前記フェノール濾過能を有する成分の前記撥液層に対する広がり面積が、35mm2以下である、〔5〕に記載のフィルター。
〔7〕
前記巻取紙は、さらに基材を備え、
前記撥液層が、前記基材の表面上に配置されている、〔5〕又は〔6〕に記載のフィルター。
〔8〕
前記撥液層が、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アルミニウム、ポリプロピレン、ポリエチレン、パラフィン、シリコーン、セルロースナノファイバー、エチルセルロース、アラビアガム、及びニトロセルロースからなる群より選択される1種以上を含有する、〔5〕~〔7〕のいずれかに記載のフィルター。
〔9〕
前記撥液層が、エチルセルロース、アクリル樹脂、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、及びシリコーンからなる群より選択される1種以上を含む、〔5〕~〔7〕のいずれかに記載のフィルター。
〔10〕
前記撥液層が、撥液紙である、〔5〕~〔7〕のいずれかに記載のフィルター。
〔11〕
下記式(i)で表されるフェノール濾過能が、0.83以下である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載のフィルター。
フェノール濾過能=DPR1/DPR0 (i)
DPR1:前記フィルターを用いて喫煙試験を行った場合の、該フィルターを通過するたばこ煙中のフェノール量を、該フィルターを通過するたばこ煙中粒状物質の量で除した値。
DPR0:前記フェノール濾過能を有するゲル状添加剤を含まない以外は前記フィルターと同構成の基準フィルターを用いて喫煙試験を行った場合の、該基準フィルターを通過するたばこ煙中のフェノール量を、該基準フィルターを通過するたばこ煙中粒状物質の量で除した値。
〔12〕
巻紙で巻装されたたばこロッドと、
〔1〕~〔11〕のいずれかに記載のフィルターと、
前記たばこロッドと前記フィルターとを接続するチップペーパーと、
を備える香味吸引物品。
〔13〕
前記巻紙及び前記チップペーパーの少なくとも一方は、着色部を有する、〔12〕に記載の香味吸引物品。
〔14〕
香味吸引物品が内包紙により内包された香味吸引物品パッケージであって、
前記香味吸引物品が、〔12〕又は〔13〕に記載の香味吸引物品であり、
前記香味吸引物品が、前記内包紙により直接包装されており、
少なくとも前記内包紙の前記フィルターと接する領域に、撥液層が設けられている、香味吸引物品パッケージ。
〔15〕
前記内包紙に設けられた前記撥液層が、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アルミニウム、ポリプロピレン、ポリエチレン、パラフィン、シリコーン、セルロースナノファイバー、エチルセルロース、アラビアガム、及びニトロセルロースからなる群より選択される1種以上を含有する、〔14〕に記載の香味吸引物品パッケージ。
〔16〕
前記内包紙に設けられた前記撥液層が、エチルセルロース、アクリル樹脂、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、及びシリコーンからなる群より選択される1種以上を含む、〔14〕に記載の香味吸引物品パッケージ。
〔17〕
前記内包紙に設けられた前記撥液層が、撥液紙である、〔14〕に記載の香味吸引物品パッケージ。
本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。また、数値範囲の下限値及び上限値を分けて記載する場合、当該数値範囲は、それらのうち任意の下限値と任意の上限値とを組み合わせたものとすることができる。
本発明の第1の実施形態は、香味吸引物品用のフィルターであって、生分解性を有する素材を含む濾材と前記濾材を巻装する巻取紙とを有し、前記濾材がフェノール濾過能を有するゲル状添加剤を含有する。
フィルターの形態は、特に限定されず、単一のフィルターセグメントを含むプレーンフィルターや、デュアルフィルター又はトリプルフィルター等の複数のフィルターセグメントを含むマルチセグメントフィルター等とすることができる。本実施形態に係るフィルターがマルチセグメントフィルターである場合は、少なくとも1つのフィルターセグメントが、ゲル状添加剤が添加された濾材を有していればよい。
本実施形態に係るフィルターによれば、単一のフィルターセグメントからなるフィルターであっても、十分に香味を改善し、液体の漏出を抑制することが可能である。
また、フィルターは、周方向の断面が中空(空洞)となるキャビティやリセス等のセクションを設けていてもよい。
フィルターの長軸に直交する方向の断面の周の長さは、使用する製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、通常14.0mm以上、好ましくは15.0mm以上、より好ましくは16.0mm以上、また、通常27.0mm以下、好ましくは26.0mm以下、より好ましくは25.0mm以下である。
フィルターの長軸方向の長さは、製品のサイズに合わせて適宜変更し得るが、5mm以上、10mm以上、15mm以上、17.5mm以上、又は20.0mm以上であってよく、また、40mm以下、35mm以下、32.5mm以下、又は30.0mm以下であってよい。
本実施形態に係るフィルターは、生分解性を有する素材を含む濾材を有する。生分解性を有する素材は、微生物により分解されるため、環境負荷が少ない。生分解性を有する素材としては、セルロース、ポリ乳酸、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ乳酸/ポリカプロラクトン共重合体、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体、ブタンジオール/長鎖ジカルボン酸共重合体、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリテトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリビニルアルコール等が挙げられ、特にセルロースが好ましい。セルロースを含む濾材を用いたフィルターはペーパーフィルターとも称される。
なお、ペーパーフィルターは、セルロースアセテートトウ等の合成繊維のトウよりも容易に生分解するという特徴を有する。
ペーパーフィルターを構成する濾材の紙として、上記の波形状の構造を有する紙を用いる場合、上記のペーパーフィルターの波形の谷から谷まで、又は陵から陵までの平均距離は、特に限定されないが、通常0.5mm以上、好ましくは1.0mm以上、また、通常5.0mm以下、好ましくは4.0mm以下である。
また、上記のペーパーフィルターの波形の谷の平均深さは、特に限定されないが、通常0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上、また、通常1.2mm以下、好ましくは1.0mm以下である。
原料シートの厚さは、特に限定されないが、通常20μm以上、好ましくは25μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常140μm以下、好ましくは130μm以下、より好ましくは120μm以下である。
原料シートの坪量は、特に限定されないが、通常20gsm以上、好ましくは25gsm以上、また、通常120gsm以下、好ましくは80gsm以下、より好ましくは45gsm以下である。
なお、坪量は、前記のパルプの含有量と填料の含有量を調整したり、前記湿式抄紙機の処理条件を調整したりすることで調整可能である。
本実施形態における濾材は、フェノール濾過能を有するゲル状添加剤(以下、単に「ゲル状添加剤」と称することがある。)を含有する。ゲル状添加剤を濾材に添加することにより、フェノール濾過能を有する添加剤が液状である場合よりも良好に液体の漏出を抑制することができる。また、濾材がこのゲル状添加剤を含有することにより、フィルターを通過する煙、エアロゾル等からフェノールが除去され、香味を改善できる。
(I):ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ジグリセリン、カプリリルグリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、リン脂質、ヒドロキシ脂肪酸、及びハイエルシン菜種極度硬化油からなる群より選択される2種以上の化合物(以下、「成分(A)」ともいう。)を含有する。
(II):成分(A)のうち1種以上が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ジグリセリン、カプリリルグリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、及びリン脂質からなる群より選択されるフェノール濾過能を有する成分である。
なお、1分子あたりの脂肪酸エステル結合の数は、特に限定されず、1分子中水酸基を2つ以上残すような数であってよく、水酸基を1つ残すような数であってよく、水酸基全てが脂肪酸エステル化するような数であってもよい。
具体的な脂肪酸としては、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデセン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。
具体的なリン脂質としては、レシチン、特に大豆レシチン、卵レシチン等が挙げられる。
また、本実施形態の好適な一態様において、フェノール濾過能を有する成分それ自体は、大気圧及び25℃の条件下で液体である(以下、大気圧及び25℃の条件下において液体であるフェノール濾過能を有する成分を「フェノール濾過能を有する液体」と称することがある。)。
本実施形態においては、2種以上の成分(A)のうち、1種以上がゲル化剤として作用し、他の成分(A)をゲル化する化合物であることが好ましい。すなわち、2種以上の成分(A)は、親和性が高く、水素結合、ファンデルワールス力、静電相互作用、π-π相互作用等の分子間相互作用を生じるものであることが好ましい。かかる分子間相互作用に起因して分子が会合して三次元網目構造が形成され、ゲル化が生じることで、液体の漏出を抑制することが可能となる。このような成分(A)の組み合わせとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステルのようなオキシアルキレン系ポリマーと、ステアリン酸、ミリスチン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ハイエルシン菜種極度硬化油などといった加熱により融解する成分(例えば、融点50℃~100℃程度のもの)の組み合わせが挙げられる。また、グリセリンベヘン酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンオクタステアリン酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステルといった増粘剤又はゲル化剤として使用される成分を、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸エステル等のオイルと組み合わせて用いることも好ましい。
濾材は、生分解性を有する素材及びゲル状添加剤に加え、活性炭、ゼラチン等の破砕可能な外殻を含む破砕可能な添加剤放出容器(当該技術分野では「カプセル」とも呼ばれる。)を含んでいてもよい。カプセルは、香味吸引物品のユーザにより使用前、使用中、又は使用後に破壊されると、カプセルに含まれる添加剤を放出し、次に、該添加剤は、香味吸引物品を使用する間は香味吸引物品を通過する気流に一部又は全部が移行され、使用後においては濾材へ移行される。
本実施形態のフィルターは、濾材を巻装する巻取紙を有する。フィルターがマルチセグメントフィルターである場合、巻取紙は、これらの2以上のセグメントを併せて巻装することが好ましい。一方、2以上のセグメントを個別に巻取紙で巻装する場合は、成形紙によって複数のフィルターセグメントを固定してもよい。成形紙の材料、厚さ、秤量等は、特に限定されず、巻取紙と同様の紙を採用することができる。
巻取紙の態様は、特に限定されず、一列以上の接着剤を含む継ぎ目を含んでいてよい。該接着剤は、ホットメルト接着剤を含んでいてよい。また、該接着剤は、ポリビニルアルコールを含み得る。
巻取紙の厚さは、特に限定されず、通常20μm以上、好ましくは30μm以上、また、通常140μm以下、好ましくは130μm以下、より好ましくは120μm以下である。
巻取紙の坪量は、特に限定されず、通常20gsm以上、好ましくは22gsm以上、より好ましくは23gsm以上、また、通常100gsm以下、好ましくは95gsm以下、より好ましくは90gsm以下である。
撥液層を形成する材料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
無機酸化物としては、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
例えば、撥液層を形成する材料としてデンプン及び/又はアルミニウムを用いる場合、ゲル状添加剤に含まれるフェノール濾過能を有する液体は、ジグリセリン、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のうち、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテルよりも表面張力の大きい化合物であることが好ましい。表面張力が大きいフェノール濾過能を有する液体は、巻取紙の表面上で濡れ広がりにくい傾向があり、濾材から液体が漏出することを抑制できるためである。
撥液層の平均厚さとしては、5μm以上30μm以下を挙げることができる。また、基材の表面上に撥液層を設ける場合は、基材の厚さに対する撥液層の厚さの比が、0.01以上1.0以下程度であるものを用いることができる。
また、撥液層を形成する材料を含むコート剤の塗布、蒸着等により撥液層を形成する場合は、撥液層が上記厚さとなるようコート剤の塗布量を適宜調整すればよい。撥液性や製造適性に問題がない限りは、製造費用の観点からより少量の塗布が好ましい。ただし、未塗布の領域が存在すると、そこから液体が漏出する虞があるため、基材の表面全域にわたって撥液層を形成することが好ましい。
本実施形態のフィルターは、フェノールを十分除去することができる。そのフェノール除去性能は、下記式(i)で表されるフェノール濾過能により評価することができる。
フェノール濾過能=DPR1/DPR0 (i)
DPR1:前記フィルターを用いて喫煙試験を行った場合の、該フィルターを通過するたばこ煙中のフェノール量を、該フィルターを通過するたばこ煙中粒状物質の量で除した値。
DPR0:前記フェノール濾過能を有するゲル状添加剤を含まない以外は前記フィルターと同構成の基準フィルターを用いて喫煙試験を行った場合の、該基準フィルターを通過するたばこ煙中のフェノール量を、該基準フィルターを通過するたばこ煙中粒状物質の量で除した値。
(1)本実施形態に係るフィルター(評価対象フィルター)とたばこロッドとをチップペーパーにより連結し、シガレットサンプルを準備する。
(2)自動喫煙機(例えば、Cerulean社製SM410)によりシガレットサンプルの自動喫煙を行い、たばこ煙中粒状物質(TPM)をガラス繊維フィルター(例えば、ケンブリッジフィルタ「Borgwaldt 44mmφ」)で捕集する。なお、自動喫煙の条件としては、例えば吸煙容量17.5mL/秒、吸煙時間2秒/パフ、吸煙頻度1パフ/分、吸殻長35mmの条件を採用する。
(3)喫煙前後のガラス繊維フィルターの質量差を捕集したTPM量として求める。
(4)捕集後のガラス繊維フィルターからフェノールをtert-ブチルメチルエーテルのような抽出溶媒で抽出する。抽出液をガスクロマトグラフ質量分析(GC-MSD)により分析することで、たばこ煙中のフェノールの量を求める。GC-MSDには、GCとして例えばAgilent Technologies Inc.製Agilent G7890Aを、MSDとして例えばAgilent Technologies Inc.製Agilent_5795Cを用いることができる。
(5)たばこ煙中のフェノール量をTPM量で除することで、1回の測定におけるフェノール濾過能を得る。
(6)(1)~(5)を3回行い、(5)で得られたフェノール濾過能の平均を、DPR1とする。
(7)本実施形態に係るフィルターに変えて、フェノール濾過能を有するゲル状添加剤を含まない以外は本実施形態に係るフィルターと同構成の基準フィルターを用いる以外は、上記(1)~(6)と同様にして得られたフェノール濾過能の平均を、DPR0とする。
(8)上記(6)で得られたDPR1を上記(7)で得られたDPR0で除することにより、フェノール濾過能を算出する。
ただし、上記ステップでは、1つのガラス繊維フィルターに捕集されるたばこ煙中粒状物質は、シガレットサンプル1本分であってもよく、同種のシガレットサンプル複数本分であってもよく、例えば、2本分である。
フィルターの製造方法は、特に限定されず、公知の方法で製造することができる。例えば、フィルターがペーパーフィルターである場合、木材パルプを抄紙して得られる紙を用いてフィルターロッドに成形する方法により製造することができる。具体的には、例えば、抄紙して得られた紙にクレープ処理等を施すことにより紙に波形状のしわを付ける工程、得られた波形構造を有する紙を集結させて濾材を作製する工程、得られた濾材を巻取紙で巻装してロッド状の長尺フィルターを作製する工程、及びこのロッド状の長尺フィルターを所望の長さに切断する工程により、ペーパーフィルターを製造することができる。
ゲル状添加剤は、任意の段階で濾材に添加することができる。例えば、紙に波形状のしわを付ける工程後、ロッド状の長尺フィルターを作製する工程前であってよく、ロッド状の長尺フィルターを作製する工程後であってもよい。
或いは、完全にゲル化する前に2種以上の成分(A)を含む混合物を濾材に添加し、その後、降温して1分以上1時間以下の時間保持することで、ゲル化を完了させてもよい。
或いは、ゲル状添加剤を添加前に加熱し、ゲル状添加剤に流動性を持たせた後に濾材に添加してもよい。
本発明の第2の実施形態は、巻紙で巻装されたたばこロッドと、本発明の第1の実施形態に係るフィルターと、前記たばこロッドと前記フィルターとを接続するチップペーパーとを備える香味吸引物品である。
たばこロッドは、公知の態様であれば特に限定されないが、通常、たばこ充填物を巻紙で巻装してなる態様である。たばこ充填物としては、特に限定されず、たばこ刻、再構成たばこシート等公知のものを用いることができる。なお、本明細書において、巻紙とは、たばこ充填物を巻装する紙を指し、濾材を巻装する紙である巻取紙とは区別される。
また、香味吸引物品が非燃焼加熱式香味吸引物品である場合、たばこ充填剤はエアロゾル基材を含んでもよい。エアロゾル基材は、加熱されることによりエアロゾルを生成する基材であり、グリセリン、プロピレングリコール、及びこれらの混合物が例示される。
また、巻紙の少なくとも一部に、本発明の第1の実施形態に係るフィルターの巻取紙が有していてもよい撥液層と同様の撥液層が設けられていてもよい。
前記たばこロッドと前記フィルターとを接続するチップペーパーの材料も、特に限定されず、公知のものを用いることができる。また、チップペーパーは、炭酸カルシウム等の充填剤等を含んでいてよい。
また、チップペーパーの少なくとも一部に、本発明の第1の実施形態に係るフィルターの巻取紙が有していてもよい撥液層と同様の撥液層が設けられていてもよい。
具体的には、「*」の付された一つのフィルターセグメントにゲル状添加剤が添加されている態様が好ましく、吸口側の端部を構成するフィルターセグメントにゲル状添加剤が添加されている態様も好ましい(図2)。また、フィルターセグメントが3つ以上ある場合は、たばこロッドに接するものではなく、吸口側の端部を構成するものでもないフィルターセグメント、つまり軸方向の中程を構成するフィルターセグメントのみにゲル状添加剤が添加されている態様(図3)も挙げられる。
ベンチレーション孔の位置については、ゲル状添加剤を含有するフィルターのたばこロッド側の端から、たばこロッド側に向かって少なくとも2mm離れた場所に配置されることが好ましい。そうすることによって、香味の向上が見込める。また、液体の漏出を防ぐ観点から、チップペーパーのうち、ゲル状添加剤を含有するフィルターを巻装している領域、及び2つのフィルターセグメントの間に位置する領域にベンチレーション孔が存在しないことが好ましい。
香味吸引物品を使用者へ提供する際は、香味吸引物品をパッケージに充填して香味吸引物品パッケージとすることが通常である。しかるに、本発明の第3の実施形態は、本発明の第2の実施形態に係る香味吸引物品が内包紙により内包された香味吸引物品パッケージであって、前記香味吸引物品が、前記内包紙により直接包装されており、少なくとも前記内包紙の前記香味吸引物品のフィルターと接する領域に撥液層が設けられている。特に、前記内包紙は、フィルターの吸口側の端面と接する部分に撥液層が設けられていることが好ましい。
パッケージの好ましい体積の範囲については、特に限定されず、例えば30cm3以上150cm3以下である。
パッケージに充填される香味吸引物品の本数については、通常20本であるが、パッケージの形状や大きさにより、適宜変更してもよい。
巻取紙が基材及び基材の表面上に配置された撥液層を有する場合、巻取紙は、撥液層を形成する材料を含むコート剤を、塗布、蒸着等の手段により基材表面に積層したものであってもよい。基材としては、特に限定されず、巻取紙に用いられる公知の紙、ポリマー繊維等により構成される不織布、撥液紙等が挙げられる。
内包紙に設けられている撥液層を形成する材料としては、本発明の第1の実施形態に係るフィルターの巻取紙が有していてもよい撥液層を形成する材料が挙げられ、その好ましい態様も同様である。また、撥液層が撥液紙である態様も好ましい。なお、フィルターの巻取紙が撥液層を備える場合、当該撥液層と内包紙が備える撥液層とは、同じ材料により形成された層であってもよく、互いに異なる材料により形成された層であってもよい。
温度22℃、湿度60%RHの室内で、マイクロシリンジを用いてフェノール濾過能を有する液体10mgを試験素材に滴下し、30分後の液滴の広がり面積を測定した。試験には、フェノール濾過能を有する液体としてポリプロピレングリコールグリセリルエーテル(PPG-GE、重量平均分子量4,000)及びジグリセリンを用いた。また、試験素材としては、巻取紙用普通紙、市販で入手可能なデンプンコート紙、フッ素樹脂(パーフルオロアルキル基を含有するフッ素樹脂)コート紙、グラシン紙(よし与工房製)、アルミホイル(三菱アルミニウム製)、ポリプロピレンフィルム(生産日本社製)、ポリエチレンコート紙(福助工業製)、パラフィンコート紙(コジマ正直堂本舗製)、シリコーンコート紙(日本製紙クレシア製)、セルロースナノファイバーフィルム(中越パルプ工業製)、ニトロセルロースコート紙、エチルセルロースコート紙、アクリル樹脂コート紙、ポリビニルアルコールコート紙、及びアラビアガムコート紙を用いた。なお、滴下直後から液滴は試験素材を広がったが、普通紙を除いていずれの条件においても30分後には液滴の広がりは安定していた。
表1、図4、5から、撥液性を有する層を有する試験素材は液体の広がりが大きく抑制されることがわかる。
コルク地風の印刷がされたチップペーパーの印刷面に、後述するフェノール濾過能を有する液体及び公知のフェノール捕捉材であるトリアセチンを、それぞれ10mgずつマイクロシリンジを用いて滴下し、1分経過後に日本製紙クレシア株式会社製紙ワイパー「キムワイプS-200」を用いて液体をふき取った後のインク落ちの程度を、以下に示すA~Dの4段階で評価した。結果を以下の表2に示す。
A:視認できるインク落ちがほとんどなく、外観は損なわれていない
B:わずかにインク落ちがあるが、外観はほとんど損なわれていない
C:インク落ちがあり、外観が損なわれている
D:大きなインク落ちがあり、外観が著しく損なわれている
(シガレットサンプルの作製)
長さ27mm、直径7.7mmのペーパーフィルターを用意した。具体的には、まず、波形状のしわを付けた紙(坪量40g/m2)を、一端から他端まで各々が延びた複数の空気流路を形成するように畳み、巻取紙用普通紙で巻装後、長さ120mmで切断して、フィルターロッドを作製した。なお、フィルターロッドの通気抵抗を400mmH2O、フィルター直径を7.7mmφに調整した。このフィルターロッドを長さ27mmにカットしたものを、ゲル状添加剤無添加の比較例1のペーパーフィルターとした。
実施例1~8及び比較例1の各シガレットサンプルに対し、以下の条件で喫煙試験及び分析を行った。
自動喫煙機(Cerulean社製SM410)を用いて、吸煙容量17.5mL/秒、吸煙時間2秒/パフ、吸煙頻度1パフ/分、吸殻長35mmの条件でシガレットサンプルの自動喫煙を行い、たばこ煙中粒状物質(TPM)をケンブリッジフィルタ(Borgwaldt 44mmφ)で捕集した。TPM量は、喫煙前後のケンブリッジフィルタの質量差により測定した。その後、スクリュー管瓶に入れた下記表4に示すフェノール抽出溶媒10mLにケンブリッジフィルタを浸けて振盪し、分析試料を得た。得られた分析試料1μLをマイクロシリンジで採取し、ガスクロマトグラフ質量分析(GC-MSD:Gas Chromatography-Mass Selective Detector)にて分析した。GCとしてAgilent Technologies Inc.製Agilent G7890Aを用い、MSDとしてAgilent Technologies Inc.製Agilent_5795Cを用いた。
ゲル状添加剤を添加したシガレットの香味を官能評価により評価した。
具体的には、香味評価の訓練を受けたパネラー3人が、上記<フェノール濾過能の試験>において作製した比較例1及び実施例1、2、4~7のシガレットサンプルを喫煙し、各実施例のシガレットサンプルの香味(刺激)を下記採点基準に基づいて評価した。3人のパネラーの点数を平均し、小数点以下一桁を四捨五入して各シガレットサンプルの官能評価のスコアとした。評価結果を表6に示す。また、フェノール濾過能と香味の官能評価のスコアとの関係を図7に示す。
1:刺激を感じなかった。
2:比較例1のシガレットサンプルと比較して刺激がかなり低減していた
3:比較例1のシガレットサンプルと比較して刺激が低減していた
4:比較例1のシガレットサンプルと比較して刺激がやや低減していた
5:比較例1のシガレットサンプルと同等の刺激を感じた
2 フィルター濾材
4 巻取紙
5 成型紙
6 チップペーパー
7 フィルター
Claims (17)
- 香味吸引物品用のフィルターであって、
生分解性を有する素材を含む濾材と、前記濾材を巻装する巻取紙とを有し、
前記濾材が、フェノール濾過能を有するゲル状添加剤を含有し、
前記ゲル状添加剤が下記化合物群(1)と(2)からそれぞれ1種類以上の化合物を選択した組み合わせ、または下記化合物群(3)と(4)からそれぞれ1種類以上の化合物を選択した組み合わせの、いずれか一方の混合物を含む
フィルター。
化合物群(1):プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、オキシアルキレン系ポリマー
化合物群(2):ステアリン酸、ミリスチン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ハイエルシン菜種極度硬化油
化合物群(3):グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル
化合物群(4):脂肪酸、脂肪酸エステル - 前記ゲル状添加剤が含む化合物のうち1種以上が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、脂肪酸及び脂肪酸アルキルエステルからなる群より選択されるフェノール濾過能を有する成分である、請求項1に記載のフィルター。
- 前記ポリプロピレングリコールの重量平均分子量が2,000以上4,000以下であり、前記ポリプロピレングリコールグリセリルエーテルの重量平均分子量が3,000以上4,000以下である、請求項2に記載のフィルター。
- 前記フェノール濾過能を有する成分が、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸、及び脂肪酸アル
キルエステルからなる群より選択される1種以上である、請求項2に記載のフィルター。 - 前記巻取紙は、前記濾材と接する領域に撥液層を備える、請求項1に記載のフィルター。
- 前記フェノール濾過能を有するゲル状添加剤に含まれるフェノール濾過能を有する成分の前記撥液層に対する広がり面積が、35mm2以下である、請求項5に記載のフィルター。
- 前記巻取紙は、さらに基材を備え、
前記撥液層が、前記基材の表面上に配置されている、請求項5に記載のフィルター。 - 前記撥液層が、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アルミニウム、ポリプロピレン、ポリエチレン、パラフィン、シリコーン、セルロースナノファイバー、エチルセルロース、アラビアガム、及びニトロセルロースからなる群より選択される1種以上を含有する、請求項5に記載のフィルター。
- 前記撥液層が、エチルセルロース、アクリル樹脂、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、及びシリコーンからなる群より選択される1種以上を含む、請求項5に記載のフィルター。
- 前記撥液層が、撥液紙である、請求項5に記載のフィルター。
- 下記式(i)で表されるフェノール濾過能が、0.83以下である、請求項1に記載のフィルター。
フェノール濾過能=DPR1/DPR0 (i)
DPR1:前記フィルターを用いて喫煙試験を行った場合の、該フィルターを通過するたばこ煙中のフェノール量を、該フィルターを通過するたばこ煙中粒状物質の量で除した値。
DPR0:前記フェノール濾過能を有するゲル状添加剤を含まない以外は前記フィルターと同構成の基準フィルターを用いて喫煙試験を行った場合の、該基準フィルターを通過するたばこ煙中のフェノール量を、該基準フィルターを通過するたばこ煙中粒状物質の量で除した値。 - 巻紙で巻装されたたばこロッドと、
請求項1~11のいずれか1項に記載のフィルターと、
前記たばこロッドと前記フィルターとを接続するチップペーパーと、
を備える香味吸引物品。 - 前記巻紙及び前記チップペーパーの少なくとも一方は、着色部を有する、請求項12に記載の香味吸引物品。
- 香味吸引物品が内包紙により内包された香味吸引物品パッケージであって、
前記香味吸引物品が、請求項12に記載の香味吸引物品であり、
前記香味吸引物品が、前記内包紙により直接包装されており、
少なくとも前記内包紙の前記フィルターと接する領域に、撥液層が設けられている、香味吸引物品パッケージ。 - 前記内包紙に設けられた前記撥液層が、デンプン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、フッ素樹脂、アルミニウム、ポリプロピレン、ポリエチレン、パラフィン、シリコー
ン、セルロースナノファイバー、エチルセルロース、アラビアガム、及びニトロセルロースからなる群より選択される1種以上を含有する、請求項14に記載の香味吸引物品パッケージ。 - 前記内包紙に設けられた前記撥液層が、エチルセルロース、アクリル樹脂、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、及びシリコーンからなる群より選択される1種以上を含む、請求項14に記載の香味吸引物品パッケージ。
- 前記内包紙に設けられた前記撥液層が、撥液紙である、請求項14に記載の香味吸引物品パッケージ。
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