JP7765894B2 - 接着ペースト、接着ペーストの使用方法及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

接着ペースト、接着ペーストの使用方法及び半導体装置の製造方法

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Description

本発明は、低温で加熱して得られる硬化物が接着性に優れ、かつ、被塗布物に塗布された後長時間放置された後であっても、半導体素子を良好にマウントすることが可能な接着ペースト、この接着ペーストを半導体素子固定材用接着剤として使用する方法、及びこの接着ペーストを半導体素子固定材用接着剤として使用する半導体装置の製造方法に関する。
従来、接着ペーストは用途に応じて様々な改良がなされ、光学部品や成形体の原料、接着剤、コーティング剤等として産業上広く利用されてきている。
また、接着ペーストは、半導体素子固定材用接着剤等の半導体素子固定材用ペーストとしても注目を浴びてきている。
半導体素子には、レーザー、発光ダイオード(LED)等の発光素子や太陽電池等の受光素子等の光半導体素子、トランジスタ、温度センサや圧力センサ等のセンサ、集積回路等がある。
半導体素子を固定する半導体素子用接着ペーストは、通常、吐出管(ニードル)を有する塗布装置を使用して被塗布物、例えばリードフレーム等の基板に塗布される。
このような吐出管を有する塗布装置においては、例えば、吐出管が垂直に下降して被塗布物に近づき、その先端部から所定量の接着ペーストを吐出した後、吐出管が上昇して被塗布物から離れるとともに、被塗布物が横に移動する。そして、この操作を繰り返すことで、連続的に半導体素子用接着ペーストが被塗布物に塗布される。その後、塗布された接着ペースト上に、半導体素子がマウント(搭載)され、被塗布物に接着される。
通常、被塗布物に接着ペーストが塗布された後においては、速やかに塗布された接着ペースト上に半導体素子がマウントされ、被塗布物に接着される。
しかしながら、生産ライン等においては、何らかの理由により、半導体素子がマウントされることなく、塗布された接着ペーストがそのまま長時間放置される場合がある。
このような場合、塗布された接着ペーストが長時間放置されると、接着ペースト中の粘度が変化し、半導体素子が好ましい状態でマウントされないことがあった。
この問題を解決するべく、特許文献1には、特定のポリシルセスキオキサン化合物を、沸点が254℃以上300℃以下である高沸点の有機溶媒を含む溶媒に溶解して得られる接着剤が提案され、該接着剤は、基板上に塗布された後20分以上経過後においても、塗布直後と同様に、光素子を良好にマウントすることが可能であり、接着性にも優れることが記載されている。
ところで、光学部品やセンサチップは、熱による影響を受けやすいものである。したがって、接着剤を硬化する方法として、加熱硬化法を採用する場合においては、光学部品やセンサチップに対する加熱の影響を避ける観点から、接着剤を極力低温で硬化させることが好ましい。
しかしながら、特許文献1に記載の接着剤は、170℃で2時間という高温長時間の加熱処理が必要なものであり、低温(例えば、100℃で2時間)での加熱処理では、溶媒が多量に残存して、十分な接着強度を得られないという懸念があった。加えて、低温で加熱時に、接着剤における溶媒を除いた成分(有効成分)の濃度が上昇する速度が遅いため、接着剤を十分に熱硬化させにくく、十分な接着強度を有する硬化物が得られないという懸念があった。
また、溶媒として、沸点が非常に低いアセトン等を用いた場合には、接着剤を吐出後、接着剤が直ぐに乾いてしまい、半導体素子を良好にマウントすることができないという懸念がある。
したがって、低温で加熱して得られる硬化物が接着性に優れ、かつ、被塗布物に塗布された後長時間放置された場合であっても、塗布された直後と同様に、半導体素子を接着ペースト上に良好にマウントすることが可能な接着ペーストが要望されている。
特開2018-168286号公報
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、低温で加熱して得られる硬化物が接着性に優れ、かつ、被塗布物に塗布された後長時間経過後であっても、半導体素子を良好にマウントすることが可能な接着ペースト、この接着ペーストを半導体素子固定材用接着剤として使用する方法、及びこの接着ペーストを半導体素子固定材用接着剤として使用する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
なお、本発明において、低温とは、80℃~120℃をいう。
また、「接着性に優れる」とは、「接着強度が高い」を意味する。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物を、沸点が100℃以上254℃未満である有機溶媒を含む溶媒に溶解して得られ、質量減少率を制御した接着ペーストは、低温で加熱した際に、溶媒が効率よく揮発するため、得られる硬化物が接着性に優れ、かつ、被塗布物に塗布された後長時間経過後であっても、半導体素子を良好にマウントすることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕~〔10〕の接着ペースト、〔11〕の接着ペーストの使用方法、及び、〔12〕の接着ペーストを使用する半導体装置の製造方法が提供される。
〔1〕熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)及び溶媒(S)を含有し、前記熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)が、前記溶媒(S)に溶解してなる接着ペーストであって、前記溶媒(S)が、沸点が100℃以上254℃未満である有機溶媒(SL)を含むものであり、接着ペーストを100℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率100℃2hが、10%以上であり、かつ、接着ペーストを170℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率を質量減少率170℃2hとしたときに、質量減少率170℃2h-質量減少率100℃2hが、14%未満である接着ペースト。
〔2〕前記熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)が、ポリシルセスキオキサン化合物である、〔1〕に記載の接着ペースト。
〔3〕前記有機溶媒(SL)が、沸点が100℃以上200℃未満のものである、〔1〕又は〔2〕に記載の接着ペースト。
〔4〕前記有機溶媒(SL)の含有量が、接着ペーストの総質量に対して、10質量%以上50質量%以下である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の接着ペースト。
〔5〕前記溶媒(S)が、沸点が254℃以上300℃以下の有機溶媒(SH)を含むものである、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の接着ペースト。
〔6〕さらに、下記(B)成分を含有する、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の接着ペースト。
(B)成分:シランカップリング剤
〔7〕さらに、下記(C)成分を含有する、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の接着ペースト。
(C)成分:微粒子
〔8〕固形分濃度が、50質量%以上90質量%以下である、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の接着ペースト。
〔9〕貴金属触媒を実質的に含有しない、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の接着ペースト。
〔10〕半導体素子固定材用接着剤である、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の接着ペースト。
〔11〕〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の接着ペーストを、半導体素子固定材用接着剤として使用する方法。
〔12〕〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の接着ペーストを、半導体素子固定材用接着剤として使用する半導体装置の製造方法であって、下記工程(BI)及び工程(BII)を有する半導体装置の製造方法。
工程(BI):半導体素子と支持基板の一方又は両方の接着面に前記接着ペーストを塗布し、圧着する工程
工程(BII):工程(BI)で得られた圧着物の前記接着ペーストを加熱硬化させ、前記半導体素子を前記支持基板に固定する工程
本発明によれば、低温で加熱して得られる硬化物の接着性と、被塗布物に塗布された後長時間経過後であっても、半導体素子を良好にマウントすることが可能なチップマウント性とが両立された接着ペーストが提供される。
また、本発明によれば、この接着ペーストを半導体素子固定材用接着剤として使用する方法、及びこの接着ペーストを半導体素子固定材用接着剤として使用する半導体装置の製造方法が提供される。
以下、本発明を、1)接着ペースト、2)接着ペーストの使用方法、及び、接着ペーストを使用する半導体装置の製造方法、に項分けして詳細に説明する。
1)接着ペースト
本発明の接着ペーストは、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)及び溶媒(S)を含有し、前記熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)が、前記溶媒(S)に溶解してなる接着ペーストであって、前記溶媒(S)が、沸点が100℃以上254℃未満である有機溶媒(SL)を含むものであり、接着ペーストを100℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率100℃2hが、10%以上であり、かつ、接着ペーストを170℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率を質量減少率170℃2hとしたときに、質量減少率170℃2h-質量減少率100℃2hが、14%未満である。
なお、本発明において、接着ペーストとは、粘稠な液体であって、流動性を有する状態のものをいう。
本発明の接着ペーストは、前記状態の性質を有しているため、塗布工程における作業性に優れる。
ここで、塗布工程における作業性に優れるとは、塗布工程において、接着ペーストを吐出管から吐出し、次いで吐出管を引き上げる際、糸引き量が少ないか、又はすぐに途切れて、樹脂飛びしたり、塗布後に液滴が広がることにより、周囲を汚染したりすることがないことをいう。
本発明の接着ペーストは、接着ペーストを100℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率100℃2hは、10%以上、好ましくは12%以上50%未満、より好ましくは13%以上45%未満である。
質量減少率100℃2hが上記下限値以上であることにより、低温で加熱して得られる硬化物は接着性により優れるものとなる。
また、質量減少率100℃2hが上記上限値以上になると、低温で加熱して得られる硬化物の接着機能を発現する有効成分が少なくなるため、高い接着強度を発現しないおそれがあるが、上記上限値未満であることで、そのおそれを低減することができる。
なお、ここで、「有効成分」とは、接着ペースト中に含まれる溶媒(S)を除いた成分をいう。
また、本発明の接着ペーストは、接着ペーストを170℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率を質量減少率170℃2hとしたときに、質量減少率170℃2h-質量減少率100℃2hは14%未満、好ましくは12%未満、より好ましくは1%以上10%未満である。
質量減少率170℃2h-質量減少率100℃2hが上記上限値未満であることにより、低温で加熱した際に、高温で加熱する場合と同じように溶媒が効率よく揮発することで、低温で加熱して得られる硬化物は接着性により優れるものとなる。
質量減少率100℃2h及び質量減少率170℃2hは、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)〕
本発明の接着ペーストは、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)(以下、「(A)成分」ということがある。)を含有する。
本発明の接着ペーストは、(A)成分を含有することにより、低温で加熱することにより接着性に優れる硬化物が得られ易くなる。
本発明の熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)は、分子内に、炭素-ケイ素結合とシロキサン結合(-Si-O-Si-)を有する化合物である。
また、(A)成分は、熱硬化性の化合物であるため、加熱により、縮合反応が可能な官能基、及び加水分解を経て縮合反応が可能な官能基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基を有することが好ましい。
このような官能基としては、水酸基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく、水酸基、炭素数1~10のアルコキシ基がより好ましい。
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の主鎖構造に制限はなく、直鎖状、ラダー状、籠状のいずれであってもよい。
例えば、直鎖状の主鎖構造としては下記式(a-1)で表される構造が、ラダー状の主鎖構造としては下記式(a-2)で表される構造が、籠状の主鎖構造としては下記式(a-3)で表される構造が、それぞれ挙げられる。
式(a-1)~(a-3)中、Rx、Ry、Rzは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基を表し、有機基としては、無置換若しくは置換基を有するアルキル基、無置換若しくは置換基を有するシクロアルキル基、無置換若しくは置換基を有するアルケニル基、無置換若しくは置換基を有するアリール基、又はアルキルシリル基が好ましい。式(a-1)の複数のRx、式(a-2)の複数のRy、及び式(a-3)の複数のRzは、それぞれ同一でも相異なっていてもよい。ただし、前記式(a-1)のRxが2つとも水素原子であることはない。
前記無置換若しくは置換基を有するアルキル基のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等の炭素数1~10のアルキル基が挙げられる。
無置換若しくは置換基を有するシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基等の炭素数3~10のシクロアルキル基が挙げられる。
無置換若しくは置換基を有するアルケニル基のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基等の炭素数2~10のアルケニル基が挙げられる。
前記アルキル基、シクロアルキル基及びアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4-メチルフェニル基、4-クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
無置換又は置換基を有するアリール基のアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~10のアリール基が挙げられる。
前記アリール基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシル基;チオール基;エポキシ基;グリシドキシ基;(メタ)アクリロイルオキシ基;フェニル基、4-メチルフェニル基、4-クロロフェニル基等の無置換若しくは置換基を有するアリール基;等が挙げられる。
アルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリt-ブチルシリル基、メチルジエチルシリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、メチルシリル基、エチルシリル基等が挙げられる。
これらの中でも、Rx、Ry、Rzとしては、水素原子、無置換若しくは置換基を有する炭素数1~6のアルキル基、又はフェニル基が好ましく、無置換若しくは置換基を有する炭素数1~6のアルキル基が特に好ましい。
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)は、例えば、加水分解性官能基(アルコキシ基、ハロゲン原子等)を有するシラン化合物を重縮合する、公知の製造方法により得ることができる。
用いるシラン化合物は、目的とする熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の構造に応じて適宜選択すればよい。好ましい具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等の2官能シラン化合物;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルジエトキシメトキシシラン等の3官能シラン化合物;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn-ブトキシシラン、テトラt-ブトキシシラン、テトラs-ブトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン等の4官能シラン化合物;等が挙げられる。
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の質量平均分子量(Mw)は、通常、800以上30,000以下、好ましくは1,000以上20,000以下、より好ましくは1,200以上15,000以下、特に好ましくは3,000以上10,000以下である。質量平均分子量(Mw)が上記範囲内にある熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)を用いることにより、耐熱性及び接着性により優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる。
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の分子量分布(Mw/Mn)は特に制限されないが、通常1.0以上10.0以下、好ましくは1.1以上6.0以下である。分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にある熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)を用いることにより、耐熱性及び接着性により優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる。
質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
本発明の熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)は、3官能オルガノシラン化合加を重縮合して得られる、ポリシルセスキオキサン化合物であることが好ましい。
本発明の接着ペーストは、(A)成分として、ポリシルセスキオキサン化合物を含有することにより、低温で加熱して接着性に優れる硬化物が得られ易くなる。
本発明のポリシルセスキオキサン化合物は、下記式(a-4)で示される繰り返し単位を有する化合物である。
本発明の接着ペーストは、(A)成分として、下記式(a-4)で示される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサン化合物を含有することにより、低温で加熱して接着性により優れる硬化物が得られ易くなる。
式(a-4)中、Rは有機基を表す。有機基としては、無置換のアルキル基、置換基を有するアルキル基、無置換のシクロアルキル基、置換基を有するシクロアルキル基、無置換のアルケニル基、置換基を有するアルケニル基、無置換のアリール基、置換基を有するアリール基、及び、アルキルシリル基からなる群から選ばれる基が好ましく、無置換の炭素数1~10のアルキル基、置換基を有する炭素数1~10のアルキル基、無置換の炭素数6~12のアリール基、及び、置換基を有する炭素数6~12のアリール基からなる群から選ばれる基がより好ましい。
「無置換の炭素数1~10のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
で表される「無置換の炭素数1~10のアルキル基」の炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましい。
で表される「置換基を有する炭素数1~10のアルキル基」の炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましい。なお、この炭素数は、置換基を除いた部分(アルキル基の部分)の炭素数を意味するものである。したがって、Rが「置換基を有する炭素数1~10のアルキル基」である場合、Rの炭素数は10を超える場合もあり得る。
「置換基を有する炭素数1~10のアルキル基」のアルキル基としては、「無置換の炭素数1~10のアルキル基」として示したものと同様のものが挙げられる。
「置換基を有する炭素数1~10のアルキル基」の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;式:OGで表される基;等が挙げられる。
「置換基を有する炭素数1~10のアルキル基」の置換基の原子の数(ただし水素原子の数を除く)は、通常1~30、好ましくは1~20である。
ここで、Gは水酸基の保護基を表す。水酸基の保護基としては、特に制約はなく、水酸基の保護基として知られている公知の保護基が挙げられる。例えば、アシル系;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等のシリル系;メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基等のアセタール系;t-ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル系;メチル基、エチル基、t-ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、フルオレニル基、トリチル基、ベンズヒドリル基等のエーテル系;等が挙げられる。
「無置換の炭素数6~12のアリール基」としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
で表される「無置換の炭素数6~12のアリール基」の炭素数は6が好ましい。
で表される「置換基を有する炭素数6~12のアリール基」の炭素数は6が好ましい。なお、この炭素数は、置換基を除いた部分(アリール基の部分)の炭素数を意味するものである。したがって、Rが「置換基を有する炭素数6~12のアリール基」である場合、Rの炭素数は12を超える場合もあり得る。
「置換基を有する炭素数6~12のアリール基」のアリール基としては、「無置換の炭素数6~12のアリール基」として示したものと同様のものが挙げられる。
「置換基を有する炭素数6~12のアリール基」の置換基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
「置換基を有する炭素数6~12のアリール基」の置換基の原子の数(ただし水素原子の数を除く)は、通常1~30、好ましくは1~20である。
これらの中でも、Rとしては、構造の安定したポリシルセスキオキサン化合物が得られ易く、接着ペーストとしての性能がより安定する観点から、無置換の炭素数1~10のアルキル基、フッ素原子を有する炭素数1~10のアルキル基、及び無置換の炭素数6~12のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
が、無置換の炭素数1~10のアルキル基であるポリシルセスキオキサン化合物を用いることにより、耐熱性及び接着性により優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる。
が、フッ素原子を有する炭素数1~10のアルキル基であるポリシルセスキオキサン化合物を用いることにより、屈折率が低い接着ペーストや硬化物が得られ易くなり、屈折率が低いことが要望される光半導体素子に好適に用いられ易くなる。
フッ素原子を有する炭素数1~10のアルキル基としては、組成式:C(2m-n+1)で表される基(mは1~10の整数、nは1以上、(2m+1)以下の整数である。)が挙げられる。これらの中でも、3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましい。
が無置換の炭素数6~12のアリール基であるポリシルセスキオキサン化合物を用いることにより、屈折率が高い接着ペーストや硬化物が得られ易くなり、屈折率が高いことが要望される光半導体素子に好適に用いられ易くなる。
ポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(すなわち、後述のTサイト)の含有割合は、全繰り返し単位に対して、通常、50~100mol%であり、70~100mol%であることがより好ましく、90~100mol%であることがさらに好ましく、100mol%であることが特に好ましい。
前記式(a-4)で示される繰り返し単位(Tサイト)の含有割合が、上記割合であるポリシルセスキオキサン化合物を用いることで、耐熱性、接着性及び屈折率の性能を発現し易い接着ペーストを得ることができる。
ポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(Tサイト)の含有割合は、例えば、NMRピークの帰属及び面積の積分が可能である場合には、29Si-NMR及びH-NMRを測定することにより求めることができる。
ポリシルセスキオキサン化合物は、アセトン等のケトン系溶媒;ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルスルホキシド等の含硫黄系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;クロロホルム等の含ハロゲン系溶媒;及びこれらの二種以上からなる混合溶媒;等の各種有機溶媒に可溶である。そのため、これらの溶媒を用いて、ポリシルセスキオキサン化合物の溶液状態での29Si-NMRを測定することができる。
前記式(a-4)で示される繰り返し単位は、下記式(a-5)で示されるものであることが好ましい。
式(a-5)で示されるように、ポリシルセスキオキサン化合物は、一般にTサイトと総称される、ケイ素原子に酸素原子が3つ結合し、それ以外の基(R)が1つ結合してなる部分構造を有する。
式(a-5)中、Rは、前記式(a-4)におけるRと同じ意味を表す。*は、Si原子、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表し、3つの*のうち少なくとも1つはSi原子である。*の炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。複数の*同士は、すべて同一であっても相異なっていてもよい。
また、ポリシルセスキオキサン化合物は、熱硬化性の化合物であり、加熱により、縮合反応及び/又は加水分解を経て縮合反応が可能な化合物である。そのため、ポリシルセスキオキサン化合物が有する複数の繰り返し単位(Tサイト)の前記式(a-5)中の*のうち、少なくとも1つは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
なお、ポリシルセスキオキサン化合物が測定用の溶媒に可溶である場合には、29Si-NMRを測定することにより、前記式(a-5)中の*における水素原子又は炭素数1~10のアルキル基の存在や、前記式(a-5)中の3つの*が全てSi原子である繰り返し単位であるかを確認することができる。
さらに、29Si-NMRのピークの帰属及び面積の積分が可能である場合には、ポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(Tサイト)の総数に対する、前記式(a-5)中の3つの*が全てSi原子である繰り返し単位の総数を概算することができる。
このポリシルセスキオキサン化合物中の前記式(a-4)で示される繰り返し単位(Tサイト)の総数に対する、前記式(a-5)中の3つの*が全てSi原子である繰り返し単位の総数は、耐熱性により優れる硬化物を与える接着ペーストが得られ易くなる観点から、30~95mol%であることが好ましく、40~90mol%であることがより好ましい。
ポリシルセスキオキサン化合物は、一種のRを有するもの(単独重合体)であってもよく、二種以上のRを有するもの(共重合体)であってもよい。
ポリシルセスキオキサン化合物が共重合体である場合、ポリシルセスキオキサン化合物は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体等のいずれであってもよいが、製造容易性等の観点からは、ランダム共重合体が好ましい。
また、ポリシルセスキオキサン化合物の構造は、ラダー型構造、ダブルデッカー型構造、籠型構造、部分開裂籠型構造、環状型構造、ランダム型構造のいずれの構造であってもよい。
本発明において、ポリシルセスキオキサン化合物は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリシルセスキオキサン化合物の製造方法は特に限定されない。例えば、下記式(a-6)
(式中、Rは、前記式(a-4)におけるRと同じ意味を表す。Rは炭素数1~10のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、pは0~3の整数を表す。複数のR、及び複数のXは、それぞれ、互いに同一であっても、相異なっていてもよい。)
で示されるシラン化合物(1)の少なくとも一種を重縮合させることにより、ポリシルセスキオキサン化合物を製造することができる。
の炭素数1~10のアルキル基としては、前記式(a-5)中の*の炭素数1~10のアルキル基として示したものと同様のものが挙げられる。
のハロゲン原子としては、塩素原子、及び臭素原子等が挙げられる。
シラン化合物(1)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン化合物類;
メチルクロロジメトキシシラン、メチルクロロジエトキシシラン、メチルジクロロメトキシシラン、メチルブロモジメトキシシラン、エチルクロロジメトキシシラン、エチルクロロジエトキシシラン、エチルジクロロメトキシシラン、エチルブロモジメトキシシラン等のアルキルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
メチルトリクロロシラン、メチルトリブロモシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリブロモシラン等のアルキルトリハロゲノシラン化合物類;
3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、2-シアノエチルトリメトキシシラン、2-シアノエチルトリエトキシシラン等の置換アルキルトリアルコキシシラン化合物類;
3,3,3-トリフルオロプロピルクロロジメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルクロロジエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジクロロメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジクロロエトキシシラン、2-シアノエチルクロロジメトキシシラン、2-シアノエチルクロロジエトキシシラン、2-シアノエチルジクロロメトキシシラン、2-シアノエチルジクロロエトキシシラン等の置換アルキルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
3,3,3-トリフルオロプロピルトリクロロシラン、2-シアノエチルトリクロロシラン等の置換アルキルトリハロゲノシラン化合物類;
フェニルトリメトキシシラン、4-メトキシフェニルトリメトキシシラン等の、置換基を有する、又は置換基を有さないフェニルトリアルコキシシラン化合物類;
フェニルクロロジメトキシシラン、フェニルジクロロメトキシシラン、4-メトキシフェニルクロロジメトキシシラン、4-メトキシフェニルジクロロメトキシシラン等の、置換基を有する、又は置換基を有さないフェニルハロゲノアルコキシシラン化合物類;
フェニルトリクロロシラン、4-メトキシフェニルトリクロロシラン等の、置換基を有する、又は置換基を有さないフェニルトリハロゲノシラン化合物類;等が挙げられる。
これらのシラン化合物(1)は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記シラン化合物(1)を重縮合させる方法は特に限定されない。例えば、溶媒中、又は無溶媒で、シラン化合物(1)に、所定量の重縮合触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法が挙げられる。より具体的には、(a)シラン化合物(1)に、所定量の酸触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法、(b)シラン化合物(1)に、所定量の塩基触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法、(c)シラン化合物(1)に、所定量の酸触媒を添加し、所定温度で撹拌した後、過剰量の塩基触媒を添加して、反応系を塩基性とし、所定温度で撹拌する方法等が挙げられる。これらの中でも、効率よく目的とするポリシルセスキオキサン化合物を得ることができることから、(a)又は(c)の方法が好ましい。
用いる重縮合触媒は、酸触媒及び塩基触媒のいずれであってもよい。また、2以上の重縮合触媒を組み合わせて用いてもよいが、少なくとも酸触媒を用いることが好ましい。
酸触媒としては、リン酸、塩酸、ホウ酸、硫酸、硝酸等の無機酸;クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。これらの中でも、リン酸、塩酸、ホウ酸、硫酸、クエン酸、酢酸、及びメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
塩基触媒としては、アンモニア水;トリメチルアミン、トリエチルアミン、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、アニリン、ピコリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール等の有機塩基;水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の有機塩水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt-ブトキシド、カリウムt-ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩;等が挙げられる。
重縮合触媒の使用量は、シラン化合物(1)の総mol量に対して、通常、0.05~10mol%、好ましくは0.1~5mol%の範囲である。
重縮合時に溶媒を用いる場合、用いる溶媒は、シラン化合物(1)の種類等に応じて、適宜選択することができる。例えば、水;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール等のアルコール類;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記(c)の方法を採用する場合、酸触媒の存在下、水系で重縮合反応を行った後、反応液に、有機溶媒と過剰量の塩基触媒(アンモニア水など)を添加し、塩基性条件下で、更に重縮合反応を行うようにしてもよい。
溶媒の使用量は、シラン化合物(1)の総mol量1mol当たり、通常、0.001リットル以上10リットル以下、好ましくは0.01リットル以上0.9リットル以下である。
シラン化合物(1)を重縮合させるときの温度は、通常0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは20℃以上100℃以下の範囲である。反応温度があまりに低いと重縮合反応の進行が不十分となる場合がある。一方、反応温度が高くなりすぎるとゲル化抑制が困難となる。反応は、通常30分から30時間で完結する。
なお、用いるモノマーの種類によっては、高分子量化が困難な場合がある。例えば、Rがフッ素原子を有するアルキル基であるモノマーは、Rが通常のアルキル基であるモノマーよりも反応性に劣る傾向がある。このような場合、触媒量を減らし、かつ、穏やかな条件で長時間反応を行うことにより、目的の分子量のポリシルセスキオキサン化合物が得られ易くなる。
反応終了後は、酸触媒を用いた場合は、反応溶液に炭酸水素ナトリウム等のアルカリ水溶液を添加することにより、塩基触媒を用いた場合は、反応溶液に塩酸等の酸を添加することにより中和を行い、その際に生じる塩をろ別又は水洗等により除去し、目的とするポリシルセスキオキサン化合物を得ることができる。
上記方法により、ポリシルセスキオキサン化合物を製造する際、シラン化合物(1)のOR又はXのうち、加水分解およびその後の縮合反応等が起こらなかった部分は、ポリシルセスキオキサン化合物中に残存する。
(A)成分が、例えば、シラン化合物(1)の重縮合反応により得られたポリシルセスキオキサン化合物である場合、後述のシランカップリング剤との反応を含め、硬化は縮合反応で進行するため、本発明の接着ペーストは、白金触媒等の貴金属触媒の存在下で付加反応が進行して硬化する一般的な加熱硬化型シリコーン接着剤とは異なるものである。
したがって、本発明のポリシルセスキオキサン化合物を含有する接着ペーストは、貴金属触媒を実質的に含有しない、又は貴金属触媒の含有量が少ないものである。
ここで、「貴金属触媒を実質的に含有しない、又は貴金属触媒の含有量が少ない」とは、「貴金属触媒と解釈され得る成分が意図的に添加されていないことのほか、接着ペースト中の有効成分の量に対して、貴金属触媒の含有量が触媒金属元素の質量換算で、例えば、1質量ppm未満であること」を意味する。
接着ペーストは、調合ばらつき等を考慮した安定的な製造の観点、貯蔵安定性の観点、貴金属触媒が高価なものである観点等から、貴金属触媒を実質的に含有しない、又は貴金属触媒の含有量が少ないものであることが好ましい。
〔溶媒(S)〕
本発明の接着ペーストは、前記熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)を、沸点が100℃以上254℃未満である有機溶媒(SL)を含む溶媒(S)に溶解してなる。
ここで、沸点は、1013hPaにおける沸点をいう(本明細書において同じ。)
有機溶媒(SL)としては、沸点が100℃以上254℃未満であり、かつ、本発明の接着ペーストの成分を溶解又は分散し得るものであれば特に限定されない。
有機溶媒(SL)の沸点は、100℃以上254℃未満であり、100℃以上200℃未満であることが好ましく、105℃以上185℃未満であることがより好ましく、110℃以上170℃未満であることが特に好ましい。
このような有機溶媒(SL)は、沸点が254℃以上300℃以下である高沸点の有機溶媒と比較して、低温で加熱した際に、溶媒が効率よく揮発する。そのため、有機溶媒(SL)を含有させることにより、質量減少率100℃2hが10%以上であり、かつ、質量減少率170℃2h-質量減少率100℃2hが14%未満である接着ペーストが得られ易くなる。また、このような有機溶媒(SL)は、沸点が100℃未満である低沸点の有機溶媒と比較して揮発速度が比較的遅い。
したがって、有機溶媒(SL)を含有する接着ペーストは、低温で加熱した際に、多量溶媒が残存することなく効率よく揮発することで、十分な接着強度を得られ易く、加えて、低温で加熱しても接着ペーストにおける有効成分の濃度が上昇する速度が速いので硬化し易いものとなる。そのため、得られる硬化物の接着性に優れ、かつ、被塗布物に塗布された後長時間経過後であっても、半導体素子を良好にマウントすることが可能なものとなる。
有機溶媒(SL)の具体例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点247℃)、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点229℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点209℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃)、ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル(沸点212℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点215℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点216℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点218℃)、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点230℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点245℃)、
トリプロピレングリコールメチルエーテル(沸点242℃)、プロピレングリコールフェニルエーテル(沸点243℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃)、ベンジルアルコール(沸点204.9℃)、フェネチルアルコール(沸点219~221℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点192℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点134.8℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点124.5℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、シクロペンタノン(沸点130℃)、シクロヘキサノン(沸点157℃)、シクロヘプタノン(沸点180℃)、シクロオクタノン(沸点195~197℃)、シクロヘキサノール(沸点161℃)、シクロヘキサジエノン(沸点104~104.5℃)等が挙げられる。
これらの中でも、有機溶媒(SL)としては、有機溶媒(SL)を用いる効果をより発現することができる観点、及び、有効成分を良好に混合し易い観点から、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンが好ましく、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンがより好ましい。
有機溶媒(SL)は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の接着ペーストは、有機溶媒(SL)の含有量が、接着ペーストの総質量に対して、10質量%以上50質量%以下であることが好ましく、18質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下であることが特に好ましい。
接着ペーストの総質量に対する有機溶媒(SL)の含有量を上記範囲とすることにより、接着ペーストをシリンジに充填する工程や塗布工程における作業性に優れるとともに、有機溶媒(SL)を用いる効果をより発現することができる。
ここで、接着ペーストをシリンジに充填する工程における作業性に優れるとは、適量を気泡なくシリンジ内に充填できることをいう。
本発明の接着ペーストは、有機溶媒(SL)以外の溶媒を含有してもよい。
有機溶媒(SL)以外の溶媒としては、沸点が254℃以上300℃以下の有機溶媒(以下、「有機溶媒(SH)」と記載することがある。)が好ましい。
有機溶媒(SH)としては、沸点が254℃以上300℃以下であり、かつ、本発明の接着ペーストの成分を溶解又は分散し得るものであれば特に制限されない。
有機溶媒(SL)と有機溶媒(SL)以外の溶媒を併用することにより、接着ペーストを加熱して硬化物を得る温度範囲をより精密に調節することができるため、熱による影響を受けやすい光学部品やセンサチップに対する加熱の影響を小さくすることができる。
有機溶媒(SH)としては、具体的には、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(沸点274℃)、1,6-へキサンジオールジアクリレート(沸点260℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点264~294℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点290~310℃)等が挙げられる。
これらの中でも、有機溶媒(SH)としては、有機溶媒(SL)と有機溶媒(SH)を併用した効果がより得られやすい観点から、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。
有機溶媒(SL)と有機溶媒(SH)を併用する場合、具体的には、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(有機溶媒(SL))とトリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(有機溶媒(SH))の組み合わせ、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(有機溶媒(SL))とトリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(有機溶媒(SH))の組み合わせ、シクロヘキサノン(有機溶媒(SL))とトリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(有機溶媒(SH))の組み合わせ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(有機溶媒(SL))と1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(有機溶媒(SH))の組み合わせ、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(有機溶媒(SL))と1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(有機溶媒(SH))の組み合わせ、シクロヘキサノン(有機溶媒(SL))と1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(有機溶媒(SH))の組み合わせが好ましい。
有機溶媒(SL)は、溶媒(S)全体の60質量%以上を占めることが好ましく、65質量%以上を占めることがより好ましく、70質量%以上を占めることが特に好ましい。
溶媒(S)全体の有機溶媒(SL)を上記範囲で用いることにより、有機溶媒(SL)を用いる効果をより発現することができる。
本発明の接着ペーストは、固形分濃度が、好ましくは50質量%以上90質量%以下、より好ましくは70質量%以上90質量%以下になる量の溶媒(S)を含有することが好ましい。
固形分濃度がこの範囲内であることで、有効成分を良好に混合し易く、接着ペーストをシリンジに充填する工程や塗布工程における作業性に優れるとともに、有機溶媒(SL)を用いる効果をより発現することができる。
また、ダイボンディングを行なう際、接着ペーストとその接着対象である基板等との間に生じる空隙部(ボイド)の発生を抑制することができ、パッケージの信頼性が高くなる。
〔その他の成分〕
本発明の接着ペーストは、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)及び溶媒(S)を含有するものであるが、以下に示す成分を含有していてもよい。
(1)シランカップリング剤(B)
本発明の接着ペーストは、(B)成分として、シランカップリング剤を含有していてもよい。
シランカップリング剤としては、分子内に窒素原子を有するシランカップリング剤(B1)(以下、「(B1)成分」ということがある。)や分子内に酸無水物構造を有するシランカップリング剤(B2)(以下、「(B2)成分」ということがある。)が挙げられる。
シランカップリング剤(B1)を含有する接着ペーストは、塗布工程における作業性に優れ、かつ、加熱時に、(A)成分と共に縮合反応することによる硬化性に優れ、低温で加熱した場合の接着性、耐熱性及び硬化物の割れ抑制性により優れる硬化物を与える。
ここで、硬化物の割れ抑制性により優れるとは、接着ペーストを加熱して硬化物を得る際に、温度変化に伴う硬化物の割れが発生しないことをいう。
シランカップリング剤(B1)としては、分子内に窒素原子を有するシランカップリング剤であれば特に制限はない。例えば、下記式(b-1)で表されるトリアルコキシシラン化合物、式(b-2)で表されるジアルコキシアルキルシラン化合物又はジアルコキシアリールシラン化合物等が挙げられる。
上記式中、Rは、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基を表す。複数のR同士は同一であっても相異なっていてもよい。
は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基等の炭素数1~6のアルキル基;又は、フェニル基、4-クロロフェニル基、4-メチルフェニル基、1-ナフチル基等の、置換基を有する、又は置換基を有さないアリール基;を表す。
は、窒素原子を有する、炭素数1~10の有機基を表す。また、Rは、さらに他のケイ素原子を含む基と結合していてもよい。
の炭素数1~10の有機基の具体例としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル基、3-アミノプロピル基、N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)アミノプロピル基、3-ウレイドプロピル基、N-フェニル-アミノプロピル基等が挙げられる。
上記式(b-1)又は(b-2)で表される化合物のうち、Rが、他のケイ素原子を含む基と結合した有機基である場合の化合物としては、イソシアヌレート骨格を介して他のケイ素原子と結合してイソシアヌレート系シランカップリング剤を構成するものや、ウレア骨格を介して他のケイ素原子と結合してウレア系シランカップリング剤を構成するものが挙げられる。
これらの中でも、シランカップリング剤(B1)としては、接着強度がより高い硬化物が得られ易いことから、イソシアヌレート系シランカップリング剤、及びウレア系シランカップリング剤が好ましく、さらに、分子内に、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するものが好ましい。
ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するとは、同一のケイ素原子に結合したアルコキシ基と、異なるケイ素原子に結合したアルコキシ基との総合計数が4以上という意味である。
ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するイソシアヌレート系シランカップリング剤としては、下記式(b-3)で表される化合物が、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を4以上有するウレア系シランカップリング剤としては、下記式(b-4)で表される化合物が挙げられる。
式中、Rは、前記式(b-1)及び(b-2)におけるRと同じ意味を表す。t1~t5はそれぞれ独立して、1~10の整数を表し、1~6の整数が好ましく、3が特に好ましい。
式(b-3)で表される化合物の具体例としては、1,3,5-N-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-トリi-プロポキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-トリブトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等の1,3,5-N-トリス〔(トリ(炭素数1~6)アルコキシ)シリル(炭素数1~10)アルキル〕イソシアヌレート;
1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシi-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジメトキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシi-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジエトキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシi-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジi-プロポキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシメチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシエチルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシi-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシn-プロピルシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-ジブトキシフェニルシリルプロピル)イソシアヌレート等の1,3,5-N-トリス〔(ジ(炭素数1~6)アルコキシ)シリル(炭素数1~10)アルキル〕イソシアヌレート;等が挙げられる。
式(b-4)で表される化合物の具体例としては、N,N’-ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリブトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ウレア等のN,N’-ビス〔(トリ(炭素数1~6)アルコキシシリル)(炭素数1~10)アルキル〕ウレア;
N,N’-ビス(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-ジメトキシエチルシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)ウレア等のN,N’-ビス〔(ジ(炭素数1~6)アルコキシ(炭素数1~6)アルキルシリル(炭素数1~10)アルキル)ウレア;
N,N’-ビス(3-ジメトキシフェニルシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-ジエトキシフェニルシリルプロピル)ウレア等のN,N’-ビス〔(ジ(炭素数1~6)アルコキシ(炭素数6~20)アリールシリル(炭素数1~10)アルキル)ウレア;等が挙げられる。
シランカップリング剤(B1)は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、シランカップリング剤(B1)としては、1,3,5-N-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5-N-トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(以下、前記2つを「イソシアヌレート化合物」という。)、N,N’-ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア、N,N’-ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア(以下、前記2つを「ウレア化合物」という。)、及び、上記イソシアヌレート化合物とウレア化合物との組み合わせを用いるのが好ましい。
上記イソシアヌレート化合物とウレア化合物とを組み合わせて用いる場合、両者の使用割合は、(イソシアヌレート化合物)と(ウレア化合物)の質量比で、100:1~100:200であるのが好ましく、100:10~100:110がより好ましい。このような割合で、イソシアヌレート化合物とウレア化合物とを組み合わせて用いることにより、接着強度がより高く、耐熱性により優れる硬化物を与える接着ペーストを得ることができる。
本発明の接着ペーストがシランカップリング剤(B1)〔(B1)成分〕を含有する場合、(B1)成分の含有量は特に限定されないが、その量は、(A)成分と(B1)成分の質量比〔(A)成分:(B1)成分〕で、好ましくは100:0.1~100:90、より好ましくは100:0.5~100:70、より好ましくは100:1~100:55、より好ましくは100:3~100:45、さらに好ましくは100:5~100:35となる量である。
(B1)成分を上記範囲で用いることにより、(B1)成分を加える効果をより発現することができる。
シランカップリング剤(B2)を含有する接着ペーストは、塗布工程における作業性に優れ、かつ、低温で加熱した場合の接着性及び耐熱性により優れる硬化物を与える。
シランカップリング剤(B2)としては、2-(トリメトキシシリル)エチル無水コハク酸、2-(トリエトキシシリル)エチル無水コハク酸、3-(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸、3-(トリエトキシシリル)プロピル無水コハク酸等の、トリ(炭素数1~6)アルコキシシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(ジメトキシメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、ジ(炭素数1~6)アルコキシメチルシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(メトキシジメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、(炭素数1~6)アルコキシジメチルシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(トリクロロシリル)エチル無水コハク酸、2-(トリブロモシリル)エチル無水コハク酸等の、トリハロゲノシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(ジクロロメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、ジハロゲノメチルシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;
2-(クロロジメチルシリル)エチル無水コハク酸等の、ハロゲノジメチルシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸;等が挙げられる。
シランカップリング剤(B2)は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、シランカップリング剤(B2)としては、トリ(炭素数1~6)アルコキシシリル(炭素数2~8)アルキル無水コハク酸が好ましく、3-(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸又は3-(トリエトキシシリル)プロピル無水コハク酸が特に好ましい。
本発明の接着ペーストがシランカップリング剤(B2)〔(B2)成分〕を含有する場合、(B2)成分の含有量は特に限定されないが、その量は、(A)成分と(B2)成分の質量比〔(A)成分:(B2)成分〕で、好ましくは100:0.01~100:40、より好ましくは100:0.01~100:30、より好ましくは100:0.1~100:10である。
(B2)成分を上記範囲で用いることにより、(B2)成分を加える効果をより発現することができる。
(2)微粒子(C)
本発明の接着ペーストは、(C)成分として、微粒子を含有していてもよい。
微粒子としては、平均一次粒子径が5nm以上40nm以下の微粒子(C1)(以下、「(C1)成分」ということがある。)や平均一次粒子径が0.04μm超8μm以下の微粒子(C2)(以下、「(C2)成分」ということがある。)が挙げられる。
微粒子(C1)を含有する接着ペーストは、塗布工程における作業性に優れ、かつ、低温で加熱した場合の接着性及び耐熱性により優れる硬化物を与える。
この効果がより得られ易いことから、微粒子(C1)の平均一次粒子径は、好ましくは5nm以上30nm以下、より好ましくは5nm以上20nm以下である。
微粒子(C1)の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いて微粒子の形状を観察することにより求められる。
微粒子(C1)の比表面積は、好ましくは10m/g以上500m/g以下、より好ましくは20m/g以上300m/g以下である。比表面積が上記範囲内であることで、塗布工程における作業性により優れる接着ペーストが得られ易くなる。
比表面積は、BET多点法により求めることができる。
微粒子(C1)の形状は、球状、鎖状、針状、板状、片状、棒状、繊維状等のいずれであってもよいが、球状であるのが好ましい。ここで、球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形、金平糖状、まゆ状等球体に近似できる多面体形状を含む略球状を意味する。
微粒子(C1)の構成成分としては、特に制限はなく、金属;金属酸化物;鉱物;金属炭酸塩;金属硫酸塩;金属水酸化物;金属珪酸塩;無機成分;有機成分;シリコーン;等が挙げられる。
また、用いる微粒子(C1)は表面が修飾されたものであってもよい。
金属とは、周期表における、1族(Hを除く)、2~11族、12族(Hgを除く)、13族(Bを除く)、14族(C及びSiを除く)、15族(N、P、As及びSbを除く)、又は16族(O、S、Se、Te及びPoを除く)に属する元素をいう。
金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化亜鉛、及びこれらの複合酸化物等が挙げられる。金属酸化物の微粒子には、これらの金属酸化物からなるゾル粒子も含まれる。
鉱物としては、スメクタイト、ベントナイト等が挙げられる。
スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ノントロナイト、ソーコナイト等が挙げられる。
金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が、金属硫酸塩としては、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等が、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム等が、金属珪酸塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等が挙げられる。
また、無機成分としては、シリカ等が挙げられる。シリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、表面修飾シリカ(表面が修飾されたシリカ)等が挙げられる。
有機成分としては、アクリル系重合体等が挙げられる。
シリコーンとは、シロキサン結合による主骨格を持つ、人工高分子化合物を意味する。例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
微粒子(C1)は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、本発明においては、透明性に優れる接着ペーストが得られ易いことから、シリカ、金属酸化物、鉱物が好ましく、シリカがより好ましい。
シリカの中でも、接着ペーストとして混合が比較的容易である観点、及び塗布工程における作業性により優れる接着ペーストが得られ易いことから、表面修飾シリカが好ましく、疎水性の表面修飾シリカがより好ましい。
疎水性の表面修飾シリカとしては、表面に、トリメチルシリル基等のトリ炭素数1~20のトリアルキルシリル基;ジメチルシリル基等のジ炭素数1~20のアルキルシリル基;オクチルシリル基等の炭素数1~20のアルキルシリル基;を結合させたシリカ;シリコーンオイルで表面を処理したシリカ;等が挙げられる。
疎水性の表面修飾シリカは、例えば、シリカ粒子に、トリ炭素数1~20のトリアルキルシリル基、ジ炭素数1~20のアルキルシリル基、炭素数1~20のアルキルシリル基等を有するシランカップリング剤を用いて表面修飾することにより、あるいは、シリカ粒子をシリコーンオイルで処理することにより得ることができる。
本発明の接着ペーストが微粒子(C1)〔(C1)成分〕を含有する場合、(C1)成分の含有量は特に限定されないが、その量は、(A)成分と(C1)成分の質量比〔(A)成分:(C1)成分〕で、好ましくは100:0.1~100:90、より好ましくは100:0.2~100:60、より好ましくは100:0.3~100:50、より好ましくは100:0.5~100:40、より好ましくは100:0.8~100:30となる量である。
(C1)成分を上記範囲で用いることにより、(C1)成分を加える効果をより発現することができる。
微粒子(C2)を含有する接着ペーストは、低温で加熱した場合の接着性及び耐熱性により優れる硬化物を与える。
この効果がより得られ易いことから、微粒子(C2)の平均一次粒子径は、好ましくは0.06μm超7μm以下、より好ましくは0.3μm超6μm以下、さらに好ましくは1μm超4μm以下である。
微粒子(C2)の平均一次粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製、製品名「LA-920」)等を用いて、レーザー散乱法による粒度分布の測定を行うことにより求められる。
微粒子(C2)の形状は、微粒子(C1)の形状として例示したものと同様のものが挙げられるが、球状であるのが好ましい。
また、微粒子(C2)の構成成分としては、微粒子(C1)の構成成分として例示したものと同様のものが挙げられる。
微粒子(C2)は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、接着ペーストとして混合が比較的容易である観点、並びに、接着性及び耐熱性に優れる硬化物が得られ易いことから、シリコーンで表面が被覆された金属酸化物、シリカ及びシリコーンからなる群から選ばれる少なくとも一種の微粒子が好ましく、シリカ、シリコーンがより好ましい。
本発明の接着ペーストが微粒子(C2)〔(C2)成分〕を含有する場合、(C2)成分の含有量は特に限定されないが、その量は、(A)成分と(C2)成分の質量比〔(A)成分:(C2)成分〕で、好ましくは100:0.1~100:40、より好ましくは100:0.2~100:30、より好ましくは100:0.3~100:20、さらに好ましくは100:0.5~100:15、特に好ましくは100:0.8~100:12となる量である。
(C2)成分を上記範囲で用いることにより、(C2)成分を加える効果をより発現することができる。
(3)その他の添加成分
本発明の接着ペーストは、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記(A)~(C)成分以外の他の成分〔(D)成分〕を含有してもよい。
(D)成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。
酸化防止剤は、加熱時の酸化劣化を防止するために添加される。酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ホスファイト類、オキサホスファフェナントレンオキサイド類等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、モノフェノール類、ビスフェノール類、高分子型フェノール類等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の使用量は、(A)成分に対して、通常、10質量%以下である。
紫外線吸収剤は、得られる接着ペーストの耐光性を向上させる目的で添加される。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤の使用量は、(A)成分に対して、通常、10質量%以下である。
光安定剤は、得られる接着ペーストの耐光性を向上させる目的で添加される。
光安定剤としては、例えば、ポリ[{6-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)イミノ}]等のヒンダードアミン類等が挙げられる。
これらの光安定剤は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
(D)成分の総使用量は、(A)成分に対して、通常、20質量%以下である。
本発明の接着ペーストは、例えば、下記工程(AI)及び工程(AII)を有する製造方法により製造することができる。
工程(AI):上記式(a-6)で示される化合物の少なくとも一種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物を得る工程
工程(AII):工程(AI)で得られたポリシルセスキオキサン化合物を、沸点が100℃以上254℃未満である有機溶媒(SL)を含む溶媒(S)に溶解させ、ポリシルセスキオキサン化合物を含有する溶液を得る工程
工程(AI)の上記式(a-6)で示される化合物の少なくとも一種を、重縮合触媒の存在下に重縮合させて、ポリシルセスキオキサン化合物を得る方法としては、1)接着ペーストの項で例示したものと同様の方法が挙げられる。また、工程(AII)で用いる有機溶媒(SL)、溶媒(S)は、1)接着ペーストの項で有機溶媒(SL)、溶媒(S)として例示したのと同様のものが挙げられる。
工程(AII)において、ポリシルセスキオキサン化合物を、有機溶媒(SL)を含む溶媒(S)に溶解する方法としては、例えば、ポリシルセスキオキサン化合物、所望により前記(B)成分~(D)成分を、溶媒(S)と混合、脱泡し、溶解する方法が挙げられる。
混合方法、脱泡方法は特に限定されず、公知の方法を利用することができる。
混合する順番は特に限定されない。
上記工程(AI)及び工程(AII)を有する製造方法によれば、本発明の接着ペーストを、効率よく簡便に製造することができる。
本発明は、接着ペーストを加熱して溶媒(S)を揮発させ、硬化することにより、硬化物を得ることができる。
硬化させるときの加熱温度は、通常80℃~180℃であり、好ましくは80℃~120℃である。また、硬化させるときの加熱時間は、通常30分~10時間、好ましくは30分~5時間、より好ましくは30分~3時間である。
本発明の接着ペーストを硬化して得られる硬化物は、接着性に優れる。
本発明の接着ペーストを硬化して得られる硬化物が、接着性に優れることは、例えば、次のようにして確認することができる。すなわち、一辺の長さが1mmの正方形(面積が1mm)のシリコンチップのミラー面に、本発明の接着ペーストを塗布し、塗布面を銀メッキ銅板の上に載せ圧着(圧着後の接着ペーストの厚さ:約2μm)し、100℃で2時間加熱処理して硬化させる。これを、23℃のボンドテスターの測定ステージ上に30秒間放置し、被着体から100μmの高さの位置より、スピード200μm/sで接着面に対し水平方向(せん断方向)に応力をかけ、試験片と被着体との接着強度(N/mm□)を測定する。
本発明の接着ペーストを硬化して得られる硬化物の接着強度は、23℃において7N/mm□以上であることが好ましく、10N/mm□以上であることがより好ましく、14N/mm□以上であることがさらに好ましく、15N/mm□以上であることが特に好ましい。
本明細書において、「1mm□」とは、「1mm square」、すなわち、1mm×1mm(1辺が1mmの正方形)を意味する。
上記特性を有することから、本発明の接着ペーストは、半導体素子固定材用接着剤として好適に使用することができる。
2)接着ペーストの使用方法、及び、接着ペーストを使用する半導体装置の製造方法
本発明の接着ペーストを光素子固定材用接着剤として使用する半導体装置を製造する方法は、下記工程(BI)及び工程(BII)を有する方法である。
工程(BI):半導体素子と支持基板の一方又は両方の接着面に接着ペーストを塗布し、圧着する工程
工程(BII):工程(BI)で得られた圧着物の前記接着ペーストを加熱硬化させ、前記半導体素子を前記支持基板に固定する工程
半導体素子としては、レーザー、発光ダイオード(LED)等の発光素子や太陽電池等の受光素子等の光半導体素子、トランジスタ、温度センサや圧力センサ等のセンサ、集積回路等が挙げられる。これらの中でも、本発明の接着ペーストを用いることによる効果がより好適に発揮され易い観点から、光半導体素子が好ましい。
半導体素子を接着するための支持基板の材料としては、ソーダライムガラス、耐熱性硬質ガラス等のガラス類;セラミックス;サファイア;鉄、銅、アルミニウム、金、銀、白金、クロム、チタン及びこれらの金属の合金、ステンレス(SUS302、SUS304、SUS304L、SUS309等)等の金属類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂;等が挙げられる。
本発明の接着ペーストは、シリンジに充填されていることが好ましい。
接着ペーストがシリンジに充填されていることにより、塗布工程における作業性に優れる。
シリンジの材料は、合成樹脂、金属、ガラスのいずれであってもよいが、合成樹脂であるのが好ましい。
シリンジの容量としては、特に制限はなく、充填する又は塗布する接着ペーストの量に合わせ、適宜決定すればよい。
また、シリンジとしては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、SS-01Tシリーズ(TERUMO社製)、PSYシリーズ(武蔵エンジニアリング社製)等が挙げられる。
本発明の半導体装置の製造方法においては、接着ペーストが充填されたシリンジが垂直に下降して支持基板に近づき、シリンジの先端部から所定量の接着ペーストを吐出した後、シリンジが上昇して支持基板から離れるとともに、支持基板が横に移動する。そして、この操作を繰り返すことで、連続的に接着ペーストが支持基板に塗布される。その後、塗布された接着ペースト上に、半導体素子をマウントし、支持基板に圧着される。
接着ペーストの塗布量は、特に限定されず、硬化させることにより、接着の対象とする半導体素子と支持基板を強固に接着することができる量であればよい。通常、接着ペーストの塗膜の厚みが0.5μm以上5μm以下、好ましくは1μm以上3μm以下となる量である。
次いで、得られた圧着物の接着ペーストを加熱硬化させることにより、半導体素子は支持基板に固定される。
加熱温度及び加熱時間は、1)接着ペーストの項で説明した通りである。
本発明の半導体装置の製造方法により得られる半導体装置は、半導体素子が接着ペースト上に良好にマウントされたものであり、半導体素子が高い接着強度で固定されたものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
〔平均分子量測定〕
製造例で得た熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、標準ポリスチレン換算値とし、以下の装置及び条件にて測定した。
装置名:HLC-8220GPC、東ソー株式会社製
カラム:TSKgelGMHXL、TSKgelGMHXL、及び、TSKgel2000HXLを順次連結したもの
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:80μl
測定温度:40℃
流速:1ml/分
検出器:示差屈折計
〔IRスペクトルの測定〕
製造例で得た熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)のIRスペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(パーキンエルマー社製、Spectrum100)を使用して測定した。
(製造例1)
300mlのナス型フラスコに、メチルトリエトキシシラン(信越化学工業社製)71.37g(400mmol)を仕込んだ後、蒸留水21.6mlに35%塩酸0.10g(シラン化合物の合計量に対して0.25mol%)を溶解した水溶液を撹拌しながら加え、全容を30℃にて2時間、次いで70℃に昇温して5時間撹拌したのち、反応液を室温(23℃)まで戻し、酢酸プロピルを140g加えた。
ここに、28%アンモニア水0.12g(シラン化合物の合計量に対して0.5mol%)を、全容を撹拌しながら加え、70℃に昇温して3時間さらに撹拌した。
反応液に精製水を加え、分液し、水層のpHが7.0になるまでこの操作を繰り返した。
有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮物を真空乾燥することにより、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1)を55.7g得た。
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1)の質量平均分子量(Mw)は7,800、分子量分布(Mw/Mn)は4.52であった。
また、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si-CH:1272cm-1,1409cm-1,Si-O:1132cm-1
(製造例2)
300mLのナス型フラスコに、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)17.0g(77.7mmol)、及び、メチルトリエトキシシラン32.33g(181.3mmol)を仕込んだ後、蒸留水14.0mlに35%塩酸0.0675g(HClの量が0.65mmol,シラン化合物の合計量に対して0.25mol%)を溶解した水溶液を撹拌しながら加え、全容を30℃にて2時間、次いで70℃に昇温して20時間撹拌した。
内容物の撹拌を継続しながら、そこに、28%アンモニア水0.0394g(NHの量が0.65mmol)と酢酸プロピル46.1gの混合溶液を加えて反応液のpHを6.9にし、そのまま70℃で40分間撹拌した。
反応液を室温まで放冷した後、そこに、酢酸プロピル50g及び水100gを加えて分液処理を行い、反応生成物を含む有機層を得た。この有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥処理を行った。
硫酸マグネシウムを濾別除去した後、有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮物を真空乾燥することにより、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2)を22.3g得た。
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2)の質量平均分子量(Mw)は5,500、分子量分布(Mw/Mn)は3.40であった。
また、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si-CH:1272cm-1,1409cm-1,Si-O:1132cm-1,C-F:1213cm-1
(製造例3)
300mlのナス型フラスコに、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)28.91g(145.8mmol)を仕込んだ後、蒸留水7.874mlに35%塩酸0.0376g(シラン化合物の合計量に対して0.25mol%)を溶解した水溶液を撹拌しながら加え、全容を30℃にて2時間、次いで70℃に昇温して5時間撹拌したのち、反応液を室温(23℃)まで戻し、酢酸プロピル50g及び水100gを加えて分液処理を行い、反応生成物を含む有機層を得た。この有機層に硫酸マグネシウムを加えて乾燥処理を行った。
硫酸マグネシウムを濾別除去した後、有機層をエバポレーターで濃縮し、濃縮物を真空乾燥することにより、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A3)を17.0g得た。
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A3)の質量平均分子量(Mw)は1,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.2であった。
また、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A3)のIRスペクトルデータを以下に示す。
Si-C:698cm-1,Si-O:1132cm-1
実施例及び比較例で用いた化合物を以下に示す。
〔(A)成分〕
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1):製造例1で得られたオルガノポリシロキサン化合物
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A2):製造例2で得られたオルガノポリシロキサン化合物
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A3):製造例3で得られたオルガノポリシロキサン化合物
〔溶媒(S)〕
(1)有機溶媒(SL)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC):東京化成工業社製(沸点218℃)
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BMGAC):東京化成工業社製(沸点192℃)
シクロヘキサノン:東京化成工業社製(沸点157℃)
(2)有機溶媒(SH)
トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル(TPnB):ダウ・ケミカル社製(沸点274℃)
(3)その他
アセトン:東京化成工業社製(沸点56℃)
〔(B)成分〕
シランカップリング剤(B1):1,3,5-N-トリス〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕イソシアヌレート(信越化学工業社製、製品名「KBM-9659」)
シランカップリング剤(B2):3-(トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(信越化学工業社製、製品名「X-12-967C」)
〔(C)成分〕
微粒子(C1):シリカ微粒子(日本アエロジル社製、製品名「AEROSIL RX300」、平均一次粒子径:7nm、比表面積:210m/g)
微粒子(C2):シリコーン微粒子(日興リカ社製、製品名「MSP-SN08」、平均一次粒子径:0.8μm、形状:球状)
(実施例1)
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A1)100部に、EDGAC(SL)28部、シランカップリング剤(B1)10部、シランカップリング剤(B2)3部を加えて、全容を十分に混合、脱泡することにより、固形分濃度80%の接着ペースト1を得た。
(実施例2~13、比較例1~4)
化合物(各成分)の種類及び配合割合を、下記表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして接着ペースト2~13及び1r~4rを得た。
なお、実施例9及び10において、微粒子(C1)及び微粒子(C2)は、シクロヘキサノン(SL)、シランカップリング剤(B1)及びシランカップリング剤(B2)を添加する前に加えた。
実施例及び比較例で得られた接着ペースト1~13及び1r~4rを用いて、それぞれ以下の試験を行った。結果を表2に示す。
〔質量減少率の測定〕
実施例及び比較例で得た接着ペースト15mgを示差熱・熱重量同時測定装置(島津製作所社製、製品名「DTG-60」)に投入し、測定開始温度40℃、昇温速度10℃/分にて100℃で2時間加熱し、加熱前後における前記接着ペーストの質量を測定し、加熱前後における質量減少率100℃2h(%)[{〔(加熱前の接着ペーストの質量)-(100℃で2時間加熱した後の接着ペーストの質量)〕/(加熱前の接着ペーストの質量)}×100]を算出した。
また、加熱条件を170℃で2時間に変更した以外は、質量減少率100℃2h(%)の測定方法と同様にして、加熱前後における接着ペーストの質量減少率170℃2h(%)[{〔(加熱前の接着ペーストの質量)-(170℃で2時間加熱した後の接着ペーストの質量)〕/(加熱前の接着ペーストの質量)}×100]を算出した。
さらに、測定した質量減少率より、質量減少率170℃2h-質量減少率100℃2h(%)を算出した。
〔チップマウント性評価〕
実施例及び比較例で得た接着ペーストを、無電解銀メッキ銅板(銀メッキ表面の平均粗さRa:0.025μm)上に直径が0.5mmになるように吐出し、標準環境下(温度:23℃±1℃、相対湿度:50±5%)に静置した。5分後、一辺の長さが1mmの正方形(面積が1mm)のシリコンチップをマウントし、チップの傾きを観察し、傾きなくチップをマウントできる場合を「良」、チップが傾く等の不具合が生じた場合を「不良」と評価した。
〔接着強度評価〕
一辺の長さが1mmの正方形(面積が1mm)のシリコンチップのミラー面に、実施例及び比較例で得た接着ペーストを塗布し、標準環境下(温度:23℃±1℃、相対湿度:50±5%)に静置した。5分後、塗布面を被着体〔無電解銀メッキ銅板(銀メッキ表面の平均粗さRa:0.025μm)〕の上に載せ、圧着後の接着ペーストの厚さが約2μmになるように圧着した。その後、100℃で2時間加熱処理して硬化させて試験片付被着体を得た。この試験片付被着体を、23℃のボンドテスター(デイジ社製、シリーズ4000)の測定ステージ上に30秒間放置し、被着体から100μmの高さの位置より、スピード200μm/sで接着面に対し水平方向(せん断方向)に応力をかけ、23℃における、試験片と被着体との接着強度(N/mm□)を測定した。
表1及び2から以下のことが分かる。
実施例1~13の接着ペースト1~13は、接着ペーストを硬化して得られる硬化物の接着強度に優れ、かつチップマウント性にも優れる。
特に、有機溶媒(SL)として、より沸点の低い溶媒を含有させた方が、接着ペーストを硬化して得られる硬化物の接着強度により優れる(実施例1~3)。
溶媒(S)として、有機溶媒(SL)と有機溶媒(SH)の混合溶媒を用いた場合であっても、硬化物の接着強度に優れ、かつチップマウント性にも優れる接着ペーストを得ることができる(実施例4~6)。
固形分濃度が高い接着ペーストの方が、接着ペーストを硬化して得られる硬化物の接着強度に優れる(実施例4と7、実施例3と8)。
微粒子(C)を添加した接着ペーストは、微粒子(C)を添加しない接着ペーストと比較して、(A)成分及び(B)成分の含有割合が相対的に少ないにもかかわらず、良好な接着強度を有する硬化物を与える(実施例9及び10)。
熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)の種類(ポリシルセスキオキサン化合物側鎖の種類)を変更した場合であっても、接着ペーストを硬化して得られる硬化物の接着強度に優れる(実施例11~13)。
一方、比較例1の接着ペースト1rは、溶媒(S)として、高沸点の有機溶媒(SH)のみを含有するものであるため、質量減少率100℃2hが小さく、溶媒が多量に残存し、接着ペーストを十分に硬化させることができず、十分な接着強度を発現しない。
比較例2の接着ペースト2rは、溶媒(S)として、沸点が非常に低い有機溶媒のみを含有するものであるため、接着ペースト塗布後直ぐに乾いてしまい、チップマウント性に劣る。
比較例3の接着ペースト3rは、有機溶媒(SL)の含有量が、接着ペーストの総質量及び溶媒(S)全体に対して少ないため、質量減少率100℃2hが小さく、接着ペーストを十分に硬化させることができず、十分な接着強度を発現しない。
比較例4の接着ペースト4rは、質量減少率100℃2hを満たしているにもかかわらず、溶媒(S)中の有機溶媒(SH)の含有割合が大きいため、100℃の加熱では、硬化物中に有機溶媒(SH)が比較的多量に残存し、接着ペーストを十分に硬化させることができず、十分な接着強度を発現しない。

Claims (10)

  1. 半導体素子を支持基板に圧着することに用いる、半導体素子固定材用接着剤である接着ペーストであって、
    前記接着ペーストが、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)及び溶媒(S)を含有し、前記熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)が、溶媒(S)に溶解してなり、
    前記溶媒(S)が、沸点が100℃以上254℃未満である有機溶媒(SL)を含むものであり、
    接着ペーストの固形分濃度が、50質量%以上90質量%以下であり、
    接着ペーストを100℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率100℃2hが、21%以上であり、かつ、
    接着ペーストを170℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率を質量減少率170℃2hとしたときに、質量減少率170℃2h-質量減少率100℃2hが、14%未満である、接着ペースト。
  2. 半導体素子を支持基板に圧着することに用いる、半導体素子固定材用接着剤である接着ペーストであって、
    前記接着ペーストが、熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)及び溶媒(S)を含有し、前記熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)が、溶媒(S)に溶解してなり、
    前記溶媒(S)が、沸点が100℃以上200℃未満である有機溶媒を含むものであり、
    接着ペーストの固形分濃度が、50質量%以上90質量%以下であり、
    接着ペーストを100℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率100℃2hが、10%以上であり、かつ、
    接着ペーストを170℃で2時間加熱した後の、加熱前後における前記接着ペーストの質量減少率を質量減少率170℃2hとしたときに、質量減少率170℃2h-質量減少率100℃2hが、14%未満である、接着ペースト。
  3. 前記有機溶媒(SL)の含有量が、接着ペーストの総質量に対して、10質量%以上50質量%以下である、請求項1に記載の接着ペースト。
  4. 前記沸点が100℃以上200℃未満である有機溶媒の含有量が、接着ペーストの総質量に対して、10質量%以上50質量%以下である、請求項2に記載の接着ペースト。
  5. 前記溶媒(S)が、沸点が254℃以上300℃以下の有機溶媒(SH)を含むものである、請求項1~4のいずれかに記載の接着ペースト。
  6. 前記熱硬化性オルガノポリシロキサン化合物(A)が、ポリシルセスキオキサン化合物である、請求項1~5のいずれかに記載の接着ペースト。
  7. さらに、下記(B)成分を含有する、請求項1~6のいずれかに記載の接着ペースト。
    (B)成分:シランカップリング剤
  8. さらに、下記(C)成分を含有する、請求項1~7のいずれかに記載の接着ペースト。
    (C)成分:微粒子
  9. 貴金属触媒を実質的に含有しない、請求項1~のいずれかに記載の接着ペースト。
  10. 請求項1~のいずれかに記載の接着ペーストを、半導体素子固定材用接着剤として使用する半導体装置の製造方法であって、下記工程(BI)及び工程(BII)を有する半導体装置の製造方法。
    工程(BI):半導体素子と支持基板の一方又は両方の接着面に前記接着ペーストを塗布し、圧着する工程
    工程(BII):工程(BI)で得られた圧着物の前記接着ペーストを加熱硬化させ、前記半導体素子を前記支持基板に固定する工程
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