以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の第一の実施形態は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)である。本実施形態に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)(以下、単に「活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)」とも称する。)は、非多官能重合性化合物(A)及び非架橋性ポリマー(B)を含有し、その硬化物に対する溶解能を有しないことを特徴とする。
前述のとおり、三次元光造形技術は、三次元の形状データを基に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線により薄膜状に硬化させ、この薄膜状の硬化物を積層することで目的の造形物を得る技術である。三次元光造形の過程において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は活性エネルギー線により薄膜状に硬化されるが、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、その硬化物に対する溶解能を有すると、硬化される前の組成物がその硬化物である造形物を造形中に溶解することになり、シャープな側面や角等鋭い形状を有する造形物を精度良く得ることを困難にしていた。これに対して、本実施形態に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、その硬化物に対する溶解能を有しないという特徴を有する。そのため、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を用いて三次元光造形を行った場合、硬化される前の組成物がその硬化物である造形物を造形中に溶解することなく三次元光造形を行うことができ、シャープな側面や角等鋭い形状を有する造形物を精度よく得ることができる。なお、本明細書において「溶解能」とは、大気圧下25℃において溶媒100gが溶質1g以上を溶解できることを意味する。
本実施形態に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の粘度は、25℃において30~100,000mPa・sであることが好ましく、100~10,000mPa・sであることがより好ましい。粘度がこの範囲内にあると、造形時の操作性が良く、各種方式の三次元光造形用の組成物として好適に使用することができ、高精度の造形物が得られる。又、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を液槽光重合法の三次元光造形に用いる場合、造形テーブルのスムーズな動作等の造形操作の観点から、その粘度は25℃において10,000mPa・s以下であることがより好ましく、2,000mPa・s以下であることが更に好ましく、500mPa・s以下であることが特に好ましい。粘度は後述する方法により測定できる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、非多官能重合性化合物(A)を含有するため硬化性を有し、三次元光造形に用いることができる。又、後述する非架橋性ポリマー(B)と非多官能重合性化合物(A)の両方を含有することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、その硬化物に対する溶解能を有しなくなる。この理由について、発明者らは、非多官能重合性化合物(A)に溶解された非架橋性ポリマー(B)の高分子鎖が絡み合った状態で、その高分子鎖の周辺にある非多官能重合性化合物(A)の重合により固定され、異種高分子鎖の複合化によりネットワーク構造が形成されているためと推定している。前述のとおり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、その硬化物に対する溶解能を有しないため、これを三次元光造形に用いた場合、高精度の造形物を得ることができる。
非多官能重合性化合物(A)を重合して得られる重合体のTgは、特に限定されないが、40℃以上であることが好ましい。このような非多官能重合性化合物(A)を含有すると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化物の耐熱性が向上する。この観点から、非多官能重合性化合物(A)を重合して得られる重合体のTgは、60℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが更に好ましい。
非多官能重合性化合物(A)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の全質量に対して、10.0~99.9質量%であることが好ましい。非多官能性重合性化合物(A)を前記範囲内で含有すると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を、前記の三次元光造形に適した範囲の粘度に調整しやすくなり、又その硬化物の強度が向上し、実用上十分な強度を確保することができる。これらの観点から、非多官能重合性化合物(A)の含有量は、20.0~90.0質量%である場合より好ましく、30.0~80.0質量%である場合更に好ましい。
非多官能重合性化合物(A)は、単官能の重合性化合物(a1)及び/又は分子内の不飽和基の平均数が1より大きく2未満である重合性化合物(a2)を含む。単官能の重合性化合物(a1)は、分子内に1個の不飽和基を有する重合性化合物である。(a1)の不飽和基は、特に限定されないが、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アリルエーテル基、マレイミド基等の不飽和基からなる群より選ばれる1個の不飽和基が好ましい。このような(a1)を含有すると、前述の非架橋性ポリマー(B)との相乗効果により、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)に、その硬化物を溶解させない働きがあり、高精度の造形物が得られる。
不飽和基として(メタ)アクリルアミド基を有する単官能の重合性化合物(a1)としては、(メタ)アクリルアミド、モノ又はジ置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロイルピロリジン、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖のアルキル基を導入した(メタ)アクリロイル(2-アルキルピロリジン)、(メタ)アクリロイル(3-アルキルピロリジン)(メタ)アクリロイルピペリジン、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖のアルキル基を導入した(メタ)アクリロイル(2-アルキルピペリジン)、(メタ)アクリロイル(3-アルキルピペリジン)、(メタ)アクリロイル(4-アルキルピペリジン)、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、又、モノ又はジ置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を導入したN-アルキル(メタ)アクリルアミド、N-アルケニル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルケニル(メタ)アクリルアミド、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基を導入したN-ヒロドキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(ヒロドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基及び炭素数1~6のアルキル基を導入したN-アルキル-N-ヒロドキシアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数1~6のアルコキシ基と炭素数1~6のアルキレン基からなるアルコキシアルキル基を導入したN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、炭素数1~6のアルコキシ基と炭素数1~6のアルキレン基からなるアルコキシアルキル基、炭素数1~6のアルキル基を導入したN-アルキル-N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数1~6のアルキルスルホン酸基を導入したN-スルホアルキルアクリルアミド、炭素数1~6のアミノアルキル基を導入したN-アルキルアミノ(メタ)アクリルアミド、炭素数1~6のアミノアルキル基と炭素数1~6のアルキル基からなるN-アルキルアミノアルキル基を導入したN-アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数1~6のアミノアルキル基と炭素数1~6のアルキル基からなるN,N-ジアルキルアミノアルキル基を導入したN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数1~18のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドと二塩基酸類からなるコハク酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド)エステル、フタル酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド)エステル、ヘキサヒドロフタル酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド)エステル等のカルボン酸基導入(メタ)アクリルアミド類、水酸基を2個導入したグリセリンモノ(メタ)アクリルアミド、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド基を有する単官能の重合性化合物(a1)は1種類単独で使用してもよいし、又2種類以上併用してもよい。
不飽和基として(メタ)アクリルアミド基を有する単官能の重合性化合物(a1)は、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上を用いることが好ましい。これらのモノマーが有するアミド基は強い水素結合を形成しやすいため、重合後のポリマー鎖と非架橋性ポリマー(B)との絡合が強く、(B)との相乗効果により、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)に、その硬化物を溶解させない働きがあり、高精度の造形物が得られる。
不飽和基として(メタ)アクリレート基を有する単官能の重合性化合物(a1)としては、(メタ)アクリル酸、炭素数1~22の直鎖、分岐鎖アルキル基を導入したアルキル(メタ)アクリレート類、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖のヒドロキシアルキル基を導入したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、炭素数1~18のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと二塩基酸類からなるコハク酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)エステル、フタル酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)エステル、ヘキサヒドロフタル酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)エステル等のカルボン酸基導入(メタ)アクリレート類、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖のアルキルスルホン酸基を導入した(メタ)アクリル酸アルキルスルホン酸類、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖のアルキルリン酸基を導入した(メタ)アクリル酸アルキルリン酸類、炭素数1~18のアルキル基と炭素数1~4のアルキレングリコール基からなる官能基を導入したアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、アルコキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類や、炭素数1~6のアミノアルキル基を導入したN-アルキルアミノ(メタ)アクリレート類や、炭素数1~6のアミノアルキル基と炭素数1~6のアルキル基からなるN-アルキルアミノアルキル基を導入したN-アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類や、炭素数1~6のアミノアルキル基と炭素数1~6のアルキル基からなるN,N-ジアルキルアミノアルキル基を導入したN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類や、ヘテロ環を導入したテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリレート基を有する単官能の重合性化合物(a1)は1種類単独で使用してもよいし、又2種類以上併用してもよい。
不飽和基としてビニル基、ビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基を有する単官能の重合性化合物(a1)としては、炭素数1~22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和脂肪酸ビニルエステル、、N-ビニル飽和脂肪酸アミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルバレロラクタム、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルオキサゾリン等や、炭素数1~22の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキルビニルエーテル、アルキルメチルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルメチルビニルエーテル、ポリアルキレングリコールビニルエーテル、ポリアルキレングリコールメチルビニルエーテル、アルキルポリアルキレングリコールビニルエーテル、アルキルポリアルキレングリコールメチルビニルエーテル、グリセリンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、コハク酸モノビニルエステル、フタル酸モノビニルエステル、ヘキサヒドロフタル酸モノビニルエステル等のカルボン酸基導入ビニルエステル類、トリフルオロ酢酸ビニル、ビニルスルホン酸エステル、ビニルスルホン酸塩、ビニルリン酸エステル、ビニルリン酸塩、ビニルクロライド等が挙げられる。ビニル基、ビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基を有する単官能の重合性化合物(a1)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよいが、(メタ)アクリレート基または(メタ)アクリルアミド基を有する単官能の重合性化合物(a1)と併用することが好ましい。
不飽和基としてアリル基、(メタ)アリルエーテル基を有する単官能の重合性化合物(a1)としては、炭素数1~22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和脂肪酸アリルエステル等や、N-アリル飽和脂肪酸アミド、N-アリルホルムアミド、N-アリルピロリドン、N-アリルバレロラクタム、N-アリルカプロラクタム、アリルアミン、N,N-ジアルキル-N-アリルアミン等や、炭素数1~22の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アリルエーテル、ポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテル、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アリルエーテル、コハク酸モノアリルエステル、フタル酸モノアリルエステル、ヘキサヒドロフタル酸モノアリルエステル等のカルボン酸基導入アリルエステル類、トリフルオロ酢酸アリル、アリルオキシテトラヒドロピラン、アリルスルホン酸エステル、アリルスルホン酸塩、アリルホスホン酸エステル、アリルホスホン酸塩等挙げられる。アリル基、(メタ)アリルエーテル基を有する単官能の重合性化合物(a1)は1種類単独で使用してもよいし、又2種類以上併用してもよいが、(メタ)アクリレート基または(メタ)アクリルアミド基を有する単官能の重合性化合物(a1)と併用することが好ましい。
不飽和基としてマレイミド基を有する単官能の重合性化合物(a1)としては、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を有するN-アルキルマレイミド、N-ヒドロキシアルキルマレイミド、N-(2-カルボキシアルキル)マレイミド、グリセリンモノ(N-ヒドロキシアルキルマレイミド)エステル、トリメチロールプロパンモノ(N-ヒドロキシアルキルマレイミド)エステル、フェニルマレイミド等が挙げられる。
単官能の重合性化合物(a1)が有する不飽和基としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化性が向上する観点から、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基であることが好ましく、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化物の強度及び耐熱性が向上する観点から、(メタ)アクリルアミド基であることがより好ましい。
単官能の重合性化合物(a1)は、分子内に1個の不飽和基と、1個以上のアミド基及び/又はオキシアルキレン基を有することが好ましい。単官能の重合性化合物(a1)が分子内に1個の不飽和基と1個以上のアミド基を有すると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化物の強度及び耐熱性が向上する。このような単官能の重合性化合物(a1)としては、前述した不飽和基として(メタ)アクリルアミド基を有する単官能の重合性化合物(a1)やN-ビニルピロリドン、N-ビニルバレロラクタム、N-ビニルカプロラクタムが挙げられる。一方、単官能の重合性化合物(a1)が分子内に1個の不飽和基と1個以上のオキシアルキレン基を有すると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化収縮が抑制される。このような単官能の重合性化合物(a1)としては、前述したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、又分子量200以上のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが硬化時の収縮が低いため好ましい。
分子内の不飽和基の平均数が1より大きく2未満である重合性化合物(a2)は、不飽和基が化学結合を介して導入された化合物であり、かつ、その導入量が2個未満となるよう反応させて得る重合性化合物であれば、特に限定されない。化学結合としては、ウレタン結合、エステル結合、アミド結合及びエーテル結合から選ばれる1種以上であることが好ましい。又、不飽和基としては、特に限定されないが、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基及びマレイミド基から選択される1種以上であることが好ましい。このような非多官能重合性化合物(a2)を含有すると、前述の非架橋性ポリマー(B)との相乗効果により、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)に、その硬化物を溶解させない働きがあり、高精度の造形物が得られる。
不飽和基がウレタン結合を介して導入される場合、重合性化合物(a2)は、分子中に1個以上のウレタン結合及び2個未満の不飽和基を有する重合性化合物であれば、特に限定されない。前記不飽和基としては、少なくとも1個の不飽和基が(メタ)アクリルアミド基又は(メタ)アクリレート基であることが好ましい。他の不飽和基としては、ビニル基、アリル基及びマレイミド基から選ばれる1種以上が挙げられる。
分子中に1個以上のウレタン結合及び2個未満の不飽和基を有する重合性化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、水酸基含有不飽和化合物とイソシアネート化合物を反応させる方法や、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得るイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに水酸基含有不飽和化合物を1分子当たり2個未満の導入量になるように反応させる方法、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有不飽和化合物を混合し、不飽和基の導入量が1分子当たり2個未満になるように反応させる方法、イソシアネート基含有不飽和化合物とアルコール化合物やポリオール化合物を反応させて得る水酸基含有ウレタンプレポリマーにイソシアネート基含有不飽和化合物を1分子当たり2個未満の導入量になるように反応させる方法、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物とイソシアネート基含有不飽和化合物を混合し、不飽和基の導入量が1分子当たり2個未満になるように反応させる方法など、公知の方法を挙げることができる。
分子中に1個以上のウレタン結合及び2個未満の不飽和基を有する重合性化合物の製造に用いられる水酸基含有不飽和化合物としては、水酸基含有(メタ)アクリルアミド化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、水酸基含有ビニル化合物、水酸基含有アリル化合物及び水酸基含有マレイミド化合物等が挙げられ、1種類単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。これらの中でも、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化性を向上させる観点や、高凝集力による硬化物の強度が向上できる観点から、水酸基含有(メタ)アクリルアミド化合物を含むことが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリルアミド化合物としては、水酸基含有N-置換(メタ)アクリルアミド類が好ましい。水酸基含有N-置換(メタ)アクリルアミド類としては、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド、炭素数1~4のポリアルキレングリコールを導入したN-ポリアルキレングリコール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。又、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが、PII=0.0と皮膚刺激性が低く、安全性が高いことからより好ましい。これらの水酸基含有(メタ)アクリルアミド化合物は1種類単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
水酸基含有(メタ)アクリルレート化合物としては、例えば、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキレン基を導入したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、炭素数1~4のポリアルキレングリコールを導入したポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの水酸基含有(メタ)アクリルレートは、水酸基含有(メタ)アクリルアミドと併用することが好ましく、1種類単独で併用してもよく、2種類以上を同時に併用してもよい。
水酸基含有ビニル化合物としては、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖又は環状のヒドロキシアルキルビニルエーテルやヒドロキシアルキルメチルビニルエーテルが、水酸基含有アリル化合物としては、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖又は環状のヒドロキシアルキル(メタ)アリルエーテルが、水酸基含有マレイミド化合物としては、炭素数1~18の直鎖、分岐鎖又は環状のN-ヒドロキシアルキルマレイミド等が挙げられる。これらの水酸基含有ビニル化合物、水酸基含有アリル化合物及び水酸基含有マレイミド化合物は、水酸基含有(メタ)アクリルアミドと併用することが好ましく、1種類単独で併用してもよく、2種類以上を同時に併用してもよい。
分子中に1個以上のウレタン結合及び2個未満の不飽和基を有する重合性化合物の製造に用いられるポリオール化合物としては、例えば、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、エーテル骨格を有するポリエーテルポリオール、エステル骨格を有するポリエステルポリオール、カーボネート骨格を有するポリカーボネートポリオール、シリコーン骨格を有する水酸基含有シリコーン、オレフィン骨格を有する水素添加ポリアルカジエンポリオール、ポリアルカジエンポリオール、アクリル骨格を有するアクリルポリオールが挙げられる。又、分子中に2個の水酸基を有するポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、水素添加ポリアルカジエンジオール、ポリアルカジエンジオールが、ウレタン化の際に架橋によるゲル化等が起こりにくいため好ましい。これらのポリオール化合物は1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、炭素数2~18の直鎖、分岐鎖又は環状のポリアルキレングリコールが挙げられ、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリントリ(ポリオキシエチレン)エーテル、トリメチロールプロパントリ(ポリオキシエチレン)エーテル、ペンタエリスリトールテトラ(ポリオキシエチレン)エーテル、ポリ(オキシ-1,3-プロピレン)グリコール、グリセリントリ(ポリオキシ-1,3-プロピレン)エーテル、トリメチロールプロパントリ(ポリオキシ-1,3-プロピレン)エーテル、ペンタエリスリトールテトラ(ポリオキシ-1,3-プロピレン)エーテル、ポリ(オキシ-1,2-プロピレン)グリコール、グリセリントリ(ポリオキシ-1,2-プロピレン)エーテル、トリメチロールプロパントリ(ポリオキシ-1,2-プロピレン)エーテル、ペンタエリスリトールテトラ(ポリオキシ-1,2-プロピレン)エーテル、ポリ(オキシ-1,4-ブチレン)グリコール、ポリ(オキシ-1,5-ペンチレン)グリコール、ポリ(オキシ-3-メチル-1,5-ペンチレン)グリコール、ポリ(オキシ-1,6-ヘキシレン)グリコール等のアルキレングリコール類が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ポリカルボン酸とポリオールからなり、分子中にポリエステル骨格を含み末端に水酸基を有するものである。ポリカルボン酸成分としては、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、ヘミメリト酸、トリメリット酸、トリメシン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ピロメリット酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、などが挙げられる。ポリオール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,9-ノナンジオール、イソソルビド、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールはカルボニル成分とポリオールからなり、分子中にカーボネート骨格を含み末端に水酸基を有するものである。カルボニル成分としてホスゲン、クロロギ酸エステル、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート及びアルキレンカーボネート等が挙げられる。ポリオール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,9-ノナンジオール、イソソルビド、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
水素添加ポリアルカジエンポリオールとしては、1,2-水添ポリブタジエンジオール、1,4-水添ポリブタジエンジオール、水添ポリイソプレンポリオール等が挙げられ、ポリアルカジエンポリオールとしては、1,2-ポリブタジエンジオール、1,4-ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。
分子中に1個以上のウレタン結合及び2個未満の不飽和基を有する重合性化合物の製造に用いられるイソシアネート化合物としては、分子中にイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、モノイソシアネート化合物、ジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物が挙げられるが、ウレタン化の際に架橋によるゲル化等が起こりにくいためモノイソシアネート類、ジイソシアネート類が好ましい。これらは1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
モノイソシアネート化合物としては、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキルイソシアネート類、フェニルイソシアネート、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキルフェニルイソシアネート類、フェニルアルキレンイソシアネート類等が挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソンアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート類が挙げられ、これらジイソシアネート類のウレトジオンタイプの二量体や、エチレングリコールやプロピレングリコール等の炭素数2~8の飽和アルキレンジオールとのアダクトタイプも挙げられる。
トリイソシアネート化合物としては、前記のジイソシアネートのビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプ等が挙げられ、又グリセリン、トリメチロールプロパン等の炭素数3~8の飽和アルキレントリオールとジイソシアネートのアダクトタイプも挙げられる。又ポリイソシアネート類としては、前記ジイソシアネートのイソシアヌレート化が更に進行して得るポリイソシアヌレート体等が挙げられる。
不飽和基がエステル結合を介して導入される場合、重合性化合物(a2)は、分子中に1個以上のエステル結合及び2個未満の不飽和基を有する重合性化合物であれば、特に限定されない。前記不飽和基としては、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、アリル基及びマレイミド基から選ばれる1種以上が挙げられる。
不飽和基がエステル結合を介して導入される重合性化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えばカルボン酸基と不飽和を有する化合物(不飽和基含有カルボン酸)と、二塩基酸、その酸無水物又は二塩基酸とメタノール、エタノール等の低級アルコールからなるエステル化物からなる成分と、グリコール成分とを混合し、不飽和基が1分子当たり1個より大きく、2個未満の導入量になるように調整しエステル化を行い、不飽和基がエステル結合を介して導入される重合性化合物を得る方法や、二塩基酸、その酸無水物又は二塩基酸とメタノール、エタノール等の低級アルコールからなるエステル化物からなる酸成分と、水酸基と不飽和基を有する化合物と、グリコール成分とを混合し、不飽和基が1分子当たり1個より大きく、2個未満の導入量になるように調整してエステル化を行い、不飽和基がエステル結合を介して導入される重合性化合物を得る方法等が挙げられ、エステル化としては、カルボン酸と水酸基の脱水縮合または低級アルコールとのカルボン酸エステルと水酸基とのエステル交換反応等の公知の方法を挙げることができる。
不飽和基がエステル結合を介して導入される重合性化合物の製造に用いられる二塩基酸、その酸無水物又は二塩基酸とメタノール、エタノール等の低級アルコールからなるエステル化物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、ハロゲン化フタル酸及びこれらの無水物等といった芳香族二塩基酸、その酸無水物又はエステル化物、並びに、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロフタル酸といった脂肪族若しくは脂環族飽和二塩基酸やそれらの酸無水物又は二塩基酸とメタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、ビニルアルコール等の低級アルコールからなるエステル化物が挙げられる。これらは1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和基がエステル結合を介して導入される重合性化合物の製造に用いられるグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジ(1,2-プロピレングリコール)、トリ(1,2-プロピレングリコール)、ポリ(1,2-プロピレングリコール)、1,3-プロピレングリコール、ジ(1,3-プロピレングリコール)、トリ(1,3-プロピレングリコール)、ポリ(1,3-プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、ジ(1,2-ブタンジオール)、トリ(1,2-ブタンジオール)、ポリ(1,2-ブタンジオール)、1,3-ブタンジオール、ジ(1,3-ブタンジオール)、トリ(1,3-ブタンジオール)、ポリ(1,3-ブタンジオール)、1,4-ブタンジオール、ジ(1,4-ブタンジオール)、トリ(1,4-ブタンジオール)、ポリ(1,4-ブタンジオール)、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、エチレンオキシド変性ビスフェノールA、ポリエチレンオキシド変性ビスフェノールA、プロピレンオキシド変性ビスフェノールA、ポリプロピレンオキシド変性ビスフェノールA等が挙げられる。これらは1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
不飽和基がエステル結合を介して導入される重合性化合物の製造に用いられる不飽和基含有カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、炭素数1~18のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートやN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール等と二塩基酸類からなるコハク酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)エステル、フタル酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)エステル、ヘキサヒドロフタル酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)エステル等のカルボン酸基導入(メタ)アクリレート類、コハク酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド)エステル、フタル酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリアミド)エステル、ヘキサヒドロフタル酸モノ(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド)エステル等のカルボン酸基導入(メタ)アクリルアミド類、コハク酸モノビニルエステル、フタル酸モノビニルエステル、ヘキサヒドロフタル酸モノビニルエステル等のカルボン酸基導入ビニルエステル類、コハク酸モノアリルエステル、フタル酸モノアリルエステル、ヘキサヒドロフタル酸モノアリルエステル等のカルボン酸基導入アリルエステル類、炭素数1~18のN-(2-カルボキシアルキル)マレイミド等のカルボン酸基導入マレイミド類や(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸の低級アルコールエステルが挙げられる。
不飽和基がエステル結合を介して導入される重合性化合物の製造に用いられる水酸基と不飽和基を有する化合物としては、炭素数1~18のヒドロキシアルキル基を導入したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル、N-ヒドロキシアルキルマレイミド等の1個の水酸基と1個の不飽和基を有する化合物や、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリルアミド、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、グリセリンモノ(N-ヒドロキシアルキルマレイミド)エステル、トリメチロールプロパンモノ(N-ヒドロキシアルキルマレイミド)エステル等の2個の水酸基と1個の不飽和基を有する化合物等が挙げられる。
不飽和基がエーテル結合を介して導入される場合、重合性化合物(a2)は、分子中に1個以上のエーテル結合及び2個未満の不飽和基を有する重合性化合物であれば、特に限定されない。
不飽和基がアミド結合を介して導入される場合、重合性化合物(a2)は、分子中に1個以上のアミド結合及び2個未満の不飽和基を有する重合性化合物であれば、特に限定されない。
分子内の不飽和基の平均数が1より大きく2未満である重合性化合物(a2)の数平均分子量(Mn)は、1,000~100,000であることが好ましく、2,000~50,000であることがより好ましい。数平均分子量(Mn)が前記範囲内であれば、分子内の不飽和基の平均数を1より大きく2未満の範囲内に調整しやすくなり、重合性化合物(a2)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の粘度を三次元光造形に適した範囲に調整しやすくなる。又、樹脂組成物(E)を硬化する際の硬化収縮が抑制され、硬化して得られる硬化物は十分な強度を有するため、高精度の造形物が得られる。
非多官能重合性化合物(A)は、単官能の重合性化合物(a1)のみ、又は、分子内の不飽和基の平均数が1より大きく2未満である重合性化合物(a2)のみから構成されてもよく、(a1)及び(a2)から構成されてもよい。
非多官能重合性化合物(A)が単官能の重合性化合物(a1)及び分子内の不飽和基の平均数が1より大きく2未満である重合性化合物(a2)から構成される場合、(A)中における(a1)と(a2)の含有量の質量比(即ち、(a1)/(a2))は1/1~1,000/1である。(a1)/(a2)は1/1以上であると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の粘度を三次元光造形に適した範囲に調整しやすくなり、又1,000/1以下であると、得られる硬化物の非溶解性が向上し、また強度が実用レベル以上に得ることができる。又、これらの観点から、(a1)/(a2)は2/1~800/1であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、非架橋性ポリマー(B)を含有する。非架橋性ポリマー(B)を含有することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、硬化時の硬化収縮が抑制されるため、高精度の造形物を得ることができる。
非架橋性ポリマー(B)は、分子内に架橋構造を有しないポリマーである。非架橋性ポリマー(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の全質量に対して0.1~50.0質量%であることが好ましい。非架橋性ポリマー(B)の含有量がこの範囲内にあると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、その硬化物に対する溶解能を有しないため、高精度の造形物を得ることができ、又、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の粘度を三次元光造形に適した範囲に調整しやすくなる。これらの観点から、非架橋性ポリマー(B)の含有量は、0.5~40質量%である場合より好ましく、1.0~30.0質量%である場合より好ましく、3.0~25.0質量%である場合更に好ましい。
非架橋性ポリマー(B)の原料として、前記の単官能の重合性化合物(a1)を用いることができる。又、(a1)以外の単官能の重合性化合物として、スチレン、炭素数1~22の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を導入した2-アルキルスチレン、3-アルキルスチレン、4-アルキルスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、炭素数1~22の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を導入したマレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、不飽和脂肪酸アルキルエステル、不飽和脂肪酸アミド、N-アルキル不飽和脂肪酸アミド、N,N-ジアルキル不飽和脂肪酸アミド等が挙げられる。
非架橋性ポリマー(B)は、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーに由来する構造単位を含有することが好ましい。その場合、非架橋性ポリマー(B)は、アミド基間で形成される水素結合やポリマー(B)の分子間相互作用により比較的高い凝集力を示し、かつ、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)が、このような非架橋性ポリマー(B)を含有することで、(E)を硬化して得られる造形物の強度及び耐熱性が向上する。この観点から、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーに由来する構造単位の含有量は、非架橋性ポリマー(B)全体に対して、10.0質量%以上であることが好ましく、50.0質量%以上であることがより好ましく、100質量%としてもよい。又、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビスヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドから選ばれる1種以上であることが好ましい。
非架橋性ポリマー(B)は、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーに由来する構造単位に加え、(メタ)アクリレート基を有するモノマー、ビニル基を有するモノマー及びアリル基を有するモノマーから選ばれる1種以上の構造単位を含有してもよく、その含有量は、非架橋性ポリマー(B)全体に対して、90.0質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。
非架橋性ポリマー(B)の数平均分子量(Mn)は、2,000~500,000であることが好ましい。非架橋性ポリマー(B)のMnは2,000以上であれば、(B)の高分子鎖と、非多官能重合性化合物(A)の重合により形成される高分子鎖とは、十分に絡み合うことができ、異種高分子鎖のネットワーク構造を形成し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化物が、その樹脂組成物(E)に溶解しなくなるため、三次元光造形に用いた場合、高精度の造形物を得ることができる。一方で、非架橋性ポリマー(B)のMnは500,000を超えると活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の粘度を三次元光造形に適した範囲に調整することが難しくなる。又、これらの観点から、非架橋性ポリマー(B)のMnは、4,000~300,000であるとより好ましく、5,000~100,000である場合更に好ましい。
非架橋性ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上であることが好ましい。非架橋性ポリマー(B)のTgが40℃以上であると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を硬化して得られる造形物に耐熱性を付与できる。該造形物の耐熱性を向上させる観点から、非架橋性ポリマー(B)のTgは、60℃以上がより好ましく、100℃以上が更に好ましい。非架橋性ポリマー(B)のTgの上限値は特に限定されないが、通常200℃以下である。
非架橋性ポリマー(B)は単官能の重合性化合物を重合させて得るものであり、その重合方法としては、特に限定することがなく、重合性官能基の重合方法として公知の方法により得ることができる。例えば、バルク重合、溶液重合、沈殿重合、エマルション重合等の重合方法において、活性エネルギー線又は熱、酸化還元反応によるラジカル重合やアニオン重合、カチオン重合等を採用することができる。重合時の温度や反応時間は、使用する重合開始剤や溶媒によって異なるものであるが、通常熱重合開始剤を用いる場合には、熱重合開始剤の半減期より計算され、処理温度は、通常30℃~120℃であることが好ましく、処理時間は、通常1時間~20時間が好ましい。又、活性エネルギー線による光開始剤を用いた場合の重合条件は、活性エネルギー線の種類、波長、照度により異なるが、通常高圧水銀ランプや波長365nm~405nmのいずれかの波長のUVLED照射装置を用い、紫外線を用いることが好ましく、照度は0.1mW/cm2~200,000mW/cm2であることが好ましく、照射温度は20~80℃で行う事が好ましく、活性エネルギー線を照射する時間は照射する活性エネルギー線の照度により異なり、1秒以下のごく短時間の瞬間的な照射から数分から数十分の照射により重合を進めることが好ましい。
非架橋性ポリマー(B)を重合により合成する際に、重合反応を促進する目的で重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤として、公知の光重合開始剤、熱重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、αアミノケトン系、キサントン系、アントラキノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、高分子光重合開始剤系等を用いることができる。熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等の通常のものを用いることができる。カチオン重合の開始剤には、プロトン酸やルイス酸等の通常のものを用いることができる。アニオン重合には、アルカリ金属や有機金属化合物等の通常のものを用いることができる。重合開始剤を用いる場合、その含有量は、特に限定されないが、重合反応を促進する観点から、使用される単官能の重合性化合物の全質量に対して、0.01~10.0質量%であることが好ましい。
非架橋性ポリマー(B)を重合により合成する際に、分子量を制御する目的で、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、メルカプトエタノール、炭素数4~18のアルキルメルカプタン類、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、炭素数4~18のメルカプト酢酸アルキルエステル、メルカプトプロピオン酸アルキルエステル等のメルカプタン類、αメチルスチレン、αメチルスチレンダイマー、四塩化炭素等のハロゲン化物、キノン系化合物類等が挙げられるが、特に限定することはない。分子量制御が容易なことからメルカプタン類が好ましい。連鎖移動剤の含有量は、特に限定されないが、非架橋性ポリマー(B)の数平均分子量を適宜調整できる観点から、使用される単官能の重合性化合物の全質量に対して、0.1~10.0質量%であることが好ましい。
非架橋性ポリマー(B)を溶液重合により得る際に使用する有機溶媒としては、特に限定することはなく、トルエン、キシレン、メトキシベンゼンといった芳香族有機溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコールといった等の多価アルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコールの誘導体、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオン酸アミド等のアミド溶媒類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等のピロリドン類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。又、溶媒の使用量は、特に限定されないが、使用される単官能の重合性化合物の全質量に対して、30~300質量%である態様が挙げられる。
非架橋性ポリマー(B)は、その重合後に必要に応じて精製したポリマーとして使用することもできる。ポリマーの精製方法としては洗浄や再沈殿等の公知の方法により行うことができる。なお、ポリマーの構成の定量は、プロトン核磁気共鳴法(1H-NMR)、赤外分光法(IR)、元素分析、残存単官能の重合性化合物の定量分析等の公知の方法により行うことができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は光重合開始剤(C)を含有してもよい。光重合開始剤(C)を含有することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は活性エネルギー線の照射前は安定な組成物として存在でき、かつ、活性エネルギー線の照射により重合反応が進行し、高い硬化性を有するため、高い造形速度で造形物を造形することができる。本発明で用いる光重合開始剤(C)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)全体に対して0.1~10.0質量%であることが好ましい。0.1質量%以上である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の活性エネルギー線照射による重合反応が速やかに進行し、照射時間を短くでき、残存する非多官能重合性化合物が少ないため好ましい。10.0質量%以下である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のポットライフが長く、保管中のゲル化等のトラブルが発生しないため好ましい。これらの観点から光重合開始剤(C)の含有量は、0.5~5.0質量%がより好ましい。又、光重合開始剤(C)は、光を吸収した後、分子内開裂によりラジカルを発生するタイプ(分子内開裂型)と2分子間で水素や電子をやり取りをしてラジカルを発生するタイプ(水素引き抜き型及び電子供与型)であってもよく、光重合開始剤(C)の含有量は5.0質量%を超える場合、光重合開始剤(C)に由来する残基の影響を考慮し、水素引き抜き型の光重合開始剤(C)を用いることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化に用いる活性エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、可視光、電子線、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の活性エネルギー線等を指す。例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、半導体レーザー、電子線加速装置、放射性元素などの線源が挙げられる。照射する活性エネルギー線としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の保存安定性と硬化速度及び有害性の低さから紫外線が好ましく、取り扱いの容易さからLEDランプや半導体レーザーなどの線源が好ましい。
光重合開始剤(C)としては、光ラジカル開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤が挙げられる。光ラジカル重合開始剤としては、開裂型(TypeI型光ラジカル重合開始剤)のアセトフェノン系、ベンゾイン系、αアミノケトン系、アシルフォスフィンオキサイド系や、水素引き抜き型(TypeII型光ラジカル重合開始剤)のベンゾフェノン系、キサントン系、α-オキソベンゼン酢酸系、アントラキノン系や、高分子光開始剤系等の通常のものから適宜選択すればよい。例えば、アセトフェノン類としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1、ベンゾイン類としては、ベンゾイン、α-メチルベンゾイン、α-フェニルベンゾイン、α-アリルベンゾイン、α-ベンゾイルベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、αアミノケトン類としては、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-(4-モルホリニル)フェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-(4-メチルフェニル)メチル-1-(4-(4-モルホリニル)フェニル)-1-ブタノン、アシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、キサントン類としては、キサントン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、α-オキソベンゼン酢酸類としては、α-オキソベンゼン酢酸メチル、ジエチレングリコールジ(α-オキソベンゼン酢酸)エステル、ジエチレングリコールモノ(α-オキソベンゼン酢酸)アントラキノン類としては、アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、高分子光開始剤としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパン-1-オンのポリマー等が挙げられ、光カチオン重合開始剤としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート等のアンチモン系開始剤やトリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等の非アンチモン系開始剤が挙げられる。光アニオン重合開始剤としては、アセトフェノン o-ベンゾイルオキシム、2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン等の開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、更に、粘度調整剤(D)を含有してもよい。粘度調整剤(D)を含有することで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の粘度を目的に応じて高く又は低く容易に調整することができる。粘度調整剤(D)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の全質量に対して、60.0質量%以下であることが好ましく、50.0質量%であることがより好ましく、40.0質量%であることが更に好ましい。一方で、(D)の含有量の下限は、特に限定されないが、通常0.1質量%以上である。
粘度調整剤(D)は、分子内に不飽和基を有さず、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の必須構成成分である非多官能重合性化合物(A)と非架橋性ポリマー(B)の所定質量比の混合物と相溶する化合物であれば、特に制限されない。一方で、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化物から粘度調整剤(D)が経時的にブリードアウトしにくい観点から、粘度調整剤(D)の分子量は100以上であることが好ましい。又、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)及びその硬化物から粘度調整剤(D)が経時的に揮発しにくい観点から、粘度調整剤(D)の常圧における沸点は150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましい。
更に、粘度調整剤(D)は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化物からのブリードアウトを抑制する観点から、非多官能重合性化合物(A)や非架橋性ポリマー(B)と水素結合による相互作用が生じ得る官能基を含むことが好ましい。官能基としては水素結合が形成可能な水酸基、エーテル基、エステル基やアミド基が好ましく、このような官能基を有する粘度調整剤(D)としてアルコール化合物類、ポリエーテル化合物類、エステル化合物類、エーテル化合物類、アミド化合物類等が挙げられ、1種類単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
粘度調整剤(D)に用いられるアルコール化合物類として具体的には、炭素数6~20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキルモノオール、炭素数5~20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキレンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
粘度調整剤(D)に用いられるポリエーテル化合物類として具体的には、炭素数2~4のジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、炭素数が1~20のアルキル基を導入したジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールジアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、トリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、トリアルキレングリコールジアルキルエーテル、トリアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等が挙げられる。
粘度調整剤(D)に用いられるエステル化合物類として具体的には、炭素数2~20の直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪酸と炭素数2~4のポリアルキレングリコールからなるポリアルキレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコールジ脂肪酸エステル類、脂肪酸とグリセリンからなるグリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリントリ脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコールグリセリンモノ脂肪酸エステル類、脂肪酸とソルビトールからなるソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステル、アルキレングリコールソルビタンモノ脂肪酸エステル類等が挙げられる。
粘度調整剤(D)に用いられるアミド化合物類として具体的には、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を導入し、分子量100以上のN-アルキルアミド、N,N-ジアルキルアミド、炭素数2~20の直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪酸と炭素数1~20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基からなる脂肪酸アミド、N-アルキル脂肪酸アミドとN,N-ジアルキル脂肪酸アミド、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基を導入したN-アルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキル-ε-カプロラクタム、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖又は、環状のアルキル基、アルコキシ基を導入したβ-アルコキシ-N-アルキルプロピオンアミドとβ-アルコキシ-N,N-ジアルキルプロピオンアミド等が挙げられる。
本実施形態の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、必要に応じてその他の成分(G)を含有してもよい。その他の成分(G)としては、各種添加剤、分子内に不飽和基2個以上を有する多官能重合性化合物等を挙げることができる。
各種添加剤としては、紫外線増感剤、熱重合禁止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線増感剤、防腐剤、リン酸エステル系及びその他の難燃剤、界面活性剤、湿潤分散剤、帯電防止剤、着色剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、増粘剤、顔料、有機フィラー、無機フィラー等が挙げられる。これら各種添加剤の添加量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)が発現する特性に悪影響を与えない程度であれば特に限定されず、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全質量に対して10.0質量%以下であることが好ましい。
紫外線増感剤としては、例えば、9,10-ジアルコキシアントラセン化合物、9,10-ビス(ジヒドロキシアルコキシ)アントラセン等のアントラセン化合物、チオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-ブチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-プロポキシチオキサントン、ポリマー性チオキサントン等のチオキサントン化合物等が挙げられる。
熱重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、フェノチアジン、ピロガロール、β-ナフトール等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等のヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、及びヒンダードアミン系の化合物が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルポリエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等のフッ素含有界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル、両性の高分子界面活性剤が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ビス(2-ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性帯電防止剤、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート等のアニオン性帯電防止剤、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等のノニオン性帯電防止剤、アルキルベタイン、アルキルイミダソリウムベタイン等の両性の帯電防止剤、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等の重合性帯電防止剤が挙げられる。又、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化物から経時的にブリードアウトしにくく、半永久的に帯電防止効果を提供できる観点から、重合性帯電防止剤がより好ましい。
分子内に不飽和基2個以上を有する多官能重合性化合物としては、分子内に(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリレート基、ビニル基、ビニルエーテル基、メチルビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アリルエーテル基、マレイミド基等の不飽和基を2個以上有する化合物であれば特に制限はないが、例えばアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジ(メタ)アクリレートやジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレートのジ(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、アルキレングリコールジ(メタ)アクリルアミド、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルアミド、ポリエステルジ(メタ)アクリルアミド、ポリカーボネートジ(メタ)アクリルアミドやジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリルアミド、ポリウレタンジ(メタ)アクリルアミド等のジ(メタ)アクリルアミド類、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、マレイミドアルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、N,N-ビス(2-アクリルアミドエチル) アクリルアミド、N-〔トリス(3-アクリルアミドプロポキシメチル)メチル〕アクリルアミド、N,N’-1,2-エタンジイルビス{N-〔2-(アクリロイルアミノ)エチル〕アクリルアミド}等が挙げられる。
本実施形態に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化収縮率は8%未満であることで、各種方式の三次元光造形、特に液槽光重合法で三次元光造形する際に、高精度の造形物を得ることができるため好ましく、7%以下であればより好ましく、6%以下であれば更に好ましい。硬化収縮率は後述する方法により測定、算出される。又、造形物の造形精度は後述する方法により評価される。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化に必要な活性エネルギー線照射量(積算光量)は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)が含有する、非多官能重合性化合物(A)及び非架橋性ポリマー(B)、光重合開始剤(C)の種類と含有量、又重合禁止剤や光増感剤の添加等によっても変動し、更に三次元光造形物を形成する際には造形物の厚みにより硬化に必要な積算光量が異なるため、特に制限するものではないが、効率的な硬化を行う観点から、通常1~50,000mJ/cm2である。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を三次元光造形の樹脂組成物として用いる場合、特定の形状に造形した樹脂組成物の薄膜(厚さ:数μm~1mm)の硬化物を順次積層する手法が一般に用いられる。そのため活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の薄膜を硬化する際に必要な積算光量は少ない方が硬化までの照射時間が短く、造形速度が上がるため好ましい。このような観点から、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の薄膜を硬化する際に必要な積算光量は、1,000mJ/cm2以下が好ましく、500mJ/cm2以下がより好ましく、200mJ/cm2以下が更に好ましく、100mJ/cm2以下であれば、各種方式の三次元光造形の樹脂組成物として好適に用いることができるため、最も好ましい。一方で活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を用いた三次元光造形の際には造形物の形状が維持できる最小限の積算光量で造形を行い、造形物が得られてから、さらに活性エネルギー線を照射し完全に硬化させることで十分な物性を発現させるポストキュアを行ってもよい。ポストキュアを行う場合、造形物の深部にも活性エネルギー線を浸透させる必要があることから、1,000mJ/cm2以上の照射を行うことが好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を硬化して得られる硬化物は、(E)の組成を調整することで、水、有機溶媒又はそれらの混合液に可溶、可分散、又は可崩壊な硬化物とすることができる。使用される水としては水道水、純水、イオン交換水、アルカリ水溶液や電解質水溶液等が挙げられる。又本発明において、アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物の水溶液が挙げられ、電解質水溶液としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の電解質の水溶液が挙げられるが、安全性の面から水道水、純水、イオン交換水が好ましい。有機溶媒としてアルコール類、ケトン類、アルキレングリコール類、ポリアルキレングリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類等が挙げられる。又、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)はその硬化物に対して溶解能を有しないため、(E)の硬化物を溶解するため、(E)と極性の異なる溶媒を選定することが好ましい。例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の極性が低い場合、硬化物溶解用有機溶媒として極性の高いメタノール、エタノール、アセトンニトリル等が好ましく、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の極性が高い場合、硬化物溶解用有機溶媒として極性の低いトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が好ましい。これらの水、有機溶媒は1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、硬化物を溶解、分散又は崩壊しやすく、特に安全性が高い観点から、水又は水とメタノールやエタノールの混合液がより好ましく、水が最もに好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は活性エネルギー線により硬化されることで本発明の第二の実施形態に係る造形物(X)を得ることができる。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の25℃における粘度が30~100,000mPa・sと容易に調整することができるため、樹脂組成物(E)を用いた造形物(X)の製造は各種の三次元光造形法や3Dプリンターを利用することができる。例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)をインクジェットインクとして用い、インクジェットプリンターにより描画した面を積層していく材料噴射方式のプリンターや、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を満たした樹脂槽にレーザーやプロジェクター、液晶ディスプレイ等を用いて硬化した樹脂層を作製し、積層していくSLA方式、DLP方式、CLIP方式、LCD方式の液槽光重合方式のプリンター、活性エネルギー線硬化型の材料押出堆積法方式による3Dプリンターが挙げられ、必ずしもこれらに限られるものではないが、液槽光重合方式のプリンターを用いた場合、使用できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の粘度範囲が広く、目的に応じて様々な物性を有する造形物(X)を高精度で得ることができるため、好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を用いた造形物(X)の造形において、三次元光造形物の形状は任意であるが、中空の構造を造形する際に造形物の形状を保持するため、必要に応じて、サポート材を用いることができる。サポート材は三次元光造形物と同時に造形され、造形終了後に除去されるものであり、使用する材料は特に限定されない。例えば、サポート材として、溶融可能なワックスや樹脂、又は活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられるが、液槽光重合法による三次元光造形を行う場合、造形物とサポート材は同一の樹脂が使用されることが多いため、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は造形物(X)を造形する樹脂(モデル材とも称する)として用いるだけでなく、造形物(X)を支持するサポート材用樹脂としても使用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を用いた本発明の第二の実施形態に係る造形物(X)は中空構造を有する造形物(x1)である場合、該中空構造を有する造形物(x1)を用い、その空洞の部分に成形材料(H)を充填して成形することで、本発明の第三の実施形態に係る成形物(Y)を得ることができる。この場合、中空構造を有する造形物(x1)は、成形材料(H)を用いて成形物(Y)を成形するための成形型として使用され、中空構造を有する造形物(x1)と、(x1)の空洞の形状と同じ形状を有する成形物(Y)の粗成形物を得、その後、該粗成形物を水、有機溶媒又はそれらの混合液に浸漬することで、造形物(x1)が溶解、分散、又は崩壊により成形物(Y)と分離又は成形物(Y)から除去され、成形物(Y)を得ることができる。
中空構造を有する造形物(x1)は成形物(Y)の成形型として用いる場合の具体的な手順としては、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を用いた中空構造を有する造形物(x1)を造形する第一工程、得られた中空構造を有する造形物(x1)を成形型として用い、成形材料(H)を造形物(x1)の空洞部分に充填し硬化及び/又は固化させ、粗成形物を得る第二工程、得られた粗成形物を、水、有機溶媒又はそれらの混合液に浸漬し、造形物(x1)を除去することで成形物(Y)を得る第三工程からなる。
前記の粗造形物の浸漬に用いられる浸漬液は、前記の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を硬化して得られる硬化物に対して、可溶、可分散又は可崩壊性を示す水、有機溶媒又はそれらの混合液と同じであってもよく、異なっていてもよい。又、成形物(Y)を溶解も膨潤もさせない観点から、成形物(Y)と異なる極性の液体を浸漬液としてを使用することが好ましい。成形物(Y)は低極性の成形材料(H)から成形された場合、水、メタノールやエタノール又はそれらの混合液を浸漬液として用いることがより好ましい。更に、造形物(x1)が溶解、分散又は崩壊しやすい観点から、特に安全性が高いため、浸漬液として水が最も好ましい。
本発明の成形物(Y)の製造方法では、粗造形物を水、有機溶媒又はそれらの混合液に浸漬し、成形型として使用された造形物(x1)を除去して成形物(Y)を得るため、第一工程として中空構造を有する造形物(x1)を造形する必要がある。中空構造を有する造形物(x1)は本発明の活性化エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を用いて、前記のとおり、三次元光造法により容易に造形することができ、又造形物(x1)が有する空洞は直径1mm以下の貫通或いは非貫通の筒状、円形や楕円形又は蜂巣状の穴であってもよく、屈曲の面を有する複雑構造や微細構造を有してもよい。このような複雑構造や微細構造の空洞を有する造形物(x1)を用いることで、複雑構造や微細構造を有する成形物(Y)を得ることができる。特に、人工臓器等低強度の柔らかい成形物(Y)の成形において、造形物(x1)を容易かつ完全に粗造形物から除去できるため、内部の複雑かつ微細な構造に損傷を与えることがなく、従来の造形方法で実現できない成形物(Y)を成形することができる。中空構造を有する造形物(x1)の造形において、例えば三次元光造形として液槽光重合法等を用いた場合、造形時の精度として直径0.3mm以上の柱状構造が直線状だけでなく、屈曲した部位も含めて造形できるため、0.3mm以上の中空構造を有する成型物(Y)の製造が可能となるため好ましい。
成形材料(H)は、活性エネルギー線、熱及び湿気のいずれか1種以上の方法により硬化及び/又は固化(以下は成形物(Y)の造形を成形とも略称する。)ことができる。活性エネルギー線により硬化させる場合、液状の光硬化性樹脂を中空構造を有する造形物(x1)の空洞部分に充填し、光ラジカル重合、光カチオン重合、光アニオン重合等の光反応により硬化させ、成形することができる。熱による成形の場合、液状の熱硬化性樹脂を空洞部分に充填した後、加熱することで硬化、成形する方法や、熱可塑性の材料を予め加熱することで溶融し、液状にした後、空洞部分に充填し、冷却することで凝固させ(固化)、成形を行う方法が挙げられる。又、湿気による成形の場合、水と成形材料を混合し、速やかに空洞部分に充填し、時間や熱を掛けて硬化させる方法や、吸湿性の成形材料を空洞部分に充填し、空気中の水分の吸湿しながら硬化させる方法が挙げられる。
成形材料(H)として活性エネルギー線に硬化性樹脂を用いる場合、活性エネルギー線に対して硬化性を有すれば、特に制限することことはない。市販の三次元光造形に使用可能のモデル材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、成形時の操作性がよく、硬化時の硬化収縮が低く、精度よく成形を行えるため好ましい。
成形材料(H)として熱硬化性の樹脂を用いる場合、特に制限はなく、熱硬化型のフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。又、中空構造を有する造形物(x1)の熱変形温度以下の温度で硬化できる樹脂が好ましい。具体的には130℃以下で硬化可能な樹脂が好ましく、100℃以下で硬化可能な樹脂がより好ましく、60℃以下で硬化可能な樹脂が更に好ましく、40℃以下で硬化可能な樹脂が特に好ましい。これらの観点から、2液硬化型の熱硬化樹脂が比較的低温で硬化できるため特に好ましい。具体的には2液硬化型の熱硬化樹脂としてシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
成形材料(H)として熱可塑性の材料を用いる場合、特に制限はないが、中空構造を有する造形物(x1)の熱変形温度以下の温度で溶融可能な材料が好ましい。具体的には130℃以下の融点を有する材料が好ましい。具体的には結晶性ポリエステル、天然系ワックス、合成系ワックス、松脂等の熱可塑性の材料、チョコレートやチーズ等の熱可塑性の食品、融点が約30℃のガリウムや融点が約50℃のスズインジウムビスマス合金、融点が100℃以下のビスマススズ鉛カドミウム合金等の低融点金属等が好ましい。
成形材料(H)として湿気硬化性材料を用いる場合、特に制限はないが、石膏やセメント、モルタル等や、シアノアクリレート樹脂等の湿気硬化型樹脂が挙げられる。又、中空構造を有する造形物(x1)が水に可溶、可分散、又は可崩壊である場合、成形型として用いた造形物(x1)の変形抑制の観点から、湿気硬化性材料として短時間で硬化可能な速乾性のモルタル、コンクリート、石膏等を用いることや吸湿性のシアノアクリレート樹脂が好ましい。
本実施形態に係る成形物(Y)の製造方法では、3Dプリンター用の造形材料として使用できない熱硬化型のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び湿気硬化型のシアノアクリレート樹脂も成形材料(H)として用いることができ、3Dプリンターで造形できない特異物性を有する成形物(Y)を取得することができる。
成形材料(H)は循環型社会を形成する観点から、バイオマス由来の材料を用いることが好ましい。バイオマス素材の材料であれば、特に制限はないが、カルバナワックス、蜜蝋やひまし油や牛脂脂肪酸等を用いた脂肪酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等の天然ワックス類、ポリヒドロキシアルカン酸等の微生物により生産されたポリエステルや、乳酸、コハク酸、イソソルビド、エチレングリコール等のバイオ原料を用いたポリエステル樹脂、又バイオ原料を用いたポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオール、ジイソシアネート化合物等を用いたウレタン樹脂等が挙げられる。又、バイオ素材としてはバイオベース度が25%以上であることがより好ましい。なおバイオベース度はISO 16620-2に従って材料中の全炭素中のバイオマス由来の炭素含有量から算出する。
成形材料(H)は循環型社会を形成する観点から、生分解性材料を用いることが好ましい。生分解性を有する材料であれば、特に制限はないが、カルバナワックスや脂肪酸エステルワックス等の生分解性のあるエステルワックス等や、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリ乳酸、コハク酸系のポリエステル樹脂等が挙げられる。
成形材料(H)は目的に応じて、例えば、強度や耐久性、ゴム弾性等を有する成形物(Y)を製造する場合、架橋構造を形成できる材料を用いることが好ましい。一方で、再溶融性を要求されるキャンドル等の成形物(Y)や、生分解性成形物(Y)を製造する場合、架橋構造を形成しない材料或いは低架橋性構造を形成する材料を用いることが好ましい。架橋構造を形成できる成形材料(H)として、市販の三次元光造形のモデル材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、熱硬化型のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等、湿気硬化型のシアノアクリレート樹脂等を用いることができる。又、架橋構造を形成しない成形材料(H)として、結晶性ポリエステル、ワックス等を用いることができる。架橋性構造を形成する成形材料(H)として、少なくとも1種以上の架橋構造を形成できる成形材料と、少なくとも1種以上の架橋構造を形成しない成形材料とを適宜に組み合わせて調整することができる。
成形材料(H)は目的に応じて、例えば、成形物(Y)の軽量化や、強度、耐熱性等を改善するため、有機フィラー及び/又は無機フィラーを含有する材料を用いることが好ましい。有機フィラー及び/又は無機フィラーの形状は、球状、板状、フレーク状、針状、繊維状、メッシュ状、不定形状等のいずれであってもよい。又フィラーを均一に分散させるため、分散剤を成形材料(H)に添加してもよい。
前記の有機フィラーとしては特に制限はないが、具体例としてはセルロース、リグニン、及びセルロースナノファイバー等の植物由来の有機溶媒に不溶又は難溶の物質、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、シリコーンビ-ズ、アクリルビーズ、ベンゾグアナミン系樹脂ビーズ、メラミン系樹脂ビーズ、ポリオレフィン系樹脂ビーズ、ポリエステル系樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリイミド系樹脂ビーズ、ポリフッ化エチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ等の有機ビーズ、セルロース繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維等の有機繊維、有機顔料、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維等が挙げられる。
前記の無機フィラーとしては特に制限はないが、具体例としてはシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、タルク、クレー、マイカ、ガラス、ガラスビーズ、ガラス繊維、ガラスバルーン、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、無機顔料等が挙げられる。
前記の有機フィラー及び/又は無機フィラーは1種又は2種以上を混合して使用してももよく、フィラーの成形材料(H)に対する含有量は、成形を阻害しない範囲であれば特に制限はなないが、成形材料(H)全体の質量に対して、0.1~80質量%であれば好ましい。
本実施形態に係る成形物(Y)は、その成形に中空構造を有する造形物(x1)が成形型として用いられ、造形物(x1)は複雑構造や微細構造を有することが可能であり、その構造設計の自由度が極めて高い特徴がある。又、成形物(Y)の成形に用いられる成形材料(H)は、硬質の樹脂、熱可塑性のワックス、ゴム状の樹脂、生分解性樹脂、食料品等多種多様の材料を使用することができる。成形型として用いられる造形物(x1)と成形材料(H)の適宜な組み合わせにより、様々な形状、構造、特性を有する成形物(Y)を製造することができ、幅広い用途に活用することが期待できる。工業的用途としては、例えば、プロトタイプや試作品の製造、医療用・介護用のカスタマイズ品の製造、学習教材、宝飾品、ホビー、建材等の様々な用途の構造体やパーツの製造、様々な機械部品、又は食料品の製造、射出成型やプレス成型用の樹脂型等の製造が挙げあれる。
成形物(Y)はプロトタイプとして使用される場合、試作品の形状から成型精度を確認すること、試作品の強度や耐熱性の実測データから実用可能な樹脂を選定すること、構造体やパーツ、機械部品、樹脂型の形状や構造を最適化すること等ができる。
成形物(Y)は学習教材として使用される場合、数学教材としての立体モデル等、化学教材としての分子モデル等、社会教材としての地形モデルや立体地図等、又建築教材としての建築物縮小モデル、医学教材としての臓器モデル、医療行為の練習用に使用される疑似血管や疑似臓器等を挙げることができる。
成形物(Y)は医療・介護用品として使用される場合、人工皮膚、人工骨、人工血管、義肢、ギブス等の医療用品、人工透析、人工心肺等の医療機器用品、義歯、入れ歯、矯正用マウスピース等の歯科用品、車いす、床ずれ防止マット、入浴介護用品等の介護用品、術後の身体形状補助材、身体能力回復に使用する用具、サポーター等のリハビリ用品等を挙げることができる。
成形物(Y)は構造体やパーツとして使用される場合、装飾品としてオーダーメイドの指輪、ネックレス、イヤリング、ブローチ等が挙げられる。美術品としてレプリカの製造や絵画の立体化、美術品としての成形物等が挙げられる。ホビーとしてキーホルダー、ぬいぐるみ、フィギア、プラモデル、ゲームのコントローラー等が挙げられる。スポーツ用具としてスポーツシューズの上敷き、中敷き、靴底や、スキーブーツ、スケート靴、バットや各種球技のラケット、各種スポーツ用ヘルメット、マウスピース、ひじあて、レッグガード、グローブ、プロテクター等が挙げられる。家具として個々人に合わせたり、オリジナルデザインの家具等に使用され、椅子、机、タンス、本棚、ベット等が挙げることができる。建材として住宅の外壁、内壁、構造材、屋根、窓枠等を挙げることができる。雑貨として個々人に合わせたり、オリジナルデザインの雑貨等に使用され、筆記用具、マウスパッド、ハンコ、耳栓、歯ブラシ、化粧用具、フェイスシールド、食品サンプル等が挙げることができる。
成形物(Y)は機械部品として使用される場合、輸送用機械、電化製品、産業用機械、宇宙開発機器等の機械部品等が挙げられる。輸送用機械としては自動車、バイク、自転車、鉄道車両、船舶、航空機等が挙げられ、エンジン、バッテリー、モーター、燃料タンク、車輪、ブレーキ、サスペンション、シャシー、フレーム、荷台等の部品や、窓、バンパー、フロントパネル、サイドパネル、リアパネル、ドアパーツ、エアロパーツなどの外装部品、ハンドル、パネル、シート、ハーネス、シートベルト、グリップ等の内装部品等が挙げられる。電化製品としてテレビ、パソコン、プリンター等の各種OA機器、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、掃除機等の各種家電等が挙げられ、電化製品の外装部品や、各種パーツ、交換部品、又ヘッドフォン、VRゴーグル、イヤフォン等にて個々人に向けたカスタマイズされた用途や、携帯電話やスマートフォン等の装飾用途等が挙げられる。産業用機械としては製造ライン等で使用される塗装、組み立て、部品製造等の各種用途に用いられる産業機械や、高圧ボンベ等の安全弁、自動消火栓、スプリンクラー等の安全装置等の産業機械、物流等で使用される倉庫自動化、自動配送システム、自動梱包システム等の産業機械が挙げられ、これら産業機械の構造材、各種部品、特に対象に合わせる必要のある治具部品が挙げられる。宇宙開発機器としては、ロケット、シャトル、発射台等の付属する機器等のエンジン、外装、内装や、人工衛星の外装、内装、各種部品等を挙げることができる。
成形物(Y)は食料品として使用される場合、チョコレートや飴等による細工物の成形品や、人工肉、プロテイン、食品ペースト、パン、パスタ、ピザ等の小麦粉系生地、チーズ等の乳製品の成形品等を挙げることができる。
成形物(Y)は樹脂型として使用される場合、射出成型用の樹脂型や、プレス成型用の樹脂型等を挙げることができる。特に耐熱性や耐久性の高い熱硬化性樹脂を使用すれば、エンジニアプラスチックやスーパーエンジニアプラスチック用の射出成型用樹脂型として挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。又、以下において「部」及び「%」は特記しない限りすべて質量基準である。
実施例の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)、比較例用の組成物(F)において使用する原料を下記とおりである。
<非多官能重合性化合物(A)>
<単官能の重合性化合物(a1)>
<アミド基含有の単官能の重合性化合物(a1-1)>
a1-1-1:N-アクリロイルモルホリン(登録商標「Kohshylmer」、「ACMO」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=145℃)
a1-1-2:N,N-ジエチルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」、「DEAA」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=81℃)
a1-1-3:N,N,N-トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミド p-トルエンスルホン酸塩 (登録商標「Kohshylmer」、「Quatermer」、「DMAPAA-TSMQ」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=175℃)
a1-1-4:N,N-ジメチルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」、「DMAA」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマー=Tg=119℃)
a1-1-5:N-アクリロイルオキシエチルノルボルネンカルボキサミド(登録商標「Kohshylmer」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=170℃)
a1-1-6:N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=190℃)
a1-1-7:N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」、「HEAA」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=98℃)
a1-1-8:N-オレイルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=29℃)
a1-1-9:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」、「DMAPAA」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=134℃)
a1-1-10:ダイアセトンアクリルアミド(登録商標「Kohshylmer」 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=77℃)
a1-1-11:N-ビニルピロリドン(NVP BASF Corporation, Chemical Intermediates製、ホモポリマーTg=80℃)
<オキシアルキレン基含有の単官能の重合性化合物(a1-2)>
a1-2-1:末端水酸基ポリプロピレングリコールモノメタクリレート (PPG平均分子量800)(PP-800、日油株式会社製、ホモポリマーTg=-62℃)
a1-2-2:メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート (PEG平均分子量550)(MPE550A、大阪有機株式会社製、ホモポリマーTg=-50℃)
a1-2-3:末端水酸基ポリエチレングリコールモノアクリレート (PEG平均分子量400)(AE-400、日油株式会社製、ホモポリマーTg=-66℃)
a1-2-4:フェノキシ-ポリエチレングリコールアクリレート(ライトアクリレートP-200A、共栄社化学株式会社製、ホモポリマーTg=-25℃)
a1-2-5:メトキシ-トリエチレングルコールアクリレート(ライトアクリレートMTG-A、共栄社化学株式会社製、ホモポリマーTg=-50℃)
a1-2-6:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート (PEG平均分子量1,000)(PME-1000、日油株式会社製、ホモポリマーTg=-52℃)
a1-2-7:メトキシ-ジプロピレングリコールアクリレート(ライトアクリレートDPM-A、共栄社化学株式会社製、ホモポリマーTg=-50℃)
<その他の単官能の重合性化合物(a1-3)>
a1-3-1:シクロヘキシルマレイミド(ホモポリマーTg>250℃)
a1-3-2:ヒドロキシエチルメタクリレート(ホモポリマーTg=55℃)
a1-3-3:t-ブチルシクロヘキシルアクリレート(TBCHATM、登録商標「Kohshylmer」、 KJケミカルズ株式会社製、ホモポリマーTg=77℃)
a1-3-4:イソボルニルアクリレート(IBXA、大阪有機化学工業株式会社製、ホモポリマーTg=97℃)
<分子内の不飽和基の平均数が1より大きく2未満である重合性化合物(a2)>
a2-1:ポリエチレングリコール(20)導入ビスフェノールA(アクリル1.01当量変性品、Mn=1200、Tg=-31℃)
a2-2:ポリエーテル系ウレタンアクリルアミド(登録商標「Quick Cure」、1.5官能、Mn=35000、Tg=-42℃)
a2-3:ポリカーボネート系ウレタンアクリルアミド(登録商標「Quick Cure」、1.1官能、KJケミカルズ株式会社製 Mn=15,000、Tg=-2℃)
a2-4:ポリエステル系ウレタンアクリルアミド(登録商標「Quick Cure」、1.2官能、Mn=9000、Tg=8℃)
a2-5:不飽和ポリエステル(3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオール/ブタンジオール/コハク酸=1.9/4.1/5(モル比)(1.9官能、Mn=1500、Tg=103℃)
a2-6:ポリエーテル系ウレタンアクリレート(1.1官能、Mn=5000、Tg=-45℃)
a2-7:ポリエーテル系ウレタンマレイミド(1.1官能、Mn=5000、Tg=-38℃)
非架橋性ポリマー(B)
B-1:N,N-ジエチルアクリルアミドのホモポリマー(Tg=81℃、Mn=450,000)
B-2:N,N-ジメチルアクリルアミドのホモポリマー(Tg=119℃、Mn=10,000)
B-3:N-イソプロピルアクリルアミドのホモポリマー(Tg=134℃、Mn=48,000)
B-4:N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミドのホモポリマー(Tg=98℃、Mn=4,000)
B-5:N,N-ジメチルアクリルアミドのホモポリマー(Tg=60℃、Mn=2,100)
B-6:N,N-ジエチルアクリルアミドとメトキシ-トリエチレングルコールアクリレートのコポリマー(9/1)(質量比)(Tg=60℃、Mn=5,000)
B-7:t-ブチルシクロヘキシルアクリレートとN,N-ジエチルアクリルアミドのコポリマー(1/1)(質量比)(Tg=79℃、Mn=7,000)
B-8:N,N-ジエチルアクリルアミドのホモポリマー(Tg=81℃、Mn=7,000)
B-9:N,N-ジエチルアクリルアミドとヒドロキシエチルメタクリレートとヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー(10/45/45)(質量比)(Tg=21℃、Mn=12,000)
B-10:N-アクリロイルモルホリンのホモポリマー(Tg=145℃、Mn=8,000)
B-11:N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミドとメトキシトリエチレングリコールアクリレートのコポリマー(3/2)(質量比)(Tg=43℃、Mn=14,000)
B-12:ダイアセトンアクリルアミドとN,N-ジメチルアクリルアミドのコポリマー(1/1)(質量比)(Tg=97℃、Mn=12,000)
<光開始剤(C)>
C-1:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(Omnirad TPO、IGM Resins B.V.製)
C-2:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Omnirad 819、IGM Resins B.V.製)
C-3:ジエチレングリコールジ(α-オキソベンゼン酢酸)エステルおよびジエチレングリコールモノ(α-オキソベンゼン酢酸)エステル混合物(Omnirad 754、IGM Resins B.V.製)
C-4:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184、IGM Resins B.V.製)
C-5:ベンゾフェノン(Omnirad BP、IGM Resins B.V.製)
<粘度調整剤(D)>
D-1:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(PMC-40H(S)、巴工業株式会社製)
D-2:3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド(登録商標「KJCMPA」、沸点215℃、KJケミカルズ社製)
D-3:ポリテトラメチレングリコール(平均分子量650、PTMG650、三菱ケミカル株式会社製)
D-4:3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド(登録商標「KJCBPA」、沸点252℃、KJケミカルズ株式会社製)
D-5:ポリオキシエチレンモノステアリルエーテル (PEG平均分子量650)(ノニオンS-215、日油株式会社製)
D-6:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点215℃)
D-7:1,8-オクタンジオール(沸点279℃)
D-8:数平均分子量400のポリプロピレングリコール(ユニオールD400、日油株式会社製)
<その他添加剤(G)>
G-1:ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(ライトアクリレートDCP-A、共栄社化学株式会社製、ホモポリマーTg>250℃)
G-2:TEGORad2100(ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコン多官能アクリレート、エボニックデグサ製)
G-3:フェノチアジン
G-4:(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ)ラジカル
G-5:エチレングリコール変性トリメチロールプロパントリアクリレート(アロニックスM360、東亞合成株式会社製、ホモポリマーTg=53℃)
G-6:ポリウレタンジアクリレート(紫光UV6630B、2.0官能、重量平均分子量=3000、Tg38℃、三菱ケミカル株式会社製)
実施例1
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-1)
N-アクロイルモルホリン(a1-1-1)50.0質量部、末端水酸基ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(PP-800、日油株式会社製)(a1-2-1)29.9質量部、シクロヘキシルマレイミド(a1-3-1)20.0質量部、N,N-ジエチルアクリルアミドのホモポリマー(Tg=81℃、Mn=450,000)(B-1)0.1質量部をそれぞれ容器に仕込み、25℃で1時間攪拌することにより、均一透明な液体として実施例1の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-1)を得た。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度測定と耐硬化収縮性評価を後述の方法で実施し、結果を表1に示す。
実施例2~24
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-2)~(E-24)
表1に示す組成で、実施例1と同様の操作を行うことにより、均一透明な液体として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-2)~(E-24)を得た。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度測定と耐硬化収縮性評価を後述の方法で実施し、結果を表1に示す。
比較例1~4
比較例用の組成物(F-1)~(F-4)
表1に示す組成で、実施例1と同様の操作を行うことにより、比較例用の組成物(F-1)~(F-4)を得た。又、得られた比較例用の組成物(F-1)~(F-4)の粘度測定と耐硬化収縮性評価を後述の方法で実施し、結果を表1に示す。
(1)粘度測定
ブルックフィールド型粘度計(デジタル粘度計LV DV2T、英弘精機株式会社製)を使用し、JIS K5600-2-3に準じて、25℃にて、実施例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-1)~(E-24)、比較例用の組成物(F-1)~(F-4)の粘度を測定した。
(2)耐硬化収縮性評価
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、内部容積10mm×10mm×10mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に厚さ1mmになるように、実施例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-1)~(E-24)、比較例用の組成物(F-1)~(F-4)を各々充填し、60℃で30秒間保温することで液面が平滑になった後、紫外線を照射(株式会社アイテックシステム製、卓上バッチ式UV-LED硬化装置MUVBA-0.3×0.3×0.5、波長365nm、照度50mW/cm2、積算光量1,000mJ/cm2)し、樹脂組成物を硬化させ、1層の硬化物を得た。その後、同様の手順で、1層目の硬化物の上に更に9層を硬化させ、10×10×10mmの硬化物を得た。硬化収縮率はJIS K5600 2-4に従って、下記計算式(1)に示すように活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)及び比較例用の組成物(F)の硬化前後の密度変化によって求めた。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)及び比較例用の組成物(F)の硬化前後の密度は、電子比重計(アルファーミラージュ株式会社製のMDS-300)により、JIS K7112に従って25℃の環境下にて測定した。得られた硬化収縮率から以下の基準で耐硬化収縮性を評価した。
硬化収縮率(%)=(Ds-Dl)/Dl×100 計算式(1)
(式中、Dsは(E)及び(F)の硬化後の密度であり、Dlは(E)及び(F)の硬化前の密度である。)
◎◎:硬化収縮率 6%未満
◎: 硬化収縮率 6%以上7%未満
○: 硬化収縮率 7%以上8%未満
×: 硬化収縮率 8%以上
実施例25
造形物(x1-1)の製造
吊り下げ型DLP方式の液槽光重合装置としてARM-10(ローランド ディージー株式会社)を用い、液槽に実施例1で得た活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-1)を充填し、1層の厚さ0.15mmになるように、紫外線を照射(波長405nm、照度0.2mW/cm2、積算光量5mJ/cm2)し、図1に示す造形物の造形を行った。造形直後の造形物をイソプロパノール中に1分間浸漬(2回)により、未硬化樹脂組成物を除去した。その後、ポストキュアとして紫外線を照射(株式会社アイテックシステム製、卓上バッチ式UV-LED硬化装置MUVBA-0.3×0.3×0.5、波長365nm、照度50mW/cm2、積算光量10,000mJ/cm2)し、図1に示す中空構造を有する造形物(x1-1)を得た。(25×20×15mmの直方体の中央が15×10×10mmの立方体状の中空があり、中空部の中央に直径0.5mmの円柱2本を交差させた形状を成形した造形物。)
実施例26~28、31、32、34、36~48
造形物(x1-2)~(x1-4)、(x1-7)、(x1-8)、(x1-10)、(x1-12)~(x1-24)の製造
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-2)~(E-4)、(E-7)、(E-8)、(E-10)、(E-12)~(E-24)を用いて実施例24と同様の操作を行い、造形物(x1-2)~(x1-4)、(x1-7)、(x1-8)、(x1-10)、(x1-12)~(x1-24)を得た。
実施例29
造形物(x1-5)の製造
吊り下げ型DLP方式の液槽光重合装置としてARM-10(ローランド ディージー株式会社)を用い、液槽に実施例5で得た活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-5)を充填し、1層の厚さ0.05mmになるように、紫外線を照射(波長405nm、照度0.2mW/cm2、積算光量35mJ/cm2)し、図1に示す造形物の造形を行った。造形直後の造形物をイソプロパノール中に1分間浸漬(2回)により、未硬化樹脂組成物を除去し、造形物(x1-5)を得た。
実施例30、33、35
造形物(x1-6)、(x1-9)、(x1-11)の製造
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-6)、(E-9)、(E-11)を用いて実施例28と同様の操作を行い、造形物(x1-6)、(x1-9)、(x1-11)を得た。
比較例5~8
比較例用の造形物(s1-1)~(s1-4)の製造
比較例用の組成物(F-1)~(F-4)を用いて実施例25と同様の操作を行うことにより、比較例用の造形物(s1-1)~(s1-4)を得た。
実施例49~72と比較例9~12
造形物(x2-1)~(x2-24)と造形物(s2-1)~(s2-4)の製造と物性評価
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、内部容積20mm×20mm×20mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に厚さ1mmになるように、実施例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-1)~(E-24)、比較例用の組成物(F-1)~(F-4)を各々充填し、60℃で30秒間保温することで液面が平滑になった後、紫外線を照射(株式会社アイテックシステム製、卓上バッチ式UV-LED硬化装置MUVBA-0.3×0.3×0.5、波長365nm、照度50mW/cm2、積算光量1,000mJ/cm2)し、樹脂組成物を硬化させ、1層の硬化物を得た。その後、同様の手順で、1層目の硬化物の上に更に19層を硬化させ、20×20×20mmの中空構造を有しない立方体造形物(x2-1)~(x2-24)と造形物(s2-1)~(s2-4)を得た。得られた造形物の造形精度評価、非溶解性評価及び耐熱性評価を後述の方法で実施し、結果を表2に示す。
(3)造形精度評価
前記の実施例と比較例で得られた立方体造形物(x2)と造形物(s2)の造形精度評価は下記のとおり行った。
◎:立方体の各辺の長さが19.8mm~20.0mm、かつ、各角の形状がシャープである。
○:立方体の各辺の長さが19.5mm~19.8mm未満、かつ、各角の形状がやや丸い。
△:立方体の各辺の長さが19.5mm未満、又は各角が大きく欠けている。
×:立方体として形成できてない。
(4)非溶解性評価
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、内部容積10mm×10mm×1mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に厚さ1mmになるように、実施例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-1)~(E-24)、比較例用の組成物(F-1)~(F-4)を各々充填し、60℃で30秒間保温することで液面が平滑になった後、更に液面の上に厚さ50μmの軽剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7002)を重ね、紫外線を照射(株式会社アイテックシステム製、卓上バッチ式UV-LED硬化装置MUVBA-0.3×0.3×0.5、波長365nm、照度5mW/cm2、積算光量100mJ/cm2)し、樹脂組成物を硬化させた。得られた硬化物の厚みを測定し、試験前の硬化物厚みとした。硬化物を50mLビーカーに入れ、それぞれに硬化物の原料である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)又は比較例用の組成物(F)を10g充填し、25℃で1時間放置した。その後、それぞれの硬化物をビーカーから取り出して、イソプロパノールで洗浄した後、硬化物の厚みを測定し、試験後の硬化物厚みとした硬化物の厚み変化(試験前の硬化物厚みと試験後の硬化物厚みの差)及び試験後硬化物の状態観察により硬化物の非溶解性を評価した。
◎:硬化物の厚み変化がなく、硬化物の溶解や膨潤がみられない。
○:硬化物の厚み変化が0.1mm未満であり、僅かな硬化物の溶解がみられる。
△:硬化物の厚み変化が0.1mm以上であり、部分的な溶解がみられる。
×:硬化物は全体的な溶解がみられる。
(5)耐熱性評価
実施例と比較例で得られた立方体造形物(x2)と造形物(s2)の高さ(積層方向)を測定し、試験前の厚みとした。造形物の上の面にフッ素樹脂シート(25mm×25mm×1mm)を重ね、更にシートの上に100gの分銅を載せて、30℃、50℃、70℃、90℃、110℃、130℃にセットした恒温機に入れ、1時間を静置した。その後硬化物を取り出して、25℃で1時間を静置し、高さを測定し、試験後の厚みとした。硬化物の耐熱性が各温度における試験前後の厚みの変化で評価した。即ち、厚みの変化が0.1mm未満である最も高い試験温度を耐熱温度とした。なお、30℃の試験で硬化物の厚みの変化が0.1mm以上である場合は、耐熱温度は30℃未満と表記した(<30℃)。耐熱性評価の結果(耐熱温度)を表2に示す。
実施例73~97と比較例13~16
成形物(Y-1)~(Y-25)と成形物(Z-1)~(Z-4)の製造
実施例25~48で製造した造形物(x1-1)~(x1-24)と比較例5~8を製造した造形物(s1-1)~(s1-4)を成形型として用い、中空部分に液状の成形材料(H-1)~(H-15)を表3に記載の成形条件にて充填し、硬化及び/又は固化させ、粗成形物を得た。その後、表3に示す浸漬液(I-1)~(I-6)に粗成形物を25℃で24時間浸漬し、成形型を溶解又は分散若しくは崩壊させることで除去し、図2に示す形状の成形物(Y-1)~(Y-25)と(Z-1)~(Z-4)を得た。これらの成形物の製造に使用した成形材料(H)、充填前の成形材料混合方法、浸漬液(I)の詳細以下に説明する。又、成形型除去性評価、成形精度評価、成形物強度評価は後述の方法で実施し、結果を表3に示す。
<成形材料(H)>
成形材料(H-1)、(H-4)~(H-10)は下記のとおりである。なお、2液の硬化型成形材料(H-1)、(H-4)、(H-5)、(H-7)~(H-9)は、充填直前に所定の比例で混合して使用した。又、熱可塑性の成形材料(H-6)と(H-10)は、充填直前に表3に示す充填温度に加熱し、溶融させてから使用した。
H-1:2液硬化型不飽和ポリエステル樹脂(TP-153(DICマテリアル株式会社製)/メポックス55(川口薬品株式会社製)=100/1、質量比)
H-4:2液硬化型(縮合型)シリコーン(KE-12/CAT-RS=100/0.5、質量比、信越シリコーン株式会社製)
H-5:2液硬化型(付加型)シリコーン(KE-1316/CAT-1316=100/10、質量比、信越シリコーン株式会社製)
H-6:蜜蝋(粒状、融点63℃、山桂産業株式会社製)
H-7:2液硬化型のポリウレタンゴム(ADAPT 60L(主剤/硬化剤=100/33、質量比)、日新レジン株式会社製)
H-8:2液硬化型エポキシ樹脂(EP-4530/EH-6024=100/40、質量比、株式会社ADEKA製)
H-9:2液硬化型(注型用)ウレタン樹脂(ADAPT RU42AN/RU42B=100/100、質量比)、日新レジン株式会社製)
H-10:融点70℃のビスマススズ鉛カドミウム合金(Uアロイ70G(株式会社大阪アサヒメタル工場製)
H-2:活性エネルギー線硬化型の成形材料
成形材料(H-2)の製造
N-アクロイルモルホリン 20.0質量部、フェノキシエチルアクリレート 20.0質量部、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(NKエステル A-BPE-10、新中村化学工業株式会社製)20.0質量部、イソホロンジイソシアネートとN-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド反応物 10.0質量部、ポリエステル系ウレタンジアクリルアミド(登録商標「Quick Cure」)25.0質量部、Omnirad TPO 5.0質量部をそれぞれ容器に仕込み、25℃で1時間攪拌することにより、均一透明な液体として活性エネルギー線硬化型の成形材料(H-2)を得た。
H-3:無機フィラー含有の活性エネルギー線硬化型の成形材料
成形材料(H-3)の製造
成形材料(H-2)100質量部にシリカ微粒子(シーホスターKE-P100 株式会社日本触媒製)を5質量部添加し、25℃でホモミキサーにて回転速度3000rpm、5分間攪拌することで、均一な分散液として無機フィラー含有の活性エネルギー線硬化型の成形材料(H-3)を得た。
なお、活性エネルギー線硬化型の成形材料(H-2)と(H-3)は製造後、充填直前までに遮光の容器にて保管することが好ましく、又、製造直後に使用することがより好ましい。
成形材料(H-2)又は(H-3)を成形型に充填した後、成形型の上から紫外線(株式会社アイテックシステム製、卓上バッチ式UV-LED硬化装置MUVBA-0.3×0.3×0.5、波長405nm、照度10mW/cm2、積算光量10,000mJ/cm2)を照射することにより、成形材料(H-2)又(H-3)が硬化し、粗成形物を成形することができる。
H-11:生分解性ポリエステル樹脂の熱可塑性型の成形材料
成形材料(H-11)の製造
分留器、リービッヒ冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽に、エチレングリコール 15.0質量部、1,4-ブタンジオール 90.1質量部、バイオコハク酸(コハク酸 BioXtra、シグマアルドリッチ社製) 118質量部、チタン酸テトラブチル(シグマアルドリッチ社製)0.6質量部を仕込み、窒素雰囲気中、常圧下で190℃~240℃まで徐々に昇温しながら、生成する水を反応系外に留去させた。留去した水が理論量となるまで反応を行い、その後反応系を10hPaに減圧し、230℃で4時間反応を継続した。。反応終了後、反応系を常圧にし、反応槽から粘性の液体を取出し、生分解性ポリエステル樹樹脂の成形材料(H-11)を得た。なお、(H-11)は数平均分子量(Mn)26,000、融点=98.5℃、バイオベース度47%であった。熱可塑性の成形材料(H-11)は、充填直前に表3に示す充填温度に加熱し、溶融させてから使用した。
H-12:無機フィラー含有の熱硬化型の成形材料
成形材料(H-12)の製造
2液硬化型のポリウレタンゴム(ADAPT 60L)の主剤100質量部に、シリカ微粒子(シーホスターKE-P100 株式会社日本触媒製)を5質量部添加し、25℃でホモミキサーにて回転速度3000rpm、5分間攪拌することで、均一な分散液を得た。その後、得られた分散液にADAPT 60Lの硬化剤33質量部を加え、25℃で5分間攪拌しシリカ含有の熱硬化型の成形材料(H-12)を得た。なお(H-12)は製造直後に造形物に充填し、表3に示す成形条件で成形を行った。
H-13:有機フィラー含有の熱硬化型の成形材料
成形材料(H-13)の製造
H-12の製造において、シリカ微粒子の代わりに多層カーボンナノチューブ(直径40~60nm、長さ1~2μm 東京化成株式会社製)0.5質量部を用いて、カーボンナノチューブ含有の熱硬化型の成形材料(H-13)を得た。なお、(H-13)は製造直後に造形物に充填し、表3に示す成形条件で成形を行った。
H-14:有機フィラーと無機フィラー含有の生分解性ポリエステル樹脂の熱可塑性型の成形材料
成形材料(H-14)の製造
熱可塑性の生分解性ポリエステル樹脂の成型材料(H-11)100質量部を用いて、120℃に加温し、溶融させた後。その後、アクリルスチレン系有機フィラーとしてエポスターMA1002(平均粒子径5μm、日本触媒株式会社製)2.5質量部、無機フィラーとして酸化チタン(IV)(富士フイルム和光純薬株式会社製)2.5質量部を添加し、120℃でホモミキサーにて回転速度300rpm、1時間攪拌することで、均一な分散液としてアクリルスチレン系有機フィラーと酸化チタン系無機フィラー含有の生分解性ポリエステル樹脂の熱可塑性型の成形材料(H-14)を得た。なお、(H-14)は製造直後に造形物に充填し、表3に示す成形条件で成形を行った。
H-15:有機フィラー含有の2液熱硬化型の成形材料
成形材料(H-15)の製造
不飽和ポリエステル樹脂(TP-153、DICマテリアル株式会社製)100質量部に特開2017-218595の実施例1に記載の方法にて調整したセルロースナノファイバーのN-メチルピロリドン分散液(0.75wt%分散液)100質量部を加え、25℃でホモミキサーにて回転速度3000rpm、5分間攪拌することで、均一な分散液を得た。エバポレーターにて分散液中のN-メチルピロリドンを留去した後、メポックス55(川口薬品株式会社製)1.0質量部を加え、25℃でホモミキサーにて回転速度3000rpm、5分間攪拌し、セルロースナノファイバー含有の熱硬化型の成形材料(H-15)を得た。なお、(H-15)は製造直後に造形物に充填し、表3に示す成形条件で成形を行った。
<浸漬液(I)>
I-1:水道水
I-2:イオン交換水
I-3:メタノール
I-4:50wt%メタノール水溶液
I-5:3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド(登録商標「KJCMPA」、KJケミカルズ社製)
I-6:エタノール
(6)除去性評価
実施例73~97と比較例13~16で得られた粗成形物を用いて、25℃で浸漬液(I)に10時間又は24時間浸漬した。その後、成形型と分離した成形物(Y)を取り出し、その外周と中空部分を浸漬液を流して洗浄を行い、得られた成形物(Y)の状態を目視により観察し、成形型の除去性を評価した。なお、成形型の除去方式(溶解、分散又は崩壊)は表3に示す。
◎:成形物(Y)の外周も内部も、成形型が完全に除去され、かつ、成形型の除去に必要な時間が10時間未満である。
○:成形物(Y)の外周も内部も、成形型が完全に除去され、かつ、成形型の除去に必要な時間が10時間以上、24時間以下である。
×:24時間浸漬しても、成形型が完全に除去されなかった。
(7)造形精度評価
実施例73~97と比較例13~16で得られた成形物(Y)、成形物(Z)を用いて、円筒状の中空部分の直径を測定し、目視観察と合わせて造形精度を評価した。なお、円筒の直径の設計値は0.5mmであり、2本の円筒が成形体(Y)又は(Z)の中心部で貫通し、外周にシャープな角を有するように設計されている。
◎:円筒の直径が0.5±0.1mm未満、2本の円筒が中心部で貫通し、外周の角がシャープな状態である。
○:円筒の直径が0.5±0.1mm以上、0.5±0.2mm以下、2本の円筒が中心部で貫通し、外周の角がほぼシャープな状態である。
△:円筒の直径が0.5±0.2mm以上、又は2本の円筒が中心部で貫通せず、或いは外周の角が丸くなった。
×:円筒が形成されていない。
(8)成形品強度評価
<PETスペーサーにより成形品強度評価用試験片(y1)の作製)
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、3mm×10mm×130mmのスペーサーを設置した。実施例73~97と比較例13~16において、成形型(x1)の代わりにスペーサーを使用し、厚さ3mm、幅10mm×長さ130mmの短冊状の成形品強度評価用試験片(y1-1)~(y1-25)を得た。
<光造形スペーサーにより成形品強度評価用試験片(y2)の作製)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-1)~(E-24)と組成物(F-1)~(F-4)を用いて、実施例25~48と同様に液槽光重合装置により図3に示す3mm×10mm×130mmの空間を有するスペーサーを製造した。その後、実施例73~97と比較例13~16において、造形物(x1)の代わりにこれらの光造形スペーサーを使用し、厚さ3mm、幅10mm×長さ130mmの短冊状の成形品強度評価用試験片(y2-1)~(y2-25)を得た。
卓上形精密万能試験機(株式会社島津製作所製 オートグラフAGS-X)を用い、25℃の温度環境下、速度100mm/分の条件で、短冊状の試験片(y1-1)~(y1-25)と(y2-1)~(y2-25)の引張試験を行い、引張破断強度を測定した。下記計算式(2)により光造形スペーサーで成形した成形物の強度とPETスペーサーで成形した成形物の強度の比を強度保持率として求め、三次元光造形法で造形した中空構造を有する造形物(x2)の中空構造(スペーサー)を利用して得られる成形物の強度を評価した。
強度保持率(%)=強度(y2)/強度(y1)×100 計算式(2)
(式中、強度(y2)は試験片(y2-1)~(y2-25)の引張破断強度、強度(y1)は試験片(y1-1)~(y1-25)の引張破断強度である。)
○:強度保持率は90%以上
×:強度保持率は90%未満
実施例98
成形物の物理的作用による分解試験
前記の方法で製造した直後の成形材料(H-14)を用いて、ガラス基板上に膜厚40μmの塗膜を作製し、60℃の恒温機240分を静置し、物理的作用による分解試験用試験片(y3-1)(ガラス基板上とその上の塗膜)を得た。得られた試験片をサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機を用いて、JIS K 7350-4に準じ、耐候性試験を1000時間行った。耐候性試験後、試験片の塗膜をガラス基板から剥離し、分子量測定を行い、耐候性試験後の塗膜中のポリエステル樹脂の分子量(Mn)は18,000となった。成形材料(H-14)の構成成分であるポリエステル樹脂の分子量(Mn)は26,000であるため、耐候性試験による分子量の減少が確認され、即ち、物理的作用による成形物である試験片(y3-1)の分解が確認された。
実施例99
成形物の化学的作用による分解試験
前記の方法で製造した成形材料(H-11)を用いて、75℃に加熱し、溶融させてからガラス基板上に膜厚40μmの塗膜を作成、25℃で60分を静置し、化学的作用による分解試験用試験片(y3-2)(ガラス基板上とその上の塗膜)を得た。得られた試験片の塗膜をガラス基板から剥離し、塗膜1gを測り取って、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液10mlと共に20mlの遮光性スクリュウー瓶に入れ、蓋を閉じ、37℃、回転速度150rpmにて60日間攪拌を行った。その後、残留成分を濾別し、分子量測定を行い、試験後のポリエステル樹脂の分子量(Mn)は1,800となった。成形材料(H-11)のポリエステル樹脂の分子量(Mn)は26,000であるため、試験による分子量の大幅減少が確認され、即ち、化学的作用による成形物である試験片(y3-2)の分解が確認された。
実施例100
成形物の生物的作用による分解試験
前記の方法で製造した成形材料(H-11)を用いて、75℃に加熱し、溶融させてからガラス基板上に膜厚40μmの塗膜を作成、25℃で60分を静置し、生物的作用による分解試験用試験片(y3-3)(ガラス基板上とその上の塗膜)を得た。得られた試験片の塗膜をガラス基板から剥離し、塗膜1gを測り取って、20mlの遮光性スクリュウー瓶に入れた。該スクリュウー瓶に0.1mMのリン酸緩衝液(pH7.4)10ml、アスペルギルスニガー(Aspergillus Niger)2mgを添加し、蓋を閉じて、37℃、回転速度150rpmにて60日間攪拌を行った。その後、スクリュウー瓶の液体を濃縮し、分子量測定を行い、試験後のポリエステル樹脂の分子量(Mn)は500となった。成形材料(H-11)のポリエステル樹脂の分子量(Mn)は26,000であるため、試験による分子量の著しい減少が確認され、即ち、生物的作用による成形物である試験片(y3-3)の分解が確認された。
表1と表2の結果から明らかなように、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E-1)~(E-24)は三次元光造形に適した範囲の粘度を有し、耐硬化収縮性が高く、各方式の三次元光造形に好適に用いることができる。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物はその硬化物に対して溶解能を示さないため、液槽光重合法により高精度、良好な耐熱性を有する造形物を造形することができる。又、得られた造形物は水、有機溶媒又はそれら混合物中に浸漬することにより、溶解、分散又は崩壊することが可能であり、このような中空構造を有する造形物(x1)は、各種熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂や蜜蝋、結晶性ポリエステル、低融点金属等の熱可塑性の材料を成形用の成形型として好適に用いることができ、更にこのような成形型は水、有機溶媒又はそれら混合物中に浸漬することで、容易に除去でき、それを利用して微細構造や複雑構造を有する成形物(Y)を容易に製造することができた。一方で、比較例用の組成物(F-1)では非多官能重合性化合物(A)の代わりに多官能重合性化合物を使用したため、比較例用の組成物(F-2)、(F-3)では非架橋性ポリマー(B)を含まないため、いずれの比較例も硬化収縮率が高く、造形精度が低かった。又、比較例用の組成物(F-4)では、組成物がその硬化物に対して溶解能を有する、ため、精度よく造形することは困難であった。そのため、いずれかの比較例の組成物を用いた造形物は、他の成形物の成形型として用いても、成形型の除去性、成形物の造形精度について、満足できるものではなかった。