JP7768012B2 - 積層圧電シート - Google Patents
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Description
例えば、多孔性樹脂フィルムを用いた多孔エレクトレットは、優れた圧電効果を示すことが知られており、振動発電、センサーデバイス等に広く用いられている。
エレクトレットフィルムに保持された電荷を利用して発生させた電荷を外部に取り出すためには、エレクトレットフィルムの両面に電極層を形成する必要がある。しかし、エレクトレットフィルムの両面に電極を形成すると、エレクトレットフィルムの表面に保持された電荷が消失してしまい、圧電特性が大きく減退してしまう問題点があった。
このような課題に対し、多孔エレクトレットフィルムと電極とを接着剤を介さずに封止することで、高い圧電特性を達成できることが報告されている(特許文献1)。
また、エレクトレット化フィルムの一面の一部分のみに粘接着層を形成し、その粘接着層上に電極層を形成することで密着性を改善する方法も報告されている(特許文献2)。
また、本発明が解決しようとする第二の課題は、エレクトレットフィルムの圧電特性を良好にしつつ、連続的に製造可能な圧電シートを提供することを目的とする。
[2]以下の方法により測定される出力電圧のばらつきが0.36V未満である、上記[1]に記載の積層圧電シート。
<出力電圧のばらつき>
前記積層圧電シートを電極が下となるように置き、その上にアルミニウムを蒸着した100μm厚のポリエステルフィルムを、蒸着面が下となるように置き、両者を厚さ100μmのポリエステルフィルム製のクリアファイルで挟み、前記積層圧電シートと、蒸着面のそれぞれをオシロスコープに接続し、これら積層体に対して、高さ40mmから、直径40mm、重さ2.7gのピンポン玉を落下せしめることで、発生するパルスの最大電圧をオシロスコープにて測定する。この作業を5回行い、測定値の標準偏差を「出力電圧のばらつき」とする。
[3]前記エレクトレットフィルムが多孔エレクトレットフィルムである、上記[1]又は[2]に記載の積層圧電シート。
[4]前記多孔エレクトレットフィルムがポリオレフィン系樹脂を主成分としてなる上記[3]に記載の積層圧電シート。
[5]前記ポリオレフィン系樹脂が80%以上のβ晶生成能を有するポリプロピレン系樹脂である上記[4]に記載の積層圧電シート。
[6]前記多孔エレクトレットフィルムの空隙率が5%以上60%以下である上記[3]~[5]のいずれかに記載の積層圧電シート。
[7]前記エレクトレットフィルムの厚さが10μm以上200μm以下である上記[1]~[6]のいずれかに記載の積層圧電シート。
[8]エレクトレットフィルムの一方の面にのみ電極が積層され、エレクトレットフィルムと電極との密着強度が1N/cm以上である捲回体。
[9]第1の電極、第1のエレクトレットフィルム、第2のエレクトレットフィルム、第2の電極がこの順に積層され、エレクトレットフィルムと電極との密着強度が1N/cm以上である圧電シート。
[10](A)エレクトレットフィルムの一方の面に電極が積層された積層圧電シートを2枚得る工程、(B)一方の積層圧電シートのエレクトレットフィルム側の表面の極性を正に帯電させて第一の積層圧電シートを得、他方の積層圧電シートのエレクトレットフィルム側の表面の極性を負に帯電させて第二の積層圧電シートを得る工程、(C)前記第一の積層圧電シートと、前記第二の積層圧電シートを、エレクトレットフィルム側の表面同士が接するように積層する工程、を有する圧電シートの製造方法。
[11]前記(A)工程において、エレクトレットフィルムと電極が接着剤を介して積層される上記[10]に記載の圧電シートの製造方法。
[12]前記(C)工程において、積層圧電シートのエレクトレットフィルム側の表面同士が接着剤を介して積層される上記[10]又は[11]に記載の圧電シートの製造方法。
また、本発明が提案する積層圧電シートは、エレクトレットフィルムの一方の面にのみ電極が形成されているので、ロールtoロール等の連続的な方法で帯電処理を行うことができる。
本発明の積層圧電シートは、エレクトレットフィルムと、電極との少なくとも2種を積層してなる圧電シートであり、エレクトレットフィルムと電極の間の密着強度が1N/cm以上であることを特徴とする。エレクトレットフィルムと電極の間の密着強度が1N/cm以上であることで、例えば大判のセンサーデバイスであっても、位置によって信号強度がばらつくことがない。以上の観点から、エレクトレットフィルムと電極の間の密着強度は6N/cmよりも高いことがより好ましく、8N/cm以上であることがさらに好ましい。一方、上限については特に制限はないが、デバイスの分解、分別、およびリサイクルの観点から80N/cm以下であることが好ましい。
以下、本積層圧電シートの特性について説明する。
本発明の積層圧電シートの出力電圧は1V以上100V以下が好ましく、2V以上50V以下がより好ましく、3V以上10V以下がさらに好ましい。出力電圧が上記下限値以上であることで、センサーとして使用した場合に十分な感度を得ることができる。一方で、出力電圧が上記上限値以下であることで、センサーやアクチュエーターとして組み込んだ際の火花放電のリスクを低減することができる。
なお、本発明の積層圧電シートの出力電圧は以下の方法で測定される。
<出力電圧の測定方法>
積層圧電シートを電極が下となるように置き、その上にアルミニウムを蒸着した100μm厚のポリエステルフィルムを、蒸着面が下となるように置き、両者を厚さ100μmのポリエステルフィルム製のクリアファイルで挟み、積層圧電シートと、蒸着面のそれぞれをオシロスコープに接続し、これら積層体に対して、高さ40mmから、直径40mm、重さ2.7gのピンポン玉を落下せしめることで、発生するパルスの最大電圧をオシロスコープにて測定する。この作業を5回行い、平均値を算出する。
本発明の積層圧電シートは、出力電圧のばらつきが0.36V未満であるのが好ましく、0V以上0.34V以下であるのがより好ましい。
なお、出力電圧のばらつきは、上記<出力電圧の測定方法>において得られた5回の測定値の標準偏差である。
本発明の積層圧電シートの厚さは50μm以上500μm以下であることが好ましい。下限については、70μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。一方で上限としては、400μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。厚さが50μm以上であれば、応答性の積層圧電シートを得ることができる。また、厚さが500μm以下であれば、ロールtoロールで搬送・捲回することができ、後の加工が容易である。
なお、厚さの測定は、1/1000mmのダイアルゲージにより測定することができる。
本発明の積層圧電シートは、少なくとも1枚のエレクトレットフィルムを含んでなる。エレクトレットフィルムの種類は、圧電特性を有するものであれば特に限定されないが、圧電特性をより高める点から、多孔エレクトレットフィルムであることが好ましい。また、エレクトレットフィルムは、多孔フィルムを帯電させたものを使用することがより好ましい。
多孔エレクトレットフィルムを用いる場合、フィルムの多孔化方法は特に限定されないが、例えば、化学的又は物理的な発泡、延伸による多孔化が挙げられる。中でも、緻密な多孔構造が得られ、孔の形状も制御しやすい点から、延伸による多孔化が好ましい。
エレクトレットフィルムの材料としては、ポリオレフィン系樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられるが、環境負荷が小さく、帯電処理を行いやすいという点でポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。
本発明の積層圧電シートを構成するエレクトレットフィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とすることが好ましく、中でもポリプロピレン系樹脂を主成分とすることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネンもしくは1-デセンなどのα-オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。この中でも、機械的強度の観点からホモポリプロピレンがより好適に使用される。
なお、β晶生成能は以下のようにして測定できる。
β晶生成能(%)=〔ΔHmβ/(ΔHmβ+ΔHmα)〕×100
例えば、ポリプロピレン系樹脂がホモポリプロピレンの場合は、主に145℃以上160℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に160℃以上170℃以下に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。また、例えばポリプロピレン系樹脂が、エチレンが1~4モル%共重合されているランダムポリプロピレンの場合は、主に120℃以上140℃未満の範囲で検出されるβ晶由来の結晶融解熱量(ΔHmβ)と、主に140℃以上165℃以下の範囲に検出されるα晶由来の結晶融解熱量(ΔHmα)から計算することができる。
本発明の積層圧電シートに用いる多孔エレクトレットフィルムは優れた圧電性を得るために、β晶核剤が含まれていることが好ましい。β晶核剤が含まれていることによって、β晶活性を有することができる。本発明で用いるβ晶核剤としては以下に示すものが挙げられる。また必要に応じて、2種類以上のβ晶核剤を混合して用いてもよい。
一方で、アミド化合物のように極性が高い化合物は、極性が低いポリプロピレン系樹脂とは静電的な相互作用により分散性が悪く、凝集しやすいという問題がある。しかしながら、一般的なβ晶核剤は、一定の温度域ではポリプロピレン系樹脂に溶解するという特性を有している。この特性により、ポリプロピレン系樹脂にβ晶核剤が均一に分散され、β晶核剤由来の結晶が均一に析出されやすくなる。よって、極性が低いポリプロピレン系樹脂中に極性の高いアミド化合物の結晶が均一に分散され、高い圧電特性を有することができると考えられる。
本発明の積層圧電シートに用いるエレクトレットフィルムの厚さは、好ましくは10μm以上200μm以下である。厚さを上記範囲内とすることで、積層圧電シートを必要以上に厚くすることなく、圧電特性を良好にできる。このような観点から、エレクトレットフィルムの厚さは、より好ましくは15μm以上150μm以下、さらに好ましくは20μm以上120μm以下である。
本発明の積層圧電シートが多孔エレクトレットフィルムを有する場合、当該多孔エレクトレットフィルムの空隙率は、好ましくは5%以上60%以下である。空隙率を上記範囲内とすることで、外圧による塑性変形による圧電特性の劣化を抑制できるという効果がある。好ましくは7%以上55%以下、さらに好ましくは9%以上50%以下である。
空隙率の測定方法は以下のとおりである。
測定試料の実質量W1を測定し、多孔エレクトレットフィルムの原料である樹脂組成物の密度に基づいて空隙率が0%の場合の質量W0を計算し、これらの値から下記式に基づいて空隙率を算出する。
空隙率(%)={(W0-W1)/W0}×100
本発明の積層圧電シートに用いるエレクトレットフィルムには、その性質を損なわない程度に添加剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、結晶核剤、着色剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、滑剤、難燃剤、導電剤、エラストマーなどの各種添加剤が適宜含まれていてもよい。またその性質を損なわない程度に他の樹脂組成物が含まれていても良い。
本発明の積層圧電シートは、エレクトレットフィルムの一方の面にのみ、電極となる層を有していることが特徴である。電極となる層は導電性を有していれば良く、アルミニウム箔、銅箔、銀箔、金箔、ニッケル箔、スズ箔などの金属箔、カーボンシート、導電性塗料、導電ゴムシートなどの樹脂との複合体、アルミニウム、金、ITOなどの無機蒸着膜が好適に用いられる。
電極の厚さとしては1nm以上100μm以下が好ましく、2nm以上50μm以下がより好ましく、5nm以上30μm以下がさら好ましい。1nm以上であることで、電極として導電安定性を発現できる。一方で100μm以下であることで、積層圧電シートとした際のフレキシブル性を担保することができる。
本発明の積層圧電シートにおいて、エレクトレットフィルムと電極の間に接着層を有していてもよい。積層圧電シートの製造時などにおける電極の位置ずれを防止できる点で好ましい。
これに対し、例えば、特許文献1に開示される積層圧電シートでは、多孔エレクトレットフィルムと電極の間に接着層を介在させない。接着層によって、多層圧電シートの起電力が低下し、圧電特性が損なわれることを防ぐためである。これは接着層を構成する接着剤が多孔エレクトレットフィルムの孔に侵入することに起因すると考えられる。
しかしながら、本発明では、接着層を形成してから帯電処理を行うことで、接着層により、多層圧電シートの起電力が低下したり、圧電特性が損なわれたりすることがなく、好ましい。
接着層は、感圧接着性を有する粘着層であってもよいし、感圧接着性を有さなくてもよいが、感圧接着性を有する粘着層とすることが好ましい。粘着層とすることで、電極及び保護フィルムを、粘着層を介在させて積層し加圧するだけで電極と保護フィルムを接着させることができる。
粘着剤は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、合成ゴム、天然ゴム、シリコーン系樹脂などの主ポリマーを含有し、主ポリマーに、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、金属不活性剤、酸化防止剤、顔料、染料などから選択される少なくとも1つの添加剤が配合されてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム等の金属粉粒子、カーボン、グラファイト等の導電性カーボン粒子、樹脂、中実ガラスビーズ、中空ガラスビーズなどのコア材の表面に金属被覆を有するものなどが挙げられる。これらのなかでもニッケル粉粒子、銅粉粒子、銀粉粒子などの金属粉粒子が導電性、接着性、生産性に優れるため好ましい。
また、導電性粒子の形状は、特に限定されず、球状、表面針状形状などでもよいし、導電性粒子間で結合等を形成し、複数の導電性粒子が連なった形状を有するものなどであってもよい。
導電性粘着剤における導電性粒子の含有量は、所望の導電性を付与できるように適宜調整されればよいが、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上25質量%以下がより好ましく、8質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
また、電極の一方の面に予め接着層が積層された接着テープを使用してもよく、例えば、銅箔、アルミニウム箔などの金属箔の片面に粘着層が積層された粘着テープなどを使用してもよい。このような粘着テープは、市販品を使用してもよく、例えばDIC社製の「E-2300ND」、「E20CU」、「E30CU」、「E40CU」、「E50CU」、「E65CU」、「52050AD」などを使用できる。
本発明の積層圧電シートは、デバイスにする際のハンドリング性や電気特性を向上する目的で、これらに挙げた構成部材以外に、保護層やタブ電極やシールド層、緩衝層などの機能を付与してもよい。
また、本発明においては、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般的に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性および積層圧電シートの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤などの添加剤が挙げられる。
本発明の積層圧電シートの製造方法について説明するが、以下の説明は、本発明の積層圧電シートを製造する方法の一例であり、本発明の積層圧電シートはかかる製造方法により製造される積層圧電シートに限定されるものではない。
製膜工程では、エレクトレットフィルムを構成する材料よりなるフィルムが製膜される。製膜工程においては、エレクトレットフィルムを構成する材料を、公知の方法で製膜する限り特に限定されないが、例えばエレクトレットフィルムを構成する樹脂(材料樹脂)を加熱溶融してフィルム状に製膜すればよく、具体的には、Tダイ法、インフレーション法などにより製膜すればよく、中でもTダイ法を採用するのが好ましい。
また、実用的には、Tダイから材料樹脂を溶融押出してキャストロール(チルロール、キャストドラムなど)によりキャスト成形するのが好ましい。また、材料樹脂は、適宜添加剤が配合され、また2種以上の樹脂成分が混合され、2以上の成分を含む樹脂組成物として製膜されてもよい。
エレクトレットフィルムのフィルムでの層構成に関しては、上記の単層構成のみだけでなく、他の層を組み合わせた構成であってもよい。
上記製膜工程で得られたフィルムは、延伸処理が行われてもよい。フィルムに対して延伸処理を行うことで、フィルムを容易に多孔フィルムにすることができる。延伸処理では、フィルムに対して一軸延伸あるいは二軸延伸を行なうとよい。一軸延伸は縦一軸延伸であってもよいし、横一軸延伸であってもよい。二軸延伸は同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。これらのうち逐次二軸延伸を採用すると、多孔構造の制御が比較的容易であり、機械強度や収縮率など他の諸物性とのバランスがとりやすい。逐次二軸延伸は、特に限定されないが、例えば縦延伸した後に、横延伸するとよい。なお、フィルムの流れ方向(MD)への延伸を「縦延伸」といい、流れ方向に対して垂直方向(TD)への延伸を「横延伸」という。
横延伸温度は、好ましくは90℃以上160℃以下であり、より好ましくは100℃以上150℃以下である。前記横延伸温度が規定された範囲内であることによって、空孔が十分に形成され、空隙率を高めることができ、十分な圧電特性を有することができる。また、逐次二軸延伸の場合には、例えば縦延伸時に生じた空孔が拡大されて多孔層の空隙率を増加することができる。
なお、以上説明した温度は、一軸延伸又は逐次二軸延伸の場合の温度であるが、同時二軸延伸の場合の延伸温度は、上記観点から、好ましくは90℃以上140℃以下、より好ましくは100℃以上120℃以下の範囲内で調整すればよい。
続いて、フィルムの一方の面に電極の材質に応じた手法により電極を形成することができる。電極が金属箔であれば、接着剤を用いて貼り合わせることが好ましい。電極が導電性塗料などの樹脂との複合体であれば、溶剤に溶解して塗布、乾燥を行なうこと、あるいは、熱を用いてラミネートすることにより得ることができる。電極が蒸着膜であれば、フィルムを蒸着釜に投入しフィルム表面に蒸着することで得ることができる。これらの方法の中でも生産性が高いことから、接着剤を用いて金属箔を貼り合わせる方法、および溶剤を用いて導電性塗料を塗布、乾燥する方法が好ましい。
ついで、電極を形成した多孔フィルムに帯電処理を行なうことで本発明の積層圧電シートを得ることができる。本発明の積層圧電シートは、一方の面にのみ電極を有するので、アースをとりながら、帯電処理を行うことができる。帯電処理は連続式であってもよいし、バッチ式であってもよい。特に、連続的にロールtoロールで積層圧電シートが製造できるため、高い生産効率を得ることができる。帯電処理を行なう際の電極は、フィルムの表裏に針状電極、ワイヤー電極、ロール状電極、板状電極などの電極間にフィルムを通し、電極間に電界を印加する方式が生産性の面で好ましい。
印加する電界としては好ましくは0.1MV/m以上10MV/m以下、より好ましくは0.2MV/m以上8MV/m以下、さらに好ましくは0.3MV/m以上6MV/m以下である。0.1MV/m以上であることで、多孔エレクトレットフィルムが優れた圧電特性を有することができる。10MV/m以下であることで、帯電処理時の絶縁破壊を生じさせないという効果がある。
ついで、上記で得られた積層圧電シートに、絶縁性や信頼性の向上を目的に保護層やシールド層を形成しても良い。形成する方法としては、接着剤を用いた貼り合わせや、熱ラミネートなどが好適に用いられる。
本発明の捲回体は、エレクトレットフィルムの一方の面に電極が積層され、エレクトレットフィルムと電極との密着強度が1N/cm以上であることを特徴とする。エレクトレットフィルムの一方の面に電極が積層される態様では、アースをとりながら、帯電処理を施すことができ、ロールtoロールで搬送し、捲回することで捲回体を容易に製造することができる。また、エレクトレットフィルムと電極を貼合した後に帯電処理を行うことができるため、接着剤による圧電効果の低減を抑制することができる。すなわち、エレクトレットフィルムと電極の貼合に、接着剤を用いることができるために、エレクトレットフィルムと電極の高い密着強度を得ることができる。そして、捲回体とすることによって、後の加工が容易であるという利点がある。
本発明の圧電シートは、第1の電極、第1のエレクトレットフィルム、第2のエレクトレットフィルム、第2の電極がこの順に積層され、エレクトレットフィルムと電極との密着強度が1N/cm以上である。本発明の圧電シートは、センサーデバイスとして好適に用いられる。
(A)多孔エレクトレットフィルムの一方の面に電極が積層された積層圧電シートを2枚得る工程
(B)一方の積層圧電シートのエレクトレットフィルム側表面の極性を正に帯電させて第一の積層圧電シートを得、他方の積層圧電シートのエレクトレットフィルム側表面の極性を負に帯電させて第二の積層圧電シートを得る工程
(C)前記第一の積層圧電シートと、前記第二の積層圧電シートを、エレクトレットフィルム側表面同士が接するように積層する工程
また、本圧電シートにおいては、第一の積層圧電シートと第二の圧電シートの電荷が異なるために、静電気的密着により十分な密着力が得られる。さらに、前記(C)工程において、積層圧電シートの表面同士が接着剤を介して積層されてもよい。なお、積層圧電シートは、電極が設けられる付近が帯電されていればよく、多孔エレクトレットフィルム同士の密着に関しては、接着剤の影響は通常はないと考えられる。
本発明の積層圧電シートは、1つの電極を有するので、極性の異なる積層圧電シートを2組組み合わせることでセンサーデバイスとすることができる。すなわち、上述の圧電シートによりセンサーデバイスを構成することができる。さらにリード線や回路実装を施すことで、高度なデバイスとすることができる。
本発明の圧電シートは、上述のように、エレクトレットフィルムと電極が接着剤を介して貼合されており、密着強度が1N/cm以上であって、強固に密着している。また、エレクトレットフィルム同士も静電的密着に加えて、好適にはさらに接着剤を介して強固に接着しているため、エレクトレットと電極が完全に接着されたセンサーデバイスとすることができる。
(ポリプロピレン系樹脂)
・A-1;ホモポリプロピレン(ノバテックPP FY6HA、MFR:2.4g/10分[230℃、2.16kg荷重]、Mw/Mn=3.2、日本ポリプロ社製)
(β晶核剤)
・B-1:N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化社製、NU-100)
(酸化防止剤)
・C-1;トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトとテトラキス[3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトールとの1:1混合物(IRGANOX-B225、BASF社製)
ポリプロピレン系樹脂(A-1)100質量部、β晶核剤(B-1)0.2質量部、酸化防止剤(C-1)0.1質量部を混合して、二軸押出機にて280℃で溶融押出することで樹脂組成物を得た。リップ開度1mmのTダイに繋がれた押出機に前記樹脂組成物を投入して成形を行ない、キャストロールに導かれて厚さが300μmの無孔膜状物を得た。
その後、フィルムテンター設備(京都機械社製)にて、延伸温度100℃で横方向に7倍延伸し、多孔フィルムを得た。得られた多孔フィルムはβ晶活性を有し、含有されるポリプロピレン系樹脂のβ晶生成能は92%、空隙率は20%であった。
(実施例1)
製造例1で得られた多孔フィルムを10cm角に切り出し、電極として、片面に接着層を有する導電性銅箔粘着テープ「E20CU」(DIC社製)を9cm角に切り出し、多孔フィルムが銅箔両端から0.5cmずつはみ出すように1枚に貼り合わせ、銅箔側がアースロールに接触するようにアース板の上に置き、電極間20mmとした針状電極から-15kVの電荷を60秒間常温で印加することで帯電処理を行った。
印加電圧を-15kVから+15kVに変更したこと以外は実施例1と同様にして積層圧電シートを得た。
製造例1で得られた多孔フィルムを10cm角に切り出し、電極として、片面に接着層を有する導電性銅箔粘着テープ「E20CU」(DIC社製)を9cm角に切り出したものを2枚両面に向かい合うように貼り合わせ、アース板の上に置き、電極間20mmとした針状電極から-15kVの電荷を60秒間常温で印加することで帯電処理を行った。
製造例1で得られた多孔フィルムを10cm角に切り出し、電極として、片面にアルミ箔(三菱アルミニウム社製、FOIL、厚さ11μm)を9cm角に切り出したものを1枚重ね合わせ、アース板の上に置き、電極間20mmとした針状電極から-15kVの電荷を60秒間常温で印加することで帯電処理を行なった。本例の接着方法は表中では静電密着と記載する。
印加電圧を-15kVから+15kVに変更したこと以外は比較例2と同様にして積層圧電シートを得た。
(実施例3)
実施例1と2で得た積層圧電シートを、電極が外側となるようにそれぞれ重ね合わせ、電極タブをとりつけ、11cm角のラミネートフィルムで4辺を封止することで、センサーデバイスを得た。
比較例1で得た積層圧電シートに電極タブをとりつけ、11cm角のラミネートフィルムで4辺を封止することで、センサーデバイスを得た。
積層圧電シートを電極が下となるように置き、その上にアルミニウムを蒸着した100μm厚のポリエステルフィルムを、蒸着面が下となるように置き、両者を厚さ100μmのポリエステルフィルム製のクリアファイルで挟み、積層圧電シートと、蒸着面のそれぞれをオシロスコープに接続し、これら積層体に対して、高さ40mmから、直径40mm、重さ2.7gのピンポン玉を落下せしめることで、発生するパルスの最大電圧をオシロスコープにて測定した。この作業を5回行い、平均値を出力電圧とした。
○:出力電圧が1V以上
×:出力電圧が1V未満
前述の出力電圧の5回の測定の標準偏差を信号ばらつきとした。
○:標準偏差が0.36V未満
×:標準偏差が0.36V以上
JIS Z0237に準拠して、積層圧電シートについて多孔エレクトレットフィルムと電極との剥離強度を測定した。まず、サンプルとして、積層圧電シートを横10mm×縦100mmに切り出し、電極と多孔エレクトレットフィルムを25mm剥がした。次いで、引張試験機(インテスコ社製、インテスコIM-20ST)の下部チャックに剥がした部分のサンプルの片端を固定し、上部チャックにサンプルのもう一端を固定し、試験速度300mm/分にて引き剥がし強度を測定した。測定後、最初の25mmの長さの測定値は無視し、試験片から引き剥がされた50mmの長さの引き剥がし強度測定値を平均し、剥離強度とした。なお、電極が多孔エレクトレットフィルムから剥がれない場合は、電極上にテープを貼り、テープの剥離強度を測定し、本積層圧電シートの剥離強度はテープのみの剥離強度以上であると見做す。
本発明のセンサーデバイスを、オシロスコープにつなぎ、面状の任意の場所に高さ40mmから、直径40mm、重さ2.7gのピンポン玉を落下せしめ、発生するパルスの最大電圧をオシロスコープにて測定した。この作業を5回行い、平均値を算出した。
○:信号強度が4V以上
×:信号強度が4V未満
ポリプロピレン系樹脂(A-1)100質量部、β晶核剤(B-1)0.2質量部、酸化防止剤(C-1)0.1質量部を混合して、二軸押出機にて280℃で溶融押出することで樹脂組成物1を得た。リップ開度1mmのTダイに繋がれた押出機に樹脂組成物1を投入して成形を行い、温度127℃のキャストロールに導かれて厚さ(両端部を除いた有効部分の厚み)が100μmの無孔膜状物1を得た。
その後、フィルムテンター設備(京都機械社製)にて、延伸温度100℃で横方向に7倍延伸することで厚さが20μmの多孔質フィルム1を得た。多孔質フィルム1は、ラミネーターを介して多孔質フィルム側が流れ方向端部からそれぞれ5mmずつはみ出すようにして導電性銅箔粘着テープ「E20CU」(DIC社製)と貼り合わせ、コアに捲回することでロール状に巻き取ることで、積層多孔フィルム1とした。
得られた積層多孔フィルム1を、銅箔がアース側に対向するように巻き出し、搬送速度2m/分に設定したロールtoロール式フィルム搬送装置で搬送した。その際、搬送工程中に千鳥配列式針状電極(200mm×1000mmサイズ)を備える高電圧印加装置を使用して-15kVの電圧をかけ帯電処理を行った。このとき、針状電極とアースロールのギャップは20mmであった。搬送速度と針状電極の数及び電極の搬送方向長さとの関係から多孔質フィルムへの電圧印加時間を算出したところ、電圧印加時間はおよそ6秒であった。その後、フィルムを巻き取る前に交流式イオナイザーを設置してフィルムの除電を実施して、エレクトレットフィルムを得た。得られたエレクトレットフィルムは、長さ50mであり、コアに捲回することでロール状に巻き取った。実施環境温度は21℃、湿度51%であり、アースロールの表面温度は19℃であった。
一方、比較例1の積層圧電シートは、エレクトレットフィルムの両面に電極が積層されているため、エレクトレットフィルムに印加される電界が不均一となり、出力電圧のばらつきが大きかった。この積層圧電シートから作製された比較例4のセンサーデバイスは、電極の遮蔽効果によりエレクトレットフィルムに十分な電荷を保持できなかったため、信号強度が小さかった。
また、比較例2及び3の積層圧電シートは、エレクトレットフィルムと電極とが接着されていないため、密着強度が不十分であり、出力電圧のばらつきが大きかった。
また、製造例2より、本発明の構成を有する積層圧電シートは、ロールtoロール方式による連続的な製造が可能であることが確認された。
Claims (11)
- エレクトレットフィルムの一方の面にのみ電極が積層されており、エレクトレットフィルムと電極との密着強度が1N/cm以上であり、以下の方法により測定される出力電圧のばらつきが0.36V未満である積層圧電シート。
<出力電圧のばらつき>
前記積層圧電シートを電極が下となるように置き、その上にアルミニウムを蒸着した100μm厚のポリエステルフィルムを、蒸着面が下となるように置き、両者を厚さ100μmのポリエステルフィルム製のクリアファイルで挟み、前記積層圧電シートと、蒸着面のそれぞれをオシロスコープに接続し、これら積層体に対して、高さ40mmから、直径40mm、重さ2.7gのピンポン玉を落下せしめることで、発生するパルスの最大電圧をオシロスコープにて測定する。この作業を5回行い、測定値の標準偏差を「出力電圧のばらつき」とする。 - 前記エレクトレットフィルムが多孔エレクトレットフィルムである、請求項1に記載の積層圧電シート。
- 前記多孔エレクトレットフィルムがポリオレフィン系樹脂を主成分としてなる請求項2に記載の積層圧電シート。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が80%以上のβ晶生成能を有するポリプロピレン系樹脂である請求項3に記載の積層圧電シート。
- 前記多孔エレクトレットフィルムの空隙率が5%以上60%以下である請求項2~4のいずれか1項に記載の積層圧電シート。
- 前記エレクトレットフィルムの厚さが10μm以上200μm以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の積層圧電シート。
- 前記エレクトレットフィルムの一方の面にのみ電極が積層され、前記エレクトレットフィルムと前記電極との密着強度が1N/cm以上である請求項1~6のいずれか1項に記載の積層圧電シートを捲回した捲回体。
- 第1の電極、第1のエレクトレットフィルム、第2のエレクトレットフィルム、第2の電極がこの順に積層され、前記第1のエレクトレットフィルムと前記第1の電極との密着強度および前記第2のエレクトレットフィルムと前記第2の電極との密着強度が1N/cm以上である請求項1~6のいずれか1項に記載の積層圧電シート。
- (A)エレクトレットフィルムの一方の面に電極が積層された積層圧電シートを2枚得る工程、(B)一方の積層圧電シートのエレクトレットフィルム側の表面の極性を正に帯電させて第一の積層圧電シートを得、他方の積層圧電シートのエレクトレットフィルム側の表面の極性を負に帯電させて第二の積層圧電シートを得る工程、(C)前記第一の積層圧電シートと、前記第二の積層圧電シートを、エレクトレットフィルム側の表面同士が接するように積層する工程、を有する圧電シートの製造方法。
- 前記(A)工程において、第1の電極、第1のエレクトレットフィルム、第2のエレクトレットフィルム、第2の電極がこの順に積層され、前記第1のエレクトレットフィルムと前記第1の電極および前記第2のエレクトレットフィルムと前記第2の電極が接着剤を介して積層される請求項9に記載の圧電シートの製造方法。
- 前記(C)工程において、積層圧電シートのエレクトレットフィルム側の表面同士が接着剤を介して積層される請求項9又は10に記載の圧電シートの製造方法。
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