JP7768453B2 - 樹脂フィルム及び包装体 - Google Patents

樹脂フィルム及び包装体

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Description

本発明は、樹脂フィルム及び包装体に関する。
本願は、2023年10月3日に日本に出願された特願2023-172268号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ブリスターパック包装体(プレススルーパッケージ(PTP)ともいう)は、日用品をはじめとして、様々な物品に対して幅広く利用されている。例えば、凹部を備えた底材と、シート状の蓋材と、がヒートシールされ、前記凹部内が収納部とされたブリスターパック包装体は、錠剤の包装に利用されている。
錠剤を収納物とするブリスターパック包装体では、底材としては透明樹脂フィルムが使用され、蓋材としては、通常、アルミニウム製シートが使用される(特許文献1参照)。
ところで、樹脂フィルムを用いて製造された包装体は、その利便性の高さから、世界中で毎日大量に生産及び消費されており、使用後には大量の廃棄物が発生する。廃棄物の発生は、地球環境の改善の観点では、解決すべき重要な課題となっており、近年は、廃棄物の発生量の低減とともに、廃棄物の再利用(リサイクル)の方法について、盛んに検討されている。
例えば、複数層からなる樹脂フィルムの場合、その複数層の樹脂層の主要構成材料を同種のものとすれば、各樹脂層を分離して別々に再利用する必要性がなくなり、樹脂フィルム全体を容易に再利用できることから、有用性が高くなる。そこで、このような複数層からなる樹脂フィルムの開発が、盛んに進められている。
日本国特開2016-124574号公報
一方で、包装体単位でみると、錠剤の包装に利用されるブリスターパック包装体では、蓋材を従来のアルミニウム製シートではなく、底材が含む樹脂と同種の樹脂を主要構成材料として含む樹脂フィルムとすることによって、蓋材及び底材を同時に再利用でき、極めて有用である。すなわち、樹脂を含む蓋材を備えたブリスターパック包装体は、その有用性が極めて高い。
しかし、樹脂を含む蓋材を用いた場合には、従来のヒートシールの条件では、蓋材と底材とのシール強度が低くなってしまい、蓋材と底材とのシール強度が十分に高いブリスターパック包装体が得られない、という問題点があった。そして、樹脂を含む蓋材と、底材と、のシール強度を高くするために、ヒートシールの温度を高くし過ぎると、蓋材又は底材が、ヒートシール時に用いる加熱手段に貼り付いてしまうという問題点があった。
本発明は、ブリスターパック包装体を構成するための、樹脂を含む底材を製造可能であり、前記底材と、樹脂を含む蓋材と、のヒートシールによって、シール強度が十分に高いブリスターパック包装体を製造可能な樹脂フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1] 熱可塑性樹脂を含む樹脂フィルムであって、前記熱可塑性樹脂の結晶子サイズが90Å以上であり、前記樹脂フィルムの軟化点が140℃以下である、樹脂フィルム。
[2] 前記樹脂フィルムが、前記熱可塑性樹脂としてホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーを含む、[1]に記載の樹脂フィルム。
[3] 前記樹脂フィルムにおいて、前記ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーの合計含有量に対する、前記ポリプロピレンランダムコポリマーの含有量の割合が、0質量%超10質量%未満、又は50質量%超100質量%未満である、[2]に記載の樹脂フィルム。
[4] 前記樹脂フィルムが、ブリスターパック包装体の底材用である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の樹脂フィルム。
[5] [1]~[4]のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを用いて構成された、包装体。
[6] 前記包装体が、蓋材及び底材のシールによって構成されたブリスターパック包装体であり、前記底材が前記樹脂フィルムの成形体であり、前記蓋材が、前記底材が含む前記熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂を含む、[5]に記載の包装体。
本発明によれば、ブリスターパック包装体を構成するための、樹脂を含む底材を製造可能であり、前記底材と、樹脂を含む蓋材と、のヒートシールによって、シール強度が十分に高いブリスターパック包装体を製造可能な樹脂フィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係る樹脂フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装体の一例を模式的に示す斜視図である。 図2に示す包装体のIII-III線における断面図である。
<<樹脂フィルム>>
本発明の一実施形態に係る樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を含む樹脂フィルムであって、前記熱可塑性樹脂の結晶子サイズが90Å以上であり、前記樹脂フィルムの軟化点が140℃以下である。
本実施形態の樹脂フィルムが、90Å以上という特定範囲の結晶子サイズ(別名:結晶子径)の熱可塑性樹脂を含み、樹脂フィルム自体の軟化点が140℃以下という特定範囲であることによって、樹脂フィルムを用いて底材を製造し、前記底材と、樹脂を含む蓋材と、をヒートシールしたとき、ヒートシールの温度を過度に高くしなくても、シール強度が十分に高いブリスターパック包装体を製造できる。これに対して、熱可塑性樹脂の結晶子サイズと、樹脂フィルムの軟化点と、のいずれか一方のみを規定しただけでは、シール強度が十分に高くならない。
本実施形態の樹脂フィルムは、他の樹脂フィルムとのヒートシールによって、ブリスターパック包装体以外の包装体も構成できる。その場合にも、ヒートシールの温度を過度に高くしなくても、シール強度が十分に高い包装体を製造できる。
このように、本実施形態の樹脂フィルムは、他の樹脂フィルムとのシールによって包装体を構成するのに好適であり、樹脂フィルムが、上記構成を有することで、その成形性にも優れる点から、なかでも、ブリスターパック包装体の底材用であることがより好ましい。
本明細書においては、特に断りのない限り、単なる「樹脂フィルム」との記載は、本実施形態の樹脂フィルムを意味する。
本実施形態の樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの総質量に対する、樹脂フィルムの1種又は2種以上の後述する含有成分の合計含有量の割合は、100質量%を超えない。
同様に、樹脂フィルムを形成するための後述する樹脂組成物において、樹脂組成物の総質量に対する、樹脂組成物の1種又は2種以上の後述する含有成分の合計含有量の割合は、100質量%を超えない。
<熱可塑性樹脂>
本実施形態の樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂は、その結晶子サイズが90Å以上であれば、特に限定されない。
樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
本実施形態においては、樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂が1種のみである場合には、その熱可塑性樹脂の結晶子サイズが90Å以上である。
樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂が2種以上である場合には、これら2種以上の全ての熱可塑性樹脂を、樹脂フィルムでの含有比率と同じ含有比率で含む混合物(換言すると混合樹脂)の結晶子サイズが、90Å以上である。例えば、後述するように、樹脂フィルムが熱可塑性樹脂として、ホモポリプロピレンと、ポリプロピレンランダムコポリマーと、必要に応じてこれら以外の樹脂と、を含む場合、ホモポリプロピレンと、ポリプロピレンランダムコポリマーと、必要に応じてこれら以外の樹脂を、樹脂フィルムでの含有比率と同じ含有比率で含む混合物(混合樹脂)の結晶子サイズが、90Å以上である。
樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂は、プロピレン系樹脂であることが好ましい。
前記プロピレン系樹脂は、プロピレンから誘導された構成単位を有する樹脂であって、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレン(hPP)であってもよいし、プロピレンから誘導された構成単位と、プロピレン以外のモノマーから誘導された構成単位と、をともに有するプロピレン系共重合体であってもよい。
好ましい前記プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン2元共重合体、プロピレン-1-ブテン-エチレン3元共重合体、プロピレン-1-ブテン2元共重合体等のポリプロピレンランダムコポリマー(rPP、プロピレンランダム共重合体);ポリプロピレンブロックコポリマー(bPP、プロピレンブロック共重合体)等が挙げられる。
樹脂フィルムは、前記熱可塑性樹脂(プロピレン系樹脂)として、ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーのいずれか一方又は両方を含んでいることが好ましく、ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーを含んでいることがより好ましい。特に、ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーを含む樹脂フィルムは、その軟化点をより容易に調節できる。さらに、これらプロピレン系樹脂の混合物(熱可塑性樹脂)の結晶子サイズは、より容易に調節できる。
より具体的には、樹脂フィルムのホモポリプロピレンの含有量を増大させることで、熱可塑性樹脂(ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーの混合物)の結晶子サイズを、容易に大きくできる傾向にある。
一方、樹脂フィルムのポリプロピレンランダムコポリマーの含有量を増大させることで、樹脂フィルムの軟化点をより容易に低くできる傾向にある。
ただし、本実施形態において、熱可塑性樹脂の結晶子サイズと、樹脂フィルムの軟化点と、を調節する方法は、これに限定されない。
ホモポリプロピレン(hPP)のメルトフローレート(本明細書においては、「MFR」と称することがある)は、0.5~15g/10minであることが好ましく、例えば、0.5~6g/10min、4~11g/10min、及び9~15g/10minのいずれかであってもよい。
ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP)のメルトフローレート(MFR)は、0.5~15g/10minであることが好ましく、例えば、0.5~6g/10min、4~11g/10min、及び9~15g/10minのいずれかであってもよい。
ポリプロピレンブロックコポリマー(bPP)のメルトフローレート(MFR)は、0.5~15g/10minであることが好ましく、例えば、0.5~6g/10min、4~11g/10min、及び9~15g/10minのいずれかであってもよい。
上述のホモポリプロピレン、ポリプロピレンランダムコポリマー及びポリプロピレンブロックコポリマーのメルトフローレートはいずれも、これらの樹脂の加熱温度が230℃である場合の値であることが好ましい。
本明細書において、メルトフローレート(MFR)とは、特に断りのない限り、JIS K 7210-1:2014に準拠して測定して得られた値を意味する。
樹脂フィルムがホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーを含む場合、樹脂フィルムにおいて、ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーの合計含有量に対する、ポリプロピレンランダムコポリマーの含有量の割合([樹脂フィルムのポリプロピレンランダムコポリマーの含有量(質量部)]/([樹脂フィルムのホモポリプロピレンの含有量(質量部)]+[樹脂フィルムのポリプロピレンランダムコポリマーの含有量(質量部)])×100)は、0質量%超10質量%未満、又は50質量%超100質量%未満であることが好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、熱可塑性樹脂(ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーの混合物)の結晶子サイズを、より容易に大きくできるとともに、樹脂フィルムの軟化点をより容易に低くできる。
前記割合は、通常、後述する樹脂組成物における、ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーの合計含有量に対する、ポリプロピレンランダムコポリマーの含有量の割合([樹脂組成物のポリプロピレンランダムコポリマーの含有量(質量部)]/([樹脂組成物のホモポリプロピレンの含有量(質量部)]+[樹脂組成物のポリプロピレンランダムコポリマーの含有量(質量部)])×100)、と同じである。
換言すると、樹脂フィルムにおいて、ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーの合計含有量に対する、ホモポリプロピレンの含有量の割合([樹脂フィルムのホモポリプロピレンの含有量(質量部)]/([樹脂フィルムのホモポリプロピレンの含有量(質量部)]+[樹脂フィルムのポリプロピレンランダムコポリマーの含有量(質量部)])×100)は、10~50質量%であることが好ましい。
樹脂フィルムにおいて、ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーの合計含有量に対する、ポリプロピレンランダムコポリマーの含有量の割合は、例えば、1~9質量%、1~6.5質量%、3.5~9質量%、及び3.5~6.5質量%のいずれかであってもよいし、51~99質量%、51~85質量%、51~75質量%、65~99質量%、75~99質量%、及び65~85質量%のいずれかであってもよい。ただし、これらは前記割合の一例である。
樹脂フィルムがプロピレン系樹脂を含む場合、樹脂フィルムにおいて、熱可塑性樹脂の含有量に対する、プロピレン系樹脂の含有量の割合([樹脂フィルムのプロピレン系樹脂の含有量(質量部)]/[樹脂フィルムの熱可塑性樹脂の含有量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、樹脂フィルムの軟化点をより容易に低くできる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する樹脂組成物における、熱可塑性樹脂の含有量(質量部)に対する、プロピレン系樹脂の含有量の割合([樹脂組成物のプロピレン系樹脂の含有量(質量部)]/[樹脂組成物の熱可塑性樹脂の含有量(質量部)]×100)、と同じである。
<他の成分>
本実施形態の樹脂フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
前記他の非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、着色剤(例えば、染料、顔料等)等が挙げられる。
樹脂フィルムが含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの総質量に対する、熱可塑性樹脂の含有量の割合([樹脂フィルムの熱可塑性樹脂の含有量(質量部)]/[樹脂フィルムの総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、包装体を構成可能な樹脂フィルム(例えば、ブリスターパック包装体を構成可能な底材)として、その特性がより良好となる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、熱可塑性樹脂の含有量の割合([樹脂組成物の熱可塑性樹脂の含有量(質量部)]/[樹脂組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
換言すると、樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([樹脂フィルムの他の成分の含有量(質量部)]/[樹脂フィルムの総質量(質量部)]×100)は、20質量%以下であることが好ましく、例えば、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、及び1質量%以下のいずれかであってもよい。一方、前記他の成分の含有量の割合は0質量%以上である。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
プロピレン系樹脂を含む樹脂フィルムは、プロピレン系樹脂以外の成分として、プロピレン系樹脂に該当しない熱可塑性樹脂と、前記他の樹脂成分と、前記他の非樹脂成分と、からなる群より選択される1種又は2種以上を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
樹脂フィルムが前記プロピレン系樹脂以外の成分を含む場合、樹脂フィルムが含むプロピレン系樹脂に該当しない熱可塑性樹脂と、前記他の樹脂成分と、前記他の非樹脂成分は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
プロピレン系樹脂に該当しない熱可塑性樹脂と、前記他の樹脂成分と、のいずれかに該当する樹脂成分としては、例えば、石油樹脂、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
<熱可塑性樹脂の結晶子サイズ>
樹脂フィルムが含む前記熱可塑性樹脂の結晶子サイズは、90Å以上である。このような樹脂フィルムを用いて底材を製造し、前記底材と、樹脂を含む蓋材と、をヒートシールしたときに、シール強度が十分に高いブリスターパック包装体を製造できる。その理由は、定かではないが、以下のように推測される。
すなわち、底材と蓋材とをヒートシールしたときに、加熱条件下において、底材中の熱可塑性樹脂と、蓋材中の樹脂(熱可塑性樹脂)とが、溶融して相互拡散することで混ざり合い、次いで、得られたシール体が冷却されると、これら樹脂は混ざり合った状態のまま、固くなる。このとき、底材中(前記樹脂フィルム由来)の熱可塑性樹脂の結晶子サイズが大きいため、シール部位においては、底材由来の少なくとも一部の熱可塑性樹脂の集合体が、比較的サイズが大きい状態を維持し、シール部位において、底材と蓋材を引き剥がす外力が加えられても、底材由来の熱可塑性樹脂が蓋材由来の樹脂によって囲まれている状態が維持され易くなっており、その結果、底材と蓋材とのシール強度が十分に高くなると推測される。
このような効果は、ブリスターパック包装体だけでなく、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、のヒートシールによって構成された、ブリスターパック包装体以外の包装体においても発現する。
上述の効果がより高くなる点では、熱可塑性樹脂の結晶子サイズは、90~205Åであることが好ましく、例えば、90~190Å、90~160Å、及び90~130Åのいずれかであってもよいし、105~205Å、135~205Å、及び165~205Åのいずれかであってもよいし、105~190Åであってもよい。ただし、これらは熱可塑性樹脂の結晶子サイズの一例である。
熱可塑性樹脂の結晶子サイズは、公知の方法で求められる。
例えば、熱可塑性樹脂を含むフィルムに対して、X線回折(X-ray diffraction)法によって分析を行い、シェラー(Scherrer)の式:
D=Kλ/(βcosθ)
(式中、Dは結晶子サイズであり;βは測定面のピーク半値幅であり;λはX線の波長であり;θは測定面のブラッグ角であり;Kはシェラーの定数である。)
を用いて、結晶子サイズを算出できる。
X線回折法での分析に供する、熱可塑性樹脂を含むフィルムは、熱可塑性樹脂の含有量が多いものほど好ましく、熱可塑性樹脂からなる(のみを含む)ものがより好ましく、本実施形態の樹脂フィルム自体を分析に供してもよい。
熱可塑性樹脂の結晶子サイズは、例えば、熱可塑性樹脂の分子量、分子の分岐度、又はモノマーの共重合比率;熱可塑性樹脂への造核剤の添加;熱可塑性樹脂を溶融状態から冷却するときの冷却速度、冷却終了時の温度、又は冷却中のいずれかの温度の保持時間等の熱履歴等、を調節することで調節できる。
<樹脂フィルムの軟化点>
前記樹脂フィルムの軟化点(軟化温度ともいう)は、140℃以下である。このような樹脂フィルムを用いて底材を製造し、前記底材と、樹脂を含む蓋材と、をヒートシールしたときに、シール強度が十分に高いブリスターパック包装体を製造できる。その理由は、樹脂フィルムの軟化点がこのように特定値以下であることで、底材と蓋材とをヒートシールしたときに、底材が適切な程度で良好に溶融し、底材中の熱可塑性樹脂と、蓋材中の樹脂(熱可塑性樹脂)と、が良好に混ざり合うからである。
このような効果は、ブリスターパック包装体だけでなく、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、のヒートシールによって構成された、ブリスターパック包装体以外の包装体においても発現する。
上述の効果がより高くなる点では、樹脂フィルムの軟化点は、70~140℃であることが好ましく、例えば、70~125℃、及び70~110℃のいずれかであってもよいし、90~140℃、105~140℃、及び120~140℃のいずれかであってもよいし、90~125℃であってもよい。ただし、これらは樹脂フィルムの軟化点の一例である。
樹脂フィルムの軟化点は、樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂の種類と、樹脂フィルムの熱可塑性樹脂の含有量と、を調節することで調節できる。特に、熱可塑性樹脂として、低密度であるもの、共重合体であるもの、又はエラストマー成分であるもの、の含有量を増大させることで、樹脂フィルムの軟化点を容易に低減できる。
<樹脂フィルムの他の構成>
樹脂フィルムは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。樹脂フィルムが複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
本明細書においては、樹脂フィルムの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味する。さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
樹脂フィルムの厚さは、特に限定されないが、100~400μmであることが好ましく、例えば、200~400μm、及び250~400μmのいずれかであってもよいし、100~350μm、及び100~300μmのいずれかであってもよいし、200~350μm、及び250~300μmのいずれかであってもよい。
ここで、「樹脂フィルムの厚さ」とは、樹脂フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる樹脂フィルムの厚さとは、樹脂フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本実施形態の樹脂フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、その一方の面又は両面上に、前記樹脂フィルムに該当しない他の層又は他のフィルムを備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
樹脂フィルムにおける、前記他の層又は他のフィルムは、金属製シートでなければ、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
樹脂フィルムにおける、前記他の層又は他のフィルムの厚さも、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
本明細書においては、特に断りのない限り、「金属製シート」とは、金属を主成分とするシートであり、金属製シートの総質量に対する、金属の含有量の割合が、90~100質量%であるシートを意味する。
金属製シートを構成する金属は、アルミニウム等の単体金属であってもよいし、2種以上の金属の合金であってもよい。
前記他の層又は他のフィルムは、樹脂フィルムの一方の面又は両面の全面に設けられていてもよいし、一部の領域のみに設けられていてもよい。樹脂フィルムにおいて、前記他の層又は他のフィルムが、その形成対象面に対して全面に設けられているか否かは、前記他の層又は他のフィルムの種類に応じて、任意に選択できる。
樹脂フィルムの一方の面又は両面の一部の領域のみに設けられている、前記他の層又は他のフィルムは、例えば、パターニングされていてもよいし、されていなくてもよく、例えば、文字を形成していてもよい。
樹脂フィルムにおける好ましい前記他の層としては、例えば、印刷層が挙げられる。
樹脂フィルムにおける、前記他の層又は他のフィルムは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の層又は他のフィルムが複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
樹脂フィルムの、後述する他の樹脂フィルム(例えば、蓋材)とのヒートシール面となる面のうち、少なくともヒートシール部位は、前記他の層又は他のフィルムを備えていないことが好ましい。
樹脂フィルムの前記ヒートシール面となる面の全面は、前記他の層又は他のフィルムを備えていないことがより好ましい。すなわち、樹脂フィルムの少なくとも一方の面は、前記他の層又は他のフィルムを備えていないことがより好ましい。
樹脂フィルムは、無延伸のフィルムであることが好ましい。無延伸のフィルムである樹脂フィルムは、その成形性がより高い。
<樹脂フィルムの一例>
本実施形態の好ましい樹脂フィルムの一例としては、熱可塑性樹脂を含む樹脂フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂の結晶子サイズが90Å以上であり、
前記樹脂フィルムの軟化点が140℃以下であり、
前記樹脂フィルムが、前記熱可塑性樹脂としてプロピレン系樹脂を含み、
前記樹脂フィルムにおいて、前記樹脂フィルムの総質量に対する、前記熱可塑性樹脂の含有量の割合が、80質量%以上であり、
前記樹脂フィルムにおいて、前記熱可塑性樹脂の含有量に対する、前記プロピレン系樹脂の含有量の割合が、80質量%以上である、樹脂フィルムが挙げられる。
本実施形態のより好ましい樹脂フィルムの一例としては、熱可塑性樹脂を含む樹脂フィルムであって、
前記熱可塑性樹脂の結晶子サイズが90Å以上であり、
前記樹脂フィルムの軟化点が140℃以下であり、
前記樹脂フィルムが、前記熱可塑性樹脂として、ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーを含み、
前記樹脂フィルムにおいて、前記樹脂フィルムの総質量に対する、前記熱可塑性樹脂の含有量の割合が、80質量%以上であり、
前記樹脂フィルムにおいて、前記熱可塑性樹脂の含有量に対する、前記ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーの合計含有量の割合(([樹脂フィルムのホモポリプロピレンの含有量(質量部)]+[樹脂フィルムのポリプロピレンランダムコポリマーの含有量(質量部)])/[樹脂フィルムの熱可塑性樹脂の含有量(質量部)]×100)が、80質量%以上であり、
前記樹脂フィルムにおいて、前記ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーの合計含有量に対する、前記ポリプロピレンランダムコポリマーの含有量の割合が、0質量%超10質量%未満、又は50質量%超100質量%未満である、樹脂フィルムが挙げられる。
以下、図面を参照しながら、本発明について説明する。
以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を判り易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本実施形態の樹脂フィルムの一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂フィルム1は、結晶子サイズが90Å以上である熱可塑性樹脂を含む。そして、樹脂フィルム1の軟化点は140℃以下である。
樹脂フィルム1の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)1aと、他方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)1bと、のいずれか一方は、他の樹脂フィルム(例えば、ブリスターパック包装体を構成するための蓋材)とのヒートシール面である。
<<樹脂フィルムの製造方法>>
本実施形態の樹脂フィルムのうち、単層からなる樹脂フィルムは、例えば、その形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を押出成形することで、製造できる。
前記樹脂組成物は、形成する樹脂フィルムが目的とする成分を、目的とする含有量で含むように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された樹脂フィルム中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
前記樹脂組成物を用いる場合には、例えば、2種以上の成分の配合物(ドライブレンド物、非混練物)を、樹脂組成物として押出機へ直接投入してもよいし、2種以上の成分を予め練り合わせた事前混練物を、樹脂組成物として押出機へ投入してもよい。
前記事前混練物は、例えば、2種以上の成分を二軸押出機又はバンバリーミキサー等の装置を用いて、溶融混練することで得られる。
前記樹脂組成物としては、例えば、前記熱可塑性樹脂と、必要に応じてそれ以外の他の成分と、を含有する樹脂組成物が挙げられる。前記他の成分は、先に説明した成分である。
好ましい樹脂組成物としては、例えば、プロピレン系樹脂と、必要に応じてプロピレン系樹脂に該当しない熱可塑性樹脂と、必要に応じて前記他の樹脂成分と、必要に応じて前記他の非樹脂成分と、を含有する樹脂組成物が挙げられる。
本実施形態の樹脂フィルムのうち、複数層からなる樹脂フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、各層の形成材料となる樹脂又は樹脂組成物等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、製造できる。
複数層からなる樹脂フィルムの製造時において、前記樹脂組成物は、単層からなる樹脂フィルムの製造時と同様に調製し、取り扱うことができる。
複数層からなる樹脂フィルムは、そのうちのいずれか2層以上を構成するための2枚以上の単層フィルムをあらかじめ別々に作製しておき、接着剤を用いずに、サーマル(熱)ラミネート法等によって、これら単層フィルムを貼り合わせて積層し、必要に応じて、これら以外のフィルムを目的とする配置形態となるようにさらに積層することでも、製造できる。
<<包装体>>
本発明の一実施形態に係る包装体は、上述の本発明の一実施形態に係る樹脂フィルムを用いて構成されている。
本実施形態の包装体は、前記樹脂フィルムを用い、他の樹脂フィルムとヒートシールされて構成されていることにより、シール強度が十分に高い。そして、前記樹脂フィルムを用いることで、包装体の製造時に、ヒートシールの温度を過度に高くする必要が無いため、例えば、ヒートシール時に、樹脂フィルム又は他の樹脂フィルムが加熱手段に貼り付いてしまう等の不具合を抑制できる。
本実施形態の包装体において、前記樹脂フィルムは、その製造後にさらに、成形されていてもよいし、成形されていなくてもよいが、成形されていることが好ましい。
樹脂フィルムの成形体の厚さは、例えば、上述の樹脂フィルムの厚さと同様であってよい。
前記他の樹脂フィルムにおいて、他の樹脂フィルムの総質量に対する、他の樹脂フィルムの1種又は2種以上の後述する含有成分の合計含有量の割合は、100質量%を超えない。
同様に、他の樹脂フィルムを形成するための後述する他の樹脂組成物において、他の樹脂組成物の総質量に対する、他の樹脂組成物の1種又は2種以上の後述する含有成分の合計含有量の割合は、100質量%を超えない。
前記他の樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を含む。
前記他の樹脂フィルムが含む前記熱可塑性樹脂としては、前記樹脂フィルムが含む前記熱可塑性樹脂と同様のものが挙げられる。
他の樹脂フィルムが含む前記熱可塑性樹脂は、より具体的には、プロピレン系樹脂であることが好ましく、前記プロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレン(hPP)であってもよいし、プロピレン-エチレン2元共重合体、プロピレン-1-ブテン-エチレン3元共重合体、プロピレン-1-ブテン2元共重合体等のポリプロピレンランダムコポリマー(rPP、プロピレンランダム共重合体)、又はポリプロピレンブロックコポリマー(bPP、プロピレンブロック共重合体)等のプロピレン系共重合体であってもよい。
他の樹脂フィルムが含む前記熱可塑性樹脂は、前記樹脂フィルムが含む前記熱可塑性樹脂と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記他の樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記他の樹脂フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂以外に、他の成分を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
他の樹脂フィルムが含む前記他の成分は、樹脂成分(本明細書においては、「他の樹脂成分」と称することがある)及び非樹脂成分(本明細書においては、「他の非樹脂成分」と称することがある)のいずれであってもよい。
前記他の樹脂フィルムが含む前記他の樹脂成分及び他の非樹脂成分としては、それぞれ、前記樹脂フィルムが含む前記他の樹脂成分及び他の非樹脂成分と、同様のものが挙げられる。
前記他の樹脂フィルムが含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記他の樹脂フィルムにおいて、他の樹脂フィルムの総質量に対する、熱可塑性樹脂の含有量の割合([他の樹脂フィルムの熱可塑性樹脂の含有量(質量部)]/[他の樹脂フィルムの総質量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、包装体を構成可能な他の樹脂フィルム(例えば、ブリスターパック包装体を構成可能な蓋材)として、その特性がより良好となる。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する他の樹脂組成物における、常温で気化しない成分の総含有量(質量部)に対する、熱可塑性樹脂の含有量の割合([他の樹脂組成物の熱可塑性樹脂の含有量(質量部)]/[他の樹脂組成物の常温で気化しない成分の総含有量(質量部)]×100)、と同じである。
換言すると、前記他の樹脂フィルムにおいて、前記他の樹脂フィルムの総質量に対する、前記他の成分の含有量の割合([他の樹脂フィルムの他の成分の含有量(質量部)]/[他の樹脂フィルムの総質量(質量部)]×100)は、20質量%以下であることが好ましく、例えば、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、及び1質量%以下のいずれかであってもよい。一方、前記他の成分の含有量の割合は0質量%以上である。
前記他の樹脂フィルムがプロピレン系樹脂を含む場合、他の樹脂フィルムにおいて、熱可塑性樹脂の含有量に対する、プロピレン系樹脂の含有量の割合([他の樹脂フィルムのプロピレン系樹脂の含有量(質量部)]/[他の樹脂フィルムの熱可塑性樹脂の含有量(質量部)]×100)は、80質量%以上であることが好ましく、例えば、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。
一方、前記割合は100質量%以下である。
前記割合は、通常、後述する他の樹脂組成物における、熱可塑性樹脂の含有量(質量部)に対する、プロピレン系樹脂の含有量の割合([他の樹脂組成物のプロピレン系樹脂の含有量(質量部)]/[他の樹脂組成物の熱可塑性樹脂の含有量(質量部)]×100)、と同じである。
前記他の樹脂フィルムは、2軸延伸のフィルムであることが好ましい。2軸延伸のフィルムである前記他の樹脂フィルムを用いることで、防湿性が高く、内容物の劣化の抑制効果が高い包装体を構成できる。また、前記他の樹脂フィルムの耐熱性がより高いため、前記樹脂フィルムとのヒートシール時に、前記他の樹脂フィルムのシールロール等の加熱手段への貼り付きの抑制効果がより高くなる。さらに、前記他の樹脂フィルムの引き裂き強度が、適切な範囲で低いため、ブリスターパック包装体を構成したときに、このブリスターパック包装体からの錠剤の取り出し性を制御し易い。
本実施形態の包装体において、前記他の樹脂フィルムは、その製造後にさらに、成形されていてもよいし、成形されていなくてもよい。
前記他の樹脂フィルムは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の樹脂フィルムが複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
前記他の樹脂フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、10~100μmであることが好ましい。
ここで、「他の樹脂フィルムの厚さ」とは、他の樹脂フィルム全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる他の樹脂フィルムの厚さとは、他の樹脂フィルムを構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本実施形態の包装体は、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、が同種の熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましい。このような包装体においては、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、のシール強度が十分に高い。さらに、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、が同種の樹脂を主要構成材料として含んでいることにより、これら樹脂フィルムを同時に再利用でき、このような包装体の有用性は、極めて高い。
本実施形態の包装体においては、熱可塑性樹脂の場合に限らず、「同種の樹脂」とは、共通の構成単位を有する樹脂同士を比較したとき、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるものを意味する。
例えば、ポリオレフィン系樹脂(オレフィンから誘導された構成単位を有する樹脂)の場合には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレン(mLLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-ビニルアルコール-酢酸ビニル共重合体(EVA部分ケン化物)等は、すべて、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるため、同種であるとする。一方、例えば、ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP)及びポリプロピレンブロックコポリマー(bPP)等のうち、構成単位の全量(モル)に対する、エチレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%未満であるものは、上述の低密度ポリエチレン等とは、同種ではないとする。
例えば、ホモポリプロピレン(hPP)、プロピレン-エチレン2元共重合体、プロピレン-1-ブテン-エチレン3元共重合体、プロピレン-1-ブテン2元共重合体、ポリプロピレンブロックコポリマーは、すべて、構成単位の全量(モル)に対する、プロピレンから誘導された構成単位の量(モル)の割合が、20モル%以上であるため、同種であるとする。
本実施形態において、同種の樹脂は、どちらの樹脂においても、構成単位の全量(モル)に対する、共通の構成単位の量(モル)の割合が、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上であり、例えば、60モル%以上、70モル%以上、及び80モル%以上のいずれかであってもよい。そして、同種の樹脂は、どちらの樹脂においても、前記割合が100モル%以下である。
前記他の樹脂フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、その一方の面又は両面上に、前記他の樹脂フィルムに該当しない他の層又は他のフィルムを備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
他の樹脂フィルムにおける、前記他の層又は他のフィルムは、金属製シートでなければ、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
他の樹脂フィルムにおける、前記他の層又は他のフィルムの厚さも、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
前記他の層又は他のフィルムは、他の樹脂フィルムの一方の面又は両面の全面に設けられていてもよいし、一部の領域のみに設けられていてもよい。他の樹脂フィルムにおいて、前記他の層又は他のフィルムが、その形成対象面に対して全面に設けられているか否かは、前記他の層又は他のフィルムの種類に応じて、任意に選択できる。
他の樹脂フィルムの一方の面又は両面の一部の領域のみに設けられている、前記他の層又は他のフィルムは、例えば、パターニングされていてもよいし、されていなくてもよく、例えば、文字を形成していてもよい。
他の樹脂フィルムに設けられている、前記他の層又は他のフィルムとしては、上述の前記樹脂フィルムに設けられている、前記他の層又は他のフィルムと同様のものが挙げられる。
他の樹脂フィルムにおける、好ましい前記他の層としては、例えば、印刷層が挙げられる。
他の樹脂フィルムにおける、前記他の層又は他のフィルムは、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。前記他の層又は他のフィルムが複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
他の樹脂フィルムの、後述する前記樹脂フィルム(例えば、底材)とのヒートシール面となる面のうち、少なくともヒートシール部位は、前記他の層又は他のフィルムを備えていないことが好ましい。
前記樹脂フィルムにおいて、樹脂フィルムの総質量に対する、前記他の樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、包装体の再利用適性がより高くなる。
前記他の樹脂フィルムにおいて、他の樹脂フィルムの総質量に対する、前記樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂の含有量の割合は、80~100質量%であることが好ましく、90~100質量%であることがより好ましく、例えば、95~100質量%、及び99~100質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、包装体の再利用適性がより高くなる。
本実施形態の包装体のシール強度は、例えば、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、をヒートシールすることで作製した試験片の剥離強度によって、判定できる。
例えば、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、をシール温度140℃、シール時間0.5秒、シール圧力0.45MPa(4.6kgf/cm)の条件で、ヒートシールすることで得られた、幅が15mmの試験片を用い、前記試験片において、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、のシール面同士が180°の角度を為すように、剥離速度200mm/minで、前記他の樹脂フィルムを前記樹脂フィルムから剥離し(すなわち、180°剥離を行い)、このときの剥離強度を測定したとき、前記剥離強度は、7N/15mm以上であることが好ましく、例えば、12N/15mm以上、及び17N/15mm以上のいずれかであってもよい。
一方、前記剥離強度が25N/15mm以下である包装体は、より容易に実現できる。
本実施形態の包装体は、ブリスターパック包装体であることが好ましい。
本実施形態のより好ましい包装体としては、例えば、蓋材及び底材のシールによって構成されたブリスターパック包装体であり、前記底材が前記樹脂フィルムの成形体であるブリスターパック包装体が挙げられる。
従来のブリスターパック包装体における蓋材は、通常、アルミニウム製シートであるが、本実施形態においては、前記熱可塑性樹脂を含み、かつ金属製シートを備えていない底材とともに、前記熱可塑性樹脂を含み、かつ金属製シートを備えていない蓋材を用いることで、製造されたブリスターパック包装体の再利用適性を向上させることができる。
なかでも、本実施形態のさらに好ましい包装体としては、蓋材及び底材のシールによって構成されたブリスターパック包装体であり、前記底材が前記樹脂フィルムの成形体であり、前記蓋材が、前記底材が含む前記熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂を含むブリスターパック包装体が挙げられる。このようなブリスターパック包装体においては、底材と蓋材とのシール強度が十分に高い。さらに、底材と蓋材が同種の樹脂を主要構成材料として含んでいることにより、底材と蓋材を同時に再利用でき、このようなブリスターパック包装体の有用性は、極めて高い。
以下、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、がヒートシールされて構成されている包装体として、上述の底材(前記樹脂フィルムの成形体に相当)と、蓋材(前記他の樹脂フィルムに相当)と、のヒートシールによって構成されているブリスターパック包装体を例に挙げて、このブリスターパック包装体について、より詳細に説明する。
底材が含む熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂以外の他の成分は、それぞれ、前記樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂以外の他の成分と同じである。そして、底材が熱可塑性樹脂と前記他の成分を含む態様は、前記樹脂フィルムが熱可塑性樹脂と前記他の成分を含む態様と同じである。
底材において、底材の総質量に対する、熱可塑性樹脂の含有量(蓋材が含む熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂と、蓋材が含む熱可塑性樹脂と同種ではない熱可塑性樹脂と、の合計含有量)の割合は、先に説明した、樹脂フィルムにおける、樹脂フィルムの総質量に対する、熱可塑性樹脂の含有量の割合、と同じである。
底材において、底材の総質量に対する、蓋材が含む熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂の含有量の割合は、先に説明した、前記樹脂フィルムにおける、樹脂フィルムの総質量に対する、前記他の樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂の含有量の割合、と同じである。
底材の厚さは、先に説明した樹脂フィルムの厚さと同様である。
蓋材が含む熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂以外の他の成分は、それぞれ、前記他の樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂以外の他の成分と同じである。そして、蓋材が熱可塑性樹脂と前記他の成分を含む態様は、前記他の樹脂フィルムが熱可塑性樹脂と前記他の成分を含む態様と同じである。
蓋材において、蓋材の総質量に対する、熱可塑性樹脂の含有量(底材が含む熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂と、底材が含む熱可塑性樹脂と同種ではない熱可塑性樹脂と、の合計含有量)の割合は、先に説明した、他の樹脂フィルムにおける、他の樹脂フィルムの総質量に対する、熱可塑性樹脂の含有量の割合、と同じである。
蓋材において、蓋材の総質量に対する、底材が含む熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂の含有量の割合は、先に説明した、前記他の樹脂フィルムにおける、他の樹脂フィルムの総質量に対する、前記樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂の含有量の割合、と同じである。
蓋材の厚さは、特に限定されないが、10~100μmであることが好ましく、例えば、10~70μm、及び10~40μmのいずれかであってもよいし、20~100μm、及び50~100μmのいずれかであってもよいし、20~70μm、及び20~40μmのいずれかであってもよい。
本実施形態のブリスターパック包装体のシール強度は、先に説明した包装体のシール強度の場合と同様に、前記試験片の剥離強度によって、判定できる。
図2は、本実施形態のブリスターパック包装体の一例を模式的に示す斜視図である。図3は、図2に示すブリスターパック包装体のIII-III線における断面図である。
なお、図2以降の図においては、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示すブリスターパック包装体101は、蓋材11と底材12を備えて構成されている。
蓋材11及び底材12は、いずれも熱可塑性樹脂を含む。
底材12は、上述の本発明の一実施形態に係る樹脂フィルムの成形体であり、例えば、図1に示す樹脂フィルム1の成形体であってもよい。
底材12が含む熱可塑性樹脂の結晶子サイズは、90Å以上である。
底材12の軟化点は140℃以下である。
これらの特性を有するブリスターパック包装体101のシール強度は、十分に高い。
底材12には、その一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)12a側に突出し、その他方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)12bに開口部を有する凹部121が、複数個設けられている。ブリスターパック包装体101において、底材12は、その第2面12bを蓋材11側に向けて配置されており、その第1面12aは、ブリスターパック包装体101の一方の最表面となっている。
一方、蓋材11の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)11aは、ブリスターパック包装体101の他方の最表面となっており、ブリスターパック包装体101において、蓋材11は、その他方の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)11bを底材12側に向けて配置されている。
ブリスターパック包装体101においては、蓋材11の第2面11bと、底材12の第2面12bのうち、凹部121が設けられていない領域と、がシールされており、底材12の第2面12bのうち、凹部121が設けられている領域は、蓋材11の第2面11bとシールされておらず、この領域では、底材12の第2面12bと、蓋材11の第2面11bと、によって、収納部19が形成されている。
ブリスターパック包装体101の収納部19には、収納物8が密封収納される。
本明細書においては、ブリスターパック包装体の収納部(ブリスターパック包装体101の場合には、収納部19)を形成する、底材の領域を、底材の第2面側(底材12の場合には、その第2面12b側)から見たときには、「凹部」と称することがあり、底材の第1面側(底材12の場合には、その第1面12a側)から見たときには、「凸部」と称することがある。
底材12の第1面12a側には、スリット129が形成されている。
より具体的には、底材12においては、複数本のスリット129が、ブリスターパック包装体101の幅方向に、互いに平行に形成されている。そして、それぞれのスリット129は、ブリスターパック包装体101の幅方向の全域に形成されている。スリット129が形成されていることで、収納部19の特定数ごとに、ブリスターパック包装体101が容易に分割可能となっており、ブリスターパック包装体101の利便性が高くなっている。
蓋材11と底材12の含有成分は、先に説明したとおりである。
蓋材11と底材12が同種の熱可塑性樹脂を含んでいる場合、ブリスターパック包装体101の再利用適性が高い。
<包装体の一例>
本実施形態の好ましい包装体の一例としては、蓋材及び底材のシールによって構成されたブリスターパック包装体であって、
前記底材が樹脂フィルムの成形体であり、
前記樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を含み、
前記熱可塑性樹脂の結晶子サイズが90Å以上であり、
前記樹脂フィルムの軟化点が140℃以下であり、
前記樹脂フィルムが、前記熱可塑性樹脂としてプロピレン系樹脂を含み、
前記樹脂フィルムにおいて、前記樹脂フィルムの総質量に対する、前記熱可塑性樹脂の含有量の割合が、80質量%以上であり、
前記樹脂フィルムにおいて、前記熱可塑性樹脂の含有量に対する、前記プロピレン系樹脂の含有量の割合が、80質量%以上であり、
前記蓋材は、熱可塑性樹脂を含み、
前記蓋材が、前記熱可塑性樹脂としてプロピレン系樹脂を含み、
前記蓋材が、前記底材が含む前記熱可塑性樹脂と同種の前記熱可塑性樹脂を含む、包装体が挙げられる。
このような包装体において、前記蓋材が含む、前記底材が含む前記熱可塑性樹脂と同種の前記熱可塑性樹脂が、前記プロピレン系樹脂であることが好ましい。
本実施形態のより好ましい包装体の一例としては、蓋材及び底材のシールによって構成されたブリスターパック包装体であって、
前記底材が樹脂フィルムの成形体であり、
前記樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂を含み、
前記熱可塑性樹脂の結晶子サイズが90Å以上であり、
前記樹脂フィルムの軟化点が140℃以下であり、
前記樹脂フィルムが、前記熱可塑性樹脂としてプロピレン系樹脂を含み、
前記樹脂フィルムにおいて、前記樹脂フィルムの総質量に対する、前記熱可塑性樹脂の含有量の割合が、80質量%以上であり、
前記樹脂フィルムにおいて、前記熱可塑性樹脂の含有量に対する、前記プロピレン系樹脂の含有量の割合が、80質量%以上であり、
前記蓋材は、熱可塑性樹脂を含み、
前記蓋材が、前記熱可塑性樹脂としてプロピレン系樹脂を含み、
前記蓋材が、前記底材が含む前記熱可塑性樹脂と同種の前記熱可塑性樹脂を含み、
前記底材において、前記底材の総質量に対する、前記蓋材が含む前記熱可塑性樹脂と同種の前記熱可塑性樹脂の含有量の割合が、80~100質量%であり、
前記蓋材において、前記蓋材の総質量に対する、前記底材が含む前記熱可塑性樹脂と同種の前記熱可塑性樹脂の含有量の割合が、80~100質量%である、包装体が挙げられる。
このような包装体において、前記蓋材が含む、前記底材が含む前記熱可塑性樹脂と同種の前記熱可塑性樹脂が、前記プロピレン系樹脂であることが好ましい。
<<包装体の製造方法>>
本実施形態の包装体は、上述の本発明の一実施形態に係る樹脂フィルムを用いる点以外は、公知の包装体の場合と同じ方法で製造できる。
例えば、収納対象物を収納しつつ、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、をヒートシールすることにより、本実施形態の包装体を製造でき、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、のいずれか一方又は両方は、その製造後にさらに、成形されていてもよいし、成形されていなくてもよく、ヒートシールの温度が過度に高くなくても、シール強度が十分に高い包装体が得られる。
ヒートシールの温度は、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、が含有する樹脂(熱可塑性樹脂)の種類に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
ヒートシールの温度が高くなくても、シール強度が十分に高くなる、という本発明の効果が顕著に得られ、さらに、前記樹脂フィルム又は他の樹脂フィルムの溶融による不具合の発生の抑制効果が高くなる点では、ヒートシールの温度は、160℃未満であることが好ましく、155℃以下であることがより好ましく、例えば、150℃以下、及び145℃以下のいずれかであってもよい。
一方、シール強度がより高くなる点では、ヒートシールの温度は、110℃以上であることが好ましい。
一実施形態において、ヒートシールの温度は、例えば、110℃以上160℃未満、110~155℃、110~150℃、及び110~145℃のいずれかであってもよい。ただし、これらはヒートシールの温度の一例である。
ここに示したヒートシールの温度は、例えば、前記樹脂フィルムと、前記他の樹脂フィルムと、が含む熱可塑性樹脂が、いずれもプロピレン系樹脂である場合に、特に好適である。
ヒートシールの時間は、ヒートシールの温度に応じて適宜調節でき、特に限定されない。ヒートシールの時間は、例えば、0.3~5秒であることが好ましい。
ヒートシール時のシール圧力は、0.1~0.5MPaであることが好ましい。
前記他の樹脂フィルムは、その形成材料となる他の樹脂又は他の樹脂組成物を用いることで製造できる。前記他の樹脂又は他の樹脂組成物は、含有成分の種類と含有量が異なり得る点以外は、先に説明した前記樹脂フィルムの形成材料となる前記樹脂又は樹脂組成物と同じである。そして、前記他の樹脂フィルムは、前記樹脂又は樹脂組成物に代えて、前記他の樹脂又は他の樹脂組成物を用いる点以外は、前記樹脂フィルムの場合と同じ方法で製造できる。
前記他の樹脂フィルムを成形する場合には、前記樹脂フィルムの場合と同じ方法で成形できる。
包装体のうち、ブリスターパック包装体は、公知のPTP包装機を用いて、製造できる。より具体的には、例えば、プラグ成形、エアアシストプラグ成形、圧空成形、プラグアシスト圧空成形、真空成形等により、樹脂フィルムに、収納部となる凹部(凸部)を形成し、成形することで、底材を作製する。そして、底材の収納部に収納対象物を充填し、蓋材及び底材をヒートシールすることで、ブリスターパック包装体が得られる、
底材にスリット(例えば、図2~図3に示す底材12の場合には、スリット129)を設ける場合には、ミシン刃又はハーフカット刃等を用いて、公知の方法により、底材にスリットを形成できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されない。
各実施例又は比較例で用いた樹脂は、以下のとおりである。
hPP:ホモポリプロピレン(住友化学社製「住友ノーブレン(登録商標)FS2011DG2」、融点158℃、メルトフローレート(230℃)2.5g/10min)
rPP(1):ポリプロピレンランダムコポリマー(プロピレン-エチレン2元共重合体、プライムポリマー社製「J242WB」、融点140℃、メルトフローレート(230℃)1.3g/10min)
rPP(2):ポリプロピレンランダムコポリマー(プロピレン-エチレン2元共重合体、三井化学社製「X7080」、融点83℃、メルトフローレート(230℃)7g/10min)
[実施例1]
<<底材用樹脂フィルムの製造>>
<樹脂組成物の製造>
室温下で、前記hPP(10質量部)と、前記rPP(1)(90質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(1)を製造した。
<底材用樹脂フィルムの製造>
前記樹脂組成物(1)を押出し成形することにより、無延伸の長尺の底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)を製造した。
<底材用樹脂フィルムの評価>
X線回折装置(Rigaku社製「Ultima IV」)を用い、上記で得られた底材用樹脂フィルムについて、下記測定条件でX線回折測定を行った。そして、上述のシェラーの式に基づいて、結晶子サイズを算出した。結果を表1に示す。
(測定条件)
線源:CuKα
管電圧:40kV
管電流:40mA
測定範囲:5°≦2θ≦40°
走査軸:2θ/θ
測定方法:FT
計数単位:Counts
ステップ幅:0.01°
計数時間:3秒
発散スリット:2/3°
発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:2/3°
受光スリット:0.5mm
モノクロ受光スリット:0.5mm
<<ブリスターパック包装体の製造>>
上記で得られた長尺の底材用樹脂フィルムに、下記成形条件で凹部を多数形成することで、底材を作製した。
(成形条件)
成形型:レンズ状、サイズ(間口径)φ10、ポケット深さ5.0mm
加熱板:ピンポイント加熱板
加熱板温度:138℃
プラグ温度:20℃
成形ブロー圧力:0.45MPa
蓋材用樹脂フィルムとして、長尺の2軸延伸ポリプロピレンランダムコポリマー(rPP)製フィルム(フタムラ化学社製「FOH-L」、厚さ25μm)を用意した。この蓋材用樹脂フィルムが含むrPPの融点は166℃であった。
上記で得られた底材と、前記蓋材用樹脂フィルムと、をシール温度140℃、シール時間0.5秒、シール圧力0.45MPa(4.6kgf/cm)の条件で、ヒートシールした。このとき、底材の前記凹部が開口している側の面を、蓋材用樹脂フィルムとシールした。
以上により、底材の多数の凹部が蓋材によって封止されて構成されたブリスターパック包装体を製造した。
<<底材用樹脂フィルムの評価>>
<軟化点の測定>
上記で得られた底材用樹脂フィルムについて、熱機械分析装置(日立ハイテク社製「TMA7100」)を用いて、下記条件で軟化点を測定した。結果を表1に示す。
(測定条件)
測定モード:針入モード
TMA針入プローブの先端径:1mm
測定温度範囲:25~200℃
昇温速度:5℃/min
<シール強度の評価(1)(剥離強度の測定)>
上記で得られた底材用樹脂フィルムと、前記蓋材用樹脂フィルムとを、オートカップシーラー(エーシンパック工業社製「EPK-半自動OLL」)を用い、シール温度140℃、シール時間0.5秒、シール圧力0.45MPa(4.6kgf/cm)の条件で、ヒートシールした。
得られたシール体から、幅が15mmの試験片を切り出した。
引張試験機(エー・アンド・デイ社製「TENSILON RTG-1310」)を用いて、前記試験片において、底材用樹脂フィルムと、蓋材用樹脂フィルムと、のシール面同士が180°の角度を為すように、剥離速度200mm/minで、蓋材用樹脂フィルムを底材用樹脂フィルムから剥離した。そして、このときの剥離強度を測定した。結果を表1中の「底材用樹脂フィルムの剥離強度(N/15mm)」の欄に示す。
<シール強度の評価(2)(蓋材及び底材の密着性の評価)>
上記で得られたブリスターパック包装体から、底材中の凹部が2行5列(合計10個)分となる大きさの試験片を、16枚切り出した。
少量の青色染料で染色した水(以下、「染色水」と称する)を水槽内に注ぎ、水層内の上部に隙間を残した。この水層内の染色水中に、錘を付けた、16枚の前記試験片を沈めた。そして、この状態で水層を密封した。密封したこの水層の上部には、水層内を減圧するための真空ポンプを接続できる接続口を設け、さらに、水層内の圧力を測定するための圧力計を設けた。密封後、前記接続口に真空ポンプを接続し、真空ポンプを稼働させて、水層内の前記隙間内の圧力が0.05MPaになるまで減圧した。そして、この減圧状態を10分間維持した。
次いで、減圧を解除し、水層を開けて、染色水中からすべての試験片を引き上げた。これらすべての試験片を目視観察し、凹部内への染色水の侵入の有無を確認し、下記基準に従って、蓋材及び底材の密着性を評価した。結果を表1中の「包装体における蓋材及び底材の密着性」の欄に示す。
[評価基準]
A:160個のすべての凹部において、その内部への染色水の侵入が認められず、蓋材及び底材の密着性が高い。
B:少なくとも1個の凹部において、その内部への染色水の侵入が認められ、蓋材及び底材の密着性が不十分である。
<<底材用樹脂フィルムの製造、ブリスターパック包装体の製造、及び底材用樹脂フィルムの評価>>
[実施例2]
室温下で、前記hPP(20質量部)と、前記rPP(1)(80質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(2)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(2)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
室温下で、前記hPP(30質量部)と、前記rPP(1)(70質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(3)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(3)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
室温下で、前記hPP(40質量部)と、前記rPP(1)(60質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(4)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(4)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
室温下で、前記hPP(49質量部)と、前記rPP(1)(51質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(5)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(5)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
室温下で、前記hPP(10質量部)と、前記rPP(2)(90質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(6)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(6)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
室温下で、前記hPP(20質量部)と、前記rPP(2)(80質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(7)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(7)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表1に示す。
[実施例8]
室温下で、前記hPP(30質量部)と、前記rPP(2)(70質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(8)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(8)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表2に示す。
[実施例9]
室温下で、前記hPP(40質量部)と、前記rPP(2)(60質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(9)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(9)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表2に示す。
[実施例10]
室温下で、前記hPP(49質量部)と、前記rPP(2)(51質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(10)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(10)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表2に示す。
[実施例11]
樹脂組成物(1)に代えて前記rPP(1)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表2に示す。
[実施例12]
樹脂組成物(1)に代えて前記rPP(2)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
樹脂組成物(1)に代えて前記hPPを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパックを製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
室温下で、前記hPP(75質量部)と、前記rPP(1)(25質量部)と、を混合することにより、樹脂組成物(11)を製造した。
そして、樹脂組成物(1)に代えてこの樹脂組成物(11)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、底材用樹脂フィルム(厚さ300μm)及びブリスターパック包装体を製造し、底材用樹脂フィルムを評価した。結果を表2に示す。
なお、実施例2~12、比較例1~2で製造した底材用樹脂フィルムは、いずれも無延伸の樹脂フィルムである。
表1~2中の、「底材用樹脂フィルム」の「含有成分(含有量(質量部))」の欄における「-」との記載は、その成分を底材用樹脂フィルムが含んでいないことを意味する。
上記結果から明らかなように、実施例1~12においては、底材用樹脂フィルムの剥離強度が7.5N/15mm以上(7.5~23.1N/15mm)であり、シール強度が十分に高かった。そして、実施例1~12においては、包装体における蓋材及び底材の密着性が高く、この点からも、シール強度が十分に高いことを確認できた。
実施例1~12においては、底材用樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂の結晶子サイズが90Å以上(90~202Å)であり、底材用樹脂フィルムの軟化点が135℃以下(72~135℃)であった。ここで、熱可塑性樹脂とは、実施例1~5においてはhPP及びrPP(1)の混合物であり、実施例6~10においてはhPP及びrPP(2)の混合物であり、実施例11においてはrPP(1)であり、実施例12においてはrPP(2)であった。
底材用樹脂フィルムにおいて、ホモポリプロピレン(hPP)及びポリプロピレンランダムコポリマー(rPP)の合計含有量に対する、前記ポリプロピレンランダムコポリマーの含有量の割合は、実施例1~10では51~90質量%であり、実施例11~12では100質量%であった。
これに対して、比較例1~2においては、底材用樹脂フィルムの剥離強度が6.1N/15mm以下(5.6~6.1N/15mm)であり、シール強度が不十分であった。そして、比較例1~2においては、包装体における蓋材及び底材の密着性が不十分であり、この点からも、シール強度が不十分であることを確認できた。
比較例1~2においては、底材用樹脂フィルムが含む熱可塑性樹脂の結晶子サイズが188Å以上(188~211Å)であったものの、底材用樹脂フィルムの軟化点が142℃以上(142~152℃)であった。
本発明は、ブリスターパック包装体の製造に利用可能であり、特に、再利用適性が高いブリスターパック包装体の製造への利用に好適である。
1・・・樹脂フィルム
101・・・ブリスターパック包装体
11・・・蓋材、11a・・・蓋材の一方の面(第1面)、11b・・・蓋材の他方の面(第2面)
12・・・底材、12a・・・底材の一方の面(第1面)、12b・・・底材の他方の面(第2面)、121・・・底材の凹部
19・・・ブリスターパック包装体の収納部

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂を含む樹脂フィルムであって、
    前記樹脂フィルムは、前記熱可塑性樹脂として、ホモポリプロピレン及びポリプロピレンランダムコポリマーを含み、
    前記樹脂フィルムは、前記ポリプロピレンランダムコポリマーとして、プロピレン-エチレン2元共重合体を含み、
    前記プロピレン-エチレン2元共重合体の230℃でのメルトフローレートが、0.5~6g/10min、又は4~11g/10minであり、
    前記ホモポリプロピレンの230℃でのメルトフローレートが、0.5~6g/10minであり、
    前記樹脂フィルムにおいて、前記ホモポリプロピレン及びプロピレン-エチレン2元共重合体の合計含有量に対する、前記プロピレン-エチレン2元共重合体の含有量の割合が、51~99質量%であり、
    前記熱可塑性樹脂の結晶子サイズが90Å以上であり、
    前記樹脂フィルムの軟化点が140℃以下である、樹脂フィルム。
  2. 前記樹脂フィルムが、ブリスターパック包装体の底材用である、請求項1に記載の樹脂フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂フィルムを用いて構成された、包装体。
  4. 前記包装体が、蓋材及び底材のシールによって構成されたブリスターパック包装体であり、
    前記底材が前記樹脂フィルムの成形体であり、
    前記蓋材が、前記底材が含む前記熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂を含む、請求項3に記載の包装体。
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