JP7768687B2 - 熱収縮性多層フィルム - Google Patents

熱収縮性多層フィルム

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Description

本開示は、熱収縮性多層フィルムに関する。
特許文献1は、熱収縮性多層フィルムを開示する。特許文献1に開示される熱収縮性多層フィルムは、分子内に脂環構造を有する樹脂(A)を含有し、厚さが1μm以下である最外層と、(A)以外の熱可塑性樹脂(B)を含有する中間層とが積層されてなる。特許文献1によれば、これにより、保管時の自然収縮が小さく、加熱時の収縮率が大きい熱収縮多層フィルムが提供される。
特開2004-276516号公報
このような熱収縮性多層フィルムは、その熱収縮性を利用して、プラスチックや金属の容器に装着されるシュリンクラベルや包装材としても使用される。このため、加熱時の収縮率が充分であることに加え、熱収縮後に緩みが生じにくいこともその性能として求められる。しかしながら、特許文献1では、その点が考慮されていない。
本発明は、熱収縮後の緩みが生じにくい熱収縮性多層フィルムを提供することを目的とする。
第1観点に係る熱収縮性多層フィルムは、基材と、隣接層とを備える。基材は、第1面及び第2面を有する。隣接層は、基材の第1面及び第2面の少なくとも一方に積層され、熱可塑性樹脂を含有する。基材は、長鎖分岐ポリプロピレンを3質量%以上、20質量%未満含有する。
第2観点に係る熱収縮性多層フィルムは、第1観点に係る熱収縮性多層フィルムであって、基材は、脂環式石油樹脂を20質量%より多く含有する。
第3観点に係る熱収縮性多層フィルムは、第1観点または第2観点に係る熱収縮性多層フィルムであって、隣接層は、環状オレフィン系樹脂を含有する。
第4観点に係る熱収縮性多層フィルムは、第1観点から第3観点のいずれかに係る熱収縮性多層フィルムであって、基材の厚みは、10μm~60μmである。
第5観点に係る熱収縮性多層フィルムは、第1観点から第4観点のいずれかに係る熱収縮性多層フィルムであって、隣接層に積層され、熱可塑性樹脂を含有する表面層をさらに備える。
第6観点に係る熱収縮性多層フィルムは、第5観点に係る熱収縮性多層フィルムであって、基材の第1面及び第2面に隣接層がそれぞれ積層され、各隣接層に、表面層がそれぞれ積層されている。
上記観点によれば、熱収縮後の緩みが生じにくい熱収縮性多層フィルムが提供される。
一実施形態に係る熱収縮性多層フィルムの一例を示す断面図。 一実施形態に係る熱収縮性多層フィルムの一例を示す断面図。
以下、本開示に係る熱収縮性多層フィルム100の一実施形態について説明する。この熱収縮性多層フィルム100は、第1面及び第2面を有するシート状の基材と、この基材の第1面及び第2面の少なくとも一方に積層される隣接層とを備えている。したがって、図1に示すように、熱収縮性多層フィルム100は、基材1の両面に隣接層2が積層される態様と、図2に示すように、基材1の一方の面に隣接層2が積層される態様と、を取り得るようになっている。さらに、熱収縮性多層フィルム100は、隣接層2に積層される表面層3を備えていてもよい。以下、各部材について詳細に説明する。また、各材料を製膜したものをフィルムと称することがある。
<1.基材>
基材1は、熱可塑性樹脂を含有する。より具体的には、基材1は、熱可塑性樹脂として主にプロピレン系樹脂を含有し、さらに長鎖分岐構造を有するポリプロピレンを含有する。さらに、脂環式石油樹脂を含有することができる。以下、説明する。
<1-1.プロピレン系樹脂>
プロピレン系樹脂としては、熱収縮性を発現する観点から、プロピレンを主成分として、α-オレフィンを共重合成分とする二元、または、三元ランダム共重合体が好ましい。α-オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等からなるものが好ましく、2種類以上のα-オレフィンを含んでいても良い。共重合成分であるα-オレフィンの比率は1~10モル%であるのが好ましい。また、プロピレン系樹脂としては、異なるプロピレン-α-オレフィンランダム共重合体の混合物であってもよい。
上述したようなプロピレン系樹脂の市販品としては、例えばAdsyl(Basell社製)、ノバテック(日本ポリプロ社製)、等が挙げられる。
プロピレン系樹脂の荷重たわみ温度(0.45MPa)は、110℃以下であることが好ましく、90℃以下であることが好ましい。このプロピレン系樹脂が、荷重たわみ温度の異なる2種以上のプロピレン系樹脂を含有する混合樹脂である場合、上記プロピレン系樹脂の荷重たわみ温度は、各プロピレン系樹脂の荷重たわみ温度と配合割合(重量比)との積を合計して算出した見掛けの荷重たわみ温度を意味する。
基材1は、基材1を構成する樹脂成分100質量%に対し、上述したプロピレン系樹脂を、40質量%以上、80質量%以下含有することが好ましく、50質量%以上、76質量%以下含有することがより好ましい。
<1-2.長鎖分岐ポリプロピレン>
長鎖分岐ポリプロピレンは、櫛型構造とも称される長鎖分岐構造を有するポリプロピレンであり、例えばメタロセン系ポリプロピレンが挙げられる。長鎖分岐構造ポリプロピレンは、その構造より分子同士の絡み合いが生じやすく、形状保持性に優れる。このため、後述する脂環式石油樹脂の熱収縮後の戻りを抑制し、基材1全体としての形状保持性を維持するのに役立つ。また、長鎖分岐ポリプロピレンは、高い溶融張力と歪硬化性を有するため、基材1の厚さが精度よく制御される。
上述したような長鎖分岐ポリプロピレンの市販品としては、例えばウェイマックス(日本ポリプロ社製)等が挙げられる。
基材1は、基材1を構成する樹脂成分100質量%に対し、上述した長鎖分岐ポリプロピレンを、3質量%以上含有することが好ましく、5質量%以上含有することがより好ましく、10質量%以上含有することがさらに好ましい。一方、適切な熱収縮性を維持するとともに、透明性を確保する観点からは、基材1は、基材1を構成する樹脂成分100質量%に対し、上述した長鎖分岐ポリプロピレンを、20質量%未満含有することが好ましく、15質量%以下含有することがより好ましい。
<1-3.脂環式石油樹脂>
脂環式石油樹脂は、脂環構造を有する石油樹脂である。石油樹脂は、ナフサを熱分解してエチレン、プロピレン、ブタジエン等を取得した後の残りのC4~C5留分、あるいはC5~C9留分を混合状態のまま重合して得られた樹脂である。このような樹脂としては、例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族炭化水素樹脂系石油樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂系石油樹脂、及び上記した石油樹脂の共重合体、並びにこれら石油樹脂の水素添加物が挙げられる。これらの中でも、フィルムの100℃以下における軟化を抑制したり、透明性を向上させる観点からは、すでに述べた脂環式石油樹脂が好ましい。具体的には、脂環族飽和炭化水素樹脂系石油樹脂や芳香族系石油樹脂の水素添加物が挙げられる。
上述したような脂環式石油樹脂の市販品としては、例えばRegalite(Eastman社製)、アイマーブ(出光興産社製)、アルコン(荒川化学工業社製)等が挙げられる。
脂環式石油樹脂の軟化点は、80℃以上170℃以下であることが好ましく、110℃以上155℃以下であることがより好ましい。軟化点が80℃未満の場合、フィルムの耐熱性が低下し、高温雰囲気下で石油樹脂成分が表面にブリードアウトしやすくなるおそれがある。一方、軟化点が170℃を超える場合、押出製膜性や延伸加工性などの成形加工性が悪くなるおそれがある。脂環式石油樹脂の軟化点が110℃以上であればフィルムの自然収縮を抑制でき好ましい。脂環式石油樹脂の軟化点が155℃以下であればフィルムの熱収縮性を付与する延伸工程で均一に延伸できるため好ましい。また、特に軟化点が120℃以上140℃以下であると、良好な熱収縮性を発現することができる。脂環式石油樹脂の軟化点は、JIS K2207:2006に準拠した方法によって測定することが可能である。
脂環式石油樹脂の数平均分子量は、700以上1300以下であることが好ましい。脂環式石油樹脂の数平均分子量が720未満の場合、フィルムの耐熱性が低下し、高温雰囲気下で石油樹脂成分が表面にブリードアウトしやすくなるおそれがある。一方、脂環式石油樹脂の数平均分子量が1300を超える場合、延伸加工性などの成形加工性が悪くなるおそれがある。なお、脂環式石油樹脂の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により確認できる。
基材1は、基材1を構成する樹脂成分100質量%に対し、上述した脂環式石油樹脂を、20質量%より多く含有することが好ましく、21質量%以上含有することがより好ましく、30質量%以上含有することがさらに好ましい。
<1-4.基材の厚み>
基材1の厚みは、例えば、10μm以上、60μm以下であることが好ましく、15μm以上、50μm以下であることがより好ましく、15μm以上、40μm以下であることがさらに好ましい。
基材1は、脂環式石油樹脂を比較的多く含有するため、熱収縮性多層フィルムの熱収縮性及び光沢度を向上させる。しかし、脂環式石油樹脂は、熱収縮後に収縮戻りを生じやすく、これが熱収縮後の熱収縮性多層フィルムの緩みを生じさせる。基材1は、形状保持性に優れる長鎖分岐ポリプロピレンを含有することにより、脂環式石油樹脂に由来する収縮戻りを抑制する。これにより、基材1を備える熱収縮性多層フィルム100は、優れた熱収縮性を維持しながらも熱収縮後の緩みが生じにくくなる。
<2.隣接層>
隣接層2は、基材1の第1面及び第2面の少なくとも一方に隣接する層であり、熱可塑性樹脂を含有する。隣接層2は、熱可塑性樹脂として環状オレフィン系樹脂を主に含有することができ、その他にエチレン系樹脂をさらに含有することができる。以下、説明する。
<2-1.環状オレフィン系樹脂>
環状オレフィン系樹脂は、熱可塑性樹脂の結晶性を低下させ、隣接層2の熱収縮率を高めるとともに、フィルム製膜時の延伸加工性も向上させる。また、隣接層2の環状オレフィン系樹脂は、一部がフィルムの製膜過程で基材1にも混入する。これにより、基材1が含有する脂環式石油樹脂と結びつき、隣接層2と基材1との層間接着強度を高める。
環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンコポリマー(COC)が好ましい。環状オレフィンコポリマーは、例えば(a)エチレンまたはプロピレンと環状オレフィンとの共重合体、(b)α―オレフィンと環状オレフィンとの共重合体、(c)上記共重合体の水素添加物、及び(d)不飽和カルボン酸及びその誘導体等による(a)~(c)のグラフト変性物等が挙げられる。
αーオレフィンとしては、例えば炭素数が2~20の直鎖状または分岐状のαーオレフィンを用いることができ、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。これらのうち2種類以上が組み合わせられてもよい。
環状オレフィンとしては特に限定されず、例えば、ノルボルネン、6-メチルノルボルネン、6-エチルノルボルネン、5-プロピルノルボルネン、6-nーブチルノルボルネン、1-メチルノルボルネン、7-メチルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン等、ノルボルネン及びその誘導体が挙げられる。また、テトラシクロドデセン、8-メチルテトラシクロ-3-ドデセン、8-エチルテトラシクロ-3-ドデセン、5,10-ジメチルテトラシクロ-3-ドデセン等、テトラシクロドデセン及びその誘導体が挙げられる。
上述したような環状オレフィン系樹脂の市販品としては、アペル(三井化学社製)、TOPAS COC(ポリプラスチックス社製)、ZEONOR(日本ゼオン社製)等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂のGPC法により測定される数平均分子量は1000以上であることが好ましく、100万以下であることが好ましい。上記範囲内とすることで、フィルムの製膜が容易になる。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は20℃以上、130℃以下であることが好ましく、50℃以上、100℃以下であることがより好ましい。上記ガラス転移温度が20℃以上であると、フィルム表面の耐熱性を良好なものとして、装着ライン上で容器同士のブロッキングの発生を抑制することができるとともに、自然収縮率を良好な範囲とすることができる。上記ガラス転移温度が130℃以下であると、横方向の熱収縮率を充分に大きくすることができる。
隣接層2は、隣接層2を構成する樹脂成分100質量%に対し、上述した環状オレフィン系樹脂を、70質量%以上含有することが好ましい。
<2-2.エチレン系樹脂>
エチレン系樹脂としては、分岐状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、または、これらの混合物が挙げられる。また、隣接層2は、特に直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含有することが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の例としては、エチレンとα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。α-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
上述したような直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の市販品としては、エボリュー(プライムポリマー社製)、ユメリット(宇部丸善ポリエチレン社製)、ノバテック(日本ポリエチレン社製)等が挙げられる。また、低密度ポリエチレン樹脂の市販品としては、スミカセン(住友化学社製)、及びノバテック(日本ポリエチレン社製)等が挙げられる。
隣接層2は、隣接層2を構成する樹脂成分100質量%に対し、上述したエチレン系樹脂を、30質量%以下含有することが好ましい。
<2-3.厚み>
隣接層2の熱可塑性樹脂の厚みは、例えば、1μm以上、5μm以下であることが好ましく、1.5μm以上、4.5μm以下であることがさらに好ましい。
<3.表面層>
熱収縮性多層フィルム100は、表面層3をさらに備えてもよい。表面層3は、隣接層2と隣接する層であり、熱可塑性樹脂で形成され、さらに微粒子を含有してもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂等、またはこれらの少なくとも1つを混合したものを用いることができる。
<3-1.スチレン系樹脂>
スチレン系樹脂としては、例えば、スチレンブタジエン共重合体、水添スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。スチレン系樹脂の市販品としては、例えばクリアレン(デンカ社製)等が挙げられる。
<3-2.ポリエステル系樹脂>
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、グリコール変性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
<3-3.エチレン系樹脂>
エチレン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、分岐状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、または、これらの混合物が挙げられる。また、市販品としては、隣接層の説明において既に例示したものが挙げられる。
<3-4.環状オレフィン系樹脂>
環状オレフィン系樹脂の詳細については、上述したとおりである。表面層3に環状オレフィン系樹脂を用いると、光沢性が増し表面性状をよくすることができる。表面層3を上述した環状オレフィン系樹脂で構成すると、光沢度が増し表面性状をよくすることができる。さらに、本実施形態では、隣接層2も環状オレフィン系樹脂を含有するため、隣接層2との層間接着強度が向上する。
<3-5.微粒子>
表面層3は、微粒子を含有してもよい。微粒子は、例えば熱収縮性多層フィルムのアンチブロッキング性能を向上させるために添加することができる。このような微粒子としては、有機系微粒子または無機系微粒子のいずれも用いることができる。有機系微粒子としては、アクリル系樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、スチレン―アクリル系樹脂微粒子、ウレタン系樹脂微粒子、シリコーン系樹脂微粒子等の有機系微粒子を用いることができる。特に、環状オレフィン系樹脂との相溶性の観点からはアクリル系樹脂微粒子が好ましく、ポリメタクリル酸メチル系架橋微粒子がさらに好ましい。
上述したような有機系微粒子の市販品としては、例えば、テクポリマー(積水化成品工業社製)、ファインスフェア(日本ペイント社製)、ガンツパール(アイカ工業社製)、アートパール(根上工業社製)等が挙げられる。
無機系微粒子としては、例えば、シリカ、ゼオライト、アルミナ等を用いることができる。
表面層3は、表面層3を構成する樹脂成分100質量%に対し、上述した微粒子を0.01重量部以上、0.10重量部以下含有することが好ましく、0.03重量部以上、0.08重量部以下含有することがさらに好ましい。
<3-6.厚み>
表面層3の厚みは、例えば、0.1μm以上、3μm以下であることが好ましく、0.2μm以上、2μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上、1μm以下であることがさらに好ましい。
<4.熱収縮性多層フィルムの厚み>
熱収縮性多層フィルム100全体の厚みは、例えば、15μm以上、80μm以下であることが好ましく、20μm以上、70μm以下であることがより好ましく、25μm以上、45μm以下であることがさらに好ましい。熱収縮性多層フィルム100全体の厚みが上述した範囲内であると、優れた熱収縮性が得られるとともに、熱収縮後の緩みが効果的に抑制される。
また、基材1と1層の隣接層2の厚みの比率は、基材/隣接層が9:1~5:1の範囲、より好ましくは8:1~6:1の範囲となることが好ましい。上記範囲にすることで、熱収縮性多層フィルムとして優れた収縮仕上り性を実現することができる。
<5.その他の成分>
基材1、隣接層2、及び表面層3は、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、蛍光増白剤、着色剤等の添加剤をそれぞれ含有してもよい。
<6.熱収縮性多層フィルムの熱収縮率>
熱収縮性多層フィルム100を100℃の温水中に10秒間浸漬した後、20℃の水に10秒間浸漬し、取り出したときの主収縮方向(TD方向)の熱収縮率は、64%以上であることが好ましく、76%以下であることが好ましい。また、熱収縮性多層フィルム100を100℃の温水中に10秒間浸漬した後、20℃の水に10秒間浸漬したときの主収縮方向に直交する方向(MD方向)の熱収縮率は、5%以上であることが好ましく、20%以下であることが好ましい。熱収縮率が上述した範囲内であると、収縮不良等の問題を起こすことがなく、特に容器に装着するための熱収縮性多層フィルムとして好適に使用することができる。
<7.熱収縮性多層フィルムの光沢度>
熱収縮性多層フィルム100は、熱収縮性ラベルのベースフィルムとして用いられうるため、外観の光沢度が140以上であることが好ましい。なお、この光沢度は、ASTM D523に準ずる方法により、日本電色工業社製のVG-2000型を用いて測定された、入射角45°における光沢度である。
<8.熱収縮性多層フィルムの製造方法>
熱収縮性多層フィルム100を製造する方法は特に限定されないが、共押出法により各層を同時に成形する方法が好ましい。共押出法がTダイによる共押出である場合、積層の方法は、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式、又は、これらを併用した方法のいずれであってもよい。
熱収縮性多層フィルム100を製造する方法としては、具体的には、例えば、上述した基材、隣接層、及び表面層を構成する原料をそれぞれ押出機に投入し、ダイスによりシート状に押出し、引き取りロールにて冷却固化した後、1軸又は2軸に延伸する方法が挙げられる。延伸の方法としては、例えば、ロール延伸法、テンター延伸法又はこれらの組み合わせを用いることができる。延伸温度は、熱収縮性多層フィルム100を構成する樹脂の軟化温度、熱収縮性多層フィルム100に要求される収縮特性等に応じて変更されるが、65℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、120℃以下であることが好ましく、115℃以下であることがより好ましい。
主収縮方向の延伸倍率は、熱収縮性多層フィルム100を構成する樹脂、延伸手段、延伸温度等に応じて変更されるが、3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、7倍以下が好ましく、6倍以下がより好ましい。
<9.特徴>
熱収縮性多層フィルム100においては、厚みが最も厚く、全体としての熱収縮性に最も寄与する基材1が、熱収縮性に優れる脂環式石油樹脂を比較的多く含有するとともに、高い溶融張力を有する長鎖分岐ポリプロピレンを含有する。これにより、熱収縮性に優れ、熱収縮後にも緩みが生じにくい熱収縮性多層フィルムが提供される。
また、熱収縮性多層フィルム100においては、隣接層2が環状オレフィン系樹脂を主成分とすることにより、光沢度の高い外観が提供される。さらに、隣接する基材1が環状オレフィン系樹脂と構造の似た脂環式石油樹脂を含有することにより、基材1との層間密着度が向上し、層間接着強度が高い熱収縮性多層フィルムが提供される。
以下、本開示の実施例について詳細に説明する。但し、本開示は、これらの実施例に限定されない。
<1.実施例及び比較例の準備>
以下の通り、実施例1~7及び比較例1~3に係る熱収縮性多層フィルムを作製した。実施例1~6及び比較例1及び2に係る熱収縮性多層フィルムは、図1のように、基材と、基材の両面に積層された隣接層とを備え、図1の表面層が省略された3層構造とした。一方、実施例7及び比較例3に係る熱収縮性多層フィルムは、図1のように、基材と、基材の両面に積層された隣接層と、各隣接層の上に積層された表面層とを備える5層構造とした。
基材、隣接層、及び表面層を構成する原料として表1に示す成分を用い、これらを表1に示す割合で混合することで、実施例1~7及び比較例1~3に係る基材、隣接層、及び表面層を構成する原料組成物を得た。基材の主成分としては、プロピレン共重合体を用いた。また、基材の長鎖分岐ポリプロピレンとしては、ウェイマックス(日本ポリプロ社製)を用いた。基材の脂環式石油樹脂としては、アルコンP125(荒川化学工業社製)を用いた。なお、実施例5及び6では、脂環式石油樹脂に代えて、芳香族系石油樹脂を用いた。
隣接層のエチレン系樹脂としては、線状低密度ポリエチレンを用いた。また、隣接層の環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィンコポリマー(COC)を用いた。さらに、表面層も同様の環状オレフィンコポリマー(COC)を用いて形成した。
続いて、基材、隣接層、及び表面層を構成する原料組成物を、別の押出機を用いて、基材はバレル温度180℃、隣接層はバレル温度210℃、表面層はバレル温度210℃で溶融させ、Tダイから押出し、30℃に冷却したロールで冷却固化し、未延伸シートを作製した。これを温度90℃のテンター式延伸機でTD方向に5倍延伸し、熱収縮性多層フィルムをそれぞれ作製した。
実施例1~6および、比較例1~2に係る熱収縮性多層フィルムの厚みはそれぞれ、基材の厚み32μm、隣接層の厚み4μmの計40μmであり、実施例7および比較例3に係る熱収縮性多層フィルムの厚みはそれぞれ、基材の厚み32μm、隣接層の厚み4μm、表面層の厚み0.5μmの計41μmであった。
表面層、隣接層、及び基材を構成する各材料の単位は、質量%である。
<2.評価>
上述の実施例1~7及び比較例1~3について、以下の評価を行った。
<2-1.光沢度>
ASTM D523に準ずる方法により、日本電色工業社製のVG-2000型を用いて、実施例1~7及び比較例1~3に対し、入射角45°における光沢度を測定した。
<2-2.外見検査>
目視により外観不良の有無を検査した。目視ですりガラス状のムラが確認でき、透明と言えないものは外観不良有りと判定し、目視でムラが確認できず、透明と言えるものは外観不良無しと判定した。
<2-3.収縮率>
実施例1~7及び比較例1~3に係る熱収縮性多層フィルムのそれぞれの任意の箇所から、縦100mm×横100mm(フィルムのTD方向を縦方向、MD向を横方向とする)の大きさの測定用サンプルを3枚ずつ切り出した。それぞれの測定用サンプルを100℃の温水中に10秒間浸漬した後、20℃の水に10秒間浸漬した。水から取り出された後の測定用サンプルのTD方向の長さL1及びMD方向の長さL2を測定し、それぞれの方向についての熱収縮率を以下の式に従って算出し、3枚のサンプルの平均値を算出した。
熱収縮率(%)={(100-Ln)/100}×100 (n=1,2)
<2-4.緩み量>
実施例1~7及び比較例1~3に係る熱収縮性多層フィルムを用いて、フィルムのTD方向を周方向とする、それぞれ同じ寸法の筒状体を作製した。作製した筒状体を同じ寸法の空容器に巻き付け、100℃の熱風収縮トンネルで収縮させ、それぞれ容器に装着した。装着直後、いずれの筒状体も容器に密着していることを確認した。その後、筒状体付きの容器を気温20℃で24時間静置し、筒状体を切り開いて容器から取り外し、周長(巻き付けた方向に沿った長さ)を測定した。容器の外周は280mmであった。これに対する測定された筒状体の長さのずれ(緩み量、mm)が1.3mm以下であれば緩みが抑制され、1.3mmを超えていれば緩みが生じていると判断した。
<3.評価結果>
評価結果は以下の表2の通りである。
以上の結果によると、実施例1~4及び7では、TD方向及びMD方向の収縮率が好ましい範囲内に収まるとともに、熱収縮後の緩み量が好ましく抑制されていた。また、光沢度が比較的高く、外観不良が無かった。収縮率及び熱収縮後の緩み量という観点では、実施例5及び6でも比較的好ましい結果が得られたが、これらは光沢度が低下した。これは脂環式石油樹脂に代えて芳香族系石油樹脂を用いたためであると考えられる。長鎖分岐ポリプロピレンを含有しない比較例1及び比較例3では、熱収縮後の緩み量が大きくなった。これにより、長鎖分岐ポリプロピレンが熱収縮後の緩み量を抑制することが確認された。一方、比較例2では、TD方向の熱収縮率が好ましい範囲の下限より低くなり、外観不良が確認され、光沢度も低くなった。これは長鎖分岐ポリプロピレンを20質量%と比較的多く含有するためであると考えられる。
1 基材
2 隣接層
3 表面層
100 熱収縮性多層フィルム

Claims (5)

  1. 第1面及び第2面を有する基材と、
    前記基材の第1面及び第2面の少なくとも一方に積層され、熱可塑性樹脂を含有する隣接層と、
    を備え、
    前記基材は、長鎖分岐ポリプロピレンを3質量%以上、20質量%未満含有し、且つ脂環式石油樹脂を20質量%より多く含有する
    熱収縮性多層フィルム。
  2. 前記隣接層は、環状オレフィン系樹脂を含有する、
    請求項に記載の熱収縮性多層フィルム。
  3. 前記基材の厚みは、10μm~60μmである、
    請求項1または2に記載の熱収縮性多層フィルム。
  4. 前記隣接層に積層され、熱可塑性樹脂を含有する表面層、
    をさらに備える、
    請求項1からのいずれかに記載の熱収縮性多層フィルム。
  5. 前記基材の第1面及び第2面に前記隣接層がそれぞれ積層され、
    前記各隣接層に、前記表面層がそれぞれ積層されている、
    請求項に記載の熱収縮性多層フィルム。
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