JP7779074B2 - 負極材料、電池、負極材料の製造方法、及び電池の製造方法 - Google Patents
負極材料、電池、負極材料の製造方法、及び電池の製造方法Info
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Description
図1は、本実施形態に係る電池の模式的な一部断面図である。本実施形態に係る電池1は、リチウムイオン二次電池である。電池1は、ケージング10と、電極群12と、図示しない電解液と、を備える。ケージング10は、内部に電極群12及び電解液を収納するケースである。ケージング10内には、電極群12以外にも、電極群12に接続される配線や端子などを備えていてよい。
図2は、本実施形態に係る負極の一例の模式的な断面図である。図2に示すように、負極14は、集電層20と、負極材料層22と、を備える。集電層20は、導電性部材で構成される層である。集電層20の導電性部材としては、例えば銅が挙げられる。負極材料層22は、本実施形態に係る負極材料を含む層である。負極材料層22は、集電層20の表面に設けられる。集電層20の厚みは、例えば、15μm以上40μm以下程度であってよく、負極材料層22の厚みは、例えば20μm以上200μm以下程度であってよい。なお、負極14は、集電層20の両面に、負極材料層22を備えてもよい。
また、アモルファスカーボンは、表面に三酸化タングステンを配置する処理の際に、表面に官能基(例、ヒドロキシ基、カルボキシル基)を含むことができる。そのため、この官能基によって、アモルファスカーボンの表面に三酸化タングステンを適切にトラップすることが可能となり、表面に三酸化タングステンを適切に配置できる。また、この官能基によって三酸化タングステンがアモルファスカーボンの表面に定着されるために、アモルファスカーボンの表面への三酸化タングステンの密着性を高くすることができ、三酸化タングステンがカーボンの表面から切り離されることを抑制できる。特に、ハードカーボン原料は、例えば黒鉛に比べて低温で製造されるため、官能基が除去されずに残りやすく、表面に三酸化タングステン及びシリコンを適切に配置できる。
図3は、シリコン粒子の模式的な断面図である。図3に示すように、シリコン粒子33は、Si層33Aと酸化層33Bとを含む。Si層33Aは、Siで構成される層であり、シリコン粒子33のコアとなる部分といえる。Si層33Aは、不可避的不純物を除き、Si以外の元素を含まないことが好ましい。酸化層33Bは、Si層33Aの表面に形成される層であり、Si層33Aの表面の全域を覆っていることが好ましい。酸化層33Bは、シリコン粒子33の最も外側の表面となる層といえる。酸化層33Bは、シリコンの酸化物(SiOx)で構成される層である。酸化層33Bは、シリコン酸化物としてSiO2を含むが、SiO2以外のシリコン酸化物を含んでよく、例えばSiOを含んでもよい。酸化層33Bは、不可避的不純物を除き、シリコンの酸化物を構成する元素以外の元素を含まないことが好ましい。
次に、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて測定した場合における、シリコン粒子33の特性について説明する。以降においては、特に断りが無い限り、X線光電子分光法の測定条件を、以下とする。
・測定装置:PHI5000 Versa ProbeII (アルバック・ファイ社製)
・励起X線:モノクロAlKα線
・出力:50W
・パスエネルギー:187.85eV(Survey)、46.95eV(Narrow)
・測定間隔:0.8eV/step(Survey)、0.1eV/step(Narrow)
・試料面に対する光電子取り出し角:45°
・X線径:200μm
シリコン粒子33は、X線光電子分光法で測定した場合の、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する、単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、3.0以上であり、3.5以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。
ここでの表層とは、表面から、光電子が試料内から脱出できる深さまでの範囲のことで、例えば、論文J.D.Lee et al.,Journal surface analysisVol16,No.1 (2009)PP.42-63の図5に記載されている。また、シリコン粒子33を、上記の測定条件でX線光電子分光法により測定した場合に、光電子が観測できる深さ範囲を、表層といってもよい。
試料面に対する光電子の取り出し角が45°であるので、Siウエハのような平面の場合には、検出される光電子の測定深さd´=dcosθ(θは試料面に対する光電子取り出し角度、dは光電子の脱出深さ)より、θ=90°の場合の0.71倍になる。しかし、今回は粒子状のシリコンを平板の上に敷き詰めて測定を行ったので、検出器に向いている個々の粒子の面からの光電子が主と考えられるので、試料面に対する光電子取り出し角度の補正は行わなかった。
また、Si2pのSiとは、X線光電子分光法によって2p軌道の電子が飛び出したSi原子を指す。SiO2由来のSi2pのSiとは、X線光電子分光法によって2p軌道の電子が飛び出した、SiO2を構成するSiを指し、単体シリコン由来のSi2pのSiとは、X線光電子分光法によって2p軌道の電子が飛び出した、単体シリコン(金属シリコン)を構成するSiを指す。
表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する、単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率とは、表層(ここでは例えば、シリコン粒子33の最表面から、最表面よりもおよそ6オングストローム深い位置まで)における、2p軌道の電子が飛び出したSiO2由来のSi(Si原子)の原子濃度に対する、2p軌道の電子が飛び出した単体シリコン由来のSi(Si原子)の原子濃度の比率を指す。シリコン粒子33は、SiO2由来のSi2pのSiに対する単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率がこの範囲(3.0以上)となることで、表面近傍での酸化物の量が少なくなり、負極材料の容量を向上できる。また、表面の酸化層が薄くなるので、Liイオンの侵入と脱離が容易になり、インピーダンスが低下する。また、シリコン粒子33は、X線光電子分光法で測定した場合の、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、9以下であることが好ましく、19以下であることがより好ましく、99以下であることがさらに好ましい。シリコン粒子33は、SiO2の量に対するSiの量の比率がこの範囲(99以下)となることで、過度にシリコン粒子の酸化を防止するための設備やプロセスを準備する必要がなくなり、負極材料の容量を向上させつつ、生産性の低下を抑制できる。このように、X線光電子分光法で用いてシリコン粒子33を測定した場合において、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する、単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、3以上9以下であることが好ましく、3以上19以下であることがより好ましく、3以上99以下であることがさらに好ましい。また、X線光電子分光法で用いてシリコン粒子33を測定した場合において、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する、単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、3.5以上9以下であることが好ましく、3.5以上19以下であることがより好ましく、3.5以上99以下であることがさらに好ましい。さらに、X線光電子分光法で用いてシリコン粒子33を測定した場合において、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する、単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、4以上9以下であることが好ましく、4以上19以下であることがより好ましく、4以上99以下であることがさらに好ましい。
なお例えば、SiO2由来のSi2pのSiの量が1%のとき、単体シリコン由来のSi2pのSiは99%になるので、その比をとると、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する、単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率が、99となる。同様に、SiO2由来のSi2pのSiの量が5%のとき、単体シリコン由来のSi2pのSiは95%になるので、その比をとると、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する、単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率が、19となる。
また、シリコン粒子33の表層における、全てのSi2pのSi(2p軌道の電子が飛び出した全てのSi)の原子濃度に対する、単体シリコン由来のSi2pのSiの原子濃度の比率を、Si由来のSi濃度割合(第1Si濃度)とする。Si由来のSi濃度割合は、ピーク波形P1の面積に対するピーク波形P1Aの面積の比率として算出できる。Si由来のSi濃度割合は、75%以上であることが好ましく、77%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。Si由来のSi濃度割合がこの範囲となることで、表面近傍での酸化物の量が少なくなり、負極材料の容量を向上できる。またSi由来のSi濃度割合度は、90%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましく、99%以下であることがさらに好ましい。Si由来のSi濃度割合がこの範囲となることで、過度にシリコン粒子の酸化を防止するための設備やプロセスを準備する必要がなくなり、負極材料の容量を向上させつつ、生産性の低下を抑制できる。
また、シリコン粒子33の表層における、全てのSi2pのSiの原子濃度に対する、SiO2由来のSi2pのSiの原子濃度の比率を、SiO2由来のSi濃度割合とする。SiO2由来のSi濃度割合は、ピーク波形P1の面積に対するピーク波形P1Bの面積の比率として算出できる。SiO2由来のSi濃度割合は、25%以下であることが好ましく、23%以下であることがより好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。SiO2由来のSi濃度割合がこの範囲となることで、表面近傍での酸化物の量が少なくなり、負極材料の容量を向上できる。また、SiO2由来のSi濃度割合は、10%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、1%以上であることがさらに好ましい。SiO2由来のSi濃度割合がこの範囲となることで、過度にシリコン粒子の酸化を防止するための設備やプロセスを準備する必要がなくなり、負極材料の容量を向上させつつ、生産性の低下を抑制できる。
シリコン粒子33は、X線光電子分光法で測定した場合の、表層のO1sのOの量に対するSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、1.2以上であることが好ましく、1.3以上であることがより好ましく、1.4以上であることがさらに好ましい。
O1sのOとは、X線光電子分光法によって1s軌道の電子が飛び出したO原子を指す。
表層におけるO1sのOの量に対するSi2pのSiの量の比率とは、シリコン粒子33の表層(例えば、最表面から、最表面よりもおよそ10オングストローム深い位置まで)における、O1sのO(1s軌道の電子が飛び出したO原子)の原子濃度に対する、シリコン粒子33の表層(例えば、最表面よりもおよそ6オングストローム深い位置まで)における、Si2pのSi(2p軌道の電子が飛び出したSi原子)の原子濃度の比率を指す。シリコン粒子33は、O1sのOの量に対するSi2pのSiの量の比率がこの範囲となることで、表面近傍での酸化物の量が少なくなり、負極材料の容量を向上できる。特に、SiO2以外のシリコン酸化物(例えばSiOなど)も、容量の向上を抑制する因子として作用する可能性があり、そのような場合に、Oの量に対するSiの量の比率が上記範囲となることで、SiO2以外のシリコン酸化物の量も少なくして、容量を適切に向上できる。また、シリコン粒子33は、X線光電子分光法で測定した場合の、表層におけるO1sのOの量に対するSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、4以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましく、99以下であることがさらに好ましい。シリコン粒子33は、Oの量に対するSiの量の比率がこの範囲となることで、過度に純粋なSiを準備する必要がなくなり、負極材料の容量を向上させつつ、生産性の低下を抑制できる。このように、X線光電子分光法を用いてシリコン粒子33を測定した場合において、表層のO1sのOの量に対するSi2pのSiの比率が、原子濃度基準で、1.2以上4以下であることが好ましく、1.2以上9以下であることがより好ましく、1.2以上99以下であることがさらに好ましい。また、X線光電子分光法を用いてシリコン粒子33を測定した場合において、表層のO1sのOの量に対するSi2pのSiの比率が、原子濃度基準で、1.3以上4以下であることが好ましく、1.3以上9以下であることがより好ましく、1.3以上99以下であることがさらに好ましい。さらに、X線光電子分光法を用いてシリコン粒子33を測定した場合において、表層のO1sのOの量に対するSi2pのSiの比率が、原子濃度基準で、1.4以上4以下であることが好ましく、1.4以上9以下であることがより好ましく、1.4以上99以下であることがさらに好ましい。
なお例えば、O濃度が20at%でSi濃度が80%のとき、表層のO1sのOの量に対するSi2pのSiの比率は、4となり、O濃度が5at%でSi濃度が95%のとき、表層のO1sのOの量に対するSi2pのSiの比率は、19となる。
すなわち、上記のように求めたO濃度に対するSi濃度の比率が、濃度比Si/Oとなる。
Si濃度は、50at%以上であることが好ましく、55at%以上であることがより好ましく、60at%以上であることがさらに好ましい。Si濃度がこの範囲となることで、表面近傍での酸化物の量が少なくなり、負極材料の容量を向上できる。また、Si濃度は、80at%以下であることが好ましく、90at%以下であることがより好ましく、99at%以下であることがさらに好ましい。Si濃度がこの範囲となることで、過度にシリコン粒子の酸化を防止するための設備やプロセスを準備する必要がなくなり、負極材料の容量を向上させつつ、生産性の低下を抑制できる。
O濃度は、46at%以下であることが好ましく、40at%以下であることがより好ましく、30at%以下であることがさらに好ましい。O濃度がこの範囲となることで、表面近傍での酸化物の量が少なくなり、負極材料の容量を向上できる。また、O濃度は、20at%以上であることが好ましく、10at%以上であることがより好ましく、1at%以上であることがさらに好ましい。O濃度がこの範囲となることで、過度にシリコン粒子の酸化を防止するための設備やプロセスを準備する必要がなくなり、負極材料の容量を向上させつつ、生産性の低下を抑制できる。
シリコン粒子33は、酸化層33Bの厚みが、2.1オングストローム以下であることが好ましく、1.8オングストローム以下であることがより好ましく、1.3オングストローム以下であることがさらに好ましい。酸化層33Bの厚みがこの範囲となることで、表面近傍での酸化物の量が少なくなり、負極材料の容量を向上できる。また、酸化層33Bの厚みは、0.7オングストローム以上であることが好ましく、0.3オングストローム以上であることがより好ましく、0.06オングストローム以上であることがさらに好ましい。酸化層33Bの厚みがこの範囲となることで、過度に純粋なSiを準備する必要がなくなり、負極材料の容量を向上させつつ、生産性の低下を抑制できる。なお、酸化層33Bの厚みは、X線光電子分光法で測定した場合の、表層における、単体シリコン由来のSi2pのSiの量に対するSiO2由来のSi2pのSiの量の比率(SiO2由来のSi2pのSiの量に対する単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率の逆数)に、Si2pのSiの光電子の脱出深さ6オングストロームを乗じることで算出される。
次に、体積平均粒径に基づくシリコン粒子33の特性について説明する。
シリコン粒子33の、レーザ回折散乱法によって測定される体積平均粒子径(体積基準の平均粒子径)を、以下、体積平均粒子径と記載する。
シリコン粒子33を球形と仮定し体積平均粒子径を用いて体積を算出した場合の、シリコン粒子33の全体の体積に対する酸化層33Bの体積の比率を、体積平均粒子径に基づく酸化層33Bの体積比率とする。この場合、体積平均粒子径に基づく酸化層33Bの体積比率は、0.05%以下であることが好ましく、0.04%以下であることがより好ましく、0.035%以下であることがさらに好ましい。体積比率がこの範囲となることで、表面近傍での酸化物の量が少なくなり、負極材料の容量を向上できる。また、体積平均粒子径に基づく酸化層33Bの体積比率は、0.015%以上であることが好ましく、0.01%以上であることがより好ましく、0.001%以上であることがさらに好ましい。体積比率がこの範囲となることで、過度にシリコン粒子の酸化を防止するための設備やプロセスを準備する必要がなくなり、負極材料の容量を向上させつつ、生産性の低下を抑制できる。
次に、D50に基づくシリコン粒子33の特性について説明する。
レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において、累積度数が50体積%の粒子径を、D50とする。
ここで、シリコン粒子33を球形と仮定しD50を用いて体積を算出した場合の、シリコン粒子33の全体の体積に対する酸化層33Bの体積の比率を、D50に基づく酸化層33Bの体積比率とする。この場合、D50に基づく酸化層33Bの体積比率は、0.4%以下であることが好ましく、0.3%以下であることがより好ましく、0.25%以下であることがさらに好ましい。体積比率がこの範囲となることで、表面近傍での酸化物の量が少なくなり、負極材料の容量を向上できる。また、D50に基づく酸化層33Bの体積比率は、0.13%以上であることが好ましく、0.05%以上であることがより好ましく、0.01%以上であることがさらに好ましい。体積比率がこの範囲となることで、過度にシリコン粒子の酸化を防止するための設備やプロセスを準備する必要がなくなり、負極材料の容量を向上させつつ、生産性の低下を抑制できる。
図1に示す正極16は、集電層と正極材料層とを備える。正極16の集電層は、導電性部材で構成される層であり、ここでの導電性部材としては、例えばアルミニウムが挙げられる。正極材料層は、正極材料の層であり、正極16の集電層の表面に設けられる。正極の集電層の厚みは、例えば、10μm以上30μm以下程度であってよく、正極材料層の厚みは、例えば10μm以上100μm以下程度であってよい。
図1に示すセパレータ18は、絶縁性の部材である。本実施形態では、セパレータ18は、例えば、樹脂製の多孔質膜であり、樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などが挙げられる。また、セパレータ18は、異なる材料の膜が積層された構造であってもよい。また、セパレータ18は、耐熱層を有していてもよい。耐熱層は、高融点の物質を含有する層である。耐熱層は、たとえば、アルミナ等の無機材料の粒子を含有してもよい。
電池1に設けられる電解液は、非水電解液である。電解液は、電極群12内の空隙に含浸されている。電解液は、例えば、リチウム塩および非プロトン性溶媒を含む。リチウム塩は、非プロトン性溶媒に分散、溶解している。リチウム塩としては、たとえば、LiPF6、LiBF4、Li[N(FSO2)2]、Li[N(CF3SO2)2]、Li[B(C2O4)2]、LiPO2F2などが挙げられる。非プロトン性溶媒は、例えば、環状炭酸エステルおよび鎖状炭酸エステルの混合物であってよい。環状炭酸エステルとしては、たとえば、EC、PC、ブチレンカーボネート等が挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等が挙げられる。
次に、本実施形態に係る電池1の製造方法の一例を説明する。本製造方法は、酸素濃度が5%以下の雰囲気下でシリコン原料を準備するステップと、シリコン原料を用いて、カーボンの表面に、三酸化タングステンとシリコン材料とを設けて負極材料を製造するステップと、正極材料を製造するステップとを含む。
図8は、シリコン原料を準備するステップを説明するフローチャートである。シリコン原料は、シリコン粒子33の原料である。図8に示すように、シリコン原料を準備するステップは、破砕工程S1と、粗粉砕工程S2と、粉砕工程S3と、を含む。
破砕工程S1は、シリコン塊状物を破砕してシリコン破砕物を得る工程である。シリコン塊状物のサイズは、特に制限はない。シリコン塊状物の形状は、特に制限はなく、例えば、柱状、板状、粒状であってもよい。シリコン塊状物としては、シリコンチャンク、チャンク以外の多結晶シリコン、単結晶シリコンと柱状晶シリコンインゴットの塊、モニター用シリコンウエハ、ダミー用シリコンウエハ、粒状シリコンを用いることができる。
粗粉砕工程S2は、シリコン破砕物を粗粉砕してシリコン粗粒子を得る工程である。粗粉砕工程S2で得られるシリコン粗粒子は、ふるい法により分別される最大粒子径が1000μm以下であることが好ましい。このため、粗粉砕工程S2は、粗粉砕によって得られた粗粉砕物を目開き1000μmのふるいを用いて分級して、最大粒子径が1000μm以下の粗粒子を回収する工程を含むことが好ましい。シリコン粗粒子のサイズが1000μmを超えると、次の粉砕工程S3でシリコン粗粒子が十分に粉砕されずに、その粒子が混入するおそれがある。シリコン粗粒子の最大粒子径は、500μm以下であることが特に好ましい。
粉砕工程S3は、シリコン粗粒子を粉砕してシリコン原料(シリコン微粒子)を得る工程である。粉砕工程S3では、例えば、ボールミル(遊星ボールミル、振動ボールミル、転動ボールミル、撹拌ボールミル)、ジェットミル、三次元ボールミルを用いることができる。粉砕装置として、株式会社ナガオシステムの三次元ボールミルを用いることが好ましい。
図9は、本実施形態の電池の製造方法の一例を説明するフローチャートである。図9に示すように、本製造方法においては、ステップS10からステップS28の工程で、負極14を形成する。
Naを含有しない界面活性剤としては、例えば、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテルや、ポリオキシエチレンノニルフェニールエーテルなどを用いてよい。ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が12以上15以下の物を用いることが好ましく、例えば、C12H25O(C2H4)nH(ポリ(オキシエチレン)ドデシルエーテル)、C13H27O(C2H4)nH(ポリ(オキシエチレン)トリデシルエーテル)、C13H27O(C2H4)nH(ポリ(オキシエチレン)イソトリデシルエーテル)、C14H25O(C2H4)nH(ポリ(オキシエチレン)テトラデシルエーテル)、C155H25O(C2H4)nH(ポリ(オキシエチレン)ペンタデシルエーテル)などを用いてよい。ここでnは1以上の整数である。ポリオキシエチレンノニルフェニールエーテルとしては、例えば、C9H19C6(CH2CH2O)8H、C9H19C6(CH2CH2O)10H、C9H19C6(CH2CH2O)12Hなどを用いてよい。
界面活性剤の添加量は、溶解用溶液に対するWO3原料の添加量に対して、重量%で、2%以上8%以下とすることが好ましい。この数値範囲とすることで、シリコン原料とWO3との親和性を適切に向上させる。
次に、本実施形態に係る電池1の製造方法の他の例を説明する。図10は、本実施形態の電池の製造方法の一例を説明するフローチャートである。図10に示すように、本製造方法においては、ステップS30からステップS44の工程で、負極14を形成する。ステップS30、ステップS32、ステップS40、ステップS42、ステップS44は、ステップS10、ステップS12、ステップS24、ステップS26、ステップS28と同様の処理を行う。
以上説明したように、本実施形態に係る負極材料は、電池の負極材料であって、カーボンと、三酸化タングステンと、シリコンを含むシリコン粒子33と、を含む。シリコン粒子33は、X線光電子分光法で測定した場合の、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、3以上である。
次に、実施例について説明する。
(シリコン原料の準備)
鱗片状多結晶シリコンチャンク(純度:99.999999999質量%、縦:5~15mm、横:5~15mm、厚さ:2~10mm)を、ハンマーミルを用いて破砕した。次いで、得られた粉砕物を、目開き5mmのふるいを用いて乾式分級して、ふるい下のシリコン破砕物を得た。
得られたシリコン破砕物と、硬質ボール(ジルコニアボール、直径:10mm)と、一方の容器と他方の容器とに分割可能な容器とを、それぞれArガスが充填されたグローブボックスに収容した。グローブボックス内にて、容器の一方にシリコン破砕物30質量部と硬質ボール380質量部とを投入した。次いで、シリコン破砕物と硬質ボールを投入した一方の容器と、他方の容器とを組み合わせ、Arガスが充填されたグローブボックス内で、二つの容器をねじ止めして密封した。二つの容器の合わせ面は、気密が保たれるようにすり合わせ面となっている。容器中のシリコン破砕物と硬質ボールの充填率は28%とした。
シリコン破砕物と硬質ボールとを充填した容器を、グローブボックスから取り出して、三次元ボールミル装置にセットした。そして、第1回転軸の回転速度:300rpm、第2回転軸の回転速度:300rpm、粉砕時間:0.33時間の条件で粗粉砕した。粗粉砕後のシリコン粗粉砕物と硬質ボールとを、目開き1000μmのふるいを用いて乾式分級して、最大粒子径が1000μm以下のシリコン粗粒子を得た。
得られたシリコン粗粒子と、硬質ボール(ジルコニアボール、直径:10mm)と、半球状容器とを、それぞれArガスが充填されたグローブボックスに収容した。次いで、グローブボックス内にて、半球容器の一方にシリコン破砕物15質量部と硬質ボール200質量部とを投入した(シリコン粗粒子100質量部に対する硬質ボールの量は1333質量部)。次いで、球状容器を形成するように、シリコン破砕物と硬質ボールを投入した一方の半球容器と、他方の半球容器とを組み合わせ、Arガスが充填されたグローブボックス内で、二つの容器をねじ止めして密封した。容器中のシリコン破砕物と硬質ボールの充填率は15%であった。
シリコン粗粒子と硬質ボールとを充填した容器を、グローブボックスから取り出して、三次元ボールミル装置にセットした。そして、第1回転軸の回転速度:300rpm、第2回転軸の回転速度:300rpm、粉砕時間:3時間の条件で粉砕して、シリコン原料を得た。
実施例1においては、ハードカーボンと三酸化タングステンとシリコンとを用いて、実施形態で説明した溶液法を使用した第1の製造方法で、負極材料を製造した。具体的には、50ml容量のビーカー内に、濃度が28重量%のアンモニア溶液を5mlと、WO3原料を0.05gとを添加して、40℃で12時間撹拌して、アンモニア溶液にWO3原料を溶解させた。さらに、このアンモニア溶液に、WO3原料との重量比が1:1となるように、SDSを0.05g添加して、室温で4時間撹拌して、アンモニア溶液にSDSを溶解させた。そして、このアンモニア溶液に、WO3原料との重量比が1:1となるように、シリコン原料を0.05g添加して、室温で4時間撹拌して、アンモニア溶液にシリコン原料を溶解させた。そして、このアンモニア溶液を撹拌した後、80℃で12時間加熱して乾燥させて、一次中間材料を生成した。そして、この一次中間材料を、管状炉内に導入し、窒素雰囲気下で、室温で2時間、その後、窒素雰囲気下のまま、昇温スピード3℃/minで200℃まで、1℃/minで550℃まで、3℃/minで700℃まで連続加熱して2時間保持して、一次中間材料を生成した。そして、生成された一次中間材料と5mlの純水と0.053gのSDSと0.95gのカーボン原料とを順番に添加した。そして、カーボン原料が純水に分散するまで、この液体を4時間撹拌した後、80℃で12時間加熱して乾燥させて、負極中間物を生成した。そして、この負極中間物を、管状炉内に導入し、窒素雰囲気下で、室温で2時間、その後、窒素雰囲気下のまま、昇温スピード3℃/minで200℃まで、1℃/minで550℃まで、3℃/minで700℃まで連続加熱して2時間保持して、負極材料を製造した。
実施例2においては、シリコン原料を得る際の最後の粉砕時間を6時間とした以外は、実施例1と同じ方法で、負極材料を製造した。
実施例3においては、界面活性剤にポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル(C12H25O(C2H4)nH(ポリ(オキシエチレン)ドデシルエーテル))を用いて第2の製造方法を用いて作製した。ハードカーボン、三酸化タングステン、シリコン原料の量、界面活性剤の添加剤の量は、実施例1と同じとした。
実施例4においては、界面活性剤にポリオキシエチレンノニルフェニールエーテル(C9H19C6(CH2CH2O)8H)を用いて、シリコン原料を得る際の最後の粉砕時間を6時間とした以外は、実施例3と同じ方法で、負極材料を製造した。
比較例1においては、シリコン原料を得る際に、屋内で空気を充填し、最後の粉砕時間を1時間とした以外は、実施例1と同じ方法で、負極材料を製造した。
比較例2においては、シリコン原料を得る際に屋内で空気を充填し、最後の粉砕時間を1.5時間とした以外は、実施例1と同じ方法で、負極材料を製造した。
図11は、各例の製造条件、シリコン粒子の特性、及び評価結果を示す表である。図11に示すように、各例のシリコン粒子について、XPS測定に基づく特性を測定した。図11におけるSi濃度は、本実施形態で説明したSi濃度に相当し、図11におけるO濃度は、本実施形態で説明したO濃度に相当し、図11におけるSiO2由来のSi濃度の割合は、本実施形態で説明したSiO2由来のSi濃度の割合に相当し、図11におけるSi由来のSi割合は、本実施形態で説明したSi由来のSi割合に相当し、図11のSi/SiO2は、本実施形態で説明した、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率に相当し、図11のSi/Oは、本実施形態で説明した、表層におけるO1sのOの量に対するSi2pのSiの量の比率に相当し、図11の酸化膜厚は、本実施形態で説明した酸化層33Bの厚みに相当する。各例でのX線光電子分光法は、本実施形態で説明した装置及び条件を用いた。
また、図11に示すように、各例のシリコン粒子について、体積平均粒径及びD50に基づく特性を測定した。シリコン粒子を界面活性剤水溶液に投入し、超音波処理によりシリコン微粒子を分散させてシリコン微粒子分散液を調製した。次いで、得られたシリコン微粒子分散液中のシリコン微粒子の粒度分布を、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置(MT3300EX II、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定した。得られた粒度分布から、体積平均粒径、D50を求めた。図11におけるSiO2体積は、本実施形態での、体積平均粒子径(又はD50)を用いて算出した酸化層33Bの体積に相当し、図11における粒子体積は、本実施形態での、体積平均粒子径(又はD50)を用いて算出したシリコン粒子33の体積に相当し、図11でのSiO2体積/粒子体積は、本実施形態での、体積平均粒子径(又はD50)に基づく酸化層33Bの体積比率に相当する。
各例の負極材料の評価として、負極材料を用いた負極の容量を測定した。具体的には、Cレートを0.2とした場合の1g当たりの電流値(mAh/g)と、Cレートを3.2とした場合の1g当たりの電流値(mAh/g)とを測定した。例えばCレートを0.2とした場合の1g当たりの負極の電流値とは、0.2時間で定格容量を消費する電流値を指す。
また、各例の負極材料の評価として、負極のSiにリチウムが流入するか、負極のSiからリチウムが放出されるかについても確認した。負極のSiにリチウムが流入する場合を〇、流入しない場合を×とし、負極のSiからリチウムが放出される場合を〇、放出されない場合を×とした。
図11に評価結果を示す。図11に示すように、Si/SiO2が3以上となる実施例1、2では、シリコンの酸化物が少ないため、Cレート0.2の場合の電流値が十分に保たれ、Cレート3.2の場合の電流値が十分に保たれ、かつ、負極にリチウムが流入し、負極からリチウムが放出されるため、電池の性能を向上できることが分かる。
一方、Si/SiO2が3未満となる比較例1、2では、シリコンの酸化物が多くなるため、Cレート3.2の場合の電流値が低くなり、負極のSiからはリチウムが放出されず、電池の性能を適切に向上できないことが分かる。
14 負極
22 負極材料層
30 カーボン粒子
32 WO3粒子
33 シリコン粒子
Claims (7)
- 電池の負極材料であって、
カーボンと、前記カーボンの表面に設けられる三酸化タングステンと、前記カーボンの表面に設けられてシリコンを含むシリコン材料と、を含み、
前記シリコン材料は、X線光電子分光法で測定した場合の、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する単体シリコン由来のSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、3以上であり、
前記シリコン材料と前記三酸化タングステンと前記カーボンとの合計含有量を100重量%とした場合に、前記シリコン材料の含有量が1重量%以上10重量%以下であり、前記三酸化タングステンの含有量が1重量%以上10重量%以下である、
負極材料。 - 前記シリコン材料は、X線光電子分光法で測定した場合の、表層におけるO1sのOの量に対するSi2pのSiの量の比率が、原子濃度基準で、1.2以上である、請求項1に記載の負極材料。
- 前記シリコン材料は、Siで構成されるSi層と、Si層の表面に形成されてシリコンの酸化物で構成される酸化層と、を含み、前記シリコン材料を球形と仮定し、体積平均粒子径を用いて前記シリコン材料の体積を算出した場合に、前記酸化層の体積は、前記シリコン材料の全体の体積に対して、0.04%以下である、請求項1又は請求項2に記載の負極材料。
- 前記シリコン材料は、Siで形成されるSi層と、Si層の表面に形成されてSiとOとを含む酸化層と、を含み、前記シリコン材料を球形と仮定し、レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において累積度数が50体積%の粒子径D50を用いて前記シリコン材料の体積を算出した場合に、前記酸化層の体積は、前記シリコン材料の全体の体積に対して、0.4%以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の負極材料。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の負極材料と、正極材料とを含む、電池。
- 電池の負極材料の製造方法であって、
酸素濃度が5%以下の雰囲気下でシリコン原料を準備するステップと、
前記シリコン原料を用いて、カーボンと、前記カーボンの表面に設けられる三酸化タングステンと、前記カーボンの表面に設けられるシリコン材料とを含み、前記シリコン材料と前記三酸化タングステンと前記カーボンとの合計含有量を100重量%とした場合に、前記シリコン材料の含有量が1重量%以上10重量%以下であり、前記三酸化タングステンの含有量が1重量%以上10重量%以下である、負極材料を生成するステップを含み、
前記シリコン材料は、X線光電子分光法で測定した場合の、表層におけるSiO2由来のSi2pのSiの量に対する単体シリコン由来のSi2pのSiの量に対する比率が、原子濃度基準で、3以上である、
負極材料の製造方法。 - 請求項6に記載の負極材料の製造方法と、正極材料を製造するステップと、を含む、電池の製造方法。
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