JP7780042B2 - 連結車両のジャックナイフ対策装置、連結車両のジャックナイフ対策方法、および連結車両のジャックナイフ対策プログラム - Google Patents

連結車両のジャックナイフ対策装置、連結車両のジャックナイフ対策方法、および連結車両のジャックナイフ対策プログラム

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Description

本開示は、連結車両のジャックナイフ対策装置、連結車両のジャックナイフ対策方法、および連結車両のジャックナイフ対策プログラムに関する。
たとえば下記特許文献1には、連結車両がジャックナイフ状態に陥ったことを判定する装置が記載されている。この装置は、連結車両のモデルを用いてジャックナイフ状態を判定する。
米国特許第9229452号明細書
ところで、トラクタに連結するトレーラは複数種類存在しうる。そのため、ジャックナイフ状態を判定するために用いるモデルは、トレーラの種類に応じて変更されるべきものとなる。
本開示の一態様は、トラクタとトレーラとが連結された連結車両のジャックナイフ対策装置を提供する。ジャックナイフ対策装置は、取得処理と、判定処理と、対処処理と、を実行するように構成されている。前記取得処理は、転舵角変数の値と、ヒッチ角変数の値と、を取得する処理である。前記転舵角変数は、前記連結車両の転舵輪の転舵角を示す変数である。前記ヒッチ角変数は、前記トラクタの前後方向と前記トレーラの前後方向とのなす角度を示す変数である。判定処理は、前記転舵角変数の値の大きさが所定値以上であることと、前記転舵角変数の値が右旋回および左旋回のいずれか一方を示す値であって且つ前記ヒッチ角変数の値が前記右旋回および前記左旋回のうちのいずれか他方を示す値であることと、前記ヒッチ角変数の値の大きさの増加速度が閾値以上であることとの論理積が真であるか否かを判定する処理である。前記対処処理は、前記連結車両の後退走行時に前記論理積が真であると判定される場合に実行される、ジャックナイフ現象対策のための処理である。
本開示の別の態様は、トラクタとトレーラとが連結された連結車両のジャックナイフ対策方法を提供する。連結車両のジャックナイフ対策方法は、取得処理を実行することと、判定処理を実行することと、対処処理を実行することと、を有する。前記取得処理は、転舵角変数の値と、ヒッチ角変数の値と、を取得する処理である。前記転舵角変数は、前記連結車両の転舵輪の転舵角を示す変数である。前記ヒッチ角変数は、前記トラクタの前後方向と前記トレーラの前後方向とのなす角度を示す変数である。判定処理は、前記転舵角変数の値の大きさが所定値以上であることと、前記転舵角変数の値が右旋回および左旋回のいずれか一方を示す値であって且つ前記ヒッチ角変数の値が前記右旋回および前記左旋回のうちのいずれか他方を示す値であることと、前記ヒッチ角変数の値の大きさの増加速度が閾値以上であることとの論理積が真であるか否かを判定する処理である。前記対処処理は、前記連結車両の後退走行時に前記論理積が真であると判定される場合に実行される、ジャックナイフ現象対策のための処理である。
本開示の別の態様は、トラクタとトレーラとが連結された連結車両のジャックナイフ対策プログラムを提供する。ジャックナイフ対策プログラムは、取得処理と、判定処理と、対処処理と、をコンピュータに実行させる指令を有する。前記取得処理は、転舵角変数の値と、ヒッチ角変数の値と、を取得する処理である。前記転舵角変数は、前記連結車両の転舵輪の転舵角を示す変数である。前記ヒッチ角変数は、前記トラクタの前後方向と前記トレーラの前後方向とのなす角度を示す変数である。判定処理は、前記転舵角変数の値の大きさが所定値以上であることと、前記転舵角変数の値が右旋回および左旋回のいずれか一方を示す値であって且つ前記ヒッチ角変数の値が前記右旋回および前記左旋回のうちのいずれか他方を示す値であることと、前記ヒッチ角変数の値の大きさの増加速度が閾値以上であることとの論理積が真であるか否かを判定する処理である。前記対処処理は、前記連結車両の後退走行時に前記論理積が真であると判定される場合に実行される、ジャックナイフ現象対策のための処理である。
図1は、第1の実施形態にかかる連結車両を例示する図である。 図2は、図1に示す連結車両における制御システムの構成を示すブロック図である。 図3は、図2に示す制御システムにおける制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。 図4は、図1に示す連結車両のモデルを示す図である。 図5は、図3に示す制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。 図6Aおよび図6Bは、図1に示す連結車両のジャックナイフ状態を示す図である。 図7は、ジャックナイフの検出原理を示す図である。 図8は、第2の実施形態にかかる制御装置が実行する処理の手順を示す流れ図である。
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、連結車両10は、トラクタ20およびトレーラ30を有している。トラクタ20は、前輪22および後輪24を備える。前輪22は右前輪および左前輪の2輪を含み、後輪24は右後輪および左後輪の2輪を含む。また、図1には、トレーラ30として、箱型のトレーラを例示する。トレーラ30は、車輪32を有している。車輪32は、右車輪および左車輪の2輪を含む。
トレーラ30は、ボールジョイント40を介してトラクタ20の後部に連結されている。ボールジョイント40は、トレーラ30を、トラクタ20に対して軸42を中心として回転可能に連結する部材である。軸42は、トラクタ20の高さ方向に沿って延びる。
図2に、トラクタ20が備える部材の一部を示す。図2に示すように、トラクタ20は、制御装置50を備えている。制御装置50は、制御対象としての連結車両10の制御量を制御すべく、操舵系60、駆動系62、および制動系64を操作する。制御量は、車速、走行方向、およびヒッチ角等である。ヒッチ角は、トラクタ20の前後方向とトレーラ30の前後方向とのなす角度である。
操舵系60は、転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータを含む。転舵輪は、たとえば、図1に示す前輪22である。なお、本実施形態では、一例として、操舵系60に転舵アクチュエータを操作する転舵制御装置を含める。そして、「制御装置50が操舵系60を操作する」とは、制御装置50が転舵制御装置に指令信号を出力することを意味する。
駆動系62は、車両の推力生成装置としての、内燃機関および回転電機の2つのうちの少なくとも1つを含む。なお、駆動系62に、内燃機関および回転電機を制御対象とする駆動制御装置を含めてもよい。その場合、「制御装置50が駆動系62を操作する」とは、制御装置50が駆動制御装置に指令信号を出力することを意味する。
制動系64は、摩擦力によって車輪の回転を減速させる装置と、車輪の動力を電気エネルギに変換することによって車輪の回転を減速させる装置との2つのうちの少なくとも1つを含む。なお、電気エネルギに変換することによって車輪の回転を減速させる装置は、駆動系の回転電機と共有されていてもよい。また、制動系64に、車輪の回転を減速させる装置を制御対象とする制動制御装置を含めてもよい。その場合、「制御装置50が制動系64を操作する」とは、制御装置50が制動制御装置に指令信号を出力することを意味する。
制御装置50は、制御量を制御すべく、舵角センサ70によって検出される転舵輪の転舵角α1を参照する。転舵角α1は、右旋回および左旋回のうちのいずれか一方の符号が正、他方の符号が負となる値である。転舵角α1は、タイヤの切れ角である。なお、たとえば操舵系60がラックアンドピニオン機構を備える場合、舵角センサ70をピニオン角を検出するセンサとしてもよい。ただし、その場合、制御装置50がピニオン角をタイヤの切れ角に変換する処理を実行する。以下では、説明の便宜上、タイヤの切れ角が上記変換する処理によって得られたものであっても、舵角センサ70の検出値と見なす。
また制御装置50は、ヒッチ角センサ72によって検出されるヒッチ角βを参照する。ヒッチ角βは、トラクタ20の後方から前方に進む方向とトレーラ30の後方から前方に進む方向とのなす角度に応じて正、負の双方の符号を取り得る。たとえば、トラクタ20の後方から前方に進む方向に対してトレーラ30の後方から前方に進む方向が反時計回りに180°未満ずれる場合のヒッチ角βの符号は、正であってもよい。
制御装置50は、制御量の制御を、ユーザインターフェース80の操作状態に応じて設定する。ユーザインターフェース80は、自動運転および手動運転の2つのうちのいずれか1つを選択する等、ユーザの意思を制御装置50に伝達するためのものである。
制御装置50は、PU52および記憶装置54を備えている。PU52は、CPU、GPU、およびTPU等の少なくとも1つを備えるソフトウェア処理装置である。記憶装置54には、後退アシストプログラム54aが記憶されている。後退アシストプログラム54aは、PU52に、後退アシスト処理を実行させる指令を規定するプログラムである。後退アシスト処理は、連結車両10の後退走行において転舵輪の転舵処理を自動で行う処理である。後退アシストプログラム54aは、運転者による後退運転の負荷を軽減するためのプログラムである。
すなわち、連結車両10の後退走行においては、トラクタ20の転舵角α1が同一であっても、トレーラ30の挙動は、ヒッチ角βに応じて変化する。そのため、後退制御には、高い運転技能が要求される。後退アシストプログラム54aによる後退アシスト処理は、トラクタ20の転舵角α1を制御することによって運転者をアシストする処理である。ただし、後退アシスト処理は、トレーラ30の操舵に対する指示を運転者に委ねる。これは、トレーラ30の操舵をも制御装置50が設定する場合には、制御装置50に対する要求が高くなるためである。運転者に一部の指示をゆだねることにより、比較的簡素な処理によって後退制御を実行することが可能となる。
「後退アシスト処理における操舵」
図3に、後退アシスト処理の手順を示す。図3に示す処理は、後退アシストプログラム54aをPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
図3に示す一連の処理において、PU52は、まず、後退アシストモードであるか否かを判定する(S10)。PU52は、後退アシストモードであると判定する場合(S10:YES)、ヒッチ角センサ72によって検出されたヒッチ角βを取得する(S12)。また、PU52は、舵角センサ70によって検出された転舵角α1を取得する(S14)。
そして、PU72は、転舵角α1およびヒッチ角βを入力として、仮想操舵角α2を算出する(S16)。仮想操舵角α2は、トレーラ30とトラクタ20との連結箇所の進行方向を示す変数である。換言すれば、図1に示す軸42の進行方向を示す変数である。本実施形態では、一例として、トレーラ30の前後方向に対するボールジョイント40の進行方向のなす角度によって、仮想操舵角α2を定義する。
ここで、図4に基づき、仮想操舵角α2を転舵角α1およびヒッチ角βから算出する理由を説明する。
図4は、本実施形態で用いる連結車両10のモデルを示す。図4に示すモデルにおいて、トラクタ20の一対の前輪22を1つの前輪C0とみなして且つ、トラクタ20の一対の後輪24を1つの後輪B1とみなす。すなわち、トラクタ20について2輪モデルを採用している。また、図4に示すモデルにおいて、トレーラ30の一対の車輪32を1つの車輪B2とみなす。前輪C0およびヒッチ点C1によって定まる線と、ヒッチ点C1および車輪B2によって定まる線とのなす角が、ヒッチ角βである。ヒッチ点C1は、図1の軸42部分に相当する。また、前輪C0の速度である前輪速度VC0は、転舵角α1の方向に進むベクトルである。転舵角α1は、前輪C0の進む方向と、前輪C0およびヒッチ点C1によって定まる線とのなす角度として定量化されている。車速Vの方向は、前輪C0およびヒッチ点C1によって定まる線に平行である。また、車速Vの方向と、図4のx方向とのなす角は、角度θ1である。また、車輪B2とヒッチ点C1とを結ぶ線とx方向とのなす角は、角度θ2である。また、距離l1は、前輪C0および後輪B1間の長さである。また、距離h1は、後輪B1およびヒッチ点C1間の長さである。
上述した定義によれば、車輪B2からヒッチ点C1に進む方向に対するヒッチ点C1の速度VC1の方向のなす角度が仮想操舵角α2である。ヒッチ点C1から前輪C0に進む方向に対するヒッチ点C1の速度VC1の方向のなす角度γ1を用いると、仮想操舵角α2は、「-(β-γ1)」と表現される。
図4に示すモデルにおいて、前輪C0の座標(xc0,yc0)、後輪B1の座標(xb1,yb1)およびヒッチ点C1の座標(xc1,yc1)を用いると、以下の式(c1)~(c3)が成立する。
VC0・cosα1=VB1 …(c1)
xc0=xb1+l1・cosθ1 …(c2)
xc1=xb1-h1・cosθ1 …(c3)
上記の式(c2),(c3)の両辺を微分した式および式(c1)を用いると、以下の式(c4)が得られる。
h1・tanα1+l1・tanγ1=0 …(c4)
上記の式(c4)によれば、角度γ1が転舵角α1によって表現できる。したがって、仮想操舵角α2は、以下の式(c5)にて表現される。
α2=-β-arctan{(h1/l1)・tan(α1)} …(c5)
すなわち、仮想操舵角α2は、ヒッチ角βおよび転舵角α1から求めることができる。
図3に示したS16の処理は、上記の式(c5)を用いる処理であってもよい。また、S16の処理は、PU52が、記憶装置54に記憶されたマップデータを用いることにより、仮想操舵角α2をマップ演算する処理であってもよい。マップデータは、ヒッチ角βおよび転舵角α1が入力変数であって且つ、仮想操舵角α2が出力変数であるデータである。
ここで、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値が演算結果である処理であればよい。また、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値が演算結果である処理であってもよい。また、これに代えて、マップ演算は、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれにも一致しない場合、マップデータに含まれる複数の入力変数の値のうちの最も近い値に対応するマップデータの出力変数の値が演算結果である処理であってもよい。
図3に戻り、PU52は、ユーザインターフェース80に入力された目標仮想操舵角α2*を取得する(S18)。目標仮想操舵角α2*は、仮想操舵角α2の目標値である。目標仮想操舵角α2*は、トレーラ30の操舵に対する運転者の指示を示す変数である。なお、S18の処理は、指示受付処理に対応する。
次にPU52は、仮想操舵角α2が制御量であって且つ目標仮想操舵角α2*が制御量の目標値であるフィードバック制御の操作量としての目標転舵角α1*を算出する(S20)。ここで、フィードバック制御は、たとえば、目標仮想操舵角α2*と仮想操舵角α2との差が入力である比例要素の出力値が目標転舵角α1*である処理であってもよい。またたとえば、フィードバック制御は、目標仮想操舵角α2*と仮想操舵角α2との差に応じた値が入力である比例要素の出力値および積分要素の出力値の和が目標転舵角α1*である処理であってもよい。またたとえば、フィードバック制御は、目標仮想操舵角α2*と仮想操舵角α2との差に応じた値が入力である比例要素の出力値および微分要素の出力値の和が目標転舵角α1*である処理であってもよい。またたとえば、フィードバック制御は、目標仮想操舵角α2*と仮想操舵角α2との差に応じた値が入力である比例要素の出力値、微分要素の出力値および積分要素の出力値の和が目標転舵角α1*である処理であってもよい。
次にPU52は、目標転舵角α1*の大きさが上限値α1thよりも大きいか否かを判定する(S22)。上限値α1thは、転舵角α1の大きさに関する制御上の許容最大値である。PU52は、目標転舵角α1*の大きさが上限値α1thよりも大きいと判定する場合(S22:YES)、目標転舵角α1*の大きさを上限値α1thに設定するガード処理を実行する(S24)。PU52は、S24の処理を完了する場合と、S22の処理において否定判定する場合と、には、操舵系60に、指令信号としての目標転舵角α1*を出力する(S26)。すなわち、PU52は、操舵系60を操作する。なお、S20~S26の処理は、転舵角制御処理に対応する。
なお、PU52は、S26の処理を完了する場合と、S10の処理において否定判定する場合と、には、図3に示す一連の処理を一旦終了する。
「ジャックナイフ対策」
図5に、上記後退アシストモードにおける、ジャックナイフ対策に関する処理の手順を示す。図5に示す処理は、後退アシストプログラム54aをPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。
図5に示す一連の処理において、PU52は、まず後退アシストモードであるか否かを判定する(S30)。PU52は、後退アシストモードであると判定する場合(S30:YES)、目標転舵角α1*を取得する(S32)。S32の処理は、取得処理に対応する。次にPU52は、下記の条件(A)が成立するか否かを判定する(S34)。
条件(A):目標転舵角α1*の大きさが上限値α1th以上である旨の条件である。
PU52は、条件(A)が成立すると判定する場合(S34:YES)、ヒッチ角βを取得する(S36)。S36の処理は、取得処理に対応する。そして、PU52は、下記の条件(B)が成立するか否かを判定する(S38)。
条件(B):目標転舵角α1*とヒッチ角βとの積が負である旨の条件である。
S38の処理は、転舵角α1とヒッチ角βとが逆符号であるか否かを判定する処理である。これは、ジャックナイフ現象が生じている場合の1つの条件が成立したか否かを判定する処理である。
図6Aおよび図6Bにジャックナイフ現象が生じている場合を示す。詳しくは、図6Aは、転舵角α1が左旋回側の角度である場合を示す。その場合、ヒッチ角βが右旋回側の値である場合に、ジャックナイフ現象が生じる。一方、図6Bは、転舵角α1が右旋回側の角度である場合を示す。その場合、ヒッチ角βが左旋回側の値である場合に、ジャックナイフ現象が生じる。
なお、転舵角α1およびヒッチ角βは、一例として、回転中心に対して反時計回りに回転する場合を正と定義すればよい。
図5に戻り、PU52は、条件(B)が成立すると判定する場合(S38:YES)、下記の条件(C)が成立するか否かを判定する(S40)。
条件(C):ヒッチ角βの大きさの増加速度がゼロ以上である旨の条件である。
図5には、ヒッチ角βの今回値「β(n)」の大きさから前回値「β(n-1)」の大きさを減算した値によって、ヒッチ角βの大きさの増加速度を定義する例を示している。
図7に、ジャックナイフ現象が生じるときのヒッチ角βおよびヒッチ角βの変化速度を示す。図7における曲線f1は、転舵角α1が「+α1th」である場合を示す。また、曲線f2は、転舵角α1が「-α1th」である場合を示す。曲線f3は、転舵角α1が「0」である場合を示す。
ジャックナイフ現象は、転舵角α1の操作によって、ヒッチ角βの大きさを減少させることができなくなる現象である。ジャックナイフ現象は、曲線f1においては、ヒッチ角βが負であって且つヒッチ角βの変化速度がゼロ以下となる場合に生じる。したがって、図7にドットで示すように、点P1またはヒッチ角βの変化速度が負である領域が、ジャックナイフが生じている領域である。また、ジャックナイフ現象は、曲線f2においては、ヒッチ角βが正であって且つヒッチ角βの変化速度がゼロ以上となる場合に生じる。したがって、図7にドットで示すように、点P2またはヒッチ角βの変化速度が正である領域が、ジャックナイフが生じている領域である。なお、S34,S38,S40の処理は、判定処理に対応する。
図5に戻り、PU52は、条件(C)が成立すると判定する場合(S40:YES)、ジャックナイフ現象が生じたと判定する(S42)。すなわち、PU52は、条件(A)、条件(B)、および条件(C)の論理積が真であると判定する場合、ジャックナイフ現象が生じたと判定する。そしてPU52は、後退アシストモードを停止する(S46)。すなわち、PU52は、図3に示した処理を停止する。換言すれば、PU52は、目標仮想操舵角α2*に応じて転舵角α1を操作する処理を停止する。
また、PU52は、ジャックナイフ現象が生じた旨の警告処理を実行する(S48)。たとえばユーザインターフェース80に表示装置を備えて且つ、S48の処理は、PU52によりジャックナイフ現象が生じた旨の視覚情報を表示装置に表示させる処理であってもよい。またたとえばユーザインターフェース80にスピーカを備えて且つ、S48の処理は、PU52によりジャックナイフ現象が生じた旨の音声情報をスピーカから出力する処理であってもよい。またたとえばユーザインターフェース80のうちの目標仮想操舵角α2*を入力する装置が物理的な変位を伴う操作部の場合、S48の処理は、PU52により同操作部を振動させる処理であってもよい。またたとえば、S48の処理は、転舵角α1を操作するステアリングホイールをPU52により振動させる処理であってもよい。
また、PU52は、連結車両10を減速させる(S50)。後退アシストモードにおいて、PU52が駆動系62および制動系64を操作することによって車速を制御している場合、S50の処理は、PU52が、車速の目標値を低下させる処理としてもよい。また、後退アシストモードにおいて車速についてはユーザのアクセル操作に委ねている場合、S50の処理は、PU52によって車速の上限値を設定する処理としてもよい。ここで、上限値は、後退アシストモードにおいて想定される通常の車速よりも低い値とすればよい。また、後退アシストモードにおいて車速についてはユーザのアクセル操作に委ねている場合、S50の処理は、PU52が車速制御に強制的に介入してその目標値を減少させていく処理としてもよい。なお、S46~S50の処理は、対処処理に対応する。
なお、PU52は、S50の処理を完了する場合と、S30,S34,S38,S40の処理において否定判定する場合と、には、図5に示す一連の処理を一旦終了する。
「本実施形態の作用および効果」
PU52は、条件(A)、条件(B)、および条件(C)の論理積が真であると判定する場合、ジャックナイフ現象が生じたと判定する。条件(A)、条件(B)、および条件(C)は、連結車両10のモデルとは独立に、ジャックナイフ現象が生じるときの状態を特定する条件である。したがって、トラクタ20に連結するトレーラ30の種類によらずに、ジャックナイフ現象が生じた旨を高精度に判定できる。
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(1-1)PU52がS48の処理を実行するため、ユーザはジャックナイフ現象が生じたことを確実に認知することができる。そのため、ユーザは、連結車両10を停止させた後前進させることによってジャックナイフ現象を解消することなどが可能となる。
(1-2)PU52がS50の処理を実行するため、ジャックナイフ現象によってヒッチ角βの大きさが過度に大きくなるまでの時間を極力長引かせることができる。そのため、ユーザは、ジャックナイフ現象によってヒッチ角βの大きさが過度に大きくなる前に、ジャックナイフ現象を解消することが可能となる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図8に、本実施形態にかかる後退アシストモードにおける、ジャックナイフ対策に関する処理の手順を示す。図8に示す処理は、後退アシストプログラム54aをPU52がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、図8において、図5に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付与する。
図8に示す一連の処理において、PU52は、S40の処理に代えて、以下の条件(D)が成立するか否かを判定する(S40a)。
条件(D):ヒッチ角βの大きさの増加速度が規定値Δth以上である旨の条件である。ここで、規定値Δthは、ゼロよりも小さい値に設定されている。
ヒッチ角βの大きさの増加速度がゼロよりも小さい場合、ヒッチ角βは未だ制御不能な状態に陥っていない。しかし、条件(A)および条件(B)が成立する状態でヒッチ角βの大きさの減少速度が過度に小さい場合、ジャックナイフ現象が生じやすい状況にあると考えられる。なお、S34,S38,S40aの処理は、判定処理に対応する。
PU52は、条件(A)、条件(B)および条件(D)の論理積が真であると判定する場合(S40a:YES)、ジャックナイフ現象が生じるリスクが大きいと判定する(S42a)。そして、PU52は、ジャックナイフ現象が生じるリスクが大きい旨を通知する処理を実行する(S48a)。なお、S48aの処理は、対処処理に対応する。
なお、PU52は、S48aの処理を完了する場合、図8に示す一連の処理を一旦終了する。
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
「判定処理について」
・S34の処理において、転舵角α1の大きさが上限値α1th以上であるか否かを判定してもよい。
・S38の処理において、転舵角α1とヒッチ角βとの符号が逆であるか否かを判定してもよい。
・転舵角α1の最大値を規定する値としては、目標転舵角α1*の上限値α1thに限らない。たとえば、機械的に定まる最大値であってもよい。
・「転舵角の大きさが所定値以上である」旨の条件が、転舵角の大きさが、転舵角α1の最大値を規定する値以上である旨の条件であることは必須ではない。たとえば最大値を規定する値よりも所定量小さい値であってもよい。その場合であっても、条件(B)および条件(C)との論理積が真である場合に、ジャックナイフ現象が生じるリスクが大きくなった旨を判定することはできる。ここで、条件(C)を、条件(D)に代えてもよい。
「対処処理について」
・図5には、S46,S48,S50の処理の3つの処理をすべて実行する例を示したが、これに限らない。たとえば、3つの処理のうち任意の2つの処理のみを実行してもよい。またたとえば、3つの処理のうちのいずれか1つの処理のみを実行してもよい。
・図8において、対処処理として、ヒッチ角βの絶対値を減少させるように転舵角α1を操作する処理を追加してもよい。これは、目標仮想操舵角α2*の指示よりも、ヒッチ角βの絶対値を減少させるように転舵角α1を操作する処理を優先することを意味する。
「転舵角制御処理について」
・目標転舵角α1*は、仮想操舵角α2が制御量であって且つ目標仮想操舵角α2*が制御量の目標値であるフィードバック制御の操作量に限らない。たとえば、目標転舵角α1*は、仮想操舵角α2が制御量である開ループ制御の操作量であってもよい。
・転舵角制御処理の制御量が仮想操舵角α2であることは必須ではない。たとえば、転舵角制御処理の制御量は、トレーラ30の軌跡であってもよい。その場合、たとえば、目標転舵角α1*は、トレーラ30の軌跡が制御量であって且つ軌跡の目標値が制御量の目標値であるフィードバック制御の操作量であってもよい。またたとえば、目標転舵角α1*は、トレーラ30の軌跡が制御量である開ループ制御の操作量であってもよい。またたとえば、転舵角制御処理の制御量は、ヒッチ角βであってもよい。その場合、たとえば、目標転舵角α1*は、ヒッチ角βが制御量であって且つ目標ヒッチ角β*が制御量の目標値であるフィードバック制御の操作量であってもよい。またたとえば、目標転舵角α1*は、ヒッチ角βが制御量である開ループ制御の操作量であってもよい。
「制御装置について」
・制御装置としては、PU52と記憶装置54とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態において実行された処理の少なくとも一部を、実行するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、制御装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成を有する処理回路を備えていればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶する記憶装置等のプログラム格納装置とを備える処理回路。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える処理回路。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える処理回路。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
「コンピュータについて」
・コンピュータとしては、車両に搭載されたPU52に限らない。たとえば、図5に示したS46~S50の処理をPU52が実行して且つ、S30~S42の処理をユーザの携帯端末が実行することとしてもよい。
「車両について」
・連結車両としては、図1に例示した車両に限らない。

Claims (10)

  1. トラクタとトレーラとが連結された連結車両のジャックナイフ対策装置であって、
    取得処理と、判定処理と、対処処理と、を実行するように構成され、
    前記取得処理は、転舵角変数の値と、ヒッチ角変数の値と、を取得する処理であり、
    前記転舵角変数は、前記連結車両の転舵輪の転舵角を示す変数であり、
    前記ヒッチ角変数は、前記トラクタの前後方向と前記トレーラの前後方向とのなす角度を示す変数であり、
    前記判定処理は、前記転舵角変数の値の大きさが所定値以上であることと、前記転舵角変数の値が右旋回および左旋回のいずれか一方を示す値であって且つ前記ヒッチ角変数の値が前記右旋回および前記左旋回のうちのいずれか他方を示す値であることと、前記ヒッチ角変数の値の大きさの増加速度が閾値以上であることとの論理積が真であるか否かを判定する処理であり、
    前記対処処理は、前記連結車両の後退走行時に前記論理積が真であると判定される場合に実行される、ジャックナイフ現象対策のための処理である連結車両のジャックナイフ対策装置。
  2. 前記所定値は、前記転舵角の大きさの最大値を規定する値である請求項1記載の連結車両のジャックナイフ対策装置。
  3. 前記閾値は、ゼロである請求項1記載の連結車両のジャックナイフ対策装置。
  4. 前記閾値は、ゼロよりも小さい請求項1記載の連結車両のジャックナイフ対策装置。
  5. 前記対処処理は、前記連結車両を減速させる処理である請求項1記載の連結車両のジャックナイフ対策装置。
  6. 前記対処処理は、ユーザに、ジャックナイフ状態である旨、通知する処理である請求項3記載の連結車両のジャックナイフ対策装置。
  7. 前記対処処理は、ユーザに、ジャックナイフ状態に陥る可能性が高い旨、通知する処理である請求項4記載の連結車両のジャックナイフ対策装置。
  8. 指示受付処理と、転舵角制御処理と、を実行するように構成され、
    前記指示受付処理は、前記トレーラの操舵に関する指示を受け付ける処理であり、
    前記転舵角制御処理は、前記指示に応じて前記転舵角を操作する処理であり、
    前記対処処理は、前記転舵角制御処理を停止する処理である請求項1記載の連結車両のジャックナイフ対策装置。
  9. トラクタとトレーラとが連結された連結車両のジャックナイフ対策方法であって、
    取得処理を実行することと、判定処理を実行することと、対処処理を実行することと、を有し、
    前記取得処理は、転舵角変数の値と、ヒッチ角変数の値と、を取得する処理であり、
    前記転舵角変数は、前記連結車両の転舵輪の転舵角を示す変数であり、
    前記ヒッチ角変数は、前記トラクタの前後方向と前記トレーラの前後方向とのなす角度を示す変数であり、
    前記判定処理は、前記転舵角変数の値の大きさが所定値以上であることと、前記転舵角変数の値が右旋回および左旋回のいずれか一方を示す値であって且つ前記ヒッチ角変数の値が前記右旋回および前記左旋回のうちのいずれか他方を示す値であることと、前記ヒッチ角変数の値の大きさの増加速度が閾値以上であることとの論理積が真であるか否かを判定する処理であり、
    前記対処処理は、前記連結車両の後退走行時に前記論理積が真であると判定される場合に実行される、ジャックナイフ現象対策のための処理である連結車両のジャックナイフ対策方法。
  10. トラクタとトレーラとが連結された連結車両のジャックナイフ対策プログラムであって、
    取得処理と、判定処理と、対処処理と、をコンピュータに実行させる指令を有し、
    前記取得処理は、転舵角変数の値と、ヒッチ角変数の値と、を取得する処理であり、
    前記転舵角変数は、前記連結車両の転舵輪の転舵角を示す変数であり、
    前記ヒッチ角変数は、前記トラクタの前後方向と前記トレーラの前後方向とのなす角度を示す変数であり、
    前記判定処理は、前記転舵角変数の値の大きさが所定値以上であることと、前記転舵角変数の値が右旋回および左旋回のいずれか一方を示す値であって且つ前記ヒッチ角変数の値が前記右旋回および前記左旋回のうちのいずれか他方を示す値であることと、前記ヒッチ角変数の値の大きさの増加速度が閾値以上であることとの論理積が真であるか否かを判定する処理であり、
    前記対処処理は、前記連結車両の後退走行時に前記論理積が真であると判定される場合に実行される、ジャックナイフ現象対策のための処理である連結車両のジャックナイフ対策プログラム。
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