以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る印刷装置の構成および作用を具体的に開示した実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(第1の実施形態)
(印刷装置の構成)
図1は、第1の実施形態における印刷装置の構成例を示す正面図である。図2は、第1の実施形態における印刷装置の構成例を示す側面図である。
本実施形態では、説明の便宜上、図1の紙面に垂直な方向をX軸方向、図1のマスク14の面と平行な方向をY軸方向、図1のマスク14の面と垂直な方向をZ軸方向とする。また、説明の便宜上、X軸方向正側を右、X軸方向負側を左、Y軸方向正側を前(正面)、Y軸方向負側を後、Z軸方向正側を上、Z軸方向負側を下とも記載する。
第1の実施形態における印刷装置10は、例えばスクリーン印刷を行うスクリーン印刷装置を構成する。印刷装置10は、被印刷物である基板5の表面に流動状物質である充填物としての半田等のペーストPTを塗布して印刷する。図1及び図2に示すように、印刷装置10は、基台11、XYZθテーブル12(基板保持部移動機構の一例)、基板保持部13、マスク14、印刷ヘッド15、印刷ヘッド移動部16、第1バルブユニット17、第2バルブユニット18、及び制御部19を備える。また、所定の領域の空気を吸引して減圧する真空発生装置170(例えば真空ポンプ)と、冷却水(冷媒の一例)を循環させる冷却水循環装置180とが、印刷装置10とは別に設けられる。なお、真空発生装置170が印刷装置10内に設けられてもよいし、冷却水循環装置180が印刷装置10内に設けられてもよい。
基板保持部13は、上面に基板保持ステージを有し、基板保持ステージに基板5が露出する状態で基板5を保持する。基板5の上面には多数の電極が設けられている。XYZθテーブル12は、基台11上に配置され、基板5を保持した基板保持部13をXY面内方向(水平方向)及びZ軸方向(上下方向)に移動させる。XYZθテーブル12は、基板保持部13を水平面内に移動させるXY直動テーブル、基板保持部13を水平面内で旋回させる旋回機構、及び基板保持部13をZ軸方向に昇降させる昇降テーブル、等を備えてよい。マスク14は、XY平面に広がった平板状の部材(例えば金属部材)から構成され、基板5の電極に対応した多数のパターン孔(図示せず)が設けられている。
印刷ヘッド15は、印刷ヘッド15が収容しているペーストPTを、基板5に重ねて配置されたマスク14のパターン孔を通じて基板5に塗布することで、ペーストPTを基板5に印刷する。印刷時には、マスク14に対する基板5の位置が、XYZθテーブル12によって適切に調整される。具体的には、マスク14のパターン孔と基板5の電極とが対向し、マスク14に基板5が接近するように、基板保持部13が移動される。また、印刷ヘッド15は、印刷対象となる基板5の構成によっては、マスク14を用いずに基板5へペーストPTを直接塗布してよい。印刷ヘッド15の詳細については後述する。
印刷ヘッド15は、印刷ヘッド移動部16に取り付けられ、印刷ヘッド移動部16の下部に吊り下げられた状態で移動可能になっている。印刷ヘッド移動部16は、印刷ヘッド15をY軸方向及びZ軸方向に移動させる。印刷ヘッド移動部16は、昇降駆動部21、ガイドロッド22、昇降ガイド23、Y軸モータ24、送りねじ25、ナット部26、移動ビーム27、スライダ28、及びガイドレール29、等を備える。
移動ビーム27は、X軸方向に沿って延びた部材であり、ボール螺子機構の駆動によってY軸方向に移動する。ボール螺子機構は、Y軸方向に沿って延びた送りねじ25と、送りねじ25に取り付けられたナット部26と、を含む。Y軸モータ24は、Y軸方向に沿って延びた送りねじ25に接続され、ボール螺子機構に駆動力を供給する。つまり、Y軸モータ24からの駆動力により送りねじ25が回転することで、移動ビーム27に取り付けられたナット部26と送りねじ25の作用により、移動ビーム27が水平方向に移動する。ガイドレール29は、Y軸方向に沿って延びる部材であり、移動ビーム27の印刷ヘッド15のY軸方向への移動をガイドする。スライダ28は、移動ビーム27の下部に取り付けられ、ガイドレール29上を摺動可能に配置される。移動ビーム27のY軸方向の移動に連動して、移動ビーム27に接続された印刷ヘッド15がY軸方向に移動する。
昇降駆動部21は、移動ビーム27に配置され、シリンダ等で構成される。昇降駆動部21の出力軸の下端部に、印刷ヘッド15が吊り下げられて取り付けられている。昇降駆動部21の出力軸が駆動することで、移動ビーム27に設けられたガイドロッド22及び昇降ガイド23によってガイドされながら、昇降部31をZ軸方向に移動させる。したがって、昇降駆動部21は、昇降部31をZ軸方向に押し引きして移動させることで、昇降部31に接続された印刷ヘッド15をZ軸方向に押し引きして移動させる。なお、昇降駆動部21は、ボール螺子機構によってZ軸方向に移動可能であってもよいし、他の構成でZ軸方向に移動可能であってもよい。
昇降部31には、ガイドロッド22と昇降駆動部21の出力軸とが連結されており、昇降駆動部21の駆動力によりZ軸方向に摺動可能に配置される。また、チルト機構32は、昇降部31に対して印刷ヘッド15をチルト回転させる。チルト機構32は、チルト回転により、印刷面(例えばマスク14の面又は基板5の表面)に沿うように印刷ヘッド15のZ軸方向に対する角度を調整可能である。
第1バルブユニット17は、印刷ヘッド15に取り付けられた真空配管61と真空発生装置170とを接続するか、又は真空配管61と排気口77とを接続するかを切換可能に構成される(図6参照)。第1バルブユニット17が真空配管61と真空発生装置170とを接続することで、真空配管61を介して空気を排出することによって、印刷ヘッド15の所定の密閉空間を減圧する。第1バルブユニット17は、例えば移動ビーム27上に配置されるが、他の位置に配置されてもよい。
第2バルブユニット18は、印刷ヘッド15に設けられた冷媒流路53と冷却水循環装置180とを接続するか接続しないかを切換可能に構成される(図6参照)。第2バルブユニット18が冷媒流路53と冷却水循環装置180とを接続することで、冷媒流路53を介して冷却水を循環させ、印刷ヘッド15内のペーストPTを冷却する。第2バルブユニット18は、例えば基台11の内部に配置されるが、他の位置に配置されてもよい。
また、基台11の内部には、制御部19が配置される。制御部19は、印刷装置10における各種制御を行う。制御部19が実行する制御の詳細については後述する。なお、制御部19は、基台11の内部とは異なる他の位置に配置されてもよい。
(印刷ヘッドの構成)
次に、印刷ヘッド15の詳細な構成について説明する。
図3Aは、図1のA-A断面図であり、ペーストPTが収容されていない印刷ヘッド15の一例を側方から見た断面図である。図3Bは、図1のA-A断面図であり、ペーストPTが収容された印刷ヘッド15の一例を側方から見た断面図である。図3Bでは、図3Aと比較すると、図3Aに示されている印刷ヘッド15の一部の図示が省略又は簡略化されている。図4は、印刷ヘッド15の一例を前方から見た断面図であり、図3AのB-B断面図である。図4では、印刷ヘッド15にペーストPTが充填されていない状態を示している。
印刷ヘッド15は、加圧シリンダ41、印刷ヘッドベース取付部材42、加圧部材43、カートリッジ44、カートリッジホルダ45及びカートリッジ固定具46(図4参照)を備える。印刷ヘッド15は、印刷ヘッドベース50、ペースト通路51、冷却部材52、冷媒流路53、及び温度センサ54を備える。印刷ヘッド15は、真空管路62、ブレード64、プレート65、ブレード固定具66、及び吸引チャンバ67を備える。また、印刷ヘッド15は、サイドシール材71、密閉用シール材72、及びサイドブロック73を備える。
印刷ヘッド15の印刷ヘッドベース取付部材42には、ロッド48を介して印刷ヘッドベース50が取り付けられる。印刷ヘッドベース50の上面には、カートリッジ44が取り付けられる。また印刷ヘッドベース取付部材42には、出力軸が下方に向けられて加圧シリンダ41が取り付けられる。加圧シリンダ41の出力軸の先端に、加圧部材43が取り付けられる。加圧部材43は、カートリッジ44の蓋44aに当接して押圧する。
カートリッジ44は、例えば、Y軸方向の寸法よりX軸方向の寸法が大きく、X軸方向に延びる略直方体状に構成される。カートリッジ44は、その内部にペーストPTを収容する。カートリッジ44は、蓋44a及び底板44bを含む。蓋44aは、加圧部材43に加圧されることでZ軸方向に移動可能である。底板44bは、ペーストPTが通過する貫通孔を複数有し、例えばメッシュプレートで形成される。蓋44aは、加圧部材43が上側から当接し、加圧シリンダ41によって下方に押圧されることにより、カートリッジ44内のペーストPTを下方へ押し込んで底板44bを介して押し出す。また、カートリッジ44は、印刷ヘッドベース50の上面に沿う両側方に突出した鍔44cを有する。
カートリッジホルダ45は、カートリッジ44の外方においてカートリッジ44に沿って枠型に形成され、カートリッジホルダ45の下端は開口している。カートリッジホルダ45は、カートリッジ44と同様に、印刷ヘッドベース50の上面に沿う鍔45a(図4参照)を有する。カートリッジホルダ45は、印刷ヘッドベース50との間でカートリッジ44を挟持する。カートリッジホルダ45は、カートリッジ固定具46(図4参照)により印刷ヘッドベース50に固定可能である。カートリッジ固定具46に対して固定ボルト47(図4参照)を締結することで、カートリッジ固定具46がカートリッジホルダ45の鍔45aを印刷ヘッドベース50に固定する。そして、カートリッジホルダ45が印刷ヘッドベース50に対して固定されることで、カートリッジホルダ45の内方に保持されたカートリッジ44が印刷ヘッドベース50に対して固定される。一方、カートリッジ固定具46に対して固定ボルト47の締結が解除されることで、印刷ヘッドベース50に対するカートリッジホルダ45の固定が解除される。そのため、カートリッジホルダ45の内方に保持されたカートリッジ44の印刷ヘッドベース50に対する固定が解除される。このように、カートリッジホルダ45は、印刷ヘッドベース50に対して着脱自在であり、交換自在である。
印刷ヘッドベース50は、上面にカートリッジ44が取り付けられる。印刷ヘッドベース50は、例えばY軸方向の中央部に、カートリッジ44の底板44bに対向して、ペーストPTが流れるペースト通路51を有する。カートリッジ44の蓋44aが加圧部材43により押圧されると、カートリッジ44内のペーストPTは、カートリッジ44の底板44bを通過してペースト通路51に進入する。ペースト通路51は、ペースト通路51においてカートリッジ44側からマスク14側に向かってペーストPTを流し、吐出口P1を介してペーストPTを吐出する。ペースト通路51の下端の中央部には開口部が形成される。
ペースト通路51の内部空間には、X軸方向に延在するように形成された冷却部材52が設けられ、ペースト通路51内を挿通されて配置されている。冷却部材52は、断面が四角形状(すなわち四角柱状)の棒状部材であり、例えば熱伝導性の高いアルミニウム等の金属材料により構成される。冷却部材52は、例えば、断面四角形状の頂部及び底部がペースト通路51のY軸方向における中央部に位置している。冷却部材52の外形は、頂部の方が底部よりも鋭角になっている。この冷却部材52の外形形状により、ペースト通路51においてペーストPTが四角柱状の冷却部材52の両側を通過する際に、下方に押し出されるペーストPTの攪拌性が向上する。また、ペーストPTを十分に攪拌することによって、ペーストPTを冷却する際の冷却効率が向上する。
冷却部材52は、内部に円形管路等による冷媒流路53を有する。冷却部材52は、内部の冷媒流路53に冷却水が流れることによって部材の温度が低下し、冷却部材52の周囲のペースト通路51を通るペーストPTを冷却する。また、冷却部材52は、ペースト通路51内に配置されることで、ペーストPTを直接冷却できるので、冷却効率を高くできる。冷却部材52が冷却されることで、ペーストPTの粘度が所定値に維持若しくは調整される。
図4に示すように、冷媒流路53は、冷媒配管55に接続されている。冷媒配管55は、第2バルブユニット18を介して冷却水循環装置180に繋がる。また、印刷ヘッドベース50には、X軸方向の両側からパイプ56が差し込まれている。パイプ56は、内部に冷媒流路53を挿通し、印刷ヘッドベース50に対する冷媒流路53の位置を固定している。温度センサ54は、ペースト通路51内のペーストPTの温度を測定する。温度センサ54は、熱電対を用いたセンサ又は市販の温度計等でよい。
図3A、図3Bに示すように、印刷ヘッドベース50には、Y軸方向に互いに対向して配置された一対のブレード64及び一対のプレート65が取り付けられる。一対のブレード64は、一対のメインブレード64A及び一対の補助ブレード64Bを有する。一対のメインブレード64Aのそれぞれ及び一対の補助ブレード64Bのそれぞれは、隣接して平行に傾斜配置される。Y軸方向において、一対のメインブレード64Aの外側に一対の補助ブレード64Bに配置される。一対のブレード64は、ペースト通路51の開口部をY軸方向の両側から挟んで、逆ハの字型に配置される。また、Y軸方向において、一対の補助ブレード64Bの外側に、一対のプレート65が配置される。プレート65は、ブレード64の上端側の姿勢を維持するようブレード64を支持する。なお、メインブレード64Aと補助ブレード64Bとを特に区別しない場合には、単にブレード64として説明する。
ブレード64は、マスク14又は基板5に当接して吐出したペーストPTを供給する。ブレード64は、発泡ゴム、樹脂等の所定硬度を有する弾性材料により構成される。一対のブレード64は、下方に向かって互いの間隔が狭くなるように傾斜して取り付けられ、印刷動作時に基板5又はマスク14に対して所定角度で当接するようになっている。
ブレード固定具66は、Y軸方向正側に配置され、Y軸方向負側に配置されない。本実施形態では、Y軸方向に沿って往復移動しながら印刷(往復印刷とも称する)を行う。本実施形態では、一例として、Y軸方向正側は、Y軸方向に沿った往復印刷の往路時の印刷方向である。本実施形態では、一例として、Y軸方向負側は、Y軸方向に沿った往復印刷の復路時の印刷方向である。
ブレード固定具66は、例えばブレード64の下方からねじ等の締結部材で締結することで、印刷ヘッドベース50に対してブレード64を固定する。ブレード固定具66にはザグリ加工が施され、ブレード64の外側の下方の空間に吸引チャンバ67が形成される。吸引チャンバ67は真空管路62に接続される。真空管路62は、ブレード固定具66内を挿通され、Y軸方向に沿って延びており、真空配管61に接続される。また、ブレード固定具66が不在である反対側(後側)のブレード64は、プレート65とともに印刷ヘッドベース50にねじ等の締結部材で固定される。
真空配管61は、Y軸方向正側(つまり前側)に配置される。真空配管61は、ブレード固定具66のY軸方向の正側端部の外周に沿ってX軸方向に延びて配置される。真空配管61は、第1バルブユニット17を介して真空発生装置170に繋がる。
また、印刷ヘッド15の下端には、各種のシール材が設けられており、例えば、サイドシール材71、密閉用シール材72、及びサイドブロック73が配置される(図3A、図3B、図5)。サイドシール材71は、ブレード固定具66の下端に設けられ、Y軸方向に沿って延びて配置される。また、サイドシール材71は、X軸方向両端部のそれぞれに配置される。密閉用シール材72は、ブレード固定具66の下端に設けられ、X軸方向に沿って延びて配置される。サイドブロック73は、印刷ヘッド15の下端であるペースト通路51の下端に設けられる。サイドブロック73は、ペースト通路51の下端の開口部の外側に、ペースト通路51の下端の開口部に隣接して、X軸方向の両側に配置される。サイドシール材71、密閉用シール材72、及びサイドブロック73は、金属材料又は樹脂材料等により形成される。サイドシール材71、密閉用シール材72、及びサイドブロック73の材料は同じであっても異なってもよい。
印刷ヘッド15の下端において、一対のメインブレード64Aと一対のサイドブロック73とに囲まれた空間が、ペーストPTを吐出する吐出口P1である(図3A、図5)。また、印刷ヘッド15の下端において、補助ブレード64Bと一対のサイドシール材71と密閉用シール材72とに囲まれた空間が、真空発生装置170により真空吸引するための吸引口P2である(図3A、図5)。吸引口P2は、吐出口P1よりもY軸方向の正側(前側)に形成される。
図5は、印刷ヘッド15の構成例を示す底面図である。
印刷ヘッド15の底面から透視すると、Y軸方向の中央部に、冷媒流路53が挿通された冷却部材52がX軸方向に沿って延びている。冷却部材52の外側には、Y軸方向の中央部からY軸方向の両端部のそれぞれに向かって、メインブレード64A、補助ブレード64B、及びプレート65が設けられている。さらに、Y軸方向の正側では、プレート65よりもY軸方向の正方向の端部側に、密閉用シール材72が設けられている。また、X軸方向の両端部には、前後の両側にサイドシール材71が配置され、X軸方向において所定の間隔で複数の真空管路62が延びている。複数の真空管路62のそれぞれは、X軸方向の中央部側では複数の吸引チャンバ67のそれぞれに接続され、X軸方向の正方向の端部側では真空配管61に接続される。隣接する複数の吸引チャンバ67の間にはブレード固定具66が存在する。ブレード64は、ボルト等の締結手段を介してプレート65によって押さえつけられて安定的に固定される。
印刷ヘッド15の下端の一部は、印刷時にマスク14又は基板5に接触する。印刷ヘッド15の下端には、主にY軸方向の中央部及び中央部よりも正側に、各種のシール材が配置され、例えば、サイドシール材71、密閉用シール材72、及びサイドブロック73が配置される。また、印刷ヘッド15の下端には、ブレード64(メインブレード64A及び補助ブレード64B)の下端が位置する。つまり、印刷ヘッド15の下端に、一対のメインブレード64Aの下端及び一対の補助ブレード64Bの下端が位置する。したがって、印刷ヘッド15がマスク14又は基板5に当接した場合、一対のメインブレード64A及び一対の補助ブレード64Bもシール材として機能する。
印刷時に印刷ヘッド15の下端がマスク14又は基板5に当接すると、一対のメインブレード64Aと一対のサイドブロック73によって吐出口P1が密閉される。したがって、マスク14又は基板5に当接して吐出口P1から吐出されるペーストPTは、印刷ヘッド15の下端において吐出口P1の外側への移動が規制される。よって、印刷装置10は、吐出口P1よりもXY面の外側方向にペーストPTが漏出することを抑制できる。更に、印刷ヘッド15は、一対のメインブレード64AのY軸方向の外側に一対の補助ブレード64Bが配置されることで、吐出口P1の密閉度を一層高めることができ、シール性を向上できる。
また、印刷時にマスク14又は基板5が印刷ヘッド15の下端に当接すると、補助ブレード64Bと一対のサイドシール材71と密閉用シール材72とブレード固定具66とマスク14又は基板5に囲まれた空間が、密閉空間となる。この密閉空間を、真空吸引空間とも称する。真空吸引空間は、Y軸方向の正側に形成され、Y軸方向の負側には形成されない。真空吸引空間には、吸引口P2及び吸引チャンバ67の空間が含まれる。真空吸引空間は、真空管路62及び真空配管61を含む真空経路を経由して真空発生装置170に接続可能である。真空発生装置170によって減圧されることで、真空経路を介して真空吸引空間の空気が吸引されて排出される。
また、一対のサイドシール材71と密閉用シール材72とブレード固定具66は、真空部63を構成する(図3参照)。真空部63は、内部に真空管路62を有し、真空管路62に接続される真空吸引空間を形成する。真空部63は、真空ジャケットとも称される。
印刷ヘッド15は、吸引口P2がマスク14又は基板5に当接してマスク14のパターン孔14h又は基板5のビアホールに存在する空気を好適に吸引できるので、吐出口P1から吐出されたペーストPTをこのビアホールに充填する際の充填性能を向上できる。また、印刷ヘッド15は、一対の補助ブレード64BのY軸方向の内側に一対のメインブレード64Aが配置されることで、密閉空間である吸引口P2の密閉度を一層高めることができ、シール性が向上し、吸引力を向上できる。
図6は、印刷ヘッド15の各配管と各バルブユニットとの一例を示す模式図である。図6では、印刷ヘッド15、第1バルブユニット17、第2バルブユニット18、真空発生装置170、及び冷却水循環装置180の接続関係が示されている。
第1バルブユニット17は、流路切換バルブ75及び排気口77を備える。流路切換バルブ75は、真空配管61と真空発生装置170とを接続するか、真空配管61と排気口77とを接続するか、を切り換える。排気口77は、消音器を有し、印刷装置10の内部の空気を印刷装置10の外部に排気する。印刷時以外では、通常、真空配管61と排気口77とが接続される。
流路切換バルブ75により真空配管61と真空発生装置170とが接続された場合には、真空配管61に接続される真空吸引空間が減圧されて真空にされる。一方、真空配管61と排気口77とが接続された場合には、真空吸引空間が減圧されず真空にされない。
流路切換バルブ75の切替制御は、制御部19により行われる。制御部19は、印刷ヘッド15の進行方向(印刷方向)に従って、流路切換バルブ75を制御してよい。この場合、制御部19は、Y軸方向に沿った往復印刷における往路時には真空吸引空間を減圧して真空にし、復路時には真空吸引空間を減圧せずに真空にしない。したがって、例えば印刷ヘッド15の進行方向がY軸方向正側(前側)の場合、つまり往路時には、制御部19は、流路切換バルブ75が真空配管61と真空発生装置170とを接続するよう制御し、真空吸引空間を減圧する。一方、印刷ヘッド15の進行方向がY軸方向負側(後側)の場合、つまり復路時には、制御部19は、流路切換バルブ75が真空配管61と排気口77とを接続するよう制御し、真空吸引空間を減圧しない。印刷ヘッド15は、往路時のみに真空吸引空間を減圧することで、復路時に、往路において基板5の充填済みのペーストPTを吸引することを抑制できる。なお、復路時において真空吸引空間を往路時よりも弱く減圧しても構わない。
なお、印刷ヘッド15は往復印刷を行うので、印刷ヘッド15の進行方向は、Y軸方向の正方向又は負方向である。ここでは、往路時にY軸方向の正方向(前方向)に進行し、復路時にY軸方向の負方向(後方向)に進行することを例示する。
第2バルブユニット18は、開閉バルブ78及び手動バルブ79を備える。開閉バルブ78は、制御部19によって開閉制御される。制御部19は、例えば運転開始時に開閉バルブ78を駆動して開き、冷却水を通過させる。運転開始とは、例えば印刷装置10に電源が投入されたことであってよい。開閉バルブ78を通過した冷却水は、冷媒流路53を流れ、冷媒流路53を内包する冷却部材52を冷却する。冷媒流路53を流れた冷却水は、冷媒配管55を介して冷却水循環装置180に戻り、冷媒流路53及び冷媒配管55を含む冷却経路を循環する。手動バルブ79は、人手によって手動で開閉される。手動バルブ79は、通常開いた状態に維持されるが、メンテナンス等のために印刷ヘッド15が第2バルブユニット18から取り外される場合、手動バルブ79が閉められる。これにより、第2バルブユニット18は、開閉バルブ78の開閉状態によらずにメンテナンス時などに冷却水が流出することを抑制でき、メンテンナンス等での安全性を向上できる。
図7は、印刷装置10の機能的な構成例を示すブロック図である。印刷装置10は、電気的な構成として、制御部19、Y軸モータ24、昇降駆動部21、加圧シリンダ41、温度センサ54、XYZθテーブル12、流路切換バルブ75、開閉バルブ78、タッチパネルTPを有する。また、制御部19は、真空発生装置170及び冷却水循環装置180と電気的に接続され、例えば通信デバイスを介して通信可能に接続される。なお、タッチパネルTPは、操作部と表示部とを兼ねているが、操作部と表示部とが別々に設けられてもよい。
制御部19は、プロセッサにより構成される。プロセッサは、例えばMPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)を含む。制御部19は、印刷装置10内の各部を制御して印刷動作を実行する。制御部19は、真空発生装置170の動作の制御を指示する。制御部19は、冷却水循環装置180の動作の制御を指示する。
例えば、制御部19は、Y軸モータ24の駆動を制御することで、移動ビーム27のY軸方向の移動を制御し、印刷ヘッド15のY軸方向の移動を制御する。制御部19は、昇降駆動部21の駆動を制御することで、昇降部31のZ軸方向の移動を制御し、印刷ヘッド15のZ軸方向の移動を制御する。これにより、例えばマスク14又は基板5に対する印刷ヘッド15のZ軸方向の位置を調整できる。例えば、マスク14又は基板5に対して印刷ヘッド15のZ軸方向の位置を所定位置(基準位置)より下方に設定することで、マスク14又は基板5に対して印刷ヘッド15のシール材が強く密着し、真空吸引空間の密閉性が向上する。また、例えば、印刷装置10は、マスク14又は基板5に対して印刷ヘッド15のZ軸方向の位置を所定位置より上方に設定することで、マスク14又は基板5に対して印刷ヘッド15のシール材が弱く接触する。これにより、印刷装置10は、印刷ヘッド15のY軸方向の移動時に、充填済みのペーストPTを不要に掻き出すことを抑制できる。
制御部19は、加圧シリンダ41による加圧を制御することで、ペーストPTの吐出具合を制御する。制御部19は、温度センサ54からペーストPTの温度の測定値を取得し、所定の処理(例えばペーストPTを冷却するための冷却水循環装置180の起動又は開閉バルブ78を開く制御)を実行する。制御部19は、XYZθテーブル12の動作を制御することで、基板保持部13の移動を制御する。
制御部19は、流路切換バルブ75による接続状態の切り換えを制御する。制御部19は、開閉バルブ78の開閉状態を制御する。制御部19は、タッチパネルTPの動作を制御する。例えば、制御部19は、タッチパネルTPに対する操作に応じた操作情報を取得し、タッチパネルTPによる各種情報の表示を制御する。タッチパネルTPに対する操作は、冷却水循環装置180が循環させる冷媒の温度を設定するための操作、又は通常の印刷機の設定操作等を含んでよい。
制御部19は、真空発生装置170の起動及び停止を指示するべく、制御信号を真空発生装置170に送信する。例えば、制御部19は、印刷装置10による往復印刷における往路の印刷開始時に、真空発生装置170を起動するための起動信号を含む制御信号を、真空発生装置170に送信してよい。往路の印刷開始時は、例えば、タッチパネルTPを介して往復印刷の往路の開始が指定された際でよい。例えば、制御部19は、印刷装置10による往復印刷における復路の印刷開始時に、真空発生装置170を停止するための停止信号を含む制御信号を、真空発生装置170に送信してよい。往路の印刷開始時は、例えば、タッチパネルTPを介して往復印刷の復路の開始が指定された際や、往復印刷の往路が終了した際でよい。これにより、印刷装置100の往路印刷中には真空発生装置170は作動中となり、印刷装置100の復路印刷中には真空発生装置170は非作動中(停止中)となる。
制御部19は、冷却水循環装置180の起動及び停止を指示するべく、制御信号を冷却水循環装置180に送信する。例えば、制御部19は、印刷装置10の運転開始時に、冷却水循環装置180を起動するための起動信号を含む制御信号を、冷却水循環装置180に送信してよい。例えば、制御部19は、印刷装置10の運転停止時に、冷却水循環装置180を停止するための停止信号を含む制御信号を、冷却水循環装置180に送信してよい。また、制御部19は、例えば印刷動作の開始前に、冷媒温度(例えば冷却水の温度)を設定するための設定情報を含む制御信号を、冷却水循環装置180に送信してよい。冷媒温度は、例えば冷媒の種類によって決定されてもよい。
制御部19は、ペーストPTの温度のモニタリングを行ってよい。例えば制御部19は、温度センサ54の出力に基づいて、ペーストPTの温度を監視してよい。例えば制御部19は、印刷動作の開始前に、ペーストPTの温度が設定範囲にあるか否かを判定してよい。制御部19は、ペーストPTの温度が設定範囲にある場合、印刷装置10による印刷動作を開始させてよい。制御部19は、ペーストPTの温度が設定範囲にない場合、ペーストPTの温度が設定範囲内に収まるまで待機し、ペーストPTの温度が設定範囲内の温度になった場合に、印刷装置10による印刷動作を開始させてよい。また、制御部19は、ペーストPTの温度が設定範囲外となった場合、印刷装置10による印刷動作を停止させてよい。
(印刷装置による印刷動作)
図8は、印刷動作例1を説明するための図である。印刷動作例1は、マスク14を用いて基板5に印刷する印刷動作の例を示す。図8では、進行方向Aが往路時の印刷ヘッド15の進行方向であり、進行方向Bが復路時の印刷ヘッド15の進行方向である。
図8では、基板5は、複数の電極5aを含むパターンを備え、板状に形成される。マスク14には、基板5の上面に複数の電極5aが配置される間隔に対応する所定の間隔で、パターン孔14hが設けられている。
印刷装置10は、図示しない基板搬送装置により搬送されてきた基板5を基板保持部13が受け取って保持する。xyzθテーブル12は、XY平面において移動し、基板5の電極5aとマスク14のパターン孔14hとが対向するように、基板5とマスク14とを位置合わせする(図8(A))。xyzθテーブル12は、Z軸方向に移動し、マスク14のパターン孔14hに基板5の電極5aを対向させて基板5をマスク14の下面に接触させる(図8(B))。これにより、基板5上にマスク14が位置合わせして重ねられる。
制御部19は、印刷装置10による印刷動作を実行する。印刷動作では、印刷ヘッド移動部16が印刷ヘッド15をZ軸方向下方に移動させ、印刷ヘッド15をマスク14上に着地させ、印刷ヘッド15の一対のブレード64のそれぞれの下端縁をマスク14の上面に当接させる。
制御部19は、往復印刷における往路印刷を開始する(図8(C))。往路印刷では、制御部19は、印刷ヘッド15の進行方向を進行方向Aに設定し、昇降駆動部21により印刷ヘッド15を下方へ押圧する力(単に昇降駆動部21の押圧力とも称する)を、往路時の押圧力に設定し、真空発生装置170が作動するよう真空発生装置170に指示する。また、往路印刷では、制御部19は、昇降駆動部21の押圧力を、往路用の押圧力に設定する。この往路用の押圧力及び往路用の押圧力は、例えば図示しないメモリに保持されている。
具体的には、印刷ヘッド移動部16は、印刷ヘッド15をマスク14に対して往路時の進行方向Aに移動させ、一対のブレード64をマスク14上で摺動させる。この間、印刷ヘッド15は、下端の吐出口P1からペーストPTを吐出させ、マスク14の上面にペーストPTを供給し、各電極5a上の各パターン孔14hにペーストPTを充填する。また、この間、印刷ヘッド15とマスク14とが密着することで、マスク14の上面の往路時の進行方向A側に密閉空間としての真空吸引空間SP1が形成される。真空経路を介して真空管路62が真空吸引(真空引き)されることにより、真空吸引空間SP1が減圧される。
印刷ヘッド15は、往路時の進行方向A側(Y軸方向の正側)に真空部63を備えるが、往路時の進行方向A側と反対側(Y軸方向の負側)には真空部63を備えていない。そのため、真空部63に含まれる各シール材(例えばサイドシール材71及び密閉用シール材72)が往路時の進行方向A側と反対側には不在である。そのため、往路印刷時にマスク14のパターン孔14hに充填されたペーストPTが、往路時の進行方向A側と反対側のシール材によって掻き出されることがない。よって、ペーストPTの充填量が減り、接続不良が発生することを防止できる。
往路印刷の終了地点に到達すると、制御部19は、往復印刷における往路印刷を終了し、復路印刷に切り替えて開始する(図8(D))。復路印刷では、同じターンの往路印刷と同じ領域を印刷する。なお、一回の往路印刷とこの往路印刷に対する一回の復路印刷とで、1ターン(1往復)の往復印刷とする。往復印刷では、往路印刷の終了時に制御部19の制御により印刷ヘッド15が上方に持ち上げられない。よって、印刷装置10は、マスク14のパターン孔14hに充填されなかったペーストPTがマスク14上に残りペースト残渣が発生することを抑制できる。
復路印刷では、制御部19は、印刷ヘッド15の進行方向を進行方向Bに設定し、真空発生装置170が作動しないよう真空発生装置170に指示する。また、復路印刷では、制御部19は、昇降駆動部21の押圧力を、復路用の押圧力に設定する。復路用の押圧力は、例えば図示しないメモリに保持されている。復路用の押圧力は、往路用の押圧力よりも低く設定されている。
具体的には、印刷ヘッド移動部16は、印刷ヘッド15をマスク14に対して復路時の進行方向Bに移動させ、一対のブレード64をマスク14上で摺動させる。この間、印刷ヘッド15は、下端の吐出口P1からペーストPTを吐出させ、マスク14の上面にペーストPTを供給し、各電極5a上の各パターン孔14hにペーストPTを充填する。また、この間、印刷ヘッド15とマスク14とが密着しても、復路時の進行方向B側には真空部63が不在であるので、この進行方向B側に密閉空間としての真空吸引空間SP1は形成されない。
また、マスク14の上面の復路時の進行方向Bと反対側(Y軸方向の正側)には真空吸引空間SP1が形成されているが、真空経路を介して真空管路62が真空吸引(真空引き)されないので、真空吸引空間SP1が減圧されず、常圧となる。また、復路時の進行方向Bと反対側(Y軸方向の正側)には、真空部63が設けられており、各シール材(例えばサイドシール材71及び密閉用シール材72)が存在する。ここで、昇降駆動部21の押圧力が復路用の押圧力に設定されている。この復路用の押圧力は、復路印刷時に印刷ヘッド15がY軸方向に移動してもシール材により充填済みのペーストPTをマスク14のパターン孔14hから掻き出さない程度の押圧力である。つまり、この復路用の押圧力は、昇降駆動部21の押圧力によりシール材が下方に押圧されてもマスク14のパターン孔14hに沈み込まない程度の押圧力である。そのため、復路印刷時にマスク14のパターン孔14hに充填されたペーストPTが、復路時の進行方向B側と反対側のシール材によって掻き出されることを抑制できる。よって、復路印刷時においても、ペーストPTの充填量が減り、接続不良が発生することを防止できる。
印刷装置10では、1ターンの復路印刷が終了しても、この終了時に制御部19の制御により印刷ヘッド15が上方に持ち上げられない。この場合でも、印刷装置10は、マスク14上を摺動させながら次の往路印刷にスムーズに移行可能なためである。よって、印刷ヘッド15は、復路印刷(つまり1ターンの往復印刷)終了時にZ軸方向には移動しないので、充填されなかったペーストPTがマスク14上に残りペースト残渣が発生することを抑制できる。
印刷装置10による往復印刷の全体が完了し、マスク14における全てのパターン孔14hにペーストPTを充填完了すると、印刷ヘッド移動部16は、印刷ヘッド15の移動を停止させ、印刷ヘッド15は、加圧シリンダ41によるペーストPTの加圧を停止させてペーストPTを非供給状態とする。そして、印刷ヘッド移動部16が印刷ヘッド15を上昇させて、一対のブレード64の下端縁をマスク14の上面から離間させる。次に、XYZθテーブル12が基板保持部13を下降させ、基板5をマスク14から離間(版離れ)させる。これにより基板5の各電極5a上にペーストPTが残り、基板5にペーストPTが印刷された状態となる。このようにして基板5へのペーストPTの印刷動作が完了すると、図示しない基板搬送装置によって、基板保持部13から基板5を取り外し、印刷装置10の外部に搬送する(図8(E))。
図9は、印刷動作例2を説明するための図である。印刷動作例2は、マスク14を用いずに基板5に印刷する印刷動作の例を示す。例えば、ソルダレジストを有する基板に対して印刷を行う場合、マスクを用いずに基板の凹部にペーストを直接塗布することがある。この場合の動作について説明する。なお、図9では、図8と同様に、進行方向Aが往路時の印刷ヘッド15の進行方向であり、進行方向Bが復路時の印刷ヘッド15の進行方向である。
図9では、基板5は、複数の電極5aを含むパターンを備えた板状の基材5bの上面に、電極5aが露出するようにソルダレジスト5cを設けた構成となっている。基板5の電極5aの上側(Z軸方向正側)に、ソルダレジスト5cが不在である凹部5d(ビアホール)が形成される。
印刷装置10は、図示しない基板搬送装置により搬送されてきた基板5を基板保持部13が受け取って保持する(図9(A))。xyzθテーブル12は、XY平面に沿う方向及びZ軸方向に移動し、印刷ヘッド15の下端に基板5の電極5aを対向させて基板5を印刷ヘッド15の下端に接触させる。
制御部19は、印刷装置10による印刷動作を実行する。印刷動作では、印刷ヘッド移動部16が印刷ヘッド15をZ軸方向下方に移動させ、印刷ヘッド15を基板5上に着地させ、印刷ヘッド15の一対のブレード64のそれぞれの下端縁を基板5の上面に当接させる。
制御部19は、往復印刷における往路印刷を開始する(図9(B))。往路印刷では、制御部19は、印刷ヘッド15の進行方向を進行方向Aに設定し、真空発生装置170が作動するよう真空発生装置170に指示する。また、往路印刷では、制御部19は、往路時の昇降駆動部21の押圧力を、往路用の押圧力に設定する。この往路用の押圧力は、例えば図示しないメモリに保持されている。
具体的には、印刷ヘッド移動部16は、印刷ヘッド15を基板5に対して往路時の進行方向Aに移動させ、一対のブレード64を基板5上で摺動させる。この間、印刷ヘッド15は、下端の吐出口P1からペーストPTを吐出させ、基板5の上面にペーストPTを供給し、各電極5a上の各凹部5dにペーストPTを充填する。また、この間、印刷ヘッド15と基板5とが密着することで、基板5の上面に往路時の進行方向A側に真空吸引空間SP1が形成される。真空経路を介して真空管路62が真空吸引されることにより、真空吸引空間SP1が減圧される。
印刷ヘッド15は、往路時の進行方向A側(Y軸方向の正側)に真空部63を備えるが、往路時の進行方向A側と反対側(Y軸方向の負側)には真空部63を備えていない。そのため、真空部63に含まれる各シール材(例えばサイドシール材71及び密閉用シール材72)が往路時の進行方向A側と反対側には不在である。そのため、往路印刷時に基板5に充填されたペーストPTが、往路時の進行方向A側と反対側のシール材によって掻き出されることがない。よって、ペーストPTの充填量が減り、接続不良が発生することを防止できる。
往路印刷の終了地点に到達すると、制御部19は、往復印刷における往路印刷を終了し、復路印刷に切り替えて開始する(図9(C))。復路印刷では、同じターンの往路印刷と同じ領域を印刷する。往復印刷では、往路印刷の終了時に制御部19の制御により印刷ヘッド15が上方に持ち上げられない。よって、印刷装置10は、基板5に充填されなかったペーストPTが基板5上に残りペースト残渣が発生することを抑制できる。
復路印刷では、制御部19は、印刷ヘッド15の進行方向を進行方向Bに設定し、真空発生装置170が作動しないよう真空発生装置170に指示する。制御部19は、真空発生装置170が作動しないように指示する代わりに、復路時に真空発生装置170により減圧する力を、往路時に真空発生装置170により減圧する力をよりも小さくするように、真空発生装置170に指示してもよい。この場合、復路時には、往路時よりも弱い真空(負圧)が発生する。また、復路印刷では、制御部19は、昇降駆動部21の押圧力を、復路用の押圧力に設定する。この復路用の押圧力は、例えば図示しないメモリに保持されている。復路用の押圧力は、往路用の押圧力よりも低く設定されている。
具体的には、印刷ヘッド移動部16は、印刷ヘッド15を基板5に対して復路時の進行方向Bに移動させ、一対のブレード64を基板5上で摺動させる。この間、印刷ヘッド15は、下端の吐出口P1からペーストPTを吐出させ、基板5の上面にペーストPTを供給し、各電極5a上の各凹部5dにペーストPTを充填する。また、この間、印刷ヘッド15とマスク14とが密着しても、復路時の進行方向B側には真空部63が不在であるので、この進行方向B側(Y軸方向の負側)に密閉空間としての真空吸引空間SP1は形成されない。
また、基板5の上面の復路時の進行方向Bと反対側(Y軸方向の正側)には真空吸引空間SP1が形成されているが、真空経路を介して真空管路62が真空吸引(真空引き)されないので、真空吸引空間SP1が減圧されず、常圧となる。または、真空経路を介して真空管路62が真空吸引(真空引き)される力が小さいので、真空吸引空間SP1が常圧に近い状態となる。また、復路時の進行方向Bと反対側(Y軸方向の正側)には、真空部63が設けられており、各シール材(例えばサイドシール材71及び密閉用シール材72)が存在する。ここで、昇降駆動部21の押圧力が復路用の押圧力に設定されている。復路印刷時に印刷ヘッド15がY軸方向に移動してもシール材により充填済みのペーストPTを基板5から掻き出さない程度の押圧力である。つまり、この復路用の押圧力は、昇降駆動部21の押圧力によりシール材が下方に押圧されても基板5の凹部5dに沈み込まない程度の押圧力である。そのため、復路印刷時に基板5に充填されたペーストPTが、復路時の進行方向B側と反対側のシール材によって掻き出されることを抑制できる。よって、復路印刷時においても、ペーストPTの充填量が減り、接続不良が発生することを防止できる。
印刷装置10では、1ターンの復路印刷が終了しても、この終了時に制御部19の制御により印刷ヘッド15が上方に持ち上げられない。この場合でも、印刷装置10は、マスク14上を摺動させながら次の往路印刷にスムーズに移行可能なためである。よって、印刷ヘッド15は、復路印刷(つまり1ターンの往復印刷)終了時にZ軸方向には移動しないので、充填されなかったペーストPTが基板5上に残りペースト残渣が発生することを抑制できる。
印刷装置10による往復印刷の全体が完了し、基板5上の全ての凹部5dにペーストPTを充填完了すると、印刷ヘッド移動部16は、印刷ヘッド15の移動を停止させ、印刷ヘッド15は、加圧シリンダ41によるペーストPTの加圧を停止させてペーストPTを非供給状態とする。そして、印刷ヘッド移動部16が印刷ヘッド15を上昇させて、一対のブレード64の下端縁を基板5の上面から離間させる。これにより基板5の各電極5a上の凹部5dにペーストPTが残り、基板5にペーストPTが印刷された状態となる。このようにして基板5へのペーストPTの印刷動作が完了すると、図示しない基板搬送装置によって、基板保持部13から基板5を取り外し、印刷装置10の外部に搬送する(図9(D))。
次に、比較例について説明する。
以下の比較例では、本実施形態と同一の構成部については、本実施形態において付した符号に「X」を付して説明する。
図10は、比較例1における印刷装置10Xの印刷ヘッド15Xの構成を示す概略図である。
比較例1では、真空部63Xに相当する真空ジャケット101Xが、印刷ヘッド15Xが印刷時に移動するY軸方向の両側に配置されている。また、印刷装置10Xは、往復印刷ではなく一方向印刷(片道印刷)を行うことを想定している。
印刷ヘッド15Xは、真空ジャケット101Xの真空経路が真空引きされながら、クランパ102Xによって所定の位置に保持された基板5X上で、一対のブレード64Xを進行方向AXに摺動する。この場合、印刷装置10は、基板5Xの各凹部5dXを通過すると、各凹部5dXにペーストPTを順に充填していく。この際、2つの真空ジャケット101Xのうち、進行方向AXとは反対側(後側)にある真空ジャケット101Xの密閉用シール材72X(パッキン)が、凹部5dXに充填されたペーストPTを掻き出すことがある。そのため、印刷品質が低下し得る。
図11は、比較例2における印刷装置10Xの印刷ヘッド15Xの構成を示す概略図である。
比較例2では、真空ジャケット101Xが、印刷ヘッド15Xが印刷時に移動するY軸方向の進行方向AX側(Y軸方向の正側、前側)に設けられているが、進行方向AXとは反対側(Y軸方向の負側、後側)には設けられていない。また、印刷装置10Xは、往復印刷ではなく一方向印刷(片道印刷)を行うことを想定している。
印刷ヘッド15Xは、真空ジャケット101Xの真空経路が真空引きされながら、クランパ102Xによって所定の位置に保持された基板5X上で、一対のブレード64Xを進行方向AXに摺動する。この場合、印刷装置10Xは、基板5Xの各凹部5dXを通過すると、各凹部5dXにペーストPTを順に充填していく。一方向印刷が終了すると(刷り終わると)、印刷ヘッド15Xは、進行方向AXとは垂直なZ軸方向に持ち上げられる。この際、吐出口P1Xから吐出されたペーストPTが一部残り、ペースト残渣が発生することがある。
これに対し、本実施形態の印刷装置10は、真空部63により真空引きしながら印刷(真空印刷)するので、例えば、ピット型の閉塞穴基板へのペーストPTの埋め込みであっても、閉塞穴(例えばマスク14のパターン孔14h又は基板5の凹部5d)の空気を追い出しながら好適に印刷可能である。また、印刷装置10は、進行方向Aとは反対側には真空部63が不在であるので、真空部63に含まれるシール材(例えばサイドシール材71及び密閉用シール材72)も不在である。そのため、往路印刷時にマスク14のパターン孔14h又は基板5の凹部5dに充填されたペーストPTが、往路時の進行方向と反対側のシール材によって掻き出されることがない。よって、印刷装置100は、ペーストPTの充填量が不十分となり、電極5aにおいて接続不良が発生することを抑制できる。
また、印刷装置10は、往復印刷を実行可能であるので、往路印刷が終点に達した際に印刷ヘッド15を持ち上げることなく、復路印刷を開始可能である。また、印刷装置10は、復路印刷が終点に達した際に印刷ヘッド15を持ち上げることなく、次のターンの往路印刷を開始可能である。よって、印刷装置10は、往復印刷を行うことで、印刷ヘッド15を持ち上げた際にマスク14上に残るペースト残渣の発生を抑制できる。
以上のように、本実施形態の印刷装置10は、ペーストPTが充填された印刷ヘッド15を所定の印刷方向(例えば往路時の進行方向A又は復路時の進行方向B)へ移動させて、ペーストPTを被印刷物(例えば基板5)へ直接塗布する或いは被印刷物に重ねて配置されたマスク14のパターン孔14hを通じて塗布する。印刷ヘッド15は、ペーストPTを収容するペースト収容部(例えばカートリッジ44)と、ペースト吐出部(例えば印刷ヘッドベース50)と、ペースト加圧部(例えば加圧シリンダ41)と、真空部63と、を有する。真空部63は、例えば、ブレード固定具66、サイドシール材71、及び密閉用シール材72を含んで構成される。ペースト吐出部は、マスク14又は基板5に接触する第1のシール材によって形成されたペースト吐出口(例えば吐出口P1)からペースト収容部に繋がるペースト通路51を有する。この第1のシール材は、例えば、メインブレード64A、補助ブレード64B、及びサイドブロック73を含んで構成される。ペースト加圧部は、ペースト収容部のペーストPTをペースト吐出口へ押し出す。真空部63は、マスク14又は基板5の上面に第1のシール材を接触させた際に、ペースト吐出口に対して印刷方向の往路側に隣接する密閉空間を上面に形成する。真空部63は、真空発生部(例えば真空発生装置170)に接続された真空配管61と密閉空間(例えば真空吸引空間SP1)とを接続する真空管路62を有する。印刷装置10は、被印刷物(例えば基板5)又はマスク14の上面を滑らせて印刷ヘッド15を移動させる印刷ヘッド移動部16と、を備える。
これにより、印刷装置10は、印刷方向の往路側に密閉空間を形成することで、真空発生部により真空引きしながら印刷できる。また、印刷方向の往路側の反対側に密閉空間を形成しないことで、往路側の反対側に第1のシール材も不在となる。よって、印刷装置10は、往路側と反対側の第1のシール材により基板5又はマスク14のパターン孔14hに充填済みのペーストPTが掻き出されることを抑制でき、印刷品質を向上できる。
また、ペースト通路51は、ペースト加圧部によってペースト収容部の底面(例えば底板44b)から押し出されたペーストPTを、ペースト通路51の下方に位置するペースト吐出口へ導いてよい。
これにより、印刷装置10は、Z軸方向に沿って上方から下方へペーストPTを導き、マスク14又は基板5に充填可能である。
また、真空部63は、マスク14又は基板5の上面に接触する第2のシール材(例えばサイドシール材71、密閉用シール材72)を有し、第2のシール材と第1のシール材とに囲まれた吸引口P2を含む密閉空間を上記の上面に形成してよい。
これにより、印刷装置10は、サイドシール材71、密閉用シール材72、及びブレード64(例えば補助ブレード64B)等で囲まれた範囲内に密閉空間を生成でき、吸引口P2を減圧できる。また、印刷装置10は、ペースト吐出口に隣接して密閉空間を生成することで、印刷ヘッド15が移動しながら、ペーストPTの充填箇所(例えばマスク14のパターン孔14h又は基板5の凹部5d)の空気を排出した後に、直ぐにこの充填箇所にペーストPTを充填できる。
また、印刷装置10は、印刷ヘッド15が印刷方向の復路方向へ移動してペーストPTの塗布を行う場合には、真空発生部が作動しないよう真空発生部に指示する制御部19を備えてよい。
これにより、印刷装置10は、往路印刷時に充填済みのペーストPTを、真空引きにより真空経路の方向に吸引することを抑制できる。これにより、マスク14又は基板5へのペーストPTの充填量が低減することを抑制でき、印刷品質を向上できる。
また、印刷装置10は、印刷ヘッド15が印刷方向の復路方向へ移動してペーストPTの塗布を行う場合には、印刷ヘッド15が印刷方向の往路方向へ移動してペーストPTの塗布を行う場合よりも、真空発生部により減圧する力を小さくするよう真空発生部に指示する制御部19を備えてよい。
これにより、印刷装置10は、往路印刷時に充填済みのペーストPTを、真空引きにより真空経路の方向に吸引することを抑制できる。これにより、マスク14又は基板5へのペーストPTの充填量が低減することを抑制でき、印刷品質を向上できる。
また、印刷ヘッド移動部16(例えば昇降駆動部21)は、マスク14の面又は基板5の面に垂直な第1の方向(例えばZ軸方向)に沿って印刷ヘッド15を押圧可能でよい。印刷ヘッド移動部16による第1の方向への押圧力は、往路の印刷時の押圧力よりも復路の印刷時の押圧力の方が小さい。
これにより、印刷装置10は、往路印刷時には印刷ヘッド移動部16による印刷ヘッド15に対する押圧力を大きくすることで、第1のシール材がマスク14又は基板5に強く押し当てられるので、第1のシール材による密閉空間の密閉性を向上できる。また、印刷装置10は、復路印刷時には印刷ヘッド移動部16による押圧力を小さくすることで、第1のシール材がマスク14又は基板5を押圧する力を低減できる。したがって、印刷装置10は、復路印刷時において、第1のシール材がマスク14又は基板5において充填済みのペーストPTを掻き出すことを抑制できる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
上記実施形態では、Y軸方向の正方向を往路時の進行方向として主に例示したが、これに限られない。印刷装置10は、Y軸方向の負方向を往路時の進行方向Aとし、Y軸方向の正方向を復路時の進行方向Bとしてもよい。この場合、Y軸方向の負側に真空部63が設けられ、Y軸方向の正側に真空部63が設けられない。また、Y軸方向の正側に真空部63が設けられ、Y軸方向の負側に真空部63が設けられない印刷装置10と、Y軸方向の負側に真空部63が設けられ、Y軸方向の正側に真空部63が設けられない印刷装置10と、の双方が用意されてもよい。この場合、例えば、往路方向がY軸方向のどちら方向であるかに応じて、Y軸方向の正方向及び負方向のどちら側に真空部63を備える印刷装置10を使用するかが、使い分けられてもよい。いずれの場合でも、往路の進行方向A(Y軸方向の正側又は負側)と反対側(Y軸方向の負側又は正側)には密閉空間を形成するためのシール材が存在しないので、印刷装置10は、このシール材が充填済みのペーストPTを掻き出すことを抑制できる。
上記実施形態では、Y軸方向の往路時の進行方向Aに真空部63が設けられ、復路時の進行方向Bに真空部63が設けられない印刷装置10を例示したが、これに限られない。例えば、印刷装置10において、Y軸方向の往路時の進行方向A及び復路時の進行方向Bの双方に真空部63が設けられてもよい。この場合でも、往路時には、昇降駆動部21の押圧力が往路用の押圧力に設定され、復路時には、昇降駆動部21の押圧力が復路用の押圧力に設定されてよい。また、往路時には、真空発生装置170が作動し、復路時には、真空発生装置170が作動しないように又は真空発生装置170による減圧の力が往路時よりも小さくなるようにされてもよい。これにより、上述したY軸方向の一方側のみに真空部63が設けられた場合と同様の効果が得られる。
上記実施形態では、印刷装置10がペーストPTを冷却するための構成を有することを例示したが、これに限られず、印刷装置10がペーストPTを冷却するための構成を有しなくてもよい。例えば、第2バルブユニット18、冷却部材52、冷媒流路53、温度センサ54、冷媒配管55、又は冷却水循環装置180等が設けられてなくてもよい。
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現可能である。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「先ず、」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。