以下、図面を参照しながら、実施形態に係る車両用排気管1について説明する。なお、各図中のFR,RRは、車両用排気管1の前後方向前方、後方を、LH,RHは、車両用排気管1の幅方向左方、右方を、UP,DNは、車両用排気管1の上下方向上方、下方のそれぞれを示す。なお、同一の機能を有する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1乃至図8に示す例では、車両用排気管1の前方は車両前後方向前方に、後方は車両前後方向後方に相当する。また、車両用排気管1の左方は車幅方向左方に、右方は車幅方向右方に相当する。また、車幅方向における車両中心側を車幅方向内方といい、車幅方向内方とは反対側を車幅方向外方という。各図中では車幅方向内方をISで示し、車幅方向外方をOSで示す。なお、以下の説明では、車両前後方向前方、後方を、それぞれ単に「車両前方」「車両後方」と称する。
実施形態に係る車両用排気管1は、図示しないエンジンにより駆動する車両の、排気ガスを外部に放出するために用いることができる。当該エンジンは、一側、及び他側にバンクを備えるV型エンジンであってもよい。また、当該バンクの各々に、図示しない排気マニホールドが接続されていてもよい。
図1又は図2に例示するように、実施形態に係る車両用排気管1は、第1配管10と、第1分岐管30と、消音器40と、を備える。
第1配管10は、エンジンからの排気ガスが流通する配管である。第1配管10は、円筒状の配管部材であり、例えばステンレス、鉄等の金属から構成されてもよい。また、第1配管10の内部には、第1配管10の延在方向に垂直な断面において略円形の形状を有する内部空間13が形成されている。
第1配管10は、直接的に、又は間接的にエンジンの一側に形成された排気マニホールドに接続されている。そのため、第1配管10の内部空間13には、図1の矢印Aに示すように、エンジンの排気ガスが流入する。なお、第1配管10と排気マニホールドとを間接的に接続する場合には、例えば端部11よりも車両前方に、図示しない他の配管部材や、排気ガスを浄化する装置である図示しない触媒コンバータを介在させてもよい。
図に例示するように、第1配管10は、端部11と、端部12と、を有する。端部11は、直接的、又は間接的にエンジンと接続される端部である。端部11には、第1配管10の径方向外方に延出するフランジ部が形成されていてもよい。端部12は、第1配管10の端部11とは反対側の端部である。端部12には消音器40が接続されている。
図示した例では、第1配管10は、端部11から車両後方に延出した後、車幅方向外方かつ車両後方に向けて延出している。そして、曲げ始端部21から湾曲が始まり、曲げ終端部22で湾曲が終わり、第1曲管部20が形成される。そして、曲げ終端部22から車幅方向内方に延出し、端部12で消音器40と接続されている。
第1配管10には消音器40が設けられている。消音器40は、エンジンの排気音の音量を低減する装置である。図示した例では、消音器40は車幅方向に延在しており、消音器40の一側の端部41に、第1配管10の端部12が接続されている。
なお、消音器40には、公知の方式により排気音量を低下させる消音器を適用することができる。例えば、消音器40は、排気ガスを段階的に膨張させることで排気音量を低減する膨張型消音器や、内部に配設された吸音材で排気音を吸収し排気音量を低減する吸収型消音器や、ヘツムホルツ共鳴を利用したレゾネータ型消音器であってもよい。なお、図示した例では、消音器40は第1配管10に接続されているが、これに限定されない。例えば、より車幅方向内方に端部12が位置するように、直管部26を車幅方向内方に向けて延伸させ、第1配管10のうち端部12と曲げ終端部22との間の部分の側方に、共振器によって排気音を減衰する消音器40を設けてもよい。また、当該部分における配管内部の空間に消音器40を配設してもよい。
第1配管10は、エンジン側から消音器40側にかけて一方向に湾曲する第1曲管部20を含む。図示した例では、第1曲管部20は端部11と端部12との間に配設されている。
図3に示す例では、第1曲管部20の管軸23は平面上に延在する曲線から構成され、当該曲線は変曲点を含まない。また、管軸23は直線を含まない。図に示した例では、管軸23は曲率半径R1の曲率円O1の円弧である。また、曲率円O1の曲率中心C1は、管軸23の車幅方向内方に位置している。なお、管軸23は、例えば、二次曲線や、曲げ始端部21側の端部から、曲げ終端部22側の端部にかけて曲率が連続的に増減する曲線であってもよいし、同一平面上になくてもよい。なお、曲率半径R1は、例えば10mm以上に設定されていてもよい。また、第1曲管部20における配管内径は、例えば20mm以上120mm以下に設定されていてもよい。
第1曲管部20はこのような管軸23を有するため、エンジン側の曲げ始端部21から消音器40側の曲げ終端部22にかけて一方向に湾曲する。曲げ始端部21は第1曲管部20の湾曲が始まる部分である。曲げ始端部21は第1曲管部20のエンジン側の端部を構成する。曲げ終端部22は第1曲管部20の湾曲が終わる部分である。曲げ終端部22は第1曲管部20の消音器40側の端部を構成する。
図示した例では、第1配管10のうち曲げ始端部21に接続されている部分は直管部24により構成されている。直管部24は直線状に延在する円筒部であり、管軸25を有する。管軸25は直線から構成されている。また、第1配管10のうち曲げ終端部22に接続されている部分は、直管部26により構成されている。直管部26は直線状に延在する円筒部であり、管軸27を有する。管軸27は直線から構成されている。管軸25と管軸23とは曲げ始端部21において接続されている。管軸27と管軸23とは曲げ終端部22において接続されている。また、管軸23と、管軸25と、管軸27と、は同一平面上に延在していてもよい。
なお、第1曲管部20は、第1配管10と一体、又は別体として構成されていてもよい。例えば、第1配管10を所定の曲率で湾曲させることで、第1配管10に第1曲管部20が一体的に形成されてもよい。また、別体として構成された第1曲管部20の一側端部、及び他側端部に配管部材を接続することにより、第1配管10を形成してもよい。
図1又は図2に示すように、第1分岐管30は、消音器40よりエンジン側の第1配管10に接続され、第1配管10内の排気ガスの少なくとも一部を外部に排出する配管である。また、第1分岐管30は、第1曲管部20の湾曲が始まる曲げ始端部21と、湾曲が終わる曲げ終端部22と、の間で、第1配管10に接続されている。
図示した例では、第1分岐管30は、その延在方向に垂直な断面において略円形の形状を有する筒状部材であり、例えばステンレス、鉄等の金属から構成されていてもよい。また、第1分岐管30は消音器が配設、又は接続されてもよい。第1分岐管30の端部31は、第1曲管部20のうち曲げ始端部21と曲げ終端部22との間に接続されている。従って、端部31は、第1配管10の消音器40よりもエンジン側に接続されている。また、第1分岐管30は端部31から車幅方向外方に向けて延出している。
第1分岐管30の内部空間34と、第1配管10の内部空間13とは連通している。そのため、第1配管10に導入された排気ガスの少なくとも一部は内部空間34に流れる。なお、第1分岐管30は図示しない円筒状のテールパイプを備えてもよい。
第1分岐管30の端部32には、第1排気口36が形成されている。端部32は、第1分岐管30の端部31とは反対側の端部である。図示した例では、端部32は第1分岐管30の車両後方側の端部を構成する。第1排気口36は端部32に形成された外向きの開口であり、第1排気口36を介して、内部空間34と車両用排気管1の外部とが連通している。そのため、第1分岐管30の内部空間34に流れた排気ガスを外部に排出することができる。
図3に示すように、第1分岐管30は、第1曲管部20の湾曲外方側に接続されている。湾曲外方とは、湾曲する曲管の管軸を構成する曲線が突出する方向をいう。図示した例では、第1曲管部20の湾曲外方側は、第1曲管部20が湾曲する際に膨出する方向側であり、第1曲管部20が形成するカーブの外側である。第1曲管部20の湾曲外方は、車幅方向外方に相当する。また、第1分岐管30は、第1曲管部20における、曲率円O1の径方向外方側の管壁に接続されている。
第1分岐管30の第1配管10に接続されている端部31の管軸33は、第1曲管部20の管軸23を含む平面上に延在してもよい。管軸33は、第1分岐管30の端部31における管軸であり、直線から構成されている。なお、当該直線には、第1曲管部20に向けて延出する半直線も含まれるものとする。図示した例では、管軸33は曲率円O1が延在する平面上に延在している。即ち、管軸25と、管軸27と、管軸33とは同一平面上に延在してもよい。
第1分岐管30の第1配管10に接続されている端部31の管軸33は、第1曲管部20の管軸23と直交してもよい。図示した例では、管軸23と管軸33とは交点P1で直交する。換言すれば、管軸33は交点P1における管軸23の法線である。また、管軸23は曲率円O1の円弧から構成されているため、管軸33を構成する直線と、曲率円O1とが直交している。即ち、第1曲管部20に第1分岐管30が直角に接続されてもよい。
なお、図に例示するように、第1分岐管30の第1配管10に接続されている端部31の管軸33は、第1曲管部20の管軸23の曲率中心C1を通ってもよい。これにより、後述する高回転数状態において、第1配管10内部を伝播してきた排気音の音波を、より確実に第1分岐管30内部に伝播させることができる。
また、直管部24と直管部26とがなす角のうち、小さい方の角度は、0度以上90度以下であってもよい。即ち、管軸25と管軸27とがなす角のうち、小さい方の角度θ1は、0度以上90度以下であってもよい。これにより、後述する高回転数状態において、第1配管10内部を伝播してきた排気音の音波を、より確実に第1分岐管30内部に伝播させることができる。
図1又は図2に例示するように、車両用排気管1は、第2配管50と、第2分岐管70と、を備えてもよい。
第2配管50は、エンジンからの排気ガスが流通する配管である。第2配管50は、円筒状の配管部材であり、例えばステンレス、鉄等の金属から構成されてもよい。また、第2配管50の内部には、第2配管50の延在方向に垂直な断面において略円形の形状を有する内部空間53が形成されている。
第2配管50は、直接的に、又は間接的にエンジンの他側に形成された排気マニホールドに接続されている。そのため、第2配管50の内部空間53には、図1の矢印Bに示すように、エンジンの排気ガスが流入する。なお、第2配管50と排気マニホールドとを間接的に接続する場合には、例えば端部51よりも車両前方に、図示しない他の配管部材や、排気ガスを浄化する装置である図示しない触媒コンバータを介在させてもよい。
図に例示するように、第2配管50は、端部51と、端部52と、を有する。端部51は、直接的、又は間接的にエンジンと接続される端部である。端部51には、第2配管50の径方向外方に延出するフランジ部が形成されていてもよい。端部52は、第2配管50の端部51とは反対側の端部である。端部52には消音器40が接続されている。
図示した例では、第2配管50は、端部51から車両後方に延出した後、車幅方向外方かつ車両後方に向けて延出している。そして、曲げ始端部61から湾曲が始まり、曲げ終端部62で湾曲が終わり、第2曲管部60が形成される。そして、曲げ終端部62から車幅方向内方に延出し、端部52で消音器40と接続されている。
第2配管50は、消音器40を介して第1配管10と連通し、エンジンからの排気ガスを消音器40に流入させる配管である。図示した例では、消音器40の他側の端部42には、第2配管50の端部52が接続されている。そのため、第1配管10の内部空間13と、第2配管50の内部空間53とは、消音器40の内部を介して連通している。また、第2配管50に流入したエンジンの排気ガスの少なくとも一部は、端部42から消音器40内に流入する。
第2配管50は、エンジン側から消音器40側にかけて一方向に湾曲する第2曲管部60を含む。図示した例では、第2曲管部60は端部51と端部52との間に配設されている。
図4に示す例では、第2曲管部60の管軸63は平面上に延在する曲線から構成され、当該曲線は変曲点を含まない。また、管軸63は直線を含まない。図に示した例では、管軸63は曲率半径R2の曲率円O2の円弧である。また、曲率円O2の曲率中心C2は、管軸63の車幅方向内方に位置している。なお、管軸63は、例えば、二次曲線や、曲げ始端部61側の端部から、曲げ終端部62側の端部にかけて曲率が連続的に増減する曲線であってもよいし、同一平面上になくてもよい。なお、曲率半径R2は、例えば10mm以上に設定されていてもよい。また、第2曲管部60における配管内径は、例えば20mm以上120mm以下に設定されていてもよい。
第2曲管部60はこのような管軸63を有するため、エンジン側の曲げ始端部61から消音器40側の曲げ終端部62にかけて一方向に湾曲する。曲げ始端部61は第2曲管部60の湾曲が始まる部分である。曲げ始端部61は第2曲管部60のエンジン側の端部を構成する。曲げ終端部62は第2曲管部60の湾曲が終わる部分である。曲げ終端部62は第2曲管部60の消音器40側の端部を構成する。
図示した例では、第2配管50のうち曲げ始端部61に接続されている部分は、直管部64により構成されている。直管部64は直線状に延在する円筒部であり、管軸65を有する。管軸65は直線から構成されている。また、第2配管50のうち曲げ終端部62に接続されている部分は、直管部66により構成されている。直管部66は直線状に延在する円筒部であり、管軸67を有する。管軸67は直線から構成されている。管軸65と管軸63とは曲げ始端部61において接続されている。管軸67と管軸63とは曲げ終端部62において接続されている。また、管軸63と、管軸65と、管軸67と、は同一平面上に延在してもよい。
なお、第2曲管部60は、第2配管50と一体、又は別体として構成されていてもよい。例えば、第2配管50を所定の曲率で湾曲させることで、第2配管50に第2曲管部60が一体的に形成されてもよい。また、別体として構成された第2曲管部60の一側端部、及び他側端部に配管部材を接続することにより、第2配管50を形成してもよい。
図1又は図2に示すように、第2分岐管70は、消音器40よりエンジン側の第2配管50に接続され、第2配管50内の排気ガスの少なくとも一部を外部に排出する配管である。また、第2分岐管70は、第2曲管部60の湾曲が始まる曲げ始端部61と、湾曲が終わる曲げ終端部62と、の間で、第2配管に接続されている。
図示した例では、第2分岐管70は、その延在方向に垂直な断面において略円形の形状を有する筒状部材であり、例えばステンレス、鉄等の金属から構成されていてもよい。また、第2分岐管70は消音器が配設、又は接続されてもよい。第2分岐管70の端部71は、第2曲管部60のうち曲げ始端部61と曲げ終端部62との間に接続されている。従って、端部71は、第2配管50の消音器40よりもエンジン側に接続されている。また、第2分岐管70は端部71から車幅方向外方に向けて延出している。
第2分岐管70の内部空間74と、第2配管50の内部空間53とは連通している。そのため、第2配管50に導入された排気ガスの少なくとも一部は内部空間74に流れる。なお、第2分岐管70は図示しない円筒状のテールパイプを備えてもよい。
第2分岐管70の端部72には、第2排気口76が形成されている。端部72は、第2分岐管70の端部71とは反対側の端部である。図示した例では、端部72は第2分岐管70の車両後方側の端部を構成する。第2排気口76は端部72に形成された外向きの開口であり、第2排気口76を介して、内部空間74と車両用排気管1の外部とが連通している。そのため、第2分岐管70の内部空間74に流れた排気ガスを外部に排出することができる。
図4に示すように、第2分岐管70は、第2曲管部60の湾曲外方側に接続されている。図示した例では、第2曲管部60の湾曲外方側は、第2曲管部60が湾曲する際に膨出する方向側であり、第2曲管部60が形成するカーブの外側である。第2曲管部60の湾曲外方は、車幅方向外方に相当する。また、第2分岐管70は、第2曲管部60における、曲率円O2の径方向外方側の管壁に接続されている。
第2分岐管70の第2配管50に接続されている端部71の管軸73は、第2曲管部60の管軸63を含む平面上に延在してもよい。管軸73は、第2分岐管70の端部71における管軸であり、直線から構成されている。なお、当該直線には、第2曲管部60に向けて延出する半直線も含まれるものとする。図示した例では、管軸73は曲率円O2が延在する平面上に延在している。即ち、管軸65と、管軸67と、管軸73とは同一平面上に延在してもよい。
第2分岐管70の第2配管50に接続されている端部71の管軸73は、第2曲管部60の管軸63と直交してもよい。図示した例では、管軸63と管軸73とは交点P2で直交する。換言すれば、管軸73は交点P2における管軸63の法線である。また、管軸63は曲率円O2の円弧から構成されているため、管軸73を構成する直線と、曲率円O2とが直交している。即ち、第2曲管部60に第2分岐管70が直角に接続されてもよい。
なお、図に例示するように、第2分岐管70の第2配管50に接続されている端部71の管軸73は、第2曲管部60の管軸63の曲率中心C2を通ってもよい。これにより、後述する高回転数状態において、第2配管50内部を伝播してきた排気音の音波を、より確実に第2分岐管70内部に伝播させることができる。
また、直管部64と直管部66とがなす角のうち、小さい方の角度は、0度以上90度以下であってもよい。即ち、管軸65と管軸67とがなす角のうち、小さい方の角度θ2は、0度以上90度以下であってもよい。これにより、後述する高回転数状態において、第2配管50内部を伝播してきた排気音の音波を、より確実に第2分岐管70内部に伝播させることができる。
なお、図1乃至図2に示した例では、第1分岐管30、又は第2分岐管70は、端部31又は端部71から車幅方向外方かつ車両後方に向けて延出した後、湾曲して車両後方に向けて延出しているが、これに限定されない。第1分岐管30又は第2分岐管70の形状は、車両用排気管1の形状、寸法、車両における配設位置等に応じて、適宜設定することができる。
以下、図5乃至図8を参照しながら、実施形態に係る車両用排気管1の作用効果について説明する。
まず、エンジンから第1配管10に流れる排気音を例にとって、エンジンの回転数と、配管中を伝播する音波の波面との関係について説明する。エンジンが稼働している場合、エンジンで発生した排気音の音波が、第1配管10の内部空間13をエンジンとは反対側に向けて進行する。なお、当該音波は、媒質の変位が波の進行方向に対して平行な縦波である。また、当該音波は主としてエンジンの排気ガスを媒質として伝播する。
なお、以下の説明においてエンジンが遷移回転数以上の回転数で稼働している状態を高回転数状態という。また、エンジンが遷移回転数より小さい回転数で稼働している状態を低回転数状態という。遷移回転数は、エンジンの回転数の上昇させた際に排気音の音波の波面形状が平面から曲面へと変化し始める回転数である。ある実施形態では、遷移回転数は、例えば1000rpm(revolutions per minute)から6500rpmの間の値に設定されていてもよい。
図5及び図6は、第1配管10の内部空間13を進行する排気音の音波の一態様を模式的に示す図である。図5は低回転数状態における音波の態様を示す。図6は高回転数状態における音波の態様を示す。音波の伝播は、一般的に弾性を有する線で互いに接続された気体粒子の振動で模式化される。図示した例では、複数の気体粒子80,80a,80bが互いに、弾性を有する線81により模式的に接続されている。
低回転数状態では、気体粒子の振動により構成される波面は略平面の形状を備える。音波は波面に垂直な方向に伝播するため、当該音波は図5の矢印Cに示すように平面波として内部空間13を伝播する。
ここで、エンジンの回転数の上昇にともない排気圧力が増大すると、気体粒子80の振動速度が増大する。さらに、気体粒子80のうち、第1配管10の管壁の近くに位置する気体粒子80aには、管壁からの摩擦力が入力される。その結果、気体粒子80aよりも管壁から遠くに位置する気体粒子80bの振動速度は、気体粒子80aの振動速度よりも大きくなる。なお、管壁からの摩擦力は気体粒子の振動速度が大きくなるほど大きくなる。
そのため、高回転数状態における音波の波面は、音波の進行方向とは垂直な幅方向における端部よりも、中央部周辺の方が、音波の進行方向における前方側に位置する曲面を形成する。そして、音波は波面に垂直な方向に伝播するため、図6の矢印Dに示すように、排気音の音波は曲面波として内部空間13を伝播する。なお、曲面波とは、音波の進行方向と平行な断面において、波面が曲線により形成されている波をいう。曲面波の波面を構成する曲面は、例えば放物面や球面であってもよい。
次に、図7及び図8を参照しながら、低回転数状態、又は高回転数状態における排気音の音波の伝播方向について説明する。図7は低回転数状態における当該音波の伝播の一態様を示す模式図である。図8は高回転数状態における当該音波の伝播の一態様を示す模式図である。
低回転数状態では、排気音の音波は平面波である。そのため、第1配管10の内部空間13を伝播してきた音波は、図7の矢印Eで示される方向に進行し易い。即ち、当該音波は第1曲管部20の湾曲に沿って第1曲管部20内部を進行し、消音器40に導かれ易い。そのため、低回転数状態で生じた排気音の音量は消音器40によって低減される。なお、図1乃至図2に示す車両用排気管1では、当該音波は消音器40を経由した後、第2曲管部60と、第2分岐管70とを経由して、第2排気口76から放出される。
高回転数状態では、排気音の音波は曲面波である。そのため、第1配管10の内部空間13を伝播してきた音波の波面の一部は、第1曲管部20と第1分岐管30との接続部の近傍において、第1分岐管30側に伝播し易い。図8に示す例では、当該音波の一部は図中の矢印Fで示されるように第1分岐管30に向けて進行して内部空間34に導かれ、また、一部は矢印Gで示されるように第1曲管部20の湾曲に沿って第1曲管部20内部を進行し消音器40に導かれる。内部空間34に伝播した音波は、消音器40を介することなく、第1排気口36(図1参照)を介して車両用排気管1の外部に放出される。そのため、より大きな排気音を得ることができる。
なお、同様の作用により、低回転数状態では、第2配管50を伝播してきた排気音の音波は第2曲管部60内部を進行し、消音器40に導かれ易い。そのため、低回転数状態で生じた排気音の音量は消音器40によって低減される。なお、図1乃至図2に示す車両用排気管1では、当該音波は消音器40を経由した後、第1曲管部20と、第1分岐管30とを経由して、第1排気口36から放出される。
また、高回転数状態では、第2配管50の内部空間53を伝播してきた音波の波面の一部は、第2曲管部60と第2分岐管70との接続部の近傍において、第2分岐管70側に伝播し易い。そのため、当該音波の一部は第2分岐管70に向けて進行して内部空間74に導かれ、また、一部は第2曲管部60の湾曲に沿って第2曲管部60内部を進行し消音器40に導かれる。内部空間74に伝播した音波は、消音器40を介することなく、第2排気口76を介して車両用排気管1の外部に放出される。そのため、より大きな排気音を得ることができる。
なお、図1乃至図2に示す例では、車両用排気管1は第1配管10、第1分岐管30、消音器40、第2配管50、及び第2分岐管70を備えるが、これに限定されない。車両用排気管1が、第1配管10、第1分岐管30、及び消音器40から構成されている場合には、例えば、エンジンの一側、及び他側の排気マニホールドと、第1配管10とが直接的に、又は間接的に接続されていてもよい。また、その場合には、消音器40を経由した排気音の音波を、消音器40の端部42に形成された排気口から放出可能に構成してもよい。
また、図示した例では、車両用排気管1は左右対称の形状を備えるが、これに限定されない。例えば、第1配管10、第1曲管部20、及び第1分岐管30の各々の配管内径と、第2配管50、第2曲管部60、及び第2分岐管70の各々の配管内径とは異なっていてもよい。また、第1曲管部20と第2曲管部とは左右対称の形状に湾曲していなくてもよい。例えば、曲率円O1の曲率半径R1と、曲率円O2の曲率半径R2とは、異なる値に設定されてもよい。また、第1曲管部20の管軸23と、第2曲管部60の管軸63とは同一平面上に延在していなくてもよい。
第1配管10内部を伝播する音波の遷移回転数は、第1配管10の配管内径を調節することにより適宜設定することができる。例えば、第1配管10の第1曲管部20の配管内径を大きくすることにより、第1曲管部20内部における排気ガスの流速が低下し、静圧が増大する。そのため、気体粒子の振動速度が低下する。これにより、当該音波が平面波から曲面波へと変化する際のエンジンの回転数が高くなる。即ち、遷移回転数が高くなる。
また、第1曲管部20の湾曲を調整することにより、高回転数状態における排気音量を調節することができる。例えば、第1曲管部20をより緩やかに湾曲させることで、当該排気音量を抑制することができる。図3に示す例では、管軸23の曲率半径R1を大きくすることで、より音波が消音器40側に進行し易くなり、排気音量が低減される。一方、第1曲管部20をより急に湾曲させることで、排気音量を増大させることができる。例えば、管軸23の曲率半径R1を小さくすることで、より音波が第1分岐管30側に進行し易くなり、排気音量が増大する。
同様に、第2配管50内部を伝播する音波の遷移回転数は、第2配管50の配管内径を調節することにより適宜設定することができる。例えば、第2配管50の第2曲管部60の配管内径を大きくすることにより、当該音波が平面波から曲面波へと変化する際のエンジンの回転数が高くなる。即ち、遷移回転数が高くなる。
また、第2曲管部60の湾曲を調整することにより、高回転数状態における排気音量を調節することができる。図4に示す例では、管軸63の曲率半径R2を大きくすることで、より音波が消音器40側に進行し易くなり、排気音量が低減される。一方、管軸63の曲率半径R2を小さくすることで、より音波が第2分岐管70側に進行し易くなり、排気音量が増大する。
次に、図1を参照しながら低回転数状態、又は高回転数状態における排気ガスの流動方向について説明する。
低回転数状態では、排気ガスの流速が比較的小さい。そのため、図1の矢印Aのように第1配管10に流入した排気ガスが第1曲管部20を通過する際に、当該排気ガスに働く遠心力が比較的小さく、当該排気ガスは消音器40に向けて流れ易い。ここで、消音器40は排気抵抗を有する。そのため、車両用排気管1の排気抵抗には、消音器40に起因する排気抵抗が含まれる。
高回転数状態では、排気ガスの流速が大きい。そのため、第1配管10に流入した排気ガスが第1曲管部20を通過する際に、当該排気ガスに働く遠心力が大きく、当該排気ガスは第1分岐管30に向けて流れ易い。そして、第1分岐管30の排気抵抗は、消音器40の排気抵抗よりも小さい。そのため、高回転数状態における車両用排気管1の排気抵抗を低減することができる。
第2配管50に矢印Bのように流入した排気ガスについても同様に、低回転数状態では、当該排気ガスは消音器40に向けて流れ易い。一方、高回転数状態では、当該排気ガスは第2分岐管70に向けて流れ易い。第2分岐管70の排気抵抗は、消音器40の排気抵抗よりも小さい。そのため、高回転数状態における車両用排気管1の排気抵抗を低減することができる。
なお、第1配管10の配管内径や、第1曲管部20の湾曲を調節することにより、所定のエンジン回転数における第1曲管部20での排気ガスの流れ方向を調節することができる。
第1配管10の配管内径をより大きく設定することにより、第1曲管部20を通過する排気ガスの流速が低下し、当該排気ガスに働く遠心力が低下する。これにより、第1曲管部20において排気ガスが消音器40に向けて流れやすくなる。一方、第1配管10の配管内径をより小さく設定することにより、第1曲管部20を通過する排気ガスの流速が増大し、当該排気ガスに働く遠心力が増大する。これにより、第1曲管部20において排気ガスが第1分岐管30に向けて流れやすくなる。
また、例えば第1曲管部20の管軸23の曲率半径R1(図3参照)をより大きく設定し、第1曲管部20をより緩やかに湾曲させた場合には、第1曲管部20を通過する排気ガスに働く遠心力が、より小さくなる。そのため、当該排気ガスは、第1曲管部20において、より消音器40に向けて流れ易くなる。一方、例えば曲率半径R1をより小さく設定し、第1曲管部20をより急に湾曲させた場合には、第1曲管部20を通過する排気ガスに働く遠心力が、より大きくなる。そのため、当該排気ガスは、第1曲管部20において、より第1分岐管30に向けて流れ易くなる。
第2曲管部60における排気ガスについても同様に、第2配管50の配管内径や、第2曲管部60の湾曲を調節することにより、所定のエンジン回転数における第2曲管部60での当該排気ガスの流れ方向を調節することができる。
第2配管50の配管内径をより大きく設定することにより、第1曲管部20において排気ガスが消音器40に向けて流れやすくなる。一方、第2配管50の配管内径をより小さく設定することにより、第2曲管部60において排気ガスが第2分岐管70に向けて流れやすくなる。また、例えば第2曲管部60の管軸63の曲率半径R2(図4参照)をより大きく設定し、第2曲管部60をより緩やかに湾曲させた場合には、当該排気ガスは、第2曲管部60において、より消音器40に向けて流れ易くなる。一方、例えば曲率半径R2をより小さく設定し、第2曲管部60をより急に湾曲させた場合には、当該排気ガスは、第2曲管部60において、より第2分岐管70に向けて流れ易くなる。
(1)実施形態に係る車両用排気管1は、エンジンからの排気ガスが流通する第1配管10と、第1配管10に設けられた消音器40と、消音器40よりエンジン側の第1配管10に接続され、第1配管10内の排気ガスの少なくとも一部を外部に排出する第1分岐管30と、を備え、第1配管10は、エンジン側から消音器40側にかけて一方向に湾曲する第1曲管部20を含み、第1分岐管30は、第1曲管部20の湾曲が始まる曲げ始端部21と、湾曲が終わる曲げ終端部22と、の間で、第1配管10に接続されている。
実施形態に係る車両用排気管1では、エンジンが低回転数で稼働している場合には、エンジンから生じた排気音の音波は、第1曲管部20から消音器40が接続されている方向に伝播するため、排気音量を低減することができる。また、エンジンが高回転数で稼働している場合には、当該音波の一部は第1分岐管30内部に伝播し、消音器40を通過することなく車両用排気管1の外部に放出される。そのため、排気音量の低下を抑制することができる。従って、エンジンを高回転数で稼働させた際に、より大きな排気音量を得ることができる。
(2)実施形態に係る車両用排気管1では、第1分岐管30は、第1曲管部20の湾曲外方側に接続されてもよい。
エンジンの回転数を上昇させると排気ガスの流速が増大し、第1曲管部20を流れる排気ガスに働く遠心力が増大する。実施形態に係る車両用排気管1では、第1分岐管30が第1曲管部20の湾曲外方側に接続される。そのため、当該排気ガスに働く遠心力の増大とともに、第1分岐管30に導かれる排気ガスの割合が増加し、消音器40に導かれる排気ガスの割合が減少する。これにより、第1配管10に導入された排気ガスを、より多く第1分岐管30から排出できる。ここで、第1分岐管30の排気抵抗は、消音器の排気抵抗よりも小さい。そのため、エンジンが高回転数で稼働する際に、排気ガスをより効率よく排出することができる。ひいては、エンジンの出力を向上させることができる。
(3)実施形態に係る車両用排気管1では、第1分岐管30の第1配管10に接続されている端部31の管軸33は、第1曲管部20の管軸23を含む平面上に延在してもよい。
実施形態に係る車両用排気管1によれば、管軸23と管軸33とが同一平面上に延在する。そのため、より確実に、高回転数状態において、排気音の音波を第1分岐管30内部に伝播させることができる。そのため、より確実に高回転数状態における排気音量の低下を抑制し、エンジンを高回転数で稼働させた際に、より大きな排気音量を得ることができる。
(4)実施形態に係る車両用排気管1では、記第1分岐管30の第1配管10に接続されている端部31の管軸33は、第1曲管部20の管軸23と直交してもよい。
実施形態に係る車両用排気管1によれば、管軸23と管軸33とが直交する。そのため、より確実に、高回転数状態において、排気音の音波を第1分岐管30内部に伝播させることができる。そのため、より確実に高回転数状態における排気音量の低下を抑制し、エンジンを高回転数で稼働させた際に、より大きな排気音量を得ることができる。
(5)実施形態に係る車両用排気管1は、消音器40を介して第1配管10と連通し、エンジンからの排気ガスを消音器40に流入させる第2配管50と、消音器40よりエンジン側の第2配管50に接続され、第2配管50内の排気ガスの少なくとも一部を外部に排出する第2分岐管70と、を備え、第2配管50は、エンジン側から消音器40側にかけて一方向に湾曲する第2曲管部60を含み、第2分岐管70は、第2曲管部60の湾曲が始まる曲げ始端部61と、湾曲が終わる曲げ終端部62と、の間で、第2配管50に接続されていてもよい。
実施形態に係る車両用排気管1では、第1配管10と第2配管50とは同じ消音器40に接続される。そのため、エンジンが低回転数で稼働している場合には、第1配管10内部を伝播する排気音は、消音器40を経由して第2分岐管70の第2排気口76から放出される。そして、第2配管50内部を伝播する排気音は、消音器40を経由して第1分岐管30の第1排気口36から放出される。さらに、エンジンが高回転数で稼働している場合には、第1配管10内部を伝播する排気音は、第1排気口36、及び第2排気口76から放出される。そして、第2配管50内部を伝播する排気音は、第1排気口36、及び第2排気口76から放出される。このように、実施形態に係る車両用排気管1によれば、第1配管10と第2配管50とで消音器40を共用することができる、また、大きな排気音量を得たい場合であっても、排気口の数の増加を抑制することができる。従って、より簡便な構造で車両用排気管1を構成することができる。
なお、上記実施形態では、一側及び他側に排気マニホールドを備えるエンジンを搭載した車両を例にとって説明したが、これに限定されない。実施形態に係る車両用排気管1が、例えば、一側にのみ排気マニホールドを備えた直列型エンジンを搭載した車両などにも適用できることは勿論である。