JP7784540B2 - 切削工具及び切削加工物の製造方法 - Google Patents

切削工具及び切削加工物の製造方法

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2022年5月25日に出願された日本国特許出願2022-085398号の優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
本開示は、切削工具及び切削加工物の製造方法に関するものである。
切削工具として、例えば、特開2021-74798号公報(特許文献1)に記載の面取りカッターが知られている。一般的に、面取り加工を行った場合には、面取り面の両端付近にポアソンバリ(サイドバリ)と呼ばれるバリが生じる。ポアソンバリは、面取り面の両端付近のうち、特に被削材から離れる直前まで切刃が接していた側の部分に生じやすい。したがって、例えば、切込み角が45°のインサートを用いて面取り加工を行う場合において、アキシャルレーキが正であれば面取り面の上端付近に、アキシャルレーキが負であれば面取り面の下端付近に、ポアソンバリが生じることが多い。
特許文献1に記載の面取りカッターは、V字型の切刃を有する。このV字型の切刃は、内側切刃部分及び外側切刃部分と、これらの間に位置する屈曲切削部分と、を有する。切刃がこのような構成を有することで、切削による切屑の流れが屈曲切刃部分に向かうため、切削により形成される面取り面の縁にポアソンバリが発生することを抑制できる。
しかしながら、特許文献1に記載されている切削工具においては、1つの切刃において、アキシャルレーキが正の部分及び負の部分の両方を有しているため、切刃の摩耗が進んでいくと、切削工具の進行方向に対して垂直な断面において、面取り面が凸形状となる可能性があり、加工精度の点で問題が生じる。
また、特許文献1のように切刃が屈曲切削部分を有することによってポアソンバリの発生を抑制する手法は、いわゆるインサート型の切削工具においては汎用性に乏しい。切刃が屈曲切削部分を有する場合においては、被削材の加工径、言い換えれば、切削工具の外径によってポアソンバリの発生を抑制する屈曲切削部分の最適値が変化する。その結果として、加工条件に制約が加わるおそれがある。すなわち、外径が互いに異なる複数の切削工具をレパートリーとして準備する場合には、切削工具ごとに最適なインサートを準備する必要がある。
本開示の一態様に基づく切削工具は、回転軸に沿って先端から後端に向かって延び、且つ、先端の側にそれぞれ位置する第1ポケット及び第2ポケットを有する本体部と、第1ポケットに位置し、第1切刃を有する第1インサートと、第2ポケットに位置し、第2切刃を有する第2インサートと、を有する。第1インサートのアキシャルレーキは正であって、第2インサートのアキシャルレーキは負である。
第1実施形態に係る切削工具を示す斜視図である。 図1に示す切削工具をX1方向から見た平面図である。 図1に示す切削工具をX2方向から見た平面図である。 図1に示す切削工具をX3方向から見た平面図である。 図2に示す領域Y1の拡大図である。 図3に示す領域Y2の拡大図である。 図4に示す領域Y3の拡大図である。 図4に示す領域Y4の拡大図である。 第2実施形態に係る切削工具を示す側面図である。 図9に示す領域Y5の拡大図である。 図9に示す領域Y5をX4方向から見た拡大図である。 実施形態に係る切削加工物の製造方法の一工程を示す概略説明図である。 実施形態に係る切削加工物の製造方法の一工程を示す概略説明図である。 実施形態に係る切削加工物の製造方法の一工程を示す概略説明図である。
以下に示す本開示の限定されない第1実施形態及び第2実施形態の切削工具について、それぞれ図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、各実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本開示の切削工具は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
第1実施形態に係る切削工具1Aは、図1に示す限定されない一例のように、回転軸O1を中心に回転方向O2に回転するいわゆる回転工具である。回転工具としては、例えば、フライス工具及びエンドミルが挙げられる。図1に示す限定されない一例の回転工具は、フライス工具である。
なお、回転軸O1は、切削工具1Aが回転する際の軸であり、切削工具1A(本体部3)が有形物として備えているものではない。また、回転方向O2は図1に示す方向に限定されない。例えば、切削工具1Aが図1に示す構成に対して回転軸O1の周りで反転した構成であってもよく、その場合は回転方向O2が逆方向になる。
第1実施形態の切削工具1Aは、先端3Aから後端3Bに向かって、回転軸O1を備えた略円盤形状である。回転軸O1に沿った方向における本体部3の長さは、例えば50mm~100mmである。回転軸O1に直交する方向における本体部3の外径は、例えば100mm~300mmである。
切削工具1Aは、図1等に示す限定されない一例のように、本体部3及びインサート4を有する。本体部3は、切削工具1Aのベースとなる部分であり、回転軸O1に沿って先端3Aから後端3Bに向かって延びている。また、本体部3は、先端3Aの側に位置する複数のポケット5を有する。ポケット5は、本体部3の外周面及び先端3Aの側の端面において開口してもよい。ポケット5は、インサート4が取り付けられる座面6を有する。なお、図面において、符号4A、4B及び4Cを付けた部材が、インサート4に対応する。また、符号5A、5B及び5Cを付けた部位が、ポケット5に対応する。符号6A、6B及び6Cを付けた部位が、座面6に対応する。
インサート4は、ポケット5に位置しており、本体部3に取り付けられている。また、インサート4は、先端3Aの側に位置する切刃7を有する。図1等に示す限定されない一例において、インサート4は、ネジ等の固定具8によって、本体部3に取り付けられてもよい。また、インサート4は、回転方向O2の後方を向く下面9を有し、下面9において、ポケット5の座面6と接している。座面6、下面9の形状に関しては、特に限定はないが、平面形状であってもよい。なお、図面において、符号7A、7B及び7Cを付けた部位が、切刃7に対応する。
ここで、図2は、図1に示す切削工具1AをX1方向から見た平面図であり、インサート4(第1インサート4A)を側面視した図であって、インサート4(第2インサート4B)を正面視した図である。図3は、図1に示す切削工具1AをX2方向から見た平面図であり、インサート4(第2インサート4B)を側面視した図であって、インサート4(第1インサート4A)を正面視した図である。以下、正面視あるいは側面視した場合において、インサート4等の対象物が視認できない場合には、正面透視あるいは側面透視した場合において、対象物を評価してもよい。
本体部3は、図1~3に示す限定されない一例のように、第1ポケット5A及び第2ポケット5Bを有する。第1ポケット5Aは第1座面6Aを有し、第2ポケット5Bは第2座面6Bを有する。第1ポケット5A及び第2ポケット5Bの数は、それぞれ1つに限られず、複数あってもよい。
ここで、図4は、図1に示す切削工具1AをX3方向から見た平面図であり、切削工具1Aを先端視した図である。図4に示す限定されない一例において、本体部3は、第1ポケット5A及び第2ポケット5Bをそれぞれ2つずつ有している。本体部3は、ポケット5として、図4に示す限定されない一例のように、第1ポケット5A及び第2ポケット5Bのみを有してもよく、後述する切削工具1Bのように、第1ポケット5A及び第2ポケット5B以外のポケット5を有してもよい。
切削工具1Aは、第1インサート4A及び第2インサート4Bを有する。第1インサート4A及び第2インサート4Bは、それぞれ1つに限られず、複数あってもよい。図4に示す限定されない一例においては、第1インサート4Aの数は第1ポケット5Aの数、第2インサート4Bの数は第2ポケット5Bの数、にそれぞれ対応しているため、切削工具1Aは、第1インサート4A及び第2インサート4Bをそれぞれ2つずつ有している。切削工具1Aは、インサート4として、図4に示す限定されない一例のように、第1インサート4A及び第2インサート4Bのみを有してもよく、切削工具1Bのように、第1インサート4A及び第2インサート4B以外のインサート4を有してもよい。
第1インサート4Aは、先端3Aの側に位置する第1切刃7Aを有する。第2インサート4Bは、先端3Aの側に位置する第2切刃7Bを有する。第1切刃7A及び第2切刃7Bは、それぞれ先端刃10及び主切刃12を有する。本実施形態において、第1インサート4A及び第2インサート4Bは、C面取り用のインサート4であり、切刃7(第1切刃7A及び第2切刃7B)として、先端刃10及び主切刃12を有する。なお、図面において、符号10A、10B及び10Cを付けた部位が、先端刃10に対応する。また、符号12A、12B及び12Cを付けた部位が、主切刃12に対応する。
先端刃10とは、インサート4の先端3Aの側に位置し、回転軸O1に対して概ね直交する方向に延びる刃である。主切刃12とは、面取り加工時に主として用いられる刃であって、回転軸O1に対して傾斜して延びる刃である。先端刃10及び主切刃12の形状に関しては、特に限定はないが、先端刃10及び主切刃12は、それぞれ曲線形状あるいは直線形状であってもよい。また、主切刃12は、図4等に示す限定されない一例において、先端刃10と接続している。
切削工具1Aを先端視した場合において、切刃7は、回転軸O1の側から外周側に向かって、先端刃10、主切刃12の順に並んでもよい。切削工具1Aに取り付けられたインサート4を側面視した場合において、切刃7は、先端3Aの側から後端3Bの側に向かって、先端刃10、主切刃12の順に並んでもよい。
インサート4を正面視した場合における、回転軸O1に直交する仮想直線L1に対する主切刃12の傾きをαとして、第1インサート4Aにおける主切刃12の傾き(第1インサート4Aの切込み角)をα1、第2インサート4Bにおける主切刃12の傾き(第2インサート4Bの切込み角)をα2としたとき、図2及び図3に示す限定されない一例においては、これらの切込み角α1、α2が45°である。なお、切込み角α1、α2は、特定の値に限定されず、10°~60°であってもよい。
図5~8に示す限定されない一例のように、第1切刃7Aは、第1先端刃10A及び第1主切刃12Aを有し、第2切刃7Bは、第2先端刃10B及び第2主切刃12Bを有する。図5及び図7に示す限定されない一例において、第1主切刃12Aは、第1先端刃10Aと接しており、図6及び図8に示す限定されない一例において、第2主切刃12Bは、第2先端刃10Bと接している。
図5及び図6に示す限定されない一例のように、第1インサート4AのアキシャルレーキARを第1アキシャルレーキAR1、第2インサート4BのアキシャルレーキARを第2アキシャルレーキAR2としたとき、第1アキシャルレーキAR1は正であって、第2アキシャルレーキAR2は負である。
ここで、アキシャルレーキARとは、切削工具1Aに取り付けられたインサート4を側面視した場合における回転軸O1と切刃7とがなす角をいい、具体的には、図5及び図6に示す限定されない一例のように、主切刃12を通る仮想直線L2と回転軸O1とのなす角を指す。なお、主切刃12が直線でない場合は、主切刃12の先端3Aの側に位置する端部(先端部13)と後端3Bの側に位置する端部(後端部14)を通る直線を仮想直線L2として評価してもよい。また、図5、図6及び図10に関して、説明の都合上、回転軸O1の代わりに回転軸O1に平行な直線O10を用いて、アキシャルレーキAR等を示している。なお、図面において、符号13A、13B及び13Cを付けた部位が、先端部13に対応する。
第1アキシャルレーキAR1の大きさは、+5°~+20°であってもよい。また、第2アキシャルレーキAR2の大きさは、-20°~-5°であってもよい。
一般的に、ポアソンバリは、面取り面の両端付近のうち、特に被削材から離れる直前まで切刃7が接していた側の端部に生じやすい。例えば、本実施形態にある45°インサート4を用いて面取り加工を行う場合、第1インサート4AのようにアキシャルレーキARが正であれば、第1切刃7A(第1主切刃12A)のうち面取り面から完全に離れる直前に接している部分は第1切刃7Aにおける後端3Bの側の部分である。そのため、バリは面取り面における上端付近に発生する。それに対し、第2インサート4BのようにアキシャルレーキARが負であれば、第2切刃7B(第2主切刃12B)のうち面取り面から完全に離れる直前に接している部分は第2切刃7Bにおける先端3Aの側の部分である。そのため、バリは面取り面における下端付近に発生する。
アキシャルレーキARが正あるいは負どちらか一方のインサート4のみで構成される切削工具1Aによって、面取り加工を行った場合には、バリが面取り面の上端付近あるいは下端付近のどちらかに偏って生じやすい。
しかしながら、本実施形態における切削工具1Aは、アキシャルレーキARが正のインサート4(第1インサート4A)とアキシャルレーキARが負のインサート4(第2インサート4B)を有するため、仮に、第1インサート4Aで切削した際に、面取り面の上端付近にバリが発生したとしても、その後に行われる第2インサート4Bによる切削加工の際に、発生した面取り面の上端付近のバリは、第2切刃7Bによって除去されやすい。
また、第2インサート4Bによる切削加工の後においても同様に、第1インサート4Aによる切削加工が行われた場合においても、バリの発生を抑制できる。すなわち、第2インサート4Bによる切削加工の際に、面取り面の下端付近にバリが発生したとしても、その後に行われる第1インサート4Aの切削加工において、第1切刃7Aによってバリが除去されやすい。
このように、第1インサート4Aによる切削加工及び第2インサート4Bによる切削加工が交互に行われることで、一方のインサート4による切削加工において生じたバリは、他方のインサート4による切削加工によって除去されることとなり、ポワソンバリの発生を抑制することができる。
以上より、本実施形態における切削工具1Aは、従来技術にあるような特殊な形状の切刃7を必要とすることなく、すなわち、切削加工に用いるインサート4の切刃7の形状に起因する加工条件の制約を受けることなく、バリの発生を抑制した面取り加工を行うことができる。
具体的には、外径が互いに異なる複数の切削工具をレパートリーとして準備する場合であっても、各切削工具における第1ポケット5A及び第2ポケット5Bの座面6(第1座面6A及び第2座面6B)の角度を調整することによって第1切刃7A及び第2切刃7BのアキシャルレーキAR等を調整することができる。そのため、各切削工具において第1インサート4A及び第2インサート4Bを使い回すことができる。したがって、切削工具1Aは、バリの発生を抑制するインサート式の切削工具である。
第1インサート4AのアキシャルレーキARの大きさの絶対値は、第2インサート4BのアキシャルレーキARの大きさの絶対値よりも大きくてもよい。具体的には、上記の2つの絶対値の差が、3°~15°であってもよい。一般的に、アキシャルレーキARが正の場合、アキシャルレーキARの大きさに比例して、加工精度が良くなることから、正のアキシャルレーキARの大きさが相対的に大きい場合には、加工精度の高い面取り加工を行うことができる。
第1座面6Aは、回転軸O1に対して傾斜してもよく、第2座面6Bは、回転軸O1に対して傾斜してもよい。ここで、回転軸O1に対する第1座面6Aの傾斜角θを第1傾斜角θ1、回転軸O1に対する第2座面6Bの傾斜角θを第2傾斜角θ2としたとき、図5及び図6に示す限定されない一例においては、第1傾斜角θ1は正であり、第2傾斜角θ2は負である。第1インサート4Aは、第1座面6Aと接する。第2インサート4Bは、第2座面6Bと接する。
上記の傾斜角θとは、図5及び図6に示す限定されない一例のように、本体部3に取り付けられたインサート4を側面視した場合において、回転軸O1とそのインサート4の座面6の仮想直線L3とがなす角を指す。なお、座面6全体が平面形状でなく、側面視した場合において直線形状でない場合は、側面視した場合において、インサート4の下面9における座面6と接する部分を延ばした直線を仮想直線L3として評価してもよい。
このような場合には、図5及び図6に示す限定されない一例のように、本体部3に取り付けられる各インサート4として、下面9に対する切刃7の位置関係が共通するインサート4(以下、共通のインサート4とする)を用いた場合には、各インサート4のアキシャルレーキARは、各インサート4が取り付けられている座面6の傾斜角θに依存する。したがって、第1インサート4A及び第2インサート4Bとして、上記にいう共通のインサート4を用いた場合でも、切削工具1AにアキシャルレーキARが正及び負両方のインサート4を備えることができ、必要なインサートのレパートリーを少なくすることができる。
ここで、共通のインサート4とは、対比するインサート4が、必ずしも全く同一の形状である必要はなく、例えば、座面6に取り付けられたインサート4を側面視した場合において、主切刃12の仮想直線L2と座面6の仮想直線L3とのなす角が互いに同一であるとき、共通のインサート4と評価してもよい。
第1傾斜角θ1の大きさの絶対値は、第2傾斜角θ2の大きさの絶対値よりも大きくてもよい。具体的には、上記の2つの絶対値の差が、3°~20°であってもよい。なお、第1傾斜角θ1の大きさは、+5°~+30°であってもよい。また、第2傾斜角θ2の大きさは、-30°~-5°であってもよい。
第1インサート4AのラジアルレーキRRを第1ラジアルレーキRR1、第2インサート4BのラジアルレーキRRを第2ラジアルレーキRR2としたとき、第1ラジアルレーキRR1は、第2ラジアルレーキRR2よりも小さくてもよい。このような場合には、第1インサート4AのアキシャルレーキAR及び第2インサート4BのアキシャルレーキARが互いに異なることに起因する切削抵抗の変動を抑制できる。
ここで、ラジアルレーキRRとは、切削工具1Aに取り付けられたインサート4を先端視した場合における回転軸O1と切刃7の外周側の端部とを通る仮想直線L4と切刃7とがなす角をいい、具体的には、図7等に示す限定されない一例のように、回転軸O1と主切刃12の外周側の端部(外端部15)とを通る仮想直線L4と、主切刃12の仮想直線L5とのなす角を指す。なお、主切刃12が直線でない場合は、主切刃12の回転軸O1の側の端部(内端部16)と外端部15を通る直線を仮想直線L5として評価してもよい。なお、第1ラジアルレーキRR1は、-30°~+15°であってもよく、第2ラジアルレーキRR2は、-15°~+30°であってもよい。また、第1ラジアルレーキRR1は、第2ラジアルレーキRR2と同じであってもよい。
主切刃12のうち先端3Aの側に位置する端部を先端部13とする。ここで、第1切刃7Aの先端部13を第1先端部13A、第2切刃7Bの先端部13を第2先端部13Bとすると、図2に示す限定されない一例において、第1先端部13Aとは、第1主切刃12Aにおける先端部13であり、第2先端部13Bとは、第2主切刃12Bにおける先端部13である。なお、図5等に示す限定されない一例のように、先端刃10と主切刃12が接する場合には、先端刃10と主切刃12とが交わる部分を先端部13としてもよい。
回転軸O1に沿った方向において、第1先端部13Aは、第2先端部13Bと同じ位置にあってもよい。具体的には、図3に示す限定されない一例のように、切削工具1Aを側面視した場合において、回転軸O1に直交する直線上に第1先端部13A及び第2先端部13Bが位置してもよい。このような場合には、切刃7の高さが揃っているため、加工面に段差が生じにくくなる。なお、同じ位置とは、回転軸O1に沿う方向においてインサート4の大きさに対して、-5~+5%の位置の範囲内にあるものを含んでよい。
回転軸O1の回転方向O2において、第1インサート4Aは、第2インサート4Bと隣り合ってもよい。このような場合には、アキシャルレーキARが正のインサート4で切削した直後に、続けてアキシャルレーキARが負のインサート4で被削材を切削することができるため、バリが更に生じにくくなる。
ここで、隣り合うとは、図4に示す限定されない一例のように、切削工具1Aを先端視した場合において、第1インサート4Aに対して、回転方向O2の前後方向において最も近い位置にあるインサート4が、いずれも第2インサート4Bであるような場合をいう。なお、上記の関係は、第1インサート4A及び第2インサート4Bがそれぞれ1つずつの場合でも成立する。例えば、本体部3が1つの第1ポケット5A及び1つの第2ポケット5Bからなる2つのポケット5を有する場合が挙げられる。
第2実施形態に係る切削工具1Bは、本体部3及びインサート4を備えている。第2実施形態の切削工具1Bにおいて、第1実施形態の切削工具1Aと同じ構成である部分に関しては、第1実施形態の記載を援用し、詳細な説明を割愛する。また、角度及び仮想直線の定義に関しても第1実施形態の記載を援用する。
第2実施形態の切削工具1Bにおいて、本体部3は、第1ポケット5A及び第2ポケット5Bに加えて、先端3Aの側に位置する第3ポケット5Cをさらに有している。第3ポケット5Cは、第3座面6Cを有している。
また、切削工具1Bは、第1インサート4A及び第2インサート4Bに加えて、第3座面6Cに取り付けられた第3インサート4Cを有している。ここで、図9は、第2実施形態に係る切削工具1Bを示す側面図であり、第3インサート4Cを側面視した図であって、第1インサート4A及び第2インサート4Bを正面視した図である。図9に示す限定されない一例においては、切削工具1Bは、第1インサート4A及び第2インサート4Bを1つずつ、第3インサート4Cを2つ有している。第3インサート4Cは、第3切刃7Cを有し、第3切刃7Cは、第3先端刃10C及び第3主切刃12Cを有している。なお、第3インサート4Cにおける主切刃12の傾き(第3インサート4Cの切込み角)は、特定の値に限定されず、10°~60°であってもよい。
図10に示す限定されない一例のように、第3インサート4CのアキシャルレーキARを第3アキシャルレーキAR3としたとき、第3アキシャルレーキAR3は、第1アキシャルレーキAR1よりも小さくてもよく、また、第2アキシャルレーキAR2よりも大きくてもよい。このような場合には、加工面上に取り残されたバリを第3切刃7Cによってさらうことが可能となる。なお、第3アキシャルレーキAR3の大きさは-3°~+3°であってもよい。
回転軸O1の回転方向O2において、第3インサート4Cは、第1インサート4A及び第2インサート4Bと隣り合っている。具体的には、第3インサート4Cに対して、回転方向O2の前後方向において最も近い位置するインサート4が、一方が第1インサート4A、他方が第2インサート4Bである場合を指す。ただし、このとき、第1インサート4A及び第2インサート4Bとの間に複数の第3インサート4Cが位置してもよい。
このような場合には、アキシャルレーキARが正である第1インサート4Aで切削した後に、加工面上に取り残されたバリを第3インサート4Cの切刃7によってさらい、その後、続けてアキシャルレーキARが負の第2インサート4Bで被削材を切削することができるため、バリが更に生じにくくなる。
ここで、図11は、図9に示す領域Y5をX4方向から見た拡大図であり、切削工具1Bを先端視したときの拡大図である。図11に示す限定されない一例のように、第3インサート4CのラジアルレーキRRを第3ラジアルレーキRR3としたとき、第3ラジアルレーキRR3は、第1ラジアルレーキRR1よりも小さくてもよく、また、第2ラジアルレーキRR2よりも大きくてもよい。このような場合には、第1インサート4A、第2インサート4B及び第3インサート4CのそれぞれのアキシャルレーキARの違いに起因する切削抵抗の変動を抑制できる。なお、第3ラジアルレーキRR3の大きさは-10°~+10°であってもよい。
第3切刃7Cの先端部13を第3先端部13Cとすると、図9に示す限定されない一例において、第3先端部13Cは、第3主切刃12Cにおける先端部13である。回転軸O1に沿った方向において、第3先端部13Cは、第1先端部13A及び第2先端部13Bと同じ位置にあってもよい。具体的には、図9に示す限定されない一例のように、切削工具1Bを側面視した場合において、回転軸O1に直交する直線上に第1先端部13A、第2先端部13B及び第3先端部13Cが位置してもよい。このような場合には、切刃7の高さが揃っているため、加工面に段差が生じにくくなる。
切削工具1A及び切削工具1Bが、第1インサート4Aを複数有する場合には、各第1インサート4Aは、切削工具1A及び切削工具1Bに対して回転軸O1を中心に回転対称に配置されてもよい。例えば、図4に示す限定されない一例のように、切削工具1Aを先端視した場合において、切削工具1Aが第1インサート4Aを2つ有する場合には、第1インサート4Aは、180°回転対称となるように配置されている。すなわち、第1ポケット5AがN個であれば、第1ポケット5Aは、(360°/N)回転対称となるように配置されてもよい。これは、第2インサート4B及び第3インサート4Cについても同様である。
上記の場合には、切削加工時において、回転軸O1を中心に均一に切削負荷がかかりやすいことから、各インサートに加わる切削負荷のばらつきが抑えられる。そのため、例えば、各インサートの摩耗のばらつきなどが抑えられる。
切削工具1A及び切削工具1Bが、第1インサート4A及び第2インサート4Bをそれぞれ複数有する場合には、各第1インサート4Aは、各第2インサート4Bに対して回転軸O1を中心に等間隔に配置されてもよい。例えば、図4に示す限定されない一例のように、切削工具1Aを先端視した場合において、切削工具1Aは、第1インサート4Aが2つの第2インサート4Bのそれぞれと回転軸O1を中心に90°間隔で配置されている。これは、上記の第1インサート4Aあるいは第2インサート4Bを第3インサート4Cと置き換えた場合についても同様である。
また、本開示における実施形態において、第1インサート4A、第2インサート4B、第3インサート4Cの数に関しては特に限定はなく、例えば、第1インサート4Aの数が第2インサート4Bの数よりも多くてもよく、少なくてもよい。
インサート4の材質としては、例えば、超硬合金及びサーメット等が挙げられる。超硬合金の組成としては、例えば、WC-Co、WC-TiC-Co及びWC-TiC-TaC-Coが挙げられる。WC-Coは、炭化タングステン(WC)にコバルト(Co)の粉末を加えて焼結して生成される。WC-TiC-Coは、WC-Coに炭化チタン(TiC)を添加したものである。WC-TiC-TaC-Coは、WC-TiC-Coに炭化タンタル(TaC)を添加したものである。
また、サーメットは、セラミック成分に金属を複合させた焼結複合材料である。具体的には、サーメットとして、炭化チタン(TiC)及び窒化チタン(TiN)等のチタン化合物を主成分としたものが挙げられる。
インサート4の表面は、化学蒸着(CVD)法又は物理蒸着(PVD)法を用いて被膜でコーティングされていてもよい。被膜の組成としては、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)及びアルミナ(Al)等が挙げられる。
本体部3の材質としては、鋼、鋳鉄及びアルミニウム合金等を用いることができる。
<切削加工物(machined product)の製造方法>
次に、本開示の限定されない実施形態の切削加工物の製造方法について、上述の限定されない第1実施形態に係る切削工具1Aを用いる場合を例に挙げて詳細に説明する。以下、図12~図14を参照しつつ説明する。なお、図12~図14においては、切削加工物101の製造方法の限定されない一例として、被削材102への切削加工の工程を図示している。
本開示の限定されない実施形態にかかる切削加工物101の製造方法は、以下の(1)~(3)の工程を備え得る。
(1)切削工具1Aを、回転軸O1を中心に回転方向O2に回転させ、被削材102に向かって送り方向S1に切削工具1Aを近づけてもよい(図12参照)。
本工程は、例えば、被削材102を、切削工具1Aを取り付けた工作機械のテーブル上に固定し、切削工具1Aを回転した状態で近づけることにより行うことができる。なお、本工程では、被削材102と切削工具1Aとは相対的に近づけばよく、被削材102を切削工具1Aに近づけてもよい。
(2)切削工具1Aをさらに被削材102に近づけることによって、回転している切削工具1Aを被削材102の表面の所望の位置に接触させて、被削材102を切削してもよい(図13参照)。
本工程においては、切刃7を被削材102の表面の所望の位置に接触させてもよい。
(3)切削工具1Aを被削材102からS1方向に移動させることで離してもよい(図14参照)。
本工程においても、上述の(1)の工程と同様に、被削材102から切削工具1Aを相対的に離せばよく、例えば被削材102を切削工具1Aから離してもよい。
以上のような工程を経ることによって、優れた加工性を発揮することが可能である。
なお、以上に示したような被削材102の切削加工を複数回行う場合であって、例えば、1つの被削材102に対して複数の切削加工を行う場合には、切削工具1Aを回転させた状態を保持しつつ、被削材102の異なる箇所に切削工具1Aを接触させる工程を繰り返してもよい。
被削材102の材質としては、例えば、炭素鋼、合金鋼、ステンレス、鋳鉄及び非鉄金属などが挙げられ得る。
一実施形態において、[1]切削工具は、回転軸に沿って先端から後端に向かって延び、且つ、前記先端の側にそれぞれ位置する第1ポケット及び第2ポケットを有する本体部と、前記第1ポケットに位置し、第1切刃を有する第1インサートと、前記第2ポケットに位置し、第2切刃を有する第2インサートと、を有し、前記第1インサートのアキシャルレーキは正であって、前記第2インサートのアキシャルレーキは負であってもよい。
[2]上記[1]の切削工具において、前記第1インサートのアキシャルレーキの大きさの絶対値は、前記第2インサートのアキシャルレーキの大きさの絶対値よりも大きくてもよい。
[3]上記[1]又は[2]の切削工具において、前記第1ポケットは、前記回転軸に対して正の角度に傾斜する第1座面を有し、前記第2ポケットは、前記回転軸に対して負の角度に傾斜する第2座面を有し、前記第1インサートは、前記第1座面と接し、前記第2インサートは、前記第2座面と接してもよい。
[4]上記[1]から[3]のいずれかの切削工具において、前記第1インサートのラジアルレーキは、前記第2インサートのラジアルレーキより小さくてもよい。
[5]上記[1]から[4]のいずれかの切削工具において、前記第1切刃は、前記先端の側の端に位置する第1先端部を有し、前記第2切刃は、前記先端の側の端に位置する第2先端部を有し、前記回転軸に沿った方向において、前記第1先端部は、前記第2先端部と同じ位置にあってもよい。
[6]上記[1]から[5]のいずれかの切削工具において、前記回転軸の回転方向において、前記第1インサートは、前記第2インサートと隣り合ってもよい。
[7]上記[1]から[6]のいずれかの切削工具において、前記本体部は、前記先端の側に位置する第3ポケットをさらに有し、該第3ポケットに位置し、第3切刃を有する第3インサートをさらに有し、前記回転軸の回転方向において、前記第3インサートは、前記第1インサート及び前記第2インサートと隣り合い、前記第3インサートのアキシャルレーキは、前記第1インサートのアキシャルレーキより小さく、前記第2インサートのアキシャルレーキより大きくてもよい。
[8]上記[1]から[7]のいずれかの切削工具を回転させる工程と、前記切削工具を被削材に接触させる工程と、前記切削工具を前記被削材から離す工程と、を備えてもよい。
1A~1B・・・切削工具
3・・・本体部
3A・・・先端
3B・・・後端
4・・・インサート
4A・・・第1インサート
4B・・・第2インサート
4C・・・第3インサート
5・・・ポケット
5A・・・第1ポケット
5B・・・第2ポケット
5C・・・第3ポケット
6・・・座面
6A・・・第1座面
6B・・・第2座面
6C・・・第3座面
7・・・切刃
7A・・・第1切刃
7B・・・第2切刃
7C・・・第3切刃
8・・・固定具
9・・・下面
10・・・先端刃
10A・・・第1先端刃
10B・・・第2先端刃
10C・・・第3先端刃
12・・・主切刃
12A・・・第1主切刃
12B・・・第2主切刃
12C・・・第3主切刃
13・・・先端部
13A・・・第1先端部
13B・・・第2先端部
13C・・・第3先端部
14・・・後端部
15・・・外端部
16・・・内端部
101・・・切削加工物
102・・・被削材
O1・・・回転軸
O2・・・回転方向
O10・・・回転軸に平行な直線
L1~L5・・・仮想直線
S1・・・送り方向
α・・・主切刃の傾き
α1・・・第1主切刃の傾き(切込み角)
α2・・・第2主切刃の傾き(切込み角)
AR・・・アキシャルレーキ
AR1・・・第1アキシャルレーキ
AR2・・・第2アキシャルレーキ
AR3・・・第3アキシャルレーキ
RR・・・ラジアルレーキ
RR1・・・第1ラジアルレーキ
RR2・・・第2ラジアルレーキ
RR3・・・第3ラジアルレーキ
θ・・・傾斜角
θ1・・・第1傾斜角
θ2・・・第2傾斜角
θ3・・・第3傾斜角

Claims (6)

  1. 回転軸に沿って先端から後端に向かって延び、且つ、前記先端の側にそれぞれ位置する第1ポケット及び第2ポケットを有する本体部と、
    前記第1ポケットに位置し、第1切刃を有する第1インサートと、
    前記第2ポケットに位置し、第2切刃を有する第2インサートと、を有し、
    前記第1インサートのアキシャルレーキは正であって、
    前記第2インサートのアキシャルレーキは負であり、
    前記第1インサートのアキシャルレーキの大きさの絶対値は、前記第2インサートのアキシャルレーキの大きさの絶対値よりも大きく、
    前記第1切刃は、前記先端の側の端に位置する第1先端部を有し、
    前記第2切刃は、前記先端の側の端に位置する第2先端部を有し、
    前記回転軸に沿った方向において、前記第1先端部は、前記第2先端部と同じ位置にある、切削工具。
  2. 前記第1ポケットは、前記回転軸に対して正の角度に傾斜する第1座面を有し、
    前記第2ポケットは、前記回転軸に対して負の角度に傾斜する第2座面を有し、
    前記第1インサートは、前記第1座面と接し、
    前記第2インサートは、前記第2座面と接する、請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記第1インサートのラジアルレーキは、前記第2インサートのラジアルレーキより小さい、請求項1又は2に記載の切削工具。
  4. 前記回転軸の回転方向において、前記第1インサートは、前記第2インサートと隣り合う、請求項1又は2に記載の切削工具。
  5. 前記本体部は、前記先端の側に位置する第3ポケットをさらに有し、
    該第3ポケットに位置し、第3切刃を有する第3インサートをさらに有し、
    前記回転軸の回転方向において、前記第3インサートは、前記第1インサート及び前記第2インサートと隣り合い、
    前記第3インサートのアキシャルレーキは、前記第1インサートのアキシャルレーキより小さく、前記第2インサートのアキシャルレーキより大きい、請求項1又は2に記載の切削工具。
  6. 請求項1又は2に記載の切削工具を回転させる工程と、
    前記切削工具を被削材に接触させる工程と、
    前記切削工具を前記被削材から離す工程と、を有する切削加工物の製造方法。
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