JP7785573B2 - 灯油組成物および灯油組成物用基材 - Google Patents
灯油組成物および灯油組成物用基材Info
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Description
例えば、上記藻類や、ジャトロファ、カメリナ等の植物の種子から得られる油脂に対して脱酸素化処理および水素化処理を施すことにより、パラフィンを主成分とする燃料油の構成基材とする方法や、廃食油や一般的な油脂脂に由来するさまざまな脂質を水素化処理し、不純物を除去した後、得られたパラフィン分を異性化し、適宜分留処理してイソパラフィンを主成分とする燃料油の構成基材とする方法等を挙げることができる。
例えば、発酵法により産生されたイソブタノールを脱水反応によりイソブテンとした後、これを重合してオリゴマー化することにより、分岐鎖状飽和炭化水素(イソパラフィン)を主成分とする燃料油の構成基材とする方法が知られるようになっている。
このようなイソパラフィン系基材の製造方法としては、上記再生可能原料を用いる方法以外にも、石油精製工程から得られるイソブテン等から合成する方法も挙げることができる。
(1)硫黄分含有量が10質量ppm未満、イソパラフィン含有量が85.0容量%以上、n-パラフィン含有量が7.0質量%以下、芳香族分含有量が0.5容量%以下であり、15℃における密度が0.7300~0.8000g/cm3、蒸留範囲が140.0℃~300.0℃であるイソパラフィン系基材を15容量%~50容量%含有するとともに、
硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7600~0.8200g/cm3、蒸留範囲が135.0℃~290.0℃である水素化脱硫灯油基材を25容量%~45容量%、
90容量%留出温度が320~360℃で、芳香族炭化水素を37~65質量%含む原料油の水素分圧10~18MPaによる水素化処理油から得られる、硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7900~0.8600g/cm3、蒸留範囲が140.0℃~320.0℃である高圧水素化処理基材を15容量%~40容量%含有し、
30℃における動粘度が1.450mm2/秒以上である
ことを特徴とする灯油組成物、
(2)下記式(I)
2.5×アルキルベンゼン含有量(容量%)-5.2×ナフテンベンゼン含有量(容量%) (I)
により算出される安定性指標が0.00より大きい上記(1)に記載の灯油組成物、
(3)硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7600~0.8200g/cm3、蒸留範囲が135.0℃~290.0℃である水素化脱硫灯油基材29.4容量%~75.0容量%と、
90容量%留出温度が320~360℃で、芳香族炭化水素を37~65質量%含む原料油の水素分圧10~18MPaによる水素化処理油から得られる、硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7900~0.8600g/cm3、蒸留範囲が140.0℃~320.0℃である高圧水素化処理基材17.6容量%~61.5容量%とを含む
ことを特徴とする灯油組成物用基材
を提供するものである。
なお、本明細書中、数値範囲を現す「~」は、その上限及び下限としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、「~」で表される数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も同じ単位であることを意味する。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
硫黄分含有量が10質量ppm未満、イソパラフィン含有量が85.0容量%以上、n-パラフィン含有量が7.0質量%以下、芳香族分含有量が0.5容量%以下であり、15℃における密度が0.7300~0.8000g/cm3、蒸留範囲が140.0℃~300.0℃であるイソパラフィン系基材を15容量%~50容量%含有するとともに、
硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7600~0.8200g/cm3、蒸留範囲が135.0℃~290.0℃である水素化脱硫灯油基材を25容量%~45容量%、
90容量%留出温度が320~360℃で、芳香族炭化水素を37~65質量%含む原料油の水素分圧10~18MPaによる水素化処理油から得られる、硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7900~0.8600g/cm3、蒸留範囲が140.0℃~320.0℃である高圧水素化処理基材を15容量%~40容量%含有し、
30℃における動粘度が1.450mm2/秒以上である
ことを特徴とするものである
本出願書類において、イソパラフィン系基材は、再生可能原料を用いて得られるものであってもよいし、石油精製工程で得られる留分や、石油精製工程で得られる留分をさらに合成ないし異性化処理して得られるものであってもよい。
本発明に係る灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材の硫黄分含有量が上記範囲内にあることにより、燃焼時における硫黄酸化物の生成を容易に低減することができる。
測定装置 :Agilent社製 GC-FID
カラム :DB-1 60m×0.32mmID DF:0.25μm
測定開始温度(保持時間) :60℃(5min)
測定終了温度(保持時間) :340℃(14min)
オーブン昇温速度 :6℃/min
キャリアーカ゛ス :He 152kPa
FID燃焼ガス :H230mK/min、 Air 400mL/min
定量方法 :内部標準法 (フタル酸ジ-n-ブチル)
試料希釈 :トルエン
注入方法 :オンカラム注入
<アルカン類(鎖状飽和炭化水素)含有量およびナフテン(環状飽和炭化水素)含有量の測定方法>
(1)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、以下に示す条件により飽和分(飽和炭化水素化合物)を分取する。
測定装置 :(株)島津製作所製 HPLC
カラム :Develosil 30-3 (4.6mm×250mm)
移動相 :n-ヘキサン 1.0mL/min 5.3MPa
検出器 :CH1:UV254nm、 CH2:RI
試料濃度 :n-ヘキサンで約20vol.%に希釈
注入量 :60μL
分取条件 :飽和分溶出後にバックフラッシュを行い、芳香族分を一括して溶出させる。
(2)上記(1)で得られた飽和分について、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いて以下に示す条件により平均マススペクトルを求める。
測定装置 :Agilent社製 GC-MS
カラム :DB-1HT 30m×0.32mmI.D.×0.10um
オーブン温度 :40℃(2min)-(20℃/min)-300℃(5min) Run 20min
キャリアーガス :He 定圧モード 30kPa 初期:2.1mL/min,52cm/sec
イオン化電圧 :EI 70eV
注入方法 :オンカラム注入
次いで、ASTM D 2786に記載の計算式に代入して、アルカン類の容量比率およびナフテンの容量比率をそれぞれ算出し、後述するJPI-5S-49-07で測定した飽和分の値(容量%)に上記算出した容量比率をかけることで、溶液全体に対するアルカン類の含有量およびナフテンの含有量を算出する。
なお、ASTM D 2786で計算に使用するファクターとして、平均炭素数は16、計算ファクターはn-パラフィンを使用した。
ただし、高圧水素化処理基材の原料油の芳香族分の含有量、及び後述する発熱量測定に用いる芳香族分については、IP548「Determination OF aromatic hydrocarbon types in middle distillates - High performance liquid chromatography method With refractive index detection」により測定される値を意味する。
灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材の密度が上記範囲内にあることにより、灯油組成物の燃焼時に良好な燃焼状態を容易に発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材の蒸留範囲が上記範囲内にあることにより、灯油組成物とした際に、産業用ディーゼルエンジン等の燃焼器や家庭用暖房機器での使用に適した蒸留性状を付与することができる。
なお、本出願書類において、蒸留範囲とは、初留点(IBP)~終点(EP)における温度範囲を意味する。
本発明に係る灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材は、常圧蒸留における10容量%留出温度(T10)が、150.0~230.0℃であるものが好ましく、155.0~220.0℃であるものがより好ましく、160.0~210.0℃であることがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材は、常圧蒸留における50容量%留出温度(T50)が、170.0~250.0℃であるものが好ましく、175.0~240.0℃であるものがより好ましく、180.0~220.0℃であるものがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材は、常圧蒸留における90容量%留出温度(T90)が、180.0~280.0℃であるものが好ましく、185.0~270.0℃であるものがより好ましく、190.0~260.0℃であるものがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材は、(c)常圧蒸留における95容量%留出温度(T95)が、190.0~290.0℃であり、195.0~280.0℃であるものが好ましく、200.0~270.0℃であるものがより好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材は、終点(EP)が、195.0~300.0℃であるものが好ましく、200.0~290.0℃であるものがより好ましく、205.0~280.0℃であるものがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、IBP、T10、T50、T90、T95およびEPは、JIS K2254:1998「石油製品-蒸留試験方法」により測定される常圧蒸留における留出温度を意味する。
イソパラフィン系基材の引火点の上限は特に制限されないが、イソパラフィン系基材の引火点は、通常、90.0℃以下である。
灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材の引火点が上記範囲内にあることにより、より容易な取り扱いが可能となる。
イソパラフィン系基材の析出点の下限は特に制限されないが、イソパラフィン系基材の析出点の測定限界は-75℃である。
灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材の析出点が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合したときに極地等の使用においてもワックス分の析出を容易に抑制することができる。
イソパラフィン系基材の煙点の上限は特に制限されないが、イソパラフィン系基材の煙点は、通常、60.0mm以下である。
灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材の煙点が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合したときに燃焼性を容易に向上させることができる。
本発明に係る灯油組成物を構成するイソパラフィン系基材がバイオマス由来のものである場合、脂質を原料として製造されたものやバイオアルコールを原料として合成されたものが好ましい。
脂質を原料として製造されたイソパラフィン系基材として、具体的には、廃食油や一般的な動植物油に由来するさまざまな脂質を水素化処理し、不純物を除去した後、得られたパラフィン分を異性化し、適宜分留処理してなるもの等を挙げることができる。
また、バイオアルコールを原料として合成されたイソパラフィン系基材として、具体的には、発酵法により産生されたイソブタノールを脱水反応によりイソブテンとした後、これを重合してオリゴマー化し、適宜分留処理してなるもの等を挙げることができる。
なお、本出願書類において、バイオアルコールとは、バイオマスを発酵し、適宜濾過処理して得られるエタノールやブタノール等のアルコール類を意味する。
本出願書類において、水素化脱硫灯油基材とは、原油を常圧蒸留して得られる灯油留分(直留灯油)を水素化脱硫してなるものを意味する。
本発明に係る灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材の硫黄分含有量が上記範囲内にあることにより、燃焼時における硫黄酸化物の生成を容易に低減することができる。
灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材の密度が上記範囲内にあることにより、灯油組成物の燃焼時に良好な燃焼状態を容易に発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材の蒸留範囲が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合した際に、産業用ディーゼルエンジンや、家庭用暖房機器での使用に適した蒸留性状を容易に付与することができる。
なお、本出願書類において、蒸留範囲とは、初留点(IBP)~終点(EP)に係る温度範囲を意味する。
本発明に係る灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材は、常圧蒸留における10容量%留出温度(T10)が、145.0~190.0℃であるものが好ましく、150.0~185.0℃であるものがより好ましく、155.0 ~180.0℃であることがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材は、常圧蒸留における50容量%留出温度(T50)が、170.0~230.0℃であるものが好ましく、175.0~225.0℃であるものがより好ましく、180.0~220.0℃であるものがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材は、常圧蒸留における90容量%留出温度(T90)が、210.0~245.0℃であるものが好ましく、215.0~250.0℃であるものがより好ましく、220.0~255.0℃であるものがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材は、常圧蒸留における95容量%留出温度(T95)が、220.0~270.0℃であり、225.0~265.0℃であるものが好ましく、230.0~260.0℃であるものがより好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材は、終点(EP)が、230.0~290.0℃であるものが好ましく、235.0~285.0℃であるものがより好ましく、240.0~280.0℃であるものがさらに好ましい。
水素化脱硫灯油基材の引火点の上限は特に制限されないが、水素化脱硫灯油基材の引火点は、通常、60℃以下である。
灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材の引火点が上記範囲内にあることにより、より容易な取り扱いが可能となる。
水素化脱硫灯油基材の析出点の下限は特に制限されないが、水素化脱硫灯油基材の析出点は、通常、-59℃以上である。
灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材の析出点が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合したときに極地などの使用においてもワックス分の析出を抑制し易くなる。
灯油組成物の煙点の上限は特に制限されないが、灯油組成物の煙点は、通常、60mm以下である。
灯油組成物の煙点が上記範囲内にあることにより、優れた燃焼性を維持できる。
灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材の煙点が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合したときに燃焼性を容易に向上させることができる。
灯油組成物を構成する水素化脱硫灯油基材の誘導期間が80分以上であることにより、灯油組成物に配合したときに優れた酸化安定性を発揮して、スラッジやデポジットの生成を抑制し、その結果、産業用ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルの詰まりや、家庭用暖房機器での燃焼異常を抑制することができる。
なお、本出願書類において、誘導期間は、ASTM D7545-09「Standard Test Method for Oxidation Stability of Middle Distillate Fuels-Rapid Small Scale Oxidation Test」により測定される誘導期間を意味する。
本発明に係る灯油組成物において、水素化脱硫灯油基材中の飽和分の含有割合が上記範囲内にあることにより、良好な燃焼性を容易に発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物において、水素化脱硫灯油基材中の飽和分の含有割合が上記範囲内にあることにより、良好な酸化安定性を発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物において、水素化脱硫灯油基材中の芳香族分の含有割合が上記範囲内にあることにより、良好な燃焼性を容易に発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材の硫黄分含有量が上記範囲内にあることにより、燃焼時における硫黄酸化物の生成を容易に低減することができる。
灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材の密度が上記範囲内にあることにより、容量あたりの炭化水素含有量が多くなり、発熱量が向上して灯油組成物の燃焼時に良好な燃焼状態を容易に発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材の蒸留範囲が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合した際に、航空機での使用に適した蒸留性状を容易に付与することができる。
なお、本出願書類において、蒸留範囲とは、初留点(IBP)~終点(EP)に係る温度範囲を意味する。
本発明に係る灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材は、常圧蒸留における10容量%留出温度(T10)が、170.0~220.0℃であるものが好ましく、180.0~210.0℃であるものがより好ましく、190.0 ~210.0℃であることがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材は、常圧蒸留における50容量%留出温度(T50)が、180.0~240.0℃であるものが好ましく、190.0~230.0℃であるものがより好ましく、200.0~220.0℃であるものがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材は、常圧蒸留における90容量%留出温度(T90)が、185.0~265.0℃であるものが好ましく、200.0~260.0℃であるものがより好ましく、210.0~250.0℃であるものがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材は、常圧蒸留における95容量%留出温度(T95)が、190.0~270.0℃であり、200.0~265.0℃であるものが好ましく、210.0~260.0℃であるものがより好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材は、終点(EP)が、225.0~320.0℃であるものが好ましく、230.0~310.0℃であるものがより好ましく、240.0~300.0℃であるものがさらに好ましく、250.0~300.0℃が一層好ましい。
高圧水素化処理基材の引火点の上限は特に制限されないが、高圧水素化処理基材の引火点は、通常、130℃以下である。
灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材の引火点が上記範囲内にあることにより、常温で可燃性蒸気が発生し難く、静電気等による着火を抑制し易くなる。
灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材の析出点が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合したときにワックス分の析出を抑制し易くなり、極地や寒冷地での使用時に燃料フィルターや配管系内部での詰まりの発生を抑制し易くなる。
高圧水素化処理基材の煙点の上限は特に制限されないが、高圧水素化処理基材の煙点は、通常、40mm以下である。
高圧水素化処理基材の煙点が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合したときに優れた燃焼性を容易に維持することができる。
高圧水素化処理基材中の飽和分の含有割合が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合したときに、良好な燃焼性を容易に発揮することができる。
高圧水素化処理基材中のオレフィン分の含有割合が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合したときに、良好な酸化安定性を容易に発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物において、高圧水素化処理基材中の芳香族分の含有割合が上記範囲内にあることにより、産業用ディーゼルエンジンや、家庭用暖房機器における燃焼時に炭素粒子である「すす」の発生量が低減して良好な燃焼性を容易に発揮することができる。
高圧水素化処理基材中のナフテン(環状飽和炭化水素)の含有割合が上記範囲内にあることにより、灯油組成物に配合した際に、優れた潤滑性を容易に発揮することができる。
発熱量が上記範囲内にあることにより、産業用ディーゼルエンジンや、家庭用暖房機器における燃焼時に燃焼効率を容易に向上させることができる。
なお、本出願書類において、発熱量とは、JIS K2279「原油及び石油製品-発熱量試験方法及び計算による推定方法」により測定される値を意味する。
ここで、JIS K2279に規定される式中の芳香族分(容量%)は、IP548「Determination OF aromatic hydrocarbon types in middle distillates - High performance liquid chromatography method With refractive index detection」により測定される芳香族分(質量%)の値を用い、密度を0.9g/mLとして容量%に換算した値を使用する。
灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材の摩耗痕径が660μm以下であることにより、灯油組成物に配合したときに安定した潤滑性を容易に発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材の原料油は、90容量%留出温度が320~360℃であり、芳香族炭化水素を37~65質量%含むものである。
なお、本出願書類において、高圧水素化処理基材の原料油中の芳香族炭化水素の含有量とは、IP548「Determination OF aromatic hydrocarbon types in middle distillates - High performance liquid chromatography method With refractive index detection」により測定される値を意味する。
上記原料油の硫黄分含有量は低い程好ましいため、硫黄分の含有量の下限値は特に限定されないが、通常0.5質量%以上である。
窒素分の含有量は低い程好ましいため、窒素分の含有量の下限値は特に限定されないが、通常100質量ppm以上である。
なお、本出願書類において、窒素分の含有量とは、JIS K 2609「原油及び石油製品-窒素分試験方法」により測定される値を意味する。
原料油の総容積に対する熱分解軽質軽油と接触分解軽油の合計含有量は、30~100容量%が好ましく、40~98容量%がより好ましく、50~95容量%がさらに好ましく、60~95容量%が一層好ましい。
例えば、原料油の総容積に対して、熱分解軽質軽油の含有量が30~60容量%で、かつ接触分解軽油の含有量が35~65容量%が好ましい。
高圧水素化処理基材の原料油としては、上記熱分解軽質軽油、接触分解軽油、熱分解重質軽油を水素化処理して得られた軽質軽油以外の留分として、例えば、常圧蒸留装置から得られる直留軽油、間接脱硫装置から得られる軽油留分、直接脱硫装置から得られる軽油留分等を含んでもよい。
原料油の総容積に対する上記熱分解軽質軽油、接触分解軽油、熱分解重質軽油を水素化処理して得られた軽質軽油以外の留分の含有割合は、0~70容量%が好ましく、2~60容量%がより好ましく、5~50容量%がさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物を構成する高圧水素化処理基材は、上記原料油を水素分圧10~18MPaで高圧水素化処理した水素化処理油から得られるものである。
上記高圧水素化処理時に使用する水素化処理触媒としては、担体が、アルミナを含有する多孔質無機酸化物であるものが好ましい。
水素化処理触媒を構成する活性成分としては、周期表第6族から選ばれる少なくとも1種の金属元素、周期表第8~10族から選ばれる少なくとも1種の金属元素が例として挙げられる。
周期表第6族から選ばれる少なくとも1種の金属元素としては、モリブデン、タングステンが好ましい。モリブデン化合物としては、三酸化モリブデン、モリブデン酸アンモニウム等が好ましく、タングステン化合物としては、三酸化タングステン、タングステン酸アンモニウム等が好ましい。第6族金属の担持量は、酸化物換算で水素化処理触媒の総質量に対して8~20質量%が好ましい。
周期表第8~10族から選ばれる少なくとも1種の金属元素としては、コバルト、ニッケルが好ましい。コバルト化合物としては、炭酸コバルト、塩基性炭酸コバルト、硝酸コバルト等が好ましく、ニッケル化合物としては、炭酸ニッケル、塩基性炭酸ニッケル、硝酸ニッケル等が好ましい。第9族と第10族の金属元素の担持量は、酸化物換算で水素化処理触媒の総質量に対して2~6質量%が好ましい。
上述した活性成分のなかでは、モリブデンとニッケルとを組み合わせたモリブデンニッケル系触媒が好ましい。
また、上述の水素化処理触媒を、水素雰囲気下で、300~400℃で、1~36時間、水素還元処理して使用することが好ましい。
原料油の高圧水素化処理時における水素分圧は、10~18MPaであり、11~16MPaが好ましく、13~15MPaがより好ましい。
また、反応器内の発熱に応じてクエンチ水素を加えても良い。
上記蒸留分離には、蒸留装置を用いることが好ましい。ここで、蒸留装置とは、液体混合物を沸点の差を利用して分離する装置で、常温、常圧で液体又は固体の混合物でも温度と圧力調節により液体混合物として蒸留により分離できる装置を意味する。
上記添加剤としては、氷結防止剤、酸化防止剤、金属不活性剤、静電気防止剤、潤滑性向上剤、導電度調整剤、腐食防止剤等の公知の燃料添加剤から選択される一種以上が挙げられる。
本発明に係る灯油組成物が、上記イソパラフィン系基材、水素化脱硫灯油基材および高圧水素化処理基材を、合計で上記割合で含むことにより、イソパラフィン系基材を主たる基材として含む場合においても、適切な燃焼特性を有するとともに潤滑性および酸化安定性に優れた灯油組成物を容易に提供することができる。
本発明に係る灯油組成物の30℃における動粘度の上限は特に制限されないが、本発明に係る灯油組成物の30℃における動粘度は、通常、1.900mm2/秒以下である。
なお、本出願書類において、30℃における動粘度は、JIS K 2283:2000「原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定された値を意味する。
本発明に係る灯油組成物の芳香族分の含有割合が上記範囲内にあることにより、良好な燃焼性を容易に発揮することができる。
2.5×アルキルベンゼン含有量(質量%)-5.2×ナフテンベンゼン含有量(質量%) (I)
により算出される安定性指標が、0.00より大きいことが好ましく、1.00以上であることがより好ましく、2.00以上であることがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物において、上記式(I)で表される安定性指標の上限値に特に制限はないが、上記式(I)で表される安定性指標は、通常、25.00以下である。
<アルキルベンゼン含有量(質量%)およびナフテンベンゼン含有量(質量%)の測定方法>
(1)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりを用いて、以下に示す条件で芳香族分(芳香族炭化水素化合物)を分取する。
測定装置 :(株)島津製作所製 HPLC
カラム :Develosil 30-3 (4.6mm×250mm)
移動相 :n-ヘキサン 1.0mL/min 5.3MPa
検出器 :CH1:UV254nm、 CH2:RI
試料濃度 :n-ヘキサンで約20vol.%に希釈
注入量 :60μL
分取条件 :飽和分溶出後にバックフラッシュを行い、芳香族分を一括して溶出させ、分取する。
(2)上記(1)で得られた芳香族分について、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いて以下に示す条件により平均マススペクトルを求める。
測定装置 :Agilent社製 GC-MS
カラム :DB-1HT 30m×0.32mmI.D.×0.10um
オーブン温度 :40℃(2min)-(20℃/min)-300℃(5min) Run 20min
キャリアーガス:He 定圧モード 30kPa 初期:2.1mL/min,52cm/sec
イオン化電圧 :EI 70eV
注入方法 :オンカラム注入
次いで、ASTM D 3239に記載の計算式に代入して、各芳香族成分の容量比率をそれぞれ算出し、JPI-5S-49-07で測定した芳香族の値(容量%)に算出した容量比率をかけることで、溶液全体に対するアルキルベンゼン含有量及びナフテンベンゼン含有量を算出する。
灯油組成物の誘導期間が70分以上であることにより、優れた酸化安定性を発揮して、スラッジやデポジットの生成を抑制し、その結果、産業用ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルの詰まりや、家庭用暖房機器での燃焼異常を抑制することができる。
灯油組成物の摩耗痕径が660.0μm以下であることにより、灯油組成物に配合したときに安定した潤滑性を容易に発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物の析出点の下限値は、特に制限されないが、上記析出点は、通常、-75.0℃以上である。
本発明に係る灯油組成物の析出点が-47.0℃以下であることにより、優れた低温流動性を容易に発揮することができる。
本発明に係る灯油組成物の引火点が上記範囲内にあることにより、容易かつ安全に取り扱うことができる。
例えば、上述した水素化脱硫灯油基材および高圧水素化処理基材を混合し、得られた混合物とイソパラフィン系基材とをさらに混合して本発明に係る灯油組成物を調製してもよい。
上記添加剤としては、氷結防止剤、酸化防止剤、金属不活性剤、静電気防止剤、潤滑性向上剤、導電度調整剤、腐食防止剤等の公知の燃料添加剤から選択される一種以上が挙げられる。
本発明に係る灯油組成物用基材は、
硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7600~0.8200g/cm3、蒸留範囲が135.0℃~290.0℃である水素化脱硫灯油基材29.4容量%~75.0容量%と、90容量%留出温度が320~360℃で、芳香族炭化水素を37~65質量%含む原料油の水素分圧10~18MPaによる水素化処理油から得られる、硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7900~0.8600g/cm3、蒸留範囲が140.0℃~320.0℃である高圧水素化処理基材17.6容量%~61.5容量%とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明に係る灯油組成物用基材は、上記高圧水素化処理基材を、17.6容量%~61.5容量%含むものであり、19.0容量%~60.0容量%含むものであることが好ましく、20.0容量%~58.5容量%含むものであることがより好ましい。
上記イソパラフィン系基材は、バイオマス由来のものであってもよいし、石油精製工程から得られるイソブテン等から合成されたものであってもよく、バイオマス由来のものであることが好適である。
上記イソパラフィン系基材がバイオマス由来のものである場合、脂質(油脂)を原料として製造されたものやバイオアルコールを原料として合成されたものが好ましい。
脂質を原料として製造されたものとして、具体的には、廃食油や、一般的な動植物油に由来するさまざまな脂質を水素化処理し、不純物を除去した後、得られたパラフィン分を異性化し、適宜分留処理してなるもの等をあげることができる。
また、バイオアルコールを原料として合成されたものとして、具体的には、発酵法により産生されたイソブタノールを脱水反応によりイソブテンとした後、これを重合してオリゴマー化し、適宜分留処理してなるもの等を挙げることができる。
上記添加剤としては、氷結防止剤、酸化防止剤、金属不活性剤、静電気防止剤、潤滑性向上剤、導電度調整剤、腐食防止剤等の公知の燃料添加剤から選択される一種以上が挙げられる。
係るイソパラフィン系基材の詳細は、上述したとおりである。
本発明に係る灯油組成物用基材を上記イソパラフィン系基材と混合する場合、得られる灯油組成物中の水素化脱硫灯油基材の含有割合が、25~45容量%となるように混合することが好ましく、27~43容量%となるように混合することがより好ましく、29~41容量%となるように混合することがさらに好ましい。
本発明に係る灯油組成物用基材を上記イソパラフィン系基材と混合する場合、得られる灯油組成物中の高圧水素化処理基材の含有割合が、15~40容量%となるように混合することが好ましく、17~38容量%となるように混合することがより好ましく、19~36容量%となるように混合することがさらに好ましい。
このとき得られる灯油組成物の詳細は、本発明に係る灯油組成物の説明で述べたとおりである。
以下の実施例および比較例においては、以下の基材を使用した。各基材の特性を表1に示す。
・イソパラフィン系基材
イソパラフィンを93.2容量%含むもの。
・水素化脱硫灯油基材
中東系原油を常圧蒸留して得られる灯油留分(直留灯油)を水素化脱硫処理したもの。
・高圧水素化処理基材
90容量%留出温度(T90)が352.0℃で、芳香族炭化水素を44.3質量%含む原料油を水素分圧14MPaで高圧水素化処理して得られる高圧水素化処理油を蒸留処理したもの。
上記イソパラフィン系基材、水素化脱硫灯油基材および高圧水素化処理基材を以下の表2~表5に示す割合となるように配合して、実施例1~実施例5および比較例1~比較例17に係る各灯油組成物を調製した。
得られた各灯油組成物の特性を表2~表5に示す。
Claims (3)
- 硫黄分含有量が10質量ppm未満、イソパラフィン含有量が85.0容量%以上、n-パラフィン含有量が7.0質量%以下、芳香族分含有量が0.5容量%以下であり、15℃における密度が0.7300~0.8000g/cm3、蒸留範囲が140.0℃~300.0℃であるイソパラフィン系基材を15容量%~50容量%含有するとともに、
硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7600~0.8200g/cm3、蒸留範囲が135.0℃~290.0℃である水素化脱硫灯油基材を25容量%~45容量%、
90容量%留出温度が320~360℃で、芳香族炭化水素を37~65質量%含む原料油の水素分圧10~18MPaによる水素化処理油から得られる、硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7900~0.8600g/cm3、蒸留範囲が140.0℃~320.0℃である高圧水素化処理基材を15容量%~40容量%含有し、
30℃における動粘度が1.450mm2/秒以上である
ことを特徴とする灯油組成物。 - 下記式(I)
2.5×アルキルベンゼン含有量(容量%)-5.2×ナフテンベンゼン含有量(容量%) (I)
により算出される安定性指標が0.00より大きい請求項1に記載の灯油組成物。 - 硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7600~0.8200g/cm3、蒸留範囲が135.0℃~290.0℃である水素化脱硫灯油基材29.4容量%~75.0容量%と、
90容量%留出温度が320~360℃で、芳香族炭化水素を37~65質量%含む原料油の水素分圧10~18MPaによる水素化処理油から得られる、硫黄分含有量が10質量ppm未満、15℃における密度が0.7900~0.8600g/cm3、蒸留範囲が140.0℃~320.0℃である高圧水素化処理基材17.6容量%~61.5容量%とを含む
ことを特徴とする灯油組成物用基材。
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