JP7786644B2 - 亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法Info
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Description
(1)下地鋼板の板厚の1/4の位置において、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計を70.0%以上、かつ、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計を10.0%以下とすることで、1470MPa以上のTSを実現できる。
(2)板厚の1/4の位置において、残留オーステナイトの体積率を6.0%以上20.0%以下とし、かつ、旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計を20%以上45%以下とすることで、伸び(El)が9.0%以上、穴広げ率(λ)が20%以上の優れた加工性及び伸びフランジ加工部の優れた耐遅れ破壊特性を実現できる。
(3)亜鉛系めっき鋼板を製造する際に、所定の成分組成を有する鋼スラブを使用し、焼鈍工程後及びめっき処理工程後の保持工程又は各冷却工程において、保持時間又は冷却時間及び冷却速度を制御することにより、上記(1)、(2)を満たす組織を有する亜鉛系めっき鋼板を得ることができる。
前記下地鋼板が、
質量%で、
C :0.180%以上0.250%以下、
Si:0.800%以上1.550%以下、
Mn:2.400%以上3.200%以下、
P :0.100%以下、
S :0.0200%以下、
Al:1.000%以下、
N :0.0100%以下、及び
O :0.0100%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成と、
前記下地鋼板の表面からの深さが板厚の1/4の位置において、
焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計が70.0%以上94.0%以下、
残留オーステナイトの体積率が6.0%以上20.0%以下、
フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が10.0%以下、並びに
残部組織の面積率が10.0%以下である組織と、
を有し、
前記1/4の位置において、旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計が20%以上45%以下であり、
前記1/4の位置において、旧オーステナイト粒界を被覆する残留オーステナイト中の炭素濃度が0.60質量%未満であり、
引張強さが1470MPa以上である
ことを特徴とする、亜鉛系めっき鋼板。
Ti :0.200%以下、
Nb :0.200%以下、
V :0.200%以下、
Ta :0.10%以下、
W :0.10%以下、
B :0.0100%以下、
Cr :1.00%以下、
Mo :1.00%以下、
Ni :1.00%以下、
Co :0.010%以下、
Cu :1.00%以下、
Sn :0.200%以下、
Sb :0.200%以下、
Ca :0.0100%以下、
Mg :0.0100%以下、
REM:0.0100%以下、
Zr :0.100%以下、
Zn :0.100%以下、
Pb :0.100%以下、
Te :0.100%以下、
Se :0.020%以下、
Ga :0.020%以下、
Ge :0.020%以下、
Sr :0.020%以下、
Hf :0.10%以下、及び
Bi :0.200%以下、
からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する、上記[1]に記載の亜鉛系めっき鋼板。
C :0.180%以上0.250%以下、
Si:0.800%以上1.550%以下、
Mn:2.400%以上3.200%以下、
P :0.100%以下、
S :0.0200%以下、
Al:1.000%以下、
N :0.0100%以下、及び
O :0.0100%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブに熱間圧延を施して、熱延鋼板を得る工程と、
前記熱延鋼板に冷間圧延を施して、冷延鋼板を得る工程と、
前記冷延鋼板を、以下の式(1)で定義されるAc3(℃)以上の焼鈍温度に10s以上保持する焼鈍工程と、
次いで、前記冷延鋼板を、以下の式(2)及び式(3)でそれぞれ定義されるBs及びMsを用いて、(3Bs-Ms)/3(℃)以上0.95×Bs(℃)以下の温度T1まで、5℃/s以上の冷却速度で冷却する第一の冷却工程と、
次いで、以下の式(4)におけるfが0.010以上0.200以下を満たす時間t(s)だけ、前記冷延鋼板を前記T1(℃)に保持する保持工程、又は、前記冷延鋼板を1.50℃/s以下の冷却速度で冷却する第二の冷却工程と、
次いで、前記冷延鋼板を、Ms(℃)以上Bs-20(℃)以下の温度T3まで、5℃/s以上の冷却速度で冷却する第三の冷却工程と、
次いで、前記冷延鋼板に亜鉛系めっき処理を施して、めっき鋼板を得る工程と、
次いで、前記めっき鋼板を、Ms-200(℃)以上Ms-80(℃)以下の温度T4まで、5℃/s以上の冷却速度で冷却する第四の冷却工程と、
次いで、前記めっき鋼板を、100℃以上T4(℃)未満の冷却停止温度T5まで、3.0℃/s以下の冷却速度で冷却する第五の冷却工程と、
次いで、前記めっき鋼板を、T5(℃)超え350℃以下の焼戻し温度に5s以上1000s以下保持する焼戻し工程と、
を有する、亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
Ac3(℃)=881-205.7×[%C]+53.1×[%Si]-15×[%Mn]-27×[%Cu]-20.1×[%Ni]-0.7×[%Cr]+41.1×[%Mo] ・・・(1)
Bs(℃)=830-270×[%C]-90×[%Mn]-37×[%Ni]-70×[%Cr]-83×[%Mo] ・・・(2)
Ms=539-423×[%C]-30.4×[%Mn]-17.7×[%Ni]-12.1×[%Cr]-7.5×[%Mo] ・・・(3)
ここで、[%X]は、前記成分組成における元素Xの含有量(質量%)を示し、前記成分組成が元素Xを含有しない場合は0とする。dγ(μm)は、前記焼鈍工程の終了時における前記冷延鋼板の旧オーステナイト粒径とする。
Ti :0.200%以下、
Nb :0.200%以下、
V :0.200%以下、
Ta :0.10%以下、
W :0.10%以下、
B :0.0100%以下、
Cr :1.00%以下、
Mo :1.00%以下、
Ni :1.00%以下、
Co :0.010%以下、
Cu :1.00%以下、
Sn :0.200%以下、
Sb :0.200%以下、
Ca :0.0100%以下、
Mg :0.0100%以下、
REM:0.0100%以下、
Zr :0.100%以下、
Zn :0.100%以下、
Pb :0.100%以下、
Te :0.100%以下、
Se :0.020%以下、
Ga :0.020%以下、
Ge :0.020%以下、
Sr :0.020%以下、
Hf :0.10%以下、及び
Bi :0.200%以下、
からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する、上記[4]に記載の亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
本発明の一実施形態に係る亜鉛系めっき鋼板は、下地鋼板と、下地鋼板の表面に形成された亜鉛系めっき層と、を有する。下地鋼板は、質量%で、C:0.180%以上0.250%以下、Si:0.800%以上1.550%以下、Mn:2.400%以上3.200%以下、P:0.100%以下、S:0.0200%以下、Al:1.000%以下、N:0.0100%以下、及びO:0.0100%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する。以下、下地鋼板の基本成分について説明する。なお、以下の説明において、下地鋼板の成分元素の含有量を表す「%」は、特に明記しない限り「質量%」を意味する。
Cは、下地鋼板の重要な基本成分の1つであり、特に本発明では、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計に影響する重要な元素である。Cの含有量が0.180%未満では、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計が減少し、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が増加し、1470MPa以上のTSを実現することが困難になる。したがって、Cの含有量は、0.180%以上とし、0.200%以上が好ましく、0.210%以上がより好ましい。一方、Cの含有量が0.250%を超えると、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトが脆化し、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下する。したがって、Cの含有量は、0.250%以下とし、0.240%以下が好ましい。
Siは、下地鋼板の重要な基本成分の1つであり、TSと残留オーステナイトの体積率に影響する重要な元素である。Siの含有量が0.800%未満では、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの強度が減少するため、1470MPa以上のTSを実現することが困難になる。したがって、Siの含有量は、0.800%以上とし、0.850%以上が好ましく、0.900%以上がより好ましい。一方、Siの含有量が1.550%を超えると、残留オーステナイトが過度に増加し、穴広げ性が低下する。したがって、Siの含有量は、1.550%以下とし、1.500%以下が好ましく、1.400%以下がより好ましい。
Mnは、下地鋼板の重要な基本成分の1つであり、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計に影響する重要な元素である。Mnの含有量が2.400%未満では、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計が減少し、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が増加し、1470MPa以上のTSを実現することが困難になる。したがって、Mnの含有量は、2.400%以上とし、2.500%以上が好ましく、2.600%以上がより好ましい。一方、Mnの含有量が3.200%を超えると、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトが脆化し、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下する。したがって、Mnの含有量は、3.200%以下とし、3.100%以下が好ましく、3.000%以下がより好ましい。
Pは、旧オーステナイト粒界に偏析して粒界を脆化させるため、下地鋼板を脆化させることから、Pの含有量が0.100%を超えると伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下する。したがって、Pの含有量は、0.100%以下とし、0.070%以下が好ましい。一方、Pの含有量の下限は特に規定しないが、Pは固溶強化元素であり、下地鋼板の強度を上昇させることができることから、Pの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
Sは、硫化物として存在し、下地鋼板を脆化させることから、Sの含有量が0.0200%を超えると伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下する。したがって、Sの含有量は0.0200%以下とし、0.0050%以下が好ましい。一方、Sの含有量の下限は特に規定しないが、生産技術上の制約から、Sの含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。
Alは、酸化物として存在し、下地鋼板を脆化させることから、Alの含有量が1.000%を超えると伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下する。したがって、Alの含有量は1.000%以下とし、0.500%以下が好ましい。一方、Alの含有量の下限は特に規定しないが、Alは連続焼鈍中の炭化物生成を抑制し、残留オーステナイトの生成を促進することから、Alの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
Nは、窒化物として存在し、下地鋼板を脆化させることから、Nの含有量が0.0100%を超えると伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下する。したがって、Nの含有量は0.0100%以下とし、0.0050%以下が好ましい。一方、Nの含有量の下限は特に規定しないが、生産技術上の制約から、Nの含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。
Oは、酸化物として存在し、下地鋼板を脆化させることから、Oの含有量が0.0100%を超えると伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下する。したがって、Oの含有量は0.0100%以下とし、0.0050%以下が好ましい。一方、Oの含有量の下限は特に規定しないが、生産技術上の制約から、Oの含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。
下地鋼板は、上述した基本成分に加えて、さらに、質量%で、Ti:0.200%以下、Nb:0.200%以下、V:0.200%以下、Ta:0.10%以下、W:0.10%以下、B:0.0100%以下、Cr:1.00%以下、Mo:1.00%以下、Ni:1.00%以下、Co:0.010%以下、Cu:1.00%以下、Sn:0.200%以下、Sb:0.200%以下、Ca:0.0100%以下、Mg:0.0100%以下、REM:0.0100%以下、Zr:0.100%以下、Zn:0.100%以下、Pb:0.100%以下、Te:0.100%以下、Se:0.020%以下、Ga:0.020%以下、Ge:0.020%以下、Sr:0.020%以下、Hf:0.10%以下、及びBi:0.200%以下からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。
[Nb:0.200%以下]
[V :0.200%以下]
Ti、Nb、及びVは、それぞれ含有量が0.200%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が多量に生成せず、下地鋼板の極限変形能を低下させないことから、λが低下せず、曲げ性も低下しない。したがって、Ti、Nb、及びVのいずれか一種以上を含有する場合には、その含有量はそれぞれ0.200%以下とし、0.100%以下が好ましい。一方、Ti、Nb、及びVの含有量の下限は特に規定しないが、これらの元素は、熱間圧延時あるいは連続焼鈍時に、微細な炭化物、窒化物または炭窒化物を形成することによって、下地鋼板の強度を上昇させることから、Ti、Nb、及びVの含有量はそれぞれ0.001%以上とすることが好ましい。
[W :0.10%以下]
Ta及びWは、それぞれ含有量が0.10%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が多量に生成せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Ta及びWのいずれか一種以上を含有する場合には、その含有量はそれぞれ0.10%以下とし、0.08%以下が好ましい。一方、Ta及びWの含有量の下限は特に規定しないが、これらの元素は、熱間圧延時あるいは連続焼鈍時に、微細な炭化物、窒化物又は炭窒化物を形成することによって、下地鋼板の強度を上昇させることから、Ta及びWの含有量はそれぞれ0.01%以上とすることが好ましい。
Bは、含有量が0.0100%以下であれば鋳造時あるいは熱間圧延時において鋼板内部に割れを生成せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Bを含有する場合には、その含有量は0.0100%以下とし、0.0080%以下が好ましい。一方、Bの含有量の下限は特に規定しないが、Bは焼鈍中にオーステナイト粒界に偏析し、焼入れ性を向上させる元素であることから、Bの含有量は0.0003%以上とすることが好ましい。
[Mo:1.00%以下]
[Ni:1.00%以下]
Cr、Mo、及びNiは、それぞれ含有量が1.00%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が増加せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Cr、Mo、及びNiのいずれか一種以上を含有する場合には、その含有量はそれぞれ1.00%以下とし、0.80%以下が好ましい。一方、Cr、Mo、及びNiの含有量の下限は特に規定しないが、これらの元素は焼入れ性を向上させることから、Cr、Mo、及びNiの含有量はそれぞれ0.01%以上とすることが好ましい。
Coは、含有量が0.010%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が増加せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Coを含有する場合には、その含有量は0.010%以下とし、0.008%以下が好ましい。一方、Coの含有量の下限は特に規定しないが、Coは焼入れ性を向上させることから、Coの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
Cuは、含有量が1.00%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が増加せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Cuを含有する場合には、その含有量は1.00%以下とし、0.80%以下が好ましい。一方、Cuの含有量の下限は特に規定しないが、Cuは焼入れ性を向上させることから、Cuの含有量は0.01%以上とすることが好ましい。
Snは、含有量が0.200%以下であれば鋳造時あるいは熱間圧延時において鋼板内部に割れを生成せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Snを含有する場合には、その含有量は0.200%以下とし、0.100%以下が好ましい。一方、Snの含有量の下限は特に規定しないが、Snは焼入れ性を向上させることから、Snの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
Sbは、含有量が0.200%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が増加せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Sbを含有する場合には、その含有量は0.200%以下とし、0.100%以下が好ましい。一方、Sbの含有量の下限は特に規定しないが、Sbは表層軟化厚みを制御し、強度調整を可能にすることから、Sbの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
[Mg :0.0100%以下]
[REM:0.0100%以下]
Ca、Mg、及びREMは、それぞれ含有量が0.0100%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が増加せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Ca、Mg、及びREMのいずれか一種以上を含有する場合には、その含有量はそれぞれ0.0100%以下とし、0.0050%以下が好ましい。一方、Ca、Mg、及びREMの含有量の下限は特に規定しないが、これらの元素は、窒化物又は硫化物等の形状を球状化し、下地鋼板の極限変形能を向上させることから、Ca、Mg、及びREMの含有量はそれぞれ0.0005%以上とすることが好ましい。
[Zn:0.100%以下]
[Pb:0.100%以下]
[Te:0.100%以下]
Zr、Zn、Pb、及びTeは、それぞれ含有量が0.100%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が増加せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Zr、Zn、Pb、及びTeのいずれか一種以上を含有する場合には、その含有量はそれぞれ0.100%以下とし、0.080%以下が好ましい。一方、Zr、Zn、Pb、及びTeの含有量の下限は特に規定しないが、これらの元素は、窒化物又は硫化物等の形状を球状化し、下地鋼板の極限変形能を向上させることから、Zr、Zn、Pb、及びTeの含有量はそれぞれ0.001%以上とすることが好ましい。
[Ga:0.020%以下]
[Ge:0.020%以下]
[Sr:0.020%以下]
Se、Ga、Ge、及びSrは、それぞれ含有量が0.020%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が増加せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Se、Ga、Ge、及びSrのいずれか一種以上を含有する場合には、その含有量はそれぞれ0.020%以下とする。一方、Se、Ga、Ge、及びSrの含有量の下限は特に規定しないが、これらの元素は、窒化物又は硫化物等の形状を球状化し、下地鋼板の極限変形能を向上させることから、Se、Ga、Ge、及びSrの含有量はそれぞれ0.001%以上とすることが好ましい。
Hfは、含有量が0.10%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が増加せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Hfを含有する場合には、その含有量は0.10%以下とし、0.08%以下が好ましい。一方、Hfの含有量の下限は特に規定しないが、Hfは窒化物又は硫化物等の形状を球状化し、下地鋼板の極限変形能を向上させることから、Hfの含有量は0.01%以上とすることが好ましい。
Biは、含有量が0.200%以下であれば粗大な析出物又は介在物等が増加せず、下地鋼板を脆化させないことから、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性が低下しない。したがって、Biを含有する場合には、その含有量は0.200%以下とし、0.100%以下が好ましい。一方、Biの含有量の下限は特に規定しないが、Biは偏析を軽減することから、Biの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
次に、下地鋼板の組織について説明する。下地鋼板は、下地鋼板の表面からの深さが板厚の1/4の位置において、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計が70.0%以上94.0%以下、残留オーステナイトの体積率が6.0%以上20.0%以下、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が10.0%以下、並びに残部組織の面積率が10.0%以下である組織を有する。さらに、下地鋼板の表面からの深さが板厚の1/4の位置において、旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計が20%以上45%以下であり、旧オーステナイト粒界を被覆する残留オーステナイト中の炭素濃度が0.60質量%未満であることを特徴とする。なお、以下で説明する組織は、下地鋼板の表面からの深さが板厚の1/4の位置における組織である。
焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計を70.0%以上とすることで、1470MPa以上のTSを実現することが可能となる。一方、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計が94.0%を超える場合、優れた延性を実現することが困難となる。したがって、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計は70.0%以上94.0%以下とする。
残留オーステナイトの体積率が6.0%未満では、優れた延性を実現することが困難になる。したがって、残留オーステナイトの体積率は6.0%以上とし、6.5%以上が好ましく、7.0%以上がより好ましい。一方、残留オーステナイトの体積率が20.0%を超えると、優れた穴広げ性を実現することが困難となる。したがって、残留オーステナイトの体積率は20.0%以下とし、15.0%以下が好ましく、13.0%以下がより好ましい。
フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が10.0%を超えると、1470MPa以上のTSの実現が困難となる。したがって、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計は10.0%以下とする。一方、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計の下限は特に限定されず、面積率の合計は0.0%であってもよい。
本発明の鋼組織は、パーライト及びセメンタイト等の炭化物又はその他鋼板の組織として公知のものが残部組織として含まれていてもよい。残部組織の面積率が10.0%以下であれば、本発明の効果が損なわれることはない。したがって、残部組織の面積率は10.0%以下とする。一方、残部組織の面積率の下限は特に限定されず、残部組織の面積率は0.0%であってもよい。
旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計を20%以上とすることで、粒界を拡散経路とする水素の拡散を阻害し、伸びフランジ加工部の優れた耐遅れ破壊特性を実現できる。したがって、旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計は20%以上とし、30%以上が好ましい。一方、旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計が45%を超える場合、優れた穴広げ性を実現することが困難となる。したがって、旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計は45%以下とし、40%以下が好ましい。
旧オーステナイト粒界を被覆する残留オーステナイト中の炭素濃度が0.60質量%以上である場合、母相と大きく硬度の異なる第2相は加工時に応力集中部となり、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性を劣化させる。したがって、旧オーステナイト粒界を被覆する残留オーステナイト中の炭素濃度は0.60質量%未満とし、0.55質量%以下が好ましい。一方、旧オーステナイト粒界を被覆する残留オーステナイト中の炭素濃度の下限は特に限定されず、当該炭素濃度は概ね0.30質量%以上となる。
亜鉛系めっき鋼板の亜鉛系めっき層は、電気亜鉛めっき層、溶融亜鉛めっき層、又は合金化溶融亜鉛めっき層であることが好ましい。具体的には、Zn-Ni合金めっき層、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき層等であってもよい。なお、めっき付着量は、片面あたり20~80g/m2(両面めっき)が好ましい。
次に、亜鉛系めっき鋼板の機械特性について説明する。
亜鉛系めっき鋼板は、引張強さ(TS)が1470MPa以上であるものとする。一方、亜鉛系めっき鋼板の引張強さの上限は特に限定されないが、概ね1650MPa以下となる。引張強さは、以下のようにして求めることができる。圧延方向と垂直方向が試験片の長手となるように、供試材からJIS5号試験片(標点距離50mm、平行部幅25mm)を採取し、JIS Z 2241に従って引張試験を行う。引張試験の条件は、クロスヘッド速度が1.67×10-1mm/秒とすることができる。
亜鉛系めっき鋼板は、伸び(El)が9.0%以上であるものとする。一方、亜鉛系めっき鋼板の伸びの上限は特に限定されないが、概ね15.0%以下となる。なお、伸び(El)は、上述した引張試験にて求めることができる。
亜鉛系めっき鋼板は、穴広げ率(λ)が20%以上であるものとする。一方、亜鉛系めっき鋼板の穴広げ率の上限は特に限定されないが、概ね50%以下となる。穴広げ率(λ)は、以下のようにして求めることができる。JIS Z 2256に準拠して穴広げ試験を行う。供試材を100mm×100mmに剪断後、クリアランス12.5%で直径10mmの穴を打ち抜く。内径75mmのダイスを用いてしわ押さえ力9ton(88.26kN)で供試材を押さえた状態で、頂角60°の円錐ポンチを、打ち抜いた穴に押し込み、板厚を貫通する亀裂の発生を確認する。亀裂が発生した際の穴直径を測定し、以下の式(5)から、限界穴広げ率:λ(%)を求めることができる。
λ(%)={(Df-D0)/D0}×100 ・・・(5)
ここで、Dfは亀裂発生時の穴径(mm)、D0は初期穴径(mm)である。
本発明に係る亜鉛系めっき鋼板は、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性に優れる。伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性は、以下のようにして評価することができる。上述した穴広げ試験を、亜鉛系めっき鋼板(供試材)を作製してから30日以内に実施する。穴広げ試験直後の供試材の、伸びフランジ加工部の写真をデジタルマイクロスコープ(RH-2000:ハイロックス製)を用いて、20倍の倍率で撮影する。その後、供試材を室温(15~25℃)で24時間静置し、再度伸びフランジ加工部をデジタルマイクロスコープで観察する。穴広げ試験直後に撮影した伸びフランジ加工部の写真と、24時間経過後の伸びフランジ加工部の写真とを比較し、亀裂の増加又は進展が認められないものを、伸びフランジ加工部の耐遅れ破壊特性に優れると判断することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る亜鉛系めっき鋼板の製造方法について説明する。図1に、本発明の一実施形態に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法における、温度と時間の関係を示したグラフを示す。グラフの折れ線は、焼鈍工程から焼戻し工程までの間における鋼板の温度変化を示す。上述の成分組成を有する鋼スラブに熱間圧延及び冷間圧延を施して冷延鋼板を得た後、冷延鋼板を加熱し、Ac3(℃)以上の焼鈍温度に保持する焼鈍工程を行う。次いで、冷延鋼板を、温度T1まで冷却する第一の冷却工程を行う。次いで、冷延鋼板をT1(℃)に保持する保持工程、又は、冷延鋼板を温度T2まで冷却する第二の冷却工程を行う。なお、図1では第二の冷却工程を行う場合を示している。次いで、冷延鋼板を、温度T3まで冷却する第三の冷却工程を行う。次いで、冷延鋼板に亜鉛系めっき処理を施して、めっき鋼板を得る。なお、溶融亜鉛めっき処理の時間は冷却工程等と比較して短いため、図1においては温度T3の点として示している。溶融亜鉛めっき処理後の合金化処理において、めっき鋼板は合金化処理の温度に加熱及び保持される。次いで、めっき鋼板を、温度T4まで冷却する第四の冷却工程を行う。次いで、めっき鋼板を、冷却停止温度T5まで冷却する第五の冷却工程を行う。次いで、めっき鋼板を、T5(℃)超え350℃以下の焼戻し温度に保持する焼戻し工程を行う。
亜鉛系めっき鋼板の製造方法において用いる鋼スラブは、C、Si、Mn、P、S、Al、N、及びOを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する。さらに、Ti、Nb、V、Ta、W、B、Cr、Mo、Ni、Co、Cu、Sn、Sb、Ca、Mg、REM、Zr、Zn、Pb、Te、Se、Ga、Ge、Sr、Hf、及びBiからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。なお、各元素の含有量は上述したとおりである。
本発明において、鋼スラブの溶製方法は特に限定されず、転炉又は電気炉等、公知の溶製方法いずれもが適合する。鋼スラブは、マクロ偏析を防止するため、連続鋳造法で製造するのが好ましい。得られた鋼スラブに熱間圧延を施して、熱延鋼板を得る。得られた熱延鋼板のまま冷間圧延を施してもよく、熱延鋼板に酸洗処理を行ってから冷間圧延を施してもよい。酸洗処理を行うことで鋼板表面の酸化物を除去することができ、最終製品の鋼板におけるめっき品質が好適に得られるため好ましい。また、酸洗処理は、1回でもよく、複数回に分けて行ってもよい。
得られた熱延鋼板に、冷間圧延を施して、冷延鋼板を得る。冷間圧延における圧下率と圧延後の板厚は特に限定されない。また、圧延パスの回数、各パスの圧下率についても特に限定されない。
得られた冷延鋼板を焼鈍工程に供する。焼鈍工程において、焼鈍温度が以下の式(1)で定義されるAc3(℃)未満の場合、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率が低下し、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が増加するため、1470MPa以上のTSを実現することが困難になる。したがって、焼鈍温度はAc3(℃)以上とし、Ac3+20(℃)以上が好ましい。一方、焼鈍温度が920℃以下の場合、エネルギー効率が低下しないため、加熱コストが上昇することを好適に防ぎ、かつ、炉体の損傷を好適に防ぐことができる。したがって、焼鈍温度は920℃以下が好ましい。
Ac3(℃)=881-205.7×[%C]+53.1×[%Si]-15×[%Mn]-27×[%Cu]-20.1×[%Ni]-0.7×[%Cr]+41.1×[%Mo] ・・・(1)
ここで、[%X]は、前記成分組成における元素Xの含有量(質量%)を示し、前記成分組成が元素Xを含有しない場合は0とする。
焼鈍工程に次いで、冷延鋼板を第一の冷却工程に供する。すなわち、焼鈍工程の終了時が第一の冷却工程の開始時となる。第一の冷却工程において、冷却速度が5℃/s未満の場合、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率が減少し、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率が増加するため、1470MPa以上のTSを実現することが困難になる。したがって、第一の冷却工程の冷却速度は5℃/s以上とし、7℃/s以上が好ましい。一方、第一の冷却速度が20℃/s以下の場合、冷却停止温度を好適に制御することができる。したがって、第一の冷却工程の冷却速度は20℃/s以下が好ましい。
Bs(℃)=830-270×[%C]-90×[%Mn]-37×[%Ni]-70×[%Cr]-83×[%Mo] ・・・(2)
Ms=539-423×[%C]-30.4×[%Mn]-17.7×[%Ni]-12.1×[%Cr]-7.5×[%Mo] ・・・(3)
ここで、[%X]は、前記成分組成における元素Xの含有量(質量%)を示し、成分組成が元素Xを含有しない場合は0とする。
第一の冷却工程に次いで、冷延鋼板をT1(℃)に保持する保持工程、又は、冷延鋼板を温度T2まで冷却する第二の冷却工程に供する。保持工程を行う場合、保持温度をT1(℃)とすることで、旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計が過剰となることを抑制し、優れた穴広げ性が得られる。
ここで、[%X]は、前記成分組成における元素Xの含有量(質量%)を示し、前記成分組成が元素Xを含有しない場合は0とし、dγ(μm)は、前記焼鈍工程の終了時における冷延鋼板の旧オーステナイト粒径とする。
保持工程又は第二の冷却工程に次いで、冷延鋼板を第三の冷却工程に供する。第三の冷却工程の冷却速度が5℃/s未満の場合、旧オーステナイト粒界に生成したフェライト及びベイニティックフェライトが成長し、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が増加するため、1470MPa以上のTSを実現することが困難になる。したがって、第三の冷却工程の冷却速度は5℃/s以上とし、6℃/s以上が好ましい。一方、第三の冷却速度が30℃/s以下の場合、冷却停止温度を好適に制御できる。したがって、第三の冷却工程の冷却速度は30℃/s以下が好ましい。
第三の冷却工程に次いで、冷延鋼板に亜鉛系めっき処理を施して、めっき鋼板を得る。亜鉛系めっき処理としては、電気亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理、又は、溶融亜鉛めっき処理及びこれに続く合金化処理を例示できる。Zn-Ni電気合金めっき等の電気めっきを施してもよく、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっきを施してもよい。
めっき処理工程に次いで、めっき鋼板を第四の冷却工程に供する。第四の冷却工程の冷却速度が5℃/s未満の場合、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計が減少し、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が増加し、1470MPa以上のTSを実現することが困難である。したがって、第四の冷却工程の冷却速度は5℃/s以上とする。一方、第四の冷却速度が20℃/s以下の場合、冷却停止温度を好適に制御できる。したがって、第四の冷却工程の冷却速度は20℃/s以下が好ましい。
第四の冷却工程に次いで、めっき鋼板を第五の冷却工程に供する。第五の冷却工程の冷却速度が3.0℃/sを超える場合、第五の冷却工程中に未変態オーステナイトへの炭素の拡散が十分に進まず、最終組織における残留オーステナイトの体積率が低下し、優れた延性の実現が困難となる。したがって、第五の冷却工程の冷却速度は3.0℃/s以下とし、2.0℃/s以下が好ましく、1.5℃/s以下がより好ましい。一方、第五の冷却速度が0.5℃/s以上の場合、炉による加熱を行うことなく冷却を行えるため好適である。したがって、第五の冷却工程の冷却速度は0.5℃/s以上が好ましい。
第五の冷却工程に次いで、めっき鋼板を焼戻し工程に供する。めっき鋼板を再加熱して焼戻しを行うことで、未変態オーステナイトを安定化する。焼戻し温度がT5(℃)以下の場合、所定の残留オーステナイトが得られないため、延性が低下する。したがって、焼戻し温度はT5(℃)超えとし、T5+50(℃)以上が好ましい。一方、焼戻し温度が350℃を超える場合、焼戻しが過度に進行し、強度が低下すると同時に残留オーステナイトが分解することにより、9%以上のElを実現することが困難となる。したがって、焼戻し温度は350℃以下とし、340℃以下が好ましい。
Claims (6)
- 下地鋼板と、前記下地鋼板の表面に形成された亜鉛系めっき層と、を有する亜鉛系めっき鋼板であって、
前記下地鋼板が、
質量%で、
C :0.180%以上0.250%以下、
Si:0.800%以上1.550%以下、
Mn:2.400%以上3.200%以下、
P :0.100%以下、
S :0.0200%以下、
Al:1.000%以下、
N :0.0100%以下、及び
O :0.0100%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成と、
前記下地鋼板の表面からの深さが板厚の1/4の位置において、
焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計が70.0%以上94.0%以下、
残留オーステナイトの体積率が6.0%以上20.0%以下、
フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が10.0%以下、並びに
残部組織の面積率が10.0%以下である組織と、
を有し、
前記1/4の位置において、旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計が20%以上45%以下であり、
前記1/4の位置において、旧オーステナイト粒界を被覆する残留オーステナイト中の炭素濃度が0.60質量%未満であり、
引張強さが1470MPa以上である
ことを特徴とする、亜鉛系めっき鋼板。 - 前記成分組成は、さらに、質量%で、
Ti :0.200%以下、
Nb :0.200%以下、
V :0.200%以下、
Ta :0.10%以下、
W :0.10%以下、
B :0.0100%以下、
Cr :1.00%以下、
Mo :1.00%以下、
Ni :1.00%以下、
Co :0.010%以下、
Cu :1.00%以下、
Sn :0.200%以下、
Sb :0.200%以下、
Ca :0.0100%以下、
Mg :0.0100%以下、
REM:0.0100%以下、
Zr :0.100%以下、
Zn :0.100%以下、
Pb :0.100%以下、
Te :0.100%以下、
Se :0.020%以下、
Ga :0.020%以下、
Ge :0.020%以下、
Sr :0.020%以下、
Hf :0.10%以下、及び
Bi :0.200%以下、
からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼板。 - 前記亜鉛系めっき層が、電気亜鉛めっき層、溶融亜鉛めっき層、又は合金化溶融亜鉛めっき層である、請求項1又は2に記載の亜鉛系めっき鋼板。
- 質量%で、
C :0.180%以上0.250%以下、
Si:0.800%以上1.550%以下、
Mn:2.400%以上3.200%以下、
P :0.100%以下、
S :0.0200%以下、
Al:1.000%以下、
N :0.0100%以下、及び
O :0.0100%以下
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブに熱間圧延を施して、熱延鋼板を得る工程と、
前記熱延鋼板に冷間圧延を施して、冷延鋼板を得る工程と、
前記冷延鋼板を、以下の式(1)で定義されるAc3(℃)以上の焼鈍温度に10s以上保持する焼鈍工程と、
次いで、前記冷延鋼板を、以下の式(2)及び式(3)でそれぞれ定義されるBs及びMsを用いて、(3Bs-Ms)/3(℃)以上0.95×Bs(℃)以下の温度T1まで、5℃/s以上の冷却速度で冷却する第一の冷却工程と、
次いで、以下の式(4)におけるfが0.010以上0.200以下を満たす時間t(s)だけ、前記冷延鋼板を前記T1(℃)に保持する保持工程、又は、前記冷延鋼板を1.50℃/s以下の冷却速度で冷却する第二の冷却工程と、
次いで、前記冷延鋼板を、Ms(℃)以上Bs-20(℃)以下の温度T3まで、5℃/s以上の冷却速度で冷却する第三の冷却工程と、
次いで、前記冷延鋼板に亜鉛系めっき処理を施して、めっき鋼板を得る工程と、
次いで、前記めっき鋼板を、Ms-200(℃)以上Ms-80(℃)以下の温度T4まで、5℃/s以上の冷却速度で冷却する第四の冷却工程と、
次いで、前記めっき鋼板を、100℃以上T4(℃)未満の冷却停止温度T5まで、3.0℃/s以下の冷却速度で冷却する第五の冷却工程と、
次いで、前記めっき鋼板を、T5(℃)超え350℃以下の焼戻し温度に5s以上1000s以下保持する焼戻し工程と、
を有し、
下地鋼板と、前記下地鋼板の表面に形成された亜鉛系めっき層と、を有する亜鉛系めっき鋼板であって、
前記下地鋼板が、前記成分組成と、前記下地鋼板の表面からの深さが板厚の1/4の位置において、焼戻しマルテンサイト及びフレッシュマルテンサイトの面積率の合計が70.0%以上94.0%以下、残留オーステナイトの体積率が6.0%以上20.0%以下、フェライト及びベイニティックフェライトの面積率の合計が10.0%以下、並びに残部組織の面積率が10.0%以下である組織と、を有し、前記1/4の位置において、旧オーステナイト粒界における残留オーステナイト及びフレッシュマルテンサイトの被覆率の合計が20%以上45%以下であり、前記1/4の位置において、旧オーステナイト粒界を被覆する残留オーステナイト中の炭素濃度が0.60質量%未満であり、引張強さが1470MPa以上であることを満たす
亜鉛系めっき鋼板を製造する、亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
Ac3(℃)=881-205.7×[%C]+53.1×[%Si]-15×[%Mn]-27×[%Cu]-20.1×[%Ni]-0.7×[%Cr]+41.1×[%Mo] ・・・(1)
Bs(℃)=830-270×[%C]-90×[%Mn]-37×[%Ni]-70×[%Cr]-83×[%Mo] ・・・(2)
Ms=539-423×[%C]-30.4×[%Mn]-17.7×[%Ni]-12.1×[%Cr]-7.5×[%Mo] ・・・(3)
ここで、[%X]は、前記成分組成における元素Xの含有量(質量%)を示し、前記成分組成が元素Xを含有しない場合は0とする。dγ(μm)は、前記焼鈍工程の終了時における前記冷延鋼板の旧オーステナイト粒径とする。 - 前記成分組成は、さらに、質量%で、
Ti :0.200%以下、
Nb :0.200%以下、
V :0.200%以下、
Ta :0.10%以下、
W :0.10%以下、
B :0.0100%以下、
Cr :1.00%以下、
Mo :1.00%以下、
Ni :1.00%以下、
Co :0.010%以下、
Cu :1.00%以下、
Sn :0.200%以下、
Sb :0.200%以下、
Ca :0.0100%以下、
Mg :0.0100%以下、
REM:0.0100%以下、
Zr :0.100%以下、
Zn :0.100%以下、
Pb :0.100%以下、
Te :0.100%以下、
Se :0.020%以下、
Ga :0.020%以下、
Ge :0.020%以下、
Sr :0.020%以下、
Hf :0.10%以下、及び
Bi :0.200%以下、
からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する、請求項4に記載の亜鉛系めっき鋼板の製造方法。 - 前記亜鉛系めっき処理が、電気亜鉛めっき処理、溶融亜鉛めっき処理、又は、溶融亜鉛めっき処理及びこれに続く合金化処理である、請求項4又は5に記載の亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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