以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、数値範囲を示す「~」の記号は、「~」の直前に記された数値以上から、「~」の直後に記された数値以下であることを示す。例えば「数値x~数値y」と記載してある場合(但し、x及びyは数値)」、「x以上、y以下」の範囲を意味する。数値範囲の「x以上」とは、x、及び、xを超える範囲を意味する。数値範囲の「y以下」とは、y、及び、y未満の範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本明細書において、組成物中の各成分の使用量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本実施形態に係る多孔体は、(A)エチレン・プロピレン・ジエンゴム((A)成分);以下、場合により「EPDM」という)と、(B)脂肪酸エステル及びその鹸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種((B)成分)と、を含有し、当該多孔体の最大セル径は800μm以下である。
本実施形態に係る多孔体によれば、500Hzにおいて優れた吸音率(高い吸音率)を得ることができる。本実施形態に係る多孔体によれば、JIS A 1405-2に準拠して測定される500Hzの吸音率として例えば0.20以上(好ましくは、0.30以上、0.50以上等)を得ることができる。
本実施形態に係る多孔体の一態様によれば、1000Hz以下の周波領域において優れた吸音特性を得ることも可能であり、例えば、1000Hzにおいて優れた吸音率(高い吸音率)を得ることができる。本実施形態に係る多孔体の一態様によれば、JIS A 1405-2に準拠して測定される1000Hzの吸音率として例えば0.30以上(好ましくは、0.50以上、0.70以上等)を得ることができる。
本実施形態に係る多孔体では、(A)成分及び(B)成分を用いることにより、低周波領域の吸音特性に有効な均一かつ微細なセル構造が得られやすく、そして、多孔体の最大セル径が800μm以下であることにより、低周波領域の優れた吸音特性が得られると推測される。但し、優れた吸音特性が得られる要因は当該内容に限定されない。
本実施形態に係る多孔体において、0~8000Hzの周波領域におけるピーク周波数(最大の吸音率の周波数)は下記の範囲であってよい。ピーク周波数は、2000Hz以下、1800Hz以下、1500Hz以下、1400Hz以下、1300Hz以下、1200Hz以下、1100Hz以下、1000Hz以下、又は、900Hz以下であってよい。ピーク周波数は、500Hz以上、600Hz以上、700Hz以上、800Hz以上、900Hz以上、1000Hz以上、1100Hz以上、1200Hz以上、1300Hz以上、1400Hz以上、又は、1500Hz以上であってよい。これらの観点から、ピーク周波数は、500~2000Hz、800~1500Hz、又は、1000~1300Hzであってよい。
本実施形態に係る多孔体は、多孔質吸音材として用いることができる。本実施形態に係る多孔体によれば、エラストマーであるベース材料として(A)成分を用いて、低周波領域の優れた吸音特性を得ることができる。本実施形態に係る多孔体によれば、優れた吸音特性が得られることから、吸音材を薄型化又は軽量化した場合であっても充分な吸音特性を維持することができる。そのため、優れた吸音特性と、薄型化及び軽量化とを両立することが可能であり、吸音材の多種多様な用途及び使用場所を確保できる。本実施形態に係る多孔体は、従来の吸音材では対策が困難である低周波領域のノイズ(例えばロードノイズ)に対して有効である。また、本実施形態に係る多孔体によれば、単一材料として多孔体のみを用いることにより優れた吸音特性を得ることができる。本実施形態によれば、多孔質体の吸音への応用を提供することができる。
本実施形態に係る多孔体は、吸音特性(特に、低周波領域の吸音特性)に優れることから、車両(自動車、鉄道等)、航空機、建造物、配管などにおける防音部材(吸遮音材)として好適に使用することができる。
本実施形態に係る多孔体の形状は、特に限定されず、定形であってよく、不定形であってもよい。多孔体の形状としては、シート状、柱状(円柱、多角柱等)、円錐状、多角錐状、棒状などが挙げられる。
本実施形態に係る多孔体は、ベース材料の中に多数の孔(空孔)を有する形態を有しており、例えば発泡体である。本明細書においては一つ一つの孔(気泡)を「セル」と称する。セルは、必ずしも球形でなくてよく、不定形であってもよい。
多孔体に含まれるセルは、それぞれ独立して配置されている独立気泡構造のセル(独立セル)であってよく、複数のセルが互いに連通している連続気泡構造のセル(連続セル)であってもよい。多孔体は、独立セル及び連続セルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、この場合、独立セル及び連続セルの数的割合については特に限定されない。すなわち、多孔体は、連続気泡構造又は半連続半独立気泡構造を有することができる。連続気泡構造は、連続気泡率が100%である構造をいう。半連続半独立気泡構造は、連続気泡率の下限が0%を超え(連続気泡率は10%以上)、かつ、連続気泡率の上限が100%未満である構造をいう。
独立セル又は連続セルを作製する方法としては、特に制限はなく、発泡により多孔質性を付与する場合、発泡剤、加硫剤等の種類又は添加量を調整する方法、発泡工程における加工条件を調整する方法、独立セルを形成しているセル間の膜(気泡膜)を機械的に破壊して一部又は全てのセル同士を繋げて連通化する方法などが挙げられる。通気度及び連続気泡構造は、例えば、得られた多孔体(例えばシート状の発泡体)に等速二本ロール等により圧縮変形を加えることによって気泡膜を破壊することにより気泡が連通化されて得ることができる。また、多孔体の表面に無数の小孔を開けることによって気泡の連通化を促進させることができる。等速二本ロールの表面に無数の小さい針を設けるか、又は、無数の小さい針を設けたロールを等速二本ロールの前及び/又は後に配置することにより、多孔体の表面に小孔を開けることもできる。
本実施形態に係る多孔体の最大セル径(最大孔径)は、500Hzにおいて優れた吸音率を得る観点、及び、1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、800μm以下である。多孔体の最大セル径は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、750μm以下、700μm以下、680μm以下、650μm以下、630μm以下、600μm以下、580μm以下、550μm以下、530μm以下、510μm以下、500μm以下、490μm以下、480μm以下、450μm以下、440μm以下、430μm以下、410μm以下、又は、400μm以下であった。多孔体の最大セル径は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、0μm超、100μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、300μm以上、330μm以上、350μm以上、380μm以上、又は、400μm以上であってよい。多孔体の最大セル径は、低周波領域の吸音特性を調整する観点から、410μm以上、430μm以上、440μm以上、450μm以上、480μm以上、490μm以上、500μm以上、510μm以上、530μm以上、550μm以上、580μm以上、600μm以上、630μm以上、650μm以上、680μm以上、又は、700μm以上であってよい。これらの観点から、多孔体の最大セル径は、0μm超800μm以下、300~700μm、400~700μm、440~700μm、500~700μm、300~600μm、400~600μm、440~600μm、500~600μm、300~500μm、400~500μm、又は、440~500μmであってよい。
本実施形態に係る多孔体の平均セル径は、下記の範囲であってよい。多孔体の平均セル径は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、700μm以下、650μm以下、600μm以下、580μm以下、550μm以下、530μm以下、500μm以下、490μm以下、480μm以下、450μm以下、430μm以下、400μm以下、380μm以下、350μm以下、340μm以下、330μm以下、320μm以下、300μm以下、290μm以下、280μm以下、250μm以下、又は、230μm以下であってよい。多孔体の平均セル径は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、0μm超、100μm以上、150μm以上、180μm以上、200μm以上、又は、230μm以上であってよい。多孔体の平均セル径は、低周波領域の吸音特性を調整する観点から、250μm以上、280μm以上、290μm以上、300μm以上、320μm以上、330μm以上、340μm以上、350μm以上、380μm以上、400μm以上、430μm以上、450μm以上、480μm以上、490μm以上、500μm以上、530μm以上、又は、550μm以上であってよい。これらの観点から、多孔体の平均セル径は、0μm超700μm以下、100~600μm、150~600μm、200~600μm、300~600μm、100~500μm、150~500μm、200~500μm、300~500μm、100~400μm、150~400μm、200~400μm、300~400μm、100~300μm、150~300μm、又は、200~300μmであってよい。
本実施形態に係る多孔体では、セルの均一性を表す指標としてセル径の分散σ2を調整することにより低周波領域の吸音特性を調整することができる。セル径の分散σ2は、平均セル径と各セル径との差を二乗することにより得られた数値の平均値であり、100個のセルにおける平均セル径と各セル径との差を二乗することにより得られた数値の平均値であってよい。セル径の分散σ2が小さい場合、多孔体中におけるセル径のばらつきが少なくセル径が均一であり、吸音メカニズムにおける粘性摩擦減衰と固体減衰とがバランスよく両立されて低周波領域の吸音特性が良好である。
セル径の分散σ2は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、0.50以下、0.45以下、0.40以下、0.35以下、0.30以下、0.25以下、0.24以下、0.20以下、0.15以下、0.10以下、0.08以下、0.05以下、0.03以下、又は、0.02以下であってよい。セル径の分散σ2は、0以上、0μm超、0.01以上、又は、0.02以上であってよい。これらの観点から、セル径の分散σ2は、0~0.50、0~0.10、0~0.05、0.01~0.50、0.01~0.10、又は、0.01~0.05であってよい。
多孔体の最大セル径及び平均セル径は、多孔体の任意断面の画像解析により測定することができる。最大セル径は、100個のセルのセル径における最大値であってよく、平均セル径は、100個のセルのセル径における平均値であってよい。多孔体の最大セル径、平均セル径及びセル径の分散σ2は、(B)成分、発泡剤等の種類及び使用量、発泡時間、発泡温度などにより調整することができる。
本実施形態に係る多孔体(例えばシート状の多孔体)の厚さは、下記の範囲であってよい。厚さは、ISO 1923(1981)「発泡プラスチック及びゴム-線寸法の測定」に準じて測定することができる。
多孔体の厚さは、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、1mm以上、3mm以上、5mm以上、8mm以上、又は、10mm以上であってよい。多孔体の厚さは、多孔体の質量を低減しやすい観点から、50mm以下、45mm以下、40mm以下、35mm以下、30mm以下、25mm以下、20mm以下、15mm以下、又は、10mm以下であってよい。これらの観点から、多孔体の厚さは、1~50mm、5~50mm、10~50mm、1~30mm、5~30μm、又は、10~30mmであってよい。
本実施形態に係る多孔体の見かけ密度は、下記の範囲であってよい。多孔体の見かけ密度は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、10kg/m3以上、30kg/m3以上、40kg/m3以上、50kg/m3以上、70kg/m3以上、80kg/m3以上、90kg/m3以上、100kg/m3以上、120kg/m3以上、又は、140kg/m3以上であってよい。多孔体の見かけ密度は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点、並びに、多孔体の質量を低減しやすい観点から、400kg/m3以下、350kg/m3以下、300kg/m3以下、250kg/m3以下、200kg/m3以下、150kg/m3以下、又は、140kg/m3以下であってよい。多孔体の見かけ密度は、多孔体の質量を低減しやすい観点から、120kg/m3以下、100kg/m3以下、90kg/m3以下、80kg/m3以下、70kg/m3以下、50kg/m3以下、又は、40kg/m3以下であってよい。これらの観点から、多孔体の見かけ密度は、10~400kg/m3、70~400kg/m3、80~400kg/m3、10~200kg/m3、70~200kg/m3、80~200kg/m3、10~100kg/m3、70~100kg/m3、又は、80~100kg/m3であってよい。
見かけ密度(単位体積あたりの質量)は、JIS K 6767(1999)「発泡プラスチック-ポリエチレン-試験方法」に準じて測定することができる。見かけ密度は、(B)成分、加硫剤、加硫促進剤、発泡剤等の種類及び使用量、発泡時間、発泡温度などにより調整することができる。
本実施形態に係る多孔体の面密度は、下記の範囲であってよい。多孔体の面密度は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、0.1kg/m2以上、0.3kg/m2以上、0.4kg/m2以上、0.5kg/m2以上、0.7kg/m2以上、0.8kg/m2以上、0.9kg/m2以上、1kg/m2以上、1.2kg/m2以上、又は、1.4kg/m2以上であってよい。多孔体の面密度は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点、並びに、多孔体の質量を低減しやすい観点から、4kg/m2以下、3.5kg/m2以下、3kg/m2以下、2.5kg/m2以下、2kg/m2以下、1.5kg/m2以下、又は、1.4kg/m2以下であってよい。多孔体の面密度は、多孔体の質量を低減しやすい観点から、1.2kg/m2以下、1kg/m2以下、0.9kg/m2以下、0.8kg/m2以下、0.7kg/m2以下、0.5kg/m2以下、又は、0.4kg/m2以下であってよい。これらの観点から、多孔体の面密度は、0.1~4kg/m2、0.7~4kg/m2、0.8~4kg/m2、0.1~2kg/m2、0.7~2kg/m2、0.8~2kg/m2、0.1~1kg/m2、0.7~1kg/m2、又は、0.8~1kg/m2であってよい。面密度は、見かけ密度と厚さとの積として算出することができる。
本実施形態に係る多孔体の通気度は、下記の範囲であってよい。多孔体の通気度は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、5.0cm3/cm2・s以下、4.5cm3/cm2・s以下、4.0cm3/cm2・s以下、3.5cm3/cm2・s以下、3.0cm3/cm2・s以下、2.5cm3/cm2・s以下、2.0cm3/cm2・s以下、1.8cm3/cm2・s以下、1.5cm3/cm2・s以下、1.2cm3/cm2・s以下、1.1cm3/cm2・s以下、1.0cm3/cm2・s以下、0.8cm3/cm2・s以下、0.5cm3/cm2・s以下、0.3cm3/cm2・s以下、又は、0.2cm3/cm2・s以下であってよい。多孔体の通気度は、低周波領域の吸音特性を調整する観点から、0.01cm3/cm2・s以上、0.05cm3/cm2・s以上、0.1cm3/cm2・s以上、0.2cm3/cm2・s以上、0.3cm3/cm2・s以上、0.5cm3/cm2・s以上、0.8cm3/cm2・s以上、1.0cm3/cm2・s以上、1.1cm3/cm2・s以上、1.2cm3/cm2・s以上、1.5cm3/cm2・s以上、又は、1.8cm3/cm2・s以上であってよい。これらの観点から、多孔体の通気度は、0.01~5.0cm3/cm2・s、0.01~2.0cm3/cm2・s、0.01~1.2cm3/cm2・s、0.1~5.0cm3/cm2・s、0.1~2.0cm3/cm2・s、又は、0.1~1.2cm3/cm2・sであってよい。
通気度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。通気度は、平均セル径、最大セル径、連続気泡の生成度合い、(B)成分、発泡剤等の種類及び使用量、発泡時間、発泡温度などにより調整することができる。
本実施形態に係る多孔体は、ベース材料としてEPDM((A)成分)を含有する。EPDMを与える非共役ジエンとしては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン等が挙げられる。
(A)成分の含有量は、多孔体の全質量を基準として下記の範囲であってよい。(A)成分の含有量は、優れた吸音特性が得られやすい観点から、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、又は、45質量%以上であってよい。(A)成分の含有量は、優れた吸音特性が得られやすい観点から、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、又は、50質量%以下であってよい。これらの観点から、(A)成分の含有量は、10~90質量%、20~70質量%、又は、30~50質量%であってよい。
本実施形態に係る多孔体は、脂肪酸エステル及びその鹸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種((B)成分)を含有する。脂肪酸エステルの鹸化物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の鹸化物(例えばカルシウム鹸化物)などが挙げられる。
(B)成分としては、任意の化合物を用いることが可能であり、脂肪酸エチレングリコールエステル、脂肪酸プロピレングリコールエステル、脂肪酸ブチレングリコールエステル等の脂肪酸アルキレングリコールエステル;脂肪酸グリセロールエステル;これらの鹸化物などが挙げられる。(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、下記炭素数の脂肪酸に由来するエステル構造を有する脂肪酸エステル及びその鹸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。脂肪酸の炭素数は、16以上、18以上、20以上、22以上、24以上、26以上、又は、28以上であってよい。脂肪酸の炭素数は、40以下、38以下、36以下、34以下、32以下、30以下、又は、28以下であってよい。これらの観点から、脂肪酸の炭素数は、16~40、20~40、24~40、28~40、16~36、20~36、24~36、28~36、16~32、20~32、24~32、28~32、16~28、20~28、又は、24~28であってよい。
(B)成分は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、モンタン酸エステル及びその鹸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。モンタン酸エステルとしては、モンタン酸エチレングリコールエステル、モンタン酸プロピレングリコールエステル、モンタン酸ブチレングリコールエステル等のモンタン酸アルキレングリコールエステル;モンタン酸グリセロールエステルなどが挙げられる。モンタン酸エステルの鹸化物は、モンタン酸アルキレングリコールエステル(モンタン酸ブチレングリコールエステル等)及びモンタン酸グリセロールエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の鹸化物を含んでよく、モンタン酸アルキレングリコールエステル(モンタン酸ブチレングリコールエステル等)及びモンタン酸グリセロールエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種のカルシウム鹸化物を含んでよい。
(B)成分は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点、ベース材料との相溶性が向上しやすい観点、並びに、他成分の分散性が向上しやすい観点から、モンタン酸エチレングリコールエステル、モンタン酸ブチレングリコールエステル、モンタン酸グリセロールエステル、及び、これらの鹸化物(例えばカルシウム鹸化物)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、モンタン酸エチレングリコールエステル、モンタン酸グリセロールエステル、及び、モンタン酸ブチレングリコールエステルのカルシウム鹸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、モンタン酸エチレングリコールエステルを含んでよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して下記の範囲であってよい。(B)成分の含有量は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、0.06質量部以上、0.08質量部以上、0.1質量部以上、0.2質量部以上、0.3質量部以上、0.4質量部以上、又は、0.5質量部以上であってよい。(B)成分の含有量は、低周波領域の吸音特性を調整する観点から、0.8質量部以上、1質量部以上、1.5質量部以上、2質量部以上、3質量部以上、又は、4質量部以上であってよい。(B)成分の含有量は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点から、5質量部以下、4質量部以下、3質量部以下、2質量部以下、1.5質量部以下、1質量部以下、0.8質量部以下、0.7質量部以下、又は、0.5質量部以下であってよい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、0.06~5質量部、0.08~5質量部、0.1~5質量部、0.3~5質量部、0.5~5質量部、0.06~3質量部、0.08~3質量部、0.1~3質量部、0.3~3質量部、0.5~3質量部、0.06~0.7質量部、0.08~0.7質量部、0.1~0.7質量部、0.3~0.7質量部、又は、0.5~0.7質量部であってよい。
本実施形態に係る多孔体は、充填剤を含有してよい。充填剤を用いることにより、多孔体を補強することができる。また、多孔体を製造する際の加工性を向上させること等もできる。充填剤としては、任意の充填剤を使用可能であり、無機充填剤、有機充填剤等が挙げられる。充填剤は、無機充填剤(無機フィラー)を含んでよい。充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤の構成材料としては、金属材料、酸化物(酸化亜鉛を除く)、窒化物、炭酸塩、金属水酸化物、炭素系材料、タルク、ケイ酸及びその塩類(例えばアルミニウムシリケート)、クレー、雲母粉、ベントナイト等が挙げられる。金属材料としては、金属単体、金属の混合体、合金等が挙げられる。無機充填剤は、金属材料、酸化物、及び、炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
無機充填剤は、金属材料を含む金属フィラーであってよい。金属フィラーは、金属材料からなるフィラーであってよい。金属材料としては、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銀(Ag)、金(Au)、これらの金属を含む合金等が挙げられる。合金としては、センダスト(Fe-Si-Al合金)、鉄合金(センダストを除く。例えばステンレス)、タングステン合金等が挙げられる。無機充填剤は、センダスト、亜鉛単体等であってよい。
酸化物としては、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、一酸化鉛、これらの酸化物を含む複合酸化物等が挙げられる。窒化物としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、これらの窒化物を含む複合窒化物等が挙げられる。炭酸塩としては、炭酸カルシウム(例えば重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム等が挙げられる。金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。炭素系材料としては、アセチレンブラック、カーボンブラック(ファーネスブラック、ケッチェンブラック等)などが挙げられる。無機充填剤は、優れた加工性が得られやすい観点から、炭酸カルシウム及びカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
有機充填剤としては、木粉、パルプ、天然繊維(綿、麻等)、再生繊維(レーヨン等)、架橋樹脂粒子(架橋ポリエチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル粒子等)、合成繊維(ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等)などが挙げられる。
充填剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して下記の範囲であってよい。充填剤の含有量は、多孔体の優れた強度が得られやすい観点から、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、40質量部以上、50質量部以上、又は、60質量部以上であってよい。充填剤の含有量は、ベース材料中での分散性、加工性、及び、多孔体の外観に優れやすい観点から、200質量部以下、150質量部以下、120質量部以下、100質量部以下、80質量部以下、又は、70質量部以下であってよい。これらの観点から、充填剤の含有量は、10~200質量部であってよい。
充填剤の含有量は、多孔体の全質量を基準として下記の範囲であってよい。充填剤の含有量は、優れた吸音特性が得られやすい観点から、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は、30質量%以上であってよい。充填剤の含有量は、優れた吸音特性が得られやすい観点から、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、又は、35質量%以下であってよい。これらの観点から、充填剤の含有量は、10~90質量%であってよい。
本実施形態に係る多孔体は、軟化剤を含有してよい。軟化剤を用いることにより、加工性を向上させることができる。軟化剤としては、任意の軟化剤を用いることが可能であり、乾性油類又は動植物油類(例えばアマニ油)、石油系オイル類(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル等)、アスファルト類、低分子量ポリマー類、有機酸エステル類(例えば、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)等のフタル酸エステル;リン酸エステル;高級脂肪酸エステル;アルキルスルホン酸エステル)、増粘付与剤などが挙げられる。軟化剤は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、石油系オイル類を含んでよい。軟化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
軟化剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して下記の範囲であってよい。軟化剤の含有量は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、10質量部以上、20質量部以上、30質量部以上、又は、35質量部以上であってよい。軟化剤の含有量は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、100質量部以下、90質量部以下、80質量部以下、70質量部以下、60質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、又は、35質量部以下であってよい。これらの観点から、軟化剤の含有量は、1~100質量部であってよい。
本実施形態に係る多孔体は、脂肪酸を含有してよい。脂肪酸は、加工助剤として用いることができる。脂肪酸を用いることにより加工性を向上させることができる。脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことができる。脂肪酸の炭素数は、8~30、10~20、又は、15~18であってよい。脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等が挙げられる。脂肪酸は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、ステアリン酸を含んでよい。脂肪酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪酸の含有量は、(A)成分100質量部に対して下記の範囲であってよい。脂肪酸の含有量は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、1質量部以上、2質量部以上、又は、3質量部以上であってよい。脂肪酸の含有量は、優れた発泡加工性が得られやすい観点から、10質量部以下、8質量部以下、5質量部以下、又は、3質量部以下であってよい。これらの観点から、脂肪酸の含有量は、1~10質量部であってよい。
本実施形態に係る多孔体は、目的に応じて、任意の他の添加剤を含有してよい。添加剤としては、滑剤、可塑剤、気泡核剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、防カビ剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。本実施形態に係る多孔体は、後述の発泡性組成物の発泡後に残存する成分を含有することができる。
本実施形態に係る多孔体は、発泡体であってよく、発泡剤を含有する発泡性組成物を発泡させることにより得ることができる。本実施形態に係る発泡性組成物は、多孔体の含有成分と同様の成分(発泡後に残存する成分)と、発泡剤とを含有することができる。本実施形態に係る多孔体の製法方法は、上述の(A)成分と、上述の(B)成分と、発泡剤(熱分解型発泡剤)と、を含有する発泡性組成物を発泡させる発泡工程を備える。発泡性組成物において、多孔体の含有成分と同様の成分((A)成分、(B)成分等)の種類、含有量などとしては、多孔体に関して上述した構成を用いることができる。
発泡剤としては、任意の発泡剤を用いることが可能であり、有機系発泡剤、無機系発泡剤等が挙げられる。発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機系発泡剤としては、アゾ系化合物、N-ニトロソ系化合物、ヒドラジド系化合物、セミカルバジド系化合物、フッ化アルカン、トリアゾール系化合物等が挙げられる。
アゾ系化合物としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン等が挙げられる。N-ニトロソ系化合物としては、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロソトリメチルトリアミン等が挙げられる。ヒドラジド系化合物としては、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホニルヒドラジド、2,4-トルエンジスルホニルヒドラジド、p,p-ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)エーテル、ベンゼン-1,3-ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)等が挙げられる。セミカルバジド系化合物としては、p-トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられる。フッ化アルカンとしては、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン等が挙げられる。トリアゾール系化合物としては、5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩;炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩;亜硝酸ナトリウム、亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩;水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素塩;アジド類などが挙げられる。
発泡剤は、500Hz及び1000Hzにおいて優れた吸音率を得やすい観点、並びに、優れた発泡性が得られやすい観点から、有機系発泡剤を含んでよく、アゾ系化合物、N-ニトロソ系化合物及びヒドラジド系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、アゾ系化合物を含んでよく、アゾジカルボンアミドを含んでよい。
発泡剤の使用量は、(A)成分100質量部に対して下記の範囲であってよい。発泡剤の使用量は、発泡体中に多くのセルが形成されて優れた発泡性が得られやすい観点から、1質量部以上、3質量部以上、4質量部以上、5質量部以上、8質量部以上、10質量部以上、12質量部以上、又は、15質量部以上であってよい。発泡剤の使用量は、過剰な発泡による多孔体の剛性の低下を抑制しやすい観点から、30質量部以下、25質量部以下、20質量部以下、18質量部以下、又は、15質量部以下であってよい。これらの観点から、発泡剤の使用量は、1~30質量部であってよい。
発泡性組成物は、発泡助剤を含有してよい。発泡助剤としては、任意の発泡助剤を用いることが可能であり、尿素系化合物(例えば尿素)、サリチル酸系化合物、安息香酸系化合物等が挙げられる。発泡助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡助剤の使用量は、(A)成分100質量部に対して下記の範囲であってよい。発泡助剤の使用量は、発泡体中に多くのセルが形成されて優れた発泡性が得られやすい観点から、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、1.2質量部以上、又は、1.5質量部以上であってよい。発泡助剤の使用量は、過剰な発泡による多孔体の剛性の低下を抑制しやすい観点から、10質量部以下、8質量部以下、5質量部以下、4質量部以下、3質量部以下、2質量部以下、又は、1.5質量部以下であってよい。これらの観点から、発泡助剤の使用量は、0.1~10質量部であってよい。
発泡性組成物は、加硫剤を含有してよい。加硫剤としては、任意の加硫剤を用いることが可能であり、硫黄、硫黄化合物類(ポリスルフィド、4,4’-ジチオジモルホリン等)、セレン、有機過酸化物類(クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等)、ポリアミン類、オキシム類(p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム等)、ニトロソ化合物類(例えばp-ジニトロソベンジン)、樹脂類(アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド縮合物等)、アンモニウム塩類(例えば安息香酸アンモニウム)、金属酸化物(例えば酸化マグネシウム)などが挙げられる。金属酸化物は、充填剤の作用も有してよい。加硫剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。加硫剤は、硫黄を含んでよい。
加硫剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して下記の範囲であってよい。加硫剤の含有量は、発泡反応と加硫反応のバランスの観点から、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、1.5質量部以上、又は、2質量部以上であってよい。加硫剤の含有量は、発泡反応と加硫反応のバランスの観点から、10質量部以下、8質量部以下、5質量部以下、又は、2質量部以下であってよい。これらの観点から、加硫剤の含有量は、1~10質量部であってよい。
発泡性組成物は、加硫促進剤を含有してよい。加硫促進剤としては、任意の加硫促進剤を用いることが可能であり、チアゾール類(2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等)、ジチオカルバミン酸類(例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸塩)、グアニジン類(ジフェニルグアニジン、ジ-o-トリルグアニジン等)、スルフェンアミド類(ベンゾチアジル-2-ジエチルスルフェンアミド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等)、チウラム類(テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等)、キサントゲン酸類(イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛等)、アルデヒドアンモニア類(アセトアルデヒドアンモニア、ヘキサメンチレンテトラミン等)、アルデヒドアミン類(n-ブチルアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドモノブチルアミン等)、チオウレア類(ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等)、酸化亜鉛などが挙げられる。加硫促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫促進剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して下記の範囲であってよい。加硫促進剤の含有量は、発泡反応と加硫反応のバランスの観点から、0.1質量部以上、0.5質量部以上、1質量部以上、2質量部以上、又は、3質量部以上であってよい。加硫促進剤の含有量は、発泡反応と加硫反応のバランスの観点から、20質量部以下、15質量部以下、10質量部以下、8質量部以下、5質量部以下、4質量部以下、又は、3質量部以下であってよい。これらの観点から、加硫促進剤の含有量は、1~20質量部であってよい。
発泡性組成物は、生産性、目的とする発泡体構造等の観点から、必要に応じて加硫遅延剤を含有してよい。加硫遅延剤としては、有機酸(無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸等)、アミン類(N-ニトロソ-ジフェニルアミン、N-ニトロソ-フェニル-β-ナフチルアミン等)などが挙げられる。
発泡工程では、発泡性組成物を加熱することにより発泡性組成物を発泡させることができる。発泡工程では、閉じた型枠内で発泡性組成物を発泡させる発泡方法、発泡性組成物を自由に膨張発泡させる発泡方法等を行うことができる。発泡工程では、T-ダイ押出機、カレンダー成形機等の公知のシート成形法によって発泡体を得てよく、発泡させる発泡性組成物は、例えば、発泡性組成物をシート状に成形することにより得られるシート体であってもよい。閉じた型枠内で発泡性組成物を発泡させる発泡方法としては、発泡性組成物を金属型枠内に収めた後、金属型枠ごと加熱プレスの熱盤間に配置することにより発泡させる方法を用いることができる。また、発泡性組成物を自由に膨張発泡させる発泡方法としては、発泡性組成物を、そのままオーブン内に配置し加熱して発泡させる方法を用いることができる。発泡性組成物を発泡させて発泡体を得る際の発泡倍率(発泡前後の密度比。発泡後は見かけ密度)は、5~30倍であってよい。
発泡体の発泡倍率、見かけ密度、通気度、平均セル径、最大セル径等は、発泡体を製造するときの各種成分の配合比率;混練、発泡等の条件などにより調整することができる。但し、同じ製造方法又は装置を用いた場合においても、発泡現象は、微妙な因子(例えば、ある工程から次の工程に進むまでの経過時間の違い)に左右されやすい傾向があると共に、作動原理が同じであるものの装置の大きさ等に左右されやすい傾向があるため、全く同じ属性を有する発泡体が得られづらいこともあり、その場合には、当該技術分野における通常の知識を有する作業者によって配合組成又は加工条件を調整することができる。
本実施形態に係る多孔体の製造方法は、発泡工程の前に、ベース材料((A)成分)、(B)成分及び発泡剤を混合することにより発泡性組成物を得る組成物作製工程を備えてよい。
組成物作製工程は、ベース材料を素練りして素練り物(素練りされたベース材料)を得る素練り工程と、素練り物と、発泡剤以外の添加剤((B)成分、充填剤、軟化剤、加工助剤等)と、を混合して第1混練物を得る第1混練工程と、第1混練物と発泡剤とを混合して発泡性組成物(第2混練物)を得る第2混練工程と、をこの順に有してよい。ベース材料の種類又は物性によっては素練り工程を省略することもできる。第2混練工程では、発泡剤以外に、発泡助剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤等を添加してよい。
上述の素練り工程から発泡工程に至るまでの過程は、工程毎に分けて実施することが可能であり、一部又は全部の工程を連続して実施してもよい。一部又は全部の工程を連続して実施する場合には、これらの工程を連続して行うことが可能な連続装置を用いることができる。
本実施形態に係る吸音材は、本実施形態に係る多孔体を備える。本実施形態に係る吸音材は、本実施形態に係る多孔体からなる態様であってよく、本実施形態に係る多孔体と、他の部材と、を備える態様であってよい。他の部材としては、ゴムシート、樹脂シート、織布、不織布、石膏ボード、木製ボード、金属板等が挙げられる。本実施形態に係る吸音材は、本実施形態に係る多孔体と、他の部材と、を貼り合わせ等することにより複合一体化させてよい。
本実施形態に係る吸音方法は、本実施形態に係る吸音材を用いて吸音する吸音工程を備える。本実施形態に係る吸音方法では、吸音対象の音の伝達経路に吸音材を配置することにより吸音することができる。
吸音工程では、吸音対象の音を吸音可能であり、特定の周波領域の音を吸音することができる。吸音対象の周波領域は、8000Hz以下、4000Hz以下、2000Hz以下、1000Hz以下、又は、500Hz以下であってよい。吸音工程では、例えば、500Hz以下の音を吸音することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<使用材料>
(ベース材料)
エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM):住友化学株式会社製、商品名「エスプレン501A」
低密度ポリエチレン(PE):日本ポリエチレン株式会社製、商品名「LF640MA」
(脂肪酸エステル成分)
A:モンタン酸エチレングリコールエステル、DSP五協フード&ケミカル株式会社製、商品名「WARADUR E」
B:モンタン酸グリセロールエステル、DSP五協フード&ケミカル株式会社製、商品名「WARADUR GE」
C:モンタン酸ブチレングリコールエステルカルシウム鹸化物、DSP五協フード&ケミカル株式会社製、商品名「WARADUR OP」
(充填剤)
炭酸カルシウム:丸尾カルシウム株式会社製、商品名「重質炭酸カルシウム」、破砕状
酸化亜鉛:三井金属鉱業株式会社製、酸化亜鉛2種
カーボンブラック:旭カーボン株式会社製、商品名「#50」
(軟化剤)
パラフィン系プロセスオイル:日本サン石油株式会社製、商品名「SUNPAR150」
(加工助剤)
ステアリン酸:日油株式会社製、商品名「粉末ステアリン酸さくら」
(発泡剤)
アゾジカルボンアミド(ADCA):三協化成株式会社製、商品名「セルマイクC-1」
4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH):三協化成株式会社製、商品名「セルマイクS」
N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT):三協化成株式会社製、商品名「セルマイクA」
(発泡助剤)
尿素:永和化成工業株式会社製、商品名「セルペースト101」
(加硫剤)
硫黄:細井化学工業株式会社製、商品名「200メッシュ品」
(加硫促進剤)
ジチオカルバミン酸塩:ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーEZ」
チウラム類:テトラメチルチウラムジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーTT」
<発泡体の作製>
下記の手順で発泡体を作製した。下記の手順において、比較例2及び3では、脂肪酸エステル成分を用いなかった。表1~3に示す脂肪酸エステル成分及び発泡剤の使用量は、ベース材料100質量部に対する量である。
まず、加圧ニーダーを用いて、表1~3のベース材料100質量部、表1~3の脂肪酸エチレンエステル成分、炭酸カルシウム50質量部、酸化亜鉛5質量部、カーボンブラック10質量部、軟化剤35質量部、及び、加工助剤3質量部を混合することにより混練物A(一次混練物)を得た。次に、この混練物Aに対して、表1~3の発泡剤、発泡助剤1.5質量部、加硫剤2質量部、表1~3の使用量のジチオカルバミン酸塩、及び、チウラム類2質量部を添加した後、ミキシングロール(7インチ、回転数:25rpm)にて混練することにより混練物B(二次混練物)を得た。続いて、この混練物Bを300mm角、厚さ8mmのサイズに調整することにより混練物C(発泡性組成物)を得た。
凹部を有する金型(凹部形状:350mm角×高さ10mm)の凹部内の中央に混練物Cを配置した。プレス機を用いて110℃、45kgf/cm2、40分の条件で一次加熱を行うことにより一次加熱物を得た。一次加熱物を金型内から取り出した後、160℃の熱風循環式オーブン内で20分間加熱することによって二次加熱を行うことにより発泡体を得た。発泡体の両面の表層部に位置する未発泡層をスライス加工によって除去することにより、厚さ10mmの発泡体を得た。発泡体の厚さは、ISO 1923(1981)「発泡プラスチック及びゴム-線寸法の測定」に準じて、ダイヤルゲージを用いて測定することにより確認した(測定面積:約10cm2)。
<発泡体の物性>
下記に示す方法で上述の発泡体の各物性を測定した。結果を表1~3に示す。
(セル径)
上述の発泡体をスライス加工することにより露出した断面におけるセル(気泡)のセル径としてセルの最長径(セルの最長部分の長さ)を測定した。具体的には、卓上走査電子顕微鏡(商品名:JCM6000Plusネオスコープ、日本電子株式会社製)を用いてセルの画像を取り込み、その画像を画像解析ソフト(商品名:Mac-View、株式会社マウンテック製)に基づいて画像解析することによりセルの最長径を測定した。上述の画像において任意の100個のセルを選定し、100個のセルのセル径を測定した。100個のセル径の測定結果のうちの最大値を最大セル径として取得し、100個のセル径の測定結果の平均値を平均セル径として求めた。また、セル径の分散σ2として、100個のセルについて、上述の平均セル径とセル径の各測定結果との差を二乗することにより得られた数値の平均値を算出した。
(見かけ密度)
JIS K 6767(1999)「発泡プラスチック-ポリエチレン-試験方法」に準じて発泡体の見かけ密度を測定した。具体的には、発泡体から板状の試験片(縦:30mm、横:30mm、厚さ:10mm)を切り出した後、その試験片の質量を測定して、単位体積あたりの質量(見かけ密度)を算出した。
(通気度)
通気性試験機(商品名:KES-F8-AP1、カトーテック株式会社製)を用いて、発泡体の通気抵抗R(単位:kPa・s/m)を測定した。具体的には、発泡体をスライス加工して厚さ5mmに調整した後、シリンダー状の通気路の内部を塞ぐように発泡体を通気路の中央に配置して通気抵抗Rの測定を行った。次いで、JIS L1096-7:2010「織物及び編物の生地試験方法:A法(フラジール形法)」で規定される通気度Q(単位:cm3/(cm2・s))に相当する値を「Q=12.5/R」の式より算出した。
<吸音率の評価>
音響管(商品名:SR-4100、株式会社小野測器製)を用いて、JIS A 1405-2に準じて吸音率を測定した。具体的には、φ29mmの打ち抜き刃で発泡体を打ち抜いて円柱状の試験片を作製した。この試験片を用いて周波数0Hz~8000Hzの範囲の吸音率を測定した。500Hz及び1000Hzにおける吸音率を得ると共に、測定範囲内において吸音率が最大となる周波数を「ピーク周波数」として得た。結果を表1~3に示す。表1~3によれば、実施例において低周波領域の優れた吸音特性が得られることが確認できる。