JP7792013B2 - ボイラシステム - Google Patents

ボイラシステム

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Description

本発明は、ボイラシステムに関し、特に、小型ボイラから排出される排ガス中のCO濃度を高めることができるボイラシステムに関する。
近年、地球温暖化の要因とされるCO(二酸化炭素)ガス排出量の大幅な削減が求められている。このために、ボイラなどの燃焼装置から排気される排ガス中のCOを、化学吸着法や固体吸収法などによって分離回収するための各種システムが開発されている。ただし、排ガス中のCO濃度は、通常10%程度と低いため、CO分離回収装置の回収効率が低いという問題がある。
これに対して、石炭火力発電プラントが備えるボイラにおいて、従来の空気燃焼に代えて酸素燃焼を行うことによって、排ガス中のCO濃度を高める方法が提案されており、酸素燃焼を利用するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の実証試験も行われている(非特許文献1および特許文献1)。
酸素燃焼は、酸化剤または支燃性ガスとして、空気の代わりに酸素ガスを供給して燃料を燃焼させる方式である。酸素燃焼の場合、排ガスに窒素成分がほとんど含まれないので、排ガスの主成分(石炭燃焼の場合、例えば90%以上)をCOガスとすることができる。このため、酸素燃焼を利用すれば、排ガスを冷却等してCOを分離回収することが、より容易になる。
ただし、高濃度の酸素ガスを用いて酸素燃焼を行うと、火炎温度が高くなりすぎることからバーナやボイラが損傷するおそれがある。このため、非特許文献1および特許文献1に記載の酸素燃焼ボイラ設備では、排ガスの一部を循環させ、製造した酸素と再循環ガス(主としてCOガス)とを混合し、酸素濃度を低下させた支燃性ガスをボイラに供給している。
また、上記の石炭火力発電プラントでは、酸素燃焼を行うために、取り込んだ大気から深冷分離法などによって高純度酸素を製造するための酸素製造装置がボイラの近傍に設けられている。ただし、酸素製造に電力を要する場合、発電開始に至るまでは、従来と同様に大気を取り込んでの空気燃焼を行うことが考えられる。
特許文献2には、酸素燃焼と空気燃焼とを切り替えて行うことができる石炭火力発電用のボイラプラントが開示されている。このボイラプラントでは、酸素燃焼に移行する前のボイラ起動時に、酸素ガスおよび循環排ガスの代わりに大気を供給することによって空気燃焼を行うことができる。そして空気燃焼によって得られた電力を用いて酸素ガスの製造を行えるようになった後は、空気の供給系を閉じて、酸素ガスと循環排ガスとをボイラに供給し、石炭の酸素燃焼へと容易に移行することができる。
また、特許文献2には、循環排ガスの流量を調節することによって支燃性ガスにおける酸素濃度を制御し、燃料量に対する酸素量の割合を所望の設定に制御する技術が記載されている。酸素濃度は、合計ガス流量に対する酸素流量の割合として、各ガス流量指令値から演算によって求めることができる。また、算出された酸素濃度に基づいて給水温度を設定することによって、熱交換器を流れる水や蒸気の温度を許容範囲内に制御して安全運転を図ることも可能である。
このようにして酸素燃焼を行うことによって排ガス中のCO濃度を高めたうえで、COの回収を行うことによって、より効率的にCOを回収・貯留することが可能である。特許文献3および4には、具体的な排ガスCO分離・回収装置が記載されている。また、特許文献5には、比較的小型のボイラにおいて排ガス中のCO濃度を調整する技術が記載されている。ただし、この排ガスは、ボイラ排液を中和するために用いられるものであり、ボイラ排液に導入する前に大気の混合量を調整することによってCO濃度が調整されているものにすぎない。
内田輝俊、"酸素燃焼を用いたCO2を排出しない石炭火力発電所の実現に向けて-カライド酸素燃焼プロジェクトの運転状況-"、平成25年度火力原子力発電大会論文集、平成25年9月18日受入、p.101-106
特許第6471485号公報 特許第5130145号公報 特許第5351816号公報 特許第3025566号公報 特開平11-244654号公報
上述したように、石炭火力発電装置などの大型設備において、大気から製造した酸素ガスと再循環させた排ガスとを用いて酸素燃焼を行うことによって、排ガス中のCO濃度を大幅に高め、より効率的なCOの回収・貯蔵を行う試みがなされている。このような方式では、支燃性ガスから予め窒素を除去しているので、ボイラ燃焼における窒素酸化物(NO)の発生を抑制することができるという利点も得られる。
しかしながら、発電所のような大型設備ではなく、小型貫流ボイラや温水ボイラなど小型のボイラでは、要求される使用中の出力変化がより大きく、大型設備に比べて燃焼の制御速度を、桁外れに高速にしなければならない。このため、従来の大型設備と同様の酸素燃焼ボイラ構成を採用しただけでは、排ガスCO濃度を高められたとしても、小型ボイラ設備では、失火などの運転不良が生じるおそれがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、燃焼制御に比較的高い応答性が求められる小型ボイラを利用する場合であっても、安定燃焼を実現しながら、酸素燃焼を可能とし、排ガス中のCO濃度を向上させることができるボイラシステムを提供することをその目的とする。
本発明の実施形態によるボイラシステムは、燃料ガスを燃焼させることによって給水を加熱するボイラと、前記ボイラからの排ガスを排気する排気ラインと、前記排気ラインから分岐する循環ガスラインであって、酸素供給ラインおよび大気供給ラインが接続され、大気および酸素ガスの少なくともいずれかとともに前記排ガスを前記ボイラに支燃性ガスとして供給することができる循環ガスラインとを備え、前記大気供給ラインには、大気吸い込みを制御するためのダンパが設けられており、前記酸素供給ラインは、オンオフ弁が設けられたメインラインと、開度自在弁が設けられたサブラインとを含んでおり、前記大気供給ラインの前記ダンパを閉じるとともに、前記酸素供給ラインの前記オンオフ弁の開閉および前記開度自在弁の開度を制御することによって、前記酸素供給ラインからの酸素ガスと前記排ガスとの混合ガスにおける酸素濃度を調節して支燃性ガスとして前記ボイラに供給できるように構成されている。
ある実施形態において、ボイラシステムは、前記ボイラの近傍に設けられ前記循環ガスラインからの前記支燃性ガスを前記ボイラに送出するための支燃性ガスファンと、前記支燃性ガスファンから前記ボイラに送出された前記支燃性ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサとをさらに備え、前記酸素センサの出力に基づいて、前記開度自在弁がフィードバック制御されるように構成されている。
ある実施形態において、前記支燃性ガスファンの出口は、前記ボイラに設けられたバーナ用風箱に接続されており、前記酸素センサは、前記バーナ用風箱の内側のガスの酸素濃度を測定するように構成されており、前記酸素センサの出力に基づいて、前記バーナ用風箱の内側のガスの酸素濃度が20~22%に維持されるように前記開度自在弁が制御される。
ある実施形態において、前記酸素供給ラインの前記メインラインは、それぞれに前記オンオフ弁が設けられ並列接続された複数ラインによって構成されており、前記複数ラインの各オンオフ弁を制御することによって、前記メインラインから複数段の流量で酸素ガスを供給することができるように構成されている。
ある実施形態において、前記酸素供給ラインの前記サブラインに設けられた前記開度自在弁の一次側または二次側の少なくとも一方に手動弁が設けられており、燃焼に必要な理論燃焼酸素量の80~90%の酸素を前記メインラインを介して供給することができ、燃焼に必要な理論燃焼酸素量の0~50%の酸素を前記サブラインを介して供給することができるように構成されている。
ある実施形態において、前記ボイラシステムは、前記ボイラからの排ガスの熱によって前記ボイラへの給水を予熱するエコノマイザと、前記エコノマイザの下流側の排ガスを冷却するガスクーラとをさらに備え、前記排気ラインは、前記ガスクーラによって冷却された排ガスを排気するように設けられており、前記ガスクーラは、前記排ガスの出口温度を30℃~50℃に冷却することができるように構成されている。
ある実施形態において、前記酸素供給ラインのメインラインに設けられた前記オンオフ弁は、電磁弁であり、前記酸素供給ラインのサブラインに設けられた前記開度自在弁は、電動弁である。
ある実施形態において、前記燃料ガスは、都市ガスまたはLPガスのいずれかであり、前記ボイラは、貫流ボイラまたは温水ボイラのいずれかである。
本発明の実施形態によるボイラシステムによれば、貫流ボイラまたは温水ボイラなどの小型ボイラを用いる場合にも、安定燃焼を実現しながら排ガス中のCO濃度を高めることができる。
本発明の実施形態によるボイラシステムを示す模式図である。 本発明の実施形態による酸素供給ラインの一態様を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態によるボイラシステム100を示す。ボイラシステム100は、燃料ガスGFを燃焼させるバーナ11を有するボイラ10と、ボイラ10からの排ガスGEが通過するエコノマイザ(節炭器)12と、エコノマイザ12を通過した排ガスGEを冷却するためのガスクーラ14と、ガスクーラ14によって冷却された排ガスGEを排気する排気ライン16とを備えている。
本実施形態で用いられるボイラ10は、比較的小型の例えば貫流ボイラまたは温水ボイラである。また、用いられる燃料ガスGFは、例えば、都市ガス(またはメタンを主成分とするガス)またはLPガス(またはプロパンまたはブタンを主成分とするガス)である。ボイラシステム100は、比較的小型のボイラ10を用いて蒸気または温水を生成して提供できるように構成されており、各種工場、住居・宿泊施設や温浴施設などにおいて設置されて、用途に応じて適宜温度設定された温水や蒸気を提供することができる。
ボイラ10は、バーナ11によって燃料ガスGFを燃焼させることによってボイラ10への給水W1を加熱し、温水や蒸気を生成することができる。エコノマイザ12は、ボイラ10からの排ガスGEの熱を利用して、ボイラ10に供給する前に給水W1を予熱することができ、燃料ガスGFの消費量を節約することができる。
また、本実施形態では、ガスクーラ14は、種々の熱交換器(例えばプレート式熱交換器やチューブ式熱交換器)を用いて、供給された冷却水W2との熱交換を行うことによって排ガスGEを冷却するように構成されている。ガスクーラ14は、排ガスの出口温度T1が、例えば約30~50℃、特には約40℃になるまで冷却することができるように構成されている。これによって、ガスクーラ14において排ガスに含まれる蒸気をドレン化し、ドライな排ガスを得ることができる。
ボイラ10からのブロー水、エコノマイザ12からのドレン(排水)、ガスクーラ14からのドレンは中和装置18に送られる。中和装置18は、種々方法により排水を中和して、産業排水基準に適合するpH値に調整したうえで外部に排出する。
排気ライン16は、冷却された排ガスGEを、煙道16Aから大気中へ放出したり、CO回収ライン16Bを介してCO回収設備に移送するために設けられている。後述するように、ボイラシステム100では、酸素燃焼を行って排ガス中のCO濃度を高めることができるので、CO回収ライン16Bで送られた排ガスからCOを効率的に回収することが可能である。なお、図示しないが、排気ライン16には、バグフィルタなどの任意の排ガス処理装置が必要に応じて設けられていてもよい。
本実施形態のボイラシステム100において、排気ライン16には、排気ライン16から分岐する循環ガスライン20が接続されている。循環ガスライン20は、ガスクーラ14によって冷却された排ガスGEを、ボイラ近傍に設けられた押込ファン(支燃性ガスファン)22を用いて、ボイラ10へと循環させることができるように構成されている。循環ガスライン20には、モータM駆動の循環ガス引込用ダンパ24が設けられており、循環ガス引込用ダンパ24の開度を調整することによって、任意の流量で排ガスGEをボイラ10に供給することができる。
また、循環ガスライン20には、大気供給ライン26と酸素供給ライン30とが接続されている。これによって、ボイラ10には、大気AIR、酸素ガスOおよび/または排気ライン16から引き込んだ排ガスGEを、支燃性ガスGSとして供給することができる。この構成において、ボイラ10は、空気燃焼と酸素燃焼との両方を実施することが可能である。
なお、図示する態様において、大気供給ライン26は、酸素供給ライン30の上流側に接続されているが、これとは逆に酸素供給ライン30が上流側に接続されていてもよい。また、大気供給ライン26と酸素供給ライン30とは、必ずしも異なる場所に接続されている必要はなく、循環ガスライン20の同じ接続箇所において共通ラインを用いて接続され、共通ラインの上流側で分岐して並列に配置されていてもよい。
大気供給ライン26および酸素供給ライン30は、循環ガス引込用ダンパ24とボイラ10との間で循環ガスライン20に連通する限り、任意の態様で接続されていてよい。また、本実施形態では、ボイラ近傍に設けられた支燃性ガスファンとしての押込ファン22を用いて、循環ガスライン20におけるボイラ方向へのガスの流れを形成しているが、これに代えて、または、これに追加して、循環ガスライン20に他の送風機(押込ファンや誘引ファンなど)を設けてもよい。また、排気ライン16にも、必要に応じて任意の送風機を設けてもよい。
以下、循環ガスライン20のより詳細な構成について説明する。
循環ガスライン20に接続された大気供給ライン26には、モータM駆動の大気吸込用ダンパ28が設けられている。この大気吸込用ダンパ28の開度を調整することによって、任意の流量で大気(空気)AIRをボイラ10に供給することができる。
このようにして、循環ガスライン20を介して、ボイラ10に対して流量制御可能な空気を支燃性ガスGSとして供給することができるので、ボイラ起動時など、酸素燃焼を安定して行うことが困難なときには、空気燃焼によるボイラ運転を行うことができる。空気燃焼を行っている期間中、ボイラ10には、開度調整された大気吸込用ダンパ28を介して制御された流量で空気が供給される一方で、通常、循環ガス引込用ダンパ24および酸素供給ライン30は閉じた状態に維持されている。
燃料ガスとして都市ガス13Aを用いる場合、大気供給ライン26からの空気を用いた空気燃焼では、燃焼排ガスに約10vol%のCOが含まれ、残りの大部分が窒素ガスおよび水蒸気によって構成される。このため、空気燃焼における排ガスからCOを分離回収しようとする場合には、効率が悪く、回収装置側の設備が過大となるため、コストメリットが望めないという問題がある。そこで、ボイラ起動後、燃焼が安定し、排ガスGEの安定循環供給も可能になった後は、空気燃焼から酸素燃焼に切替えて、排ガス中のCO濃度を向上させることが好適である。
酸素燃焼のために用いられる酸素供給ライン30は、並列に接続されたメインライン30Aとサブライン30Bとによって構成されている。図示する態様では、メインライン30Aとサブライン30Bとは同じ酸素供給源に接続されているが、それぞれ別の酸素供給源に接続されていても良い。酸素供給源としては、例えば、圧力変動吸着法(PSA)によって空気から生成した酸素ガスを利用することができる。
そして、酸素供給ライン30のメインライン30Aには、オンオフ弁32が設けられており、一方で、サブライン30Bには、開度自在弁(典型的には比例弁)34が設けられている。本実施形態において、オンオフ弁32は電磁弁(ソレノイドバルブS)によって構成され、開度自在弁34は、モータM駆動される電動弁によって構成されている。オンオフ弁32は、例えば空気駆動弁(AOV)によって構成されていてもよい。
本実施形態において、メインライン30Aからは、燃料ガスGFの成分および流量に適合する燃焼に必要な理論燃焼酸素量の80~90%の酸素を供給することができ、サブライン30Bからは、理論燃焼酸素量の0~50%の酸素を供給することができるように、各ラインでの酸素ガスの流量制御が行われる。酸素供給ライン30から供給された酸素ガスは、循環ガス引込用ダンパ24を開いて導入された排ガスGEと混合され、酸素濃度が調整された支燃性ガスGSとしてボイラ10に供給される。
また、本実施形態において、サブライン30Bは、単独の開度自在弁34が設けられた1本のラインで構成されているのに対して、メインライン30Aは、それぞれにオンオフ弁32が設けられた複数の並列ラインによって構成されている。
図2は、メインライン30Aが、3本のラインで構成されている例を示す。図2に示すように、並列に接続されたライン301、302、303によってメインライン30Aが構成されており、各ライン301、302、303に、オンオフ弁(ここでは電磁弁)321、322、323がそれぞれ設けられている。各オンオフ弁321、322、323の開放時定格流量(またはCV値:一次側圧力と2次側圧力値とが規定値の場合に開放バルブを通過する流体の流量係数)は、同じであっても良いし、異なっていてもよい。
この構成において、オンオフ弁321、322、323の開閉制御を行うことによって、ボイラの燃焼パターンに適合する複数段での酸素流量制御を即座に行うことができる。例えば、0%-20%-50%-100%で燃焼パターンを制御する4位置制御の場合、全オンオフ弁を閉じた状態で0%制御を行い、オンオフ弁321のみを開いた状態で20%制御を行い、オンオフ弁321とオンオフ弁322とを開いた状態で50%制御を行い、全てのオンオフ弁321、322、323を開いた状態で100%制御を行うことができる。それぞれの燃焼パターンにおいて、各ラインを介して供給される酸素量の合計は、燃料ガス流量の変動に合わせて、上記のように理論燃焼酸素量の80~90%の酸素となるように調整されている。
なお、上記には、4位置制御を行うために3本のオンオフ弁付きラインを用いる態様を説明したが、燃焼パターンに応じて、2本または4本以上のオンオフ弁付きラインを用いても良いことは言うまでもない。また、メインライン30Aにおける流量制御が0%-100%の2段階の制御で足りる場合には、図1に示したように、メインライン30Aも、サブライン30Bと同様に、1本のラインで構成されていてもよい。
メインライン30Aにおいて、オンオフ弁32を構成する各電磁弁は、モータ駆動の電動弁(開度自在弁34)に比べて応答性が十分に高いものである。したがって、燃焼パターンに適合するように、各電磁弁の開放制御を高速に行うことができ、これによって燃焼不良の発生が防止できる流量で酸素ガスを供給することができる。また、複数ラインにオンオフ弁32を設けてそれらの開閉制御によって流量を制御するので、大流量または小流量への瞬時の切り替えも比較的容易に実現することができる。
特に、小型ボイラの出力調整は、熱需要側の要求に合わせて非常に短時間(例えば2~3秒など多くは5秒以内)で切り替えることも多く、また、狭い燃焼室に対して高出力のバーナで燃焼を行うため、燃料の燃焼に必要な酸素量が、出力切替えごとに短時間で変化することがある。このため、必要な酸素量の供給が少しでも遅れた場合、その瞬間に不完全燃焼や振動燃焼、さらには失火につながることになる。これに対して、段階的な流量制御ではあるものの、非常に応答性高く流量を小流量から大流量まで制御可能なメインライン30Aからの酸素供給を行うことによって、事前に燃焼不良に至らない最低限の酸素を確実に供給することができる。したがって、ボイラシステム100では、出力変動の激しい小型ボイラの用途においても、失火や燃焼不良の発生を防止することができる。
また、酸素供給ライン30のサブライン30Bにおいて、開度自在弁34の一次側または二次側の少なくともいずれかに手動弁38が設けられていてもよい。図1には、開度自在弁34の一次側に手動弁38が設けられた例が示されており、図2には、開度自在弁34の二次側に手動弁38が設けられた例が示されている。このように配置された手動弁38は、サブライン30Bにおける最大制御流量を調整するために用いることができる。手動弁38を用いて、循環ガス引込用ダンパ24の設定開度に対して投入したい酸素量を予め設定しておくことによって、循環ガス量の割合調整に対応することができる。
酸素量の微調整を行うためには、開度自在弁34を有するサブライン30Bが用いられる。これによって、酸素供給ライン30からの酸素ガスOと排気ライン16からの排ガスとGEとの混合気体によって形成される支燃性ガスGSにおける酸素濃度が、例えば大気中の酸素濃度と同等である約21%(例えば20~22%)の比率で安定して維持されるように、酸素ガスの全体流量を微調整することができる。
また、排ガス量そのものを低減するために、酸素濃度を21%以上とする酸素富化燃焼も鑑みて、開度自在弁34は、必要酸素量の約半分までの酸素量を供給できるCV値(または定格流量値)に設定されていてもよい。
ここで、図1に示すように、本実施形態のボイラシステム100は、バーナ11に供給される支燃性ガスGSの酸素濃度を測定するための酸素センサ36aを備えている。より具体的には、酸素センサ36aは、押込ファン22の出口が接続されたバーナ用風箱13に取り付けられ、バーナ用風箱13の内側のガスの酸素濃度を測定するように設置されている。酸素センサ36aとしては、例えば、ガルバニ電池式のセンサが好適に利用されるが、酸素濃度を測定することができる限り、種々の態様のセンサを用いることができる。
また、酸素センサ36aには、酸素濃度制御回路36bが接続されている。そして、酸素濃度制御回路36bは、酸素センサ36aの出力に基づいて、酸素供給ライン30のサブライン30Bに設けられた開度自在弁34をフィードバック制御できるように構成されている。
例えば設定酸素濃度が20~22%である場合、酸素センサ36aが出力する酸素濃度が20%よりも低い場合には、その差に応じた操作量で開度自在弁34の開度を開いて酸素濃度を上昇させる。また、酸素センサ36aが出力する酸素濃度が22%よりも高い場合には、その差に応じた操作量で開度自在弁34の開度を閉じて酸素濃度を低下させる。このようにして、酸素濃度制御回路36bを用いて、設定濃度と測定濃度との差が0に近づくように開度自在弁34をフィードバック制御することによって、バーナ11に対して所望の設定酸素濃度を有する支燃性ガスGSを供給し続けることができる。なお、設定酸素濃度は一定値(例えば21%)であってもよいことは言うまでもない。
このようにして、ボイラシステム100は、循環ガスライン20を介して、ボイラ10に対し酸素ガスと排気ガス(主としてCO)との混合気体による支燃性ガスGSを供給することができるので、酸素燃焼を安定して行うことができる。酸素燃焼を行っている期間中、ボイラ10には酸素ガスが混合された排気ガスが支燃性ガスGSとして供給される一方で、通常は、大気吸込用ダンパ28が閉鎖されて大気供給ライン26は閉じた状態に維持される。
空気燃焼から酸素燃焼への切り替えの際には、大気吸込用ダンパ28の閉操作に同期させて、循環ガス引込用ダンパ24、メインライン30Aにおけるオンオフ弁32の開操作が行われる。また、同時に、サブライン30Bにおける開度自在弁34の開度調整による酸素濃度調整操作も開始される。ボイラシステム100は、大気供給ライン26のダンパ28を閉じるとともに、酸素供給ライン30のオンオフ弁32の開閉および開度自在弁34の開度を制御することによって、酸素供給ラインからの酸素ガスOと排ガスGEとの混合ガスにおける酸素濃度を調節したうえで、これを支燃性ガスGSとしてボイラ10に供給して酸素燃焼を行うことができるように構成されている。
したがって、ボイラシステム100では、ボイラ起動時の空気燃焼から酸素燃焼にスムーズに移行することができ、また、酸素燃焼切替え後には、小型ボイラの出力変化特性に適合するように素早い酸素供給量の切り替えを行って、不完全燃焼や失火等の燃焼不良の発生を防止しながら、CO濃度が高い排ガスの排出を行うことができる。
次に、ガスクーラ14の構成について説明する。上述したように本実施形態におけるガスクーラ14は、排ガスの出口温度T1を例えば30℃~50℃にまで低下させ、ドライな排ガスを得るように構成されている。特に、都市ガスやLPガスを燃料ガスとして用いる小型のボイラ10の場合、燃焼によって水蒸気は生成されるものの、排ガスGEに硫黄分などの腐食性ガスが含まれないので、常温近くまでこれを冷却しても大きな問題は生じない。したがって、冷却により含まれる水蒸気をドレン化してドライでCO濃度が高められた排ガスを容易に得ることができる。そして、ボイラシステム100では、酸素燃焼においてドライな排ガスを支燃性ガスに混合させて燃焼を行うので、再循環ガス中の水分によるバーナ燃焼への悪影響を避けることも可能である。
ガスクーラ14で使用される冷却水W2は、典型的には、ボイラ給水W1の供給系とは別系統として設けられた冷却塔などの冷却システムを含む冷却水循環ラインを用いて提供される。ただし、ガスクーラ14の出口から、冷却水W2の一部を軟化装置に導き、これをボイラ給水W1として使用することも可能である。
また、ガスクーラ14では、排ガス冷却時に大量のドレンが生じる。このドレンをガスクーラ14の底部に効率的に移動、滴下させるために、排ガスGEは、ガスクーラ14の上部から底部に向かって下向きに流れることが好適である。一方で、冷却水W2は、空気溜まりの発生を防ぐために上向き流すことが好適である。また、ドレンは排ガス中のCOなどを吸収して酸性になっているため、ガスクーラ14は耐酸性の材料を用いて構成することが好適である。なお、ガスクーラ14は、エコノマイザ12をバイパス運転した場合の入口排ガス温度も考慮して、適合する耐熱温度を有した材料を用いて構成することが好適である。
本発明の実施形態によるボイラシステムは、例えば小型の蒸気ボイラや温水機などにおいて、安定燃焼を継続しながら排ガス中のCO濃度を高くするために好適に利用される。
10 ボイラ
12 エコノマイザ
14 ガスクーラ
16 排気ライン
18 中和装置
20 循環ガスライン
22 押込ファン(支燃性ガスファン)
24 循環ガス引込用ダンパ
26 大気供給ライン
28 大気吸込用ダンパ
30 酸素供給ライン
30A メインライン
30B サブライン
32 オンオフ弁(電磁弁)
34 開度自在弁(電動弁)
36a 酸素センサ
36b 酸素濃度制御回路
38 手動弁
100 ボイラシステム
GE 排ガス
GF 燃料ガス
GS 支燃性ガス

Claims (8)

  1. 燃料ガスを燃焼させることによって給水を加熱するボイラと、
    前記ボイラからの排ガスを排気する排気ラインと、
    前記排気ラインから分岐する循環ガスラインであって、酸素供給ラインおよび大気供給ラインが接続され、大気および酸素ガスの少なくともいずれかとともに前記排ガスを前記ボイラに支燃性ガスとして供給することができる循環ガスラインと
    を備えるボイラシステムであって、
    前記大気供給ラインには、大気吸い込みを制御するためのダンパが設けられており、
    前記酸素供給ラインは、オンオフ弁が設けられたメインラインと、開度自在弁が設けられたサブラインとを含んでおり、
    前記大気供給ラインの前記ダンパを閉じるとともに、前記酸素供給ラインの前記オンオフ弁の開閉および前記開度自在弁の開度を制御することによって、前記酸素供給ラインからの酸素ガスと前記排ガスとの混合ガスにおける酸素濃度を調節して支燃性ガスとして前記ボイラに供給できるように構成され
    前記ボイラからの排ガスの熱によって前記ボイラへの給水を予熱するエコノマイザと、前記エコノマイザの下流側の排ガスを冷却するガスクーラとをさらに備え、前記排気ラインは、前記ガスクーラによって冷却された排ガスを排気するように設けられており、前記ガスクーラは、前記排ガスの出口温度を30℃~50℃に冷却し、ドライな排ガスを排出することができるように構成されている、ボイラシステム。
  2. 前記ボイラの近傍に設けられ前記循環ガスラインからの前記支燃性ガスを前記ボイラに送出するための支燃性ガスファンと、前記支燃性ガスファンから前記ボイラに送出された前記支燃性ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサとをさらに備え、
    前記酸素センサの出力に基づいて、前記開度自在弁がフィードバック制御されるように構成されている、請求項1に記載のボイラシステム。
  3. 前記支燃性ガスファンの出口は、前記ボイラに設けられたバーナ用風箱に接続されており、前記酸素センサは、前記バーナ用風箱の内側のガスの酸素濃度を測定するように構成されており、前記酸素センサの出力に基づいて、前記バーナ用風箱の内側のガスの酸素濃度が20~22%に維持されるように前記開度自在弁が制御される、請求項2に記載のボイラシステム。
  4. 前記酸素供給ラインの前記メインラインは、それぞれに前記オンオフ弁が設けられ並列接続された複数のラインによって構成されており、前記複数のラインの各オンオフ弁を制御することによって、前記メインラインから複数段の流量で酸素ガスを供給することができるように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のボイラシステム。
  5. 前記酸素供給ラインの前記サブラインに設けられた前記開度自在弁の一次側または二次側の少なくとも一方に手動弁が設けられており、燃焼に必要な理論燃焼酸素量の80~90%の酸素を前記メインラインを介して供給することができ、燃焼に必要な理論燃焼酸素量の0~50%の酸素を前記サブラインを介して供給することができるように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のボイラシステム。
  6. 前記酸素供給ラインのメインラインに設けられた前記オンオフ弁は、電磁弁であり、前記酸素供給ラインのサブラインに設けられた前記開度自在弁は、電動弁である、請求項1から3のいずれかに記載のボイラシステム。
  7. 前記燃料ガスは、都市ガスまたはLPガスのいずれかであり、前記ボイラは、貫流ボイラまたは温水ボイラのいずれかである、請求項1から3のいずれかに記載のボイラシステム。
  8. 前記ガスクーラは、前記給水とは別個に供給された外部からの冷却水との熱交換によって前記排ガスを冷却するように構成されており、前記排ガスが上部から底部に向かって下向きに流れる一方で、前記冷却水は上向きに流れるように供給され、冷却された前記排ガスから生じたドレンを底部から排出するように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載のボイラシステム。
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