以下、発明に対する理解のために発明の具体的な実施形態をさらに詳細に説明する。
本明細書および特許請求の範囲で使用された用語や単語は通常または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則り、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
本明細書で使用された用語「結合」は、極性化合物が高分子鎖、例えば、架橋結合性官能基を有するPEO系ポリマーの鎖に「結合」した形態を意味することができる。このような「結合」は、極性溶媒が蒸気蒸着されて、例えば、気体状態の極性化合物が高分子鎖に固定された状態で維持された形態を広範囲に意味するものである。前記「結合」は、特定の物理的、化学的結合などに限る意味ではなく、これらの物理的、化学的結合などをはじめとする多様な結合によって固定された状態、あるいは吸着などのように単純に付着して固定された状態、あるいは前記高分子の架橋結合によって形成された三次元ネットワーク構造内に含まれて、前記高分子鎖または架橋結合構造に隣接して位置して固定された状態を含む意味で使用される。
本明細書で使用された用語「三次元ネットワーク構造」とは、三次元立体形状のフレーム(frame)と前記フレームによって形成された内部空間とを含む構造であって、前記フレームは、前記架橋結合性官能基によって形成された架橋結合、例えば、架橋結合性官能基間の架橋結合および/または架橋結合性官能基と架橋剤との間の架橋結合を含む高分子鎖を含むものであってもよい。前記三次元ネットワーク構造は、架橋結合構造と称されてもよい。
本明細書において、電解質中の極性化合物(極性溶媒)が「気体状態」で存在または含まれるというのは、前記極性溶媒またはこれを含む電解液または極性溶液が液体状態で注入される場合とは区別される状態を定義する。これは、前記極性化合物が蒸気状態で蒸着されて、前記電解質の製造直後あるいはこれを含む固体電池の充放電過程で、前記極性溶媒などが液状注入された場合とは区別される状態で存在することを示すのである。ただし、前記電解質および/または電池の保管または駆動条件などにより、前記蒸気蒸着された極性化合物が局所的または一時的に液化した状態を有することができる。この場合にも、前記蒸気蒸着された極性化合物は、前記液状注入された極性溶媒などに比べて高い移動度を示してこれと異なる状態を示すので、これも前記「気体状態」で存在または含まれると見なされる。
本明細書において、「固体電池」とは、電解質(層)を含む全電池構造において液体を全く含まない、いわゆる全固体電池だけでなく、前記電解質および/または電池の保管または駆動条件などにより、例えば、電解質上に蒸気蒸着された極性化合物が局所的または一時的に液化した状態になって、少量の液体が含まれている場合まで包括する意味で解釈されてもよい。
一方、従来は、固体電解質のイオン伝導度を改善するために、高分子マトリックスに酸化物のようなセラミック化合物を分散させた電解質を製造していた。しかし、このような電解質は、高分子マトリックス内の酸化物系セラミック粒子が不均一に分布したり、前記高分子としてポリエチレンオキシドのような結晶性の高い高分子を用いる場合、イオン伝導度が低下する問題点があった。
そこで、固体電解質のイオン伝導度を改善し前記セラミック化合物などの分散性を向上させるために、固体電解質を電解液または液体状態の溶媒に浸漬または担持させたり、固体電解質に電解液または極性溶媒を液体状態で直接注入した。このように固体電解質に相当量の電解液または極性溶媒を直接追加する場合、固体電解質のイオン伝導度がある程度改善される効果はある。しかし、この場合、固体電解質の適用による優れた安全性および安定性を阻害することがある。また、電解液または極性溶媒の付加によるイオン伝導度の改善も十分でなくて、相当量の極性溶媒などの注入が必要であった。
しかも、前記電解液または極性溶媒の温度別の蒸気圧または粘度などの特性により、温度の変化に応じたリチウムイオンの移動度およびイオン伝導度などが大きな偏差を示し、前記電解質を含む電池が温度別に大きな電気化学的特性の差を示すことがある。これは固体電池が温度別に駆動特性および充放電特性の大きな偏差を示す要因になりうる。
また、固体電解質に液体電解質または極性溶媒を液体状態で直接追加または注入する場合、高分子と液状との間の不望の副反応(unexpected side reaction)によって高分子鎖が損傷したり高分子内の結合が切れるなど固体電解質の構造が崩壊したり、それによってイオン伝導度が減少する問題点があった。しかも、液体電解質中のイオン移動性などが低下する低温では、このようなイオン伝導度がさらに低くなるという短所が存在していた。
そして、固体電解質に極性溶媒または液体電解質を直接注入する場合、前記固体電解質中に液相分子が急激に拡散することによって、高分子鎖の緩和現象が急速に起こり、表面でゲル化(gelation)が促進され、それによる機械的物性の低下現象が現れることがある。また、液体電解質または極性溶媒の漏液などの問題が発生して、電池の安全性などが低下することがある。
そこで、本発明者は、架橋結合性官能基で改質されたPEO(polyethylene oxide)系ポリマーを架橋結合した高分子およびセラミック化合物を含む電解質に、極性溶媒に由来する極性化合物を蒸気蒸着する方法を適用した。このように製造された一実施形態の電解質は、架橋結合性官能基を含むPEO系ポリマーを含む高分子;セラミック化合物および極性化合物を含み、前記架橋結合性官能基の少なくとも一部は、互いに架橋結合を形成して前記高分子が三次元ネットワーク構造を形成しており、前記極性化合物は、前記三次元ネットワーク構造内に含まれたり、前記高分子鎖上に結合した構造を示すことができる。
このような電解質は、微量の極性溶媒に由来する極性化合物を含みながらも、向上したイオン伝導度を示すことが確認された。このような電解質において、前記極性化合物は、前記蒸気蒸着および微量の含有量により、多量液状注入された極性溶媒とは異なる状態を示すことができる。例えば、前記極性化合物は、電解質中で少なくとも一部が気体状態で存在することができ、電池の駆動中に局所的または一時的に液体または気液の共存状態などに転換可能である。また、前記極性化合物は、前記架橋結合によって定義された三次元ネットワーク構造内に均一に分散したり、三次元ネットワーク間の高分子鎖上に結合または付着することができる。
このような極性化合物の異なる状態は、PEO系ポリマーの結晶性などの物性に影響を与えて高分子鎖の移動度(chain mobility)を増加させ、それによって電解質に含まれているリチウムイオン伝導度を向上させることができると予測される。一歩進んで、前記電解質は、前記三次元ネットワーク構造内に均一に分散したセラミック化合物によってさらに優れたイオン伝導度を示すことができる。
また、前記電解質は、微量の極性化合物の含有量および液状注入された極性溶媒との異なる状態によって、温度の変化にもかかわらず、内部エネルギーおよびリチウムイオンの移動度において大きな偏差を示さない。このため、前記一実施形態の電解質は、下記の式1で定義される温度別の活性化エネルギー偏差(△Ea)が0.03eV以下、あるいは0.005~0.025eVである特性を示すことができる:
[式1]
ΔEa=Ea
LT-Ea
HT
上記式1中、Ea
LTは、-40℃~10℃での電解質の活性化エネルギーであり、Ea
HTは、10℃~80℃での電解質の活性化エネルギーであり、ΔEaは、前記2つの活性化エネルギーの差で定義される温度別の活性化エネルギー偏差を示す。
この時、前記活性化エネルギー偏差は、絶対温度別に測定された電解質のイオン伝導度から算出できる。より具体的には、温度別のイオン伝導度(σi)の測定結果に基づいて、log(σi)と、1000/T(Tは、当該イオン伝導度が測定された絶対温度との間の関係を下記の式3のアレニウス(Arrhenius)の式でfittingして、傾きに相当する活性化エネルギーEaを導出することができ、それから上記式1のEa
LT、Ea
HTおよびΔEaをそれぞれ算出することができる。
[式3]
上記式中、σi、0は、電解質の最大イオン伝導度を示し、σiは、絶対温度Tで測定された電解質のイオン伝導度を示し、Eaは、絶対温度Tでの電解質の活性化エネルギーを示し、Rは、気体定数を示す。
このような低い活性化エネルギー偏差から、上述した電解質およびこれを含む固体電池が、温度の変化にもかかわらず、大きな偏差なく優れたイオン伝導度および電気化学的特性を示すことを確認することができる。
このような特性は、後述する実施例からも確認されるように、極性化合物が蒸気蒸着された電解質でようやく達成されるものであって、前記極性化合物が含まれなかったり、極性溶媒(液状の極性化合物)が相当量注入された複合固体電解質では現れることはできない。このような既存の複合固体電解質では、温度別の活性化エネルギーの大きな偏差が確認され、これを含む固体電池が温度別に充放電特性の大きな偏差を有することが確認された。
一方、前記一実施形態の電解質において、前記極性化合物は、例えば、蒸気蒸着された気体状態で前記三次元ネットワーク構造を形成した高分子鎖の間に分散していたり、前記高分子鎖の表面または内部に吸着または結合した形態を有することができる。
このような電解質は、後述する蒸気蒸着によって小さい含有量で三次元ネットワーク構造上に含有または結合した極性化合物を含む。このような極性化合物は、液体状態で電解質に多量注入された極性溶媒とは異なる状態を有する。このような極性化合物の状態は、例えば、前記極性化合物の沸点より低い温度下で、前記極性化合物を含む電解質層を固体電池などから分離した後、肉眼または電子顕微鏡などで観察して確認することができる。このような観察下、前記電解質層の表面で液状の成分が観察されない場合、極性化合物が蒸気蒸着された一実施形態の電解質のような状態を有すると見られる。
これとは異なり、電解質に液体状態の極性溶媒または電解液が注入された場合、電解質層の表面で液状の成分または濡れ性を示す成分が観察できる。また、前記極性化合物が蒸気蒸着された一実施形態の電解質は、後述する実施例によっても確認されるように、液体状態の極性溶媒または電解液が注入された場合に比べて、極性化合物の低い含有量にもかかわらず、向上したイオン伝導度を示す。このようなイオン伝導度の比較などによっても、前記極性化合物が蒸気蒸着されて気体状態などで含まれる電解質が確認できる。
また、前記一実施形態の電解質において、前記極性化合物は、前記電解質の総重量を基準として、0.1重量%以上~10重量%未満で含まれてもよい。例えば、前記極性化合物の含有量は、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、あるいは3重量%以上であるか、4重量%以下、5重量%以下、6重量%以下、7重量%以下、8重量%以下、9重量%以下、10重量%未満であってもよい。
前記極性化合物の含有量が0.1重量%未満の場合、高分子内部の鎖の形態(chain conformation)変化を誘発しにくくて、極性化合物の蒸気蒸着にもかかわらず、前記電解質のイオン伝導度が十分に向上しにくい。逆に、前記極性化合物の含有量が10重量%以上の場合、電解質中で液状注入された極性溶媒と同一の状態を示し、蒸気蒸着による効果を収めにくくなる。このため、実質的に電解質中に常に液体状態でのみ存在する極性溶媒または電解液の含有量が多くて半固体電池の性質を帯び、高分子のゲル化によって電解質の機械的強度が低下することがあり、電解質のイオン伝導度も十分でなくなる。
前記極性化合物の含有量は、前記電解質を加熱しながら蒸発される極性化合物の含有量を測定して算出できる。具体的には、前記極性化合物の沸点および温度別の蒸気圧を考慮して、前記極性化合物が蒸発し始める温度、例えば、40℃以上、あるいは50℃以上の温度で、沸点あるいは沸点+10℃の温度まで昇温下で加熱しながら、前記温度範囲内で蒸発される極性化合物を液相収集し、このような液相の重量を測定する方法で算出することができる。前記算出は、前記昇温下の加熱時間が経過するにつれ、測定量が飽和状態に達した時(例えば、測定量がそれ以上増加しない時)、これを電解質中に含まれている極性化合物の総量と見なし、中止することができる。
また、前記電解質に含まれる極性化合物の含有量は、後述する蒸気蒸着段階で、極性化合物の使用量および/または蒸気蒸着の進行時間や温度などの進行条件などにより調節可能であり、これは後述する実施例によっても自明である。
一方、前記一実施形態の電解質において、前記架橋結合性官能基は、前記PEO系ポリマーの主鎖などに直接結合してもよいが、アルキレンまたはアルキレンオキシドリンカーを介して結合可能である。このため、前記架橋結合性官能基は、炭素数0~10のアルキレンリンカーまたはアルキレンオキシドリンカー(ただし、炭素数0のアルキレンリンカーは単結合を示す)を介して結合可能であり、ヒドロキシ基(hydroxyl group)、カルボキシル基(carboxyl group)、イソシアネート基(isocyanate group)、ニトロ基(nitro group)、シアノ基(cyano group)、アミン基(amine group)、アミド基(amide group)、エポキシ基(epoxy group)およびアリル基(allyl group)からなる群より選択される1種以上になってもよい。
発明の一実施例において、前記架橋結合性官能基は、2種以上であってもよい。前記架橋結合性官能基は、互いに同一または異なっていてもよい。前記架橋結合性官能基が異なる場合、これらの官能基をそれぞれ含む複数種の繰り返し単位が含まれてもよい。また、複数種の架橋結合性官能基が含まれている場合、高分子鎖の移動度およびイオン伝導度の制御もより容易になり得る。
前記架橋結合性官能基は、架橋剤を介して互いに架橋結合を形成可能な官能基(functional group)を意味するもので、高分子鎖に側鎖(side chain)形態で結合可能である。
より具体的な一実施例において、前記架橋結合性官能基を含むPEO系ポリマーは、下記の化学式1~3の繰り返し単位を含む共重合体になってもよい:
[化学式1]
[化学式2]
[化学式3]
前記化学式1~3中、R1は、-CH2-O-(CH2-CH2-O)k-R3を示し、kは、0~20であり、R3は、炭素数1~5のアルキル基を示し、
R2は、ヒドロキシ基(hydroxyl group)、カルボキシル基(carboxyl group)、イソシアネート基(isocyanate group)、ニトロ基(nitro group)、シアノ基(cyano group)、アミン基(amine group)、アミド基(amide group)、エポキシ基(epoxy group)およびアリル基(allyl group)からなる群より選択された1種以上の架橋結合性官能基が、炭素数0~10のアルキレンリンカーまたはアルキレンオキシドリンカー(ただし、炭素数0のアルキレンリンカーは単結合を示す)を介して高分子鎖に結合した置換基を示し、
l、mおよびnは繰り返し単位の繰り返し数で、lおよびnは、それぞれ独立して1~100000、あるいは50~80000、あるいは100~50000の整数であり、mは、0~100000、あるいは50~80000、あるいは100~50000の整数である。
例えば、前記R2の架橋結合性官能基は、前記架橋結合によって形成された三次元ネットワーク構造のマトリックス高分子を形成することができる。前記架橋結合による三次元ネットワーク構造が形成されることによって、前記電解質の機械的物性が向上可能であり、このような三次元ネットワーク構造内に前記極性化合物が含有または結合してイオン伝導度がより向上した一実施形態の電解質が提供できる。
また、前記PEO系ポリマーは、前記R2が互いに異なる架橋結合性官能基になる2種以上の化学式3の繰り返し単位を含んでもよく、化学式2の繰り返し単位も1種以上含まれてもよいことは自明である。
前記l、mおよびnがそれぞれ過度に小さい場合、高分子を形成するには分子量が小さくて困難があり、前記l、mおよびnがそれぞれ過度に大きい場合、粘土増加によって高分子溶液の製造時に溶解度が減少し、電解質製造のための成形が難しくなりかねない。特に、l、mおよびnのうち架橋結合性官能基が含まれている繰り返し単位の繰り返し数が過度に大きい場合、架橋度が過度に増加して高分子鎖の移動度が低下してイオン伝導度が減少することがある。
本明細書において、「ヒドロキシ基」は、-OH基を指す。
本明細書において、「カルボキシル基」は、-COOH基を指す。
本明細書において、「イソシアネート基」は、-N=C=O基を指す。
本明細書において、「ニトロ基」は、-NO2基を指す。
本明細書において、「シアノ基」は、-CN基を指す。
本明細書において、「アミド基」は、-C(=O)NR’R”を指し、ここで、R’およびR”は、それぞれ独立して水素またはC1~C5のアルキル基であり得るか、R’およびR”は、これらが付着したN原子と共に環構造内でC4~C8の原子を有するヘテロ環を形成することができる。
本明細書において、「アミン基」は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群より選択可能であり、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらのみに限定されるものではない。また、「アミノ基」は、-NH2を指す。
本明細書において、「アリル基」は、-CH2-CH=CH2基を指す。
前記化学式1~3を含むポリマーの重量平均分子量(Mw)は、100,000g/mol~4,000,000g/molであってもよいし、具体的には、100,000g/mol以上、200,000g/mol以上または300,000g/mol以上であってもよく、3,000,000g/mol以下、または2,000,000g/mol以下であってもよい。前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)が過度に小さければ、製造される電解質の機械的物性を満たさないことがある。前記ポリマーの重量平均分子量(Mw)が過度に大きければ、粘土増加によって高分子溶液の製造時に溶解度が減少し、電解質製造のための成形が難しくなりかねない。また、前記電解質内部の結晶性増加および鎖移動度の減少によって電解質のイオン伝導度が減少することがある。
特に、l、mおよびnのうち架橋結合性官能基が含まれている化学式3の繰り返し単位の繰り返し数が過度に大きい場合、架橋度が過度に増加して高分子鎖の移動度が低下して電解質のイオン伝導度が減少することがある。
また、前記ポリマーは、ランダムポリマー(random copolymer)またはブロックポリマー(block copolymer)であってもよい。
一方、発明の具体的な一実施例において、前記極性化合物は、蒸気蒸着によって、例えば、実質的気体状態(局所的、一時的液体状態を含む)で前記高分子鎖の表面または内部に含有または結合したものであってもよい。具体的には、前記極性化合物は、前記架橋性PEO系ポリマーの架橋結合によって三次元ネットワーク構造を形成した高分子鎖の間に拡散または分散していたり、前記高分子鎖の表面または内部に吸着または結合できる。
前記極性化合物は、蒸気蒸着工程で使用された極性溶媒の気体分子であって、蒸気蒸着時に前記極性溶媒の気体分子が高分子に吸着した後、高分子の鎖の内部に拡散して、前記高分子鎖に結合したり、または高分子鎖の間の内部空間に分散または拡散した形態で含まれてもよい。前記極性化合物が高分子鎖に結合したり、または高分子鎖の間の内部空間に分散した形態で含まれることによって、その低い含有量にもかかわらず、最終製造された電解質のイオン伝導度を向上させることができ、上記式1の特性を満たして温度別に均一な電気化学的特性を示すことができる。
具体的には、前記高分子鎖に結合したり、高分子鎖の間に含まれている極性化合物は可塑剤の役割を果たして、前記高分子を可塑化(plasticization)させることができる。前記可塑化された高分子は、内部に無定形領域(amorphous region)が増加して、高分子鎖の移動度が向上できる。前記高分子鎖の移動度が向上することによって、前記高分子の内部でイオンホッピング(ion hopping)効果が増大して、電解質のイオン伝導度が向上できる。
また、前記極性化合物は、イオンホッピングにより円滑なイオン伝達のための中間体(intermediate)の役割を果たすことができる。リチウムイオンと極性化合物との間の親和度(affinity)は、リチウムイオンとPEO系ポリマーのエーテル酸素(ether oxygen)との間の親和度より強いので、前記極性化合物が吸着した高分子の内部でリチウムイオンの伝達がより迅速かつ容易であり得る。つまり、前記高分子の内部に極性化合物が流入するにつれ、リチウムイオンの陽イオン溶媒和(cation solvation)効果が増大するので、イオン移動度が向上し、それによって電解質のイオン伝導度が改善できる。
また、前記極性化合物は、カーボネート系化合物およびスルホニル系化合物からなる群より選択される1種以上を含むものであってもよい。
具体的には、前記極性化合物は、エチルメチルカーボネート(Ethyl Methyl Carbonate、EMC)、ジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(Diethyl Carbonate、DEC)、エチレンカーボネート(Ethylene Carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(Propylene Carbonate、PC)、ビニレンカーボネート(Vinylene Carbonate、VC)およびスルホラン(Sulfolane)からなる群より選択される1種以上を含むか、これらの組み合わせを含むことができる。
上述のように、前記極性化合物の含有量は、前記電解質の総重量を基準として、0.1重量%以上~10重量%未満を含むことができる。
発明の一実施例において、前記電解質は、架橋剤を上述した一定比率でさらに含み、前記架橋剤と架橋結合性官能基との間の架橋結合を含むことができる。例えば、前記架橋結合性官能基の少なくとも一部は、前記架橋剤を介して互いに架橋結合を形成して、上述した三次元ネットワーク構造を形成することができる。
この時、前記架橋剤と架橋結合性官能基との間の架橋結合が形成されてもよいし、前記架橋結合は、水素結合、ルイス酸-塩基の相互作用による結合、イオン結合、配位結合またはラジカル重合によって形成された結合であってもよい。
前記架橋剤は、前記架橋結合性官能基と架橋結合を形成可能な硬化性官能基を複数含む多官能性架橋剤であれば特に制限されるわけではない。例えば、前記架橋剤は、(メタ)アクリル系官能基、アルコキシ系官能基、ペルオキシド系官能基、ビニル系官能基、ヒドロキシ基、エポキシ系官能基およびアリル基からなる群より選択された硬化性官能基を複数有する多官能性化合物から1種以上選択できる。
より具体的な例において、前記架橋剤は、トリメチロールプロパントリメタクリレート(trimethylolpropane trimethacrylate)、ポリエチレングリコールジアクリレート(poly(ethylene glycol)diacrylate)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(poly(ethyleneglycol)dimethacrylate)、エチレングリコールジメチルアクリレート(ethylene glycol dimethylacrylate、以下、「EGDMA」)、1,3-ジイソプロペニルベンゼン(1,3-diisopropenylbenzene(DIP))、1,4-ジアクリロイルピペラジン(1,4-diacryloyl piperazine)、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート(2(diethylamino)ethyl methacrylate)、2,6-ビスアクリロイルアミドピリジン(2,6bisacryloylamidopyridine)、3-(アクリロキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(3-(acryloyloxy)-2-hydroxypropyl methacrylate)、3,5-ビス(アクリルアミド)安息香酸(3,5-bis(acryloylamido)benzoic acid)、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(3aminopropyltriethoxysilane)、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(3isocyanatopropyltriethoxysilane)、3-メチルアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(3methylacryloxypropyl trimethoxysilane)、ビス-(1-(tert-ブチルパーオキシ)-1-メチルエチル)-ベンゼン(bis-(1-(tert-butylperoxy)-1-methylethyl)-benzene)、ジクミルペルオキシド(dicumyl peroxide)、ジメタクリレート(dimethacrylate)、ジビニルベンゼン(Divinylbenzene)、エチレングリコールマレイックロジネートアクリレート(ethylene glycol maleic rosinate acrylate)、グリシジルメタクリレート(glycidilmethacrylate)、ヒドロキシキノリン(hydroxyquinoline)、イフェニルジエトキシシラン(iphenyldiethoxysilane)、マレイックロジングリコールアクリレート(maleic rosin glycol acrylate)、メチレンビスアクリルアミド(methylene bisacrylamide)、N,N’1,4-フェニレンジアクリルアミン(N,N’-1,4-phenylenediacrylamine)、N,O-ビスアクリロイルフェニルアラニノール(N,O-bisacryloyl-phenylalaninol)、N,O-ビスメタクリロイルエタノールアミン(N,O-bismethacryloyl ethanolamine)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(pentaerythritol triacrylate)、フェニルトリメトキシシラン(phenyltrimethoxy silane)、テトラメトキシシラン(tetramethoxysilane)、テトラメチレン(tetramethylene)、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane)、トリアリルイイソシアヌレート(triallyl isocyanurate)からなる群より選択される1種以上の多官能性架橋剤、例えば、2官能以上の化合物になってもよい。
また、前記架橋剤は、前記架橋結合性官能基を含むPEO系ポリマーの重量に対する重量比率が0.07~0.19、あるいは0.07~0.18、あるいは0.08~0.15、あるいは0.08~0.13となるように含まれてもよい。前記架橋剤の重量比率が過度に小さくなると、三次元ネットワーク構造の形成がうまく行われず蒸気蒸着が適用されにくく、その結果、電解質のイオン伝導度が大きく低下することがある。逆に、前記架橋剤の重量比率が過度に大きくなる場合、架橋結合および三次元ネットワーク構造が過度に形成されて、むしろ高分子鎖の移動度が減少することによって、イオン伝導度が低下することがある。
一方、発明の一実施例において、前記電解質は、リチウム塩をさらに含むことができる。前記リチウム塩は、前記高分子鎖の間の内部空間に解離したイオン状態で含まれて、電解質のイオン伝導度を向上させることができる。前記リチウム塩から解離した陽イオンおよび/または陰イオンの少なくとも一部は、前記高分子鎖に結合した状態で存在して、電池の充・放電時に移動性を示すことができる。
前記リチウム塩は、(CF3SO2)2NLi(Lithium bis(trifluoromethanesulphonyl)imide、LiTFSI)、(FSO2)2NLi(Lithium bis(fluorosulfonyl)imide、LiFSI)、LiNO3、LiOH、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiSCN、LiC(CF3SO2)3、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウムおよびテトラフェニルホウ酸リチウムからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
また、前記リチウム塩は、前記架橋結合性官能基を含むPEO系ポリマー100重量部に対して25~45重量部含まれてもよいし、具体的には、25重量部以上、30重量部以上または35重量部以上含まれるか、40重量部以下または45重量部以下含まれてもよい。前記リチウム塩の含有量が25重量部未満であれば、電解質のイオン伝導度が低下することがあり、45重量部超過であれば、機械的強度が低下することがある。
上述した電解質は、セラミック化合物を含むことができる。前記セラミック化合物は、リチウムイオンの伝導性を向上させるためのリチウムイオン伝達能力を有するものであって、好ましくは、リチウム原子を含有するものの、リチウムを貯蔵せずリチウムイオンを移動させる機能を有することができるもので、電解質のイオン伝導度を向上させることができる。
また、前記セラミック化合物は、架橋結合した高分子鎖の間、例えば、前記三次元ネットワーク構造内に均一に分散した状態で含まれてもよい。前記セラミック化合物は、架橋結合工程で共に添加されて、架橋結合によって形成される高分子鎖の間にかたまりなく均一に分散することができる。このようなセラミック化合物は、均一な分散形態によって電解質の機械的強度とイオン伝導度の向上に有利であり得る。
また、前記セラミック化合物は、粒子状であってもよい。粒子という形態的な特徴によって、電解質の内部でさらに均一に分散した状態で含まれてもよい。前記セラミック化合物の粒子は、球状であってもよいし、その直径は100nm~1000nmであってもよい。前記直径が100nm未満であれば、高分子の結晶性減少による非結晶化効果がわずかであり、1000nm超過であれば、粒子間の凝集(aggregation)増加によって分散性が低下して均一に分散しにくいことがある。
前記セラミック化合物は、酸化物系またはリン酸塩系化合物であってもよいし、例えば、リチウム金属酸化物またはリチウム金属リン酸化物形態の酸化物系固体電解質になってもよい。より具体的には、前記セラミック化合物は、ガーネット(Garnet)型リチウム-ランタン-ジルコニウム酸化物系(LLZO、Li7La3Zr2O12)化合物、ペロブスカイト(perovskite)型リチウム-ランタン-チタン酸化物系(LLTO、Li3xLa2/3-xTiO3)化合物、リン酸塩(phosphate)系のナシコン(NASICON)型リチウム-アルミニウム-チタンリン酸塩系(LATP、Li1+xAlxTi2-x(PO4)3)化合物、リチウム-アルミニウム-ゲルマニウムリン酸塩系(LAGP、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3)系化合物、リチウム-シリコン-チタンリン酸塩系(LSTP、LiSiO2TiO2(PO4)3)化合物およびリチウム-ランタン-ジルコニウム-チタン酸化物系(LLZTO)化合物からなる群より1種以上選択可能であり、さらに好ましくは、リチウム-ランタン-ジルコニウム酸化物(LLZO)、リチウム-シリコン-チタンリン酸塩(LSTP)、リチウム-ランタン-チタン酸化物(LLTO)、リチウム-アルミニウム-チタンリン酸塩(LATP)、リチウム-アルミニウム-ゲルマニウムリン酸塩(LAGP)およびリチウム-ランタン-ジルコニウム-チタン酸化物(LLZTO)からなる群より選択される1種以上の酸化物系固体電解質を使用することができる。
前記酸化物系またはリン酸塩系酸化物系固体電解質は、一般に、常温で最大10-4~10-3S/cmのイオン伝導度値を有し、高電圧領域で安定し、空気中で安定して合成および取扱が容易という長所がある。
したがって、上述した電解質が前記セラミック化合物を混合して電解質をさらに含み、高分子系固体電解質が有する短所を補完することができる。
また、前記セラミック化合物は、400℃以上の高温条件下でも簡単に燃焼したり発火現象を起こさないので、高温安定性が高い。したがって、前記電解質が前記セラミック化合物を含む場合、電解質の機械的強度はもちろん、高温安定性およびイオン伝導度を向上させることができる。
前記セラミック化合物は、前記架橋結合性官能基を含むPEO系ポリマー100重量部に対して10重量部~100重量部、あるいは10重量部~60重量部含まれてもよい。
前記セラミック化合物が過度に小さい含有量で含まれると、セラミック化合物による高分子結晶性の低下および無定形(amorphous)化効果が減少して電解質のイオン伝導度の増加効果が大きくなく、機械的物性も複合体(composite)の形成により期待する水準に及ばないことがある。
前記セラミック化合物が過度に大きい含有量で含まれると、前記セラミック化合物が前記高分子内に均一に分散せず、セラミック化合物粒子が互いにかたまって凝集する現象が発生し、結果的にイオン伝導度が低下した電解質が製造できる。
一方、上述した電解質は、優れたイオン伝導度を示すことができる。例えば、このような電解質は、例えば、約25℃の常温下で測定されたイオン伝導度が0.6mS/cm以上、あるいは0.95mS/cm以上、あるいは1.0mS/cm以上、あるいは1.0mS/cm~3.0mS/cmの優れたイオン伝導度を示すことができる。
このようなイオン伝導度は、一定の温度で電気化学インピーダンススペクトロメーターで測定した電解質の抵抗(Ω)から、下記の式2により算出できる:
[式2]
上記式2中、σiは、電解質のイオン伝導度(S/cm)であり、Rは、前記電気化学インピーダンススペクトロメーターで測定した電解質の抵抗(Ω)であり、Lは、電解質の厚さ(μm)であり、Aは、電解質の面積(cm2)を意味する。
電解質の製造方法
上述した電解質の製造方法は、架橋結合性官能基を含むPEO系ポリマーと、セラミック化合物とを混合した後、前記混合物に含まれている前記PEO系ポリマーに対して一定比率の架橋剤の存在下で架橋反応を進行させる段階と、前記架橋された結果物に極性溶媒を蒸気蒸着させる段階と、を含むことができる。
前記架橋結合性官能基を含むPEO系ポリマーに関する説明は、上述した通りである。
以下、各段階別により詳しく説明する。
まず、架橋結合性官能基を含むPEO(polyethylene oxide)系ポリマーと、セラミック化合物とを混合した後、このような混合物に含まれている前記PEO系ポリマーに対して一定比率の架橋剤の存在下で架橋反応を進行させて、上述した三次元ネットワーク構造を形成した高分子を製造することができる。
このような架橋反応は、上述した一定比率の架橋剤および開始剤の存在下で進行させることができる。
また、電解質形成のために、前記混合段階および/または架橋反応段階でリチウム塩を共に添加してもよい。
尚、前記セラミック化合物は、先に説明した電解質で用いたものと同一のものを使用することができ、含有量も同一に使用することができる。
前記架橋反応は、前記PEO系ポリマーおよびセラミック化合物などを含む溶液を基材上に塗布して塗布膜を形成した後、乾燥する過程で形成されてもよい。
具体的には、前記混合溶液は、前記PEO系ポリマーおよびセラミック化合物を溶媒に混合して製造可能であり、追加的に、架橋剤、開始剤および/またはリチウム塩を共に混合して製造可能である。また、前記PEO系ポリマーと架橋剤、開始剤および/またはリチウム塩を含む溶液を先に製造した後、セラミック化合物を追加した混合溶液またはサスペンション(suspension)が製造されてもよい。
前記溶媒は、前記PEO系ポリマー、架橋剤、開始剤および/またはリチウム塩を混合させることができ、乾燥工程により容易に除去できる溶媒であれば特に制限されるものではない。例えば、前記溶媒は、アセトニトリル(acetonitrile)、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、水(water)、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO、Dimethyl sulfoxide)、メチルピロリドン(NMP、N-Methyl-2-Pyrrolidone)またはジメチルホルムアミド(DMF、N,N-Dimethyl formamide)などであってもよい。このような溶媒は、架橋結合形成のための反応媒質としての溶媒であって、液体電解質などに含まれる極性溶媒などとは区分され、架橋結合後、乾燥などによって完全に除去されるものである。
前記混合溶液の濃度は、電解質製造のための成形工程が円滑に進行できる程度を勘案して適切に調節可能である。具体的には、前記高分子溶液の濃度とは、前記高分子溶液中の高分子の濃度(w/w%)を意味するものであってもよい。前記高分子の濃度とは、PEO系ポリマーの濃度であってもよい。例えば、前記高分子溶液の濃度は、5重量%~20重量%であってもよいし、具体的には、5重量%以上、7重量%以上または9重量%以上であってもよく、13重量%以下、17重量%以下または20重量%以下であってもよい。前記高分子溶液の濃度が5重量%未満であれば、濃度が過度に薄くて電解質の機械的強度が低下したり、基材上に塗布時に流れ落ちることがあり、20重量%超過であれば、高分子溶液中に所望の濃度にリチウム塩を溶解させにくく、粘度が高くて溶解度が減少したり、均一な薄膜形態に塗布しにくいことがある。
前記基材は、前記塗布膜に対する支持体の役割を果たすものであれば特に制限されるわけではない。例えば、前記基材は、SUS(Stainless Use Steel)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルムまたはポリイミドフィルムであってもよい。
また、前記塗布方法も、前記高分子溶液を前記基材上に塗布して塗布膜を形成できる方法であれば特に制限されるわけではない。例えば、前記塗布方法は、バーコーティング(bar coating)、ロールコーティング(roll coating)、スピンコーティング(spin coating)、スリットコーティング(slit coating)、ダイコーティング(die coating)、ブレードコーティング(blade coating)、コンマコーティング(comma coating)、スロットダイコーティング(slot die coating)、リップコーティング(lip coating)、スプレーコーティング(spray coating)またはソリューションキャスティング(solution casting)であってもよい。
このような塗布方法により基材上に形成された塗布膜は、乾燥工程により残留溶媒が完全に除去されたフィルム形態の高分子に成形できる。前記乾燥は、溶媒の急激な蒸発による高分子の収縮を防止するために、一次乾燥工程および二次乾燥工程に分けて実施できる。前記一次乾燥工程は、常温乾燥により溶媒の一部を除去することができ、前記二次乾燥工程は、真空高温乾燥により溶媒を完全に除去することができる。前記高温乾燥は、80℃~130℃の温度で実施可能であり、高温乾燥温度が80℃未満であれば、残留溶媒が完全に除去できず、130℃超過であれば、高分子が収縮して均一な電解質膜を成形しにくいことがある。
また、前記架橋剤は、前記架橋結合性官能基と結合を形成するものであってもよい。前記架橋剤の種類、架橋剤の含有量(重量比率)および前記架橋結合性官能基との結合の種類に関する説明は、上述した通りである。
尚、前記開始剤は、前記架橋結合性官能基間のラジカル重合反応を誘導して、前記架橋結合性官能基間の架橋結合が形成されるようにすることができる。前記ラジカル重合反応を可能にする官能基は、末端部にビニルが含まれている官能基であってもよいし、例えば、アリル基であってもよい。
前記開始剤は、前記架橋結合性官能基間のラジカル重合反応を誘導できる開始剤であれば特に制限されるわけではない。例えば、前記開始剤は、ベンゾイルペルオキシド(benzoyl peroxide)、アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitrile)、ラウロイルペルオキシド(lauroyl peroxide)、クメンヒドロペルオキシド(cumene hydroperoxide)、ジイソプロピルフェニルヒドロペルオキシド(diisopropylphenyl-hydroperoxid)、3級ブチルヒドロペルオキシド(tert-butyl hydroperoxide)、パラメタンヒドロペルオキシド(p-メチルヒドロペルオキシド)および2,2’アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(2,2’-azobis(2-methylpropionitrile))からなる群より選択された1種以上を含むものであってもよい。
前記開始剤は、前記架橋結合性官能基を含むPEO系ポリマー100重量部に対して0.5~2重量部使用可能であり、前記範囲で使用される場合、架橋結合性官能基間のラジカル重合反応を誘導して架橋結合を効率的に形成することを可能にする。
また、前記リチウム塩の含有量および種類に関する説明は、上述した通りである。
前記蒸気蒸着段階では、前記架橋された結果物を蒸気化された極性化合物(極性溶媒)に露出させてこれを蒸気蒸着することができる。
具体的には、前記蒸気蒸着は、前記極性溶媒を常温以上の温度で加熱して得られた極性化合物の蒸気を前記架橋された結果物に接触させ、内部に浸透させて実施できる。このような蒸気蒸着により、前記高分子の表面および/または内部に、例えば、気体状態の極性化合物が均一に拡散して、極性化合物気体分子が前記高分子鎖に結合したり、高分子鎖の内部空間に均一に分散または拡散した形態で含まれてもよい。
前記蒸気蒸着時、極性溶媒を常温で置く場合、沸点が低い微量の極性溶媒を常温で徐々に気化しながら高分子の内部に浸透させて、前記高分子内に架橋結合した高分子鎖の形態(conformation)変化を効果的に誘導することができる。
また、前記蒸気蒸着時、極性溶媒を加熱する場合、蒸気蒸着速度を向上させることができる。この時、加熱温度は、極性溶媒が蒸気に相変化できる温度であれば特に制限されるわけではなく、例えば、30℃~80℃であってもよい。一般的なPEOは60℃でメルトされるが、前記架橋結合性官能基で改質されたPEO系コポリマーは、架橋構造を形成する場合、耐熱性が向上して80℃まで耐えられるので、蒸気蒸着速度をさらに迅速にできる。尚、前記加熱方法は、蒸気を発生させるエネルギーを供給できる方法であればいずれも制限がない。例えば、バーナまたは風炉などでの直接加熱方法、ヒータまたはスチーム管などでの間接加熱方法などを使用することができるが、これらの例に限定されるものではない。
前記加熱時、温度が過度に高い高温で加熱する場合、極性溶媒の沸点以上で溶媒が沸いたり、溶媒の構造変化が現れることがあり、または高分子の変形が誘発されることがあり、蒸気蒸着時に極性溶媒の蒸発速度を制御しにくいという短所があるので、微量の極性溶媒で蒸気蒸着させるためには、前記定められたような適正範囲の加熱温度で蒸気蒸着を実施することが好ましい。
一方、上述した蒸気蒸着の温度、昇温速度、蒸気蒸着時に蒸発に使用される極性溶媒(極性化合物)の使用量および蒸気蒸着の進行時間および速度などを調節して、最終製造される電解質中の極性化合物の含有量を調節することができ、これは下記の実施例などにより明確である。
固体電池
発明の追加的な実施形態はまた、前記電解質を含む固体電池に関するものであり、前記固体電池は、負極と、正極と、前記負極と正極との間に介在する電解質とを含み、前記電解質は、前述した一実施形態によるものである。
具体的には、前記電解質は、架橋結合性官能基を含むPEO(polyethylene oxide)系ポリマーが架橋剤を介して架橋結合した高分子および極性化合物を含み、セラミック化合物が均一に分散してイオン伝導度が向上するので、固体電池の電解質として適することができる。
一方、前記固体電池に含まれている正極は、正極活物質層を含み、前記正極活物質層は、正極集電体の一面に形成されるものであってもよい。
前記正極活物質層は、正極活物質、バインダーおよび導電材を含む。
また、前記正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能な物質であれば特に限定されず、例えば、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、Li[NixCoyMnzMv]O2(上記式中、Mは、Al、GaおよびInからなる群より選択されるいずれか1種またはこれらの2種以上の元素であり;0.3≦x<1.0、0≦y、z≦0.5、0≦v≦0.1、x+y+z+v=1である)、Li(LiaMb-a-b’M’b’)O2-cAc(上記式中、0≦a≦0.2、0.6≦b≦1、0≦b’≦0.2、0≦c≦0.2であり;Mは、Mnと、Ni、Co、Fe、Cr、V、Cu、ZnおよびTiからなる群より選択される1種以上を含み;M’は、Al、MgおよびBからなる群より選択される1種以上であり、Aは、P、F、SおよびNからなる群より選択される1種以上である。)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li1+yMn2-yO4(ここで、yは0~0.33である)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiFe3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-yMyO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、y=0.01~0.3である)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-yMyO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、y=0.01~0.1である)またはLi2Mn3MO8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、前記正極活物質は、前記正極活物質層の全重量を基準として40~80重量%含まれてもよい。具体的には、前記正極活物質の含有量は、40重量%以上または50重量%以上であってもよく、70重量%以下または80重量%以下であってもよい。前記正極活物質の含有量が40重量%未満であれば、正極活物質間の連結性および電気的特性が不足することがあり、80重量%超過であれば、物質伝達抵抗が大きくなりうる。
また、前記バインダーは、正極活物質と導電材などの結合および集電体に対する結合に助力する成分であって、スチレン-ブタジエンゴム、アクリル化スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシド、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ラテックス、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリカルボキシレート、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、リチウムポリアクリレート、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリビニリデンフルオライドおよびポリ(ビニリデンフルオライド)-ヘキサフルオロプロペンからなる群より選択される1種以上を含むことができる。好ましくは、前記バインダーは、スチレン-ブタジエンゴム、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、リチウムポリアクリレートおよびポリビニリデンフルオライドからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
また、前記バインダーは、前記正極活物質層の全重量を基準として1重量%~30重量%含まれてもよく、具体的には、前記バインダーの含有量は、1重量%以上または3重量%以上であってもよく、15重量%以下または30重量%以下であってもよい。前記バインダーの含有量が1重量%未満であれば、正極活物質と正極集電体との接着力が低下することがあり、30重量%超過であれば、接着力は向上するものの、その分正極活物質の含有量が減少して電池容量が小さくなりうる。
また、前記導電材は、固体電池の内部環境で副反応を防止し、当該電池に化学的変化を誘発することなく優れた電気伝導性を有するものであれば特に制限されず、代表的には、黒鉛または導電性炭素を使用することができ、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;結晶構造がグラフェンやグラファイトである炭素系物質;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム粉末、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性酸化物;およびポリフェニレン誘導体などの導電性高分子;を単独でまたは2種以上混合して使用可能であるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
前記導電材は、通常、前記正極活物質層の全重量を基準として0.5重量%~30重量%含まれてもよいし、具体的には、前記導電材の含有量は、0.5重量%以上または1重量%以上であってもよく、20重量%以下または30重量%以下であってもよい。前記導電材の含有量が0.5重量%未満と過度に少なければ、電気伝導性の向上効果を期待しにくかったり、電池の電気化学的特性が低下することがあり、30重量%超過と過度に多ければ、相対的に正極活物質の量が少なくなって容量およびエネルギー密度が低下することがある。正極に導電材を含ませる方法は大きく制限されず、正極活物質へのコーティングなど当分野で公知の通常の方法を使用することができる。
また、前記正極集電体は、前記正極活物質層を支持し、外部導線と正極活物質層との間で電子を伝達する役割を果たすものである。
前記正極集電体は、固体電池に化学的変化を誘発することなく高い電子伝導性を有するものであれば特に制限されるわけではない。例えば、前記正極集電体として、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、パラジウム、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用できる。
前記正極集電体は、正極活物質層との結合力を強化させるために、正極集電体の表面に微細な凹凸構造を有するか、三次元多孔性構造を採用することができる。これによって、前記正極集電体は、フィルム、シート、箔、メッシュ、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態を含むことができる。
このような正極は、通常の方法により製造可能であり、具体的には、正極活物質と導電材およびバインダーとを有機溶媒上で混合して製造した正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に塗布および乾燥し、選択的に、電極密度の向上のために集電体に圧縮成形して製造することができる。この時、前記有機溶媒としては、正極活物質、バインダーおよび導電材を均一に分散させることができ、容易に蒸発されるものを使用することが好ましい。具体的には、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水、イソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO、Dimethyl sulfoxide)、メチルピロリドン(NMP、N-Methyl-2-Pyrrolidone)などが挙げられる。
一方、前記固体電池に含まれている前記負極は、負極活物質層を含み、前記負極活物質層は、負極集電体の一面に形成されたものであってもよい。
前記負極活物質は、リチウム(Li+)を可逆的に挿入(intercalation)または脱離(deintercalation)可能な物質、リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成可能な物質、リチウム金属またはリチウム合金を含むことができる。
前記リチウムイオン(Li+)を可逆的に挿入または脱離可能な物質は、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらの混合物であってもよい。前記リチウムイオン(Li+)と反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成可能な物質は、例えば、酸化スズ、チタンニトレートまたはシリコンであってもよい。前記リチウム合金は、例えば、リチウム(Li)と、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、アルミニウム(Al)およびスズ(Sn)からなる群より選択される金属との合金であってもよい。
好ましくは、前記負極活物質は、リチウム金属であってもよいし、具体的には、リチウム金属薄膜またはリチウム金属粉末の形態であってもよい。
前記負極活物質は、前記負極活物質層の全重量を基準として40~80重量%含まれてもよい。具体的には、前記負極活物質の含有量は、40重量%以上または50重量%以上であってもよく、70重量%以下または80重量%以下であってもよい。前記負極活物質の含有量が40重量%未満であれば、電気的特性が十分でないことがあり、80重量%超過であれば、物質伝達抵抗が大きくなりうる。
また、前記バインダーは、前記正極活物質層で上述した通りである。
尚、前記導電材は、前記正極活物質層で上述した通りである。
また、前記負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、前記負極集電体は、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用できる。尚、前記負極集電体は、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸が形成されたフィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が使用可能である。
前記負極の製造方法は特に制限されず、負極集電体上に当業界で通常使用される層または膜の形成方法を利用して負極活物質層を形成して製造することができる。例えば、圧着、コーティング、蒸着などの方法を利用することができる。また、前記負極集電体にリチウム薄膜がない状態で電池を組立てた後、初期充填によって金属板上に金属リチウム薄膜が形成される場合も、本発明の負極に含まれる。
一方、発明の追加的な実施形態によれば、前記固体電池を単位電池として含む電池モジュール、前記電池モジュールを含む電池パック、および前記電池パックを電源として含むデバイスを提供する。
この時、前記デバイスの具体例としては、電池的モータによって動力を受けて動くパワーツール(power tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車(Hybrid Electric Vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)などを含む電気車;電気自転車(E-bike)、電気スクーター(E-scooter)を含む電気二輪車;電気ゴルフカート(electric golf cart);電力貯蔵用システムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下、発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は発明をより容易に理解するために提供されるに過ぎず、発明がこれに限定されるものではない。
実施例
実施例1:電解質および固体電池の製造
第1段階)コポリマーを含む高分子の製造
下記の化学式1aのポリエチレンオキシド(PEO)系コポリマーを製造した:
[化学式1a]
前記化学式1a中、R1は、-CH2-O-(CH2-CH2-O)k-CH3であり、R2は、-CH2-O-CH2-CH=CH2であり、kは、2であり、l:m:nの比率は、85:13:2であり、前記コポリマーの重量平均分子量(Mw)は、約2,000,000g/molであった。
前記化学式1aのコポリマーは、架橋結合性官能基としてメチレンオキシドリンカーを介して結合したアリル基(allyl group)を有するものである。
前記ポリエチレンオキシドコポリマーにアセトニトリルを溶媒として、架橋剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレートを、開始剤としてベンゾイルペルオキシドを、リチウム塩としてLiTFSIを、セラミック化合物としてLSTPを混合して、高分子とセラミック化合物との混合溶液を製造した後、これを24時間マグネチックバーを用いて撹拌した。この時、前記ポリエチレンオキシドコポリマーとセラミック化合物との混合溶液の組成は、ポリエチレンオキシドコポリマー100重量部に対して、架橋剤であるトリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、開始剤であるベンゾイルペルオキシド1重量部、リチウム塩であるLiTFSI36重量部およびセラミック化合物であるLSTP40重量部を混合し、前記混合溶液に含まれている高分子であるポリエチレンオキシドコポリマーの濃度が11.1重量%となるようにし、前記高分子であるポリエチレンオキシドコポリマーとセラミック化合物の濃度は14.9重量%となるようにアセトニトリル溶媒を用いた。
前記製造された混合溶液をコインセルの下部基板に溶液キャスティングした後、常温で12時間一次乾燥した後、100℃で12時間真空オーブンで二次乾燥して、200μmの厚さの電解質フィルムを製造した。
第2段階)電解質の製造
前記高分子をチャンバの上板に付着させ、チャンバの下部にエチルメチルカーボネート(EMC)溶媒を50μl満たした後、常温で72時間自然蒸発させて、チャンバの上部に付着した高分子の内部にEMC蒸気を流入させて高分子に蒸着させて、電解質を製造した。
第3段階)固体電池(電極組立体)の製造
NCMA(LiNi0.85Co0.05Mn0.08Al0.02O2)正極活物質粒子(粒径:5-10μm、LG CHEM、Republic of Korea)、superconductive carbon(C-65)導電材、第1段階で用いた化学式1aの架橋型PEOコポリマー、LiTFSIを77.6:3:14.2:5.2の重量比でアセトニトリルを溶媒として投入し、paste mixerを用いて1500rpm/3分の条件を常温で5回繰り返して撹拌した。前記製造された混合溶液をアルミニウム箔に溶液キャスティングした後、常温で6時間一次乾燥した後、100℃で12時間二次乾燥して、60μmの厚さの正極フィルムを製造した。前記正極フィルムを6.712mg/cm2のmass loadingで打抜き後、前記製造した複合固体電解質を電解質フィルムとし、リチウムメタル箔(300μm)を負極として、サンドイッチタイプで積層後、コインセルを作製した。
実施例2:電解質および固体電池の製造
前記実施例1の第2)段階で、前記高分子をチャンバの上板に付着させ、チャンバの下部にエチルメチルカーボネート(EMC)溶媒を300μl満たした後、常温で72時間自然蒸発させ、チャンバの上部に付着した高分子の内部にEMC蒸気を流入させて高分子に蒸着させて、電解質を製造した。
残りの過程は実施例1と同様に進行させて、電解質および固体電池を製造した。
比較例:
比較例1:電解質および固体電池の製造
前記実施例1の第2)段階であるEMC溶媒を蒸気蒸着させる段階を行わないことを除き、前記実施例1で製造されたのと同様の方法で電解質および固体電池を製造した。
比較例2:電解質および電池の製造(多量の極性溶媒を含む)
実施例1の第2)段階で、前記EMC溶媒を蒸気蒸着せず液状溶媒を直接注入することを除き、前記実施例1と同様の方法で電解質を製造した。製造された電解質の総重量に対するEMC溶媒の含有量が12重量%となるように直接注入した。
残りの過程は実施例1と同様に進行させて、電解質および電池を製造した。
実験例
実験例1:極性化合物の含有量の測定
極性化合物の含有量は、秤を用いて、固体電解質試験片を加熱しながら時間の経過により蒸発される液相の重量をモニタリングする方法で測定できる。例えば、加熱式電子秤(AND社のMS-70)を用いて、試験片を55℃の温度から昇温下で加熱しながら、時間の経過により蒸発される液相の重量をモニタリングして測定できる。時間の経過により蒸発される極性化合物の量が飽和状態に達した時、その時の飽和量を固体電解質の内部に含まれている極性化合物の総量と見なした。実施例および比較例で、極性化合物はエチルメチルカーボネート(EMC;沸点:約101℃)になり、前記極性化合物の含有量測定のための昇温下の加熱は約110℃まで進行した。
下記表1は、電解質に蒸気蒸着(または含有)されたEMCの含有量の測定結果を示したものである。
実験例2:電解質のイオン伝導度の測定
実施例および比較例で製造された電解質のイオン伝導度を測定するために、1.7671cm2の大きさのコインセルの下部基板に前記電解質を形成させた後、SUS(Steel Use Stainless)を不活性電極(blocking electrode)として用いて、イオン伝導度測定のためのコインセルを製造した。
電気化学インピーダンススペクトロメーター(electrochemical impedance spectrometer、EIS、VM3、Bio Logic Science Instrument)を用いて、25℃でamplitude10mVおよびスキャン範囲1Hzから0.1MHzまでの条件で抵抗を測定した後、下記の式2を用いて、前記電解質のイオン伝導度を計算した。
[式2]
上記式2中、σiは、電解質のイオン伝導度(S/cm)であり、Rは、前記電気化学インピーダンススペクトロメーターで測定した電解質の抵抗(Ω)であり、Lは、電解質の厚さ(μm)であり、Aは、電解質の面積(cm2)を意味する。前記電解質試料はL=200μm、A=1.7671cm2のものを使用した。
実験例3:電解質の温度別の活性化エネルギーの測定
電解質フィルムの温度別のイオン伝導度(σi)を実験例2と同様の方法で測定した。当該測定結果に基づいて、log(σi)と、1000/T(Tは当該イオン伝導度が測定された絶対温度との間の関係を下記の式3のアレニウス(Arrhenius)の式でfittingして、傾きに相当するEaを導出した。
[式3]
上記式中、σi、0は、電解質の最大イオン伝導度を示し、σiは、絶対温度Tで測定された電解質のイオン伝導度を示し、Eaは、絶対温度Tでの電解質の活性化エネルギーを示し、Rは、気体定数を示す。
実験例4:固体電池に対する充・放電試験
前記実施例および比較例で製造された固体電池のgalvanostatic cycling特性を評価するために、TOSCAT充放電試験器(TOYOシステム社製)を用いて、3.0V~4.25Vの電圧領域で前記固体電池の充放電試験を進行させた。実施例で製造された固体電池については、常温(25℃)で0.03Cの充放電速度で充放電試験を進行させた。4.25V cut-off電圧到達後、0.01C cut-off電流条件でCV(constant voltage)充電を追加的に進行させた。追加的に、比較例の固体電解質を含む固体電池については、25℃および60℃でそれぞれ0.03Cの充放電速度で充放電試験を進行させた。
まず、前記実施例で測定した実施例および比較例の各電解質に対するイオン伝導度の評価結果を、下記表2にまとめて示した。
また、前記実験例2および3の測定および評価結果から、実施例1および比較例1に含まれる電解質の温度別の活性化エネルギーおよびlog(σi)を評価した結果を示した図1に比較して示した。図1を参照すれば、実施例の電解質は、温度別の活性化エネルギー偏差(△Ea)が0.02eV以下になり、絶対温度の変化に応じた活性化エネルギーおよびイオン伝導度の変化がほとんどないだけでなく、すべての温度で優れたイオン伝導度を示すことが確認された。
また、温度全区間で比較例に比べて低い活性化エネルギー値を示している。これは蒸気蒸着された極性化合物と高分子鎖との間の相互作用によってイオンホッピング(ion hopping)に基づくイオン伝達機序に要求されるエネルギー障壁(energy barrier)が低くなったことを意味し、当該特性が低温および高温を含む温度全領域に対して均一な様相を示していることを確認した。これに対し、比較例の電解質は、絶対温度の変化に応じた活性化エネルギーおよびイオン伝導度の変化が大きくなり、特に、低温領域での急激なイオン伝導度の減少傾向および相対的に劣悪なイオン伝導度を示すことが確認された。これによって、低温はもちろん、常温での充・放電挙動に影響されて、結局、常温駆動可能な固体電池の実現に制約を受けられることを予想することができる。
また、実験例4の評価結果から、実施例1の固体電池の常温の充・放電試験結果を図2に示し、比較例1の固体電池の常温および高温(60℃)下の充・放電試験結果を図3に示した。
前記図2および3を参照すれば、実施例の固体電池は、1.3mS/cmの高いイオン伝導度を有する固体電解質を含んで製造されることによって、常温で優れた充放電特性を示すのに対し、比較例の固体電池は、装着された固体電解質の低いイオン伝導度によって常温で実質的に駆動が不可能であり、PEO系高分子固体電解質を含む通常の全固体電池と同様に、60℃以上の高温駆動だけが可能であることを確認した。特に、放電容量およびクーロン効率の面から、比較例の60℃での電池特性に比べて、実施例の電池の常温での充放電特性がさらに優れていることを確認した。