JP7794331B2 - 高炉操業方法 - Google Patents

高炉操業方法

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Description

本発明は、高炉の炉頂から鉄原料としての塊成鉱を装入すると共に、高炉の炉下部からガス還元材を供給して溶銑を製造する、高炉操業方法に関する。
高炉法(高炉を用いた溶銑の製造方法)は、高効率かつ大量生産に適した製鉄プロセスであり、日本における粗鋼生産量の70%以上を占めている。しかし、高炉法は、還元材として大量の石炭を消費させることで鉄鉱石中の酸化鉄の溶融及び還元を行うため、CO多排出型のプロセスという側面も持つ。昨今の環境問題に対する社会情勢に鑑みても、高炉法によるCO排出量の削減は、鉄鋼業の喫緊の課題である。
高炉法におけるCO排出量の削減方法は幾つか考えられるものの、その一つに水素をガス還元材として活用する方法がある。水素の活用手段として、単に水素を送風と共に羽口から吹き込む、水素を所定の化合物(例えば、メタン等の炭化水素)として羽口から吹き込む、又は羽口以外の部分から水素系還元ガスを吹き込む等の方法が、提案されている。
ここで、水素等のガス還元材を高炉に吹き込むことにより、高炉のCO排出量が削減される大きな理由の一つに、塊成鉱における酸化鉄のガス還元率の増加が挙げられる。
高炉に装入された塊成鉱は、大きく2種類の方法で還元される。一つ目は、ガス還元材であるCOや水素等によるガス還元である。二つ目は、固体還元材であるコークス中の炭素(C)による溶融還元である。高炉法においては、原料(塊成鉱及び固体還元材)が高炉の上部から下部にかけて降下しながらガス還元が進行し、その後、ガス還元を以てしても還元されなかった塊成鉱が溶融して、固体還元材により溶融還元されることで、還元反応が完了する。
ガス還元と溶融還元との違いは、還元反応の熱量にある。ガス還元は、僅かな発熱(又は吸熱)を伴う還元反応である。これに対し、溶融還元は、大きな吸熱を伴う還元反応である。そして、ガス還元材(水素ガス等)の吹込みによるガス還元の割合を増加させることにより、固体還元材による溶融還元の割合を低減させることができる。このため、高炉で溶銑1t当たりに要する熱量を減少させることが可能となり、固体還元材(炭素)の使用量が低減され、CO排出量を低下させることができる。
上記の通り、ガス還元材(水素ガス等)を吹き込む高炉法において、固体還元材(炭素)の使用量を低減させるためには、塊成鉱のガス還元の割合を向上させることが必須となる。しかし、塊成鉱(ペレットや焼結鉱)は、当該塊成鉱の溶融が始まらない温度(例えば、900℃)にて、ガス還元材によるガス還元を進行させた場合であっても、当該ガス還元に基づく還元反応が所定の状態(還元率70%)に達した際に、還元反応が停滞することが知られている。具体的に、塊成鉱の内部にガス還元を妨げる組織が存在し、当該組織の影響によりガス還元の還元反応が停滞する。また、還元反応の停滞は、時間当たりの還元率の変化率(還元速度)が急激に小さくなることをいう。
このため、従来から、塊成鉱の性状を調整することで、当該塊成鉱におけるガス還元の割合を向上させる方法が提案されている。特許文献1には、ペレットにドロマイト又は石灰石を添加して当該ペレットの融点を上昇させることで、高温状態の際の還元反応の停滞を抑制する方法が開示されている。特許文献2には、SiOの含有量の多い焼結鉱を対象に、当該焼結鉱の強度を維持しながら高温状態の際の還元反応に優れた焼結鉱の組織について、開示されている。
特公平3-77853号公報 特許第7035869号公報
鉄と鋼、Vol.79(1993)9、N618 鉄と鋼、Vol.79(1993)10、N711 鉄と鋼、Vol.73(1987)15、p.1956 鉄と鋼、Vol.69(1983)3、p.363
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、塊成鉱が高温状態である際における還元反応の停滞の抑制に適する方法であり、塊成鉱の溶融が開始しない温度状態における還元反応の停滞への適用は難しい。また、特許文献2では、高温状態における目標の還元率を71%としており、前述のガス還元に基づく還元反応の停滞が認められる還元率(還元率70%)と同程度であるため、特許文献2では、前述のガス還元に基づく還元反応の停滞については考慮されていない。さらに、特許文献2に開示された方法では、還元反応に優れる焼結鉱を得ることができるものの、温度状態に関連する還元反応の停滞に関する記載は無く、塊成鉱の溶融が開始しない温度状態における還元反応の停滞に適用することは難しい。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたもので、CO排出量を削減できる高炉操業方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1]高炉の炉頂から塊成鉱を装入すると共に、前記高炉の炉下部からガス還元材を供給して溶銑を製造する高炉操業方法であって、前記ガス還元材の供給量を100Nm/t以上としつつ、前記塊成鉱のFeO濃度を10質量%以下とする、高炉操業方法。
[2]前記塊成鉱のFeO濃度を5質量%以下とする、[1]に記載の高炉操業方法。
本発明によれば、CO排出量を削減できる。
図1は、高炉操業におけるガス還元材及び固体還元材の装入状態を示す図である。 図2は、ガス還元材量と最適ガス還元率との関係を示す図である。 図3は、塊成鉱のFeO濃度と停滞ガス還元率との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を通じて本発明を説明する。
本発明は、図1に示す通り、高炉の炉頂及び羽口から装入される固体還元材(コークス、微粉炭)と、炉下部から装入されるガス還元材とにより、鉄原料である塊成鉱及び塊鉱石(以下、「塊成鉱」という。)の還元反応を炉内にて行い、高炉の下部に有する出銑口から溶銑を得る高炉操業方法に関する。
本発明者等は、先ず、高炉に吹き込まれるガス還元材の量(以下、「ガス還元材量」という。)と、ガス還元率との関係に注目した。特に、固体還元材の使用量(以下、「固体還元材量」という。)とガス還元材量との合計量を最小とする場合のガス還元率(以下、「最適ガス還元率」という。)について、ガス還元材量との関係に注目した。そして、ガス還元材量Nm/tに対する最適ガス還元率%の値について、一酸化炭素(CO)や水素ガスによるウスタイトの還元平衡を考慮した高炉の熱物質収支計算に基づいて算出した(非特許文献1及び2を参照)。ここで、最適ガス還元率は、炉内における熱供給及び還元材の機能としての観点から、還元材の総量(固体還元材量とガス還元材量との合計量)を最小化するための値として、各々の還元材(固体還元材量及びガス還元材量)における使用量に基づいて、その都度算出される値をいう。
ここで、ガス還元率は、高炉に装入された塊成鉱の還元反応について、全ての還元反応(ガス還元及び溶融還元)のうち、ガス還元が行われる割合を意味する。ガス還元材は、水素や一酸化炭素(CO)等、そのままでガス還元材として機能するガスはもちろん、メタンやアンモニア等、高炉の炉内で酸化反応や熱分解反応を介してガス還元材として機能するガスを含んでよい。
ガス還元材量は、例えば、1Nmのメタンが高炉内に吹き込まれた際には、メタンが送風中の酸素と反応することで、1Nmの一酸化炭素と2Nmの水素とを発生させる。この場合、ガス還元材量として合計3Nmの量が発生するため、1Nmのメタンを高炉に吹き込んだ場合におけるガス還元材量としては、3Nmとカウントする。
また、例えば、1Nmのアンモニアが高炉内に吹き込まれた際には、アンモニアは、1.5Nmの水素と0.5Nmの窒素とに熱分解される。窒素は、還元材として機能しないため、1Nmのアンモニアを高炉に吹き込んだ場合におけるガス還元材量としては、1.5Nmとカウントする。
ガス還元材の中に窒素等の不純物が含まれる場合も同様に、高炉内で発生するガス還元材の量を基準にガス還元材量としてカウントされる。そのため、ガス還元材は複数種類のガスの混合物であってもよい。
ガス還元材の温度について、高炉における熱風温度である1300℃以下とすることが好ましく、最適ガス還元率をガス還元による還元反応の停滞が発生する状態(還元率70%)よりも高くするために500℃以下とすることがより好ましく、100℃以下とすることがさらに好ましい。
また、高炉に吹き込まれるガス還元材のうち、実際にガス還元に寄与するガス還元材が含まれる濃度は、90体積%以上とすることが好ましく、95体積%以上であることがより好ましい。
ガス還元材量に対する最適ガス還元率の値の算出は、熱保存帯温度を1000℃、送風温度を1100℃、送風湿分を20g/Nm、ヒートロスを100Mcal/tの高炉において、ガス還元材(常温の水素100体積%を仮定)を吹き込んだ場合に、固体還元材量が最小となるガス還元率を算出した。この際、シャフト効率は、0.95[-:無次元数]を最大値とした。
図2に、ガス還元材量Nm/tと最適ガス還元率%との関係を示す。図2に示す通り、ガス還元材量が100Nm/tを超えた場合に、最適ガス還元率が75%を超えることが確認できる。即ち、ガス還元材量が100Nm/tを超えた場合に、最適ガス還元率は、塊成鉱のガス還元による還元反応の停滞が発生する状態(還元率70%)を上回ることが確認できる。また、ガス還元材量の増加に伴い、高炉操業におけるCO削減量も増加するものの、CO削減量の変化が見られなくなる時点を踏まえ、ガス還元材量は800Nm/t以下とすることが好ましく、600Nm/t以下とすることがより好ましい。
次に、本発明者等は、種々の塊成鉱を作製し、作製した塊成鉱のガス還元の還元反応における変化を精緻に観察することで、還元反応の停滞の原因となる塊成鉱中の組織の状態を明らかにすると共に、還元反応の停滞を抑制し得る塊成鉱の調整方法の検討を行った。
具体的に、FeO濃度を調整した塊成鉱を用意し、一定の温度下において、一定の組成のガス還元材を用いたガス還元を実施し、ガス還元における質量の変化を検出した。ここで、FeO濃度は、化学分析で測定したFeOの値を意味し、正確にはFe2+イオンの濃度から計算されるFeO濃度を意味する。また、化学分析によるFeO濃度は、滴定法により分析される2価鉄(Fe2+)の酸化物の重量%のことを意味し、マグネタイト(Fe=Fe+2O・Fe+3 )中のFeO部分の濃度を評価したものである。
塊成鉱は、配合した原料を混合した後に造粒し、それらを鍋試験に供して焼成することで作製した。塊成鉱におけるFeO濃度の調整は、配合原料のうちの凝結材(粉コークス)量で調整した。その他、送風ガス中の酸素濃度を変化させることによる調整や、焼成時間の変化等でも調整は可能である。
作製した塊成鉱の分析結果は、試料毎のばらつきはあるものの、鉄含有量(T.Fe)は55~60質量%、開気孔率は5~15%、塩基度(CaO濃度/SiO濃度)は1.8~2.2%の範囲であった。開気孔率は、水銀ポロシメータ法で測定した。それ以外は、化学分析で測定した。鉄含有量及び塩基度は、適定法により測定した。
また、ガス還元材を用いたガス還元の実施条件について、ガス還元の還元温度を900℃、ガス還元材流量を10L/min、塊成鉱の質量を150g、塊成鉱の粒径を10~15mm、ガス還元を実施した時間を2時間とした。ガス還元材の組成は、一酸化炭素(CO)を95体積%、二酸化炭素(CO)を5体積%とした。
実験中に検出した塊成鉱の質量の時系列変化に基づいて、実験中のガス還元率Rの時系列変化を算出した。具体的に、ガス還元率Rは、「JIS M 8713:2021 鉄鉱石-被還元性測定方法」の基づき、以下の(1)式を用いて、鉄酸化物(塊成鉱)から除去された酸素の割合を質量分率%で表し、質量の変化を還元率Rに変換して算出した。
そして、ガス還元の実験で得られた還元曲線に基づいて、塊成鉱は、FeO濃度が低いほどガス還元による還元反応の停滞は発生し難く、ガス還元の実施後の最終的な還元率が高いことが明らかになった。ここで、還元曲線は、ガス還元率Rの時系列の変化について、横軸を時間とし、縦軸をガス還元率Rとして示されるグラフ上の曲線をいう。
ガス還元を行っている実験中の塊成鉱を観察した結果、塊成鉱においてガス還元が進行している最中に還元反応の停滞が発生する原因は、塊成鉱の組織内において、緻密な金属鉄で囲まれた酸化鉄が生成されるためであることを解明した。そして、緻密な金属鉄で囲まれた酸化鉄は、ガス還元材との接触が阻害されるため、塊成鉱内の酸素イオンの拡散速度に律速されて、還元反応の速度が低速になると考えられる。
また、ガス還元の前後の塊成鉱の観察結果から、緻密な金属鉄で囲まれた酸化鉄は、二次ヘマタイト相やマグネタイト相の中から生成し易いことが明らかとなった。これは、FeO濃度が低い、すなわちマグネタイトが少ない塊成鉱ほど、還元反応の停滞が起こりづらいという実験結果と整合する。
次に、ガス還元の実験で得られた還元曲線について、還元反応の停滞を考慮しない還元モデル(未反応核モデル:非特許文献3を参照)を用いて解析することで、還元反応の停滞が始まるガス還元率(以下、「停滞ガス還元率」という。)を算出した。即ち、実験結果である還元曲線を用いて還元モデルのフィッティングを行い、還元曲線と還元モデルの値とが乖離し始めた還元率で還元が停滞し始めたものとみなした。
図3に、塊成鉱のFeO濃度と停滞ガス還元率との関係を示す。図3に示す通り、塊成鉱のFeO濃度と停滞ガス還元率とは、反比例の関係を有している。即ち、塊成鉱のFeO濃度が低下するほど、停滞ガス還元率の値が高くなることが確認できる。具体的に、停滞ガス還元率が70%を超えるように調整する場合には、塊成鉱のFeO濃度を10質量%以下とすることが好ましい。更に、停滞ガス還元率が80%を超えるように調整する場合には、塊成鉱中のFeO濃度を5質量%以下とすることがより好ましい。
本実施形態にて述べた塊成鉱のガス還元の実験においては、上記の通りの条件にて実施したものの、当該条件に限定する必要はない。即ち、他の還元試験方法(例えば「JIS M 8713:2021 鉄鉱石-被還元性測定方法」)で実施して適用しても良い。そして、塊成鉱のFeO濃度と停滞ガス還元率との関係を算出して、ガス還元の還元反応の停滞を抑制し得るFeO濃度を見出してよい。
そして、図3に示す実験結果に基づいて、高炉におけるガス還元の停滞ガス還元率を高くするため、高炉に装入される塊成鉱のFeO濃度を調整してよい。即ち、高炉の炉頂から塊成鉱を装入すると共に、高炉の炉下部からガス還元材を供給して溶銑を製造する高炉操業方法について、ガス還元材の供給量を100Nm/t以上としつつ、塊成鉱のFeO濃度を10質量%以下に調整してよい。
以上に述べた通り、本実施形態に係る高炉操業方法によれば、塊成鉱のFeO濃度を調整する(低減させる)ことにより、還元反応の停滞が始まる停滞ガス還元率を高くすることができる。そして、ガス還元材を使用する高炉法において、塊成鉱のガス還元の使用割合が向上すると共に溶融還元材の使用割合を削減することで、CO排出量を削減することができる。
以下、本実施形態に係る高炉操業方法に基づいて行った実施例を説明する。
実施例においては、サイバー空間上に実装した仮想物理高炉を用いて、常温のガス還元材(水素ガス)をシャフト下部から吹き込んだ際のコークス比の変化を確認した。ここで、コークス比は、溶銑1tを製造するために高炉の炉頂から装入されたコークス量のことを意味する。また、高炉への吹込み量を変化させたガス還元材に対して、FeO濃度が異なる塊成鉱を用いた場合のコークス比の変化も確認した。
塊成鉱のFeO濃度は、ガス還元の還元反応の停滞のみに影響を与えるものとして、塊成鉱の還元反応をモデル化した。ガス還元の還元反応の停滞後の還元挙動については、非特許文献4を参照し、塊成鉱の還元の速度はそれを覆う金属鉄の酸素イオンの拡散速度で律速されるとして、実験結果と整合するように計算パラメータを決定した。
CO削減率の基準となる基準操業は、基準操業1としての熱風操業(送風温度を1100℃、酸素濃度を21質量%、送風湿分を20g/Nm、ヒートロスを100Mcal/t、コークス比を487kg/t)と、基準操業2としての酸素送風操業(送風温度を25℃、酸素濃度を100質量%、ヒートロスを100Mcal/t、コークス比を585kg/t)との2種類の操業形態で確認した。各基準操業における塊成鉱のFeO濃度は、10質量%とした。主原料中の塊成鉱の割合は70%とした。実施例の結果を表1に示す。
表1においては、「停滞ガス還元率」について、72%以上の結果となった場合に「良い(○)」と評価し、80%以上の結果となった場合に「更に良い(◎)」と評価した。なお、比較例1及び2については、CO削減率が0%であるため、「悪い(×)」と評価した。
表1に示す通り、比較例1及び2は、ガス還元材量が0Nm/tであり、塊成鉱のガス還元の割合を増加できなかったため、CO削減率も0%となった。
これに対し、発明例1~4においては、塊成鉱のFeO濃度を10質量%とし、ガス還元材量を200Nm/t以上としたため、塊成鉱におけるガス還元の停滞ガス還元率を72%にすることができた。このため、CO削減率を向上させることができた。
更に、発明例5~10においては、塊成鉱のFeO濃度を5質量%以下とし、ガス還元材量を200Nm/t以上としたため、塊成鉱におけるガス還元の停滞ガス還元率を80%以上にすることができた。このため、CO削減率を更に向上させることができた。

Claims (2)

  1. 高炉の炉頂から、原料を混合した後に造粒し焼成することで製造される塊成鉱を装入すると共に、前記高炉の炉下部からガス還元材を供給して溶銑を製造する高炉操業方法であって、
    前記ガス還元材の供給量を100Nm/t以上としつつ、前記塊成鉱のFeO濃度を10質量%以下とする、高炉操業方法。
  2. 前記塊成鉱のFeO濃度を5質量%以下とする、請求項1に記載の高炉操業方法。
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