JP7796014B2 - 薄膜形成用原料、薄膜及び薄膜の製造方法 - Google Patents

薄膜形成用原料、薄膜及び薄膜の製造方法

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Description

本発明は、特定の構造を有するイットリウム化合物を含有する薄膜形成用原料、それを用いて得られる薄膜及びその製造方法に関する。
半導体製造産業では、シリコン等の基板上に、金属窒化物、金属酸化物、金属含有膜等の薄膜を形成することができる薄膜形成用原料として、金属含有錯体の検討が進められている。
イットリウムは、化合物半導体を構成するための成分として用いられており、イットリウムを含有する薄膜を製造するための薄膜形成用原料として、様々な化合物が報告されている。
薄膜の製造方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、塗布熱分解法やゾルゲル法等の金属有機化合物分解(MOD:Metal Organic Decomposition)法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等が挙げられる。これらの中でも、得られる薄膜の品質が良好なことからCVD法やALD法が主に用いられる。
CVD法やALD法のような気相薄膜形成法に用いることができる薄膜形成用原料は、種々報告されているが、ALD法に適用可能な薄膜形成用原料は、ALDウィンドウと呼ばれる温度領域が充分な広さを有することが必要である。CVD法に使用可能な薄膜形成用原料であっても、ALD法に適さない場合が多くあることは当該技術分野における技術常識である。
イットリウムを含有する薄膜を形成する薄膜形成用原料として、例えば、特許文献1では、N側鎖に、-R4-NR56(R4は、アルキレン架橋基であり、R5及びR6は、アルキル基等から選択される)を有するβ-ケトイミナート構造の金属含有錯体が提案されている。
特許文献2には、金属膜又は金属酸化物膜を形成するための前駆体として、多座配位のケトイミン配位子と、アルコキシ配位子又はアミノ配位子とを含む金属含有錯体が提案されている。
特許文献3には、共役ジエン重合用触媒として、β-ケトイミン配位子を有するイットリウム化合物を用いることが開示されている。
特許第4680953号(特開2007-302656号公報) 特許第5698161号(特開2012-153688号公報) 特許第6020257号(特開2014-166967号公報)
薄膜形成用原料には、低融点であること、揮発性が高いこと、熱安定性が高いこと、残留炭素量が少ない高品質な薄膜を形成できること等が要求される。しかしながら、特許文献1及び2で提案されるイットリウム化合物を含有する薄膜形成用原料は、これらの要求を満足できるものではなかった。
特許文献3には、β-ケトイミン配位子を有するイットリウム化合物を薄膜形成用原料として用いることを示唆するような記載は一切なかった。
従って、本発明は、低融点であり且つ揮発性及び熱安定性が高く、CVD法やALD法に好適に用いることのできる、イットリウム化合物を含有する薄膜形成用原料を提供することを目的とする。また、本発明は、該薄膜形成用原料を用いて得られる薄膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するイットリウム化合物を含有する薄膜形成用原料が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物を含有する薄膜形成用原料である。
(式中、R1及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基を表し、R2は、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、R4は、炭素原子数1~5のアルカンジイル基を表し、R5は、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、複数のR1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ同じものであってもよく異なるものであってもよい。)
(式中、R6及びR8は、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基を表し、R7は、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、複数のR6、R7及びR8は、それぞれ同じものであってもよく異なるものであってもよい。ただし、R6及びR8のうち少なくとも一つは炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基を表す。)
本発明の薄膜形成用原料は、上記一般式(1)における、R1及びR3がイソプロピル基であり、R2が水素原子であり、R4がエチレン基であり、R5がメチル基であるイットリウム化合物、又は上記一般式(2)における、R6がメトキシtert-ブチル基であり、R7が水素原子であり、R8がイソプロピル基であるイットリウム化合物を含有すると、低融点であり、揮発性及び熱安定性が高いので好ましい。
また、本発明は、上記薄膜形成用原料を気化させた原料ガスを、基体が設置された成膜チャンバー内に導入する工程と、原料ガス中のイットリウム化合物を基体の表面に堆積させて前駆体薄膜を形成する工程と、反応性ガスを成膜チャンバー内に導入し、前駆体薄膜と反応性ガスとを反応させて、基体の表面にイットリウム原子を含有する薄膜を形成する工程とを含む薄膜の製造方法である。
また、本発明の薄膜の製造方法において、上記反応性ガスが、酸化性ガスであり、且つ上記イットリウム原子を含有する薄膜が、酸化イットリウムであることが好ましい。
さらに、本発明の薄膜の製造方法において、上記酸化性ガスが、酸素、オゾン又は水蒸気を含有するガスであることがより好ましい。
また、本発明の薄膜の製造方法において、100℃~400℃の範囲で前駆体薄膜と反応性ガスとを反応させることが好ましい。
本発明によれば、特定のイットリウム化合物を含有することで、低融点であり且つ揮発性及び熱安定性が高い薄膜形成用原料を提供することができる。また、本発明の薄膜形成用原料を用いることで、CVD法、特にALD法を用いて、残留炭素量が少ない高品質なイットリウム含有薄膜を製造することができる。
本発明に係る薄膜の製造方法に用いられるALD装置の一例を示す概略図である。 本発明に係る薄膜の製造方法に用いられるALD装置の別の例を示す概略図である。 本発明に係る薄膜の製造方法に用いられるALD装置のさらに別の例を示す概略図である。 本発明に係る薄膜の製造方法に用いられるALD装置のさらに別の例を示す概略図である。
<薄膜形成用原料>
本発明の薄膜形成用原料は、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物を含有するものである。
上記一般式(1)において、R1及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基を表し、R2は、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、R4は、炭素原子数1~5のアルカンジイル基を表し、R5は、炭素原子数1~3のアルキル基を表し、複数のR1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ同じものであってもよく異なるものであってもよい。
上記一般式(2)において、R6及びR8は、それぞれ独立して、炭素原子数1~6のアルキル基又は炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基を表し、R7は、水素原子又は炭素原子数1~3のアルキル基を表し、複数のR6、R7及びR8は、それぞれ同じものであってもよく異なるものであってもよい。ただし、R6及びR8のうち少なくとも一つは炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基を表す。
上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物は、CVD法又はALD法による薄膜を形成するためのプリカーサ(前駆体)として用いるため、融点が100℃以下であることが好ましく、常温で液体であることがより好ましい。また、イットリウム化合物の減圧熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)による50質量%減少時の温度は240℃以下であることが好ましい。
イットリウム化合物の示差走査熱量計(DSC)による熱分解開始温度が、250℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがさらに好ましい。
上記一般式(1)において、R1及びR3で表される炭素原子数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。本発明の効果が顕著であるという観点から、上記一般式(1)において、R1及びR3が、炭素原子数1~4のアルキル基であるイットリウム化合物が好ましく、R1がエチル基、イソプロピル基又はtert-ブチル基であり、R3が、エチル基又はイソプロピル基であるイットリウム化合物がより好ましく、R1及びR3がイソプロピル基であるイットリウム化合物が最も好ましい。
上記一般式(1)において、R1及びR3で表される炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、メトキシイソプロピル基、メトキシプロピル基、メトキシイソブチル基、メトキシsec-ブチル基、メトキシtert-ブチル基、エトキシイソプロピル基、エトキシブチル基、エトキシイソブチル基、エトキシsec-ブチル基、エトキシtert-ブチル基等が挙げられる。本発明の効果が顕著であるという観点から、上記一般式(1)において、R1及びR3がメトキシイソプロピル基又はメトキシtert-ブチルであるイットリウム化合物が好ましい。
上記一般式(1)において、R2及びR5で表される炭素原子数1~3のアルキル基としては、前述したアルキル基のうち炭素原子数が1~3のアルキル基が挙げられる。本発明の効果が顕著であるという観点から、上記一般式(1)において、R2が水素原子であり、R5がメチル基であるイットリウム化合物が好ましい。
上記一般式(1)において、R4で表される炭素原子数1~5のアルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、ブチレン基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基等が挙げられる。本発明の効果が顕著であるという観点から、上記一般式(1)において、R4がエチレン基又はプロパン-1,2-ジイル基であるイットリウム化合物が好ましい。
上記一般式(2)において、R6及びR8で表される炭素原子数1~6のアルキル基及び炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基としては、前述したものと同じものが挙げられる。
上記一般式(2)において、R7で表される炭素原子数1~3のアルキル基としては、前述したものと同じものが挙げられる。
上記一般式(2)において、複数のR6、R7及びR8は、それぞれ同じものであってもよく、異なるものであってもよいが、複数のR6及びR8のうち少なくとも一つは炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基である。上記一般式(2)において、複数のR6及びR8のうち二つ以上が炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基であるイットリウム化合物が好ましく、複数のR6及びR8のうち三つが炭素原子数2~6のアルコキシアルキル基であるイットリウム化合物がより好ましい。
上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物の好ましい具体例として、下記No.1~No.16のイットリウム化合物が挙げられるが、本発明は、これらのイットリウム化合物によって限定されるものではない。なお、下記No.1~No.16のイットリウム化合物において、「Me」は、メチル基を表し、「Et」は、エチル基を表し、「iPr」は、イソプロピル基を表し、「tBu」は、tert-ブチル基を表す。
上記イットリウム化合物の中でも、本発明の効果が特に顕著であるという観点から、No.1、No.3、No.6及びNo.15のイットリウム化合物が好ましい。
本発明のイットリウム化合物は、周知の反応を利用して製造することができる。例えば、上記一般式(1)において、R1がメチル基であり、R2が水素原子であり、R3がメチル基であり、R4がメチレン基であり、R5がメチル基であるイットリウム化合物は、溶媒中で、イットリウム-トリス-トリメチルシリルアミドと、4-メトキシメチルアミノ-3-ペンテン-2-オンとを反応させた後、溶媒を除去し、蒸留精製することで得ることができる。また、上記一般式(2)において、R6がメトキシtert-ブチル基であり、R7が水素原子であり、R8がイソプロピル基であるイットリウム化合物は、溶媒中で、イットリウム-トリス-トリメチルシリルアミドと、5-アミノ-7-メトキシ-4-ヘプテン-3-オンとを反応させた後、溶媒を除去し、蒸留精製することで得ることができる。
本発明の薄膜形成用原料は、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物を含有するものであればよく、その組成は、目的とする薄膜の種類によって異なる。例えば、金属としてイットリウムのみを含む薄膜を製造する場合、本発明の薄膜形成用原料は、イットリウム以外の金属を含む化合物及び半金属を含む化合物を含有しない。一方、イットリウムとイットリウム以外の金属及び/又は半金属とを含む薄膜を製造する場合、本発明の薄膜形成用原料は、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物に加えて、所望の金属を含む化合物及び/又は半金属を含む化合物(以下、「他のプリカーサ」と記載することもある)を含有することができる。
また、複数のプリカーサを用いる多成分系のCVD法の場合において、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物と共に用いることができる他のプリカーサとしては、特に制限を受けず、CVD法のための薄膜形成用原料に用いられている周知一般のプリカーサを用いることができる。
上記の他のプリカーサとしては、例えば、アルコール化合物、グリコール化合物、β-ジケトン化合物、シクロペンタジエン化合物、有機アミン化合物等の有機配位子として用いられる化合物からなる群から選択される一種類又は二種類以上と、珪素や金属との化合物が挙げられる。また、プリカーサの金属種としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブテン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、錫、アンチモン、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、鉛、ビスマス、ラジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、又はルテチウムが挙げられる。
上記の他のプリカーサの有機配位子として用いられるアルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、sec-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール等のアルキルアルコール類;2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-メトキシ-1-メチルエタノール、2-メトキシ-1,1-ジメチルエタノール、2-エトキシ-1,1-ジメチルエタノール、2-イソプロポキシ-1,1-ジメチルエタノール、2-ブトキシ-1,1-ジメチルエタノール、2-(2-メトキシエトキシ)-1,1-ジメチルエタノール、2-プロポキシ-1,1-ジエチルエタノール、2-sec-ブトキシ-1,1-ジエチルエタノール、3-メトキシ-1,1-ジメチルプロパノール等のエーテルアルコール類;ジメチルアミノエタノール、エチルメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジメチルアミノ-2-ペンタノール、エチルメチルアミノ-2-ペンタノール、ジメチルアミノ-2-メチル-2-ペンタノール、エチルメチルアミノ-2-メチル-2-ペンタノール、ジエチルアミノ-2-メチル-2-ペンタノール等のジアルキルアミノアルコール類等が挙げられる。
上記の他のプリカーサの有機配位子として用いられるグリコール化合物としては、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,4-ブタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-ブタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール等が挙げられる。
上記の他のプリカーサの有機配位子として用いられるβ-ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、ヘキサン-2,4-ジオン、5-メチルヘキサン-2,4-ジオン、ヘプタン-2,4-ジオン、2-メチルヘプタン-3,5-ジオン、5-メチルヘプタン-2,4-ジオン、6-メチルヘプタン-2,4-ジオン、2,2-ジメチルヘプタン-3,5-ジオン、2,6-ジメチルヘプタン-3,5-ジオン、2,2,6-トリメチルヘプタン-3,5-ジオン、2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオン、オクタン-2,4-ジオン、2,2,6-トリメチルオクタン-3,5-ジオン、2,6-ジメチルオクタン-3,5-ジオン、2,9-ジメチルノナン-4,6-ジオン、2-メチル-6-エチルデカン-3,5-ジオン、2,2-ジメチル-6-エチルデカン-3,5-ジオン等のアルキル置換β-ジケトン類;1,1,1-トリフルオロペンタン-2,4-ジオン、1,1,1-トリフルオロ-5,5-ジメチルヘキサン-2,4-ジオン、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロペンタン-2,4-ジオン、1,3-ジパーフルオロヘキシルプロパン-1,3-ジオン等のフッ素置換アルキルβ-ジケトン類;1,1,5,5-テトラメチル-1-メトキシヘキサン-2,4-ジオン、2,2,6,6-テトラメチル-1-メトキシヘプタン-3,5-ジオン、2,2,6,6-テトラメチル-1-(2-メトキシエトキシ)ヘプタン-3,5-ジオン等のエーテル置換β-ジケトン類等が挙げられる。
上記の他のプリカーサの有機配位子として用いられるシクロペンタジエン化合物としては、例えば、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、ブチルシクロペンタジエン、第2ブチルシクロペンタジエン、イソブチルシクロペンタジエン、tert-ブチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、テトラメチルシクロペンタジエン等が挙げられる。
上記の他のプリカーサの有機配位子として用いられる有機アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、イソブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、プロピルメチルアミン、イソプロピルメチルアミン等が挙げられる。
上記の他のプリカーサは、当該技術分野において公知のものであり、その製造方法も公知である。例えば、有機配位子としてアルコール化合物を用いる場合には、先に述べた金属の無機塩又はその水和物と、該アルコール化合物のアルカリ金属アルコキシドとを反応させることによって、プリカーサを製造することができる。ここで、金属の無機塩又はその水和物としては、例えば、金属のハロゲン化物、硝酸塩等を挙げることができ、アルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等を挙げることができる。
上述したような多成分系のCVD法においては、薄膜形成用原料を各成分独立で気化、供給する方法(以下、「シングルソース法」と記載することもある)と、多成分原料を予め所望の組成で混合した混合原料を気化、供給する方法(以下、「カクテルソース法」と記載することもある)がある。シングルソース法の場合、上記の他のプリカーサとしては、熱及び/又は酸化分解の挙動が上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物と類似している化合物が好ましい。カクテルソース法の場合、上記の他のプリカーサとしては、熱及び/又は酸化分解の挙動が上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物と類似していることに加え、混合時に化学反応等による変質を起こさない化合物が好ましい。
多成分系のCVD法におけるカクテルソース法の場合、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物と、他のプリカーサとの混合物又は該混合物を有機溶剤に溶解した混合溶液を薄膜形成用原料とすることができる。
上記の有機溶剤としては、特に制限を受けることはなく周知一般の有機溶剤を用いることができる。該有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチル等の酢酸エステル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;1-シアノプロパン、1-シアノブタン、1-シアノヘキサン、シアノシクロヘキサン、シアノベンゼン、1,3-ジシアノプロパン、1,4-ジシアノブタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,4-ジシアノシクロヘキサン、1,4-ジシアノベンゼン等のシアノ基を有する炭化水素類;ピリジン、ルチジン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、溶質の溶解性、使用温度と沸点、引火点の関係等により、単独で用いてもよいし、又は二種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の薄膜形成用原料が上記有機溶剤を含む混合溶液である場合、薄膜形成用原料中におけるプリカーサ全体の量が、好ましくは0.01モル/リットル~2.0モル/リットル、より好ましくは0.05モル/リットル~1.0モル/リットルとなるように調整すればよい。
ここで、プリカーサ全体の量とは、本発明の薄膜形成用原料が、イットリウム以外の金属を含む化合物及び半金属を含む化合物を含有しない場合、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物の量を表す(ただし、本発明の薄膜形成用原料が、イットリウムを含む他のプリカーサを更に含有する場合、プリカーサ全体の量とは、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物と、イットリウムを含む他のプリカーサとの合計量を表す)。本発明の薄膜形成用原料が、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物に加えて、他のプリカーサを含有する場合、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物と、他のプリカーサとの合計量を表す。
また、本発明の薄膜形成用原料は、必要に応じて、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物及び他のプリカーサの安定性を向上させるため、求核性試薬を含有してもよい。該求核性試薬としては、例えば、グライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のエチレングリコールエーテル類、18-クラウン-6、ジシクロヘキシル-18-クラウン-6、24-クラウン-8、ジシクロヘキシル-24-クラウン-8、ジベンゾ-24-クラウン-8等のクラウンエーテル類、エチレンジアミン、N,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、1,1,4,7,7-ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、トリエトキシトリエチレンアミン等のポリアミン類、サイクラム、サイクレン等の環状ポリアミン類、ピリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、オキサゾール、チアゾール、オキサチオラン等の複素環化合物類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸-2-メトキシエチル等のβ-ケトエステル類又はアセチルアセトン、2,4-ヘキサンジオン、2,4-ヘプタンジオン、3,5-ヘプタンジオン、ジピバロイルメタン等のβ-ジケトン類が挙げられる。これら求核性試薬の使用量は、プリカーサ全体の量1モルに対して、0.1モル~10モルの範囲が好ましく、1モル~4モルの範囲がより好ましい。
本発明の薄膜形成用原料には、これを構成する成分以外の不純物金属元素分、不純物塩素などの不純物ハロゲン分、及び不純物有機分が極力含まないようにすることが望ましい。不純物金属元素分は、元素毎では100ppb以下が好ましく、10ppb以下がより好ましく、総量では、1ppm以下が好ましく、100ppb以下がより好ましい。特に、LSIのゲート絶縁膜、ゲート膜、バリア層として用いる場合は、得られる薄膜の電気的特性に影響のあるアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素の含有量を少なくすることが必要である。不純物ハロゲン分は、100ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましく、1ppm以下がさらに好ましい。不純物有機分は、総量で500ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、10ppm以下がさらに好ましい。また、水分は、CVD用原料中でのパーティクル発生や、薄膜形成中におけるパーティクル発生の原因となるので、プリカーサ、有機溶剤及び求核性試薬については、それぞれの水分の低減のために、使用の際にあらかじめできる限り水分を取り除いた方がよい。プリカーサ、有機溶剤及び求核性試薬それぞれの水分量は、10ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。
また、本発明の薄膜形成用原料は、形成される薄膜のパーティクル汚染を低減又は防止するために、パーティクルが極力含まれないようにするのが好ましい。具体的には、液相での光散乱式液中粒子検出器によるパーティクル測定において、0.3μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることが好ましく、0.2μmより大きい粒子の数が液相1ml中に100個以下であることがより好ましい。
<薄膜の製造方法>
次に、上記の薄膜形成用原料を用いる本発明の薄膜の製造方法について説明する。
ここでは、一実施形態として、ALD法により、イットリウム原子を含有する薄膜(以下、「イットリウム含有薄膜」と記載することもある)を製造する方法について説明する。
本発明の薄膜の製造方法に用いられる装置には、周知のALD装置を用いることができる。具体的な装置の例としては、図1及び図3のようなプリカーサをバブリング供給することのできる装置や、図2及び図4のように気化室を有する装置が挙げられる。また、図3及び図4のように反応性ガスに対してプラズマ処理を行うことのできる装置が挙げられる。なお、図1~図4のような枚葉式装置に限らず、バッチ炉を用いた多数枚同時処理可能な装置を用いることもできる。なお、これらの装置はCVD装置として用いることができる。
本発明の薄膜の製造方法は、上記の薄膜形成用原料を気化させた原料ガスを、基体が設置された成膜チャンバー(以下、「堆積反応部」と記載することもある)内に導入する工程(原料ガス導入工程)と、該原料ガス中のイットリウム化合物を該基体の表面に堆積させて前駆体薄膜を形成する工程(前駆体薄膜形成工程)と、反応性ガスを成膜チャンバー内に導入し、前駆体薄膜と反応性ガスとを反応させて、基体の表面にイットリウム含有薄膜を形成する工程(イットリウム含有薄膜形成工程)とを有するものである。また、本発明の薄膜の製造方法は、前駆体薄膜形成工程とイットリウム含有薄膜形成工程との間及び/又はイットリウム含有薄膜形成工程の後に、成膜チャンバー内のガスを排気する工程(排気工程)を有することが好ましい。
本発明の薄膜の製造方法の一実施形態として、前駆体薄膜形成工程、排気工程、イットリウム含有薄膜形成工程及び排気工程を順に行う、一連の操作による堆積を1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことで、本発明の薄膜の厚みを調整することができる。以下、本発明の薄膜の製造方法の各工程について説明する。
(原料ガス導入工程)
原料ガス導入工程は、上記の薄膜形成用原料を気化させて原料ガスとし、該原料ガスを基体が設置された堆積反応部内へ導入する工程である。
薄膜形成用原料の輸送供給方法としては、図1及び図3に示すように、本発明の薄膜形成用原料が貯蔵される容器(以下、「原料容器」と記載することもある)中で加熱及び/又は減圧することにより気化させて原料ガスとし、必要に応じてアルゴン、窒素、ヘリウム等のキャリアガスと共に、該原料ガスを基体が設置された堆積反応部内へと導入する気体輸送法、並びに図2及び図4に示すように、薄膜形成用原料を液体又は溶液の状態で気化室まで輸送し、気化室で加熱及び/又は減圧することにより気化させて原料ガスとし、該原料ガスを基体が設置された堆積反応部内へと導入する液体輸送法がある。気体輸送法の場合、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物そのものを薄膜形成用原料とすることができる。液体輸送法の場合、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物、又は該イットリウム化合物を有機溶剤に溶解した溶液を薄膜形成用原料とすることができる。これらの薄膜形成用原料は求核性試薬等を更に含んでもよい。
また、上記気体輸送法及び液体輸送法以外にも、原料ガス導入工程に用いられる方法としては、複数のプリカーサを含む多成分系のALD法として、<薄膜形成用原料>で説明したようなシングルソース法及びカクテルソース法があるが、いずれの導入方法を用いた場合においても、本発明の薄膜形成用原料は0℃~200℃の範囲内で気化させることが好ましい。また、原料容器内又は気化室内で薄膜形成用原料を気化させて原料ガスとする場合の原料容器内の圧力及び気化室内の圧力は、1Pa~10,000Paの範囲内であることが好ましい。
ここで、堆積反応部に設置される上記基体の材質としては、例えば、シリコン;窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン等のセラミックス;ガラス;金属コバルト、金属ルテニウム等の金属が挙げられる。基体の形状としては、板状、球状、繊維状、鱗片状が挙げられる。基体表面は、平面であってもよく、トレンチ構造等の三次元構造となっていてもよい。
(前駆体薄膜形成工程)
前駆体薄膜形成工程では、基体が設置された堆積反応部内に導入した原料ガス中の、上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物を基体の表面に堆積させて、基体の表面に前駆体薄膜を形成する。このとき、基体を加熱するか、又は堆積反応部を加熱して熱を加えてもよい。前駆体薄膜を形成するときの製造条件は、特に限定されず、例えば、反応温度(基体温度)、反応圧力、堆積速度等を薄膜形成用原料の種類に応じて適宜決めることができる。反応温度については、本発明の薄膜形成用原料が充分に反応する温度である100℃以上が好ましく、100℃~400℃がより好ましい。反応圧力は1Pa~10,000Paが好ましく、10Pa~1,000Paがより好ましい。
また、上記堆積速度は、薄膜形成用原料の供給条件(気化温度、気化圧力)、反応温度、反応圧力により制御することができる。堆積速度が大きいと得られる薄膜の特性が悪化する場合があり、小さいと生産性に問題を生じる場合があるので、0.01nm/分~100nm/分が好ましく、0.1nm/分~50nm/分がより好ましい。
(排気工程)
前駆体薄膜を形成後、基体の表面に堆積しなかった原料ガスを堆積反応部から排気する。この際、原料ガスが堆積反応部から完全に排気されるのが理想であるが、必ずしも完全に排気する必要はない。排気方法としては、例えば、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガスにより堆積反応部の系内をパージする方法、系内を減圧することで排気する方法、これらを組み合わせた方法等が挙げられる。減圧する場合の減圧度は、0.01Pa~300Paの範囲が好ましく、0.01Pa~100Paの範囲がより好ましい。
(イットリウム含有薄膜形成工程)
イットリウム含有薄膜形成工程では、排気工程後、堆積反応部内に反応性ガスを導入し、反応性ガスの作用又は反応性ガスの作用と熱の作用とにより、前駆体薄膜、すなわち基体の表面に堆積させた上記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物と反応性ガスとを反応させて、イットリウム含有薄膜が形成される。
上記反応性ガスとしては、例えば、酸素、オゾン、二酸化窒素、一酸化窒素、水蒸気、過酸化水素、ギ酸、酢酸、無水酢酸等の酸化性ガス、水素等の還元性ガス、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アルキレンジアミン等の有機アミン化合物、ヒドラジン、アンモニア等の窒化性ガスなどが挙げられる。これらの反応性ガスは、単独で用いてもよいし、又は二種類以上を混合して用いてもよい。本発明の薄膜の製造方法において、反応性ガスは、酸化性ガスであることが好ましく、酸素、オゾン又は水蒸気を含有するガスであることがより好ましい。反応性ガスとして酸化性ガスを用いる場合には、イットリウム含有薄膜として酸化イットリウムの薄膜が形成される。
前駆体薄膜と反応性ガスとの反応において熱を用いる場合、50℃~500℃の範囲で反応させることが好ましく、100℃~400℃の範囲で反応させることがより好ましい。また、本工程が行われる際の堆積反応部における圧力は1Pa~10,000Paが好ましく、10Pa~1,000Paがより好ましい。
(排気工程)
上記イットリウム含有薄膜形成後、未反応の反応性ガス及び副生ガスを堆積反応部から排気する。この際、反応性ガス及び副生ガスが堆積反応部から完全に排気されるのが理想であるが、必ずしも完全に排気する必要はない。排気方法及び減圧する場合の減圧度は、上述した前駆体薄膜形成工程後の排気工程と同様である。
以上、説明したように、原料ガス導入工程、前駆体薄膜形成工程、排気行程、イットリウム含有薄膜形成工程及び排気工程を順に行い、一連の操作による堆積を1サイクルとし、このサイクルを必要な膜厚の薄膜が得られるまで複数回繰り返すことで、所望の膜厚を有するイットリウム含有薄膜を製造する。ALD法を用いた薄膜の製造方法では、形成されるイットリウム含有薄膜の膜厚を、上記サイクルの回数で制御することができる。
また、本発明の薄膜の製造方法においては、図3及び図4に示すように、堆積反応部にプラズマ、光、電圧などのエネルギーを印加してもよく、触媒を用いてもよい。該エネルギーを印加する時期及び触媒を用いる時期は、特には限定されず、例えば、原料ガス導入工程における原料ガスの導入時、前駆体薄膜を形成する際の加熱時、イットリウム含有薄膜形成工程における反応性ガスの導入時、反応性ガスと前駆体薄膜とを反応させる時、排気工程における系内の排気時などでよく、上記の各工程の間でもよい。
また、本発明の薄膜の製造方法においては、薄膜の形成後に、より良好な電気特性を得るために不活性雰囲気下、酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下でアニール処理を行ってもよく、段差埋め込みが必要な場合には、リフロー工程を設けてもよい。この場合の温度は、200℃~1,000℃が好ましく、250℃~500℃がより好ましい。
本発明の薄膜形成用原料を用いて製造される薄膜は、他のプリカーサ、反応性ガス及び製造条件を適宜選択することにより、メタル、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、ガラス等の基体を被覆して、所望の種類の薄膜とすることができる。本発明の薄膜は、電気特性及び光学特性に優れるため、例えば、DRAM素子に代表されるメモリー素子の電極材料、抵抗膜、ハードディスクの記録層に用いられる反磁性膜及び固体高分子形燃料電池用の触媒材料等の製造に広く用いることが可能である。
以下、実施例等を用いて本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例等によって制限を受けるものではない。
〔製造例1〕イットリウム化合物No.1の製造
100mLの3つ口フラスコに、イットリウム-トリス-トリメチルシリルアミド 1.78g(3.12mmol)及び脱水トルエン 5.8gを加え、十分に混合させた。この懸濁液に室温にて5-((2-メトキシエチル)アミノ)-4-ヘプテン-3-オン 2.02g(10.92mmol)を滴下した。85℃にて3時間撹拌後、減圧下、オイルバス130℃にて溶媒を除去した。生成したイットリウム錯体(橙色粘性液体)をフラスコに入れクーゲルロール(Kugelrohr)精製装置に接続し、加熱温度230℃、55Paにて蒸留を行い、黄色粘性液体を得た。得られた黄色粘性液体は、1H-NMR及びICP-AESによる分析の結果、イットリウム化合物No.1であることを確認した。得られた黄色粘性液体の分析結果を以下に示す。
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
0.993-1.031ppm(9H,triplet)、1.204-1.242ppm(9H,triplet)、2.118-2.1754ppm(6H,quartet)、2.183-2.240ppm(6H,quartet)、3.223ppm(9H,singlet)、3.477-3.501ppm(6H,triplet)、3.690-3.721ppm(6H,triplet)、4.953ppm(3H,singlet)
(2)ICP-AESによる元素分析結果
Y:13.9質量%(理論値:13.66質量%)、C:55.4質量%(理論値:55.37質量%)、H:9.8質量%(理論値:9.75質量%)、N:6.4質量%(理論値:6.46質量%)、O:14.5質量%(理論値:14.76質量%)
〔製造例2〕イットリウム化合物No.3の製造
100mLの3つ口フラスコに、イットリウム-トリス-トリメチルシリルアミド 1.57g(2.76mmol)及び脱水トルエン 5.1gを加え、十分に混合させた。この懸濁液に室温にて5-((2-メトキシエチル)アミノ)-2,6-ジメチル-4-ヘプテン-3-オン 2.06g(9.66mmol)を滴下した。55℃にて5時間撹拌後、減圧下、オイルバス111℃にて溶媒を除去した。生成したイットリウム錯体(橙色粘性液体)をフラスコに入れクーゲルロール精製装置に接続し、加熱温度205℃、21Paにて蒸留を行い、黄色粘性液体を得た。得られた黄色粘性液体は室温まで放冷すると黄色固体となった。得られた黄色粘性液体は、1H-NMR及びICP-AESによる分析の結果、イットリウム化合物No.3であることを確認した。得られた黄色粘性液体の分析結果を以下に示す。
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
1.061-1.077ppm(18H,doublet)、1.228-1.244ppm(18H,doublet)、2.403-2.505ppm(3H,septet)、2.967-3.064ppm(3H,septet)、3.213ppm(9H,singlet)、3.430-3.462ppm(6H,triplet)、3.802-3.834ppm(6H,triplet)、5.112ppm(3H,singlet)
(2)ICP-AESによる元素分析結果
Y:12.3質量%(理論値:12.09質量%)、C:58.4質量%(理論値:58.84質量%)、H:10.3質量%(理論値:10.29質量%)、N:5.9質量%(理論値:5.71質量%)、O:13.1質量%(理論値:13.07質量%)
〔製造例3〕イットリウム化合物No.6の製造
100mLの3つ口フラスコに、イットリウム-トリス-トリメチルシリルアミド 1.41g(2.47mmol)及び脱水トルエン 6.8gを加え、十分に混合させた。この懸濁液に室温にて2,2,6-トリメチル-5-((1-メトキシ-2-プロピル)アミノ)-4-ヘプテン-3-オン 2.08g(8.65mmol)を滴下した。53℃にて4時間撹拌後、減圧下、オイルバス115℃にて溶媒を除去した。生成したイットリウム錯体(橙色粘状物)をフラスコに入れクーゲルロール精製装置に接続し、加熱温度214℃、17Paにて蒸留を行い、黄色液体を得た。得られた黄色液体は室温まで放冷すると黄色ガラス状固体となった。ICP発光分光法による元素分析の結果、イットリウム化合物No.6であることを確認した。
(1)ICP-AESによる元素分析結果
Y:10.8質量%(理論値:10.85質量%)、C:61.7質量%(理論値:61.58質量%)、H:10.5質量%(理論値:10.71質量%)、N:5.2質量%(理論値:5.14質量%)、O:11.8質量%(理論値:11.72質量%)
〔製造例4〕イットリウム化合物No.15の製造
100mLの3つ口フラスコに、イットリウム-トリス-トリメチルシリルアミド 1.65g(2.90mmol)及び脱水トルエン 8.0gを加え、十分に混合させた。この懸濁液に室温にて5-アミノ-1-メトキシ-2,2,6-トリメチル-4-ヘプテン-3-オン 2.02g(10.2mmol)を滴下した。86℃にて5時間撹拌後、減圧下、オイルバス120℃にて溶媒を除去した。生成したイットリウム錯体(赤褐色粘状物)をフラスコに入れクーゲルロール精製装置に接続し、加熱温度210℃、23Paにて蒸留を行い、黄色液体を得た。得られた黄色液体は室温まで放冷して黄色固体を得た。得られた黄色固体は、1H-NMR及びICP-AESによる分析の結果、イットリウム化合物No.15であることを確認した。得られた黄色固体の分析結果を以下に示す。
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
0.908ppm(18H,broad)、1.393ppm(18H,singlet)、2.079ppm(3H,singlet)、3.239ppm(9H,singlet)、3.525ppm(6H,singlet)、5.269ppm(3H,singlet)、7.378ppm(3H,broad)
(2)ICP-AESによる元素分析結果
Y:12.8質量%(理論値:12.83質量%)、C:57.5質量%(理論値:57.21質量%)、H:10.0質量%(理論値:10.03質量%)、N:6.1質量%(理論値:6.07質量%)、O:13.6質量%(理論値:13.86質量%)
〔製造例5〕比較化合物1の製造
100mLの3つ口フラスコに、イットリウム-トリス-トリメチルシリルアミド 2.44g(4.28mmol)及び脱水トルエン 7.9gを加え、十分に混合させた。この懸濁液に室温にて5-アミノ-4-ヘプテン-3-オン1.91g(15.0mmol)を滴下した。87℃にて3時間撹拌後、減圧下、オイルバス111℃にて溶媒を除去した。生成したイットリウム錯体(橙色粘性液体)をフラスコに入れクーゲルロール精製装置に接続し、加熱温度215℃、50Paにて蒸留を行い、黄色粘性液体を得た。得られた黄色粘性液体は室温まで放冷して黄色固体を得た。得られた黄色固体について、1H-NMR及びICP-AESによる分析の結果、下記に示す比較化合物1であることを確認した。得られた黄色固体の分析結果を以下に示す。
(1)1H-NMR(重ベンゼン)
0.879-0.916ppm(9H,triplet)、1.232-1.270ppm(9H,triplet)、1.919-1.976ppm(6H,quartet)、2.306-2.363ppm(6H,quartet)、5.025-5.030ppm(3H,doublet)、7.614ppm(3H,singlet)
(2)ICP-AESによる元素分析結果
Y:18.9質量%(理論値:18.66質量%)、C:52.8質量%(理論値:52.93質量%)、H:9.4質量%(理論値:9.51質量%)、N:8.7質量%(理論値:8.82質量%)、O:10.2質量%(理論値:10.08質量%)
上記製造例1~5で製造したイットリウム化合物No.1、No.3、No.6、No.15及び比較化合物1を用いて、下記の評価を行った。
(1)融点評価
目視によって、常圧25℃における化合物の状態を観察し、固体化合物については、示差走査熱量計DSCを用いて、昇温速度10℃/分、走査温度範囲を30℃~600℃として測定し、得られたチャートにおいて、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、吸熱反応を示すピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度を融点として評価した。結果を表1に示す。
(2)減圧TG-DTA50質量%減少時の温度(℃)
TG-DTAを用いて、10Torr、アルゴン流量50mL/分、昇温速度10℃/分、走査温度範囲を30℃~600℃として測定し、試験化合物の質量が50質量%減少した時の温度(℃)を「減圧TG-DTA50質量%減少時の温度(℃)」として評価した。減圧TG-DTA50質量%減少時の温度(℃)が低いほど、低温で蒸気が得られることを示す。結果を表1に示す。
(3)熱分解開始温度(℃)
示差走査熱量計DSCを用いて、昇温速度10℃/分、走査温度範囲を30℃~600℃として測定したDSCチャートにおいて、発熱又は吸熱の開始点を熱分解開始温度(℃)として評価した。結果を表1に示す。
表1より、比較化合物1は、熱分解開始温度が267℃であり、熱安定性に乏しく薄膜形成用原料として、満足できるものではなかった。
これに対して、イットリウム化合物No.1、No.3、No.6及びNo.15は、低融点でありながら熱分解開始温度が300℃以上であり、優れた熱安定性を有することが確認できた。また、これらのイットリウム化合物は、減圧TG-DTA50質量%減少時の温度が230℃近傍であり、低い温度で蒸気が得られることが確認できた。これらの結果より、一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物は、薄膜形成用原料として有用であることが確認できた。なお、実施例3の化合物No.6の外観は、水ガラスに類似し流動性はなかった。
〔実施例5〕ALD法による薄膜の製造
イットリウム化合物No.15を薄膜形成用原料として用い、図1のALD装置を用い、下記の条件で、基体である二酸化ケイ素上に薄膜を製造した。X線光電子分光法を用いて薄膜の組成を分析したところ、薄膜は、イットリウム酸化物を含有する薄膜であり、残留炭素量は、検出限界である0.01atom%よりも少ないことを確認した。また、X線反射率法を用いて薄膜の膜厚を測定したところ、基体上に形成された薄膜は、膜厚20nmの平滑な膜であり、1サイクル当たりに得られる膜厚は、約0.05nmであった。
(条件)
製造方法:ALD法
反応温度(基体温度):300℃
反応性ガス:オゾン
(工程)
下記(1)~(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、400サイクル繰り返した。
(1)原料容器温度200℃、原料容器内圧力100Paの条件で薄膜形成用原料を気化して得られる原料ガスを成膜チャンバー内に導入し、系圧100Paで10秒間、基体表面に原料ガス中のイットリウム化合物を堆積させて前駆体薄膜を形成する。
(2)15秒間のアルゴンパージにより、堆積しなかった原料ガスを系内から排気する。
(3)反応性ガスを成膜チャンバー内に導入し、系圧力100Paで10秒間、前駆体薄膜と反応性ガスとを反応させる。
(4)15秒間のアルゴンパージにより、未反応の反応性ガス及び副生ガスを系内から排気する。
〔実施例6〕ALD法による薄膜の製造
イットリウム化合物No.3を薄膜形成用原料として用い、図1のALD装置を用い、下記の条件で、基体である二酸化ケイ素上に薄膜を製造した。X線光電子分光法を用いて薄膜の組成を分析したところ、薄膜は、イットリウム酸化物を含有する薄膜であり、残留炭素量は、検出限界である0.01atom%よりも少ないことを確認した。また、X線反射率法を用いて薄膜の膜厚を測定したところ、基体上に形成された薄膜は、膜厚16nmの平滑な膜であり、1サイクル当たりに得られる膜厚は、約0.04nmであった。
(条件)
製造方法:ALD法
反応温度(基体温度):300℃
反応性ガス:オゾン
(工程)
下記(1)~(4)からなる一連の工程を1サイクルとして、400サイクル繰り返した。
(1)原料容器温度200℃、原料容器内圧力100Paの条件で薄膜形成用原料を気化して得られる原料ガスを成膜チャンバー内に導入し、系圧100Paで10秒間、基体表面に原料ガス中のイットリウム化合物を堆積させて前駆体薄膜を形成する。
(2)15秒間のアルゴンパージにより、堆積しなかった原料ガスを系内から排気する。
(3)反応性ガスを成膜チャンバー内に導入し、系圧力100Paで10秒間、前駆体薄膜と反応性ガスとを反応させる。
(4)15秒間のアルゴンパージにより、未反応の反応性ガス及び副生ガスを系内から排気する。
〔比較例2〕ALD法による薄膜の製造
比較化合物1を薄膜形成用原料として用いたこと以外は、実施例5と同一条件で、基体である二酸化ケイ素上に薄膜を製造した。X線電子分光法を用いて薄膜の組成を分析したところ、薄膜は、イットリウム酸化物を含有する薄膜であったが、残留炭素が検出された。また、走査型電子顕微鏡法を用いて薄膜の状態を観察したところ、基体上に形成された薄膜は平滑ではなく、膜厚を計測できなかった。
以上より、本発明のイットリウム化合物を含有する薄膜形成用原料は、融点が低く、低い温度で蒸気が得られ、且つ熱安定性に優れている。そのため、本発明の薄膜形成用原料を用いて薄膜を製造した場合、残留炭素量が少ない高品質なイットリウム含有薄膜を製造することができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で表されるイットリウム化合物を含有する薄膜形成用原料。
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素原子数1~のアルキル基を表し、Rは、水素原子を表し、Rは、エチレン基又はプロパン-1,2-ジイル基を表し、Rは、メチル基を表し、複数のR、R、R、R及びRは、それぞれ同じものであってもよく異なるものであってもよい。)
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素原子数1~のアルキル基、メトキシイソプロピル基又はメトキシtert-ブチル基を表し、Rは、水素原子を表し、複数のR、R及びRは、それぞれ同じものであってもよく異なるものであってもよい。ただし、R及びRのうち少なくとも一つはメトキシイソプロピル基又はメトキシtert-ブチル基を表す。)
  2. 前記一般式(1)における、R及びRがイソプロピル基であり、Rが水素原子であり、Rがエチレン基であり、Rがメチル基であるイットリウム化合物、又は前記一般式(2)における、Rがメトキシtert-ブチル基であり、Rが水素原子であり、Rがイソプロピル基であるイットリウム化合物を含有する請求項1に記載の薄膜形成用原料。
  3. 請求項1又は2に記載の薄膜形成用原料を気化させた原料ガスを、基体が設置された成膜チャンバー内に導入する工程と、
    前記原料ガス中のイットリウム化合物を前記基体の表面に堆積させて前駆体薄膜を形成する工程と、
    反応性ガスを前記成膜チャンバー内に導入し、前記前駆体薄膜と前記反応性ガスとを反応させて、前記基体の表面にイットリウム原子を含有する薄膜を形成する工程と
    を含む薄膜の製造方法。
  4. 前記反応性ガスが、酸化性ガスであり、且つ前記イットリウム原子を含有する薄膜が、酸化イットリウムである請求項に記載の薄膜の製造方法。
  5. 前記酸化性ガスが、酸素、オゾン又は水蒸気を含有するガスである請求項に記載の薄膜の製造方法。
  6. 100℃~400℃の範囲で前記前駆体薄膜と前記反応性ガスとを反応させる請求項の何れか一項に記載の薄膜の製造方法。
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