JP7797487B2 - コンクリート圧送管 - Google Patents

コンクリート圧送管

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Description

本発明は、コンクリート圧送管に関する。
固まる前のフレッシュコンクリート(以下、単に「コンクリート」ともいう。)は、セメント、水、細骨材、粗骨材及び必要に応じて加える混和材料の混合物であり、液体としての性質と固体としての性質を併せ持っている。圧送する際には、フレッシュコンクリートは鋼管内で固体栓を形成し、管内壁と摩擦を生じながら圧送される。この際に、主に粗骨材が鋼管の中心に位置し、主に水やセメントペーストが鋼管の内壁側に位置し、内壁側に位置する水等が圧送の際に生じる摩擦抵抗を緩衝しつつ圧送が進行する。コンクリートの圧送性は、その種類などによって異なる。例えば、水分量が少ないなど粘性が高いものは摩擦抵抗が大きく鋼管の閉塞につながり、水分量が多いものは固体と液体が分離しやすく鋼管の閉塞や圧送されたコンクリートの品質低下を生じさせやすくなる。
一般的に、フレッシュコンクリートの圧送には、鋼管が用いられる(例えば、特許文献1参照)。鋼管は必要に応じてジョイントで接続され、任意の打設場所までフレッシュコンクリートを圧送する。直管である鋼管は、長さが1、2、3m程度であり、鋼管の耐圧性能が高いほど管壁が厚くなり重くなる。例えば、高圧用の3mの鋼管の場合、その重さは65kgほどになる。そのため、工事現場では一つの鋼管を複数人で扱うことが必要となる。
特開2019-085741号公報
仮にこのような鋼管を金属管以外の樹脂管で代替することが可能となれば、工事現場におけるコンクリート圧送管の施設の準備等が容易となり、作業効率の全体的な向上を見込むことが可能となる。しかしながら、金属管を有しないコンクリート圧送管では、重いフレッシュコンクリートを圧送することができる耐圧性能を有し、かつ、フレッシュコンクリートの圧送の際における摩耗に耐えることのできる圧送管を実現することは困難であると考えられていた。
また、従来の鋼管を使用した圧送方法では、鋼管をたたいてその音の変化により、フレッシュコンクリートが鋼管のどの位置まで圧送されているのかを確認する必要があり、圧送距離が長いほどこの確認作業に工数を要していた。より簡便にコンクリート圧送管の状況を確認することができれば、閉塞などの状況に早期に対処することが可能となり、より安全に打設作業を遂行することが可能となる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、金属管を有しないコンクリート圧送管であって、優れた圧送性能を有し、軽く、安全性に優れたコンクリート圧送管を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の特性を有する超高分子量ポリエチレンの円筒体を用いたコンクリート圧送管であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
金属管を備えないコンクリート圧送管であって、
樹脂からなる円筒体を有し、
該円筒体の内面の動摩擦係数が、0.07~0.30であり、
前記円筒体が25MPa耐水圧試験において破裂や漏れが発生せず、
前記円筒体の2mm厚試験片当たりの全光線透過率が、10%以上である、
コンクリート圧送管。
〔2〕
前記円筒体の内面の接触角が、55°以上である、
〔1〕に記載のコンクリート圧送管。
〔3〕
前記円筒体の内面のサンドスラリー摩耗法による摩耗量が、10mg以下である、
〔1〕又は〔2〕に記載のコンクリート圧送管。
〔4〕
ブラックパネル温度63℃±3℃で1200時間の促進暴露試験を行った後の前記円筒体の引張破断強度が、前記促進暴露試験前の引張破断強度100%に対して、50%以上であり、
前記促進暴露試験を行った後の前記円筒体の引張破断伸度が、前記促進暴露試験前の引張破断伸度100%に対して、50%以上である、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
〔5〕
樹脂からなる円筒体の両端部の外周面に、螺旋状の雄螺子溝又は円周溝を有する、
〔1〕~〔4〕のいずれか一項記載のコンクリート圧送管。
〔6〕
前記円筒体の単層管である、
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
〔7〕
前記円筒体の最大外径Rが100~250mmであり、
前記円筒体の内径rが70~170mmであり、
前記円筒体の厚さ(R-r)/2が、5~20mmである、
〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
〔8〕
前記円筒体の全長Lwが0.3~4mである、
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
〔9〕
前記雄螺子溝のピッチが、3~10mmである、
〔5〕に記載のコンクリート圧送管。
〔10〕
前記円筒体の端面と前記円周溝との間に形成されるフランジの最大外径R’2と、前記内径rの比R’2/rが、1.05~1.4である、
〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
〔11〕
前記樹脂が、超高分子量ポリエチレンを含む、
〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
〔12〕
前記樹脂に含まれる超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量が、10×104以上1000×104以下である、
〔11〕に記載のコンクリート圧送管。
〔13〕
前記円筒体が紫外線吸収剤をさらに含み、
該紫外線吸収剤の含有量が、前記円筒体の総量に対して、0.01~10質量%である、
〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
〔14〕
樹脂を中空の円筒形にスクリュー押出成形することにより、〔1〕~〔13〕のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管を製造する成形工程を有する、
コンクリート圧送管の製造方法。
本発明によれば、金属管を有しないコンクリート圧送管であって、優れた圧送性能を有し、軽く、安全性と取り扱い性に優れたコンクリート圧送管を提供することができる。
本実施形態のコンクリート圧送管を円筒の中心線で切断した断面図である。 本実施形態のコンクリート圧送管の使用時において、内部のコンクリートが視認できるイメージを示す図である。 本実施形態のコンクリート圧送管を接続した状態を示す断面図である。 本実施形態のコンクリート圧送管を接続した状態を示す他の断面図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔コンクリート圧送管〕
本実施形態のコンクリート圧送管は、金属管を備えないコンクリート圧送管であって、樹脂からなる円筒体を有し、該円筒体の内面の動摩擦係数が、0.07~0.15であり、前記円筒体が25MPa耐水圧試験において破裂や漏れが発生せず、前記円筒体の2mm厚試験片当たりの全光線透過率が、10%以上である。
従来、コンクリートの圧送には鋼管などの金属管が用いられてきた。これは、圧送されるコンクリートが重く、圧送には相応の圧力が必要であることから、安全な圧送には金属管が適していると考えられているからであると推察される。
しかしながら、金属管はコンクリートの圧送に適したものとはいえないことが分かってきた。例えば、金属管は一つ一つが重く、複数の作業員で事故が起こらないよう注意して取り扱う必要がある。そのため、作業の安全性と現場の作業工数の点から課題がある。
また、金属管とコンクリートの動摩擦係数は比較的に高いため、通常は先送り材を用いて金属管にコンクリートを送り込むが、先送り材の廃材量は多量であり、先送り材を使用する工数の削減ができず、また、先送り材の多量の廃棄コストを削減することができない。その上、動摩擦係数が高いことに起因して、圧送中にコンクリートの成分が分離し、圧送管出口から排出されるコンクリート組成が変動しやすい。このような変動が生じると建築物の強度等に大きな影響があるため、組成が変動したコンクリートは廃棄しなければならないため廃棄コストがさらに膨大になる。
さらに、金属管ではその内部を視認することが不可能であるため、コンクリートがコンクリート圧送管のどの位置まで到達したのかをすぐに確認することができず、コンクリートがコンクリート圧送管の途中で詰まり閉塞を生じていることに気が付くことができない。このような閉塞が生じると、コンクリート圧送管の破裂による事故が生じるほか、工数をかけて配置したコンクリート圧送管を破棄し、再配置させる必要があるため、作業が大幅に遅れる可能性がある。さらに、閉塞等が生じた場合の金属管の破裂は、予想できない位置で突然生じることも、作業上の危険性を増大させる。
これに対して、本実施形態のコンクリート圧送管は、従来の鋼管などの金属管を備えないコンクリート圧送管として、所定の特性を有する樹脂円筒体を用いる。鋼管などの金属管を備えないことにより、重く、取り扱い性に問題のあるコンクリート圧送管とは異なり、軽く、作業現場においてより安全に取り扱うことのできるコンクリート圧送管を実現することができる。
また、本実施形態のコンクリート圧送管は、所望の動摩擦係数を有することで、先送り材を使用する必要がない。そのため、先送り材を使用する工程自体を削減できるほか、先送り材の使用及び廃棄コストを大幅に削減することが可能である。また、圧送中にコンクリートの成分が分離することも抑制することができ、組成が変動したコンクリートの破棄にかかるコストも大幅に削減することができる。
その上、本実施形態においては、樹脂からなる円筒体を用いることにより、円筒体内の内容物の視認性も確保することが可能となる。これにより、仮に、コンクリートがコンクリート圧送管の途中で詰まっていた場合でも、閉塞をいち早く確認することが可能となり、破裂事故を抑制することができる。その上、樹脂円筒体は、内圧が高くなると破損する前に目視ですぐにわかる程度に外側に膨れる。これにより、現場の作業員は破裂する可能性のある位置をすぐに認識することができ、適切に退避することが可能となる。以下、本実施形態のコンクリート圧送管について詳説する。
図1に、本実施形態のコンクリート圧送管を円筒の中心線で切断した断面図を示す。コンクリート圧送管10は、樹脂からなる円筒体1を有し、その両端にジョイントで結合するためのフランジ2を有していてもよい。本実施形態のコンクリート圧送管10は、樹脂からなる円筒体を用いることにより、使用中において、円筒体内の内容物(コンクリート3)の視認性も確保することが可能となる(図2)。
(動摩擦係数)
樹脂からなる円筒体の内面の動摩擦係数は、0.07~0.30であり、好ましくは0.07~0.20であり、より好ましくは0.07~0.15である。内面の動摩擦係数が上記範囲内であることにより、先送り材の使用が不要となり、閉塞が生じにくく、排出されるコンクリート成分の変動をより抑制することができる。特に、後述する超高分子量ポリエチレンからなる円筒体内面において、動摩擦係数を、従来より極めて低い0.15以下の値とするためには、後述するスクリュー押出による成形を行うことが好ましい。
(耐水圧試験)
また、樹脂からなる円筒体は、25MPa耐水圧試験において破裂や漏れが発生しないものである。耐水圧性性能が上記範囲内であることにより、重いコンクリートを高圧力で圧送する場合であっても、金属管を使用する必要がない。なお、本実施形態において、「25MPa耐水圧試験において破裂や漏れが発生しない」とは、破裂と漏れの両方が生じないことを意味する。また、「25MPa耐水圧試験」とは、室温の水道水を加圧配管から円筒体に投入し、25MPaまで加圧を行い、2分経過後の漏れ、破裂の発生状態を確認する試験をいう。具体的な条件は実施例に記載する。
(全光線透過率)
円筒体の2mm厚試験片当たりの全光線透過率は、10%以上であり、好ましくは20~90%であり、より好ましくは30~80%であり、さらに好ましくは40~70%である。円筒体の2mm厚試験片当たりの全光線透過率が10%以上であることにより、内容物の視認性がより向上する傾向にある。円筒体の2mm厚試験片当たりの全光線透過率が90%以下であることにより、円筒体の機械強度がより向上する傾向にある。
(接触角)
円筒体の内面の接触角は、好ましくは55°以上であり、より好ましくは60°~90°であり、さらに好ましくは65°~85°である。円筒体の内面の接触角が55°以上であることにより、コンクリートに含まれる水成分をはじきやすくなる。金属管では水成分が金属管内面に張り付いて、管内の中心と外側で圧送速度が異なりやすく、排出されるコンクリートの組成に変動が生じる。しかし、本実施形態の円筒体では、このような変動を抑制することができるため、先送り材の使用が不要となり、また閉塞が生じにくく、排出されるコンクリート成分の変動がより抑制される傾向にある。
(摩耗量)
後述する、円筒体の内面のサンドスラリー摩耗法による摩耗量は、好ましくは10mg以下であり、より好ましくは8.0mg以下であり、さらに好ましくは5.0mg以下であり、最も好ましくは2.0mg以下である。円筒体の内面の摩耗量が10mg以下であることにより、耐摩耗性がより向上する傾向にある。円筒体の内面の摩耗量の下限は特に制限されないが、0mg以上である。
(引張破断強度)
ブラックパネル温度63℃±3℃で1200時間の促進暴露試験を行った後の円筒体の引張破断強度は、促進暴露試験前の引張破断強度100%に対して、好ましくは50%以上であり、より好ましくは75~150%であり、さらに好ましくは80~120%である。促進暴露試験を行った後の円筒体の引張破断強度が50%以上であることにより、直射日光下で、高温化で曝されるコンクリート圧送管の耐候性がより優れる傾向にある。
(引張破断伸度)
また、同様の観点から、上記促進暴露試験を行った後の円筒体の引張破断伸度は、促進暴露試験前の引張破断伸度100%に対して、好ましくは50%以上であり、好ましくは50%以上であり、より好ましくは75~150%であり、さらに好ましくは80~120%である。促進暴露試験を行った後の円筒体の引張破断伸度が50%以上であることにより、直射日光下で、高温化で曝されるコンクリート圧送管の耐候性がより優れる傾向にある。
(樹脂組成)
コンクリート圧送管を構成する樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。また、当該樹脂には、紫外線吸収剤などの添加材が添加されていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート、液晶ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、フッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、賦形性、二次加工性等の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。更に熱可塑性樹脂の中でも、安価であること、耐薬品性に優れること、加工性に優れること、素材の吸湿性・吸水性が低いこと等から、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に制限されないが、例えば、エチレンの単独重合体;エチレンとプロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1のような1種以上のα-オレフィンとの共重合体;エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどとの共重合体;プロピレンの単独重合体;プロピレンとエチレン、ブテン-1の様な1種以上のα-オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂の中でも、安価であること、摩擦係数が小さいこと、成形後の加工性に優れること、耐薬品性に優れること、素材自身の吸湿吸水性が低いこと等の理由から、ポリエチレンが最も好ましい。
ポリエチレンの密度は、好ましくは890~970kg/m3であり、より好ましくは900~960kg/m3であり、さらに好ましくは910~950kg/m3である。密度が890kg/m3以上であることにより、円筒体の剛性がより向上する傾向にある。また、密度が970kg/m3以下であることにより、取扱い性がより向上する傾向にある。ここで、ポリエチレンの密度は、JIS K 7112:1999に準拠し、密度勾配管法(23℃)により測定して得ることができる。
また、ポリエチレンの粘度平均分子量は、好ましくは10×104~1000×104であり、より好ましくは100×104~1000×104であり、さらに好ましくは300×104~1000×104である。ポリエチレンの粘度平均分子量が上記範囲内であることにより、耐摩耗性がより向上し、高い圧送圧に耐えうる十分な強度が得られる傾向にある。なお、上記のような粘度平均分子量を有するポリエチレンを、本実施形態においては「超高分子量ポリエチレン」という。
粘度平均分子量は、例えば、以下に示す方法によって求めることができる。まず、ポリエチレンをデカリン(デカヒドロナフタレン)に溶解させ、濃度の異なる複数の溶液を作成する。それらの溶液を135℃の恒温槽で、ウベローデタイプの粘度計を用いて、それぞれの還元粘度(ηsp/C)を求める。濃度(C)とポリマーの還元粘度(ηsp/C)の直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度([η])を求める。この極限粘度([η])から以下の式に従い、粘度平均分子量(Mv)を求めることができる。
Mv=5.34×104×[η]1.49
コンクリート圧送管は、原料樹脂が密度及び/又は粘度平均分子量等が異なるポリエチレンの混合原料であっても良く、ポリエチレンとポリエチレン以外の原料樹脂との混合原料であっても良い。
また、本実施形態のコンクリート圧送管は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色顔料、難燃剤等の各種添加剤を樹脂に添加してもよい。
(紫外線吸収剤)
本実施形態の円筒体は、必要に応じて、添加剤として紫外線吸収剤をさらに含んでもよい。紫外線吸収剤としては、樹脂に有害な波長領域の紫外線を吸収する物質であれば、特に限定されない。例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が含まれる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、例えば、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、例えば、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、例えば、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3、3'-ジフェニルアクリレート等が挙げられる。このなかでも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤がより好ましい。このような紫外線吸収剤を用いることにより、耐候性がより向上する傾向にある。なお、本実施形態において、耐候性とは、上記促進暴露試験を行ったときの物性低下に対する耐性をいう。
紫外線吸収剤の含有量は、円筒体の総量に対して、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.01~10質量%であり、さらに好ましくは0.01~10質量%である。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲内であることにより、耐候性がより向上する傾向にある。
〔外形〕
本実施形態の円筒体は、金属管を備えない樹脂製の管からなるものである。円筒体の構成としては、樹脂製の管からなり、多層の樹脂層からなる多層管や、単層の樹脂層からなる管に任意の内層を設けた多層管の他、単層の樹脂層からなる単層管が挙げられる。この中でも単層管であることが好ましい。なお、樹脂製の管からなる円筒体外周の一部に、破裂抑制の目的または移動時の持ち手とするために、金属帯を巻く態様もありえるが、このような態様でも、本発明における、金属管を備えない樹脂製のコンクリート圧送管に該当する。
円筒体の外径、内径、及び厚さは、従来のコンクリート圧送管に用いられる大きさであれば特に制限されない。例えば、最大外径Rは、好ましくは100~250mmであり、より好ましくは110~240mmであり、さらに好ましくは120~230mmである。円筒体の内径rは、好ましくは70~170mmであり、より好ましくは80~160mmであり、さらに好ましくは90~150mmである。このような円筒体を用いることで、大小さまざまな固形分を含むコンクリートを効率的に比較的多量に圧送することができ、圧送性能がより向上する傾向にある。
さらに、円筒体の厚さ(R-r)/2は、好ましくは5~20mmであり、より好ましくは7.5~17.5mmであり、さらに好ましくは10~15mmである。このような円筒体を用いることで、コンクリート圧送管の寿命がより長くなる傾向にある傾向にある。
また、円筒体の長さについても、従来のコンクリート圧送管に用いられる大きさであれば特に制限されない。例えば、円筒体の全長Lwは、好ましくは0.3~4mであり、より好ましくは1.5~3.7mであり、さらに好ましくは2.0~3.5mである。
図3に、一例として、本実施形態のコンクリート圧送管を接続した状態の断面図を示す。コンクリート圧送管10は、樹脂からなる円筒体1を有し、その両端にカップリング20を介してジョイント30で結合するための螺旋状の雄螺子溝40を有する。ここで、カップリング20は、ジョイント30が嵌合するための円周溝50と、円筒体1の両端の螺旋状の雄螺子溝40と螺合するための螺旋状の雌螺子溝60と、を有する。このような雄螺子溝40を設け、カップリング20を接続させることで、従来の鋼管に用いられていたジョイント30を流用することができる。カップリング20およびジョイント30は、樹脂からなるもので金属からなるものでもよい。なお、図3においてR’1は、雄螺子溝40の最大外径を示し、カップリング20の雌螺子溝60に適合するよう設計される。
ここで雄螺子溝40のピッチは、好ましくは3~10mmであり、より好ましくは3~9mmであり、さらに好ましくは3~8mmである。雄螺子溝40のピッチが上記範囲内であることにより、カップリング20と円筒体1との螺合部分の強度(耐圧性)が向上し、螺合部分における液漏れがより抑制される傾向にある。
また、図4に、別の例として、本実施形態のコンクリート圧送管を接続した状態の断面図を示す。図4におけるコンクリート圧送管10は、樹脂からなる円筒体1を有し、その両端にジョイント30で結合するための円周溝70を有する。より具体的には、円周溝70によりフランジ80が形成され、このフランジ80を用いてコンクリート圧送管10がジョイント30により結合される。このような円周溝70を設けることで、従来の鋼管に用いられていたジョイント30を流用することができる。
円筒体1の端面と円周溝70との間に形成されるフランジ80の最大外径R’2と、内径rの比R’2/rは、好ましくは1.05~1.4である。比R’2/rが上記範囲内であることにより、円筒体1の両端部の機械的強度が向上し、端部の破壊がより生じにくい傾向にある。
本実施形態のコンクリート圧送管10は、金属管を有さず、少なくとも最内層および最外層が樹脂からなる円筒体を用いることにより、使用中において、円筒体内の内容物(コンクリート)の視認性も確保することが可能となる。
樹脂からなる円筒体は、射出成形、押出成形等、公知の方法で製造することができ、中実の円筒状に成型した後に中をくりぬいてもよく、中空の円筒状に成型することもできる。ただし前述した、紫外線吸収剤を含有し、粘度平均分子量が10×104~1000×104である超高分子量ポリエチレンからなる円筒体は、中空状に押出成形することが好ましく、特に、スクリュー押出成形による方法が好ましい。この方法であれば、一般的な樹脂より円筒状への成型が困難な超高分子量ポリエチレン樹脂を、長尺でかつ内周面の平滑性が高い円筒体とすることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<耐水圧試験>
実施例のコンクリート圧送管および比較例の鋼管の耐水圧を、鋼管の高圧試験に準拠して確認した。具体的には、長さ1000mmの圧送管両端を、加圧配管が内蔵された封止プラグで留め、封止治具に固定した。室温の水道水を加圧配管から圧送管に投入し、装置からの圧力が25MPaになるまで加圧を行い、5分経過後の漏れ、破裂の発生状態を目視および圧力測定により確認した。
実施例のコンクリート圧送管については、更に装置圧力を180MPaまで上昇させ、2分経過後の漏れ、膨らみ及び破裂の発生状態を目視および圧力測定により確認した。
<動摩擦係数>
実施例のコンクリート圧送管および比較例の鋼管それぞれを切削し、外径25.6×内径20mm×長さ15mmの試験片を作製した。得られた試験片の動摩擦係数をJIS7218に準拠して確認した。具体的には、スラスト摩耗法により、面圧0.83kg/cm2、線速度6.2cm/secの条件で、鋼(S45C)と摩擦させて測定した。
<接触角の評価方法>
実施例のコンクリート圧送管および比較例の鋼管それぞれを切削し、大きさ50×50mmの平板を作成した。静的液滴法にて、水に対する接触角を測定した。具体的には、平板に水を20μl滴下した時の接触角を顕微鏡で観察し、その接触角を計測した。
<摩耗量の評価方法>
実施例及び比較例のコンクリート圧送管および鋼管を切削し、厚み4mm、65mm×30mmの直方体試験片を作製した。その後、サンドスラリー摩耗法により、摩耗量を測定した。より具体的には、使用する研削材(昭和電工製ホワイトモランダム♯20)と水を1:1の割合で混合して作成したサンドスラリーを容器に入れ、シャフトに垂直に固定された試験片2枚をサンドスラリー面から10mm以上埋まるようにして、拡販羽根のように回転させた。回転速度は250rpmとした。6×104回回転後、18×104回回転後それぞれの試験片重量を測定し、6×104回回転後の試験片の重量から、18×104回回転後の重量を引いた値を摩耗量とした。3試験片について測定した平均値を当該材料の摩耗量とした。
参考に、一般的な材料の摩耗量を以下に示す。
キャストナイロン: 5.6mg
高密度ポリエチレン: 7.7mg
ナイロン66: 8.3mg
ポリウレタン: 8.4mg
フッ素樹脂: 9.0mg
SUS: 9.8mg
ポリプロピレン: 20.4mg
ポリアセタール: 24.0mg
ベークライト: 27.8mg
黄銅: 45.0mg
低密度ポリエチレン: 48.2mg
<全光線透過率の評価方法>
実施例及び比較例のコンクリート圧送管を切削し、厚み2mmの試験片を作製した。その後、JIS-K-7361(全光線透過率測定規格)及びJIS-K-7136(ヘイズ測定規格)に従い、試験片の全光線透過率を評価した。具体的には、村上色彩技術研究所製 HAZEMATER HM-150を用い、外部ヘイズと内部ヘイズ(石英セルに加え純水で凹凸を防止)、両方の全光線透過率(%)を測定した。
<促進暴露試験の方法>
実施例及び比較例のコンクリート圧送管を切削し、試験片を作製した。得られた試験片に対して、サンシャインカーボンアーク式促進試験を行い、試験前後の引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。具体的には、スガ試験機製 サンシャインウェザーメーター(ウェザオメーターという場合もあるようです)を用い、JIS-B-7753に従い、ブラックパネル温度63℃(±3℃)、湿度50%(±5%)、降雨有(120分サイクル;102分ドライ+18分降雨)条件で1200時間暴露試験を行った。
上記試験前後の試験片を用いて、JIS K 7127:1999(プラスチックの引張特性の試験方法)及びJIS Z 2241:2011(金属材料の引張特性の試験方法)に準拠して、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
<初期圧送試験の方法>
コンクリートポンプ車に、実施例又は比較例のコンクリート圧送管をそれぞれジョイントで3本ずつ接続して、表2に記載の条件下でコンクリートの圧送試験を行った。なお、圧送したコンクリートとしては、普通コンクリートを用いた。また、先送り材を使用する場合、その先送り材としては、モルタルを用いた。先送り材は、コンクリート圧送に先立ってコンクリート圧送管に1000kg導入し、コンクリート圧送管の他端から先送り材を排出することで、コンクリート圧送管の内面に付着させた。ポンプ車からコンクリートを圧送管に供給し、初期圧1.5MPa、速度10m3/hで2m3圧送したときの圧送状態を観察した。
<圧送状態>
表2に記載の条件で、2m3圧送するまでに圧送管内に閉塞が発生するかを確認し圧送状態を評価した。閉塞が発生しなければ「良好」、閉塞により圧送完了できなければ「閉塞」とした。
<コンクリート通過位置の目視確認>
圧送試験において、晴天下、コンクリート圧送管の外から目視にて内部のコンクリートの位置確認を行い、視認性を評価した。
<打設目安量評価試験>
初期圧送試験に引き続き、同条件でコンクリートを計5000m3まで圧送して、以下の評価を行った。なお、長期間の圧送により閉塞が発生しかかった時には、圧力を25MPaまで一旦上昇させ、閉塞が解消されれば元条件に戻して圧送を継続した。閉塞が解消されない場合はその時点で試験終了した。
<液漏れ>
表2に記載の条件で、5000m3圧送するまでに、コンクリート圧送管の接続部であるジョイントからのコンクリートの液漏れが生じているかについて確認し、液漏れしているか否かを評価した。
<排出されるコンクリートの性状>
表2に記載の条件で、5000m3圧送するまでに、排出されるコンクリートの組成に変動があるか否かを確認し、排出されるコンクリートの性状について評価した。
<破裂予測・胴膨れ>
表2に記載の条件で、5000m3圧送するまでに、コンクリート圧送管の胴部に膨らみが発生しているかについて確認した。膨らみの発生を目視できたときは、圧送を継続して当該箇所が破裂するまでの圧送量を測定し、「胴膨れ後の圧送可能量」とした。
〔実施例1〕
超高分子量ポリエチレンパウダー(旭化成株式会社製、サンファインUH910)を用いて、中空の円筒状にスクリュー押出成形することにより、長さ3mの円筒体を成型した。この際、紫外線吸収剤、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールをポリエチレンに対して3000ppm(0.3質量%)添加した。得られた円筒体の両端部外周には、金属製カップリングを接合させるために、図3に示す螺旋状の雄螺子溝を設けた。雄螺子溝のピッチは5mmであった。得られた円筒体を、コンクリート圧送管として用いた。
〔実施例2〕
紫外線吸収剤を含有させない以外は実施例1と同様にして、円筒体を成型し、コンクリート圧送管として用いた。
〔実施例3〕
得られた円筒体の両端部に、ジョイントを結合させるためのフランジを形成するために、図4に示す円周溝を形成させた以外は、実施例1と同様にして円筒体を成型し、コンクリート圧送管として用いた。溝部の外径は144mm、端部の外径R’2は148mmであり、R’2/rは1.113であった。
〔比較例1〕
市販の鋼管(ライネックス(株)社製、製品名グリーンライン)を比較例のコンクリート圧送管として用いた。
※1:合格:破裂や漏れが発生しない。
※2:破裂する危険性が極めて高く評価不可能
※3:廃材数量:コンクリートの圧送に先立ち使用した先送り材の廃材量である。
※4:「あり」の場合には、破裂が事前に予測でき、作業者が現場から退避することができる。一方で、「なし」の場合には、破裂予測できず、作業者が危険にさらされる。
本発明のコンクリート圧送管は、コンクリートの圧送を行う現場において産業上の利用可能性を有する。
1…円筒体、2…フランジ、10…コンクリート圧送管、20…カップリング、30…ジョイント、40…雄螺子溝、50…円周溝、60…雌螺子溝、70…円周溝、80…フランジ

Claims (10)

  1. 金属管を備えないコンクリート圧送管であって、
    樹脂からなる円筒体を有し、
    前記樹脂が、粘度平均分子量が10×104以上1000×104以下である超高分子量ポリエチレンを含み、
    該円筒体の内面の動摩擦係数が、0.07~0.15であり、
    前記円筒体が25MPa耐水圧試験において破裂や漏れが発生せず、
    前記円筒体の2mm厚試験片当たりの全光線透過率が、10%以上であり、
    前記円筒体の内面の接触角が、55°以上である、
    コンクリート圧送管。
  2. 前記円筒体の内面のサンドスラリー摩耗法による摩耗量が、10mg以下である、
    請求項1に記載のコンクリート圧送管。
  3. ブラックパネル温度63℃±3℃で1200時間の促進暴露試験を行った後の前記円筒体の引張破断強度が、前記促進暴露試験前の引張破断強度100%に対して、50%以上であり、
    前記促進暴露試験を行った後の前記円筒体の引張破断伸度が、前記促進暴露試験前の引張破断伸度100%に対して、50%以上である、
    請求項1又は2に記載のコンクリート圧送管。
  4. 少なくとも最内層および最外層が樹脂からなる円筒体の両端部の外周面に、螺旋状の雄螺子溝又は円周溝を有する、請求項1~3のいずれか一項記載のコンクリート圧送管。
  5. 前記円筒体の単層管である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
  6. 前記円筒体の全長Lwが0.3~4mである、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
  7. 前記雄螺子溝のピッチが、3~10mmである、
    請求項4に記載のコンクリート圧送管。
  8. 前記円筒体の端面と前記円周溝との間に形成されるフランジの最大外径R'2と、前記円筒体の内径rの比R'2/rが、1.05~1.4である、
    請求項4に記載のコンクリート圧送管。
  9. 前記円筒体が紫外線吸収剤をさらに含み、
    該紫外線吸収剤の含有量が、前記円筒体の総量に対して、0.01~10質量%である、
    請求項1~8のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管。
  10. 粘度平均分子量が10×104以上1000×104以下である超高分子量ポリエチレンを中空の円筒形にスクリュー押出成形することにより、請求項1~のいずれか一項に記載のコンクリート圧送管を製造する成形工程を有する、
    コンクリート圧送管の製造方法。
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