以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は実施例の説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものには、同一の符号を付与し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
以下の実施例は、映像発光源からの映像光による映像を、ガラス等の空間を仕切る透明な部材を介して透過して、前記透明な部材の外部に空中浮遊映像として表示することが可能な映像表示装置に関する。なお、以下の実施例の説明において、空中に浮遊する映像を「空中浮遊映像」という用語で表現している。この用語の代わりに、「空中像」、「空間像」、「空間浮遊映像」、「表示映像の空間浮遊光学像」、「表示映像の空中浮遊光学像」などと表現してもかまわない。実施例の説明で主として用いる「空中浮遊映像」との用語は、これらの用語の代表例として用いている。
以下の実施例によれば、例えば、銀行のATMや駅の券売機やデジタルサイネージ等において好適な映像表示装置を実現できる。例えば、現状、銀行のATMや駅の券売機等では、通常、タッチパネルが用いられているが、透明なガラス面や光透過性の板材を用いて、このガラス面や光透過性の板材上に高解像度な映像情報を空中浮遊した状態で表示可能となる。また、例えば、車両において車両内部および/または外部において視認可能である、いわゆる、一方向性の空中映像表示が可能な車両用空中浮遊映像表示装置を提供することができる。本映像表示装置において、好適な画像処理手法を適用することで、空中浮遊映像全面における鮮鋭感を同程度になるように補正することが可能である。本画像処理手法により、空中浮遊映像に対する入力操作の精度を改善する。
図1は、本発明の一実施例に係る空中浮遊映像表示装置の使用形態の一例を示す図であり、本実施例に係る空中浮遊映像表示装置の全体構成を示す図である。空中浮遊映像表示装置の具体的な構成については、図2等を用いて詳述するが、空中浮遊映像表示装置1000から再帰性反射による集束性の映像光束が出射され、透明な部材100(ガラス等)を透過して、ガラス面の外側に、実像である空中像(空中浮遊映像3)を形成する。空中浮遊映像3では、入力操作4に対する応答を反映させることができる。なお、以下の実施例においては、結像面に対して右方向をx、下(上)方向をy、奥行き方向をzとした3軸を、結像面の端点30を原点として、各構成図における共通化された座標系として設定する。同様に、空中浮遊映像表示装置1000の幅方向をa、奥行き方向をb、高さ方向をcとした3軸を各構成図における共通化された座標系として設定する。空中浮遊映像表示装置及び出力空中浮遊映像に関する説明図面では、各図に対応する方向を示した本座標系としてxyz方向軸及びabc方向軸が記載されている場合がある。
図2は、本発明の一実施例に係る空中浮遊映像表示装置の主要部構成と再帰反射部構成の一例を示す図である。ガラス等の透明な部材100の斜め方向には、特定の映像光を発散させる表示装置10を備える。表示装置10は、液晶表示パネル11と、固有の拡散特性を有する光を生成する光源装置13とを備えている。
表示装置10から出射された光束を代表する主光線20は、y方向に進行し、再帰性反射板5に対して入射角α(例えば、45°)で入射する。再帰性反射板5は、少なくとも光線を一部の方向について再帰性反射する光学特性を有する光学部材である。また、反射後の光線は結像する光学特性を有するため、再帰性反射板5は結像光学部材または結像光学プレートと表現してもよい。再帰性反射板5の具体的な構成については、図3A、図3B等を用いて詳述するが、再帰性反射板5によって、主光線20は、c方向に進行しつつ、a、b方向に関して再帰性反射される。これにより、反射光線21は、z方向に進行し、透明な部材100を透過して、結像面において実像として空中浮遊映像3を形成する。
空中浮遊映像3を形成する光束は、再帰性反射板5から空中浮遊映像3の光学像へ収束する光線の集合であり、これらの光線は、空中浮遊映像3の光学像を通過後も直進する。よって、空中浮遊映像3は、一般的なプロジェクタなどでスクリーン上に形成される拡散映像とは異なり、高い指向性を有する映像である。よって、図2の構成では、矢印Aの方向からユーザが視認する場合は、空中浮遊映像3は、明るい映像として視認される。しかし、矢印Bの方向から他の人物が視認する場合は、空中浮遊映像3は、映像として一切視認することはできない。この特性は、高いセキュリティが求められる映像や、ユーザに正対する人物には秘匿したい秘匿性の高い映像を表示するシステムに採用する場合に好適である。
図3A、図3Bを用いて再帰性反射板5の構成の一例について説明する。再帰性反射板5は、透明な部材50の表面に、複数のコーナーリフレクタ40を、アレイ状に配列した構成となっている。コーナーリフレクタ40の具体的な構成については、図4A、図4B、図4Cを用いて詳述するが、光源110から出射された光線111、112、113、114は、コーナーリフレクタ40の2つの鏡面41、42によって2回反射され、反射光線121、122、123、124となる。この2回反射は、a、b方向に関しては、入射方向と同一方向に折り返す(180°回転した方向に進む)再帰性反射となっており、c方向に関しては、全反射により入射角と反射角が一致する正反射となる。すなわち、光線111~114は、コーナーリフレクタ40に対してc方向に対称な直線上に、反射光線121~124を生じ、空中実像120を結像する。なお、光源110から出射される光線111~114は、光源110からの拡散光を代表した4光線であり、光源110の拡散特性によっては、再帰性反射板5に入射する光線はこれらに限定されないが、いずれの入射光線も同様の反射を引き起こし、空中実像120を結像する。なお、図面を見やすくするために、光源110の位置と空中実像120のa方向の位置をずらして表記しているが、実際は光源110の位置と空中実像120のa方向の位置は同じ位置であり、c方向から見ると重なった位置になる。
次に、図4A、図4B、図4Cにて再帰性反射板5を構成するコーナーリフレクタ40の構成及び効果について説明する。コーナーリフレクタ40は、特定の2つの面のみが鏡面41、42となっており、それ以外の4面は透明な部材で形成された、直方体である。再帰性反射板5は、このコーナーリフレクタ40が、その対応する鏡面が同一方向を向くようにアレイ配列された構成を有している。
上面(+c方向)から見ると、光源110から出射される光線111は、特定の入射角で鏡面41(又は鏡面42)に入射し、反射点130にて全反射された後、鏡面42(又は鏡面41)上の反射点132で再度全反射される。光線111の、鏡面41(又は鏡面42)に対する入射角をθとすると、鏡面41(又は鏡面42)で反射された、第一の反射光線131の、鏡面42(又は鏡面41)に対する入射角は、90°-θと表すことができる。したがって、光線111に対して、第二の反射光線121は、1回目の反射によって2θ、2回目の反射によって2×(90°-θ)の回転を得るため、合計で180°の反転光路となる。一方、側面(-aと-bの中間方向)から見ると、c方向に対する全反射は、1回のみしか生じない。したがって、鏡面41又は鏡面42に対する入射角をφとすると、光線111に対して、反射光線121は、1回の反射によって2×φの回転を得る。
以上より、コーナーリフレクタ40に入射する光線は、a、b方向には反転光路となる再帰性反射を生じ、c方向には全反射による正反射となる。再帰性反射板5を考えると、各光路においても同様の反射を引き起こすので、a、b方向に対しては収束性を持った反転光路によって、c軸方向に対して対称な点に結像する。映像出力部10からの光線により結像した空中浮遊像の解像度は、液晶表示パネル11の解像度の他に、図3A、図3Bで示す再帰性反射板5の再帰反射部の直径DとピッチP(図示なし)に大きく依存する。例えば、7インチのWUXGA(1920×1200画素)液晶表示パネルを用いる場合には、1画素(1トリプレット)が約80μmであっても、例えば再帰反射部の直径Dが240μmでピッチPが300μmであれば、空中浮遊像の1画素は300μm相当となる。このため、空中浮遊映像の実効的な解像度は1/3程度に低下する。
そこで、空中浮遊映像の解像度を表示装置10の解像度と同等にするためには、再帰反射部の直径DとピッチPを液晶表示パネルの1画素に近づけることが望まれる。他方、再帰性反射板と液晶表示パネルの画素によるモアレの発生を抑えるため、それぞれのピッチ比を1画素の整数倍から外して設計するとよい。また、形状は、再帰反射部のいずれの一辺も液晶表示パネルの1画素のいずれの一辺と重ならないように配置するとよい。
なお、本実施例に係る再帰性反射板(結像光学プレート)の形状は上述の例に限られない。再帰性反射を実現するさまざまな形状を有してよい。具体的には、各種キュービックコーナ体でもよく、スリットミラーアレイ、その反射面の組み合わせを周期的に配置した形状でもよい。または、ガラスビーズを周期的に配置したカプセルレンズ型再帰性反射素子を、本実施例の再帰性反射板の表面に備えてもよい。これらの再帰性反射素子の詳細な構成は、既存の技術を用いればよいので、詳細な説明は省略する。具体的には、特開2017-33005号公報、特開2019-133110号公報などに開示される技術を用いればよい。
続いて、空中浮遊映像表示装置1000の内部構成のブロック図について説明する。図5は、空中浮遊映像表示装置1000の内部構成の一例を示すブロック図である。
空中浮遊映像表示装置1000は、再帰反射部1101、映像表示部1102、導光体1104、光源1105、電源1106、外部電源入力インタフェース1111、操作入力部1107、不揮発性メモリ1108、メモリ1109、制御部1110、映像信号入力部1131、音声信号入力部1133、通信部1132、空中操作検出センサ1351、空中操作検出部1350、音声出力部1140、映像制御部1160、ストレージ部1170、撮像部1180等を備えている。なお、リムーバブルメディアインタフェース1134、姿勢センサ1113、透過型自発光映像表示装置1650、第2の表示装置1680、または二次電池1112などを備えてもよい。
空中浮遊映像表示装置1000の各構成要素は、筐体1190に配置されている。なお、撮像部1180および空中操作検出センサ1351は、筐体1190の外側に設けられてもよい。
図5の再帰反射部1101は、図2の再帰性反射板5に対応している。再帰反射部1101は、映像表示部1102により変調された光を再帰性反射する。再帰反射部1101からの反射光のうち、空中浮遊映像表示装置1000の外部に出力された光により空中浮遊映像3が形成される。
図5の映像表示部1102は、図2の液晶表示パネル11に対応している。図5の光源1105と図5の導光体1104は、図2の光源装置13に含まれている対応関係となる。
映像表示部1102は、後述する映像制御部1160による制御により入力される映像信号に基づいて、透過する光を変調して映像を生成する表示部である。映像表示部1102は、図2の液晶表示パネル11に対応している。映像表示部1102として、例えば透過型液晶パネルが用いられる。また、映像表示部1102として、例えば反射する光を変調する方式の反射型液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device:登録商標)パネル等が用いられてもよい。
光源1105は、映像表示部1102用の光を発生するものであり、LED光源、レーザ光源等の固体光源である。電源1106は、外部から外部電源入力インタフェース1111介して入力されるAC電流をDC電流に変換し、光源1105に電力を供給する。また、電源1106は、空中浮遊映像表示装置1000内の各部に、それぞれ必要なDC電流を供給する。二次電池1112は、電源1106から供給される電力を蓄電する。また、二次電池1112は、外部電源入力インタフェース1111を介して、外部から電力が供給されない場合に、光源1105およびその他電力を必要とする構成に対して電力を供給する。すなわち、空中浮遊映像表示装置1000が二次電池1112を備える場合は、外部から電力が供給されない場合でもユーザは空中浮遊映像表示装置1000を使用することが可能となる。
導光体1104は、光源1105で発生した光を導光し、映像表示部1102に照射させる。導光体1104と光源1105とを組み合わせたものを、映像表示部1102のバックライトと称することもできる。導光体1104は、主にガラスを用いた構成にしてもよい。導光体1104は、主にプラスチックを用いた構成にしてもよい。導光体1104は、ミラーを用いた構成にしてもよい。導光体1104と光源1105との組み合わせには、さまざまな方式が考えられる。導光体1104と光源1105との組み合わせについての具体的な構成例については、後で詳しく説明する。
空中操作検出センサ1351は、ユーザの指による空中浮遊映像3の操作を検出するセンサである。空中操作検出センサ1351は、例えば空中浮遊映像3の表示範囲の全部と重畳する範囲をセンシングする。なお、空中操作検出センサ1351は、空中浮遊映像3の表示範囲の少なくとも一部と重畳する範囲のみをセンシングしてもよい。
空中操作検出センサ1351の具体例としては、赤外線などの非可視光、非可視光レーザ、超音波等を用いた距離センサが挙げられる。また、空中操作検出センサ1351は、複数のセンサを組み合わせ、2次元平面の座標を検出できるように構成されたものでもよい。また、空中操作検出センサ1351は、ToF(Time of Flight)方式のLiDAR(Light Detection and Ranging)や、画像センサで構成されてもよい。
空中操作検出センサ1351は、ユーザが指で空中浮遊映像3として表示されるオブジェクトに対するタッチ操作等を検出するためのセンシングができればよい。このようなセンシングは、既存の技術を用いて行うことができる。
空中操作検出部1350は、空中操作検出センサ1351からセンシング信号を取得し、センシング信号に基づいてユーザの指による空中浮遊映像3のオブジェクトに対する接触の有無や、ユーザの指とオブジェクトとが接触した位置(接触位置)の算出等を行う。空中操作検出部1350は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路で構成される。また、空中操作検出部1350の一部の機能は、例えば制御部1110で実行される空中操作検出用プログラムによりソフトウェアで実現されてもよい。
空中操作検出センサ1351および空中操作検出部1350は、空中浮遊映像表示装置1000に内蔵された構成としてもよいが、空中浮遊映像表示装置1000の外部に設けられてもよい。空中浮遊映像表示装置1000の外部に設ける場合、空中操作検出センサ1351および空中操作検出部1350は、有線または無線の通信接続路や映像信号伝送路を介して空中浮遊映像表示装置1000に情報や信号を伝達できるように構成される。
また、空中操作検出センサ1351および空中操作検出部1350は、空中浮遊映像表示装置1000と別体で設けられてもよい。これにより、空中操作検出機能の無い空中浮遊映像表示装置1000を本体として、空中操作検出機能のみをオプションで追加できるようなシステムを構築することが可能である。また、空中操作検出センサ1351のみを別体とし、空中操作検出部1350が空中浮遊映像表示装置1000に内蔵された構成でもよい。空中浮遊映像表示装置1000の設置位置に対して空中操作検出センサ1351をより自由に配置したい場合等には、空中操作検出センサ1351のみを別体とする構成に利点がある。
撮像部1180は、イメージセンサを有するカメラであり、空中浮遊映像3付近の空間、および/またはユーザの顔、腕、指などを撮像する。撮像部1180は、複数設けられてもよい。また、撮像部1180は、深度センサ付きであってもよい。複数の撮像部1180を用いることで、あるいは深度センサ付きの撮像部1180を用いることで、ユーザによる空中浮遊映像3のタッチ操作の検出処理の際、空中操作検出部1350を補助することができる。撮像部1180は、空中浮遊映像表示装置1000と別体で設けられてもよい。撮像部1180を空中浮遊映像表示装置1000と別体で設ける場合、有線または無線の通信接続路などを介して空中浮遊映像表示装置1000に撮像信号を伝達できるように構成すればよい。
例えば、空中操作検出センサ1351が、空中浮遊映像3の表示面を含む平面(侵入検出平面)を対象として、この侵入検出平面内への物体の侵入の有無を検出する物体侵入センサとして構成された場合、侵入検出平面内に侵入していない物体(例えば、ユーザの指)が侵入検出平面からどれだけ離れているのか、あるいは物体が侵入検出平面にどれだけ近いのかといった情報を、空中操作検出センサ1351では検出できない場合がある。
このような場合、複数の撮像部1180の撮像画像に基づく物体の深度算出情報や深度センサによる物体の深度情報等の情報を用いることにより、物体と侵入検出平面との距離を算出することができる。そして、これらの情報や、物体と侵入検出平面との距離等の各種情報は、空中浮遊映像3に対する各種表示制御に用いられる。
また、空中操作検出センサ1351を用いずに、撮像部1180の撮像画像に基づき、空中操作検出部1350がユーザによる空中浮遊映像3のタッチ操作を検出するようにしてもよい。
また、撮像部1180が空中浮遊映像3を操作するユーザの顔を撮像し、制御部1110がユーザの識別処理を行うようにしてもよい。また、空中浮遊映像3を操作するユーザの周辺や背後に他人が立っており、他人が空中浮遊映像3に対するユーザの操作を覗き見ていないか等を判別するため、撮像部1180は、空中浮遊映像3を操作するユーザと、ユーザの周辺領域とを含めた範囲を撮像するようにしてもよい。
操作入力部1107は、例えば操作ボタンや、リモートコントローラ等の信号受信部または赤外光受光部であり、ユーザによる空中操作(タッチ操作)とは異なる操作についての信号を入力する。空中浮遊映像3をタッチ操作する前述のユーザとは別に、操作入力部1107は、例えば管理者が空中浮遊映像表示装置1000を操作するために用いられてもよい。
映像信号入力部1131は、外部の映像出力装置を接続して映像データを入力する。映像信号入力部1131は、さまざまなデジタル映像入力インタフェースが考えられる。例えば、映像信号入力部1131は、HDMI(登録商標)(High―Definition Multimedia Interface)規格の映像入力インタフェース、DVI(Digital Visual Interface)規格の映像入力インタフェース、またはDisplayPort規格の映像入力インタフェースなどで構成すればよい。または、アナログRGBや、コンポジットビデオなどのアナログ映像入力インタフェースを設けてもよい。音声信号入力部1133は、外部の音声出力装置を接続して音声データを入力する。音声信号入力部1133は、例えば、HDMI規格の音声入力インタフェース、光デジタル端子インタフェース、または、同軸デジタル端子インタフェース、などで構成すればよい。HDMI規格のインタフェースの場合は、映像信号入力部1131と音声信号入力部1133とは、端子およびケーブルが一体化したインタフェースとして構成されてもよい。音声出力部1140は、音声信号入力部1133に入力された音声データに基づいた音声を出力することが可能である。音声出力部1140は、スピーカーで構成してもよい。また、音声出力部1140は、内蔵の操作音やエラー警告音を出力してもよい。または、HDMI規格に規定されるAudio Return Channel機能のように、外部機器にデジタル信号として出力する構成を音声出力部1140としてもよい。
不揮発性メモリ1108は、空中浮遊映像表示装置1000で用いる各種データを格納する。不揮発性メモリ1108に格納されるデータには、例えば、空中浮遊映像3に表示する各種操作用のデータ、表示アイコン、ユーザが操作するためのオブジェクトのデータやレイアウト情報等が含まれる。メモリ1109は、空中浮遊映像3として表示する映像データや装置の制御用データ等を記憶する。
制御部1110は、接続される各部の動作を制御する。また、制御部1110は、メモリ1109に記憶されるプログラムと協働して、空中浮遊映像表示装置1000内の各部から取得した情報に基づく演算処理を行ってもよい。
また、リムーバブルメディアインタフェース1134は、着脱可能な記録媒体(リムーバブルメディア)を接続するインタフェースである。着脱可能な記録媒体は、ソリッドステートドライブ(SSD)などの半導体素子メモリ、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記録媒体記録装置、または光ディスクなどの光学記録メディアなどで構成してもよい。リムーバブルメディアインタフェース1134は着脱可能な記録媒体に記録されている、映像データ、画像データ、音声データ等の各種データなどの各種情報を読み出すことが可能である。着脱可能な記録媒体に記録された映像データ、画像データ等は、映像表示部1102と再帰反射部1101とを介して空中浮遊映像3として出力される。
ストレージ部1170は、映像データ、画像データ、音声データ等の各種データなどの各種情報を記録する記憶装置である。ストレージ部1170は、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記録媒体記録装置や、ソリッドステートドライブ(SSD)などの半導体素子メモリで構成してもよい。ストレージ部1170には、例えば、製品出荷時に予め映像データ、画像データ、音声データ等の各種データ等の各種情報が記録されていてもよい。また、ストレージ部1170は、通信部1132を介して外部機器や外部のサーバ等から取得した映像データ、画像データ、音声データ等の各種データ等の各種情報を記録してもよい。
ストレージ部1170に記録された映像データ、画像データ等は、映像表示部1102と再帰反射部1101とを介して空中浮遊映像3として出力される。空中浮遊映像3として表示される、表示アイコンやユーザが操作するためのオブジェクト等の映像データ、画像データ等も、ストレージ部1170に記録される。
空中浮遊映像3として表示される表示アイコンやオブジェクト等のレイアウト情報や、オブジェクトに関する各種メタデータの情報等もストレージ部1170に記録される。ストレージ部1170に記録された音声データは、例えば音声出力部1140から音声として出力される。
映像制御部1160は、映像表示部1102に入力する映像信号に関する各種制御を行う。映像制御部1160は、映像処理回路と称してもよく、例えば、ASIC、FPGA、映像用プロセッサなどのハードウェアで構成されてもよい。なお、映像制御部1160は、映像処理部、画像処理部と称してもよい。映像制御部1160は、例えば、メモリ1109に記憶させる映像信号と、映像信号入力部1131に入力された映像信号(映像データ)等のうち、どの映像信号を映像表示部1102に入力するかといった映像切り替えの制御等を行う。
また、映像制御部1160は、メモリ1109に記憶させる映像信号と、映像信号入力部1131から入力された映像信号とを重畳した重畳映像信号を生成し、重畳映像信号を映像表示部1102に入力することで、合成映像を空中浮遊映像3として形成する制御を行ってもよい。
また、映像制御部1160は、映像信号入力部1131から入力された映像信号やメモリ1109に記憶させる映像信号等に対して画像処理を行う制御を行ってもよい。画像処理としては、例えば、画像の拡大、縮小、変形等を行うスケーリング処理、輝度を変更するブライト調整処理、画像のコントラストカーブを変更するコントラスト調整処理、画像を光の成分に分解して成分ごとの重みづけを変更するレティネックス処理等がある。
また、映像制御部1160は、映像表示部1102に入力する映像信号に対して、ユーザの空中操作(タッチ操作)を補助するための特殊効果映像処理等を行ってもよい。特殊効果映像処理は、例えば、空中操作検出部1350によるユーザのタッチ操作の検出結果や、撮像部1180によるユーザの撮像画像に基づいて行われる。
姿勢センサ1113は、重力センサまたは加速度センサ、またはこれらの組み合わせにより構成されるセンサであり、空中浮遊映像表示装置1000が設置されている姿勢を検出することができる。姿勢センサ1113の姿勢検出結果に基づいて、制御部1110が、接続される各部の動作を制御してもよい。例えば、ユーザの使用状態としての好ましくない姿勢を検出した場合に、映像表示部1102の表示していた映像の表示を中止し、ユーザにエラーメッセージを表示するような制御を行ってもよい。または、姿勢センサ1113により空中浮遊映像表示装置1000の設置姿勢が変化したことを検出した場合に、映像表示部1102の表示していた映像の表示の向きを回転させる制御を行ってもよい。
ここまで説明したように、空中浮遊映像表示装置1000には、さまざまな機能が搭載されている。ただし、空中浮遊映像表示装置1000は、これらのすべての機能を備える必要はなく、空中浮遊映像3を形成する機能があればどのような構成でもよい。
続いて、表示装置10における、発光点位置と結像光学距離の関係について説明する。図6Aは、空中浮遊映像表示装置1000の一構成例における、結像光路を示す図である。
表示装置10上で間隔dだけ離れた2つの発光点のうち、z座標が大きいものを発光点140、小さいものを発光点150とする。発光点140、150から出射する光線は同じ拡散特性を持つため、発光点140からの主光線141に対して一定の拡散角±δだけずれた副光線142、143に対応する光束として、発光点150からの主光線151に対して拡散角±δだけずれた副光線152、153を定義できる。
主光線141、151は、再帰性反射板5に対して入射角αの方向に出射される。副光線142、143が再帰性反射板5に入射する点の間隔と、副光線152、153が再帰性反射板5に入射する点の間隔の差は、
と表すことができる。
再帰性反射板5に入射後、主光線141、151及び副光線142、143、152、153は、それぞれ反射され、主光線161、171及び副光線162、163、172、173となる。主光線161、副光線162、163は、収束光線となり、結像点160において空中に光学実像を結ぶ。同様に、主光線171、副光線172、173は、収束光線となり、結像点170において空中に光学実像を結ぶ。これらの結像点が集合して空中浮遊映像3を形成する。ここで、結像点160に入射する主光線161、副光線162、副光線163の間隔に対して、結像点170に入射する主光線171、副光線172、副光線173の間隔が大きいため、結像点160に対して、結像点170は収差の影響を受けやすい。これは、矢印Aの方向から観測した時、結像点160の方が結像点170よりも解像度性能が高いことを示している。
なお、すなわち、本実施例の空中浮遊映像表示装置1000の光学系では、表示装置10の発光点から空中浮遊映像3を形成する結像点に到達する結像光路の主光線の光路長により、各結像点の解像度性能が異なるといえる。例えば、図6Bに、結像点160および結像点170に加えて、その中間点であり空中浮遊映像3の画面中心の位置である結像点165を示す。また、表示装置10の発光点140および発光点150に加えて、その中間点であり表示装置10の画面中心の位置である発光点145を示す。結像点165に到達する光束は、発光点145から発せられる。すると、図6Bに示すように、発光点140から発せられて結像点160に到達する主光線の光路長はLB1+LB2となる。発光点145から発せられて結像点165に到達する主光線の光路長はLM1+LM2となる。発光点150から発せられて結像点170に到達する主光線の光路長はLH1+LH2となる。図6Bからわかるように、LB1+LB2<LM1+LM2<LH1+LH2である。よって、発光点140から発せられて結像点160に到達する主光線の光路長がこの3点のうち最も短く、発光点145から発せられて結像点165に到達する主光線の光路長は次に短く、発光点150から発せられて結像点170に到達する主光線の光路長がこの3点のうち最も長い。よって、空中浮遊映像3上では、結像点160、結像点165、結像点170の順で解像度性能が高いといえる。言い換えれば、結像点165での解像度性能は、結像点160よりも低く、結像点170での解像度性能は、結像点165よりも低い、といえる。本実施例の空中浮遊映像表示装置1000の光学系での、発光点の位置と結像点の位置と、主光線の光路長と、解像度性能の関係は以上のとおりである。本実施例の空中浮遊映像表示装置1000の光学系において、表示装置10のいずれの位置の発光点でも、空中浮遊映像3のいずれの位置の結像点でも、同様の主光線の光路長と解像度の関係が成立することになる。
以上説明したとおり、図2で説明した再帰性反射板5を用いた構成例において、空中浮遊映像表示装置1000によって出力される空中浮遊映像3は、矢印Aの方向から観察すると、y座標が大きい領域における解像度性能が低下する。本発明の一実施例に係る画像処理手法は、空中浮遊映像3における、y座標に応じた解像度性能の差によって生じる、映像の不均一性を補正することを目的とする。
実際に矢印Aの方向から観察した時の、空中浮遊映像3の見え方について説明する。図7Aでは、空中浮遊映像3の各領域における、特定のパターンを出力した時の解像度性能差を示した。図7Bでは、図7Aにおける表示パターンの、x方向に対応した輝度変化を示した。
表示装置10にて、同一半径の円形パターン211、212、213を、空中浮遊映像3を矢印Aの方向から観察した時の、y座標の値に応じた3つの領域にそれぞれ1つずつ表示されるように、出力する。円形パターン211、212、213の中心を通り、x軸に平行な直線201(H1-H’1)、202(H2-H’2)、203(H3-H’3)に沿った輝度変化のプロファイルを、図7Bにおいて、それぞれ、曲線231、232、233として示している。また、以後の説明において空中浮遊映像3を矢印Aの方向から観察した時、y座標の値に応じて3分割した時の各領域221、222、223をそれぞれ、上部、中央、下部と表現することとする。
図6A、図6Bで説明したように、空中浮遊映像3において、下部より中央、中央より上部に表示した光学実像の結像性が低下する。すなわち、円形パターン213より円形パターン212、円形パターン212より円形パターン211の視認性(解像度、鮮鋭度)が低下する。この影響は、図7Aにおいては光学実像がぼやけるといった視覚的な情報として観察され、図7Bにおいてはx方向に見たときの輝度勾配の裾広がりといった定性的な情報として観測される。
図7Bでは、光学距離に応じて、空中浮遊映像3の鮮鋭度がどのように変化するかについて、一例を、空間周波数に応じたレスポンスとして、MTF(Modulation Transfer Function)で表している。
空中浮遊映像3の鮮鋭度評価指標としてMTFを測定する方法としては、例えば、矩形波パターン(白と黒で塗りつぶした長方形を一定の間隔を空けて表示)の伝達度を評価する矩形波チャート法がある。図2の矢印Aの方向から観察される周期的な実測輝度変化の振幅(実測輝度最大値と実測輝度最小値の差)を、入力矩形波による周期的な輝度変化の振幅(入力輝度最大値と入力輝度最小値の差)で割った値をMTFとする手法である。MTFの測定方法は、上述した矩形波チャート法に限られず、この他にもフーリエ変換を用いたエッジ法などがある。鮮鋭度を表すMTFレスポンスは、測定手法に依らず一致する。以下、MTFの測定値は、MTF、MTFレスポンス、レスポンスなどと表現するが、その測定手法は上述の矩形波チャート法のみに限定されない。この時、表示していた矩形波パターンの実空間における間隔を、空間周波数として定義する。空間周波数とは、pl/mmなどの単位で与えられる、表示パターンの解像度性能を表す指標である。尚、空間周波数の単位としては、LP/mm、Cycles/mm、本/mm、lines/mmなどが用いられるが、全て同じ指標を表すものである。
図8において、符号241、242、243は、それぞれ、空中浮遊映像表示装置1000によって表示された空中浮遊映像3において、上部、中央、下部で測定した鮮鋭度特性の一例であり、本実施例ではMTF特性を表す曲線を示している。図7Bで説明した通り、結像性の低下する上部においては、最大輝度が低下するため、MTFレスポンスも低下する。したがって、全ての空間周波数領域において、上部より中央、中央より下部のMTFレスポンスが高いと言える。
また、先述の通り、空中浮遊像3の画素ピッチは、表示装置10の画素ピッチに対して1/3程度に低下する。画素ピッチは空間周波数に対応しているため、より高い空間周波数でのレスポンスが大きいほど、解像度性能・鮮鋭度が高い。例えば、空間周波数領域250における、表示装置10によるレスポンス特性は、空間周波数領域251における、空中浮遊映像表示装置1000によるレスポンス特性として、反映されることになる。すなわち、表示装置10で表示可能な、空間周波数領域251に該当する高解像度のパターン表示は、空中浮遊映像3には適していない。
空中浮遊映像3において、好適な表示パターン及びその補正方法について述べる。
空中浮遊映像3において、十分なレスポンスを確保することができる、空間周波数領域250の範囲内で表示映像を作成するのが望ましい。また、空中浮遊映像3のレスポンスは、特定の空間周波数252について見ると、上部より中央、中央より下部が高い。表示装置10において、空間周波数252に代表される表示映像を出力した時、下部と中央、下部と上部のそれぞれで、レスポンス差分253、254が生じる。空中浮遊映像3の表示領域全面における鮮鋭感を同程度とするためには、中央においてレスポンス差分253、上部においてレスポンス差分254を補正するような入力映像信号に対する補正処理を行う。すなわち、空中浮遊映像3において、各領域のMTFレスポンスに応じた、入力映像信号に対する補正処理の補正量を指定することで、全面での鮮鋭感を同程度まで補正することができ、空中浮遊映像表示装置1000に対して好適な映像表示を可能とする。当該入力映像信号に対する補正処理は、映像制御部1160などの映像処理回路で行えばよい。
フィルタを用いた画像処理手法について説明する。図9では、液晶表示パネル11の画素の一部300を用いて、フィルタの畳み込み処理の手法を示しており、簡単のため、3×3フィルタを用いた畳み込み処理について説明している。
液晶表示パネル11では、各画素の入力値に応じた光を出力しており、これを表示領域全面で組み合わせることにより、映像を表示する。画像処理における畳み込み処理とは、適用するフィルタの成分に従って、周囲の画素値の成分を取り入れた出力を得る計算手法である。例えば、適用するフィルタとして、図9のように、i行j列の成分を係数kijと示した3×3フィルタ301を選択する。また、取り出した領域内の画素を、左下から順にA、B、C行…、1、2、3列…と数えることとし、その画素値については、a1,a2,…,b1,…,c1,…と表すこととする。図9では、このフィルタ301を、D行3列目の画素D3(符号302で示す)に適用する場合の畳み込み処理演算のイメージを表している。実際に行われる計算としては、新たに得られる画素D3の画素値をd′3とすると、
と表すことができる。
この計算を左下から順に、例えば、矢印303で示すように、1画素ずつ適用することで、全面における画素値にフィルタ効果を適用し、画像処理によって得られる効果を付加した画像を出力することができる。係数kijの選び方によってフィルタの種類とその効果が変わり、フィルタのサイズを拡張することで、より大きな領域からの計算値を得ることになる。フィルタと画素値は一例であり、この計算は以下同様の手法にて進められるものとする。
それぞれのフィルタの効果と作り方・考え方について説明する。図10Aは、映像鮮鋭化処理に用いられるフィルタの一例として、3×3サイズの移動平均マスキングの計算式を示している。同じく図10Bは、映像鮮鋭化処理に用いられるフィルタの一例として、3×3サイズのガウシアンマスキングの計算式を示している。ここで、映像鮮鋭化処理には、画像中のエッジを強調するエッジ強調処理等の概念も含まれる。
図8において必要となる画像処理は、上部や中央の鮮鋭感を下部に合わせて補正する、鮮鋭化フィルタである。移動平均フィルタやガウシアンフィルタは、ノイズを除去し、画素間の画素値変化率を低減する方向に働く。鮮鋭化フィルタは、移動平均フィルタやガウシアンフィルタなどによって得られたぼかし画像と原画像との差分を、重みkを加えて、原画像に加算する方式によって得られる。原画像に対して、フィルタ処理によって得られた、ぼけた画像との差を用いることで、輪郭の強調された画像に加工することを、アンシャープマスキングという。これに倣って、それぞれ、移動平均フィルタとの差によって得られた鮮鋭化フィルタを移動平均マスキング、ガウシアンフィルタとの差によって得られた鮮鋭化フィルタをガウシアンマスキングと呼ぶことにする。
簡単のために、図10Aでは、3×3フィルタを用いた移動平均マスキングの式と効果を説明する。スルーフィルタ311は、中心以外の、周囲の画素値に重み付けする要素がすべて0となっているため、原画像に対して変化を加えないフィルタである。一方、移動平均フィルタは、各要素の重みを一律化して足し合わせるため、適用画素における周囲の画素から見たときの変化量が抑制される。言い換えると、輪郭のぼやけた画像を出力することができるフィルタである。スルーフィルタ311を適用した結果は入力画像そのものであるから、矩形波信号を入力した時の画素値変化を、画素値プロファイル321に示す。また、移動平均フィルタ312を用いたときの画素値変化、スルーフィルタ311と移動平均フィルタ312の差による画素値変化、計算結果として得られる移動平均マスキング314の出力として得られる画素値変化のそれぞれを、画素値プロファイル322、323、324に示す。これを見ると、移動平均フィルタ312によって、画素値プロファイル322の変化勾配が抑制されることが分かる。したがって、スルーフィルタ311と移動平均フィルタ312の差を適用した時に得られる画素値プロファイル323は、画素値が変化する前後にパルスを生じる。この差分に、kの重みを付けてスルーフィルタ311との和を取ったフィルタが、移動平均マスキング314である。スルーフィルタ311によって得られる原画像の画素値プロファイル321に対して、パルス形状の映像信号の輪郭を強調する信号として、画素値プロファイル323が重畳された結果が、移動平均マスキング314の効果である。画素値プロファイル324を見ると、移動平均マスキング314によって、画素値の変化量や勾配を大きくすることができる。
簡単のために、図10Bでは、3×3フィルタを用いたガウシアンマスキングの式と効果を説明する。スルーフィルタ311は、図10Aで説明した通り、原画像の画素値をそのまま出力するフィルタである。一方、ガウシアンフィルタは、各要素の重みをガウス分布に従って足し合わせるため、適用画素における周囲の画素から見たときの変化量が抑制される。言い換えると、輪郭のぼやけた画像を出力することができるフィルタである。スルーフィルタ311を適用した結果は入力画像そのものであるから、矩形波信号を入力した時の画素値変化を、画素値プロファイル321に示す。また、ガウシアンフィルタ315を用いたときの画素値変化、スルーフィルタ311とガウシアンフィルタ315の差による画素値変化、計算結果として得られるガウシアンマスキング317の出力として得られる画素値変化のそれぞれを、画素値プロファイル325、326、327に示す。これを見ると、ガウシアンフィルタ315によって、画素値プロファイル325の変化勾配が抑制されることが分かる。したがって、スルーフィルタ311とガウシアンフィルタ315の差を適用した時に得られる画素値プロファイル326は、画素値が変化する前後にパルスを生じる。この差分に、kの重みを付けてスルーフィルタ311との和を取ったフィルタが、ガウシアンマスキング317である。スルーフィルタ311によって得られる原画像の画素値プロファイル321に対して、パルス形状の映像信号の輪郭を強調する信号として、画素値プロファイル326が重畳された結果が、移動平均マスキングの効果である。画素値プロファイル327を見ると、ガウシアンマスキング317によって、画素値の変化量や勾配を大きくすることができる。
次に、図11を用いて、移動平均マスキングやガウシアンマスキングなどの鮮鋭化フィルタを用いた画像処理によって、出力画像の見え方にどのような変化があるかを説明する。図11は、鮮鋭化フィルタによって得られる入力信号の変化と、その出力を輝度として観測した時のプロファイルを示している。
図10A、図10Bにおける矩形波信号の画素値プロファイル321と同様の入力信号から得られる輝度プロファイル331を考える。先述した通り、移動平均マスキング及びガウシアンマスキングを含めた鮮鋭化フィルタを施した後の入力信号は、輝度プロファイル332のように、輝度変化が強調される。MTFレスポンスは、入力信号の振幅341と出力信号の振幅342の比で表すため、この値は画像処理の前後で変化しない。しかし、見かけ上は、画像処理によって強調されたエッジ部を含めた振幅343によって、鮮鋭度が向上しているように感じられる。本来の定義とは異なるが、以降の説明では、映像鮮鋭化処理によって得られる鮮鋭度向上の指標として、画像処理後の鮮鋭度を用い、当該鮮鋭度におけるMTFレスポンスを、入力信号の振幅341とエッジ部を含めた振幅343との比としている。
ここからは、上部及び下部で定めた加重係数及びフィルタサイズに従って、図7Aの空中浮遊映像3における各画素のy座標値によって、適用フィルタを変化させる方式の例を、大きく3つに分けて説明する。鮮鋭度の補正量をy座標値に対応して連続的に変化させるために、(1)加重係数のみを変化させる方式(加重係数勾配)、(2)フィルタサイズのみを変化させる方式(フィルタサイズ勾配)、(3)適用するフィルタの種類を変化させる方式(行列要素勾配)の3つの方式を提案する。この3つの方式は一例であり、フィルタ内の映像鮮鋭化処理パラメータ(フィルタサイズ、加重係数、各行列要素)をy座標方向に変化させる方式であれば、これに限らない。図12A、図12B、図12Cでは方式(1)について、図13A、図13B、図13Cでは方式(2)について、図14A、図14Bでは方式(3)について、それぞれ説明する。
本発明に係る画像処理では、空中浮遊映像3の任意のy座標領域に含まれる複数画素に対して、鮮鋭感を向上させるための映像鮮鋭化処理を施す。映像鮮鋭化処理を適用するy座標範囲のうち、最大値をy1、最小値をy2とする。本発明に係る画像処理を、空中浮遊映像3内の全領域において適用するためにはy1を空中浮遊映像3の上端、y2を空中浮遊映像3の下端に設定する必要があるが、適用範囲はこれに限らない。y1を空中浮遊映像3の上端以外、y2を空中浮遊映像3の下端以外に設定した場合、y>y1の範囲ではy1における映像鮮鋭化処理パラメータを適用し、y>y2の範囲ではy2における映像鮮鋭化処理パラメータを適用するのが望ましいが、本発明はこれに限らない。
本発明に係る画像処理は、空中浮遊映像表示装置1000の特性として得られる、空中浮遊映像3の上部から下部にかけた鮮鋭度変化の勾配に合わせて補正量を変化させることで、空中浮遊映像3の全面における鮮鋭感を同程度に補正することを目的とする。空中浮遊映像3上のy=y1、y=y2において、任意の鮮鋭化フィルタを適用し、空中浮遊映像3上のy=y1、y=y2において、先述のMTF測定方法にて、補正後のレスポンスを測定する。空中浮遊映像3上のy=y1、y=y2における、補正後のレスポンスが同程度になるように、それぞれ適用するフィルタの鮮鋭化パラメータを決定する。なお、簡単のため、図12A、図12B、図13A、図13B、図14A内のフィルタは、サイズが3×3、もしくは5×5のアンシャープマスキングによる鮮鋭化フィルタとしているが、これと異なるサイズの鮮鋭化フィルタについても、本発明において適用する設定フィルタとして有効である。
図12A、図12B、図12Cを用いて、空中浮遊映像3の鮮鋭度特性241、242、243に合わせたフィルタ設定、画像処理手法及びその効果の一例について説明する。図12A、図12Bは、空中浮遊映像3の領域ごとの鮮鋭度のエンハンス量を変化させるために、y方向に各要素の加重係数を変化させる方式について示したものである。図12Aは、移動平均マスキングを用いたときの加重係数の変化の例であり、図12Bは、ガウシアンマスキングを用いたときの加重係数の変化の例である。図12Cは、移動平均マスキングにおける加重係数を変化させた時の矩形波出力の例である。
y=y2において適用するフィルタ402、412において、任意のフィルタサイズ及び加重係数を決定すると、その映像鮮鋭化処理によって向上した鮮鋭度補正量を実測することができるy=y1において、鮮鋭度の補正量を測定しながら加重係数を変化させることで、y=y2と補正量が同程度になる加重係数を求めることができ、この時に適用したフィルタをy=y2において適用するフィルタ401、411として設定する。フィルタ401、411で設定した加重係数をk1、フィルタ402、412で設定した加重係数をk2とする。映像鮮鋭化処理の適用範囲y2<y<y1において、任意の座標yにおける加重係数の変化率はk1とk2の差分を、適用範囲内の画素数y1-y2で割ることにより、
と求めることができる。したがって、実際に任意の座標yにおいて適用するフィルタの加重係数は、この変化率に対して、適用範囲の下端からの画素数y-y2をかけたものであり、
と設定することができる。
このパラメータによる映像鮮鋭化処理は、適用範囲y2<y<y1において、y=y1における加重係数k1から、y=y2における加重係数k2までを連続的に変化させることができる。上記の映像鮮鋭化処理によって、空中浮遊映像表示装置1000の特性として得られる、空中浮遊映像3の上部から下部にかけた鮮鋭度変化の勾配に合わせて、空中浮遊映像3の全面における鮮鋭感を同程度に補正することができる。
図13A、図13B、図13Cを用いて、空中浮遊映像3の鮮鋭度特性241、242、243に合わせたフィルタ設定、及び画像処理手法の一例について説明する。図13A、図13Bは、空中浮遊映像3の領域ごとの鮮鋭度のエンハンス量を変化させるために、y方向にフィルタサイズを変化させる方式について示したものである。図13Aは、移動平均マスキングを用いたときのフィルタサイズ変化の例であり、図13Bは、ガウシアンマスキングを用いたときのフィルタサイズ変化の例である。図13Cは、移動平均マスキングにおけるフィルタサイズを変化させた時の矩形波出力の例である。
y=y2において適用するフィルタ422、432において、任意のフィルタサイズ及び加重係数を決定すると、その映像鮮鋭化処理によって向上した鮮鋭度補正量を実測することができる。y=y1において、鮮鋭度の補正量を測定しながらフィルタサイズを変化させることで、y=y2と補正量が同程度になるフィルタサイズを求めることができ、この時に適用したフィルタをy=y2において適用するフィルタ421、431として設定する。フィルタ421、431で設定したフィルタサイズをs1×s1、フィルタ422、432で設定したフィルタサイズをs2×s2とする。映像鮮鋭化処理の適用範囲y2<y<y1において、任意の座標yにおけるフィルタサイズの変化率は、s1とs2の差分を、適用範囲内の画素数y1-y2で割ることにより、
と求めることができる。したがって、実際に任意の座標yにおいて適用するフィルタの加重係数は、この変化率に対して、適用範囲の下端からの画素数y1-y2をかけたものであり、
と設定することができる。このパラメータによる映像鮮鋭化処理は、適用範囲y2<y<y1において、y=y1におけるフィルタサイズs1から、y=y2におけるフィルタサイズs2までを連続的に変化させることができる。上記の映像鮮鋭化処理によって、空中浮遊映像表示装置1000の特性として得られる、空中浮遊映像3の上部から下部にかけた鮮鋭度変化の勾配に合わせて、空中浮遊映像3の全面における鮮鋭感を同程度に補正することができる。
図14A、図14Bを用いて、空中浮遊映像3の鮮鋭度特性241、242、243に合わせたフィルタ設定、及び画像処理手法の一例について説明する。図14Aは、空中浮遊映像3の領域ごとの鮮鋭度のエンハンス量を変化させるために、y方向に適用するフィルタの種類(各行列要素)を変化させる方式について示したものである。図14Aは、移動平均マスキングとガウシアンマスキングを用いたときの各行列要素変化の例である。図14Bは、移動平均マスキングとガウシアンマスキングによる矩形波出力の例である。
y=y2において適用するフィルタ442において、任意のフィルタサイズ及びフィルタの種類(各行列要素の配列方法)を決定すると、その映像鮮鋭化処理によって向上した鮮鋭度補正量を実測することができる。y=y1において、鮮鋭度の補正量を測定しながら、フィルタ442とは異なる種類のフィルタを用いたマスキングの加重係数を変化させることで、y=y2と補正量が同程度になる加重係数を求めることができ、この時に適用したフィルタをy=y2において適用するフィルタ441として設定する。フィルタ441で設定したi行j列の行列要素をt1(i,j)、フィルタ442で設定したi行j列の行列要素をt2(i,j)とする。映像鮮鋭化処理の適用範囲y2<y<y1において、任意の座標yにおけるi行j列の行列要素の変化率は、t1(i,j)とt2(i,j)との差分を、適用範囲内の画素数y1-y2で割ることにより、
と求めることができる。したがって、実際に任意の座標yにおいて適用するフィルタの加重係数は、この変化率に対して、適用範囲の下端からの画素数y-y2をかけたものであり、
と設定することができる。このパラメータによる映像鮮鋭化処理は、範囲y2<y<y1において、y=y1におけるi行j列の行列要素t1(i,j)から、y=y2におけるi行j列の行列要素t2(i,j)までを連続的に変化させることができる。上記の映像鮮鋭化処理によって、空中浮遊映像表示装置1000の特性として得られる、空中浮遊映像3の上部から下部にかけた鮮鋭度変化の勾配に合わせて、空中浮遊映像3の全面における鮮鋭感を同程度に補正することができる。
本実施例に係る技術では、高解像度かつ高輝度な映像情報を空中に浮遊した状態で表示することにより、例えば、ユーザは感染症の接触感染に対する不安を感じることなく操作することを可能にする。不特定多数のユーザが使用するシステムに本実施例に係る技術を用いれば、感染症の接触感染のリスクを低減し、不安を感じることなく使用できる非接触ユーザインタフェースを提供することを可能にする。これにより、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「3すべての人に健康と福祉を」に貢献する。
また、本実施例に係る技術では、出射する映像光の鮮鋭感を同程度に揃えることで、明るく鮮明な空中浮遊映像を得ることを可能にする。本実施例に係る技術によれば、消費電力を大幅に低減することが可能な、利用性に優れた非接触ユーザインタフェースを提供することができる。これにより、国連の提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の「9産業と技術革新の基盤をつくろう」および「11住み続けられるまちづくりを」に貢献する。
以上、種々の実施例について詳述したが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。