JP7809488B2 - 剥落防止工法用硬化性組成物を使用するコンクリート構造体 - Google Patents

剥落防止工法用硬化性組成物を使用するコンクリート構造体

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Description

本発明は概して土木・建築業界における、剥落防止用の硬化性組成物を使用するコンクリート構造体に関する。
硬化性組成物(接着剤組成物)には種々の用途が考案されており、その主成分としてアクリル系、エポキシ系、ウレタン系があるが、用途に適合する組成の模索は決して容易ではない。或る用途にとっては好適な組成であっても、別の用途では満足に機能しないこともよくある。
コンクリート躯体は経年劣化するとその表面から剥落が発生することがある。特に人や車輌が多く行き来する箇所に設置されている橋の躯体、ビルの壁面、トンネルの内壁などの構造体から剥落が発生すると深刻な問題になりうる。このため、老朽化したコンクリート躯体の補修工法には大きな需要がある。
そうした補修工法のひとつとして、硬化性組成物(接着剤組成物)を使ってコンクリート躯体の表面を補強する試みがなされている。
特許文献1はコンクリート片剥落防止構造に関し、コンクリートの表面に、アミノ基含有アクリル樹脂とエポキシシランを含むシリコンアクリル樹脂プライマーを塗付して形成された透明プライマー層と、該透明プライマー層の上に、NCO重量%が10~30重量%の無黄変イソシアネートプレポリマーと脂環式ポリアミンとSiO2含有率が90%以上の硅砂と親水性微粉シリカとレオロジーコントロール剤と光安定剤と紫外線吸収剤を含み且つ硅砂は平均粒子径D50(累積重量)が100~500μmである透明なポリウレア樹脂塗材を塗付して形成された透明補強層とから成り、透明補強層中の硅砂の含有率が10~40重量%であることを特徴としている。
また特許文献2はコンクリート構造物の表面に塗布するための透明性下塗材に関し、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂とアルキルフェノール型液状エポキシ樹脂と反応性希釈剤とポリアミドアミンと脂肪族変性ポリアミンとから成ることを特徴としている。
特開2017-180081号公報 特開2018-135257号公報
しかし特許文献1及び2に記載される従来技術では、コンクリート躯体に硬化性組成物を塗布して得られる塗膜が経時劣化して、その塗膜が膨れてしまう問題を解決できない。この理由は、補修対象となるような老朽化したコンクリート躯体の表面はポーラスになっており通水しやすくなっていることから、従来技術の組成物を適用しても満足な性能が発揮できないためと推測されている。
本発明者は、上記課題を解決できる本発明に想到した。すなわち本発明は以下の態様を提供できる。
態様1.
(a)ラジカル重合性化合物、
(b)シリカ微粒子、及び
(c)チクソトロピック剤
を含む混合物の硬化体を含んだ補強層と、
前記補強層が直接又は間接に適用されたコンクリート躯体と
を含む、コンクリート構造体。
態様2.
前記混合物の25℃及び1rpmにおける粘度が600,000mPa・s以上であることを特徴とする、態様1に記載のコンクリート構造体。
態様3.
前記混合物の25℃におけるT.I値が6.0以上であることを特徴とする、態様1又は2に記載のコンクリート構造体。
態様4.
前記(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、前記(b)シリカ微粒子の量が5~12質量部であり、かつ前記(c)チクソトロピック剤の量が0.5~5質量部である、態様1~3のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様5.
前記混合物が更に(d)短繊維を含み、前記補強層が前記コンクリート躯体に対して直接に適用される、態様1~4のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様6.
前記補強層が、シート及びプライマーから選択される一種以上を介して、前記コンクリート躯体に対して間接に適用される、態様1~4のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様7.
前記(c)チクソトロピック剤が、ポリエーテル化合物、カルボン酸アミド系化合物、ヒドロキシカルボン酸アミド系化合物、尿素ウレタンアミド系化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる一種以上を含む、態様1~6のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様8.
前記(a)ラジカル重合性化合物の25℃及び1rpmにおける粘度が、300mPa・s以上であることを特徴とする態様1~7のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様9.
前記(a)ラジカル重合性化合物が、(a-1)ラジカル重合性モノマー及び(a-2)ラジカル重合性オリゴマーを含むことを特徴とする態様1~8のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様10.
前記(a-1)ラジカル重合性モノマーが、一種以上の(メタ)アクリレートモノマーを含む、態様9に記載のコンクリート構造体。
態様11.
前記一種以上の(メタ)アクリレートモノマーが、鎖式の(メタ)アクリレート、及び環式の(メタ)アクリレートを含む、態様10に記載のコンクリート構造体。
態様12.
前記(a-2)ラジカル重合性オリゴマーが、一種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む、態様9~11のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様13.
前記(a-1)ラジカル重合性モノマーの量が、前記(a)ラジカル重合性化合物の全体量を基準として50質量%以上70質量%以下であることを特徴とする、態様9~12のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様14.
前記(a-1)ラジカル重合性モノマーが、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを質量比0.25~4:1で含む、態様9~13のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様15.
前記補強層が、前記混合物を塗布厚み0.3kg/m2以上1.5kg/m2以下として塗布して形成された層であることを特徴とする、態様1~14のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
態様16.
(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、及び(c)チクソトロピック剤、及び(e)硬化触媒を含む第一剤を調製する工程と、
(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、及び(c)チクソトロピック剤、及び(f)ラジカル重合開始剤を含む第二剤を調製する工程と、
前記第一剤と前記第二剤を混合して、硬化性組成物を得る工程と、
前記硬化性組成物を、コンクリート躯体の表面に塗布する工程と
を含む、剥落防止方法。
態様17.
前記第一剤と前記第二剤とを混合するに先立って、前記第一剤又は前記第二剤に(d)短繊維を混合する工程をさらに含む、態様16に記載の方法。
態様18.
(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(e)硬化触媒を含む第一剤を調製する工程と、
(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(f)ラジカル重合開始剤を含む第二剤を調製する工程と、
前記第一剤と前記第二剤を混合して、硬化性組成物を得る工程と、
コンクリート躯体の表面にシート及びプライマーから選択される一種以上を適用し、その上に前記硬化性組成物を塗布する工程と
を含む、剥落防止方法。
態様19.
(a)ラジカル重合性化合物、
(b)シリカ微粒子、及び
(c)チクソトロピック剤
を含み、25℃及び1rpmにおける粘度が600,000mPa・s以上である組成物。
態様20.
(a)ラジカル重合性化合物、
(b)シリカ微粒子、及び
(c)チクソトロピック剤
を含み、25℃におけるT.I値が6.0以上である組成物。
本発明の実施形態が提供できるコンクリート構造体は、その有する補強層によって施工後に塗膜の膨れを生じてしまうことがなく、仕上りも耐久性も優れる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書における「部」や「%」は特に規定しない限り質量基準とする。本明細書における数値範囲は、別段の定めがないかぎりは、上限値及び下限値を含むものとする。
本発明の実施形態に係るコンクリート構造体は、コンクリート躯体に補強層を適用することによって得られ、その適用は直接に(すなわち、プライマーレス式又はノンシート式に)行うのが、コスト軽減と作業の効率化(工期短縮、早期開放可能)の観点からは好ましい。本発明の実施形態を活用できるそうした工法としては例えば、デンカ株式会社が提供するデンカワンステップガード工法が知られている。このような工法には例えば、(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(e)硬化触媒を含む第一剤を調製する工程と、(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(f)ラジカル重合開始剤を含む第二剤を調製する工程と、第一剤と第二剤とを混合して硬化性組成物を得る工程と、その硬化性組成物を、コンクリート躯体の表面に塗布する工程とを含めてよい。また、押し抜き耐荷重性能(押し抜き強度)を更に向上させる観点から、第一剤又は第二剤に(d)短繊維を混合してもよい。第一剤と第二剤とを混合するに先立って、第一剤又は第二剤に(d)短繊維を混合してもよい。
本発明の実施形態に係る硬化性組成物は二剤型組成物であることが好ましい。二剤型組成物は、少なくとも(e)硬化触媒を含む第一剤と、少なくとも(f)ラジカル重合開始剤を含む第二剤とからなり、第一剤と第二剤との混合物が本実施形態に係る組成物(硬化物)であることが好ましい。第一剤と第二剤の配合比は、第一剤と第二剤の合計100質量部中、第一剤:第二剤=25~75:25~75(質量比)が好ましく、40~60:40~60(質量比)がより好ましく、50:50(質量比)がさらに好ましい。本明細書における数値範囲(配合量等)は、第一剤と第二剤の合計に対する数値範囲をいうこともある。
あるいは別の手法として、コンクリート躯体に当該補強層を間接に(例えばプライマーの層又は下塗層を介して)適用することで、押し抜き耐荷重性能(押し抜き強度)を更に向上させたコンクリート構造体を得てもよい。本発明の実施形態を活用できるそうした工法としては例えば、デンカ株式会社が提供するデンカNSガード工法が知られている。このような工法には例えば、(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(e)硬化触媒を含む第一剤を調製する工程と、(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(f)ラジカル重合開始剤を含む第二剤を調製する工程と、第一剤と第二剤を混合して硬化性組成物を得る工程と、コンクリート躯体の表面にシート及びプライマーから選択される一種以上を適用しその上に硬化性組成物を塗布する工程とを含めてよい。
上記のいずれの手法においても、本発明の実施形態により、施工後の外観の色ムラを抑制しつつ、かつ塗膜の膨れも抑制できるうえに、コンクリート躯体への補強層の付着強度も十分に高いという優れた効果が得られる。
本明細書において、補強層の適用対象とするコンクリート躯体(以下、「下地」とも称する)の種類は限定されず、任意の種類のコンクリート及びモルタル、並びにセメント硬化物を含んでよい。特には、老朽化して表面に微細な巣穴部を多数持つようになった(表面がポーラスになった)コンクリート躯体を対象とした補修を行え、しかもその仕上がりと耐久性に優れることが、本発明の実施形態に係る剥落防止方法の長所である。またコンクリート躯体の大きさも任意であってよく、大面積施工も可能である。
本発明の実施形態に係る補強層を作成できる硬化性組成物は、(a)ラジカル重合性化合物と、(b)シリカ微粒子と、(c)チクソトロピック剤とを含む。すなわち作成される補強層は、(a)ラジカル重合性化合物と、(b)シリカ微粒子と、(c)チクソトロピック剤とを含む混合物の硬化体を含んでもよい。本発明に係る或る実施形態においては、上述した組成物自体の提供も可能である。好ましくは、その硬化性組成物の25℃及び1rpmにおける粘度は600,000mPa・s以上1,500,000mPa・s以下、より好ましくは900,000mPa・s以上1,200,000mPa・s以下であってよい。25℃及び1rpmにおける粘度が600,000mPa・s以上であると、塗膜の膨れを抑制する効果が充分に得られる。また好ましくは、当該組成物の25℃におけるT.I(チクソトロピックインデックス)値は6.0以上、より好ましくは7.5以上である。このように硬化性組成物の粘度及びチクソ性(thixotropy)を高く設定することで、たとえ適用対象が老朽化したコンクリート躯体であったとしても、充分な付着強度が得られる程度に硬化性組成物がコンクリート躯体へ含浸し、かつ過剰に吸い込まれて塗膜が薄くなり外観の色ムラを生じてしまうことを抑制できる。しかも、老朽化コンクリート躯体のポーラスな表面に溜まる水蒸気の蒸気圧によって塗膜が変形し、膨れを生じてしまう問題をも解決できる。
作業性を向上できる観点からは、硬化性組成物の25℃及び1rpmにおける粘度が1,500,000mPa・s以下であるのが好ましく、より好ましくは1,200,000mPa・s以下であってよい。また同様に作業性を向上できる観点からは、硬化性組成物の25℃におけるT.I値は10.0以下であるのが好ましく、より好ましくは8.0以下であってよい。T.I値が6.0以上であると、コンクリート躯体に金コテ等で接着剤を塗布する場合、接着剤の伸びがよく、作業性が良く、また塗布厚みのバラツキが生じにくくなる。
粘度及びT.I値は、JIS Z8803:2011に記載の方法を用いて測定でき、例えば当該技術分野で既知の回転粘度計を使って測定できる。本明細書におけるT.I値は、別段の定めがないかぎりは、25℃において回転速度比1:10で測定した値を指し、例えば回転数1rpmと10rpmでそれぞれ得られた値の比であり、下記式1で示すことができる。
T.I値=(25℃、1rpmで測定した粘度)/(25℃、10rpmで測定した粘度)・・・(式1)
なおこうした高い粘度及びT.I値は、他用途ではむしろ悪影響があり、実用に適さないと考えられる。例えばスプレー塗装用途の場合、このように高い粘度では却ってスプレー噴射しづらくなる、噴射後に均等に拡がりにくいなどの障害が発生してしまう。またコンクリートの亀裂補修用途の場合でも、このように高いT.I値では十分に細かい亀裂に浸透できず、不適となる。本発明の実施形態における粘度及びT.I値は、コンクリート躯体の剥落防止に特化して使えるよう、本発明者が想到したものである。
当該硬化性組成物は、一剤型であっても二剤型であってもよいが、施工現場での使用しやすさの観点からは二剤型が好ましい。二剤型の場合は例えば、第一剤には(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(e)硬化触媒を含んでよい。また第二剤には(a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(f)ラジカル重合開始剤を含んでよい。なお、二剤型の場合は、第一剤と第二剤の粘度及びT.I値は、その混合物としてまとめて測定してもよいし、あるいは個別に測定してもよい。第一剤と第二剤の粘度は個別に測定することが好ましい。個別に測定する場合は、第一剤と第二剤の両方が、25℃及び1rpmにおける粘度を600,000mPa・s以上、かつ25℃におけるT.I値を6.0以上有することが好ましい。
(a)ラジカル重合性化合物は、硬化性組成物の基材としての役割を有する。(a)ラジカル重合性化合物としては、一個以上のラジカル重合性基を有するモノマー又はオリゴマーを任意に使用でき、例えばラジカル重合性基を有するビニル系化合物、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、及び(メタ)アクリル系化合物などが挙げられ、特に付着強度を適切に得る観点からは(メタ)アクリレート系のモノマー及び/又はオリゴマーを含むことが好ましい。また(a)ラジカル重合性化合物の粘度は、25℃及び1rpmにおいて300mPa・s以上であることが好ましい。
(a)ラジカル重合性化合物は、(a-1)ラジカル重合性モノマー及び(a-2)ラジカル重合性オリゴマーを含むことが、施工後の外観色ムラを効率的に抑制するうえで好ましい。これは、モノマーとオリゴマーが相溶していると、その分子量の差によりオリゴマーが、モノマーのコンクリート躯体への過剰な吸い込みを抑制できるためであると考えられる。このような効果を優れて発揮させる観点からは、そうした(a-2)ラジカル重合性オリゴマーの分子量を、重量平均分子量(Mw)として800~50,000の範囲とするのが好ましく、3,000~30,000の範囲とするのがより好ましい。(a-1)ラジカル重合性モノマーは分子量として800未満の範囲とするのが好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される標準ポリスチレン換算の値である。具体的には、平均分子量は、下記の条件にて、溶剤としてテトラヒドロフランを用い、GPCシステム(東ソー社製SC-8010)を使用し、市販の標準ポリスチレンで検量線を作成して求められる。
流速:1.0ml/min
設定温度:40℃
カラム構成:東ソー社製「TSK guardcolumn MP(×L)」6.0mmID×4.0cm1本、および東ソー社製「TSK-GELMULTIPOREHXL-M」7.8mmID×30.0cm(理論段数16,000段)2本、計3本(全体として理論段数32,000段)
サンプル注入量:100μl(試料液濃度1mg/ml)
送液圧力:39kg/cm2
検出器:RI検出器
(a-1)ラジカル重合性モノマーとしては、一官能、二官能、又はそれ以上の多官能性のものを使用できる。ラジカル重合性モノマーとしては、一官能性のものが好ましい。一官能性のラジカル重合性モノマーとしては、単官能(メタ)アクリレートが好ましい。単官能(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を1個有するモノ(メタ)アクリレートをいう。
(a-1)ラジカル重合性モノマーとしては例えば、鎖式の(メタ)アクリレート、並びに環式の(メタ)アクリレートのモノマーが挙げられる。
鎖式の(メタ)アクリレートとしては、直鎖構造若しくは分鎖構造を有する(メタ)アクリレートが好ましい。鎖式構造はアルキル基を有する構造が好ましい。鎖式構造としては炭化水素基を有する構造が好ましい。炭化水素基は置換基を有しても良い。鎖式の(メタ)アクリレートとしては、環式の(メタ)アクリレートを含まないことが好ましい。直鎖若しくは分鎖の(メタ)アクリレートとしては例えばヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、及びエイコデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、並びに、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる他、更には2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、4-ブチルヒドロキシ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等も挙げられる。これらの中では、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる群の1種以上が好ましく、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中では、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
環式の(メタ)アクリレートとしては、脂環式構造若しくは芳香族構造を有する(メタ)アクリレートが好ましい。環式構造は置換基を有しても良い。脂環式若しくは芳香族の(メタ)アクリレートとしては例えば、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエチル(メタ)アクリレート等といった脂環式の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、エチルベンジル(メタ)アクリレート、プロピルベンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート等といった芳香族の(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族の(メタ)アクリレートの中では、ノニルフェノールEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレートが好ましい。これらの中では、脂環式の(メタ)アクリレートが好ましい。脂環式の(メタ)アクリレートの中では、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
(a-1)ラジカル重合性モノマーの量は、前記(a)ラジカル重合性化合物の全体量を基準として10質量%以上95質量%以下であることが好ましく、35質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上70質量%以下であることが最も好ましい。
(a-1)ラジカル重合性モノマーは、付着強度向上の観点から、上述した直鎖若しくは分鎖の(メタ)アクリレートと、脂環式若しくは芳香族の(メタ)アクリレートとを併せて含むことが好ましく、その配合比としては1:4~4:1の範囲、更に好ましくは1:2~2:1の範囲であってよい。特には2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートとを含むことが好ましく、その配合比は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを1質量部に対してジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートを0.25~4質量部とするのが好ましく、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートを0.5~3質量部とするのがより好ましく、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートを2質量部とするのがより好ましい。
(a-2)ラジカル重合性オリゴマーとしては、二官能性のものが好ましい。二官能性のラジカル重合性モノマーとしては、二官能(メタ)アクリレートが好ましい。二官能(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基を2個有するジ(メタ)アクリレートをいう。
(a-2)ラジカル重合性オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ビスフェノール構造を有する二官能の重合性オリゴマーからなる群の1種以上が好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ウレタン構造を有する二官能(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン構造を有する二官能(メタ)アクリレートとしては、ウレタン構造を有し、かつ、(メタ)アクリロイル基を2個有するジ(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有するポリオール、及び水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、2官能性芳香族ウレタン(メタ)アクリレート(MIWON社製「MIRAMER MU3603」)、ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー(日本曹達社製「NISSO-PB TE2000」)等が挙げられる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリイソシアネートとしてトルエンジイソシアネートを用い、ポリオールとして両末端水酸基ポリブタジエンを用い、水酸基含有(メタ)アクリレートとして2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用い、反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビスフェノール構造を有する二官能の重合性オリゴマーとしては、ビスフェノール構造を有する二官能(メタ)アクリレートが好ましい。ビスフェノール構造を有する二官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノール骨格の末端にオキシアルキレン構造を介し、(メタ)アクリロイル基を2個有するジ(メタ)アクリレートが好ましい。ビスフェノール骨格の末端にオキシアルキレン構造を介し、(メタ)アクリロイル基を2個有するジ(メタ)アクリレートとしては、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、及び2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。ビスフェノール骨格の末端にオキシアルキレン構造を介し、(メタ)アクリロイル基を2個有するジ(メタ)アクリレートとしては、MIWON社製「MIRAMER M2101」等が挙げられる。
(a-2)ラジカル重合性オリゴマーの量は、前記(a)ラジカル重合性化合物の全体量を基準として5質量%以上90質量%以下であることが好ましく、15質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上50質量%以下であることが最も好ましい。
(b)シリカ微粒子は、増粘剤としての機能を有するものであるが、後述する(c)チクソトロピック剤との相互作用を有することが特徴である。すなわち、(b)シリカ微粒子と(c)チクソトロピック剤が相互作用(好ましくは水素結合)してネットワーク構造を形成することにより、構造粘性を発現することが、上述した粘度及びT.I値の実現に資する。こうした知見は、シリカ微粒子だけを使っても十分な粘度及びT.I値が実際には得られないことを踏まえて、本発明者が想到したものである。
(b)シリカ微粒子としては例えば、フュームドシリカ(日本アエロジル社製のAEROSIL(登録商標)等)が好ましい。フュームドシリカとしては、疎水性フュームドシリカであることが、一般に極性を有する(a)ラジカル重合性化合物を増粘させるうえで好ましい。(b)シリカ微粒子のサイズ及び比表面積は特に限定されないが、付着強度と粘度・チクソ性の発現とを両立させる観点から好ましくはそれぞれ、シリカ微粒子の1次粒子径を1~100nmの範囲、BET法による比表面積を50~200m2/gの範囲にできる。1次粒子径は、レーザー光回折法等の分析手段を使用した粒度分布計により、体積基準の粒度分布におけるメジアン径(d50)として求めることができる。粘度及びT.I値を適切な範囲に設定する観点からは、シリカ微粒子は、ラジカル重合性化合物、特にはラジカル重合性モノマーへの分散性が良いものであることが好ましい。例えばラジカル重合性モノマーとして(メタ)アクリレートモノマーを使用する場合には、疎水性フュームドシリカのうちでも、特に疎水性表面処理が施されているもの(例えば、日本アエロジル社製「AEROSIL」)が好ましい。
(b)シリカ微粒子の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、粘度・チクソ性を向上させる観点からは1質量部以上であるのが好ましく、施工後のコンクリートの強度を維持する観点からは20質量部以下であるのが好ましい。(b)シリカ微粒子の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、粘度・チクソ性を向上させる観点からは5質量部以上であるのが好ましく、施工後のコンクリートの強度を維持する観点からは12質量部以下であるのが好ましい。
(c)チクソトロピック剤(チキソトロピック剤とも呼ぶ)は、上述の(b)シリカ微粒子と相互作用できるものであれば任意のものを使用でき、硬化性組成物を調製する際の扱いやすさの観点からは、常温(JIS Z8703:1983により定める5~35℃)で液体であることが好ましい。(c)チクソトロピック剤(レオロジーコントロール剤とも称する)としては例えば、ポリエーテル化合物、カルボン酸アミド系化合物、ヒドロキシカルボン酸アミド系化合物(ポリヒドロキシカルボン酸アミド化合物を含む)、尿素ウレタンアミド系化合物、及びポリビニルピロリドン、多糖類誘導体(グアーガム、キサンタンガムなど)、ベンジルアルコール、キシレン、エタノール、ターペン、及びそれらの一種以上の混合物が挙げられる。
(c)チクソトロピック剤の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、粘度・チクソ性を向上させる観点からは0.1質量部以上であることが好ましく、付着強度を向上させる観点からは10質量部以下であることが好ましい。(c)チクソトロピック剤の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、粘度・チクソ性を向上させる観点からは0.5質量部以上であることが好ましく、付着強度を向上させる観点からは5質量部以下であることが好ましい。
プライマーレス式又はノンシート式に硬化性組成物を使用する場合には、更に硬化性組成物(又は混合することで硬化性組成物を得る元となる各剤のいずれか)に、(d)短繊維を含めてよい。(d)短繊維としては、カーボンファイバー、アラミドファイバー、PA6(ナイロン6)ファイバー、ガラスファイバー、針状ウォラストナイト、チタン酸カルシウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー等を使用できる。(d)短繊維のサイズとしては繊維長2~10mmが好ましい。
(d)短繊維の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、10質量部以下であることが好ましい。(d)短繊維の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、5質量部以下であることが好ましい。
その他硬化性組成物には、当該技術分野において慣用される種々の添加剤、例えば(e)硬化触媒や(f)ラジカル重合開始剤を含めてもよい。(e)硬化触媒及び(f)ラジカル重合開始剤の例を以下に挙げる。
硬化触媒はラジカル重合開始剤と反応し、ラジカルを発生させ、モノマーの重合を促進させる硬化促進剤である。硬化触媒としては、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、アセチルチオ尿素、メルカプトベンゾイミダゾール、ベンゾイルチオ尿素、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジイソプロパノール-p-トルイジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルアニリン、エチレンジアミン及びトリエタノールアミン、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸鉄、ネオデカン酸銅、銅アセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート等が挙げられる。これらの中では、表面硬化性が良好である点から金属石鹸に分類されるものが好ましい。金属石鹸としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸鉄、ネオデカン酸銅等が挙げられる。金属石鹸の中では、オクチル酸コバルトが好ましい。
(e)硬化触媒の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、15質量部以下であることが好ましい。(e)硬化触媒の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、8質量部以下であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤は、ラジカルを発生させ、モノマーの重合を開始させるものである。ラジカル重合開始剤の中では、熱ラジカル重合開始剤が好ましい。熱ラジカル重合開始剤の中では、有機過酸化物が好ましい。熱ラジカル重合開始剤として、特に有機過酸化物は硬化触媒と反応し、ラジカルを発生させ、モノマーの重合を開始させるものである。熱ラジカル重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物、アゾ化合物に分類されるものが挙げられる。有機過酸化物としては、2-フェニル(2-プロピル)ヒドロペルオキシド、ベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、3-イソプロピルヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイル-m-メチルベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。有機過酸化物の中では、2-フェニル(2-プロピル)ヒドロペルオキシド、ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイル-m-メチルベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエートからなる群から選択される少なくとも1種の有機過酸化物が好ましく、2-フェニル(2-プロピル)ヒドロペルオキシドがより好ましい。
(f)ラジカル重合開始剤の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、15質量部以下であることが好ましい。(f)ラジカル重合開始剤の配合量は、(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、8質量部以下であることが好ましい。
本発明の実施形態に係る硬化性組成物には、長期の保存安定性を改良する目的で、重合禁止剤を添加しても良い。
本発明の実施形態に係る硬化性組成物には、接着性改良のために、シランカップリング剤等を配合することができる。
本発明の実施形態に係る硬化性組成物には、さらにパラフィンを配合することにより、表面硬化性を向上できる。
補強層の形成にあたっては、硬化性組成物をコンクリート躯体へ直接又は間接に、塗布厚み0.3kg/m2以上1.5kg/m2以下として塗布するのが好ましく、塗布にあたっては既知の装置又は工具、例えば金コテ、ヘラなどを使用できる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
下記に示す材料を使用して、表1~3に示す配合比となるように25℃環境下で均一に混合し、実施例および比較例の硬化性組成物を得た。特記しない限り、第一剤と第二剤は等量混合した。
<使用材料>
(a-1)ラジカル重合性モノマー
(a-1-1)ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成社製)
(a-1-2)2-ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)
(a-1-3)ノニルフェノールEO変性アクリレート(東亜合成社製「アロニックスM-113」)
(a-2)ラジカル重合性オリゴマー
(a-2-1)ポリウレタンアクリレートオリゴマー(MIWON社製「MIRAMER MU3603」)重量平均分子量 9,000
(a-2-2)ポリブタジエンジメタクリレートオリゴマー(日本曹達社製「NISSO-PB TE2000」)重量平均分子量 2,500
(a-2-3) BisA(ビスフェノールA)型EO10変性ジメタクリレートオリゴマー(MIWON社製「MIRAMER M2101」)重量平均分子量 1,000
(b)シリカ微粒子:疎水性フュームドシリカ(日本アエロジル社製「AEROSIL」)比表面積 130m2/g、1次粒子径 30nm
(c)チクソトロピック剤:ポリヒドロキシカルボン酸アミド化合物(ビックケミー・ジャパン社製「BYK-405」)
(d)短繊維:PA6ファイバー(東レ社製「タフバインダー」)繊維長 5mm
(e)硬化触媒:オクチル酸コバルト(東京ファインケミカル社製)
(f)ラジカル重合開始剤:2-フェニル(2-プロピル)ヒドロペルオキシド(化薬ヌーリオン社製「トリゴノックスK-80」)
評価方法
粘度、T.I値
表1~3に示す配合組成に従い、ただし(d)短繊維は含めないようにして、硬化性組成物(第一剤)を配合した。配合後、5分以内にJIS K 7117-1:1999に準拠して、ブルックフィールド形回転粘度計を用い、25℃環境下で回転数1rpm、および10rpmの粘度を測定した。ブルックフィールド形回転粘度計は、英弘精機株式会社製「DV2T」、ローターNo.7を使用した。粘度は測定開始から2分後の数値を読み取り、3回測定の平均値とし、また、下記式1からT.I値を算出した。結果を表1~3に纏めた。
T.I値=(25℃、1rpmで測定した粘度)/(25℃、10rpmで測定した粘度)・・・(式1)
押し抜き最大荷重
JIS A 5372:2016(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)に規定するU形ふたの1種(呼び名300(400×600×60mm))のコンクリート中央部裏面を、φ100mmの形状かつ55mm±3mmの深さで、コンクリート用コアカッターにより切り込みを入れた。表面をサンディング処理し、この処理面に、実施例または比較例の硬化性組成物を1.0kg/m2で塗布し、硬化して表面層を形成した後、25℃、RH50%環境下で1週間養生し、試験体を得た。その後、該試験体をJSCE-K 533:2013(コンクリート片のはく落防止に適用する表面被覆材の押し抜き試験方法)に準拠して試験し、変位が10mm以上における最大荷重を押し抜き最大荷重(kN)とした。試験時の温度は25℃とし、3回測定時の平均値を表1~3に記載した。押し抜き最大荷重が0.5kN未満の場合は、充分なはく落防止性能が得られない場合がある。
コンクリート付着強度
JIS A 5371:2016(プレキャスト無筋コンクリート製品)に規定するコンクリート平板(300×300×60mm)の表面をサンディング処理し、この処理面に、実施例または比較例の硬化性組成物を1.0kg/m2で塗布し、硬化して表面層を形成した後、25℃、RH50%環境下で1週間養生した。その後、JIS A6909:2014に定める鋼製治具の接着面に接着剤を塗布し、硬化性組成物面と接着した。接着剤硬化後に、コンクリートカッターにより、鋼製治具の周囲に沿って切り込みを入れ、試験体とした。該試験体をJSCE-E 545-2007(連続繊維シートとコンクリートとの接着試験方法)に準拠して付着強度を測定した。測定機として、井谷衝機製作所製「BA-800D」を用いた。試験時の温度は25℃とし、3回測定時の平均値を表1~3に記載した。付着強度が1.5N/mm2以上または、コンクリートの母材破壊であれば、充分な付着強度が得られていると判断した。
耐ふくれ性
JIS A 5371:2016(プレキャスト無筋コンクリート製品)に規定するコンクリート平板(300×300×60mm)を48時間水中に浸漬した。コンクリート平板を水中から引き上げ、表面の水をウエスで拭き取り、実施例または比較例の硬化性組成物を1.0kg/m2塗布した。硬化性組成物を塗布して5分以内に熱風乾燥オーブン内に入れ、60℃、1時間硬化養生し、補強層を形成した。オーブンから補強層を形成したコンクリート平板を取り出し、目視で塗膜の膨れを観察した。直径5mm以上の膨れが10個以上のものを×(NG)、4~9個のものを△(moderate)、3個以下のものを○(good)、膨れが発生しなかったものを◎(excellent)と評価した。結果を表1~4に記載した。
必須成分を含む実施例全てにおいて、押し抜き最大荷重、コンクリート付着強度、耐ふくれ性のいずれも優れた結果が得られた。
一方、チクソトロピック剤を添加しなかった比較例1~3はいずれも、耐ふくれ性が非常に劣った。
また、チクソトロピック剤を添加しないままシリカ微粒子を比較例1~3よりも増量して増粘を図った比較例4もまた、耐ふくれ性が悪いままであった。
比較例4よりもさらにシリカ微粒子を増量した比較例5では、耐ふくれ性は若干改善したものの、今度はコンクリート付着強度が劣後してしまった。
また、チクソトロピック剤は添加したがシリカ微粒子を添加しなかった比較例6も、耐ふくれ性が非常に劣った。

Claims (19)

  1. (a)ラジカル重合性化合物、
    (b)シリカ微粒子、及び
    (c)チクソトロピック剤
    を含む混合物の硬化体を含んだ補強層と、
    前記補強層が直接又は間接に適用されたコンクリート躯体と
    を含む、コンクリート構造体であって、
    前記混合物の25℃及び1rpmにおける粘度が900,000mPa・s以上であり、かつ25℃におけるT.I値が7.1以上10.0以下である
    ことを特徴とする、コンクリート構造体
  2. 前記混合物の25℃及び1rpmにおける粘度が900,000mPa・s以上1,450,000mPa・s以下であることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート構造体。
  3. 前記混合物の25℃におけるT.I値が7.5以上10.0以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコンクリート構造体。
  4. 前記(a)ラジカル重合性化合物100質量部に対して、前記(b)シリカ微粒子の量が5~12質量部であり、かつ前記(c)チクソトロピック剤の量が0.5~5質量部である、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  5. 前記混合物が更に(d)短繊維を含み、前記補強層が前記コンクリート躯体に対して直接に適用される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  6. 前記補強層が、シート及びプライマーから選択される一種以上を介して、前記コンクリート躯体に対して間接に適用される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  7. 前記(c)チクソトロピック剤が、ポリエーテル化合物、カルボン酸アミド系化合物、ヒドロキシカルボン酸アミド系化合物、尿素ウレタンアミド系化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる一種以上を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  8. 前記(a)ラジカル重合性化合物の25℃及び1rpmにおける粘度が、300mPa・s以上であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  9. 前記(a)ラジカル重合性化合物が、(a-1)ラジカル重合性モノマー及び(a-2)ラジカル重合性オリゴマーを含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  10. 前記(a-1)ラジカル重合性モノマーが、一種以上の(メタ)アクリレートモノマーを含む、請求項9に記載のコンクリート構造体。
  11. 前記一種以上の(メタ)アクリレートモノマーが、鎖式の(メタ)アクリレート、及び環式の(メタ)アクリレートを含む、請求項10に記載のコンクリート構造体。
  12. 前記(a-2)ラジカル重合性オリゴマーが、一種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  13. 前記(a-1)ラジカル重合性モノマーの量が、前記(a)ラジカル重合性化合物の全体量を基準として50質量%以上70質量%以下であることを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  14. 前記(a-1)ラジカル重合性モノマーが、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを質量比0.25~4:1で含む、請求項9~13のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  15. 前記補強層が、前記混合物を塗布厚み0.3kg/m2以上1.5kg/m2以下として塗布して形成された層であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載のコンクリート構造体。
  16. (a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、及び(c)チクソトロピック剤、及び(e)硬化触媒を含む第一剤を調製する工程と、
    (a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、及び(c)チクソトロピック剤、及び(f)ラジカル重合開始剤を含む第二剤を調製する工程と、
    前記第一剤と前記第二剤を混合して、混合物の25℃及び1rpmにおける粘度が900,000mPa・s以上でありかつ25℃におけるT.I値が7.1以上10.0以下である硬化性組成物を得る工程と、
    前記硬化性組成物を、コンクリート躯体の表面に塗布する工程と
    を含む、剥落防止方法。
  17. 前記第一剤と前記第二剤とを混合するに先立って、前記第一剤又は前記第二剤に(d)短繊維を混合する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. (a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(e)硬化触媒を含む第一剤を調製する工程と、
    (a)ラジカル重合性化合物、(b)シリカ微粒子、(c)チクソトロピック剤、及び(f)ラジカル重合開始剤を含む第二剤を調製する工程と、
    前記第一剤と前記第二剤を混合して、混合物の25℃及び1rpmにおける粘度が900,000mPa・s以上でありかつ25℃におけるT.I値が7.1以上10.0以下である硬化性組成物を得る工程と、
    コンクリート躯体の表面にシート及びプライマーから選択される一種以上を適用し、その上に前記硬化性組成物を塗布する工程と
    を含む、剥落防止方法。
  19. (a)ラジカル重合性化合物、
    (b)シリカ微粒子、及び
    (c)チクソトロピック剤
    を含み、25℃及び1rpmにおける粘度が900,000mPa・s以上であり、かつ25℃におけるT.I値が7.1以上10.0以下である組成物。
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