JP7809573B2 - 耐摩耗部材 - Google Patents

耐摩耗部材

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Description

本発明は、耐摩耗部材に関するものである。
センタレスブレードなどの耐摩耗工具は、他の部材との接触する部分に耐摩耗性が要求される。従来、耐摩耗性を付与するために、超硬や多結晶ダイヤモンド(PCD)焼結体が用いられている。
例えば、特許文献1には、耐摩耗性、靭性及び耐食性にすぐれる合金として、特定の比率のC(炭素)、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)およびFe(鉄)からなる合金が開示されている。
また、特許文献2には、粗粒、中粒および細粒を特定の割合で含む超砥粒と、活性金属含有ろう材または自溶性金属からなるマトリックスボンドからなる硬質素材が開示されている。
特開平11-61353号公報 特許第3751160号公報
特許文献1に開示されるような超硬や多結晶ダイヤモンド(PCD)焼結体は、大面積のものを製造しにくいという問題があった。大面積とするためには複数のチップを貼りつける必要があり、製造が複雑で多数の工程が必要であったり、品質にむらが生じやすいなどの問題があった。また、通常、超硬やPCD焼結体は、ろう付けにて、台金(部材)の耐摩耗性が要求される部分に接合される。しかしながら、ろう付けは、ろう付けの際に熱が加わることで、台金に歪が生じ精度が悪化するため、ろう付け後に多大な手直しが必要で、製造コストが高くなる問題があった。
そこで、本発明の目的は、優れた耐摩耗性を有し、長寿命かつ安価な耐摩耗部材を提供することである。
本発明の耐摩耗部材は、台金と、前記台金上に形成され、他の部材と摩擦する、平坦な摩擦接触面を有する耐摩耗層と、を有し、前記耐摩耗層が、前記台金上に平均粒径40~1000μmの六・八面体または切頭八面体形状のダイヤモンド粗粒がニッケルめっきにより単層固着され、前記台金から前記ダイヤモンド粗粒の平均粒径の50~90%の長さ離れた位置に前記ダイヤモンド粗粒の平均粒径の16~40%の平均粒径を有する六・八面体または切頭八面体形状のダイヤモンド細粒がニッケルめっきにより固着された表面層の表面を、前記ダイヤモンド粗粒の少なくとも一部と、前記ダイヤモンド細粒の少なくとも一部が露出するように、平坦に研削することによって形成された層であり、前記耐摩耗層の前記摩擦接触面における、研削後のダイヤモンド粗粒の露出面と研削後のダイヤモンド細粒の露出面の合計の面積の割合が40面積%以上であることを特徴とする。
このような構成とすることで、耐摩耗性が優れるものとなり、寿命も向上し、摩擦接触面は平坦なため、摺動性にも優れる。さらに、少ない研削時間で、摩擦接触面における、ダイヤモンドの面積の割合が大きいものとできる。また、大面積にも適用することができ、大面積の部材であっても耐摩耗性の優れたものとできる。
なお、摩擦接触面における、研削後のダイヤモンド粗粒の露出面と研削後のダイヤモンド細粒の露出面の合計の面積(以下、「ダイヤモンドの露出面積」と記載する場合がある。)の割合は、摩擦接触面のレーザー顕微鏡画像を画像解析ソフトにて2値化処理した画像から算出することができる。摩擦接触面におけるダイヤモンド(ダイヤモンド粗粒およびダイヤモンド細粒)の露出面とニッケルめっきの露出面とでは色調が異なるため、この色調の違いからダイヤモンドの露出面を判断することができる。
各ダイヤモンド(ダイヤモンド粗粒およびダイヤモンド細粒)の粒径は、画像測定機の観察画像から算出されるダイヤモンドに外接する四角形の長辺と短辺の平均値である。ダイヤモンドの平均粒径は、同方法により算出した300個のダイヤモンドの粒径の平均値である。
本発明の耐摩耗部材は、全ての研削後のダイヤモンド粗粒が、前記耐摩耗層の前記摩擦接触面に露出し、研削後の前記ダイヤモンド細粒が、隣接する研削後のダイヤモンド粗粒間の隙間に配置されていることが好ましい。このような構成であれば、耐摩耗性により優れたものとできる。
本発明の耐摩耗部材において、前記表面層は、振動を与えながら前記台金上に前記ダイヤモンド粗粒を充填し、前記ニッケルめっきを析出させて固着した後、振動を与えながら前記ダイヤモンド粗粒間の空間にダイヤモンド細粒を充填し、ニッケルめっきを析出させて固着することにより形成された層であることが好ましい。
このような構成であれば、ろう付けで形成されたものと異なり、熱を加えないため台金に歪が発生せず精度が悪化しない。そのため、形状修正の工程が不要で、製造コストも安くできる。また、少ない研削時間で、摩擦接触面における、ダイヤモンドの面積の割合が大きいものとできる。
本発明によれば、優れた耐摩耗性を有し、長寿命かつ安価な耐摩耗部材が提供される。また、本発明の耐摩耗部材は、大面積にも適用することができる。また、本発明によれば、工程数を少なくでき、かつ、少ない研削時間で、優れた耐摩耗性を有する耐摩耗部材を得ることができる。
本発明の耐摩耗部材の一部省略断面図である。 本発明の耐摩耗部材の一部省略平面図である。 本発明の耐摩耗部材の製造方法を説明するための図である。 本発明の耐摩耗部材の別の態様を説明するための図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、図1~4で共通する要素には同符号を付し、説明を省略する場合がある。
<耐摩耗部材>
図1に示す本発明の耐摩耗部材100は、台金10と、台金10上に形成(配置)され、他の部材と摩擦する、平坦な摩擦接触面20sを有する耐摩耗層20と、を有する。
[台金10]
台金10の材質や形状は、耐摩耗部材の種類などに応じて選択されるものであり、特に限定されない。例えば、台金10の材質としては、鋼や、アルミニウム、銅、超硬合金、モリブデン、モリブデン合金、サーメット、チタンなどの金属;セラミックス;プラスチックなどが挙げられる。台金10の形状は、矩形状や、円筒状、円板状、球状、各種部材の形状など任意である。
[耐摩耗層20]
図1に示すように、耐摩耗層20は、研削後のダイヤモンド粗粒22と、研削後のダイヤモンド細粒24と、ニッケルめっき26とを含む。研削後のダイヤモンド粗粒22は、台金10の表面に1層に配列している。研削後のダイヤモンド細粒24は、摩擦接触面20s側の、研削後のダイヤモンド粗粒22間の隙間に配置されており、摩擦接触面20s側に研削後のダイヤモンド粗粒22を挟みながら1層に配列している。
研削後のダイヤモンド粗粒22と、研削後のダイヤモンド細粒24は摩擦接触面20sに露出している。研削後のダイヤモンド粗粒22の上部の露出面22sと研削後のダイヤモンド細粒24の上部の露出面24sとニッケルめっき26の露出面26sとは同一平面をなし、耐摩耗層20の摩擦接触面20sを形成している。
図2に示すように、耐摩耗層20の摩擦接触面20sは、ニッケルめっき26の露出面26sと、研削後のダイヤモンド粗粒22の露出面22sと、研削後のダイヤモンド細粒24の露出面24sを有する。摩擦接触面20sにおける、研削後のダイヤモンド粗粒22の露出面22sと研削後のダイヤモンド細粒24の露出面24sの合計の面積(ダイヤモンドの露出面積)の割合は40面積%以上である。摩擦接触面20sにおけるダイヤモンドの露出面積の割合が40面積%より少ない場合、他の部材との摩擦によって摩耗しやすく、耐摩耗性が不十分である。耐摩耗性を更に向上させるために、好ましくは50面積%以上であり、より好ましくは55面積%以上であり、更に好ましくは60面積%以上である。
摩擦接触面20sにおけるダイヤモンドの露出面積の割合の上限は、100面積%であるが、研削後のダイヤモンド粗粒22の露出面22sおよび研削後のダイヤモンド細粒24の露出面24sからなる摩擦接触面20sとするためには、用いるダイヤモンド粗粒やダイヤモンド細粒の均一性が厳しく求められるなどするため、摩擦接触面20sにおけるダイヤモンドの露出面積の割合は、95面積%以下や90面積%以下、85面積%以下などと用途に応じて任意に調整してよい。
耐摩耗層の厚みは、特に限定されないが、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の60~90%や70~80%程度である。
耐摩耗層20は、表面層20bの表面を平坦に研削することによって形成された層である(図3(D)から(E)を参照)。
[表面層20b]
図3(D)に示す表面層20bは、台金10上に、ダイヤモンド粗粒22bがニッケルめっき26aにより単層固着され、かつ、台金10からダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の60%の長さ離れた位置に、ダイヤモンド細粒24bがニッケルめっき26bにより固着された層である。
(ダイヤモンド粗粒22b)
ダイヤモンド粗粒22bは、台金10の表面に1層に配列して配置されている。ダイヤモンド粗粒22bの形状は、六・八面体または切頭八面体である。六・八面体または切頭八面体のダイヤモンド粗粒22bを用いることで、台金10上に密に配列させることができる。特に、後述する通り、六・八面体形状または切頭八面体形状のものを用い、振動させながら台金10上に充填することで、ダイヤモンド粗粒22bを面積の大きな面を底面として密に配列させやすい。切頭八面体のダイヤモンド粗粒22bを用い、振動させながら充填することで、六角形の面を底面として配列するものが多くなる。また、六・八面体のダイヤモンド粒22bを用い、振動させながら充填することで、四角形の面を底面として配列するダイヤモンド粒22bが多くなる。そのため、より摩耗しにくい耐摩耗層20を形成させることができる。
なお、切頭八面体とは、正八面体形状のダイヤモンド粒における6個の頂点付近が四角錐形状でそれぞれ等しく切除され、四角形状をした6個の平面部が形成された形状であり、6個の四角形状の面と8個の六角形状の面とからなるものである。六・八面体とは、切頭八面体における四角形状をした6個の平面部を、隣り合って位置する四角形状の平面部の頂点同士が一致する所まで、それぞれ均等に拡張したような形状であり、六・八面体は、6個の四角形状の面と8個の三角形状の面とからなるものである。
表面層20bを構成するダイヤモンド粗粒22bは、平均粒径が40μm~1000μmである。ダイヤモンド粗粒22bが40μmより小さいと、ダイヤモンド粗粒22bの間にダイヤモンド細粒24bを配列して配置させにくい。また、ダイヤモンド粗粒22bが1000μmよりも大きいと、ツルーイングに時間がかかるため好ましくない。好ましくは、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径は100μm~500μmである。
(ダイヤモンド細粒24b)
ダイヤモンド細粒24bは、台金10からダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の60%の長さ離れた位置の、隣接するダイヤモンド粗粒22b間の隙間に充填されており、ダイヤモンド粗粒22bを挟みながら1層に配列している。なお、ダイヤモンド細粒24bの位置は、台金10からダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の50~90%の長さ離れた位置であればよく、台金10からダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の50~80%の長さ離れた位置や、台金10からダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の50~70%の長さ離れた位置など任意である。台金10とダイヤモンド細粒24bとの距離(L)(図3参照)が、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の50%よりも短いものとするためには、台金10の上のダイヤモンド粗粒22bの密度を低くする必要があり、得られる耐摩耗層20の耐摩耗性が不十分となる。また、台金10とダイヤモンド細粒24bとの距離(L)が、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の90%よりも長い場合には、耐摩耗層20の厚み方向においてダイヤモンド粗粒22bとダイヤモンド細粒24bの重なりが少なく、ダイヤモンド粗粒22bの少なくとも一部とダイヤモンド細粒24bの少なくとも一部が露出した摩擦接触面20sを形成するために、ダイヤモンド細粒24bを過度に研削する必要になり、研削時間が多くなったりする。
ダイヤモンド細粒24bは、六・八面体または切頭八面体のダイヤモンドである。このような形状であることで、ダイヤモンド粗粒22b間に充填されやすく、より摩耗しにくい耐摩耗層20を形成させることができる。特に、後述する通り、六・八面体または切頭八面体のものを用い、振動させながらダイヤモンド粗粒22b間に充填することで、ダイヤモンド細粒24bは、面積の大きな面を底面として密に配列しやすい。
ダイヤモンド細粒24bは、ダイヤモンド粗粒22bと同じ形状であることとが好ましく、ダイヤモンド粗粒22bが六・八面体である場合にはダイヤモンド細粒24bも六・八面体であることが好ましい。ダイヤモンド粗粒22bが切頭八面体である場合にはダイヤモンド細粒24bも切頭八面体であることが好ましい。
ダイヤモンド細粒24bの平均粒径は、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の30%の長さであるが、これに限定されず、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の16%~40%の長さであればよい。すなわち、16≦ダイヤモンド細粒24bの平均粒径/ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径×100≦40であればよい。ダイヤモンド細粒24bの平均粒径は、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の16%よりも小さくても、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の40%よりも大きくても、ツルーイングに時間がかかるため好ましくない。好ましくは、ダイヤモンド細粒24bの平均粒径は、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の25%~35%である。
(ニッケルめっき26)
ニッケルめっき26は、ダイヤモンド粗粒22bおよびダイヤモンド細粒24bを固着している。ニッケルめっき26は、ニッケルが主たる成分であれば、ニッケル以外の金属や非金属元素を含んでもよい。例えば、ニッケルめっき26の例としては、Niや、Ni-S合金、Ni-P合金、Ni-B合金、Ni-Co合金などのNi合金が挙げられる。
表面層20bは、ダイヤモンド粗粒22bとダイヤモンド細粒24bとニッケルめっき26とから実質的になる構成としてもよい。例えば、表面層20bは、ダイヤモンド粗粒22bとダイヤモンド細粒24bとニッケルと不可避不純物(微量なその他の金属や光沢材など)からなる層や、ダイヤモンド粗粒22bとダイヤモンド細粒24bとニッケル合金(例えば、Ni-S合金、Ni-P合金、Ni-B合金、Ni-Co合金など)と不可避不純物とからなる層とすることができる。このような層を研削し、表面を平坦化することで、研削後のダイヤモンド粗粒22と研削後のダイヤモンド細粒24とニッケルめっき26とから実質的になる耐摩耗層20が得られる。
表面層20bは、振動を与えながら台金10上にダイヤモンド粗粒22bを充填し、ニッケルめっき26を析出させてダイヤモンド粗粒22bを固着した後、振動を与えながらダイヤモンド粗粒22b間の空間にダイヤモンド細粒24bを充填し、ニッケルめっき26を析出させて固着することで形成することができる。
[耐摩耗層の形成]
以下、図3に示す耐摩耗層20を例にして、耐摩耗層20の形成方法について説明する。
まず、図3(A)に示すように、台金10上にダイヤモンド粗粒22bを充填する。ダイヤモンド粗粒22bの充填は、例えば、台金10を振動させた状態で、ダイヤモンド粗粒22bやこれを含む液を滴下することで行うことができる。振動により、ダイヤモンド粗粒22bを、配向性を揃えて密に配列させることができる。
次いで、図3(B)に示すように、めっき処理を行い、ニッケルめっき26aを析出させてダイヤモンド粗粒22bを固着する。
めっき液への浸漬は、ダイヤモンド粗粒22bを配列させる前に行ってもよいし、配列させた後に行ってもよく、めっき液に浸漬させた後にダイヤモンド粗粒22bを配列させたり、ダイヤモンド粗粒22bを配列させた後にめっき液に浸漬したりできる。めっき液は、ニッケルイオンと溶媒を含むものが用いられる。めっき液は、ニッケルを主たる成分として析出させることができれば、ニッケル以外に、コバルト(Co)などの金属元素や、リン(P)、硫黄(S)、ホウ素(B)などの非金属元素が含まれてよい。具体的なめっき浴としては、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケル、および硼酸からなるスルファミン酸ニッケル浴や、ニッケル・コバルトの合金鍍金浴、ワット浴などが挙げられる。めっき処理は、電解めっき処理であってもよいし、無電解めっき処理であってもよい。好ましくは電解めっき処理である。
ダイヤモンド粗粒22bは密に充填されているため、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の50%の長さよりも近い位置には、ダイヤモンド細粒24bは充填されず、次工程(図3(c))において、台金10からダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の50~90%の長さ離れた位置に(ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径×0.5≦L≦ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径×0.9となる位置に)ダイヤモンド細粒24bを充填できる。そのため、めっき処理は、ダイヤモンド粗粒22bを固着できる程度にニッケルを析出させればよいが、ニッケルめっき26aの厚みが、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の50%以上となるように行うことが好ましい。これにより、ダイヤモンド粗粒22b間の上方の隙間にダイヤモンド細粒24bがさらに充填されやすくなる。また、めっき処理は、ニッケルめっき26aの厚みが、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の90%以下となるように行うことが好ましい。ニッケルめっき26aが厚すぎると、隣接するダイヤモンド粗粒22b間の隙間が小さくなり、隣接するダイヤモンド粗粒22b間の隙間にダイヤモンド細粒24bを充填しにくくなる。ニッケルめっき26aのめっき厚はダイヤモンド細粒24bの大きさによって適宜選択でき、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の80%以下や70%以下などとしてもよい。
次いで、図3(C)に示すように、ダイヤモンド粗粒22b間の空間にダイヤモンド細粒24bを充填する。ダイヤモンド細粒24bの充填は、ダイヤモンド粗粒22bが固着された台金10を振動させた状態で、ダイヤモンド細粒24bやこれを含む液を滴下することで行うことができる。振動により、ダイヤモンド細粒24bを、配向性を揃えて密に配列させることができる。
次いで、図3(D)に示すように、めっき処理を行い、ニッケルめっき26bを析出させてダイヤモンド粗粒24bを固着する。めっき液や、めっき液への浸漬方法、めっき方法などは、ダイヤモンド粗粒22bと同様にできる。ニッケルめっき26bの厚みは、ダイヤモンド細粒24bを固着できれば、特に限定されない。例えば、ニッケルめっき26の厚さ(ダイヤモンド粗粒22bを固着するニッケルめっき26aの厚さと、ダイヤモンド細粒24bを固着するニッケルめっき26bの厚さの合計)は、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径の65~130%や、75~120%、85~115%、95~110%などとできる。
次いで、図3(E)に示すように、表面層20bの表面が平坦になるように研削することで、平坦な摩擦接触面20sを有する耐摩耗層20が形成される。表面層20bの研削は、耐摩耗層20の摩擦接触面20sにおける、研削後のダイヤモンド粗粒22の露出面と研削後のダイヤモンド細粒24の露出面の合計の面積(ダイヤモンドの露出面積)の割合が40面積%以上となるように行われる。耐摩耗性により優れた耐摩耗層20を形成するためには、耐摩耗層20の摩擦接触面20sにおける、ダイヤモンド粒の露出面積の割合が50面積%以上となるように研削することが好ましく、55面積%以上となるように研削することがより好ましく、60面積%以上となるように研削することが更に好ましい。また、摩擦接触面20sにおけるダイヤモンドの露出面積の割合が、100面積%以下や、95面積%以下、90面積%以下、85面積%以下などとなるように研削してもよい。研削量は適宜選択すればよく、例えば、ダイヤモンド細粒24bの平均粒径の30%~70%や40~60%に相当する高さを研削するものとできる。
耐摩耗層20におけるダイヤモンド粗粒22とダイヤモンド細粒24の露出面積(ダイヤモンドの露出面積)が大きいほど耐摩耗性が向上するため、ダイヤモンド細粒24は、隣接するダイヤモンド粗粒22間の隙間に配置されることが好ましい。台金10上に配列したダイヤモンド粗粒22の大部分が摩擦接触面20sに露出していることが好ましく、例えば、台金10上に配列したダイヤモンド粗粒22の80%以上や90%以上が摩擦接触面20sに露出していることが好ましい。さらに好ましくは、全ての研削後のダイヤモンド粗粒22が、耐摩耗層20の摩擦接触面20sに露出し、研削後のダイヤモンド細粒24が、隣接する研削後のダイヤモンド粗粒22間の隙間に配置されている構成である。
一方で、ダイヤモンド粗粒22bおよびダイヤモンド細粒24bの大きさにはバラつきなどもあるため、耐摩耗層20の摩擦接触面20sにおけるダイヤモンドの露出面積の割合が40面積%以上であれば、研削後のダイヤモンド粗粒22や研削後のダイヤモンド細粒24は、摩擦接触面20sに露出していないものがあってよい。
また、ダイヤモンド粗粒22bの平均粒径が大きいものが並んだ部分にダイヤモンド細粒24bの平均粒径が小さいものが配置されたり、ダイヤモンド粗粒22bが若干密に配列していない部分が生じたりする場合もあるため、耐摩耗層20の摩擦接触面20s側において、摩擦接触面20sに露出していないダイヤモンド細粒24と、摩擦接触面20sに露出したダイヤモンド細粒24または摩擦接触面20sに露出していないダイヤモンド細粒24との2層になる部分等が局所的にあってもよい。
また、図4(B)に示す耐摩耗部材110のように、ダイヤモンド細粒24bの一部がダイヤモンド粗粒22bの上に配置された部分を局所的に有する表面層30b(図4(A)参照)の表面を平坦に研削した耐摩耗層30(図4(B)参照)を有する構成であってもよい。
<耐摩耗部材の用途>
耐摩耗部材は、他の部材との摩擦が生じる各種部材の用途に採用することができる。耐摩耗部材を、これらの工具などの他の部材との摩擦や摺動に対する耐摩耗性を求められる部分に用いることで、これらの工具の耐久性や寿命が向上する。特に、耐摩耗部材の耐摩耗層の摩擦接触面は平坦であるため、他の部材が摺動するセンタレスブレードやワークセンタなどの部材として好適である。
<実施例1>
[実施例1-1]
・ダイヤモンド粗粒の固着
振動を与えながら、台金上に、切頭八面体のダイヤモンド粗粒(平均粒径100μm)を充填し、配向性を揃えて1層に配置させた。ダイヤモンド粗粒を充填した台金をスルファミン酸ニッケル浴に浸漬させ、ダイヤモンド粗粒の平均粒径の50%の位置までニッケルめっきを析出させダイヤモンド粗粒を埋め込み、ダイヤモンド粗粒を固着した。
・ダイヤモンド細粒の固着
ダイヤモンド粗粒を固着した後の台金に振動を与えながら、切頭八面体のダイヤモンド細粒(平均粒径30μm)を充填した。ダイヤモンド粒を充填した台金をスルファミン酸ニッケル浴に浸漬させ、ダイヤモンド粗粒の平均粒径の位置までニッケルめっきを析出させ、ダイヤモンド細粒を固着し、表面層を形成した。
・研削
表面層を、研削後のダイヤモンドの露出面積が60%となるように、一様な平坦面に研削し、耐摩耗層が形成された耐摩耗部材を得た。
[実施例1-2~実施例1-6、比較例2]
表1に示す大きさのダイヤモンド粗粒およびダイヤモンド細粒を用いた以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-2~実施例1-6、比較例2の耐摩耗部材を得た。
<比較例1>
振動を与えながら、台金上に、切頭八面体のダイヤモンド粗粒(平均粒径250μm)を充填し、配向性を揃えて1層に配置させた。ダイヤモンド粗粒を充填した台金をスルファミン酸ニッケル浴に浸漬させ、ダイヤモンド粗粒の平均粒径の90%の位置までニッケルめっきを析出させダイヤモンド粗粒を埋め込み、ダイヤモンド粗粒を固着した。次いで、研削後のダイヤモンドの露出面積が60%となるように、一様な平坦面に研削し、耐摩耗層が形成された耐摩耗部材を得た。
<実施例2>
[実施例2-1~実施例2-4、比較例3、比較例4]
表2に示す大きさのダイヤモンド粗粒およびダイヤモンド細粒を用いた以外は実施例1-1と同様にして、実施例2-1~実施例2-4、比較例3、比較例4の耐摩耗部材を得た。
[摩擦接触面における、ダイヤモンドの露出面積の割合]
摩擦接触面における、ダイヤモンドの露出面積の割合は、画像解析ソフトを用いて、実施例1-1~実施例1-6、実施例2-1~実施例2-4、比較例1~4の部材の摩擦接触面のレーザー顕微鏡画像を2値化処理した処理画像から算出した。結果を表1、表2に示す。
[評価]
比較例1の部材のツルーイングの作業工数(研削時間)を100として、実施例1-1~実施例1-6、実施例2-1~実施例2-4、比較例2~4の部材の作業工数の相対値を算出し、以下の基準で評価した。
◎:50未満
○:50以上~70未満
△:70以上~90未満
×:90以上
10 台金
20、30 耐摩耗層
20b、30b 表面層
20s 摩擦接触面
22 研削後のダイヤモンド粗粒
22b ダイヤモンド粗粒
24 研削後のダイヤモンド細粒
24b ダイヤモンド細粒
26、26a、26b ニッケルめっき
22s、24s、26s 露出面
100、110 耐摩耗部材

Claims (2)

  1. 台金と、
    前記台金上に形成され、他の部材と摩擦する、平坦な摩擦接触面を有する耐摩耗層と、
    を有し、
    前記耐摩耗層が、前記台金上に平均粒径40~1000μmの六・八面体または切頭八面体形状のダイヤモンド粗粒がニッケルめっきにより単層固着され、前記台金から前記ダイヤモンド粗粒の平均粒径の50~90%の長さ離れた位置に前記ダイヤモンド粗粒の平均粒径の16~40%の平均粒径を有する六・八面体または切頭八面体形状のダイヤモンド細粒がニッケルめっきにより固着された表面層の表面を、前記ダイヤモンド粗粒の少なくとも一部と、前記ダイヤモンド細粒の少なくとも一部が露出するように、平坦に研削することによって形成された層であり、
    前記耐摩耗層の前記摩擦接触面における、研削後のダイヤモンド粗粒の露出面と研削後のダイヤモンド細粒の露出面の合計の面積の割合が40面積%以上である、耐摩耗部材。
  2. 全ての研削後のダイヤモンド粗粒が、前記耐摩耗層の前記摩擦接触面に露出し、
    研削後のダイヤモンド細粒が、隣接する研削後のダイヤモンド粗粒間の隙間に配置されている、請求項1に記載の耐摩耗部材。
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