JP7810941B1 - 炭素資源の自然発熱抑制剤、炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法、炭素資源の自然発熱抑制方法、及び炭素資源の貯蔵方法 - Google Patents

炭素資源の自然発熱抑制剤、炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法、炭素資源の自然発熱抑制方法、及び炭素資源の貯蔵方法

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Abstract

第一の炭素資源または前記第一の炭素資源の乾留生成物に含まれる成分であり、ヘキサンに可溶、または前記ヘキサンに不溶かつトルエンに可溶であることを特徴とする、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤を提供する。また、第一の炭素資源または前記第一の炭素資源の乾留生成物をヘキサンで抽出する第1の工程を含む、ことを特徴とする第二の炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法を提供する。また、第二の炭素資源の自然発熱抑制方法及び第二の炭素資源の貯蔵方法を提供する。

Description

本開示は、炭素資源の自然発熱抑制剤、炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法、炭素資源の自然発熱抑制方法、及び炭素資源の貯蔵方法に関する。
本願は、2024年3月15日に、日本に出願された特願2024-040975号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
例えば鉄鋼業においては、大量の炭素資源を使用する。ここで、炭素資源は、炭素原子を含む資源である。炭素資源は、例えば、炭素原子の燃焼により熱量を得るものや還元剤として用いるものである。炭素資源は、例えば石油、石炭、バイオマス炭材である。バイオマス炭材は、バイオマスを乾留することで得られる炭材である。
ここで、炭素資源の種類によっては、炭素資源の自然発熱が問題になる場合がある。例えば、石炭や木質バイオマス炭材は自然発熱しやすい。このため、これらを大量に貯蔵する場合、温度管理を注意深く行う必要がある。
特許文献1~3には、炭素資源の自然発熱を抑制するための技術が開示されている。また、特許文献4には、石炭から非水素供与性溶剤で抽出された成分を石炭にコーティングして、石炭の自然発火性を抑制することが開示されている。石炭とメチルナフタレンとを混合し、オートクレーブを使用して、温度が360℃、圧力が2MPaの条件で抽出処理を行った例が開示されている。
日本国特開2001-164254号公報 日本国特開2011-201947号公報 日本国特開昭59-074189号公報 日本国特開2007-161926号公報
本発明者らは、特許文献1~4に開示されている技術では、炭素資源の自然発熱を十分に抑制することができず、また、コスト面でも不利であると考えた。例えば、特許文献4においては、オートクレーブを用いる環境下という限定された環境で抽出処理を行う技術であり、コスト面で不利である。
また、ピッチ類(例えば石炭乾留時に得られる副生成物)は、炭素資源の自然発熱を抑制することができることが知られている。例えば、ピッチ類と炭素資源を混錬することで、炭素資源の自然発熱を抑制することができる。これは、ピッチ類が炭素資源の粒子を覆うことで炭素資源と酸素ガスとの接触を防止することができ、さらに、ピッチ類から炭素資源への水素原子供与によってラジカル反応が抑制できるからであると考えられている。しかし、ピッチ類の製造にはコストがかかり、さらに、ピッチ類の製造時に多量のCO2ガスを発生するという問題がある。
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、低コストで製造でき、かつ少量で効果を発揮する炭素資源の自然発熱抑制剤を提供することにある。
本開示の要旨は以下である。
(1)
石油、石炭、及びバイオマス炭材から選択されるいずれか1種以上が含まれる第一の炭素資源または前記第一の炭素資源の乾留生成物に含まれる成分であり、ヘキサンに不溶かつトルエンに可溶である、ことを特徴とする第二の炭素資源の自然発熱抑制剤。
(2)
石油、石炭、及びバイオマス炭材から選択されるいずれか1種以上が含まれる第一の炭素資源または前記第一の炭素資源の乾留生成物をヘキサンで抽出することでヘキサン不溶成分を得る第1の工程と、前記第1の工程で得られたヘキサン不溶成分をトルエンで抽出することで、トルエン可溶成分を得る第2の工程を含み、前記第2の工程により、ヘキサンに不溶かつトルエンに可溶である第二の炭素資源の自然発熱抑制剤を得る、ことを特徴とする第二の炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法。
(3)
(1)に記載の第二の炭素資源の自然発熱抑制剤を前記第二の炭素資源に対して1質量%以上添加する工程を含む、ことを特徴とする第二の炭素資源の自然発熱抑制方法。
(4)
(3)に記載の第二の炭素資源の自然発熱抑制方法で得た混合物を貯蔵する、ことを特徴とする第二の炭素資源の貯蔵方法。
本開示によれば、低コストで製造でき、かつ少量で効果を発揮する炭素資源の自然発熱抑制剤を提供することができる。また、本開示によれば、低コストで製造でき、かつ少量で効果を発揮する、炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法を提供することができる。また、本開示によれば、低コスト、かつ少量で効果を発揮する炭素資源の自然発熱抑制剤を使用した、炭素資源の自然発熱抑制方法、及び炭素資源の貯蔵方法を提供することができる。
自然発熱評価試験開始からの経過時間と試料温度との関係を示す実施例1に係るグラフである。 自然発熱評価試験開始からの経過時間と試料温度との関係を示す実施例2に係るグラフである。 自然発熱評価試験開始からの経過時間と試料温度との関係を示す実施例3に係るグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本開示は以下で説明する例に限定されないことは自明である。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示に係る発明の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。また、以下の実施形態の各構成要素は、互いに組み合わせることができる。また本明細書中において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本明細書中において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<1.本発明者による知見>
本発明者は、劣質炭の粘結剤として用いられている石油系粘結剤(なお、粘結剤は用途に応じてバインダーと称される場合もある)が炭素資源の自然発熱の抑制に効果があることを見出した。自然発熱とは、常温、大気圧下の空気中における発熱を意味する。石油系粘結剤は石油を蒸留し、さらに精製することで得られる混合物である。そこで、本発明者は、石油系粘結剤を溶媒抽出により分画した各分画成分を炭素資源へ添加した。この結果、添加率が同じでも石油系粘結剤自体を添加するよりも自然発熱抑制効果が大きい分画成分が存在することがわかった。
なお、石油系粘結剤は石油を蒸留し、さらに精製することで得られるものであるので、石油に類する炭材、すなわち炭素資源または炭素資源の乾留生成物を溶媒抽出により分画しても、同様の効果が期待できる。本実施形態は、以上の知見によりなされたものである。
<2.第二の炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法>
炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法について説明する。本明細書では、自然発熱抑制剤の原料として用いられる炭素資源を第一の炭素資源、自然発熱を抑制すべき炭素資源を第二の炭素資源(あるいは、単に炭素資源)と称する。第一の炭素資源と第二の炭素資源は異なることもあり、同じこともある。
まず、原料を準備する。ここで、原料は、第一の炭素資源または第一の炭素資源の乾留生成物である。第一の炭素資源は炭素原子を含む資源であり、炭素原子の燃焼により熱量を得るものである。
第一の炭素資源は、例えば、石油、石炭、バイオマス炭材である。第一の炭素資源の乾留生成物は、例えば、石炭やバイオマス炭材を乾留することで得られる炭材であり、より具体的にはコールタール等である。第一の炭素資源の乾留生成物は、例えば、石油を原料として得た乾留生成物(ASP)である。
炭素資源の乾留生成物に含まれる成分は「芳香族及びタール工業ハンドブック第三版(社団法人 日本芳香族工業会)」の479~526ページに記載されている物質である。
ついで、第一の炭素資源または第一の炭素資源の乾留生成物をヘキサンで抽出する(第1の工程)。具体的には、例えば、第一の炭素資源または第一の炭素資源の乾留生成物とヘキサンとを十分に混合して静置する。ついで、液体部分を回収し、液体部分からヘキサンを除去する。これにより、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HS)を得る。実施例で示されるように、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HS)は十分な自然発熱抑制効果を有する。
より具体的には、以下の手順で第1の工程を実施する。
1.第一の炭素資源2gを遠沈管に入れる。
2.1の遠沈管にヘキサン50ccを加え、10分間超音波振動を与える。
3.2の遠沈管を遠心分離機に供し、固液分離する。
4.3の操作で得た上澄みを回収し、ろ紙を用いてろ過することで抽出成分(ヘキサン可溶成分)を得る。
5.4の操作後の遠沈管内の抽出残渣に、2~4の操作を2回繰り返す(合計3回実施する)。
6.上記5までの操作で得た抽出物をエバポレーターに供し、溶媒(ヘキサン)を除去する。
7.6の操作で回収した抽出物(ヘキサン可溶成分)、および、抽出残渣(ヘキサン不溶成分)と5までの操作で回収したろ紙上の抽出残渣(ヘキサン不溶成分)を減圧乾燥機に入れ、80℃で12時間静置することで抽出残渣に含まれる溶媒を除去し、ヘキサン可溶成分およびヘキサン不溶成分を得る。
第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HS)を得たところで第二炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法を終了してもよいが、さらに以下の第2の工程を行ってもよい。
すなわち、第1の工程の不溶残留物をトルエンで抽出する(第2の工程)。例えば、第1の工程の不溶残留物とトルエンとを十分に混合して静置する。ついで、液体部分を回収し、液体部分からトルエンを除去する。これにより、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HI-TS)を得る。実施例で示されるように、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HI-TS)は十分な自然発熱抑制効果を有する。
より具体的には、以下の手順で第2の工程を実施する。
8.ヘキサン不溶成分が2g以上得られるように1~7の操作を複数回実施し、ヘキサン不溶成分を2g回収し、遠沈管に入れる。
9.8の遠沈管にトルエン50ccを加え、10分間超音波振動を与える。
10.9の遠沈管を遠心分離機に供し、固液分離する。
11.10の操作で得た上澄みを回収し、ろ過することで抽出成分(トルエン可溶成分)を得る。
12.11の操作後の遠沈管内に抽出残渣に、9~11の操作を2回繰り返す(合計3回実施する )。
13.上記12までの操作で得た抽出物をエバポレーターに供し、溶媒(トルエン)を除去する。
14.13の操作で回収した抽出物(トルエン可溶成分)、および、抽出残渣(トルエン不溶成分)と12までの操作で回収したろ紙上の抽出残渣(トルエン不溶成分)を減圧乾燥機に入れ、80℃で12時間静置することで抽出残渣に含まれる溶媒を除去することで、ヘキサン不溶-トルエン可溶成分およびトルエン不溶成分を得る。
第1の工程としては、第一の炭素資源とヘキサンの混合工程(上記の1及び2に対応)、第一の炭素資源とヘキサンの混合物の固液分離工程(上記の3に対応)、及び、ろ過工程(上記の4に対応)をこの順序で実施してもよい。また、第1の工程としては、ろ過工程後の残渣に対してヘキサンを再び加え(上記の2に対応)、固液分離工程及びろ過工程をさらに実施してもよい。
また、第1の工程としては、ろ過工程の後に、ヘキサンを除去する第1ヘキサン除去工程(上記の6に対応)を実施してもよい。さらに、第1の工程としては、第1ヘキサン除去工程の後に、抽出成分であるヘキサン可溶成分と残渣であるヘキサン不溶成分からヘキサンを除去する第2ヘキサン除去工程を実施してもよい(上記の7に対応)。
第1の工程と同様に、第2の工程としては、ヘキサン不溶成分とトルエンの混合工程(上記の8及び9に対応)、ヘキサン不溶成分とトルエンの混合物の固液分離工程(上記の10に対応)、及び、ろ過工程(上記の11に対応)をこの順序で実施してもよい。また、第2の工程としては、ろ過工程後の残渣に対してトルエンを再び加え(上記の9に対応)、固液分離工程及びろ過工程をさらに実施してもよい。
また、第2の工程としては、ろ過工程の後に、トルエンを除去する第1トルエン除去工程(上記の13に対応)を実施してもよい。さらに、第2の工程としては、第1トルエン除去工程の後に、抽出成分であるトルエン可溶成分と残渣であるトルエン不溶成分からトルエンを除去する第2トルエン除去工程を実施してもよい(上記の14に対応)。
なお、上記では、第1の工程の後に第2の工程を実施する例を述べたが、第2の工程の後に第1の工程を実施してもよい。第2の工程の後に第1の工程を実施する場合、上記の1の第1の炭素資源はトルエン不溶成分に読み替え、上記の8のヘキサン不溶成分は第一の炭素資源に読み替える。ヘキサン可溶成分及びトルエン可溶成分は、トルエンでの抽出操作とヘキサンでの抽出操作の順序には依存しない。
<3.第二の炭素資源の自然発熱抑制剤>
したがって、本実施形態に係る第二の炭素資源の自然発熱抑制剤は、第一の炭素資源または第一の炭素資源の乾留生成物に含まれる成分であり、ヘキサンに可溶、またはヘキサンに不溶かつトルエンに可溶である。本実施形態に係る第二の炭素資源の自然発熱抑制剤は、第一の炭素資源または第一の炭素資源の乾留生成物の溶媒分画で製造されるので、低コストで製造できる。
可溶とは化合物に対して溶媒を加え固体・固体物が液状になる事をいう。又は、可溶とは液体に他の液体化合物が混ざって均一な液体になることをいう。なお、溶解度とは、任意の温度における溶質の溶媒への最大溶解量である。自然発熱抑制剤に対して、上述した第1の工程及び第2の工程の抽出操作を実施して、合計で1質量%以上のヘキサンに可溶である成分及び/又はヘキサンに不溶かつトルエンに可溶である抽出成分(残渣を除く)が得られる場合には、本実施形態に係る自然発熱抑制剤に該当する。
例えば、特許文献4に開示されている石炭用コーティング剤は、高温で製造されるためコストが高くなる。これに対して、本実施形態に係る第二の炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法は、常温、常圧下で実施可能であるため、低コストであるという利点がある。
<4.第二の炭素資源の自然発熱抑制方法>
本実施形態に係る第二の炭素資源の自然発熱抑制方法は、本実施形態に係る第二の炭素資源の自然発熱抑制剤を第二の炭素資源に対して1質量%以上添加する。したがって、少量の第二の炭素資源の自然発熱抑制剤で効果を発揮する。実施例で示されるように、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤の質量比を1質量%以上とすることで、十分な自然発熱抑制効果が得られる。また、炭素資源に対して均質に自然発熱抑制剤を添加し混錬するという理由から、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤を第二の炭素資源に対して3質量%以上添加することがより好ましい。また、質量比の上限は特に制限されないが、例えば30質量%以下である。あるいは、自然発熱抑制剤の粘性が高いため質量比が高いとハンドリング性が悪くなるという理由から、第二の自然発熱抑制剤を第二の炭素資源に対して20質量%未満、より好ましくは10質量%未満添加してもよい。
<5.第二の炭素資源の貯蔵方法>
本実施形態に係る第二の炭素資源の貯蔵方法は、第二の炭素資源の自然発熱抑制方法により得られた混合物を貯蔵するものである。貯蔵時の雰囲気は特に制限されず、大気中に貯蔵してもよい。
<6.自然発熱抑制剤としての使用>
第一の炭素資源または第一の炭素資源の乾留生成物に含まれる成分であり、ヘキサンに可溶、または前記ヘキサンに不溶かつトルエンに可溶であることを特徴とする第二の炭素資源の自然発熱抑制剤の自然発熱抑制剤としての使用も本開示に含まれる。この第一の炭素資源には、石油、石炭、及びバイオマス炭材から選択されるいずれか1種以上が含まれてもよい。この第二の炭素資源の自然発熱抑制剤は、上述した実施形態の特徴を備えていてもよい。また、この第二の炭素資源の自然発熱抑制剤は、上述した製造方法によって製造されてもよい。
(実施例1)
つぎに、本実施形態の実施例について説明する。本実施例では、自然発熱の抑制対象となる第二の炭素資源としてアカシア由来の木質バイオマス炭材を準備した。アカシア由来の木質バイオマス炭材は自然発熱性が高い。以下、アカシア由来の木質バイオマス炭材をアカシア炭材と略称する。
一方、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤を以下の工程で準備した。すなわち、まず、石油を原料として得た乾留生成物(ASP)を用意した。ここで、ASPは、市販されているものを使用した。ついで、上記実施形態に記載されている手順で、ASP2gをヘキサン50ccで抽出した(第1の工程)。抽出条件は、温度25℃、圧力は大気圧で行った。その後、ヘキサンを蒸発させた残留物である、添加剤(HS)を得た。
ついで、第2工程として、第1の工程の不溶残留物2gをトルエン50ccで抽出した。抽出条件は、温度25℃、圧力は大気圧で行った。これにより、添加剤(HI-TS)を得た。また、トルエンに不溶な不溶残留物を添加剤(TI)とした。
ついで、自然発熱評価試験を行った。試料として、1.00gのアカシア炭材のみ、0.95gのアカシア炭材に対してASPを5質量%(50mg)添加したもの、同様に、同量のアカシア炭材に添加剤(HS)を5質量%(50mg)添加したもの、同量のアカシア炭材に添加剤(HI-TS)を5質量%(50mg)添加したもの、同量のアカシア炭材に添加剤(TI)を5質量%(50mg)添加したもの、を準備した。
ついで、これらの試料を1g採取し、自然発熱評価装置の試料セルに充填した。ついで、試料セルを試料ホルダー室へ静置し、装置内を窒素雰囲気へ置換した後、窒素雰囲気下で試料温度を130℃へ昇温した。試料温度は熱電対により測定した。その後、装置内雰囲気を窒素から空気へ切り替え試験開始とし、試料の温度挙動を測定した。結果を図1に示す。
図1の横軸は自然発熱評価試験開始からの経過時間(min)を示し、縦軸は試料温度を示す。グラフL1は試料がアカシア炭材のみである場合の試験結果を示し、グラフL2は試料がアカシア炭材にASPを5質量%添加したものである場合の試験結果を示し、グラフL3は試料がアカシア炭材に添加剤(HS)を5質量%添加したものである場合の試験結果を示し、グラフL4は試料がアカシア炭材に添加剤(HI-TS)を5質量%添加したものである場合の試験結果を示し、グラフL5は試料がアカシア炭材に添加剤(TI)を5質量%添加したものとなる場合の試験結果を示す。
図1のグラフL1~L5から明らかなとおり、第二の炭素資源(アカシア炭材)に上記実施形態に係る第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HS)、すなわち添加剤(HS)または第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HI-TS)を添加した場合に、顕著な自然発熱抑制効果が得られ、また再現性が高かった。特に、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HI-TS)を添加した場合により大きな効果が得られた。
(実施例2)
本実施例では、自然発熱の抑制対象となる第二の炭素資源としてアカシア以外の木質バイオマス炭材Fを準備した。
第二の炭素資源の自然発熱抑制剤として、実施例1と同じASPを用意した。また、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤として、実施例1と同様の手順でASPから添加剤(HS)を得た。ついで、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤として、実施例1と同様の手順でASPから添加剤(HI-TS)及び不溶残留物の添加剤(TI)を得た。
ついで、自然発熱評価試験を行った。試料として、1.00gのバイオマス炭材Fのみ、0.95gのバイオマス炭材Fに対してASPを5質量%(50mg)添加したもの、同様に、同量のバイオマス炭材Fに添加剤(HS)を5質量%(50mg)添加したもの、同量のバイオマス炭材Fに添加剤(HI-TS)を5質量%(50mg)添加したもの、同量のバイオマス炭材Fに添加剤(TI)を5質量%添加したもの、を準備した。
ついで、実施例1と同様に、これらの試料を1g採取し、自然発熱評価装置の試料セルに充填した。ついで、試料セルを試料ホルダー室へ静置し、装置内を窒素雰囲気へ置換した後、窒素雰囲気下で試料温度を130℃へ昇温した。試料温度は熱電対により測定した。その後、装置内雰囲気を窒素から空気へ切り替え試験開始とし、試料の温度挙動を測定した。結果を図2に示す。
図2の横軸は自然発熱評価試験開始からの経過時間(min)を示し、縦軸は試料温度を示す。グラフL1は試料がバイオマス炭材Fのみである場合の試験結果を示し、グラフL2は試料がバイオマス炭材FにASPを5質量%添加したものである場合の試験結果を示し、グラフL3は試料がバイオマス炭材FにASPから得た添加剤(HS)を5質量%添加したものである場合の試験結果を示し、グラフL4は試料がバイオマス炭材FにASPから得た添加剤(HI-TS)を5質量%添加したものである場合の試験結果を示し、グラフL5は試料がバイオマス炭材FにASPから得た添加剤(TI)を5質量%添加したものとなる場合の試験結果を示す。
図2のグラフL1~L5から明らかなとおり、第二の炭素資源(バイオマス炭材F)に上記実施形態に係る第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HS)、すなわち添加剤(HS)または第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HI-TS)を添加した場合に、顕著な自然発熱抑制効果が得られ、また再現性が高かった。特に、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HI-TS)を添加した場合により大きな効果が得られた。
(実施例3)
本実施例では、自然発熱の抑制対象となる第二の炭素資源としてアカシア以外の木質バイオマス炭材PCを準備した。
第二の炭素資源の自然発熱抑制剤として、ASPではない第一の炭素資源Sを用意した。また、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤として、実施例1と同様の手順で炭素資源Sから添加剤(HS)を得た。ついで、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤として、実施例1と同様の手順で炭素資源Sから添加剤(HI-TS)及び不溶残留物の添加剤(TI)を得た。
ついで、自然発熱評価試験を行った。試料として、1.00gのバイオマス炭材PCのみ、0.95gのバイオマス炭材PCに添加剤(HS)を5質量%(50mg)添加したもの、同量のバイオマス炭材PCに添加剤(HI-TS)を5質量%(50mg)添加したもの、同量のバイオマス炭材PCに添加剤(TI)を5質量%(50mg)添加したもの、を準備した。
ついで、実施例1と同様に、これらの試料を1g採取し、自然発熱評価装置の試料セルに充填した。ついで、試料セルを試料ホルダー室へ静置し、装置内を窒素雰囲気へ置換した後、窒素雰囲気下で試料温度を130℃へ昇温した。試料温度は熱電対により測定した。その後、装置内雰囲気を窒素から空気へ切り替え試験開始とし、試料の温度挙動を測定した。結果を図3に示す。
図3の横軸は自然発熱評価試験開始からの経過時間(min)を示し、縦軸は試料温度を示す。グラフL1は試料がバイオマス炭材PCのみである場合の試験結果を示し、グラフL2は試料がバイオマス炭材PCに炭素資源Sから得た添加剤(HS)を5質量%添加したものである場合の試験結果を示し、グラフL3は試料がバイオマス炭材PCに炭素資源Sから得た添加剤(HI-TS)を5質量%添加したものである場合の試験結果を示し、グラフL4は試料がバイオマス炭材PCに炭素資源Sから得た添加剤(TI)を5質量%添加したものとなる場合の試験結果を示す。
図3のグラフL1~L4から明らかなとおり、第二の炭素資源(バイオマス炭材PC)に上記実施形態に係る第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HS)、すなわち添加剤(HS)または第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HI-TS)を添加した場合に、自然発熱抑制効果が得られることが分かった。特に、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤(HI-TS)を添加した場合により大きな効果が得られた。
(実施例4)
次に、第二の炭素資源の自然発熱抑制剤の種類と添加量を変えた時の200℃到達時間を調べた。
自然発熱の抑制対象となる第二の炭素資源は上述した10gのアカシア炭材とし、これに、ASP、添加剤(HS)、添加剤(HI-TS)及び添加剤(TI)を添加量が、1、3、5質量%のいずれかとなるように添加した。
これらの試料に対して、上述した自然発熱評価試験を行った。そして、試験開始から試料温度が200℃に到達した時点までの時間(200℃到達時間)を測定した。その結果を表1に示す。
表中の数値は200℃到達時間(min)を示す。表1に示すように、ASPを5質量%添加しなければ得られなかった200℃到達時間は、添加剤(HS)または添加剤(HI-TS)であれば1質量%で得られることが分かる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
本開示によれば、低コストで製造でき、かつ少量で効果を発揮する炭素資源の自然発熱抑制剤を提供することができる。また、本開示によれば、低コストで製造でき、かつ少量で効果を発揮する、炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法を提供することができる。また、本開示によれば、低コスト、かつ少量で効果を発揮する炭素資源の自然発熱抑制剤を使用した、炭素資源の自然発熱抑制方法、及び炭素資源の貯蔵方法を提供することができる。そのため、本開示に係る発明は産業上極めて有用である。

Claims (4)

  1. 石油、石炭、及びバイオマス炭材から選択されるいずれか1種以上が含まれる第一の炭素資源または前記第一の炭素資源の乾留生成物に含まれる成分であり、
    ヘキサンに不溶かつトルエンに可溶である、
    ことを特徴とする第二の炭素資源の自然発熱抑制剤。
  2. 石油、石炭、及びバイオマス炭材から選択されるいずれか1種以上が含まれる第一の炭素資源または前記第一の炭素資源の乾留生成物をヘキサンで抽出することでヘキサン不溶成分を得る第1の工程と、
    前記第1の工程で得られたヘキサン不溶成分をトルエンで抽出することで、トルエン可溶成分を得る第2の工程を含み、
    前記第2の工程により、ヘキサンに不溶かつトルエンに可溶である第二の炭素資源の自然発熱抑制剤を得る、
    ことを特徴とする第二の炭素資源の自然発熱抑制剤の製造方法。
  3. 請求項1に記載の第二の炭素資源の自然発熱抑制剤を前記第二の炭素資源に対して1質量%以上添加する工程を含む、
    ことを特徴とする第二の炭素資源の自然発熱抑制方法。
  4. 請求項3に記載の第二の炭素資源の自然発熱抑制方法で得た混合物を貯蔵する、
    ことを特徴とする第二の炭素資源の貯蔵方法。
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