以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
[第1の実施形態:燃焼システム100]
図1は、第1の実施形態に係る燃焼システム100を説明する図である。図1中、破線の矢印は、信号の流れを示す。図1に示すように、燃焼システム100は、燃焼設備110と、ガス供給部120と、制御装置130とを含む。
燃焼設備110は、燃料ガスを燃焼させる炉である。燃焼設備110は、例えば、工業加熱炉、ボイラや冷温水器を構成する火炉等である。燃焼設備110は、1または複数のバーナ112を備える。
ガス供給部120は、燃料ガス、酸化剤ガス、および、不活性ガスのうちのいずれか1または複数をバーナ112に供給する。本実施形態において、ガス供給部120は、バーナ112ごとに設けられる。ガス供給部120には、燃料ガスの供給源122が接続される。燃料ガスの供給源122とガス供給部120との間には、主幹遮断弁124が設けられる。主幹遮断弁124は、燃料ガスの供給源122とガス供給部120との間に形成される流路を開閉する。燃焼システム100の運転中、主幹遮断弁124は開状態に維持される。ガス供給部120の詳細については、後に説明する。
燃料ガスは、燃焼速度が速いガス、および、断熱火炎温度が高いガスのうちのいずれか一方または両方である。燃料ガスは、例えば、水素およびアセチレンのうちのいずれか一方または両方を少なくとも含む。水素の燃焼速度は、炭化水素系燃料ガス(例えば、都市ガスの13A)の約7倍である。水素の断熱火炎温度は、メタン、または、都市ガスの13Aよりも約200℃高い。本実施形態では、燃料ガスとして水素を例に挙げる。
酸化剤ガスは、空気、酸素、および、酸素富化ガスのうちの1または複数を含む。本実施形態では、酸化剤ガスとして空気を例に挙げる。
不活性ガスは、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、および、燃焼排ガスのうちの1または複数を含む。本実施形態では、不活性ガスとして窒素を例に挙げる。
図2は、第1の実施形態に係る制御装置130の機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置130は、中央制御部132と、メモリ134とを含む。
中央制御部132は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。中央制御部132は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。中央制御部132は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して燃焼システム100全体を管理および制御する。
本実施形態において、中央制御部132は、流量制御部140として機能する。流量制御部140は、ガス供給部120を制御する。流量制御部140の詳細については、後に説明する。
メモリ134は、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成される。メモリ134は、中央制御部132に用いられるプログラムや各種データを記憶する。例えば、メモリ134は、NOx情報等を保持する。NOx情報は、燃焼される水素の流量と、当該水素の燃焼によって生じる排気ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)の濃度が所定値となる窒素の流量とが関連付けられた情報である。NOx情報は、実験、シミュレーション等によって予め作成され、メモリ134に保持される。
[ガス供給部120]
図3は、第1の実施形態に係るガス供給部120を説明する図である。図3に示すように、ガス供給部120は、酸化剤供給部210と、燃料供給部230と、不活性ガス供給部250とを含む。
[酸化剤供給部210]
酸化剤供給部210は、バーナ112に空気を供給する。本実施形態において、酸化剤供給部210は、酸化剤ガス供給路212と、送風機214と、流量制御弁216と、流量調整弁218とを含む。
酸化剤ガス供給路212は、送風機214と、バーナ112とを接続する流路である。送風機214の吸入側は、大気開放される。送風機214の吐出側は、酸化剤ガス供給路212に接続される。送風機214は、酸化剤ガス供給路212を通じて、空気をバーナ112に供給する。
流量制御弁216は、酸化剤ガス供給路212に設けられる。流量制御弁216は、流量制御部140によって開度が調整される。流量制御弁216は、例えば、コントロールモータ付きバタフライバルブである。
流量調整弁218は、酸化剤ガス供給路212における流量制御弁216とバーナ112との間に設けられる。流量調整弁218は、例えば、バタフライバルブである。
[燃料供給部230]
燃料供給部230は、バーナ112に水素を供給する。本実施形態において、燃料供給部230は、燃料ガス供給路232と、圧力調整弁234と、遮断弁236a、236bと、均圧弁238と、流量調整弁240とを含む。
燃料ガス供給路232は、燃料ガス(水素)の供給源122(主幹遮断弁124)とバーナ112とを接続する流路である。
圧力調整弁234は、燃料ガス供給路232に設けられる。圧力調整弁234は、下流に供給される水素の圧力を、予め設定された圧力に整圧する。
遮断弁236a、236bは、燃料ガス供給路232における圧力調整弁234の下流側に設けられる。遮断弁236a、236bは、燃料ガス供給路232を開閉する。
均圧弁238は、燃料ガス供給路232における遮断弁236bの下流側に設けられる。均圧弁238は、酸化剤ガス供給路212と燃料ガス供給路232とを均圧する。均圧弁238を備えることにより、酸化剤ガス供給路212における流量制御弁216の下流側(流量制御弁216とバーナ112との間)と、燃料ガス供給路232における均圧弁238の下流側(均圧弁238とバーナ112との間)の圧力を、実質的に等しい圧力(例えば、2kPaG)とすることができる。また、均圧弁238の作用により、流量制御弁216によって空気の流量が制御されることで、空気と水素との流量の比率(空気比)を一定に保ちながら水素の流量を制御することができる。
流量調整弁240は、燃料ガス供給路232における均圧弁238とバーナ112との間に設けられる。流量調整弁240は、例えば、バタフライバルブである。
[不活性ガス供給部250]
不活性ガス供給部250は、燃料ガス供給路232に窒素を供給する。本実施形態において、不活性ガス供給部250は、不活性ガス(窒素)の供給源252と、不活性ガス供給路254と、圧力調整弁256と、圧力スイッチ258と、遮断弁260と、流量調整弁262と、逆止弁264とを含む。
窒素の供給源252は、例えば、窒素を貯留する窒素ボンベ、または、窒素製造装置である。窒素製造装置は、例えば、窒素分離膜を備え、圧縮空気から窒素を分離する。窒素の供給源252として、窒素製造装置を採用することで、窒素に要するコストを低減することができる。
不活性ガス供給路254は、窒素の供給源252と燃料ガス供給路232とを接続する流路である。本実施形態において、不活性ガス供給路254は、窒素の供給源252と、燃料ガス供給路232における遮断弁236bと均圧弁238との間を接続する。
圧力調整弁256は、不活性ガス供給路254に設けられる。圧力調整弁256は、下流に供給される窒素の圧力を、予め設定された圧力に整圧する。
圧力スイッチ258は、不活性ガス供給路254における圧力調整弁256の下流側に設けられる。圧力スイッチ258は、窒素の供給源252の圧力が所定値未満となったことを検知する。例えば、窒素の供給源252が窒素ボンベである場合、圧力スイッチ258は、窒素ボンベの圧力が所定値未満となったことを検知する。圧力スイッチ258を備えることにより、窒素ボンベの交換時期を把握することが可能となる。
遮断弁260は、不活性ガス供給路254における圧力スイッチ258の下流側に設けられる。遮断弁260は、不活性ガス供給路254を開閉する。
流量調整弁262は、不活性ガス供給路254における遮断弁260の下流側に設けられる。流量調整弁262は、流量制御部140によって開度が調整される。流量調整弁262は、例えば、バタフライバルブである。
逆止弁264は、不活性ガス供給路254における流量調整弁262の下流側に設けられる。逆止弁264は、燃料ガス供給路232から不活性ガス供給路254への水素の進入を防止する。
[流量制御部140による制御]
続いて、流量制御部140によるガス供給部120の制御について説明する。
流量制御部140は、燃料ガス供給路232を通じてバーナ112に供給される水素の流量、不活性ガス供給路254を通じて燃料ガス供給路232に供給される窒素の流量、および、酸化剤ガス供給路212を通じてバーナ112に供給される空気の流量のうちのいずれか1または複数を制御して、プレパージ制御、運転開始制御、運転中制御、運転停止制御、および、ポストパージ制御を行う。
運転開始制御は、バーナ112への水素の供給を開始してバーナ112(燃焼設備110)の運転を開始する制御である。運転中制御は、バーナ112(燃焼設備110)の運転中に行われる。運転中制御は、バーナ112(燃焼設備110)を効率よく運転するために行われる制御である。運転停止制御は、バーナ112への水素の供給を停止してバーナ112(燃焼設備110)の運転を停止する制御である。プレパージ制御は、運転開始制御の前に行われる制御である。ポストパージ制御は、運転停止制御の後に行われる制御である。
本実施形態において、流量制御部140は、遮断弁236a、236bおよび流量制御弁216を制御して、バーナ112に供給される空気および水素の流量を制御する。また、流量制御部140は、遮断弁260および流量調整弁262を制御して、燃料ガス供給路232に供給される窒素の流量を制御する。
図4は、第1の実施形態に係る流量制御部140の制御について説明する図である。図4中、縦軸は、流量を示す。図4中、横軸は時間を示す。なお、時刻T0において、送風機214は停止しており、主幹遮断弁124は開弁されており、遮断弁236a、236b、260は、閉弁されている。
図4に示すように、流量制御部140は、時刻T1から時刻T2までプレパージ制御を行う。また、流量制御部140は、時刻T2に運転開始制御を行う。そして、流量制御部140は、時刻T7に運転停止制御を行う。したがって、流量制御部140は、時刻T2後、時刻T7前まで運転中制御を行うことになる。また、流量制御部140は、時刻T7から時刻T8までポストパージ制御を行う。以下、各制御について詳述する。
[プレパージ制御、運転開始制御]
流量制御部140は、時刻T1において、遮断弁260を開弁し、不活性ガス供給路254を通じた燃料ガス供給路232への窒素の供給を開始してプレパージ制御を開始する。流量制御部140は、流量調整弁262の開度を調整し、燃料ガス供給路232に供給される窒素を流量Faに制御する。
また、流量制御部140は、時刻T1において、送風機214の動作を開始させ、燃焼設備110内を空気でパージする。
そして、時刻T1から所定時間経過後の時刻T2において、流量制御部140は、遮断弁236a、236bを開弁し、燃料ガス供給路232を通じたバーナ112への水素の供給を開始し、点火して、バーナ112の運転を開始する運転開始制御を行う。また、図4に示すように、流量制御部140は、不活性ガス供給路254を通じた燃料ガス供給路232への窒素の供給を維持したまま、運転開始制御を行う。また、運転開始制御において、流量制御部140は、流量制御弁216の開度を調整し、空気の流量を所要の流量に制御するとともに、バーナ112に供給される水素を流量F1に制御する。流量F1は、点火に必要な最小限の流量である。
このように、流量制御部140は、時刻T1から時刻T2まで、不活性ガス供給路254を通じた燃料ガス供給路232への窒素の供給を行うプレパージ制御を行う。なお、時刻T1から時刻T2までの時間は、燃焼設備110内が空気で置換(パージ)される時間と、燃料ガス供給路232内が窒素で置換される時間とのうち、長い方の時間に設定される。なお、燃焼設備110内が空気で置換される時間は、空気の供給を開始してから燃焼設備110内の容積の5倍程度の空気が供給されるまでの時間である。また、燃料ガス供給路232内が窒素で置換される時間は、例えば、窒素の供給を開始してから燃料ガス供給路232内の容積の5倍程度の窒素が供給されるまでの時間である。なお、一般的に、燃焼設備110内が空気で置換される時間の方が、燃料ガス供給路232内が窒素で置換される時間よりも長い。
[運転中制御]
そして、流量制御部140は、時刻T2後に、不活性ガス供給路254を通じた燃料ガス供給路232への窒素の供給を維持したまま、燃焼設備110の要求熱量(要求温度)に応じて、バーナ112に供給される空気と水素の流量を制御する運転中制御を行う。
例えば、流量制御部140は、点火が完了したら(時刻T3)、流量制御弁216の開度を大きくして空気の流量を増加させ、バーナ112に供給される水素を流量F2に制御する。流量F2は、流量F1より大きい流量である。流量F2は、定格燃焼に必要な流量である。
そして、流量制御部140は、流量F2に到達したら(時刻T4)、流量F2に維持して時刻T5まで定格燃焼を行う。
定格燃焼後、つまり、時刻T5から時刻T6までの間、流量制御部140は、燃焼設備110の要求熱量に基づいて、流量制御弁216の開度を調整し、バーナ112に供給される空気の流量を制御することで、空気比を一定に保ちながら水素を流量F1以上、流量F2以下の範囲に制御する。また、流量制御部140は、時刻T5から時刻T6までの間、メモリ134に保持されたNOx情報を参照し、排気ガスに含まれるNOxの濃度が所定値以下となるように、流量調整弁262の開度を制御して、燃料ガス供給路232に供給される窒素を流量Fa以上、流量Fb以下の範囲に制御する。
図5は、混合ガス中の窒素の体積割合と、排気ガスに含まれるNOxの濃度との関係を説明する図である。図5中、縦軸は、排気ガスに含まれるNOxの濃度を示し、横軸は、燃料ガス供給路232からバーナ112に供給される混合ガス(水素および窒素)に含まれる窒素の体積%[vol%]を示す。また、図5中、丸は、燃料ガス供給路232からバーナ112に供給される混合ガスの流量が相対的に低い場合(低流量)を示す。図5中、三角は、燃料ガス供給路232からバーナ112に供給される混合ガスの流量が相対的に高い場合(高流量)を示す。また、図5中、燃料ガス供給路232からバーナ112に供給される混合ガス中の窒素が0%(つまり水素のみが供給される)の場合であって、低流量の場合のNOxの濃度を100としている。
図5に示すように、混合ガスの流量に拘わらず、混合ガス中の窒素濃度が上昇するに従って、排気ガスに含まれるNOxの濃度は低下する。
また、図5に示す例では、混合ガスの流量が高流量である場合の方が、低流量である場合と比較して、排気ガスに含まれるNOxの濃度は低い傾向が見られる。これは、混合ガスの流量が高流量である場合、低流量である場合よりもバーナ112から噴出される混合ガスおよび空気の流速が高くなるためである。したがって、燃焼設備110内のバーナ112近傍において、混合ガスおよび空気の噴流によって伴流される燃焼室内の排気ガスの量が増加する。その結果、燃焼領域の酸素濃度が低下することにより火炎温度が低下し、NOxの発生量が抑制されているためである(自己排ガス再循環による低NOx効果)。
したがって、図4に示すように、流量制御部140は、時刻T5から時刻T6までの間、要求熱量に応じてバーナ112に供給される水素の流量を低下させる場合、燃料ガス供給路232に供給される窒素の流量を増加させる。これにより、流量制御部140は、排気ガスに含まれるNOxの濃度を低減することができる。
なお、窒素の流量Faは、水素の流量F2の場合にNOxの濃度が所定値となる流量、および、プレパージ制御の際に燃焼設備110内が空気で置換される時間以下の時間で燃料ガス供給路232内を窒素で置換できる流量のうちの大きい方の流量である。また、窒素の流量Fbは、流量Fa超の流量であり、水素の流量F1の場合に、NOxの濃度が所定値となる流量である。
そして、時刻T6において、流量制御部140は、流量制御弁216の開度を調整し、空気の流量を制御して、水素の流量を流量F2とし、流量F2に維持して定格燃焼を行う。流量制御部140は、定格燃焼の際、流量調整弁262の開度を調整し、燃料ガス供給路232に供給される窒素を流量Faに維持する。
[運転停止制御、ポストパージ制御]
そして、流量制御部140は、時刻T7において、不活性ガス供給路254を通じた燃料ガス供給路232への窒素の供給を維持したまま、バーナ112への水素の供給を停止してバーナ112の運転を停止する運転停止制御を行う。
具体的に説明すると、流量制御部140は、時刻T7において、遮断弁236a、236bを閉弁し、燃料ガス供給路232を通じたバーナ112への水素の供給を停止し、バーナ112の運転を停止する運転停止制御を行う。
そして、流量制御部140は、運転停止制御を行った時刻T7から所定時間経過後の時刻T8において、遮断弁260を閉弁し、不活性ガス供給路254を通じた燃料ガス供給路232への窒素の供給を停止してポストパージ制御を行う。また、流量制御部140は、時刻T8において、送風機214の動作を停止させる。
このように、流量制御部140は、時刻T7から時刻T8まで、不活性ガス供給路254を通じた燃料ガス供給路232への窒素の供給を行うポストパージ制御を行う。時刻T7から時刻T8までの時間は、燃料ガス供給路232内が窒素で置換される時間に設定される。なお、時刻T7から時刻T8までの時間は、時刻T1から時刻T2までの時間と同じであってもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る燃焼システム100は、プレパージ制御およびポストパージ制御を行う。したがって、燃焼システム100では、燃料ガス供給路232内に、水素と空気との可燃混合気が形成されることを回避することができる。特に、燃焼速度が速い、水素等の燃料ガスは、逆火発生率が高いが、プレパージ制御およびポストパージ制御を行うことにより、燃焼システム100は、逆火の発生を防止することが可能となる。
また、燃焼システム100は、燃料ガス供給路232に窒素を供給するといった簡易な構成で、燃料ガス供給路232にフレームアレスタ等の逆火阻止装置を設置することなく逆火による設備損壊等のリスクを最小化することができる。これにより、燃焼システム100は、低コストで逆火を防止することが可能となる。
また、燃焼システム100は、プレパージ制御およびポストパージ制御に加えて、運転中制御において、窒素を燃料ガス供給路232に供給する。これにより、燃焼システム100は、水素を窒素で希釈することができ、火炎温度を低下させることが可能となる。このため、燃焼システム100は、水素等の火炎温度の高い燃料ガスの排気ガス中のNOxの濃度を低減することが可能となる。
さらに、燃焼システム100は、バーナ112の燃料噴射口から噴射される混合ガス(水素および窒素)の流速を増加させることができるため、自己排ガス再循環を促進することが可能となる。これにより、燃焼システム100は、火炎温度を低下させることができ、排気ガス中のNOxの濃度をさらに低減することが可能となる。
また、燃焼システム100は、運転中制御において、NOxの濃度が所定値以下となるように、窒素の流量を制御する。これにより、排気ガス中のNOxの濃度を所定値以下に低減することができる。
また、燃焼システム100は、運転中制御において、窒素を燃料ガス供給路232に供給するため、バーナ112のノズル等を冷却することができ、バーナ112の耐久性を向上することが可能となる。
また、上記したように、流量制御部140は、運転中制御において、空気比を一定に保ちつつ、要求熱量に応じて、バーナ112に供給される水素の流量を制御する。これにより、流量制御部140は、運転中制御において、水素の燃焼による加熱運転の熱効率を向上させることができる。
[第1の変形例]
上記第1の実施形態において、運転中制御の時刻T5から時刻T6までの間、流量制御部140は、メモリ134に保持されたNOx情報を参照し、排気ガスに含まれるNOxの濃度が所定値以下となるように、流量調整弁262の開度を制御する場合を例に挙げた。しかし、流量制御部140は、運転中制御において、不活性ガス供給路254を通じて燃料ガス供給路232へ窒素を供給すればよい。
図6は、第1の変形例に係る流量制御部140の制御について説明する図である。図6中、縦軸は、流量を示す。図6中、横軸は時間を示す。
図6に示すように、第1の変形例の流量制御部140は、運転中制御の時刻T5から時刻T6までの間、流量調整弁262の開度を調整し、燃料ガス供給路232に供給される窒素を流量Faに維持する。
つまり、第1の変形例の流量制御部140は、時刻T1から時刻T8までの間、燃料ガス供給路232に供給される窒素が流量Faとなるように、流量調整弁262の開度を維持する。
以上説明したように、第1の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、窒素を燃料ガス供給路232に供給する。これにより、第1の変形例の流量制御部140は、火炎温度を低下させることができ、排気ガス中のNOxの濃度を低減することが可能となる。
また、第1の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、窒素を燃料ガス供給路232に供給するため、バーナ112のノズル等を冷却することができ、バーナ112の耐久性を向上することが可能となる。
[第2の変形例]
図7は、第2の変形例に係る流量制御部140の制御について説明する図である。図7中、縦軸は、流量を示す。図7中、横軸は時間を示す。
図7に示すように、第2の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、バーナ112に供給される水素の流量に対し、一定割合の窒素を供給するように、流量調整弁262を制御する。
例えば、第2の変形例の流量制御部140は、バーナ112に供給される水素が流量F1である場合、窒素が流量Fcとなるように、流量調整弁262を制御する。窒素の流量Fcは、上記流量Fa以上であり、例えば、水素の流量F1の20体積%である。また、第2の変形例の流量制御部140は、バーナ112に供給される水素が流量F2である場合、窒素が流量Fdとなるように、流量調整弁262を制御する。窒素の流量Fdは、例えば、水素の流量F2の20体積%である。
以上説明したように、第2の変形例の流量制御部140は、窒素の流量を、水素の流量に対して所定の体積割合(例えば、20体積%)とする。これにより、第2の変形例では、水素の燃焼量に拘わらず、排気ガス中のNOxの濃度を低減することができる(図5参照)。したがって、第2の変形例では、水素の燃焼量(燃焼条件)に拘わらず、排気ガス中のNOxの濃度を所定値未満とすることが可能となる。
また、第2の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、窒素を燃料ガス供給路232に供給する。これにより、第2の変形例の流量制御部140は、火炎温度を低下させることができ、排気ガス中のNOxの濃度を低減することが可能となる。
また、第2の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、窒素を燃料ガス供給路232に供給するため、バーナ112のノズル等を冷却することができ、バーナ112の耐久性を向上することが可能となる。
[第3の変形例]
図8は、第3の変形例に係る流量制御部140の制御について説明する図である。図8中、縦軸は、流量を示す。図8中、横軸は時間を示す。
図8に示すように、第3の変形例の流量制御部140は、運転中制御の時刻T5から時刻T6までの間、燃焼設備110の要求熱量に基づいて、遮断弁236a、236bを閉弁する(水素の流量がゼロ)期間がある。第3の変形例の流量制御部140は、このような運転中制御中における水素の流量がゼロとなる期間においても、燃料ガス供給路232への窒素の供給を維持する。
運転中制御中において、水素の供給を停止する際に、燃料ガス供給路232への窒素の供給を停止する比較例が考えられる。このような比較例では、水素の供給を再開する前に、燃料ガス供給路232を窒素でパージしなければ、逆火が生じるおそれがある。つまり、比較例では、水素の供給を再開する前に燃料ガス供給路232の窒素パージが必須となる。このため、比較例では、運転中制御中における水素の供給停止、供給再開の応答性が低下し、燃焼設備110の温度制御の精度が低下してしまうという問題がある。
一方、第3の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、燃料ガス供給路232へ常時窒素を供給する。このため、第3の変形例の流量制御部140は、運転中制御中における水素の供給停止および供給再開の切り換えを瞬時に行うことができ、水素の供給停止、供給再開の応答性を高めることが可能となる。したがって、第3の変形例の流量制御部140は、燃焼設備110の温度制御を高精度に行うことができる。
また、第3の変形例の流量制御部140は、窒素の流量を、水素の流量に対して所定の体積割合(例えば、20体積%)とする。これにより、第3の変形例では、水素の燃焼量に拘わらず、排気ガス中のNOxの濃度を低減することができる(図5参照)。したがって、第3の変形例では、水素の燃焼量に拘わらず、排気ガス中のNOxの濃度を所定値未満とすることが可能となる。
[第4の変形例]
図9は、第4の変形例に係る流量制御部140の制御について説明する図である。図9中、縦軸は、流量を示す。図9中、横軸は時間を示す。
図9に示すように、第4の変形例の流量制御部140は、バーナ112に供給される水素の流量がゼロ、または、流量F2となるように、遮断弁236a、236bを開閉する。例えば、第4の変形例の140は、時刻T2から時刻T5において、遮断弁236a、236bを開弁し、バーナ112に流量F2の一定流量の水素を供給する。
また、第4の変形例の流量制御部140は、時刻T5から時刻T6までの間、燃焼設備110の要求熱量に基づいて、バーナ112に供給される水素の流量がゼロ(供給停止)、または、流量F2(供給再開)となるように、遮断弁236a、236bを開閉する。
そして、時刻T6から時刻T7において、第4の変形例の流量制御部140は、バーナ112に供給される水素が流量F2となるように、遮断弁236a、236bの開状態を維持する。
また、第4の変形例の流量制御部140は、第1の変形例と同様に、時刻T1から時刻T8までの間、燃料ガス供給路232に供給される窒素が流量Faとなるように、流量調整弁262の開度を維持する。
以上説明したように、第4の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、燃料ガス供給路232へ常時窒素を供給する。このため、第4の変形例の流量制御部140は、運転中制御中における水素の供給停止および供給再開の切り換えを瞬時に行うことができ、水素の供給停止、供給再開の応答性を高めることが可能となる。したがって、第4の変形例の流量制御部140は、燃焼設備110の温度制御を高精度に行うことができる。
[第5の変形例]
図10は、第5の変形例に係る流量制御部140の制御について説明する図である。図10中、縦軸は、流量を示す。図10中、横軸は時間を示す。
図10に示すように、第5の変形例の流量制御部140による水素の流量制御(遮断弁236a、236bの開閉制御)は、第4の変形例と同様である。
一方、第5の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、バーナ112に供給される水素の流量に対し、一定割合の窒素を供給するように、流量調整弁262を制御する。
例えば、第5の変形例の流量制御部140は、バーナ112に供給される水素が流量F2である場合、窒素が流量Feとなるように、流量調整弁262を制御する。窒素の流量Feは、例えば、水素の流量F2の20体積%である。また、第5の変形例の流量制御部140は、バーナ112に供給される水素の流量がゼロである場合、窒素が流量Faとなるように、流量調整弁262を制御する。
以上説明したように、第5の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、燃料ガス供給路232へ常時窒素を供給する。このため、第5の変形例の流量制御部140は、運転中制御中における水素の供給停止および供給再開の切り換えを瞬時に行うことができ、水素の供給停止、供給再開の応答性を高めることが可能となる。したがって、第5の変形例の流量制御部140は、燃焼設備110の温度制御を高精度に行うことができる。
また、第5の変形例の流量制御部140は、窒素の流量を、水素の流量に対して所定の体積割合(例えば、20体積%)とする。これにより、第5の変形例では、水素の燃焼量に拘わらず、排気ガス中のNOxの濃度を低減することができる(図5参照)。したがって、第5の変形例では、水素の燃焼量に拘わらず、排気ガス中のNOxの濃度を所定値未満とすることが可能となる。
[第6の変形例]
図11は、第6の変形例に係る流量制御部140の制御について説明する図である。図11中、縦軸は、流量を示す。図11中、横軸は時間を示す。
図11に示すように、第6の変形例の流量制御部140による窒素の流量制御(流量調整弁262の制御)は、第1の変形例と同様である。
一方、第6の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、バーナ112に供給される水素の流量をゼロ(供給停止)、流量F1(供給再開)、および、流量F2(供給再開)のいずれかに制御する。図11に示すように、第6の変形例の流量制御部140は、運転開始制御(時刻T2)において、水素が流量F1となるように流量制御弁216の開度を調整し、空気の流量および水素の流量を制御する。また、第6の変形例の流量制御部140は、運転中制御の時刻T3において、水素が流量F2となるように流量制御弁216の開度を大きくして空気の流量を増加させるとともに、水素の流量を増加させて定格燃焼を行う。
そして、第6の変形例の流量制御部140は、運転中制御の時刻T5から時刻T6までの間、燃焼設備110の要求熱量に基づいて、バーナ112に供給される水素の流量が、ゼロ、流量F1、および、流量F2のいずれかとなるように、流量制御弁216の開度を調整し、空気の流量および水素の流量を制御する。
また、第6の変形例の流量制御部140は、運転中制御の時刻T6から時刻T7までの間、水素が流量F2となるように流量制御弁216の開度を調整して定格燃焼を行う。
以上説明したように、第6の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、燃料ガス供給路232へ常時窒素を供給する。このため、第6の変形例の流量制御部140は、運転中制御中における水素の供給停止および供給再開の切り換えを瞬時に行うことができ、水素の供給停止、供給再開の応答性を高めることが可能となる。したがって、第6の変形例の流量制御部140は、燃焼設備110の温度制御を高精度に行うことができる。
[第7の変形例]
図12は、第7の変形例に係る流量制御部140の制御について説明する図である。図12中、縦軸は、流量を示す。図12中、横軸は時間を示す。
図12に示すように、第7の変形例の流量制御部140による水素の流量制御(流量制御弁216の制御)は、第6の変形例と同様である。
一方、第7の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、バーナ112に供給される水素の流量に対し、一定割合の窒素を供給するように、流量調整弁262を制御する。
例えば、第7の変形例の流量制御部140は、バーナ112に供給される水素が流量F1である場合、窒素が流量Ffとなるように、流量調整弁262を制御する。窒素の流量Ffは、上記流量Fa超であり、例えば、水素の流量F1の20体積%である。また、第7の変形例の流量制御部140は、バーナ112に供給される水素が流量F2である場合、窒素が流量Fgとなるように、流量調整弁262を制御する。窒素の流量Fgは、例
えば、水素の流量F2の20体積%である。
また、第7の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、バーナ112に供給される水素の流量がゼロである場合であっても、窒素が流量Faとなるように、流量調整弁262を制御する。
以上説明したように、第7の変形例の流量制御部140は、運転中制御において、燃料ガス供給路232へ常時窒素を供給する。このため、第7の変形例の流量制御部140は、運転中制御中における水素の供給停止および供給再開の切り換えを瞬時に行うことができ、水素の供給停止、供給再開の応答性を高めることが可能となる。したがって、第7の変形例の流量制御部140は、燃焼設備110の温度制御を高精度に行うことができる。
また、第7の変形例の流量制御部140は、窒素の流量を、水素の流量に対して所定の体積割合(例えば、20体積%)とする。これにより、第7の変形例では、水素の燃焼量に拘わらず、排気ガス中のNOxの濃度を低減することができる(図5参照)。したがって、第7の変形例では、水素の燃焼量に拘わらず、排気ガス中のNOxの濃度を所定値未満とすることが可能となる。
[第2の実施形態]
図13は、第2の実施形態に係る燃焼システム300を説明する図である。図14は、第2の実施形態に係る制御装置330の機能ブロック図である。図13中、破線の矢印は、信号の流れを示す。
図13に示すように、燃焼システム300は、燃焼設備110と、ガス供給部120と、濃度センサ310と、制御装置330とを含む。なお、上記燃焼システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
濃度センサ310は、燃焼設備110内において、水素を燃焼させることで生じる排気ガスに含まれるNOxの濃度を検出する。
図14に示すように、制御装置330は、中央制御部332と、メモリ334とを含む。
中央制御部332は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。中央制御部332は、ROMからCPUを動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。中央制御部332は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して燃焼システム300全体を管理および制御する。
メモリ334は、ROM、RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成される。メモリ334は、中央制御部332に用いられるプログラムや各種データを記憶する。
本実施形態において、中央制御部332は、信号取得部340、流量制御部342として機能する。
信号取得部340は、濃度センサ310の検出結果を取得する。
流量制御部342は、上記第1の実施形態と同様に、燃料ガス供給路232を通じてバーナ112に供給される水素の流量、不活性ガス供給路254を通じて燃料ガス供給路232に供給される窒素の流量、および、酸化剤ガス供給路212を通じてバーナ112に供給される空気の流量のうちのいずれか1または複数を制御して、プレパージ制御、運転開始制御、運転停止制御、および、ポストパージ制御を行う。
本実施形態において、流量制御部342は、運転中制御中の定格燃焼後、つまり、時刻T5から時刻T6までの間、燃焼設備110の要求熱量に基づいて、流量制御弁216の開度を調整し空気の流量を制御することで、バーナ112に供給される水素を流量F1以上、流量F2以下の範囲に制御する。また、流量制御部140は、時刻T5から時刻T6までの間、信号取得部340によって取得された濃度センサ310の検出結果に基づき、排気ガスに含まれるNOxの濃度が所定値以下となるように、流量調整弁262の開度を制御して、燃料ガス供給路232に供給される窒素を流量Fa以上、流量Fb以下の範囲に制御する。
以上説明したように、本実施形態に係る燃焼システム300は、運転中制御において、NOxの濃度が所定値以下となるように、窒素の流量を制御する。これにより、排気ガス中のNOxの濃度を所定値以下に低減することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記第1の実施形態において、燃料供給部230が、均圧弁238を備える場合を例に挙げた。しかし、燃料供給部230は、均圧弁238に代えて、流量制御弁を備えてもよい。流量制御弁は、例えば、コントロールモータ付きバタフライバルブである。
また、上記第1の実施形態において、燃料供給部230が、遮断弁236aおよび遮断弁236bを備える構成を例に挙げた。しかし、燃料供給部230は、遮断弁236aおよび遮断弁236bのうちのいずれか一方を備えていればよい。
また、上記第1の実施形態、および、第1~第7の変形例において、流量制御部140がプレパージ制御を行う場合を例に挙げた。しかし、流量制御部140は、運転開始制御、運転中制御、運転停止制御、および、ポストパージ制御を少なくとも行えばよい。
また、上記第2の実施形態の燃焼システム300が、第1~第7の変形例の制御を行ってもよい。
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態において、ガス供給部120が均圧弁238を備え、空気比を一定とする場合を例に挙げた。しかし、流量制御部は、少なくとも運転中制御において、空気比が所定の空気比範囲内に維持されるように、要求熱量に応じてバーナ112に供給される燃料ガスの流量を制御し、バーナ112に供給される酸化剤ガスの流量を制御してもよい。