JP7819965B2 - Trpv1活性化剤 - Google Patents

Trpv1活性化剤

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本発明は、TRPV1(Transient receptor potential cation channel subfamily V member 1:一過性受容体電位カチオンチャネルサブファミリーVメンバー1)活性化剤に関する。
近年、世界的な肥満症患者の増加に伴って、運動に加え、ダイエット用サプリメントの摂取による肥満の予防戦略が注目されている。具体的には、エピガロカテキンガレートや難消化性デキストリンに代表される脂質の吸収抑制による肥満予防対策が知られている。しかしながら、これらの対策は、一時的な脂質吸収量を抑えることのみができ、根本的な体質の改善はできない。
哺乳動物の肥満症には、脂肪組織が大きく関与する。脂肪組織には白色脂肪組織と褐色脂肪組織とがあり、このうち褐色脂肪組織は脂肪を消費して体熱産生を行い、体温維持を担う。また、褐色脂肪組織は加齢により低下し、結果として脂肪が消費できずに、肥満症が誘発される。そこで、褐色脂肪組織の低下を抑えるために、褐色脂肪組織を構成する褐色脂肪細胞への分化を通じて褐色脂肪細胞を増やすことが試みられている。例えば、アルテピリンCとクルクミンとを有効成分として含む褐色脂肪細胞分化誘導剤が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
一方で、新たな抗肥満戦略として、食品成分による温度感受性(TRP)チャネルをターゲットとした戦略が注目されている。TRPチャネルは寒冷刺激の受容体として知られ、受容された寒冷刺激は褐色脂肪細胞における熱産生を誘導し、体温維持に寄与する。褐色脂肪細胞が持つ熱産生活性及びエネルギー消費活性は、生物個体の体温調節能に加えて、エネルギーを消費しやすい体質に変えることによる肥満や代謝性疾患の予防にも役立つことが期待されている。
例えば、具体的なターゲットとなるTRPチャネルとして、TRPのサブファミリーに属するTRPV1(Transient receptor potential cation channel subfamily V member 1:一過性受容体電位カチオンチャネルサブファミリーVメンバー1)がある。TRPV1は、トウガラシの辛み成分であるカプサイシンの受容体として知られている。
TRPV1の活性化は、副腎髄質などからのカテコールアミン(ノルエピネフリン;NE)放出の増加を経て、交感神経の興奮を誘導する。交感神経の興奮により、交感神経伝達物質の受容体であるβ3アドレナリン受容体が活性化して褐色脂肪細胞において熱産生タンパク質UCP1(uncoupling protein 1)の発現誘導が起こる。結果として、褐色脂肪細胞によるエネルギー消費が誘発され、体熱産生が促進する。
TRPV1を活性化する物質を有効成分として含むTRPV1活性化剤は、褐色脂肪細胞を活性化し、体熱産生を促進して、抗肥満効果を発現し得る。TRPV1活性化剤としては、メンチル 3-ヒドロキシブチレートを有効成分とする、TRPV1活性化剤が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
特許第6488504号 特開2022-165316号公報
特許文献1に記載の褐色脂肪細胞分化誘導剤は、天然由来のアルテピリンC及びクルクミンを有効成分とすることから、安全性が高い。しかし、本発明者らが調べたところによれば、これらのうちの主要な成分であるアルテピリンCにはTRPV1活性化作用がなく、さらに褐色脂肪細胞を活性化する作用もない。
特許文献2に記載のTRPV1活性化剤は、有効成分であるメンチル 3-ヒドロキシブチレートが化学合成物質であり、生体に対する安全性に問題がある。
そこで、本発明は、天然由来でありながら、TRPV1活性化作用を有する成分を有効成分として含むTRPV1活性化剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行い、数多くある天然物の中からTRPV1活性化作用を有するものを見出すことを試みた。その中で、プロポリスに着眼するに至った。プロポリスはミツバチが採取する植物の新芽や樹脂と蜂の唾液とを混ぜ合わせてできる樹脂状又は蝋状の物質である。このようにプロポリスは、植物を原料とするため、産地によって成分の違いが見られ、それにより生理作用も異なる。
例えば、バッカリス・ドゥラクンクリフォリア(Baccharis dracunculifolia)を主要な基原植物とするブラジル産グリーンプロポリスでは、アルテピリンC、ドルパニン、クリフォリン、p-クマル酸、ケンフェライド、6-メトキシケンフェライド、ジヒドロケンフェライド、バッカリン等の桂皮酸誘導体が主成分として検出される。一方、ポプラを基原植物とする中国産、ヨーロッパ産及びオーストラリア産のプロポリスでは、クリシン、ガランギンなどのフラボノイド類が主成分として検出される。
ブラジル産グリーンプロポリスは、上記のとおり、アルテピリンCを主成分として含む。しかし、アルテピリンCにはTRPV1活性化作用がなく、さらに褐色脂肪細胞を活性化する作用もない。このことからブラジル産グリーンプロポリスには、TRPV1活性化作用がないと想定された。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、ブラジル産グリーンプロポリスは、TRPV1活性化作用があり、さらに褐色脂肪細胞を活性化する作用及び体熱産生を誘導する作用を有することを見出した。
さらに本発明者らは、ブラジル産グリーンプロポリスにおける上記作用を発揮する成分について調べたところ、それがクリフォリンであることを解明した。
このような知見の下で、本発明者らは、本発明の課題を解決するものとして、天然由来でありながら、TRPV1活性化作用を有するブラジル産グリーンプロポリス及び/又はクリフォリンを有効成分として含むTRPV1活性化剤などを創作することに成功した。本発明はこのような本発明者らによって初めて見出された知見及び初めて為された成功例に基づいて完成するに至った発明である。
したがって、本発明の各側面から、以下の態様が提供される:
[1]ブラジル産グリーンプロポリスを有効成分として含む、TRPV1活性化剤。
[2]ブラジル産グリーンプロポリスを有効成分として含む、体熱産生促進剤。
[3]ブラジル産グリーンプロポリスを有効成分として含む、褐色脂肪細胞活性化剤。
[4]クリフォリンを有効成分として含む、TRPV1活性化剤。
[5]クリフォリンを有効成分として含む、体熱産生促進剤。
[6]クリフォリンを有効成分として含む、褐色脂肪細胞活性化剤。
[7][1]から[6]のいずれか1項に記載の剤を含む、飲食品、医薬品又は医薬部外品。
ブラジル産グリーンプロポリス及びクリフォリンは、優れたTRPV1活性化作用を有しているので、TRPV1活性化剤の有効成分として有用である。
また、本発明の一態様のTRPV1活性化剤は、有効成分が天然由来であり、食経験のあるブラジル産グリーンプロポリス及びブラジル産グリーンプロポリスに含まれるクリフォリンであるため、安全性が高い。そこで、本発明の一態様のTRPV1活性化剤は、飲食品、医薬品、医薬部外品などの様々な形態でTRPV1の活性化の用に供することができる。
図1は、ベージュ脂肪化を誘導したマウスにアルテピリンC及びTRPV1阻害剤を投与した際の、直腸及び褐色脂肪組織における経時的な温度変化を示す図である。 図2は、ベージュ脂肪化を誘導したマウスにブラジル産グリーンプロポリス及びTRPV1阻害剤を投与した際の、直腸及び褐色脂肪組織における経時的な温度変化を示す図である。 図3は、ベージュ脂肪化を誘導したマウスにアルテピリンC及びブラジル産グリーンプロポリス、TRPV1阻害剤を投与した際の、血漿中のノルエピネフリン量を示す図である。 図4は、TRPV1を過剰発現させたHEK293細胞に各素材を添加した際の、経時的なカルシウムシグナル強度の変化及びそのAUCと、各濃度でTRPV1阻害剤を添加した際のクリフォリンの経時的なカルシウムシグナル強度の変化を示す図である。 図5は、ベージュ脂肪化を誘導したマウスにクリフォリン及びブラジル産グリーンプロポリスを投与した際の、直腸及び褐色脂肪組織における経時的な温度変化を示す図である。 図6は、ベージュ脂肪化を誘導したマウスにクリフォリン及びブラジル産グリーンプロポリスを投与した際の、血漿中のノルエピネフリン量を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、「含有量」は、濃度及び添加量(使用量)と同義であり、組成物の全体量に対する成分の量の割合を意味する。ただし、成分の含有量の総量は、100%を超えることはない。なお、成分の含有量は、市販品を用いる場合は、市販品に含まれる成分の量であることが好ましいが、市販品自体の量であってもよい。
「飲食品」は、食料品、飲料品又はその両方を意味する包括的な用語である。
「含む」(comprise、contain、include)は、含まれるものとして明示されている要素以外の要素を付加できることを意味する(「少なくとも含む」と同義である)が、「からなる」(consist of)及び「から本質的になる」(essentially consist of)を包含する。すなわち、「含む」は、明示されている要素及び任意の1種若しくは2種以上の要素を含み、明示されている要素からなり、又は明示されている要素から本質的になることを意味し得る。要素としては、成分、工程、条件、パラメーターなどの制限事項などが挙げられる。
数値範囲の「~」は、その前後の数値を含む範囲であり、それらの含まれる限界値の一方を除いた範囲もまた含まれる。例えば、「0%~100%」の場合は、0%以上、100%以下であってよい。
本発明の一態様のTRPV1活性化剤は、ブラジル産グリーンプロポリス及びクリフォリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の有効成分を含む。本明細書では、ブラジル産グリーンプロポリス、クリフォリン及びその両方を「有効成分」として総称する。本発明の一態様のTRPV1活性化剤は、有効成分を含むことにより、TRPV1を活性化することができる。
TRPV1の活性化は、副腎髄質などからのカテコールアミン(ノルエピネフリン;NE)放出の増加につながり、交感神経の興奮を誘導する。交感神経の興奮により、交感神経の受容体であるβ3アドレナリン受容体から褐色脂肪細胞及びベージュ脂肪細胞での熱産生タンパク質UCP1(uncoupling protein 1)の発現誘導が起こり、エネルギー消費が誘発され、体熱産生が促進する。したがって、本発明の一態様のTRPV1活性化剤によってTRPV1を活性化することにより、体熱産生の促進及び褐色脂肪細胞の活性化が期待される。したがって、本発明の別の一態様は、有効成分を含む体熱産生促進剤である。また、本発明の別の一態様は、有効成分を含む褐色脂肪細胞活性化剤である。以下では、TRPV1活性化剤を詳細に説明するが、体熱産生促進剤及び褐色脂肪細胞活性化剤についてもこれらの説明を参照できる。
[ブラジル産グリーンプロポリス]
本発明の一態様のTRPV1活性化剤は、ブラジル産グリーンプロポリスを有効成分として含む。プロポリスとは、ミツバチの巣の巣壁を構成する樹脂状又は蝋状の物質であり、ミツバチが採取してきた植物の新芽や樹脂と蜂の唾液を混ぜ合わせてできた物質である。プロポリスは、例えば、常法に従い養蜂産品として入手することができる。ブラジル産グリーンプロポリスは、ブラジル連邦共和国ミナスジェライス州産のものから選ばれる。また、ブラジル連邦共和国ミナスジェライス州産のプロポリス(以下、ブラジル産グリーンプロポリスと略記する)に加えて、中国、台湾、ヨーロッパ諸国、ロシア、オセアニア、アメリカなどの他の産地のプロポリスを組み合わせて使用してもよい。また、ブラジル産グリーンプロポリスは、スーパーグリーン、ウルトラグリーン等いずれのランクであってもよい。
ブラジル産グリーンプロポリスとしては、ブラジル連邦共和国ミナスジェライス州で採取されたものであれば特に限定されない。中でも、ブラジル産グリーンプロポリスとしては、基原植物がアレクリンであるものが好ましい。アレクリンはキク科バッカリス属のバッカリス・ドゥラクンクリフォリア(Baccharis dracunculifolia)である。
ブラジル産グリーンプロポリスは、例えば、プロポリス原塊であってもよく、プロポリス原塊に何らかの処理を施したプロポリス処理物であってもよい。プロポリス処理物は、例えば、プロポリス原塊に、粉砕、抽出、抽出物の濃縮又は粉末化、粉末の造粒等の処理が施されたものであってもよく、抽出後に残る抽出残渣であってもよい。すなわちプロポリス処理物は、例えば、プロポリスの粉砕物、抽出物、濃縮抽出物、抽出物粉末、抽出物顆粒、抽出残渣等であってよい。抽出は、例えば、水抽出、親水性有機溶媒抽出、超臨界抽出等であってよい。親水性有機溶媒としては、例えばエタノール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。プロポリスの抽出物は、プロポリス原塊から抽出して得られたものであってもよく、抽出後の残渣から更に抽出して得られたものであってもよい。処理方法は1つであってよく、2つ以上を組み合わせてもよい。プロポリス処理物としては、プロポリス親水性有機溶媒抽出物が、短時間で効率的にバランスよくプロポリスの有効成分が抽出されたものであるため好ましい。プロポリス処理物はプロポリスエタノール抽出物であることが好ましい。
プロポリスの抽出物としては、回収された抽出液(必要に応じて更に精製されたものも含む)、当該抽出液を濃縮した濃縮液、凍結乾燥、スプレードライ等により当該抽出液の溶媒が除去された固形物などが含まれる。ここで、抽出液の濃縮、凍結乾燥及びスプレードライは、常法に従って行うことができる。本発明におけるプロポリスの抽出物には、このような抽出物を粉末化した粉末、該粉末を造粒した顆粒形態なども含まれる。
プロポリス又はその抽出物は、市販されているものを用いてもよい。市販されているブラジル産グリーンプロポリスが含まれる製品の具体例としては、例えば、山田養蜂場社のプロポリス300、プロポリス液30、プロポリス粒、プロポリス顆粒APC、プロポリスマイルド、プロポリスドリンク等が挙げられる。
[クリフォリン]
本発明の別の一態様のTRPV1活性化剤は、クリフォリンを有効成分として含む。クリフォリンの構造式を以下に示す。
クリフォリンは、単離又は精製された状態でないもの(粗抽出物)、及び単離又は精製されたもののいずれも使用することができる。
クリフォリンは、自家調製品又は市販品を問わず用いることができる。ここで、クリフォリンを自家調製する方法としては、特に制限されず、クリフォリンを含む植物及び天然物から抽出する方法、並びに化学的に合成する方法を挙げることができる。
[有効成分]
TRPV1活性化剤は、有効成分として、ブラジル産グリーンプロポリス、クリフォリン又はこれらの両方を含み得る。
TRPV1活性化剤中のブラジル産グリーンプロポリスの含量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されず、最終形態等に応じて適宜調整することができ、TRPV1活性化剤中の、固形分全量に対して、例えば、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってもよく、100質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下であってもよい。
また、TRPV1活性化剤中のクリフォリンの含量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限されず、最終形態等に応じて適宜調整することができ、TRPV1活性化剤中の、固形分全量に対して、例えば、0.00000001質量%以上、0.0000001質量%以上、0.000001質量%以上、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.0005質量%以上、0.001質量%以上、0.003質量%以上、0.005質量%以上、0.007質量%以上、0.01質量%以上、0.015質量%以上、0.02質量%以上、0.03質量%以上、0.04質量%以上、0.05質量%以上、0.06質量%以上、0.07質量%以上、0.08質量%以上、又は0.09質量%以上であってもよく、100質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下であってもよい。
TRPV1活性化剤は、例えば、体内でのTRPV1の活性化に使用するためにヒトに投与することもできる。TRPV1活性化剤は、経口投与でもよく、非経口投与でもよい。経口投与は経腸投与を含み、非経口投与は局所投与及び経皮投与を含む。
また、TRPV1活性化剤が経口投与される場合の投与量は、有効成分、組成物の形態及び適用方法・適用量によって異なり得るが、例えば、有効成分がブラジル産グリーンプロポリスである場合、体重60kgの成人一日当たり、乾燥固形分換算で1μg~10,000mgの用量で用いることができ、2μg~9,000mgの用量で用いることが好ましく、3μg~8,000mgの用量で用いることがより好ましく、4μg~7,000mgの用量で用いることが更に好ましい。また、例えば、有効成分がクリフォリンである場合、体重60kgの成人一日当たり、乾燥固形分換算で1ng~10,000μgの用量で用いることができ、2ng~9,000μgの用量で用いることが好ましく、3ng~8,000μgの用量で用いることがより好ましく、4ng~7,000μgの用量で用いることが更に好ましい。当該投与量は、摂取する人の健康状態、投与方法、有効成分の種類及び他の剤との組み合わせ等の因子に応じて、適宜増減することができる。
TRPV1活性化剤は、一日当たりの有効投与量が上述した範囲内にあれば、一日一回投与されてもよいし、一日二回、一日三回等、複数回に分けて投与されてもよい。TRPV1活性化剤は、投与してすぐ効果が得られるが、1週間~4週間又は1か月以上、6か月以上、1年以上の継続的な投与は、効果をより持続できるため、好ましい。
TRPV1活性化剤は、飲食品(特に、保健、健康維持、増進等を目的とする飲食品(例えば、健康食品、機能性食品、栄養組成物(nutritional composition)、栄養補助食品、サプリメント、保健用食品、特定保健用食品、栄養機能食品、又は機能性表示食品))、医薬部外品、医薬品などとして使用することができる。また、TRPV1活性化剤は、TRPV1活性化作用を付与する添加剤についての意味も包含するものである。
TRPV1活性化剤を一成分として含む飲食品、医薬部外品、又は医薬品は、例えば、これら製品の製造工程における中間製品に、TRPV1活性化剤を添加することにより製造することができる。
上記の飲食品は、有効成分に加えて、その他の成分を含み、その他の成分としては、例えば、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、アミノ酸、核酸、必須脂肪酸、清涼剤、結合剤、甘味料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、香料、安定剤、ゲル化剤、防腐剤、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤等が挙げられる。
飲食品には、動物(ヒトを含む)が摂取できるあらゆる飲食品が含まれる。飲食品の種類は、特に限定されず、例えば、乳製品;発酵食品(ヨーグルト等);飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料のような清涼飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、乳酸菌入り飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、日本酒、洋酒、果実酒のような酒等);スプレッド類(カスタードクリーム等);ペースト類(フルーツペースト等);洋菓子類(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、グミ、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ、プリン等);和菓子類(大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ、羊羹等);氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等);食品類(カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム等);調味料類(ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料、スープの素等)などが挙げられる。
飲食品の製法は特に限定されず、適宜公知の方法に従うことができる。
サプリメントとして使用する際の投与単位形態については特に限定されず、適宜選択でき、例えば、チュアブル、トローチなどの錠剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤、散剤、シロップ、ペースト、ドリンク、グミ等が挙げられる。
上記の医薬品には、有効成分に加えて、その他の成分を含み、その他の成分としては、例えば、ビタミン、生薬などが挙げられる。有効成分及びその他の成分は、さらに日本薬局方に記載の他の医薬成分と混合して使用することもできる。
TRPV1活性化剤を、医薬品として調製する場合、有効成分を、医薬品において許容される成分とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠、トローチ剤などを含む)、カプセル剤、丸剤、粉末剤(散剤)、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、シロップ、ペースト、注射剤(使用時に、蒸留水又はアミノ酸輸液や電解質輸液等の輸液に配合して液剤として調製する場合を含む)などの形態に調製して、医薬用の製剤にすることが可能である。
医薬品の投与は、局所的であってもよく、全身的であってもよい。投与方法には特に制限はなく、経口的又は非経口的に投与される。非経口的投与経路としては、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内若しくは動脈内への投与、経皮的投与等が挙げられる。
医薬品には、有効成分以外にも、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、懸濁化剤、増粘剤、抗酸化剤、吸収促進剤、pH調整剤、保存剤、防腐剤、安定剤、界面活性剤、甘味剤、矯味剤、香料等の薬学的に許容される成分を適宜配合することができる。
なお、本発明の医薬品には、医薬部外品も包含される。
以上説明した本発明の一態様のTRPV1活性化剤は、ヒトを含む哺乳動物(好ましくはヒト)に対して適用されるものである。
また、本発明の一態様のTRPV1活性化剤は、従来から食品素材として用いられてきたブラジル産グリーンプロポリス及びその含有成分であるクリフォリンを使用するものであるから、安全性が高い。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[体熱産生評価(1)]
ブラジル産グリーンプロポリス(BGP、山田養蜂場社)及びアルテピリンC(ArtC、山田養蜂場社)が有する体熱産生能を、温度プローブを用いた組織温度測定により評価した。
4週齢の雄のC57BL/6Jマウス(日本エスエルシー社)を購入し、実験に用いた。マウスは室温22±3℃、昼夜12時間サイクル(明期:8:00-20:00)の環境で、1ケージあたり1匹の個別飼育とした。飼育飼料はCE-2(日本クレア社)を用いた。経口投与に慣れさせるために7日間の馴化期間を設け、期間中は全てのマウスに生理食塩水を100μl/日で経口投与した。
馴化期間の終了後、マウスのベージュ脂肪化を誘導するために、マウスへβ3アドレナリンレセプターアゴニストであるCL316,243(Sigma-Aldrich社、C5976-5MG)を1mg/kgで7日間腹腔内投与して、投与後のマウスをベージュ脂肪化誘導マウスとして試験に用いた。その後、体内に残ったCL316,243の影響を無くすため、3日間生理食塩水を腹腔内投与した。
ベージュ脂肪化誘導マウスを、表1に示す6系列の試験群に分けた。AMG517投与群には、TRPV1阻害剤であるAMG517(Selleck社、S7115)を40mg/kgで3日間経口投与した。下記表1に従い、各試験群を、組織温度測定時の投与サンプル別に、対照群であるControl群、Control+AMG517群、ArtC群、ArtC+AMG517群、BGP群及びBGP+AMG517群とした。
組織温度測定の開始10分前に、AMG517の併用投与群にはAMG517(40mg/kg)を、AMG517の投与が無い群にはVehicle(5% DMSO-4% Tween80;5ml/kg)を経口投与した。その後、表1に示すとおりに、Control群及びControl+AMG517群にはVehicle(5ml/kg)を経口投与し、ArtC群及びArtC+AMG517群にはArtC(10mg/kg)を経口投与し、並びにBGP群及びBGP+AMG517群にはBGP(115mg/kg)を経口投与した。
各サンプルを投与したベージュ脂肪化誘導マウスについて、デジタル温度計(Physitemp社、BAT-12R)及びニードル型温度プローブ(Physitemp社、MT-29、RET-3)を用いて、気体状のイソフルラン(0.8L/min)の吸入麻酔下で直腸(Rectal)及び肩甲骨間褐色脂肪組織(iBAT)の組織温度を5分ごとに計測した。なお、直腸の組織温度は外部環境の影響が小さい深部体温として測定し、体熱産生の変化の指標として用いた。
60分間の組織温度測定終了後、血液のサンプリングを行った。サンプリング時は、体重を測定し、イソフルラン(0.8L/min)の麻酔下で心臓採血して血液をヘパリンナトリウム(1万単位/10mL)5μLを含むチューブに採取した。採取した血液から血漿を採取して、常法により血漿中のノルエピネフリン(NE)濃度を測定した。採取した血液を4℃、5000×rpmで5分間遠心分離し、血漿を得た。血漿中ノルエピネフリン(NE)量の測定にはNE特異的なELISAキット(Abnova社、KA1891)を使用し、キットのプロトコルに従って濃度を測定した。
温度変化は各時点で解析を行い、t検定により阻害剤投与の有無による有意差を求めた(*:p<0.05)。血漿中のNE量は正規性の解析を行い、ANOVAによる分散分析及びTukey’s検定により各群間の有意差を求めた(異なる文字間(a-b間、a-c間、b-c間)にて有意差あり,p<0.05)。
[BGP関与成分評価]
BGP中のTRPV1活性化成分は、TRPV1過剰発現細胞を用いたカルシウムシグナル活性化能に基づいて探索及び評価した。
ヒト胎児腎由来細胞株であるHEK293細胞を2×10cells/wellとなるように96well plate(Perkin社)に播種し、一晩培養した。その後TRPV1プラスミド(Vector Builder社)をFuGene IIHD(Promega社,E2311)を用いてトランスフェクションし、一晩培養することでTRPV1過剰発現細胞を得た。
カルシウムシグナルはカルシウム指示薬であるFluo 4-AMキット(Dojin社)を用いて解析した。Fluo 4-AMキットのプロトコルに従い、TRPV1過剰発現細胞にカルシウム指示薬であるFluo 4-AMを取り込ませる際には、培地を除き、Fluo 4-AMキットのLoading Bufferで30分間前処理を行った。その後、Loading Bufferを除き、Assay Mediumを添加し、蛍光プレートリーダー(Envision、Perkin社)にセットし、蛍光強度(λex=340nm/380nm、λem=510nm)を10秒間リードし、ベースラインを得た。
次いで、BGPにおいて比較的含有量が大きいArtepillin C(ArtC)、Drupanin、Culirolin(クリフォリン)、p-Cumaric acid、Kaemperide、6-Methoxykaemperide及びDihydrokaemperideの7種の成分を10μMでTRPV1過剰発現細胞に添加し、さらに90秒間蛍光強度の変化を取得した。また、AMG517及びクリフォリンの併用実験では、AMG517 0μM、1μM、2μM又は10μMを、TRPV1過剰発現細胞に添加し、5分後に上記と同様の方法によりベースラインを得た。次いで、クリフォリンを10μMでTRPV1過剰発現細胞に添加し、さらに90秒間蛍光強度の変化を取得した。コントロールとして、Vehicle(DMSO)を用いた。
得られたシグナルを、ベースラインの平均値で補正し、波形及びシグナルの強度を最大シグナル値-最小シグナル値の差分を求めて、シグナル値として評価した。試験は5回実施し、シグナル値は平均値±標準偏差で示した。シグナル値は、正規性の解析を行い、ANOVAによる分散分析及びDunnett’s検定によりVehicleとの有意差を求めた(**:p<0.01)。
[体熱産生評価(2)]
ブラジル産グリーンプロポリス(BGP、山田養蜂場社)、アルテピリンC(ArtC、山田養蜂場社)及びクリフォリン(Culifolin、山田養蜂場社)が有する体熱産生能を、温度プローブを用いた組織温度測定により評価した。
上記[体熱産生評価(1)]に記載の方法と同様にベージュ脂肪化誘導マウスを用意した。
ベージュ脂肪化誘導マウスを、表2に示す3系列の試験群に分けた。下記表2に従い、各試験群を、組織温度測定時の投与サンプル別に、対照群であるControl群、BGP群及びCulifolin群とした。0.165mg/kg body weightのCulifolinは、115mg/kg body weightのBGPに含まれるCulifolin量に相当する。
組織温度測定の開始直前に、Control群にはVehicle(5ml/kg)を経口投与し、BGP群にはBGP(115mg/kg)を経口投与し、Culifolin群にはCulifolin(0.165mg/kg)を経口投与した。
各サンプルを投与したベージュ脂肪化誘導マウスについて、上記[体熱産生評価(1)]に記載の方法と同様に、直腸(Rectal)及び肩甲骨間褐色脂肪組織(iBAT)の組織温度を計測し、次いで血漿中のノルエピネフリン(NE)濃度を測定した。
[評価結果]
体熱産生評価(1)の結果を図1~図3に示す。図1は、アルテピリンC(ArtC)が有する体熱産生作用の評価結果として、Control群、Control+AMG517群、ArtC群及びArtC+AMG517群のそれぞれの直腸(Rectal;図1A)及び肩甲骨間褐色脂肪組織(iBAT;図1B)における経時的な温度変化を示す。図1に示すように、ArtCは、直腸及び褐色脂肪組織に対して熱産生作用を有していなかった。したがって、ArtCは、特許文献1に示すように、褐色脂肪細胞に対する分化誘導作用を有するかもしれないが、褐色脂肪組織乃至その細胞を活性化せず、褐色脂肪組織に対する熱産生作用及び体熱産生作用を有しないことがわかった。
図2は、ブラジル産グリーンプロポリス(BGP)が有する体熱産生作用の評価結果として、Control群、Control+AMG517群、BGP群及びBGP+AMG517群のそれぞれの直腸(図2A)及び肩甲骨間褐色脂肪組織(図2B)における経時的な温度変化を示す。図2に示すように、BGPは、経時的に直腸及び褐色脂肪組織の温度を上昇させた。また、このBGPによる直腸及び肩甲骨間褐色脂肪組織の組織温度上昇はAMG517との併用投与により有意に抑制された。
図2の結果から、BGPは、ArtCとは違って、褐色脂肪組織乃至その細胞を活性化する作用を有し、さらに褐色脂肪組織に対する熱産生作用及び体熱産生作用を有することがわかった。また、AMG517による抑制効果により、BGPが有する体熱産生作用、並びに褐色脂肪組織の活性化作用はTRPV1を介する作用であることがわかった。
図3は、各試験群の血漿中のノルエピネフリン(NE)量を示した図である。図3に示すように、血漿中のノルエピネフリン量は、Control群と比較して、BGP群では有意に増加したが、AMG517との併用投与により抑制された。このことから、BGPは、TRPV1を介してNEの血中濃度を増加させることがわかった。
図4は、TRPV1過剰発現細胞にBGP主要成分を添加した際のカルシウムシグナルの強度(図4A及び図4B)と、クリフォリンと0μM~10μMのAMG517とを添加した際のカルシウムシグナルの強度(図4C)を示す。図4Aに示すように、TRPV1過剰発現細胞にBGPに含まれる各成分を添加した際のカルシウムシグナルを評価した結果、クリフォリンのみで添加直後からカルシウムシグナルが増加し、経時的な増加が認められた。また、図4Bに示すように、シグナル強度を解析すると、クリフォリンのみで有意なシグナル増強が認められた。さらに、図4Cに示すように、クリフォリンと共にAMG517を添加すると、クリフォリンによるカルシウムシグナル誘導がAMG517の濃度依存的に抑制されることがわかった。このことから、BGPにおけるTRPV1活性化作用を有する成分はクリフォリンであることがわかった。
体熱産生評価(2)の結果を図5~図6に示す。図5は、クリフォリンが有する体熱産生作用の評価結果として、Control群、BGP群及びCulifolin群のそれぞれの直腸(Rectal;図5A)及び肩甲骨間褐色脂肪組織(iBAT;図5B)における経時的な温度変化を示す。図5に示すように、クリフォリンは、経時的に直腸及び肩甲骨間褐色脂肪組織の温度を上昇させた。
図6は、各試験群の血漿中のノルエピネフリン(NE)量を示した図である。図6に示すように、血漿中のノルエピネフリン量は、Control群と比較して、BGP群及びCulifolin群では有意に増加した。
以上の結果から、ブラジル産グリーンプロポリスはTRPV1活性化作用を有し、TRPV1の活性化を介した体熱産生作用及び褐色脂肪細胞活性化作用を有することがわかった。また、ブラジル産グリーンプロポリスのTRPV1活性化成分はクリフォリンであることがわかった。
本発明の一態様のTRPV1活性化剤は、天然由来であり、安全性が認められる有効成分により、生体内のTRPV1を活性化することができるものとして、飲食品、医薬品、医薬部外品などの様々な形態で利用できる。


Claims (3)

  1. クリフォリンを有効成分として含む、TRPV1活性化剤。
  2. クリフォリンを有効成分として含む、体熱産生促進剤。
  3. クリフォリンを有効成分として含む、褐色脂肪細胞活性化剤。
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Non-Patent Citations (6)

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