JP7820940B2 - ウイルス不活化剤 - Google Patents
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Description
ウイルスは、感染者によって生活空間へ持ち込まれた場合に、患者から直接、あるいは衣服、各種器具・部材、壁やエアコンなどの設備を含む環境を介して、感染が拡大する。したがって、ウイルスが付着し得る手指、衣服、各種器具・部材を洗浄・消毒することによる除ウイルスやウイルス不活化を図ることや、生活空間に飛沫したウイルス及びエアロゾルとして空間中に漂うウイルスを不活化することが感染拡大を防ぐために有効であると考えられている。
1)オシメン、trans-2-ウンデセナール、cis-4-デセナール、trans-4-デセナール、trans-2-デセナール、9-ウンデセナ-ルと8,10-ウンデセナールの混合物、10-ウンデセナール及びウンデカナールから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤。
2)オシメン、trans-2-ウンデセナール、cis-4-デセナール、trans-4-デセナール、trans-2-デセナール、9-ウンデセナ-ルと8,10-ウンデセナールの混合物、10-ウンデセナール及びウンデカナールから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物をウイルス汚染が懸念される対象に適用する、ウイルス不活化方法。
・オシメン(別名:β-オシメン、3,7-ジメチルオクタ-1,3,6-トリエン):Santa Cruz Biotechnology社
・trans-2-ウンデセナール(別名:(E)-ウンデセ-2-エナール):Bedoukian Research社
・cis-4-デセナール(別名:(Z)-4-デセナール):Bedoukian Research社
・trans-4-デセナール(別名:(E)-4-デセナール):富士フイルム和光純薬社、Sigma-Aldrich社
・trans-2-デセナール(別名:(E)-デセ-2-エナール):Sigma-Aldrich社
・9-ウンデセナ-ルと8,10-ウンデセナールの混合物:「インターレーベンアルデヒド」(International Flavors & Fragrances社)
・10-ウンデセナール(別名:ウンデセ-10-エナール、):Sigma-Aldrich社、東京化成工業社
・ウンデカナール:Sigma-Aldrich社、東京化成工業社
エンベロープを有するウイルスとしては、核酸としてRNAを有する、インフルエンザウイルス;コロナウイルス;SARSコロナウイルス;SARSコロナウイルス-2;RSウイルス;ムンプスウイルス;ラッサウイルス;デングウイルス;風疹ウイルス;ヒト免疫不全ウイルス、核酸としてDNAを有する、ヒトヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;B型肝炎ウイルス等が挙げられる。
また、エンベロープを有さないウイルスとしては、核酸としてRNAを有する、ノロウイルス;ポリオウイルス;エコーウイルス;A型肝炎ウイルス;E型肝炎ウイルス;ライノウイルス;アストロウイルス;ロタウイルス;コクサッキーウイルス;エンテロウイルス;サポウイルス、核酸としてDNAを有する、アデノウイルス;B19ウイルス;パポバウイルス;ヒトパピローマウイルス等が挙げられる。
なお、SARSコロナウイルス-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2,;SARS-CoV-2)は、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。
なお、ウイルスの不活化作用は、例えば、試験品とウイルスを接触させた後、ウイルスを宿主細胞に感染させ、そのウイルス感染価を測定すること等により確認することができる。ここで、宿主細胞としては、対象となるウイルスが増殖可能な細胞であればよく、インフルエンザウイルスであれば、例えばイヌ腎臓細胞(MDCK)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero)、アヒル胚性幹細胞由来株化細胞(EB66)、ヒトコロナウイルスであれば、例えばヒト回盲腺癌細胞(HCT-8)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(VeroE6)、ヒト肝臓がん由来株化細胞(Huh7)を用いることができる。
したがって、本発明の化合物は、ウイルス不活化剤、好ましくは液相においてウイルスを不活化するウイルス不活化剤となり得る。或いは、本発明の化合物は、ウイルス不活化剤、好ましくは液相においてウイルスを不活化するウイルス不活化剤を製造するために使用することができる。
また、本発明の化合物は、ウイルスを不活化するために、好ましくは液相においてウイルスを不活化するために使用することができる。
当該抗ウイルス組成物は、各種洗浄剤(衣料用洗浄剤、住居用洗浄剤、食器用洗浄剤、洗髪剤、手指洗浄剤、全身用洗浄剤等)、消毒剤等に適宜配合して使用することができる。
なお、ゲル状製剤とする場合は、例えば、カラギーナン、ジェランガム等の水溶性ゲル化剤、金属石鹸、オクチル酸アルミニウム等の油溶性ゲル化剤等、天然ゲル化剤又は合成ゲル化剤を従来公知の方法に従って、適宜添加することにより調製できる。
当該組成物は、化粧料等として許容される担体(例えば、希釈剤、分散剤、緩衝剤、pH調整剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、保湿剤、増粘剤、殺菌剤、香料等)を適宜組み合わせて常法により調製することができる。
また、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を、例えば、加圧液噴霧スプレー、加圧空気霧化噴霧装置、ディフューザー、ネブライザー等の霧化又は拡散のための容器若しくは装置に充填し、ウイルス存在する空間中に霧状に散布して用いることによって、拡散速度を速めることができ、迅速にウイルス不活化効果を発揮させることができる。また、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を、エアゾール、ミストスプレー等の状態で使用しても同様の効果が得られる。本発明のウイルス不活化剤は、斯かる態様で用いるのが好ましい。
本発明のウイルス不活化剤を、自然揮散を目的として使用する場合、例えば、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を芯棒、濾紙等に染み込ませて揮散させる方法や透過膜を用いて揮散させる方法等の従来公知の方法が適用できる。また、樹脂に本発明の化合物又はこれを含有する組成物を混練して使用することもできる。混練しうる樹脂としては、天然系、石油系、合成系のワックス、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル系樹脂等が挙げられる。上記の混練物は、そのまま用いることもできるし、多孔質担体に担持させたり、シート状にしたり、該シート状物を積層体にして用いることもできる。多孔質担体としては、例えば、セルロース、キトサン等の天然高分子、上記の合成樹脂、ケイ酸カルシウム等の無機多孔性物質等を、粒状、シート状等の任意の形状にしたものが挙げられる。上記の混練物や積層体は、例えば、空調設備、トイレ、浴室、居間、病室、病院の待合室、ダストボックス等に設置して、本発明の化合物を徐々に揮散させながら利用することもできる。また、本発明の化合物又はこれを含有する組成物を紙や不織布等からなる製品(空気清浄器のフィルター等)に担持させて使用することもできる。
本発明の化合物を強制揮散させて用いる場合、斯かる手段としては、例えば、ファン等を用いて揮散させる方法、ヒーター等を用いた加熱揮散方法、超音波によって揮散させる方法等が挙げられる。
対象空間における本発明の化合物の濃度は、空間より採取した気体中の化合物濃度を測定することで検出でき、揮発性有機化合物濃度測定器(VOC測定器、ニオイセンサー等)を用いる方法、ガス捕集管などを併用してガスクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー/質量分析を用いて求める方法が挙げられる。
<1>オシメン、trans-2-ウンデセナール、cis-4-デセナール、trans-4-デセナール、trans-2-デセナール、9-ウンデセナ-ルと8,10-ウンデセナールの混合物、10-ウンデセナール及びウンデカナールから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤。
<2>ウイルス不活化剤を製造するための、オシメン、trans-2-ウンデセナール、cis-4-デセナール、trans-4-デセナール、trans-2-デセナール、9-ウンデセナ-ルと8,10-ウンデセナールの混合物、10-ウンデセナール及びウンデカナールから選ばれる1種以上の化合物の使用。
<3>ウイルスを不活化するための、オシメン、trans-2-ウンデセナール、cis-4-デセナール、trans-4-デセナール、trans-2-デセナール、9-ウンデセナ-ルと8,10-ウンデセナールの混合物、10-ウンデセナール及びウンデカナールから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物の使用。
<4>オシメン、trans-2-ウンデセナール、cis-4-デセナール、trans-4-デセナール、trans-2-デセナール、9-ウンデセナ-ルと8,10-ウンデセナールの混合物、10-ウンデセナール及びウンデカナールから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物をウイルス汚染が懸念される対象に適用する、ウイルス不活化方法。
<5><1>~<4>において、ウイルスは好ましくはエンベロープを有するRNAウイルスである。
<6><1>~<4>において、ウイルスは好ましくはインフルエンザウイルス又はコロナウイルスである。
<7><1>~<6>において、ウイルスの不活化は、好ましくは気相におけるウイルスの不活化である。
<8><1>~<7>において、前記化合物を含有する組成物中の当該組成物の総量に対する当該化合物の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、且つ好ましくは99.999質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であるか、又は好ましくは0.001~99.999質量%、より好ましくは0.01~50質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%である。
<9>前記化合物又はこれを含有する組成物を、対象空間における前記化合物の濃度が、当該化合物の空間における飽和濃度の0.1%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上であり、好ましくは100%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは25%以下で揮散するように使用する、<4>の方法。
実施例1 香料化合物による気相でのインフルエンザウイルスの不活化
1.方法
インフルエンザウイルスA型(A/Puerto Rico/8/1934,H1N1)株を試験ウイルス株として用いた。下記の表1に示す化合物又はミネラルオイル75μLを綿球にしみこませて15mLのガラス瓶(株式会社マルエム)の蓋部分に両面テープで接着して密閉し、30分間充満させた。インフルエンザウイルス1.5μL(8.3×105FFU)をクライオバイアル(サーモフィッシャーサイエンティフィック)の蓋の上で30分乾燥させた。ウイルスを付着させたバイアルの蓋をガラス瓶に入れ、室温(約23℃)で30分間化合物とウイルスを反応させた。その際、化合物は瓶の蓋部分に、ウイルスは瓶の底部分に置き、化合物とウイルスが直接的には接触しない状態を維持した。反応後、Hybridoma-SFM培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック)でウイルスを回収し、あらかじめ12穴プレートで培養していたMDCK細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来)に接種し、37℃、5%CO2条件下で約18時間培養後、形成されたフォーカス数を測定し、ウイルス感染力価を測定した。対照のミネラルオイルと反応させた際の感染力価を100%とし、各化合物のウイルス不活化活性を算出した。試験は3回行った。
図1に示すとおり、対照のミネラルオイルに比べ、化合物1~8はそれぞれ、検出されるウイルス量を2.08%、0.25%、0.02%、0.45%、9.07%、42.6%、31.6%、72.0%まで低下させた。
1.方法
インフルエンザウイルスA型(A/Puerto Rico/8/1934,H1N1)株を試験ウイルス株として用いた。前記表1に示す化合物をウイルスと反応する際の終濃度が0.1%(v/v)になるように1%(v/v)のジプロピレングリコールを溶剤として含むHybridoma-SFM培地(Thermo Fisher Scientific)に溶解した。化合物溶液又は1%(v/v)ジプロピレングリコール溶液と、培地を溶媒としたインフルエンザウイルス溶液(8.3×105FFU)各60μLを96穴プレートに添加し、室温(約23℃)で30分間反応させた。反応後、培地でウイルスを希釈し、あらかじめ48穴プレートで培養していたMDCK細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来)に接種し、37℃、5%CO2条件下で約18時間培養後、形成されたフォーカス数を測定し、ウイルス感染力価を測定した。対照の1%(v/v)ジプロピレングリコール溶液と反応させた際の感染力価を100%とし、各化合物のウイルス感染力価を算出した。試験は3回行った。
図2に示すとおり、対照の1%ジプロピレングリコール溶液に比べ、化合物1~8はそれぞれ、検出されるウイルス量を21.6%、2.7%、8.7%、9.4%、9.0%、4.6%、6.2%、26.2%まで低下させた。
Claims (3)
- オシメン、trans-2-ウンデセナール、cis-4-デセナール及びtrans-4-デセナールから選ばれる1種以上の化合物を有効成分とするウイルス不活化剤であって、ウイルスがインフルエンザウイルスである、ウイルス不活化剤。
- 気相においてウイルスを不活化する、請求項1に記載のウイルス不活化剤。
- オシメン、trans-2-ウンデセナール、cis-4-デセナール及びtrans-4-デセナールから選ばれる1種以上の化合物又はこれを含有する組成物をウイルス汚染が懸念される対象(但し、ヒトを除く)に適用する、ウイルス不活化方法であって、ウイルスがインフルエンザウイルスである、ウイルス不活化方法。
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