JP7821293B2 - 吸気加熱システム、吸気加熱システムの運転方法、および、ガスタービンシステム - Google Patents

吸気加熱システム、吸気加熱システムの運転方法、および、ガスタービンシステム

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Description

本開示は、吸気加熱システム、吸気加熱システムの運転方法、および、ガスタービンシステムに関する。
本願は、2022年8月10日に日本国特許庁に出願された特願2022-127623号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、ガスタービンの圧縮機に供給される外部空気を加熱する吸気加熱システムが知られている。例えば特許文献1に開示されるガスタービンの加熱ユニットは、圧縮空気を熱源として外部空気を加熱するように構成される。加熱ユニットは、圧縮機から排出される圧縮空気の一部を吸気ダクトに返送するための返送ラインを含む。返送ラインを流れる圧縮空気が吸気ダクトを流れる外部空気と混ざることで外部空気は加熱される。
特開2000-097046号公報
ガスタービン入口温度が高いほどガスタービンの運転効率は向上する一方で、ガスタービンの破損を回避するためには、このタービン入口温度がガスタービンの仕様で定められる許容上限値以下になるよう制御を実行する必要がある。しかしながら、このような制約のもとでガスタービンの運転効率を向上させるための具体的構成は、特許文献1には開示されていない。
本開示の目的は、ガスタービンの運転効率を向上した吸気加熱システム、吸気加熱システムの運転方法、および、ガスタービンシステムを提供することである。
本開示の少なくとも一実施形態に係る吸気加熱システムは、
ガスタービンの圧縮機に送られる外部空気を加熱するように構成される吸気加熱システムであって、
前記圧縮機から排出される圧縮空気とは異なる熱源を利用して前記外部空気を加熱するように構成される吸気加熱ユニットと、
前記ガスタービンのタービン入口温度と相関を有する相関パラメータ、又は、前記タービン入口温度の推定値に基づいて、前記吸気加熱ユニットを制御するように構成される制御装置と、
を備える。
本開示の少なくとも一実施形態に係る吸気加熱システムの運転方法は、
ガスタービンの圧縮機に送られる外部空気を加熱するように構成される吸気加熱システムの運転方法であって、
前記吸気加熱システムは、前記圧縮機から排出される圧縮空気とは異なる熱源を利用して前記外部空気を加熱するように構成される吸気加熱ユニットを含み、
前記ガスタービンのタービン入口温度と相関を有する相関パラメータ、又は、前記タービン入口温度の推定値に基づいて、前記吸気加熱ユニットを制御する制御ステップを備える。
本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンシステムは、
前記吸気加熱システムと、
前記ガスタービンと、
を備える。
本開示によれば、ガスタービンの運転効率を向上した吸気加熱システム、吸気加熱システムの運転方法、および、ガスタービンシステムを提供できる。
一実施形態に係るガスタービンシステムの概略図である。 一実施形態に係る第2加熱ユニットの加熱動作の負荷区間を示す概略的なグラフである。 一実施形態に係る第1加熱ユニットの加熱動作の負荷区間を示す概略的なグラフである。 一実施形態に係る第2加熱ユニットを示す概略図である。 一実施形態に係るタービンの運転線を示す概略的なグラフである。 第1実施形態に係る制御装置の構成を示す概略図である。 一実施形態に係る吸気加熱制御部の構成を示す概略図である。 ガスタービン負荷、実排気温度、および、吸気温度の経時的な変化を示す概略的なグラフである。 ガスタービン負荷、実排気温度、および、吸気温度の経時的な変化を示す別の概略的なグラフである。 第1実施形態に係る吸気加熱システム制御処理を示すフローチャートである。 一実施形態に係る吸気加熱制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る制御装置の構成を示す概略図である。 第2実施形態に係る吸気加熱システム制御処理を示すフローチャートである。 一実施形態に係るガスタービンの詳細を示す概略図である。
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
<ガスタービンシステム1の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係るガスタービンシステム1の概略図である。ガスタービンシステム1を構成するガスタービン3は、圧縮機7と、圧縮機7によって生成された圧縮空気と燃料との混合燃料を発生させる燃焼器8と、燃焼器8から排出される燃焼ガスによって駆動するタービン30とを備える。圧縮機7は起動装置4によって回転を開始するように構成される。燃焼器8に供給される燃料は、一例としてガス燃料であるが、液体燃料であってもよい。本例のタービン30は、燃焼器8から排出される燃焼ガスを動力源として、発電機6を駆動するように構成されている。タービン30から排出される排ガスは排気ダクト39を流れる。
圧縮機7は吸気流路9と連通している。吸気流路9を流れる外部空気が圧縮機7に送られて、圧縮空気は生成される。本開示のガスタービンシステム1は、吸気流路9を流れる外部空気を加熱するように構成される吸気加熱システム5を備え、吸気加熱システム5は第1加熱ユニット10と第2加熱ユニット20を含む。第1加熱ユニット10は圧縮機7から排出される圧縮空気を熱源にして外部空気を加熱するように構成される。より具体的には第1加熱ユニット10は、圧縮機7から排出される圧縮空気の一部を吸気流路9に返送するための返送流路15と、返送流路15に設けられる第1流量調整バルブ12とを含む。返送流路15から吸気流路9に返送される圧縮空気が外部空気と混ざることにより、外部空気は加熱される。第1流量調整バルブ12の開度調整を通じて返送流路15を流れる圧縮空気の流量が制御されることで、第1加熱ユニット10の加熱量は制御される。
同図で例示される吸気流路9は、吸入室90、及び、吸入室90と圧縮機7に連通する吸気ダクト95を含んでおり、返送流路15は、吸入室90に収容された吐出管99に連通している。返送流路15から吐出管99に流入する圧縮空気は、吐出管99に設けられたノズルから吸入室90内に噴射される。本例の吐出管99は、吸入室90に収容される吸気フィルタ94と、吸入室90の出口93との間に配置されている。
第2加熱ユニット20は、圧縮機7とは異なる熱源を利用して外部空気を加熱するように構成されるヒータ24を含む。ヒータ24の熱源は、タービン30から排出される排ガスから回収された熱であってもよいし(詳細は後述)、電力の供給によって発熱する発熱体から得られた熱であってもよい。図1で例示されるヒータ24は、吸入室90に収容されており、より具体的には、吸気フィルタ94と吸入室90の入口92との間に配置されている。なお、ヒータ24は吸気フィルタ94と出口93との間に配置されていてもよい。
第2加熱ユニット20(吸気加熱ユニット)の加熱制御は、吸気加熱システム5の構成要素である制御装置80によって実行される。本開示では、ガスタービン3のタービン入口温度と相関する相関パラメータ、又は、タービン入口温度の推定値に基づいて、制御装置80は第2加熱ユニット20を制御する。より詳細には、タービン入口温度がガスタービン3の仕様によって定められる許容上限値以下になるよう、制御装置80は上記の相関パラメータ又は上記の推定値に基づいて、第2加熱ユニット20を制御する。第2加熱ユニット20の加熱量が増大すれば、圧縮機7に送られる外部空気の温度は上がる。従って、圧縮機7の吸気温度は上がる。他方で、第2加熱ユニット20の加熱量が減少すれば、圧縮機7の吸気温度は下がる。相関パラメータに基づいた第2加熱ユニット20の制御は、第1実施形態に係る制御装置80A(80)が実行し、推定値に基づいた第2加熱ユニット20の制御は第2の実施形態に係る制御装置80B(80)が実行する。制御装置80A、80B(80)の詳細は後述する。制御装置80A,80Bの詳細は後述する。なお、タービン入口温度の許容上限閾値は、運転中のガスタービン3が耐熱性を発揮することが保証されるタービン入口温度の上限値である。タービン入口温度が許容上限閾値を超えると、ガスタービン3の破損が生じ得る。
ガスタービン3の破損を回避するためには、タービン入口温度がガスタービン3の仕様で定められる許容上限値以下になるよう制御を実行する必要があるが、タービン入口温度は直接的に計測し続けることが困難なパラメータである。この点、上記構成によれば、タービン入口温度と相関を有する相関パラメータ又はタービン入口温度の推定値に基づいて制御装置80が吸気加熱システム5を制御する。従って、タービン入口温度が許容上限値以下になる条件のもと、吸気加熱システム5はタービン入口温度を可能な限り高く設定でき、ガスタービン3の運転効率は向上する。さらに、圧縮空気とは異なる熱源を利用して第2加熱ユニット20が外部空気を加熱するので、外部空気の加熱熱源の全てを圧縮機7から排出される圧縮空気で賄う場合に比べ、タービン30に流入する燃焼ガスの流量が低下するのを抑制でき、ガスタービン3の運転効率は向上する。以上より、ガスタービン3の運転効率を向上した吸気加熱システム5が実現される。
なお、吸気加熱システム5は第1加熱ユニット10を備えなくてもよい。この場合であっても、制御装置80が相関パラメータ又は推定値に基づいて第2加熱ユニット20を制御することで、上記利点は得られる。
<第2加熱ユニット20の加熱動作区間>
図2は、一実施形態に係る第2加熱ユニット20の加熱動作の区間を示す概略的なグラフである。グラフの横軸はガスタービン負荷を示す(図3も同様である)。同図で例示されるように、第2加熱ユニット20は、ガスタービン負荷が第1規定負荷(符号G1)以上となる高負荷区間において、加熱動作を実行する。より詳細には、ガスタービン負荷が高負荷区間であると判定された場合において、制御装置80が、加熱動作を実行するための制御信号を第2加熱ユニット20に送る。第1規定負荷(符号G1)はガスタービンシステム1の定格負荷よりも低い負荷であり、例えば定格負荷に対して30%以上かつ60%未満の任意のガスタービン負荷である。
既述の相関パラメータまたは既述の推定値に基づいた第2加熱ユニット20の制御は、高負荷区間の少なくとも一部において実行されればよい。同図の例では、当該制御の実行区間が高負荷区間の一部に限定される。より詳細には、ガスタービン負荷が、第1規定負荷(符号G1)よりも大きな高規定負荷(符号G3)以上、かつ、高負荷区間における最大のガスタービン負荷である上限規定負荷(符号U)以下である区間において、相関パラメータまたは推定値に基づいた第2加熱ユニット20の制御(フィードバック制御)が実行される。他方で、ガスタービン負荷が第1規定負荷(符号G1)以上かつ高規定負荷未満である区間において、第2加熱ユニット20の加熱量は、相関パラメータまたは推定値に関わらず一定に維持される制御が実行される(つまり、第2加熱ユニット20のフィードバック制御は実行されない)。同グラフの「FB」はフィードバック制御の実行区間を示し、「NOT FB」はフィードバック制御が実行されない区間を示す。第1加熱ユニット10のフィードバック制御はP制御、PI制御、またはPID制御のいずれであってもよいが、本例ではPI制御が採用される。第2加熱ユニット20のフィードバック制御の詳細は後述する。
なお、本開示の一実施形態に係るガスタービンシステム1の運転は、常に部分負荷運転である。即ち、高負荷区間における上限規定負荷(符号U)はガスタービンシステム1の定格負荷よりも低く、また、上限規定負荷よりも高い負荷区間での運転は実行されない。上限規定負荷は、例えば定格負荷の95%以上かつ100%未満のガスタービン負荷である。なお他の実施形態に係る第2加熱ユニット20の制御は、ガスタービン負荷が高負荷区間よりも低い区間においても実行されてよい。当該区間における第2加熱ユニット20の加熱量は、相関パラメータまたは推定値に関わらず一定に維持されてもよい。
<第1加熱ユニット10の加熱動作区間>
図3は、一実施形態に係る第1加熱ユニット10の加熱動作の区間を示す概略的なグラフである。第1加熱ユニット10は、高負荷区間よりも低い負荷区間(即ち、ガスタービン負荷が第1規定負荷(符号G1)よりも低い負荷区間)において、返送流路15(図1参照)を流れる圧縮空気を熱源にして外部空気を加熱するように構成される。同グラフで示される第1加熱ユニット10の作動区間での加熱量は、一定であるとは限らない。例えば、排ガスの温度に応じて、第1加熱ユニット10の加熱量はフィードバック制御されてもよいし、ガスタービン負荷に関わらず低負荷区間の加熱量は一定であってもよい。第1加熱ユニット10のフィードバック制御では、第1流量調整バルブ12の開度が制御される。なお、他の実施形態に係る第1加熱ユニット10の加熱動作区間は、第2加熱ユニット20の加熱動作区間と重なってもよい。この場合、第1加熱ユニット10のフィードバック制御区間と、第2加熱ユニット20のフィードバック制御区間は重ならないことが好ましい。例えば、第1加熱ユニット10のフィードバック制御が実行されている間、第2加熱ユニット20の加熱量は一定に維持される制御が実行される。これにより、制御装置80による制御を簡易にすることができる。第1加熱ユニット10のフィードバック制御はP制御、PI制御、またはPID制御のいずれであってもよいが、本例ではPI制御が採用される。
<第2加熱ユニット20の詳細>
図4は、本開示の一実施形態に係る第2加熱ユニット20を示す概略図である。同図で例示される第2加熱ユニット20の熱源は、タービン30(図1参照)から排出される排ガスである。排ガスの有する熱源は、ガスタービンシステム1の構成要素である排熱回収ボイラ19によって回収されて、第2加熱ユニット20の熱源として利用される。排熱回収ボイラ19は、排気ダクト39から供給される排ガスを熱源として、ボイラ給水から加熱媒体を生成するように構成される。加熱媒体は、温水または蒸気(過熱蒸気)である。例えば、排熱回収ボイラ19に流入して比較的間もない高温の排ガスがボイラ給水を加熱することで過熱蒸気が生成される。この過熱蒸気は、例えば蒸気タービンといったガスタービンシステム1を構成する他の機器に供給されてもよい。他方で、排熱回収ボイラ19において出口近傍を流れる低温の排ガスがボイラ給水を加熱することで、温水が生成される(この温水が排熱回収ボイラ19内をさらに流れて、高温の排ガスとの熱交換により過熱蒸気に変化してもよい。)。
第2加熱ユニット20の説明を続ける。一実施形態に係る第2加熱ユニット20は、排熱回収ボイラ19によって生成された加熱媒体を吸気流路9の吸入室90に導くための加熱媒体流路29と、加熱媒体流路29に設けられた第2流量調整バルブ22と、吸気流路9内に配置されたヒータ24である配管部25とを備える。既述の通り、第2加熱ユニット20は制御装置80によって制御される。本例では、制御装置80から第2流量調整バルブ22に送られる制御信号に応じて第2流量調整バルブ22が開放されると、加熱媒体が排熱回収ボイラ19から加熱媒体流路29を経由して配管部25に供給される。また、第2流量調整バルブ22の開度が制御されることで、配管部25を流れる加熱媒体の流量が制御される。これにより、第2加熱ユニット20による外部空気に対しての加熱量は制御される。なお、図4で例示される加熱媒体流路29を流れる加熱媒体は温水であり、温水は、排熱回収ボイラ19に流入する前のボイラ給水よりも高い温度を有する。
図2を用いて既述した通り、第2加熱ユニット20のフィードバック制御は一例として、ガスタービン負荷が高規定負荷(符号G3)以上かつ上限規定負荷(符号U)の負荷区間において実行される。第2加熱ユニット20の熱源として加熱媒体流路29を流れる加熱媒体が利用される実施形態においては、第2流量調整バルブ22の開度がフィードバック制御される。他方で、ガスタービン負荷が第1規定負荷(符号G1)以上かつ高規定負荷(符号G3)未満の負荷区間において、フィードバック制御は実行されず、第2流量調整バルブ22の開度は一定に維持される。
第2加熱ユニット20が加熱媒体流路29を含む構成によれば、圧縮空気とは異なる熱源として排熱回収ボイラ19で生成される加熱媒体が採用されることで、ガスタービンシステム1において生成される熱を無駄なく利用でき、ガスタービンシステム1の運転効率を向上できる。
第2加熱ユニット20が配管部25を含む構成によれば、配管部25を流れる加熱媒体と吸気流路9を流れる外部空気との熱交換によって、第2加熱ユニット20は外部空気を加熱できる。
制御装置80が第2流量調整バルブ22を制御する構成によれば、制御装置80がガスタービン3のタービン入口温度と相関を有する相関パラメータ(又はタービン入口温度の推定値)に基づいて、第2加熱ユニット20の第2流量調整バルブ22の開度を制御する。これにより、第2加熱ユニット20は、外部空気に対する加熱量を制御することができる。
加熱媒体流路29が温水を加熱媒体として吸気流路9に導く構成によれば、ボイラ給水の加熱によって生じる蒸気よりも排熱される傾向の高い温水が加熱媒体として採用されることで、ガスタービンシステム1の運転効率を向上できる。
<第1実施形態に係る制御装置80A(80)>
図5、図6を参照し、第1実施形態に係る制御装置80A(80)を説明する。制御装置80Aは、第1加熱ユニット10と第2加熱ユニット20をそれぞれ制御する。制御装置80Aによる第2加熱ユニット20の制御には、タービン入口温度と相関を有する相関パラメータに基づいたフィードバック制御が含まれる。フィードバック制御は、図2で示される高負荷区間(より詳細には第1規定負荷(符号G1)以上かつ上限規定負荷以下の負荷区間)において実行される。相関パラメータは一例として、ガスタービン3のタービン出口側における排気温度(以下、単に排気温度という場合がある)と、ガスタービン3のタービン膨張比と相関を有する第1パラメータとを含む。
図5を参照して第1実施形態に係る制御の概要を説明する。図5は、本開示の一実施形態に係る第1パラメータと排気温度との関係を示すグラフである。第1実施形態に係る第2加熱ユニット20の加熱制御では、排気温度と第1パラメータとの関係性を示す1本の運転線(図5の実線Ls)が参照される。運転線は一般にタービン入口温度に対応して設定可能であり、実線Lsで示される運転線は、タービン入口温度の目標値に対応して設定されている(以下、実線Lsの運転線を基準線Lsともいう)。換言すると、タービン入口温度の目標値が実現されるための排気温度と第1パラメータとの関係性を基準線Lsが示すと了解される。そして第1実施形態では、タービン入口温度が許容上限値以下となる条件下で第2加熱ユニット20の制御を実行するために、基準線Lsが少なくとも参照される(許容上限閾値は上述の目標値よりも高いタービン入口温度である。)。
基準線Lsの参照によってタービン入口温度を許容上限閾値以下にする制御が可能となる原理は、以下の通りである。計測を通じて得られる第1パラメータと排気温度(以下、実第1パラメータと実排気温度という)は、図5のグラフ上で運転点として描画可能であり、この運転点はガスタービン3の実際の運転状態を示す。運転点が基準線Lsよりも下側にあれば、当該運転状態におけるガスタービン3の入口温度は目標値よりも低いと判定できる。反対に、運転点が上側にあれば入口温度が目標値よりも高いと判定できる。従って、基準線Lsを参照しながら第2加熱ユニット20の加熱量を制御すれば、圧縮機7の吸気温度を、タービン入口温度が許容上限閾値を超えるのを回避するための温度にできる。第1実施形態では、一例として、計測により求まる運転点が基準線Ls上に位置するよう第2加熱ユニット20の制御が実行される。これにより、タービン入口温度は目標値と実質的に一致することができる。
図5で例示される運転線は、基準線Lsの他に、目標値より低い所定のタービン入口温度に対応して設定された運転線(実線Ld)、および、タービン入口温度の許容上限閾値に対応して設定された運転線(実線Lu)を含む。実線Ldで示す運転線(以下、低運転線Ldともいう)と、実線Luで示す運転線(以下、温調線Luともいう)が、第2加熱ユニット20の制御において参照されることは必須ではない。しかしながら、例えば温調線Luが参照されることにより、以下に示す追加的な利点が得られる。そもそも、タービン入口温度を決めるパラメータは、第2加熱ユニット20の加熱量の他にもある。例えば、燃焼器8に供給される燃料の供給量、および、燃焼器8に供給される空気の温度などが当該パラメータに含まれる。従って、第2加熱ユニット20の加熱量を制御しても、温調線Luまで運転点がシフトすることはあり得る。この点、第2加熱ユニット20の制御において温調線Luが参照されれば、運転点が温調線Lu上に位置する(あるいは運転点が温調線Lu上に位置することが見込まれる)場合には、例えば燃焼器8への燃料の供給量を制御し、運転点が温調線Luよりも上側にシフトすることが回避される。つまり、タービン入口温度が許容上限閾値を超えるのをより確実に回避できる。
なお、タービン入口温度の目標値が高い程、圧縮機7から燃焼器8に流入する圧縮空気の温度が上がるので、ガスタービン3の効率は向上する。従って、図5で示される基準線Lsと温調線Luとの縦軸方向の距離は小さい方が好ましい。本開示では一例として、タービン入口温度の目標値と許容上限閾値との差異は、5度以下であり、より好ましくは1度以下である。
図6を参照し、第1実施形態に係る制御装置80A(80)の構成を詳説する。図6は制御装置80Aの構成を示す概略図である。制御装置80Aは、基準線取得部81、排気温度取得部83、第1パラメータ取得部85、及び、吸気加熱制御部87A(87)を含む。基準線取得部81は、基準線Ls(より詳細には基準線Lsを示すデータ)を取得するように構成される。基準線Lsを示すデータは、どのようなデータであってもよいが、一例として関数式またはデータテーブルである。
排気温度取得部83は、ガスタービン3の運転中における排気温度の計測値である実排気温度を、排気温度センサ102の計測結果に基づき取得するように構成される。排気温度センサ102は、排気温度を計測するように構成されており、一例として排気ダクト39(図1参照)を流れる排ガスの温度を計測する。第1パラメータ取得部85は、ガスタービン3の運転中における第1パラメータの計測値である実第1パラメータを、第1センサ101の計測結果に基づき取得するように構成される。第1センサ101は、第1パラメータを計測するように構成された少なくとも1つのセンサである。
吸気加熱制御部87Aは、実排気温度と実第1パラメータとから決定される運転点が、基準線Lsと一致するように第2加熱ユニット20を制御するように構成される。例えば図5で示されるように、運転点が点P2のように基準線Lsよりも上側にある場合には、実排気温度は、基準線Lsにおいて実第1パラメータと対応付けられた排気温度を上回る。この場合、吸気加熱制御部87Aは、第2加熱ユニット20の加熱量を低減するフィードバック制御を実行する。より詳細な一例として、基準線Lsにおける排気温度と実排気温度との偏差に基づいて第2流量調整バルブ22の開度を低減する。これにより、圧縮機7の吸気温度が下がり、実排気温度が下がる。結果、点P2にある運転点は基準線Ls側にシフトする。運転点が例えば点P3のように基準線Lsよりも下側にある場合には、上記とは逆の制御が実行される。
上記構成によれば、タービン入口温度の目標値に対応して設定された基準線Lsに実排気温度が一致するよう第2加熱ユニット20が制御される。これにより、タービン入口温度が許容上限値以下となる条件のもとで、ガスタービン3は運転される。そして、基準線Lsによって示される排気温度が高くなるほど、ガスタービン3の運転効率を高めることができる。よって、ガスタービン3の運転効率を向上した吸気加熱システム5が実現される。
本開示の必須の構成要素ではないが、図6で例示される制御装置80Aは、温調線Lu(より詳細には温調線Luを示すデータ)を取得するための温調線取得部89をさらに含む。温調線Luを示すデータは、どのようなデータであってもよいが、一例として関数式またはデータテーブルである。取得される温調線Luは、ガスタービン3の供給される燃料量を制御する際に用いられる。より具体的には、計測を通じて特定される運転点が点P2(図5参照)のように温調線Lu上に位置する(あるいは位置することが見込まれる)のであれば、供給される燃料の量は低減される。当該制御は、制御装置80Aによって実行されてもよいし、制御装置80Aとは異なるコントローラよって実行されてもよい。
本開示の一実施形態に係る基準線Lsにおける排気温度は、ガスタービン3の燃焼器8に供給される燃料量の制御に用いられる温調線Luにおける排気温度よりも低い。上記構成によれば、基準線Lsにおける排気温度が、温調線Luにおける排気温度よりも低いことで、第2加熱ユニット20の加熱制御の実行時において、タービン入口温度が許容上限値を超えるのをより確実に抑制できる。また、基準線Lsにおける排気温度が、温調線Luにおける排気温度に近いほど、燃焼器8に流入する圧縮空気の温度を上げることができるので、ガスタービン3の運転効率を向上できる。
本開示の一実施形態に係る第1パラメータは、圧縮機7の圧力比である。第1センサ101は、圧縮機7の入口側圧力を計測する入口圧力センサと、圧縮機7の出口側圧力を計測する出口圧力センサとを含む。入口圧力センサは、吸気流路9の吸気ダクト95(図1参照)に設けられ、出口圧力センサは、圧縮機7と燃焼器8との間に設けられる。圧縮機7の圧力比が大きい程、タービン膨張比は大きくなるため、圧力比はタービン膨張比と相関を有する。上記構成によれば、圧縮機7の圧力比は、圧力センサの計測値に基づき定まるため、ガスタービン3の状態を正確に反映したパラメータとみなせる。この圧力比がタービン膨張比と相関する第1パラメータとして利用されるので、タービン入口温度が許容上限値を超えるのをより確実に回避しつつ、ガスタービン3の運転効率を向上できる。
図7を参照し、吸気加熱制御部87Aの構成を詳説する。吸気加熱制御部87Aは、目標温度取得部181、および、フィードバック制御部182を有する。目標温度取得部181は、基準線Lsと実第1パラメータとに基づいて設定される排気温度である目標排気温度を取得するように構成される。基準線取得部81によって取得された基準線Lsを示すデータにおいて実第1パラメータに対応付けられる排気温度が特定されることで、目標排気温度は取得される。より詳細な一例として、基準線Lsを示すデータとしての関数式に実第1パラメータが代入されることにより、関数式から目標排気温度が得られる。フィードバック制御部182は、実排気温度と目標排気温度との偏差に基づき第2加熱ユニット20(より詳細には第2流量調整バルブ22)をフィードバック制御するように構成される。当該フィードバック制御が実行されることで、第2加熱ユニット20は、実排気温度と目標排気温度との偏差に応じて外部空気に対する加熱量を変更する。フィードバック制御部182による制御は、ガスタービン負荷が高規定負荷以上かつ上限規定負荷以下の負荷区間(図2参照)で実行される。フィードバック制御部182の更なる構成の詳細は後述する。
本開示の必須の構成要素ではないが、吸気加熱制御部87Aは一定制御部183をさらに有してもよい。一定制御部183は、第2加熱ユニット20の第2流量調整バルブ22の開度を相関パラメータに関わらず一定に維持するように構成される。一定制御部183による制御は、ガスタービン負荷が第1規定負荷(符号G1)以上かつ高規定負荷未満となる負荷区間(図2参照)で実行される。なお他の実施形態に係る吸気加熱制御部87Aは、一定制御部183を有さなくてもよく、この場合、フィードバック制御部182によるフィードバック制御は、高負荷区間に亘って実行されてもよい。
図6に戻り、制御装置80Aの構成の説明を続ける。本開示の必須の構成要素ではないが、制御装置80Aは、低運転線取得部84、および、第1加熱制御部88A(88)をさらに含む。低運転線取得部84は、低運転線Ld(より詳細には低運転線Ldを示すデータ)を取得するように構成される。低運転線Ldを示すデータは、どのようなデータであってもよいが、一例として関数式またはデータテーブルである。第1加熱制御部88Aは、低運転線Ldを示すデータ、実第1パラメータ、および、実排気温度に基づいて、実排気温度と実第1パラメータとから決定される運転点が低運転線Ldと一致するように第1加熱ユニット10をフィードバック制御する。より詳細には、低運転線Ldにおいて実第1パラメータと対応付けられる排気温度と実排気温度との偏差に応じて、第1加熱制御部88Aは第1流量調整バルブ12の開度をフィードバック制御する。これにより、実際のタービン入口温度が低運転線Ldに対応するタービン入口温度となる条件のもと、第1加熱ユニット10の加熱量は制御される。なお、第1加熱ユニット10のフィードバック制御において目標値として設定される排気温度(即ち低運転線Ldによって示される排気温度)は、第2加熱ユニット20のフィードバック制御において目標値と設定される排気温度(即ち基準線Lsによって示される排気温度)よりも低い。また、第1加熱制御部88Aによる第1加熱ユニット10の制御は、ガスタービン負荷が第1規定負荷(符号G1)未満となる負荷区間において実行される(図3参照)。
上記構成によれば、高負荷区間においては、圧縮空気を熱源とした外部空気の加熱が実行されず、圧縮空気以外を熱源とした外部空気の加熱が実行される。これにより、高負荷区間においてタービン30に供給される燃焼ガスの流量が減るのを抑制でき、ガスタービン3の運転効率を向上できる。
本開示の必須の構成要素ではないが、制御装置80Aは負荷取得部82をさらに含む。負荷取得部82は、負荷センサ109の検出結果を取得することで、運転中のガスタービン3のガスタービン負荷を取得するように構成される。負荷センサ109は一例として、タービン30の回転数を検出するための回転数センサである。負荷取得部82によって取得されたガスタービン負荷が、吸気加熱制御部87Aおよび第1加熱制御部88Aに入力されることで、ガスタービン負荷に応じて吸気加熱制御部87または第1加熱制御部88Aのいずれかが選択に制御を実行する。
図8A、図8Bはそれぞれ、第1実施形態に係る制御装置80Aが、第1加熱ユニット10と第2加熱ユニット20を制御する間における、ガスタービン負荷、排気温度、および、吸気温度の経時的な変化を例示するグラフである。同図の上段グラフで示されるG1,G3,Uは、図2で示したものと同様である。また、本例では上限規定負荷(U)が目標とされるガスタービン負荷である。そして、同図の中段グラフで示すTsは基準線Lsによって規定される目標排気温度である。またTuは排気温度の許容上限閾値であり、排気温度の許容上限値は温調線Luによって規定される。さらに、図8A、図8Bにおいて点Q,P1,P2,P3,Psはそれぞれ、図5の点Q,P1,P2,P3,Psで示すガスタービン3の運転状態を示す。
図5、図8Aで示されるように、運転点が点Qに位置するとき、ガスタービン負荷が上限規定負荷に到達していないので、燃焼器8(図1参照)に供給される燃料の量が増大する。ガスタービン負荷の増大に伴い、図5のグラフにおいて運転点は点Qよりも右側にシフトする。このとき、第1加熱制御部88Aは、運転点が低運転線Ld上に位置するよう第1加熱ユニット10をフィードバック制御する。具体的には、燃料の量の増大により実排気温度が上昇するにつれて、第1加熱制御部88Aは第1流量調整バルブ12の開度を小さくする。結果、運転点は低運転線Ldに沿って点Qから点P1までシフトする(図8Aのt=t0)。なお、運転点が点P1に向けてシフトする間の排気温度の目標値は、低運転線Ldによって規定される排気温度である。
ガスタービン負荷が第1規定負荷(符号G1)に到達すると、第1加熱制御部88Aから第1流量調整バルブ12に送られる制御信号によって第1流量調整バルブ12は返送流路15を閉止し、第1加熱ユニット10の加熱制御は終わる。その後、吸気加熱制御部87Aによる第2加熱ユニット20の制御が開始される。具体的には、一定制御部183が第2流量調整バルブ22の開度を一定に維持する制御を実行する。燃焼器8への燃料供給量は減らないので、ガスタービン負荷は第1規定負荷(符号G1)からさらに増大し、運転点は図5のグラフにおいて点P1よりも右側へシフトする。
その後、ガスタービン負荷が高規定負荷(G3)に到達すると(図8Aのt=t1)、一定制御部183による制御は終了し、吸気加熱制御部87Aが第2流量調整バルブ22をフィードバック制御する。t=t1の時点で実排気温度が基準線Lsの目標排気温度(Ts)を超えているのであれば、吸気加熱制御部87Aは第2流量調整バルブ22の開度を低減し、吸気温度の上昇は抑えられる。一方でガスタービン負荷は上限規定負荷に到達しておらず上昇を続け、実排気温度も上がり続ける。実排気温度が排気温度の許容上限閾値に到達すると(t=t2)、燃焼器8への燃料の供給量が低減し、実排気温度が上限排気温度を超えることはない。実排気温度が一定に維持される間(t2≦t≦t3)、フィードバック制御部182は、実排気温度としての上限排気温度と目標排気温度との偏差分、第2流量調整バルブ22の開度を低減するため、圧縮機7の吸気温度がさらに下がる。燃焼器8に流入する圧縮空気の流量(質量流量)が増大するので、ガスタービン負荷は引き続き増大して上限規定負荷に到達し(t=t3)、運転点は点P2に到達する。その後、ガスタービン負荷は増大することなく、フィードバック制御部182の制御によって実排気温度は上限排気温度から目標排気温度まで下がり(図8Aのt=t4)、運転点は点P3から点Psに到達する。
また、図5、図8Bで示されるように、運転点が点P1から基準線Ls(図8B参照)よりも下側の点P3にある状態で、ガスタービン負荷が上限規定負荷に到達した場合(図8Bのt=t4)、燃焼器8への燃料の供給量は低減して、ガスタービン負荷は上限規定負荷に維持される。一方、実排気温度が基準線Lsの目標排気温度(Ts)を下回っているので、吸気加熱制御部87Aは、第2流量調整バルブ22の開度を増大させるフィードバック制御を実行する。実排気温度と吸気温度はいずれも増大し、やがて実排気温度は目標排気温度に到達して、運転点は点P3から点Psに到達する。
図7に戻り、吸気加熱制御部87Aの構成の詳説を続ける。本開示の必須の構成要素ではないが、フィードバック制御部182は、実排気温度と目標排気温度との偏差が小さくなる程、フィードバック制御のゲイン係数を小さくするように構成されるゲイン係数設定部281を有する。例えば上記の偏差が小さくなるほど、第2流量調整バルブ22の開度調整量は小さくなる。上記構成によれば、実排気温度と目標排気温度との偏差を早期に小さくできると共に、実排気温度が目標排気温度に対してオーバシュートするのを抑制できる。
また、ゲイン係数設定部281は、偏差が0を含む規定範囲に収まる場合において、ゲイン係数を0に設定するように構成されてもよい。規定範囲は、図5の例では領域Rに該当する。運転点が領域R内に位置するのであれば、偏差は規定範囲に含まれる。このとき、ゲイン係数は0に設定されるため、フィードバック制御は一時的に実行されなくなり、第2流量調整バルブ22の開度は、直前のフィードバック制御において設定された開度に維持される。規定範囲は一例として基準線Lsによって示される目標排気温度よりも規定温度分低い領域である。規定温度は0度よりも大きく10度よりも小さい。上記構成によれば、フィードバック制御が実行されない不感帯が設定されるので、吸気加熱制御部87によって実行される制御を簡易化できる。
<第1実施形態に係る吸気加熱システム5の運転方法>
図9は第1実施形態に係る吸気加熱システム5を制御するための吸気加熱システム制御処理を示すフローチャートであり、吸気加熱システム5の運転方法の一例を示す。当該制御処理は一例として制御装置80A(80)によって実行される。例えば制御装置80A(80)は、コンピュータによって構成されており、プロセッサ、メモリ、及び外部通信インタフェースを備える。プロセッサは、CPU、GPU、MPU、DSP、又はこれらの組み合わせなどである。他の実施形態に係るプロセッサは、PLD、ASIC、FPGA、またはMCU等の集積回路により実現されてもよい。メモリは、各種データを一時的または非一時的に記憶するように構成され、例えば、RAM、ROM、またはフラッシュメモリの少なくとも1つによって実現される。メモリにロードされたプログラムの命令にしたがって、制御装置80A(80)のプロセッサ(以下、制御装置80のプロセッサを単に「プロセッサ」という場合がある)は、吸気加熱システム制御処理を実行する。当該制御処理の実行中、プロセッサは、第1流量調整バルブ12と第2流量調整バルブ22に制御信号を送信する。以下の説明では、ステップを「S」と略記する場合がある。
はじめに、基準線Ls、低運転線Ld、および、温調線Luを含む運転線を示すデータが取得される(S11)。例えば、これらの運転線を示すデータを記憶するメモリをプロセッサが参照することで、運転線を示すデータは取得される。S11を実行するプロセッサは、既述の基準線取得部81、低運転線取得部84、および、温調線取得部89に相当する。
次いで、プロセッサは、排気温度センサ102の検出結果に基づき実排気温度を取得し、且つ、第1センサ101の検出結果に基づき実第1パラメータを取得する(S13)。S13を実行するプロセッサは、既述の排気温度取得部83および第1パラメータ取得部85に相当する。
次いで、プロセッサは、燃焼器8への燃料供給を制御する(S14)。例えば、S11で取得した温調線Luを示すデータにおいて、S13で取得した実第1パラメータと対応付けられている排気温度の許容上限値が取得される。そして、S13で取得された実排気温度が許容上限閾値よりも小さく、且つ、現在のガスタービン負荷が目標値である上限規定負荷に到達していなければ、プロセッサは燃料の供給量を増大させる(S14)。他方で、実排気温度が許容上限値と一致する場合(あるいは実排気温度が許容上限閾値と一致することが見込まれる場合)には、プロセッサは燃焼器8の燃料供給量を低減させる(S14)。これにより実排気温度が許容上限閾値を上回ることが回避される。なお、現在のガスタービン負荷は、負荷センサ109の検出結果に基づき特定可能であり、ガスタービン負荷を取得するプロセッサは既述の負荷取得部82に相当する。
次いで、プロセッサは、現在のガスタービン負荷が高負荷区間よりも小さいかを判定する(S15)。例えばプロセッサは、既述の方法によって現在のガスタービン負荷を取得する(この処理を実行するプロセッサは既述の負荷取得部82に相当する)。そして、プロセッサは、取得したガスタービン負荷と、第1規定負荷(符号G1)とを比較することによって、ガスタービン負荷が高負荷区間よりも小さいかを判定する。
ガスタービン負荷が高負荷区間よりも小さいと判定された場合(S15:YES)、プロセッサは、第2流量調整バルブ22が加熱媒体流路29を閉止するための制御信号を第2流量調整バルブ22に送り(S17)、第1加熱ユニット10を制御する(S19)。S17を実行するプロセッサは、既述の吸気加熱制御部87Aに該当する。また、S17の実行前から第2流量調整バルブ22が閉じている場合には、S17はスキップされて、S19が実行される。第1加熱ユニット10の制御方法は既述の通りであり、S19を実行するプロセッサが既述の第1加熱制御部88Aに相当する。
その後、現在のガスタービン負荷が上限規定負荷に到達したか否かが判定される(S21)。現在のガスタービン負荷の取得方法はS15と同様である。ガスタービン負荷が上限規定負荷に到達していないと判定された場合(S21:NO)、プロセッサは処理をS14に戻す。S14~S21が順に繰り返される過程で、ガスタービン負荷は第1規定負荷(符号G1)以上になる(S15:NO)。
プロセッサは、第1流量調整バルブ12が返送流路15を閉止するための制御信号を第1流量調整バルブ12に送り(S23)、現在のガスタービン負荷が高規定負荷未満であるか判定される(S25)。S23を実行するプロセッサは既述の第1加熱制御部88Aに相当する。また、S25における現在のガスタービン負荷の取得方法はS15と同様である。なお、S23の実行前から第1流量調整バルブ12が閉じている場合には、S23はスキップされて、S25が実行される。
現在のガスタービン負荷が高規定負荷未満であると判定された場合(S25:YES)、プロセッサは、第2流量調整バルブ22の開度を一定にするため一定制御処理を実行する(S27)。S27を実行するプロセッサが既述の一定制御部183に相当する。S27の実行後、プロセッサは処理をS21に移行する。S21,S15,S23~S27が繰り返される間に、ガスタービン負荷は高規定負荷以上になる(S25:NO)。この場合、プロセッサは、第2加熱ユニット20を相関パラメータに基づき制御する吸気加熱制御処理を実行する(S29)。S29は第2加熱ユニット20を制御するための制御ステップであり、S29を実行するプロセッサは既述の吸気加熱制御部87Aに相当する。S29の実行後、プロセッサは処理をS21に移行する。S29を繰り返し実行する間に、ガスタービン負荷は上限規定負荷に到達し(S21:YES)、プロセッサは吸気加熱システム制御処理を終了する。
図10を参照し、本開示の一実施形態に係る吸気加熱制御処理の詳細を説明する。プロセッサは、S11で取得された基準線Lsを示すデータと、S13で取得された実第1パラメータとに基づいて目標排気温度を取得する(S51)。より具体的には、基準線Lsを示すデータにおいて実第1パラメータと対応付けられる目標排気温度が特定されることで、目標排気温度は取得される。その後、プロセッサは第2加熱ユニット20の第2流量調整バルブ22のフィードバック制御を実行する(S52)。S52を実行するプロセッサは既述のフィードバック制御部182に相当する。S52は、S53、S55、S57、およびS59を含む。詳細は以下の通りである。
プロセッサは、S51で取得された目標排気温度と、S13で取得された実排気温度との偏差が規定範囲に含まれるか判定される(S53)。偏差が規定範囲に含まれないと判定されると(S53:NO)、プロセッサは、フィードバック制御のゲイン係数を偏差に応じて設定する(S55)。ゲイン係数の設定方法は既述の通りである。次いでプロセッサは、S53で取得された偏差とS55で設定されたゲイン係数とに基づいた開度にするための制御信号を第2流量調整バルブ22に送る(S57)。他方で、偏差が規定範囲に含まれると判定された場合(S53:YES)、プロセッサはゲイン係数を0に設定する(S59)。S55とS59を実行するプロセッサは既述のゲイン係数設定部281に相当する。S57またはS59の実行後、プロセッサは吸気加熱制御処理を終了して、図9で示されるステップに処理を戻す。
<第2実施形態に係る制御装置80B(80)>
図11を参照し、第2実施形態に係る制御装置80B(80)を説明する。制御装置80Bは、第1加熱ユニット10と第2加熱ユニット20をそれぞれ制御する。制御装置80Bによる第2加熱ユニット20の制御には、ガスタービン3のタービン入口温度度の推定値に基づいたフィードバック制御が含まれる。当該フィードバック制御は、高負荷区間(図2参照)で実行されるのであればどの区間で実行されてもよいし、あるいは、第1実施形態と同様の負荷区間に限定されてもよい。
制御装置80Bは、パラメータ取得部121、および、推定タービン入口温度取得部123を備える。パラメータ取得部121は、燃焼器8に供給される燃料の流量、燃料の単位重さ当たりの発熱量、燃焼器8に供給される空気の流量、供給空気の温度を取得するように構成される。燃料の流量は燃料流量センサ103の計測結果に基づき取得され、空気の流量は空気流量センサ104の計測結果に基づき取得され、供給空気の温度は空気温度センサ105の計測結果に基づき取得される。また、燃料の単位重さ当たりの発熱量は、例えば、供給されている燃料の情報を示す燃料情報に基づき取得される。燃料情報は、例えばガスタービンシステム1の熱量計センサの検出結果に応じて定まる情報である。
推定タービン入口温度取得部123は、パラメータ取得部121によって取得された燃料の流量、燃料の発熱量、供給空気の流量、および、供給空気の温度に基づき、燃焼器8の熱エネルギ収支に関する物理モデル式を用いて、タービン入口温度の推定値を取得する。上記の物理モデル式は、ガスタービン3の燃焼器8に流入する熱エネルギと、燃焼器8から流出する熱エネルギとが等しいことを示す非定常モデルに関する式である。当該モデルにおいては、燃焼器8に流入する熱エネルギは、パラメータ取得部121によって取得される上記のパラメータによって表現可能である。また、燃焼器8に流出する熱エネルギは、タービン30の入口における熱エネルギによって表現可能であり、従って、タービン入口温度によって表現可能である。即ち、推定タービン入口温度取得部123は、パラメータ取得部121によって取得されるパラメータと、物理モデル式とに基づいて、タービン入口温度の推定値を取得可能である。なお、タービン入口温度の推定値を求めるための物理モデル式は、例えば特開2021-167593号公報に例示される。
制御装置80Bは、吸気加熱制御部87B(87)をさらに含む。吸気加熱制御部87Bは、推定タービン入口温度取得部123によって取得されたタービン入口温度の推定値が、タービン入口温度の目標値である目標タービン入口温度に一致するように第2加熱ユニット20を制御する。目標タービン入口温度は、タービン入口温度の許容上限閾値に対して規定温度だけ低い温度であり、規定温度は例えば5度以下の温度であり、より好ましくは1度以下の温度である。本例の吸気加熱制御部87Bは、目標タービン入口温度とタービン入口温度の推定値との偏差に基づいて、第2流量調整バルブ22の開度をフィードバック制御する。
本開示の必須の構成要素ではないが、制御装置80Bは第1加熱制御部88B(88)をさらに含む。第1加熱制御部88Bは、推定タービン入口温度取得部123によって取得されたタービン入口温度の推定値に基づいて、第1加熱ユニット10の第1流量調整バルブ12をフィードバック制御するように構成される。当該フィードバック制御において目標として設定されるタービン入口温度は、上記の目標タービン入口温度であってもよいし、目標タービン入口温度よりも低い温度であってもよい。
本開示の必須の構成要素ではないが、制御装置80Bは負荷取得部82を含む。この負荷取得部82は、制御装置80Aの負荷取得部82と同じである。負荷取得部82によって取得されるガスタービン負荷に応じて、吸気加熱制御部87Bと第1加熱制御部88Bのいずれかが選択的に制御を実行してもよい。
上記構成によれば、タービン入口温度の推定値が、許容上限値に対して規定温度だけ低い目標タービン入口温度に一致するよう、第2加熱ユニット20が制御される。これにより、タービン入口温度が許容上限値以下となる条件のもとで、ガスタービン3は運転される。そして、タービン入口温度が高くなるほど、ガスタービン3の運転効率を高めることができる。よって、ガスタービン3の運転効率を向上した吸気加熱システム5が実現される。
<第2実施形態に係る吸気加熱システム5の運転方法>
図12は第2実施形態に係る吸気加熱システム5を制御するための吸気加熱システム制御処理を示すフローチャートであり、吸気加熱システム5の運転方法の一例を示す。当該制御処理は一例として制御装置80Bによって実行される。図12では、図9と同じステップに、同じステップ番号が付与されている。第2実施形態における吸気加熱ユニット制御処理は、第1実施形態として説明したS11、S13、S19(図11参照)に代えて、それぞれ、S31、S33、S19Aを含む。また、第2実施形態に吸気加熱システム制御処理は、第1実施形態として説明したS25~S29(図11参照)に代えて、S29Aを含む。以下の説明では、第1実施形態と重複するステップの説明の一部または全部を省略する。
はじめに、プロセッサは、燃焼器8に供給される燃料の流量、燃料の単位重さあたりの発熱量、燃焼器8に供給される供給空気の流量、供給空気の温度を取得する(S31)。各種パラメータの取得方法は既述の通りであり、S31を実行するプロセッサは既述のパラメータ取得部121に相当する。
次いで、プロセッサは、S31で取得されたパラメータに基づき、タービン入口温度の推定値を取得する(S33)。タービン入口温度の推定値の取得方法は既述の通りであり、S33を実行するプロセッサは、既述の推定タービン入口温度取得部123に相当する。
次いでプロセッサは、既述のS14、S15、S17を実行し、第1加熱ユニット10を制御する(S19A)。S19Aでは、推定タービン入口温度取得部123によって取得されたタービン入口温度の推定値に基づいて、第1加熱ユニット10の第1流量調整バルブ12をフィードバック制御する。当該制御の方法は既述の通りであり、S19Aを実行するプロセッサは、既述の第1加熱制御部88Bに相当する。
プロセッサは、S21、S14、S15などを実行したのち、S23を実行して、吸気加熱制御処理を実行する(S29A)。S29Aは第2加熱ユニット20を制御するための制御ステップである。S29Aでは、S33で取得されたタービン入口温度の推定値が、目標タービン入口温度に一致するように第2加熱ユニット20の第2流量調整バルブ22をフィードバック制御する。S29Aを実行するプロセッサは既述の吸気加熱制御部87Bに相当する。その後、プロセッサはS21などを実行して、本制御処理を終了する。
<ガスタービン3の詳細>
図13は、本開示の一実施形態に係るガスタービン3の詳細を示す概略図である。同図のガスタービン3は2軸式ガスタービンである。より詳細には、ガスタービン3は、圧縮機7と、圧縮機7の回転軸に連結される第1軸31を有する高圧タービン33と、第1軸31とは異なる第2軸32を有する低圧タービン34とを含む。高圧タービン33は圧縮機7と一体的に回転する。また、低圧タービン34は、高圧タービン33から排ガスが供給されるように構成されており、この排ガスを動力源として回転するように構成される。低圧タービン34から排出される排ガスは排気ダクト39へ流れる。
圧縮機7の入口にはインレットガイドベーンが設けられており、インレットガイドベーンの開度が調整されることで、圧縮機7の吸気量は制御される。2軸式ガスタービンでは、圧縮機7のインレットガイドベーンの開度制御は、高圧タービン33の出力と圧縮機7の動力とが均衡を保つために実行される。従って、例えばガスタービン3の燃焼器8に供給する燃料量の低下などに伴って、タービン入口温度が低下した場合において、タービン入口温度が上昇するようインレットガイドベーンの開度を絞る制御を実行することは困難である。この点、上記構成によれば、高負荷区間において第2加熱ユニット20が圧縮空気とは異なる熱源を利用して外部空気を加熱することで、タービン入口温度を上昇させる。圧縮機7から排出される圧縮空気が熱源として利用されることが抑制されるので、タービン30に流入する燃焼ガスの流量が低下するのを抑制することもできる。以上より、2軸式ガスタービンにおける運転効率を向上できる。
<まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る吸気加熱システム(5)は、
ガスタービン(3)の圧縮機(7)に送られる外部空気を加熱するように構成される吸気加熱システム(5)であって、
前記圧縮機(7)から排出される圧縮空気とは異なる熱源を利用して前記外部空気を加熱するように構成される吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)と、
前記ガスタービン(3)のタービン入口温度と相関を有する相関パラメータ、又は、前記タービン入口温度の推定値に基づいて、前記吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)を制御するように構成される制御装置(80)と、
を備える。
ガスタービン(3)の破損を回避するためには、タービン入口温度がガスタービン(3)の仕様で定められる許容上限値以下になるよう制御を実行する必要があるが、タービン入口温度は直接的に計測し続けることが困難なパラメータである。この点、上記1)の構成によれば、タービン入口温度と相関を有する相関パラメータ又はタービン入口温度の推定値に基づいて制御装置(80)が吸気加熱システム(5)を制御する。従って、タービン入口温度が許容上限値以下になる条件のもと、吸気加熱システム(5)はタービン入口温度を可能な限り高く設定でき、ガスタービン(3)の運転効率は向上する。さらに、吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)が圧縮空気とは異なる熱源を利用して外部空気を加熱するので、外部空気の加熱熱源の全てを圧縮機(7)から排出される圧縮空気で賄う場合に比べ、タービン(30)に流入する燃焼ガスの流量が低下するのを抑制でき、ガスタービン(3)の運転効率は向上する。以上より、ガスタービン(3)の運転効率を向上した吸気加熱システム(5)が実現される。
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記相関パラメータは、前記ガスタービン(3)のタービン出口側における排気温度、及び、前記ガスタービン(3)のタービン膨張比と相関を有する第1パラメータを含み、
前記制御装置(80)は、
前記排気温度と前記第1パラメータとの関係性を示す基準線(Ls)であって、前記タービン入口温度の目標値に対応して設定された基準線(Ls)を取得するための基準線取得部(81)と、
前記ガスタービン(3)の運転中における前記排気温度の計測値である実排気温度を取得するための排気温度取得部(83)と、
前記ガスタービン(3)の運転中における前記第1パラメータの計測値である実第1パラメータを取得するための第1パラメータ取得部(85)と、
前記実排気温度と前記実第1パラメータとから決定される運転点が前記基準線(Ls)と一致するように前記吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)を制御するための吸気加熱制御部(87)と、を含む。
上記2)の構成によれば、タービン入口温度の目標値に対応して設定された基準線(Ls)に実排気温度が一致するよう吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)が制御される。これにより、タービン入口温度が許容上限値以下となる条件のもとで、ガスタービン(3)は運転される。そして、基準線データによって示される排気温度が高くなるほど、ガスタービン(3)の運転効率を高めることができる。よって、ガスタービン(3)の運転効率を向上した吸気加熱システム(5)が実現される。
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記吸気加熱制御部(87)は、
前記基準線(Ls)と前記実第1パラメータとに基づいて設定される目標排気温度を取得するための目標温度取得部(181)と、
前記実排気温度と前記目標排気温度との偏差に基づき、前記吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)をフィードバック制御するように構成されるフィードバック制御部(182)と、
を有する。
上記3)の構成によれば、実排気温度が変動する場合であっても、該実排気温度と目標排気温度との偏差を時間の経過にしたがって確実に小さくできる。
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記フィードバック制御部(182)は、前記偏差が小さくなるほど、フィードバック制御のゲイン係数を小さくするように構成されるゲイン係数設定部(281)を有する。
上記4)の構成によれば、実排気温度と目標排気温度との偏差を早期に小さくできると共に、実排気温度が目標排気温度に対してオーバシュートするのを抑制できる。
5)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記ゲイン係数設定部(281)は、前記偏差が0を含む規定範囲に収まる場合において、前記ゲイン係数を0に設定するように構成される。
上記5)の構成によれば、フィードバック制御が実行されない不感帯が設定されるので、吸気加熱制御部(87)によって実行される制御を簡易化できる。
6)幾つかの実施形態では、上記3)から5)のいずれかに記載の吸気加熱システム(5)は、
前記圧縮機(7)から排出される前記圧縮空気の一部を、前記圧縮空気と連通する吸気流路(9)に返送するための返送流路(15)を含む第1加熱ユニット(10)であって、ガスタービン(3)負荷が第1規定負荷(G1)よりも低い負荷区間において、前記返送流路(15)を流れる前記圧縮空気を熱源に前記外部空気を加熱するように構成される第1加熱ユニット(10)をさらに備え、
前記フィードバック制御部(182)は、前記ガスタービン(3)負荷が前記第1規定負荷(G1)以上となる高負荷区間において、前記吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)をフィードバック制御するように構成される。
上記6)の構成によれば、高負荷区間においては、圧縮空気を熱源とした外部空気の加熱が実行されず、圧縮空気以外を熱源とした外部空気の加熱が実行される。これにより、高負荷区間においてタービン(30)に供給される燃焼ガスの流量が減るのを抑制でき、ガスタービン(3)の運転効率を向上できる。
7)幾つかの実施形態では、上記2)から6)のいずれかに記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記制御装置(80)は、
前記排気温度と前記第1パラメータとの関係性を示す温調線(Lu)であって、前記ガスタービン(3)に供給される燃料の量を制御する際に用いられる、前記タービン入口温度の許容上限値に対応して設定された温調線(Lu)を取得するための温調線取得部(89)をさらに含み、
前記基準線(Ls)における前記排気温度は、前記ガスタービン(3)に供給される燃料量の制御に用いられる温調線(Lu)における前記排気温度よりも低い。
上記7)の構成によれば、基準線(Ls)における排気温度が、温調線(Lu)における排気温度よりも低いことで、吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)の加熱制御の実行時において、タービン入口温度が許容上限値を超えるのをより確実に抑制できる。また、基準線(Ls)における排気温度が、温調線(Lu)における排気温度に近いほど、燃焼器(8)に流入する圧縮空気の温度を上げることができるので、ガスタービン(3)の運転効率を向上できる。
8)幾つかの実施形態では、上記2)から7)のいずれかに記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記第1パラメータは、前記圧縮機(7)の圧力比である。
上記8)の構成によれば、圧縮機(7)の圧縮比は、圧力センサの計測値に基づき定まるため、ガスタービン(3)の状態を正確に反映したパラメータとみなせる。この圧縮比がタービン膨張比と相関する第1パラメータとして利用されるので、タービン入口温度が許容上限値を超えるのをより確実に回避しつつ、ガスタービン(3)の運転効率を向上できる。
9)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記制御装置(80)は、
前記ガスタービン(3)の燃焼器(8)に供給される燃料の流量、前記燃料の単位重さあたりの発熱量、前記燃焼器(8)に供給される供給空気の流量、前記供給空気の温度を取得するためのパラメータ取得部(121)と、
前記ガスタービン(3)の前記燃焼器(8)の熱エネルギ収支に関する物理モデル式を用いて、取得した前記燃料の前記流量、取得した前記燃料の前記発熱量、取得した前記供給空気の前記流量、および、取得した前記供給空気の温度に基づき、前記タービン入口温度の前記推定値を取得するための推定タービン入口温度取得部(123)と、
取得した前記推定値が、前記タービン入口温度の許容上限値に対して規定温度だけ低い目標タービン入口温度に一致するように前記吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)を制御するための吸気加熱制御部(87)と、
を含む。
上記9)の構成によれば、タービン入口温度の推定値が、許容上限値に対して規定温度だけ低い目標タービン入口温度に一致するよう、吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)が制御される。これにより、タービン入口温度が許容上限値以下となる条件のもとで、ガスタービン(3)は運転される。そして、タービン入口温度が高くなるほど、ガスタービン(3)の運転効率を高めることができる。よって、ガスタービン(3)の運転効率を向上した吸気加熱システム(5)が実現される。
10)幾つかの実施形態では、上記1)から9)のいずれかに記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)は、
前記ガスタービン(3)からの燃焼ガスが供給されるための排熱回収ボイラ(19)がボイラ給水を加熱することで生成される加熱媒体を、前記圧縮機(7)と連通する吸気流路(9)に導くための加熱媒体流路(29)を含む。
上記10)の構成によれば、圧縮機(7)空気とは異なる熱源として排熱回収ボイラ(19)で生成される加熱媒体が採用されることで、ガスタービンシステム(1)で生成される熱を無駄なく利用でき、ガスタービンシステム(1)の運転効率を向上できる。
11)幾つかの実施形態では、上記10)に記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)は、
前記吸気流路(9)の内側に配置される配管部(25)であって、前記加熱媒体流路(29)から前記加熱媒体が供給されるように構成される配管部(25)をさらに含む。
上記11)の構成によれば、配管部(25)を流れる加熱媒体と吸気流路(9)を流れる外部空気との熱交換によって、吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)は外部空気を加熱できる。
12)幾つかの実施形態では、上記10)または12)に記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)は、
前記加熱媒体流路(29)に設けられた流量調整バルブ(第2流量調整バルブ22)をさらに含み、
前記制御装置(80)は、前記流量調整バルブ(第2流量調整バルブ22)を制御するように構成される。
上記12)の構成によれば、制御装置(80)がガスタービン(3)のタービン入口温度と相関を有する相関パラメータ、又は、タービン入口温度の推定値に基づいて、吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)の流量調整バルブ(第2流量調整バルブ22)の開度を制御する。これにより、吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)は、外部空気に対する加熱量を制御することができる。
13)幾つかの実施形態では、上記10)から12)のいずれかに記載の吸気加熱システム(5)であって、
前記加熱媒体流路(29)は、前記排熱回収ボイラ(19)において生成される温水を前記加熱媒体として前記吸気流路(9)に導くように構成される。
上記13)の構成によれば、ボイラ給水の加熱によって生じる蒸気よりも排熱される傾向の高い温水が加熱媒体として採用されることで、ガスタービンシステム(1)の運転効率を向上できる。
14)本開示の少なくとも一実施形態に係る吸気加熱システム(5)の運転方法は、
ガスタービン(3)の圧縮機(7)に送られる外部空気を加熱するように構成される吸気加熱システム(5)の運転方法であって、
前記吸気加熱システム(5)は、前記圧縮機(7)から排出される圧縮空気とは異なる熱源を利用して前記外部空気を加熱するように構成される吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)を含み、
前記ガスタービン(3)のタービン入口温度と相関を有する相関パラメータ、又は、前記タービン入口温度の推定値に基づいて、前記吸気加熱ユニット(第2加熱ユニット20)を制御する制御ステップ(S29、S29A)を備える。
上記14)の構成によれば、上記1)と同様の理由によって、ガスタービン(3)の運転効率を向上した吸気加熱システム(5)の運転方法が実現される。
15)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンシステム(1)は、
上記1)乃至13)の何れかに記載の吸気加熱システム(5)と、
前記ガスタービン(3)と、
を備える。
上記15)の構成によれば、上記1)と同様の理由により、ガスタービン(3)の運転効率を向上したガスタービンシステム(1)が実現される。
16)幾つかの実施形態では、上記15)に記載のガスタービンシステム(1)であって、
前記ガスタービン(3)は、
前記圧縮機(7)と、
前記圧縮機(7)の回転軸に連結される第1軸(31)を有する高圧タービン(33)と、
前記第1軸(31)とは異なる第2軸(32)を有し、前記高圧タービン(33)から燃焼ガスが供給されるように構成される低圧タービン(34)と、
を含む2軸式ガスタービンである。
2軸式ガスタービンでは、圧縮機(7)のインレットガイドベーンの開度制御は、高圧タービン(33)の出力と圧縮機(7)動力とが均衡を保つために実行される。従って、例えばガスタービン(3)の燃焼器(8)に供給する燃料量の低下などに伴って、タービン入口温度が低下した場合において、タービン入口温度が上昇するようインレットガイドベーンの開度を絞る制御を実行することは困難である。この点、上記16)の構成によれば、圧縮空気とは異なる熱源を利用して外部空気を加熱することで、タービン入口温度を上昇させることができる。また、圧縮機(7)から排出される圧縮空気が熱源として利用されることが抑制されるので、タービンに流入する燃焼ガスの流量が低下するのを抑制することもできる。以上より、2軸式ガスタービンにおける運転効率を向上できる。
1 :ガスタービンシステム
3 :ガスタービン
5 :吸気加熱システム
7 :圧縮機
8 :燃焼器
9 :吸気流路
10 :第1加熱ユニット
15 :返送流路
19 :排熱回収ボイラ
25 :配管部
29 :加熱媒体流路
30 :タービン
31 :第1軸
32 :第2軸
33 :高圧タービン
34 :低圧タービン
80 :制御装置
81 :基準線取得部
83 :排気温度取得部
85 :第1パラメータ取得部
87 :吸気加熱制御部
89 :温調線取得部
92 :入口
93 :出口
121 :パラメータ取得部
123 :推定タービン入口温度取得部
181 :目標温度取得部
182 :フィードバック制御部
281 :ゲイン係数設定部
Ld :低運転線
Ls :基準線
Lu :温調線

Claims (19)

  1. ガスタービンの圧縮機に送られる外部空気を加熱するように構成される吸気加熱システムであって、
    前記圧縮機から排出される圧縮空気とは異なる熱源を利用して前記外部空気を加熱するように構成される吸気加熱ユニットと、
    前記ガスタービンに設けられたセンサの計測結果から得られたタービン入口温度と相関を有する相関パラメータ、又は、前記タービン入口温度の推定値に基づいて、前記吸気加熱ユニットによる吸気加熱量を制御することで前記タービン入口温度が目標値になるように構成される制御装置と、
    を備える吸気加熱システム。
  2. 前記相関パラメータは、前記ガスタービンのタービン出口側における排気温度、及び、前記ガスタービンのタービン膨張比と相関を有する第1パラメータを含み、
    前記制御装置は、
    前記排気温度と前記第1パラメータとの関係性を示す基準線であって、前記タービン入口温度の目標値に対応して設定された基準線を取得するための基準線取得部と、
    前記ガスタービンの運転中における前記排気温度の計測値である実排気温度を取得するための排気温度取得部と、
    前記ガスタービンの運転中における前記第1パラメータの計測値である実第1パラメータを取得するための第1パラメータ取得部と、
    前記実排気温度と前記実第1パラメータとから決定される運転点が前記基準線と一致するように前記吸気加熱ユニットを制御するための吸気加熱制御部と、を含む、
    請求項1に記載の吸気加熱システム。
  3. 前記吸気加熱制御部は、
    前記基準線と前記実第1パラメータとに基づいて設定される目標排気温度を取得するための目標温度取得部と、
    前記実排気温度と前記目標排気温度との偏差に基づき、前記吸気加熱ユニットをフィードバック制御するように構成されるフィードバック制御部と、
    を有する請求項2に記載の吸気加熱システム。
  4. 前記フィードバック制御部は、前記偏差が小さくなるほど、フィードバック制御のゲイン係数を小さくするように構成されるゲイン係数設定部を有する、
    請求項3に記載の吸気加熱システム。
  5. 前記ゲイン係数設定部は、前記偏差が0を含む規定範囲に収まる場合において、前記ゲイン係数を0に設定するように構成される、
    請求項4に記載の吸気加熱システム。
  6. 前記圧縮機から排出される前記圧縮空気の一部を、前記圧縮空気と連通する吸気流路に返送するための返送流路を含む第1加熱ユニットであって、ガスタービン負荷が第1規定負荷よりも低い負荷区間において、前記返送流路を流れる前記圧縮空気を熱源に前記外部空気を加熱するように構成される第1加熱ユニットをさらに備え、
    前記フィードバック制御部は、前記ガスタービン負荷が前記第1規定負荷以上となる高負荷区間において、前記吸気加熱ユニットをフィードバック制御するように構成される、
    請求項3乃至5の何れか1項に記載の吸気加熱システム。
  7. 前記制御装置は、
    前記排気温度と前記第1パラメータとの関係性を示す温調線であって、前記ガスタービンに供給される燃料の量を制御する際に用いられる、前記タービン入口温度の許容上限値に対応して設定された温調線を取得するための温調線取得部をさらに含み、
    前記基準線における前記排気温度は、前記ガスタービンに供給される燃料量の制御に用いられる温調線における前記排気温度よりも低い、
    請求項2乃至5の何れか1項に記載の吸気加熱システム。
  8. 前記第1パラメータは、前記圧縮機の圧力比である、
    請求項2乃至5の何れか1項に記載の吸気加熱システム。
  9. 前記制御装置は、
    前記ガスタービンの燃焼器に供給される燃料の流量、前記燃料の単位重さあたりの発熱量、前記燃焼器に供給される供給空気の流量、前記供給空気の温度を取得するためのパラメータ取得部と、
    前記ガスタービンの前記燃焼器の熱エネルギ収支に関する物理モデル式を用いて、取得した前記燃料の前記流量、取得した前記燃料の前記発熱量、取得した前記供給空気の前記流量、および、取得した前記供給空気の温度に基づき、前記タービン入口温度の前記推定値を取得するための推定タービン入口温度取得部と、
    取得した前記推定値が、前記タービン入口温度の許容上限値に対して規定温度だけ低い目標タービン入口温度に一致するように前記吸気加熱ユニットを制御するための吸気加熱制御部と、
    を含む
    請求項1に記載の吸気加熱システム。
  10. 前記吸気加熱ユニットは、
    前記ガスタービンからの燃焼ガスが供給されるための排熱回収ボイラがボイラ給水を加熱することで生成される加熱媒体を、前記圧縮機と連通する吸気流路に導くための加熱媒体流路を含む、
    請求項1に記載の吸気加熱システム。
  11. 前記吸気加熱ユニットは、
    前記吸気流路の内側に配置される配管部であって、前記加熱媒体流路から前記加熱媒体が供給されるように構成される配管部をさらに含む、
    請求項10に記載の吸気加熱システム。
  12. 前記吸気加熱ユニットは、
    前記加熱媒体流路に設けられた流量調整バルブをさらに含み、
    前記制御装置は、前記流量調整バルブを制御するように構成される、
    請求項10または11に記載の吸気加熱システム。
  13. 前記加熱媒体流路は、前記排熱回収ボイラにおいて生成される温水を前記加熱媒体として前記吸気流路に導くように構成される、
    請求項10または11に記載の吸気加熱システム。
  14. ガスタービンの圧縮機に送られる外部空気を加熱するように構成される吸気加熱システムの運転方法であって、
    前記吸気加熱システムは、前記圧縮機から排出される圧縮空気とは異なる熱源を利用して前記外部空気を加熱するように構成される吸気加熱ユニットを含み、
    前記ガスタービンに設けられたセンサの計測結果から得られたタービン入口温度と相関を有する相関パラメータ、又は、前記タービン入口温度の推定値に基づいて、前記吸気加熱ユニットによる吸気加熱量を制御することで前記タービン入口温度が目標値になるようにする制御ステップを備える、
    吸気加熱システムの運転方法。
  15. 請求項1に記載の吸気加熱システムと、
    前記ガスタービンと、
    を備えるガスタービンシステム。
  16. 前記ガスタービンは、
    前記圧縮機と、
    前記圧縮機の回転軸に連結される第1軸を有する高圧タービンと、
    前記第1軸とは異なる第2軸を有し、前記高圧タービンから燃焼ガスが供給されるように構成される低圧タービンと、
    を含む2軸式ガスタービンである、
    請求項15に記載のガスタービンシステム。
  17. ガスタービンの圧縮機に送られる外部空気を加熱するように構成される吸気加熱システムであって、
    前記圧縮機から排出される圧縮空気とは異なる熱源を利用して前記外部空気を加熱するように構成される吸気加熱ユニットと、
    前記ガスタービンのタービン入口温度と相関を有する相関パラメータ、又は、前記タービン入口温度の推定値に基づいて、前記吸気加熱ユニットを制御するように構成される制御装置と、
    を備え、
    前記相関パラメータは、前記ガスタービンのタービン出口側における排気温度、及び、前記ガスタービンのタービン膨張比と相関を有する第1パラメータを含み、
    前記制御装置は、
    前記排気温度と前記第1パラメータとの関係性を示す基準線であって、前記タービン入口温度の目標値に対応して設定された基準線を取得するための基準線取得部と、
    前記ガスタービンの運転中における前記排気温度の計測値である実排気温度を取得するための排気温度取得部と、
    前記ガスタービンの運転中における前記第1パラメータの計測値である実第1パラメータを取得するための第1パラメータ取得部と、
    前記実排気温度と前記実第1パラメータとから決定される運転点が前記基準線と一致するように前記吸気加熱ユニットを制御するための吸気加熱制御部と、を含む、
    吸気加熱システム
  18. 請求項17に記載の吸気加熱システムと、
    前記ガスタービンと、
    を備えるガスタービンシステム。
  19. 前記ガスタービンは、
    前記圧縮機と、
    前記圧縮機の回転軸に連結される第1軸を有する高圧タービンと、
    前記第1軸とは異なる第2軸を有し、前記高圧タービンから燃焼ガスが供給されるように構成される低圧タービンと、
    を含む2軸式ガスタービンである、
    請求項18に記載のガスタービンシステム。
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