JP7828124B1 - イムノクロマト定量方法、イムノクロマトリーダー - Google Patents

イムノクロマト定量方法、イムノクロマトリーダー

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Abstract

【課題】精度の高いイムノクロマト定量方法およびこの方法が実施できるイムノクロマトリーダーを提供する。
【解決手段】イムノクロマトグラフシート11の流れ方向上流側の一端部に検体が滴下されて、展開された状態の検査プレート10を使用し、検体に含まれる測定対象物質の濃度を求めるイムノクロマト定量方法であって、流れ方向Rに垂直な方向であるシート幅方向Wの全体で、検査プレート10のテストライン12の発光量(LT)およびコントロールライン13の発光量(LC)を測定し、テストラインの発光量(LT)のコントロールラインの発光量(LC)に対する比(LT/LC)を算出し、測定対象物質の濃度が既知である検体から作成した、比(LT/LC)と測定対象物質の濃度との関係を示す検量線を用いて、算出された比(LT/LC)から検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、イムノクロマト定量方法、イムノクロマトリーダーに関する。
イムノクロマト法を用いた迅速検査は医療分野でますます普及しており、特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック後はその需要が急増した。これらのイムノクロマト法検査はこれまでも妊娠検査に広く利用され、主に陽性または陰性という結果に重点が置かれていた。何故なら、妊娠検査の場合、ホルモンレベルが急速に変化するため、イムノクロマト法検査における精度の重要性は相対的に低く、必要に応じて病院でより精度の高い検査を受けることが一般的なためである。
しかし、イムノクロマト法検査が、薬物乱用などによる検体中の薬物濃度検出や、医療現場での疾患の有無や重症度判定などに使用される場合には、その精度が重要になるが、現状においては、結果は依然として陽性または陰性で示され、通常はテストラインの発色が生じるかどうかによって判断される。
これまでのイムノクロマト法検査において、イムノクロマト法検査リーダーは、テストラインの発色の有無のみや、またテストラインの不均一性を考慮せずに評価する構成となっている。またコントロールラインの存在は、測定値の計算に使用されず、テストが有効であることのみを示している。なお、テストラインの発色が生じることは、サンドイッチ法によるテストでは陽性、競合法によるテストでは陰性であることを意味する。
テストラインの発色を検出するために、ほとんどのリーダーは、テストラインの輝度から背景領域(テストラインの上流側および下流側の領域)の輝度の平均値を引いた値を取得するが、この背景領域の輝度は、流動方向における不均一性を考慮せずに得られた値である。
上述のように、従来の方法はテストラインの存在(発色)のみをテストラインおよびその背景領域の不均一性を考慮することなく検出するため、疾患の陽性か陰性かの判別には十分だったが、定量測定が必要な場合には精度が不十分である。例えば病気の重症度分類においては、測定値が正確で信頼できることが不可欠である。特に、重症度の分類結果によって臨床現場における処置が変わる場合、定量測定値を正確に知ることが重要である。
そのため、このニーズに応える新しい計算方法の開発が求められている。また、新計算方法を搭載した、正確に定量できるリーダーも必要となる。
正しく定量するためには、テストラインおよびコントロールラインの発色がそれぞれの領域で均一になることが望ましい。しかし、イムノクロマトグラフィー試験紙(イムノクロマトグラフシート)上のテストラインに対する検出抗体の不均一な結合に加え、試薬類の塗布状態やイムノクロマト法検査キット自体の構造や材料の不備など、ハードウェアに基づく問題も存在するため、試薬紙上で検体の流動が不均一になり易い。
この不均一現象は任意の場所で発生する可能性があるが、流動は同じ方向を維持しており、他の同方向の試薬との干渉を引き起こすことはない。つまり、テストラインの特定部分の色が他の部分より濃い場合(流動量が多いことを示す)、相対的に後側(下流側)に位置するコントロールラインの色も濃くなる傾向がある。
従来の方法では、テストラインのみの特定範囲内の輝度の面積平均値で解析するため、このようなムラは定量性の低下主因の一つである。また、技術的な限界により、イムノクロマトグラフィー試験紙(イムノクロマトグラフシート)上のテストラインは、テストライン上の前後(上流側の部分および下流側の部分)においても均一に結合しているわけではない。通常、試薬と最初に接触する前端(上流側の端部)では抗原と抗体の結合が多く、後端(下流側の端部)では少なくなる傾向がある。このため、数値の読取に誤差が生じる。
イムノクロマト定量方法に関する文献としては、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、発色像のバックグラウンドの影響を除去し、色調の異なるラベル物質による発色像であっても正確に処理定量可能とし、画像解析による凝集像の自動判定についても応用可能で廉価なシステム構成を可能としたイムノクロマトグラフィ又はイムノコンセントレーションにおける発色画像の処理定量方法が記載されている。
特許文献1に記載された方法は、イムノクロマトグラフシートの流れ方向上流側の一端部に検体が滴下されて、検体が展開された状態の検査プレートを使用し、検量線を用いて検体に含まれる測定対象物質の濃度を求めるイムノクロマト定量方法に含まれる。そして、この方法の特徴は以下の通りである。
検査プレート(発色デバイス)上に形成された発色像をフルカラーで取り込み、画像データの解析範囲を指定する。解析範囲の生データの三原色のピクセル値の列平均値を算出し、各ピクセル値の列平均の移動平均値を求め、移動平均値から発色の最小ピクセル値を算出する。最小ピクセル値に対して、発色像のバックグラウンド(背景色)の補正を行ない、補正工程後のピクセル値と、既知濃度の検体との関係を示す検量線から未知濃度の試料検体の濃度を求める。
つまり、特許文献1に記載された方法では、バックグラウンド(背景色)を有する発色像であっても、バックグラウンドの影響を除去して測定可能にすることを目的として、指定された解析範囲の生データの三原色のピクセル値の列移動平均を使用した補正を行っている。そして、この方法では、検査プレートの全面からの発光量を測定していない。
特開2000-338106号公報
本発明の課題は、精度の高いイムノクロマト定量方法およびこの方法が実施できるイムノクロマトリーダーを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の第一態様は、下記の構成(1)~(2)を有するイムノクロマト定量方法を提供する。
(1)イムノクロマトグラフシートの流れ方向上流側の一端部に検体が滴下されて、前記検体が展開された状態の検査プレートを使用し、前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求めるイムノクロマト定量方法である。
(2)前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体で、前記検査プレートのテストラインの発光量(LT)およびコントロールラインの発光量(LC)を測定し、測定された前記発光量を用いて、テストラインの発光量(LT)のコントロールラインの発光量(LC)に対する比(LT/LC)を算出し、前記測定対象物質の濃度が既知である検体から作成した、前記比(LT/LC)と前記測定対象物質の濃度との関係を示す検量線を用いて、前記算出された比(LT/LC)から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める。
本発明の第二態様は、上記構成(1)と下記の構成(3)を有するイムノクロマト定量方法を提供する。
(3)前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、前記領域毎に、前記検査プレートのテストラインの発光量(LT)およびコントロールラインの発光量(LC)を測定し、前記領域毎に、測定された前記発光量を用いて、テストラインの発光量(LT)のコントロールラインの発光量(LC)に対する比(LT/LC)を算出し、全ての前記領域における前記比(LT/LC)の平均値を算出し、前記測定対象物質の濃度が既知である検体から作成した、前記比(LT/LC)の平均値と前記測定対象物質の濃度との関係を示す検量線を用いて、前記算出された比(LT/LC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める。
本発明の第三態様は、上記構成(1)と下記の構成(4)~(15)を有するイムノクロマト定量方法を提供する。
(4)前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、前記領域毎に、前記イムノクロマトグラフシートの発光量を測定して、前記流れ方向における前記発光量の変化を示すグラフを作成し、
(5)前記グラフにおいて、前記流れ方向におけるテストラインよりも上流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、前記流れ方向におけるテストラインよりも下流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、を直線で繋いで第一の初期ベースラインとし、
(6)前記第一の初期ベースラインを基準とした、前記グラフにおける前記テストラインの発光強度を示すピークの半値幅の1.5倍以上の範囲であって、前記半値幅の中心点から前記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、前記テストラインの発色値測定範囲に設定するとともに、
(7)前記テストラインの発色値測定範囲の上流端および下流端から、前記発色値測定範囲の前記第一の初期ベースラインに沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域に設定し、前記グラフにおける前記背景領域の発光量を示すラインを使用したカーブフィッティングを行うことにより、前記グラフの前記テストラインの背景領域におけるベースラインの発光量を最適化し、
(8)最適化された前記ベースラインの発光量(LhT)を前記発色値測定範囲におけるテストラインの発光量(LT)から引いた差異値(ΔLT)を、前記テストラインの発色値として算出するとともに、
(9)前記グラフにおいて、前記流れ方向におけるコントロールラインよりも上流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、前記流れ方向におけるコントロールラインよりも下流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、を直線で繋いで第二の初期ベースラインとし、
(10)前記第二の初期ベースラインを基準とした、前記グラフにおける前記コントロールラインの発光強度を示すピークの半値幅の1.5倍以上の範囲であって、前記半値幅の中心点から前記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、前記コントロールラインの発色値測定範囲に設定するとともに、
(11)前記コントロールラインの発色値測定範囲の上流端および下流端から、前記発色値測定範囲の前記第二の初期ベースラインに沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域に設定し、前記グラフにおける前記背景領域の発光量を示すラインを使用したカーブフィッティングを行うことにより、前記グラフの前記コントロールラインの背景領域におけるベースラインの発光量を最適化し、
(12)最適化された前記ベースラインの発光量(LhC)を前記コントロールラインの発光量(LC)から引いた差異値(ΔLC)を、前記コントロールラインの発色値として算出し、
(13)前記領域毎に、前記コントロールラインの差異値(ΔLC)に対する前記テストラインの差異値(ΔLT)の比(ΔLT/ΔLC)を算出し、
(14)全ての前記領域における前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値を算出し、
(15)前記測定対象物質の濃度が既知である検体から作成した、前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値と前記測定対象物質の濃度との関係を示す検量線を用いて、前記算出された比(ΔLT/ΔLC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める。
本発明の第四態様は、下記の構成(21)~(24)を有するイムノクロマトリーダーを提供する。
(21)イムノクロマトグラフシートの流れ方向上流側の一端部に検体が滴下されて、前記検体が展開された状態の検査プレートを使用し、前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を測定するイムノクロマトリーダーである。
(22)前記検査プレートの配置部と、前記配置部に配置された前記検査プレートの前記イムノクロマトグラフシートの上面に対する光照射部と、前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体で、前記検査プレートのテストラインおよびコントロールラインからの反射光の発光量を取得する発光量取得部を有する。
(23)前記発光量取得部で取得された前記テストラインの発光量(LT)および前記コントロールラインの発光量(LC)から、テストラインの発光量(LT)のコントロールラインの発光量(LC)に対する比(LT/LC)を算出する演算部を有する。
(24)前記測定対象物質の濃度が既知である検体を用いて予め作成された、前記比(LT/LC)と前記測定対象物質の濃度との関係を示す標準曲線を、検量線として設定する検量線設定部と、前記検量線設定部で設定された検量線を用いて、前記演算部で算出された比(LT/LC)から、前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を得る濃度取得部と、前記濃度取得部で得られた前記濃度を出力する出力部と、を有する。
本発明の第五態様は、上記構成(21)と下記の構成(25)~(27)を有するイムノクロマトリーダーを提供する。
(25)前記検査プレートの配置部と、前記配置部に配置された前記検査プレートの前記イムノクロマトグラフシートの上面に対する光照射部と、前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、前記領域毎に、前記検査プレートのテストラインからの反射光の発光量(LT)およびコントロールラインからの反射光の発光量(LC)を取得する発光量取得部を有する。
(26)前記発光量取得部で取得された、前記テストラインの前記発光量(LT)および前記コントロールラインの前記発光量(LC)から、両者の比(LT/LC)を算出し、全ての前記領域における前記比(LT/LC)の平均値を算出する演算部と、前記測定対象物質の濃度が既知である検体を用いて予め作成された、前記比(LT/LC)の平均値と前記測定対象物質の濃度との関係を示す標準曲線を、検量線として設定する検量線設定部を有する。
(27)前記検量線設定部で設定された検量線を用いて、前記演算部で算出された比(LT/LC)の平均値から、前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を得る濃度取得部と、前記濃度取得部で得られた前記濃度を出力する出力部と、を有する。
本発明の第六態様は、上記構成(21)と下記の構成(28)~(30)を有するイムノクロマトリーダーを提供する。
(28)前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、前記領域毎に、前記イムノクロマトグラフシートの発光量を測定して、前記流れ方向における前記発光量の変化を示すグラフを作成する発光量取得部を有する。
(29)前記発光量取得部で作成された前記グラフにおいて、前記流れ方向におけるテストラインよりも上流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、前記流れ方向におけるテストラインよりも下流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、を直線で繋いで第一の初期ベースラインとし、前記第一の初期ベースラインを基準とした、前記グラフにおける前記テストラインの発光強度を示すピークの半値幅の1.5倍以上の範囲であって、前記半値幅の中心点から前記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、前記テストラインの発色値測定範囲に設定するとともに、前記テストラインの発色値測定範囲の上流端および下流端から、前記発色値測定範囲の前記第一の初期ベースラインに沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域に設定し、前記グラフにおける前記背景領域の発光量を示すラインを使用したカーブフィッティングを行うことにより、前記グラフの前記テストラインの背景領域におけるベースラインの発光量を最適化し、最適化された前記ベースラインの発光量(LhT)を前記発色値測定範囲におけるテストラインの発光量(LT)から引いた差異値(ΔLT)を、前記テストラインの発色値として算出するとともに、前記グラフにおいて、前記流れ方向におけるコントロールラインよりも上流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、前記流れ方向におけるコントロールラインよりも下流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、を直線で繋いで第二の初期ベースラインとし、前記第二の初期ベースラインを基準とした、前記グラフにおける前記コントロールラインの発光強度を示すピークの半値幅の1.5倍以上の範囲であって、前記半値幅の中心点から前記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、前記コントロールラインの発色値測定範囲に設定するとともに、前記コントロールラインの発色値測定範囲の上流端および下流端から、前記発色値測定範囲の前記第二の初期ベースラインに沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域に設定し、前記グラフにおける前記背景領域の発光量を示すラインを使用したカーブフィッティングを行うことにより、前記グラフの前記コントロールラインの背景領域におけるベースラインの発光量を最適化し、最適化された前記ベースラインの発光量(LhC)を前記コントロールラインの発光量(LC)から引いた差異値(ΔLC)を、前記コントロールラインの発色値として算出し、前記領域毎に、前記コントロールラインの差異値(ΔLC)に対する前記テストラインの差異値(ΔLT)の比(ΔLT/ΔLC)を算出し、全ての前記領域における前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値を算出する演算部を有する。
(30)前記測定対象物質の濃度が既知である検体から作成した、前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値と前記測定対象物質の濃度との関係を示す標準曲線を、検量線として設定する検量線設定部と、前記検量線設定部で設定された検量線を用いて、前記演算部で算出された比(ΔLT/ΔLC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める濃度取得部と、前記濃度取得部で得られた前記濃度を出力する出力部と、を有する。
本発明によれば、精度の高いイムノクロマト定量方法およびイムノクロマトリーダーが提供される。
本発明の実施形態で使用する検査プレートを示す平面図である。 本発明の第一実施形態に係る方法を説明するフローチャートである。 本発明の第二実施形態に係る方法を説明するフローチャートである。 本発明の第二実施形態に係る方法の効果を従来の方法との対比で説明するグラフであって、横軸は18の領域の各位置を示す。 本発明の第二実施形態に係る方法の効果を従来の方法との対比で説明するグラフであって、R2値および実測濃度との一致率について示されている。 本発明の第三実施形態に係る方法を説明するフローチャートである。 図6のフローチャートのステップS31~S33を説明する図であって、検査プレートのイムノクロマトシートの状態を示す平面図(a)と、流れ方向における輝度の変化を示すグラフ(b)と、最適化されたベースラインが破線で示されているグラフ(c)である。 図6のフローチャートのステップS32を説明する図である。 図6のフローチャートのステップS33、S34を説明する図である。 図6のフローチャートのステップS37で設定する第1グラフの一例である。 図6のフローチャートのステップS38で設定する第2グラフの一例である。 従来の方法で測定したテストラインの発光量(LT)と、測定対象物質の実測値(実測濃度)と、の関係を示すグラフ(a)、および、第三実施形態に係る方法のステップS35で測定したΔLT/ΔLCの平均値(T/C)と、測定対象物質の実測値(実測濃度)と、の関係を示すグラフ(b)である。 本発明の実施形態に係る方法を実施可能なイムノクロマトリーダーの一例を示す概略断面図である。 図13のイムノクロマトリーダーを示す概略側面図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
[第一実施形態]
<構成>
本発明の第一実施形態に係る方法は、図1に示す検査プレート10を用いたイムノクロマト定量方法であって、図2に示す手順を有する。
図1に示すように、検査プレート10においては、ハウジング100の窓部101にイムノクロマトグラフシート11の主要部分が露出している。ハウジング100には、イムノクロマトグラフシート11の流れ方向Rの上流側の一端部に、貫通穴が形成され、この貫通穴が検体の滴下部102となっている。そして、イムノクロマトグラフシート11の露出部の上流側にテストライン12が、下流側にコントロールンライン13が設定されている。イムノクロマトグラフシート11の流れ方向Rに垂直な方向をシート幅方向Wとする。
第一実施形態の方法では、滴下部102、つまり、イムノクロマトグラフシート11の流れ方向上流側の一端部に、液状の検体が滴下されて展開された状態の検査プレート10を用い、図2のフローチャートに示す手順で、イムノクロマトグラフシート11に展開された検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める。
図2に示すように、第一実施形態の方法では、先ず、シート幅方向Wの全体で、検査プレート10のテストライン12の輝度(発光量)LTおよびコントロールライン13の輝度(発光量)LCを測定する(ステップS11)。次に、テストライン12の輝度(発光量)LTのコントロールライン13の輝度(発光量)LCに対する比(LT/LC)を算出する(ステップS12)。なお、フローチャートにおいては、テストラインを「Tライン」、コントロールラインを「Cライン」と記載している。
次に、予め測定対象物質の濃度が既知である検体を用いて作成した、比(LT/LC)と測定対象物質の濃度との関係を示す検量線を用いて、ステップS12で算出された比(LT/LC)から、検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める(ステップS13)。
<作用、効果>
従来の方法では、テストラインの幅方向中央部のみの発光量から、測定対象物質の濃度を求めていた。しかし、この方法では、テストラインに対する検出抗体の不均一な結合に加え、試薬類の塗布状態やイムノクロマト法検査キット自体の構造や材料の不備などを要因として、検体の不均一な流動が任意の場所で発生することにより、テストラインの特定部分の色が他の部分より濃いもしくは薄いといったムラが生じると、測定されたテストラインの発光量に及ぼす影響が大きく、定量精度は低かった。
これに対して、第一実施形態の方法によれば、イムノクロマトグラフシートの流れ方向に垂直な方向(シート幅方向)の全体で、テストラインおよびコントロールラインの発色像に伴う発光量を測定することにより、イムノクロマトグラフシートの幅方向中央部のみの発光量を使用する従来法より、精密な定量を行うことができる。
また、テストラインの発光量(LT)ではなく、テストラインの発光量(LT)のコントロールラインに対する比(LT/LC)を使用することで、テストラインのムラの影響が少なくなる。その理由は、検体のイムノクロマトグラフシート上の流動は同じ方向を維持しており、他の同方向の試薬との干渉を引き起こすことはなく、それによってこのムラのパターンが、テストライン上とコントロールライン上で類似しているためと考えられる。
[第二実施形態]
<構成>
本発明の第二実施形態に係る方法は、図1に示す検査プレート10を用いたイムノクロマト定量方法であって、図3に示す手順を有する。
第二実施形態の方法では、第一実施形態の方法と同様に、滴下部102に液状の検体が滴下されて展開された状態の検査プレート10を用いる。そして、図3のフローチャートに示す手順で、イムノクロマトグラフシート11に展開された検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める。
図3に示すように、第二実施形態の方法では、先ず、イムノクロマトグラフシート11のシート幅方向Wの全体を18の領域に分割し、領域毎に、テストライン12の輝度(発光量LT)およびコントロールライン13の輝度(発光量LC)を測定する(ステップS21)。次に、領域毎に、テストライン12の輝度(発光量LT)のコントロールライン13の輝度(発光量LC)に対する比(LT/LC)を算出する(ステップS22)。
次に、全領域における比(LT/LC)の平均値を算出する(ステップS23)。
次に、予め測定対象物質の濃度が既知である検体を用いて作成した、比(LT/LC)の平均値と測定対象物質の濃度との関係を示す検量線を用いて、ステップS23で算出された比(LT/LC)から、検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める(ステップS24)。
<作用、効果>
第二実施形態の方法によれば、イムノクロマトグラフシート11のシート幅方向Wの全体を18(複数)の領域に分割して領域毎に比(LT/LC)を算出し、全領域における比(LT/LC)の平均値から濃度を求めるため、ラインムラがより顕著であったり、シート幅方向Wで検体の流動速度に差があった場合でも、測定対象物質の濃度を精度よく測定することができる。
図4および図5は、テストラインの発光量(LT)から測定対象物質の濃度を求める従来の方法(a)と、第二実施形態の方法(b)とを比較した図である。
図4(a)に示すように、シート幅方向Wの全体を18(複数)の領域に分割して、領域毎に測定した場合のテストラインの発光量(LT)は、領域による差が大きい。これに対して、図4(b)に示すように、18の領域毎のテストラインの発光量(LT)のコントロールラインの発光量(LC)に対する比(LT/LC)は、領域による差が小さい。
図5(a)に示すように、上記従来の方法では、測定誤差が大きく、実測濃度との一致率も低かった。また、平均CV値は20.4%であった。これに対して、図5(b)に示すように、第二実施形態の方法では、測定誤差が小さく、実測濃度との一致率も大幅に改善されていた。また、平均CV値は10.2%であった。
なお、定量を目的とした医療用イムノクロマト法検査(POCT:Point of Care Testing)では、10%前後の誤差範囲に収まることが求められる。よって、第二実施形態の方法は定量を目的とした医療用イムノクロマト法検査で使用可能なものとなる。
なお、シート幅方向の全体を分割して生じる領域数が大きいほど、シート幅方向における流動速度の差に伴う不均一性が解消される程度が高くなるため、測定精度は高くなる。領域数は2以上であればよいが、多いほど好ましく、例えば15以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
[第三実施形態]
<構成>
本発明の第三実施形態に係る方法は、図1に示す検査プレート10を用いたイムノクロマト定量方法であって、図6に示す手順を有する。
第三実施形態の方法では、第一実施形態の方法と同様に、滴下部102に液状の検体が滴下されて展開された状態の検査プレート10を用いる。そして、図6のフローチャートに示す手順で、イムノクロマトグラフシート11に展開された検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める。
図6に示すように、第三実施形態の方法では、先ず、シートの幅方向全体を18の領域に分割し、領域毎に、流れ方向全体で輝度を測定して、流れ方向全体における輝度の変化を示すグラフを得る(ステップS31)。
次に、ステップS31で得られたグラフから、領域毎に、テストラインおよびコントロールラインの発色値測定範囲を所定範囲に設定する(ステップS32)。
次に、各グラフに所定の背景領域の輝度を示すラインを使用したカーブフィッティングを行い、ベースラインを最適化する(ステップS33)。
次に、領域毎に、ステップS32で設定した各発色値測定範囲HT、HCで、テストラインの輝度LTから、ステップS33で最適化されたテストラインのベースラインの輝度LhTを引いた差異値ΔLTを算出し、コントロールラインの輝度LCから、ステップS33で最適化されたコントロールラインのベースラインの輝度LhCを引いた差異値ΔLCを算出する(ステップS34)。
<ステップS31~34について>
図7(a)は、検査プレート10のイムノクロマトシート11の状態を示す平面図であり、これに対応するグラフ(各領域でのグラフを平均化したイメージ図)を図7(b)と図7(c)に示す。図7(b)と図7(c)の実線は、流れ方向における輝度の変化を示すグラフである。
図7(a)に示すように、テストライン12およびコントロールライン13は、流れ方向の中央部分120、130が強く発色し、上流側の部分121、131および下流側の部分122、132の発色は弱い傾向にある。
図7(b)に、カーブフィッティングをする際に使用する背景領域の輝度を示すラインLkT,LkCが示されている。図7(c)に、ステップS33でカーブフィッティングにより最適化されたテストライン、コントロールラインのベースラインの輝度LhT,LhCが示されている。
本実施形態の方法では、テストライン12の発色値測定範囲HT、コントロールライン13の発色値測定範囲HCを、背景領域14,15から距離kT(≧0.5HT)、kC(≧0.5HC)だけ離れた範囲としている。
ステップS31~34について、テストラインを示している図8および図9を用いて具体的に説明する。
先ず、図8(a)に示すように、ステップS31で得られたグラフにおいて、流れ方向におけるテストラインよりも上流側の部分における輝度(発光量)が最低値となる部分に連続して輝度が一定となるライン(例えば、最低値が現れかつ連続して10ピクセルの範囲でその値が一定となる範囲のライン)B11と、流れ方向におけるテストラインよりも下流側の部分における輝度が最低値となる部分に連続して輝度が一定となるラインB12を設定する。
次に、図8(b)に示すように、ラインB11、B12を直線で繋いで、第一の初期ベースラインB1とする。
なお、ラインB11、B12の長さ(範囲)は2ピクセルあればよいが、流れ方向で輝度が一定である限り、長い(ピクセル数が多い)ほど好ましく、例えば5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
次に、図8(c)に示すように、第一の初期ベースラインB1を基準とした、グラフにおけるテストライン12の発光強度を示すピークPTの半値幅(半値全幅)FWHMの1.5倍以上の範囲であって、半値幅の中心点Cから上記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、テストラインの発色値測定範囲HTに設定する。ここでは、テストライン12の発光強度を示すピークの半値幅(半値全幅)FWHMの1.6倍の幅を、テストラインの発色値測定範囲HTに設定している。
また、ステップS31で得られたグラフにおいて、流れ方向におけるコントロールラインよりも上流側の部分における輝度が最低値となる部分に連続して輝度が一定となるラインと、流れ方向におけるコントロールラインよりも下流側の部分における輝度が最低値となる部分に連続して輝度が一定となるラインを設定し、両ラインを直線で繋いで第二の初期ベースラインとする。
次に、第二の初期ベースラインを基準とした、グラフにおけるコントロールラインの発光強度を示すピーク(図7(b)のPC)の半値幅の1.5倍以上の範囲であって、半値幅の中心点から上記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、コントロールラインの発色値測定範囲HCとする。
ステップS33では、先ず、図9(a)に示すように、テストラインの発色値測定範囲HTの上流端および下流端から、発色値測定範囲HTの第一の初期ベースライン(図8のB1)に沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域14に設定する。
次に、図9(b)に示すように、グラフにおける背景領域14の輝度を示すラインLkTを使用したカーブフィッティングを行うことにより、グラフのテストラインの背景領域におけるベースラインの輝度を最適化する。図9(c)に、テストラインの背景領域における最適化されたベースラインの輝度(LhT)を示す。
また、コントロールラインの発色値測定範囲HCの上流端および下流端から、発色値測定範囲の第二の初期ベースラインに沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域15に設定し、上記グラフにおける背景領域15の輝度を示すラインLkCを使用したカーブフィッティングを行うことにより、上記グラフのコントロールラインの背景領域におけるベースラインの輝度を最適化する。
ステップS34では、最適化されたベースラインの輝度(LhT)を発色値測定範囲HTにおけるテストラインの輝度(LT)から引いた差異値(ΔLT)を、テストラインの発色値として算出する。また、最適化されたベースラインの輝度(LhC)を発色値測定範囲HCにおけるコントロールラインの輝度(LC)から引いた差異値(ΔLC)を、コントロールラインの発色値として算出する。
なお、テストラインの輝度LTとしては、発色値測定範囲HT内における画素毎の輝度の平均値を使用する。つまり、図9(c)における網掛け部の平均値(輝度の面積平均値)を、テストラインの輝度LTとする。コントロールラインの輝度LCについても、同様に、発色値測定範囲HC内における画素毎の輝度の平均値を使用する。
<ステップS35以降について>
ステップS34の次に、領域毎に、ΔLT/ΔLCを算出し、全ての領域におけるΔLT/ΔLCの平均値を算出する(ステップS35)。
次に、ΔLT/ΔLCの平均値が1より小さいかどうかを判断する(ステップS36)。
次に、ΔLT/ΔLCの平均値が1より小さい場合はステップS37に移行し、予め作成した、測定対象物質の濃度に対してΔLT/ΔLCの平均値が線形近似された第1グラフを検量線に設定する。また、ΔLT/ΔLCの平均値が1以上の場合はステップS38に移行し、予め作成した、測定対象物質の濃度に対してΔLT/ΔLCの平均値が対数近似された第2グラフを検量線に設定する。
図10は第1グラフの一例であり、図11は第2グラフの一例である。これらのグラフでは「ΔLT/ΔLCの平均値」を「T/C」と表示している。図10のグラフは、後述する図12(c)のグラフの「T/C≦1」の範囲を、X軸の対数目盛を通常の目盛に変えて示したものである。図11のグラフは、図12(b)のグラフの「T/C≧1」の範囲を示したものである。
次に、ステップS37またはステップS38で設定した検量線を用い、ステップS35で算出されたΔLT/ΔLCの平均値から測定対象物質の濃度を算出する(ステップS39)。
<作用、効果>
測定対象物質の標準品の濃度を、テストラインの発光量(LT)から測定対象物質の濃度を求める従来の方法で測定するとともに、第三実施形態の方法で測定した。
そして、各方法で測定した場合の算出濃度のELISAによる実測濃度との一致率(%){=(算出濃度/実測濃度)×100}を調べた。その結果を下記の表1に示す。
また、図12(a)は、上記従来の方法で測定したテストラインの発光量(LT)と、測定対象物質のELISAによる実測濃度との関係を示すグラフであり、図12(b)は、第三実施形態の方法のステップS35で測定したΔLT/ΔLCの平均値(T/C)と、測定対象物質のELISAによる実測濃度との関係を示すグラフである。
これらの結果から、希釈倍率が64倍以下の高濃度域および128倍以上の低濃度域のいずれにおいても、第三実施形態の方法は、テストラインの発光量(LT)から測定対象物質の濃度を求める従来の方法よりも、定量精度に優れ、ELISAによる実測濃度との一致率にも優れることが分かる。
第三実施形態の方法では、テストライン12およびコントロールライン13の発光強度を示すピークPT、PCの半値幅(半値全幅)FWHMの1.5倍以上3倍以下の範囲を、テストラインおよびコントロールラインの発色値測定範囲HT、HCに設定している。
発色値測定範囲HT、HCをFWHMの1.5倍の範囲とすると、ピーク形状が正規分布している場合は約92.3%の解析値を網羅することができ、FWHMの3倍の範囲とすると、ピーク形状が正規分布している場合は約99%の解析値を網羅することができるため、測定値のばらつきを統計学的に十分にカバーできると考えられる。
そのため、例えば、測定前からあらかじめ設定されたイムノクロマトグラフシート上の固定の位置をテストラインおよびコントロールラインの発色値測定範囲とする方法よりも、解析値の取りこぼしやノイズ要因の影響を受けるリスクが少なく、科学的で信頼性の高い解析が可能となる。よって、発色値測定範囲HT、HCは、FWHMの1.5倍以上3倍以下の範囲とすることが好ましい。
また、従来の方法として、流れ方向におけるテストラインの上流側および下流側のすぐ近くを背景領域として、両背景領域の輝度の平均値をテストライン輝度から引いた値から、測定対象物質の濃度を求める方法がある。
しかし、この方法では、リーダー内部の照明の変動や、検査キット上の背景の灰色の斑点や湿った斑点によるムラなど、背景読取り値に影響する要因によって、取得した背景の値は均一ではないことがあり、測定値の精度は不十分である。
これに対して、第三実施形態の方法では、テストライン12およびコントロールライン13の発色値測定範囲HT、HCの上流端および下流端から、発色値測定範囲HT、HCの0.5倍以上となる範囲を背景領域14,15に設定し、背景領域14,15の輝度を示すラインを使用したカーブフィッティングを行うことにより、背景領域14,15におけるベースラインの輝度を最適化している。
そのため、背景領域14,15と、テストライン12およびコントロールライン13との間に、十分な距離が得られている。よって、第三実施形態の方法によれば、誤検出などの偶発的な影響を排除できることから、より正確な測定が可能となる。
また、最適なベースライン輝度を決定するカーブフィッティングは、取得したデータに最も適した数学的な曲線を見つける技術である。よって、第三実施形態の方法によれば、背景領域14,15におけるベースラインの輝度を最適化することにより、ランダムな誤差が分析結果に与える影響が排除されて、取得データの一貫性を高めることができる。また、主なノイズ要因が低減され、測定の正確性と信頼性が向上する。
なお、本実施形態の方法では、発色値測定範囲HT、HCの上流端および下流端から、発色値測定範囲HT、HCの0.5倍以上となる範囲を背景領域14,15に設定している、つまり、kT/HT≧0.5、kC/HC≧0.5としている。また、発色値測定範囲HT、HCの上流端および下流端から、発色値測定範囲HT、HCの1.0倍以下となる範囲を背景領域14,15に設定することが好ましい。つまり、1.0≧kT/HT≧0.5、1.0≧kC/HC≧0.5であることが好ましい。
第一実施形態から第三実施形態の方法において、検体中に測定対象物質が含まれずテストラインのピークが検出されない場合は、その検体中の測定対象物質の濃度を検出限界以下もしくは0とすることができる。
[イムノクロマトリーダー]
第一乃至第三実施の方法が実施可能なイムノクロマトリーダーの実施形態としては、図13および図14に示すものが挙げられる。図13は、実施形態のイムノクロマトリーダーに検査プレートが設置された状態の断面図であって、イムノクロマトグラフシートの流れ方向Rに平行なX方向に沿った断面図である。図14は、実施形態のイムノクロマトリーダーの側面図であって、シート幅方向Wに平行なY方向に沿った側面図である。
図13に示すように、イムノクロマトリーダー2は、ハウジング20の底部に形成された凹部からなる、検査プレートの配置部21と、配置部21の上方に設置された発光素子(光照射部)22および撮像素子(発光量取得部)23と、情報処理基盤(演算部、濃度取得部)24と、入出力パネル(検量線設定部、出力部)25を備えている。
図14に示すように、ハウジング20は、X方向およびY方向に垂直なZ方向の寸法が異なる第一の部分201と第二の部分202を有する。第一の部分201は第二の部分202よりもZ方向の寸法が大きい。
ハウジング20の第一の部分201内の上部に、発光素子22、撮像素子23、および情報処理基盤24が配置され、第一の部分201の下部の側面にプレート挿入口27が形成されている。プレート挿入口27は、ハウジング20の第一の部分201内の配置部21に連続する位置に形成されている。ハウジング20の第二の部分202の上部に、入出力パネル25が設置されている。
入出力パネル25は、入力部と出力部(表示部)とからなり、入力部は検量線設定部を含み、出力部は、情報処理基盤(演算部、濃度取得部)24で得られた測定対象物質の濃度を出力する。
発光素子(光照射部)22は、配置部21に配置された検査プレート10のイムノクロマトグラフシート11の全面に対して可視光を照射する。
撮像素子(発光量取得部)23および情報処理基盤(演算部、濃度取得部)24は、第一乃至第三の各方法に応じたプログラムが実施されるように構成されている。
第一実施形態の方法を実施する装置では、撮像素子(発光量取得部)23において、イムノクロマトグラフシートのシート幅方向の全体を撮影し、検査プレートのテストラインからの反射光の輝度(LT)およびコントロールラインからの反射光の輝度(LC)を取得する(ステップS11を行う)。
また、情報処理基盤(演算部、濃度取得部)24は、撮像素子(発光量取得部)23で取得されたテストラインの輝度(LT)およびコントロールラインの輝度(LC)から、テストラインの輝度(LT)のコントロールラインの輝度(LC)に対する比(LT/LC)を算出する(ステップS12を行う)。さらに、入出力パネル25の入力部(検量線設定部)で設定された検量線を用いて、算出された比(LT/LC)から、検体に含まれる測定対象物質の濃度を得る(ステップS13を行う)。
第二実施形態の方法を実施する装置では、撮像素子(発光量取得部)23において、イムノクロマトグラフシートのシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、領域毎に、検査プレートのテストラインからの反射光の輝度(LT)およびコントロールラインからの反射光の輝度(LC)を取得する(ステップS21)。
また、情報処理基盤(演算部、濃度取得部)24において、領域毎に、撮像素子(発光量取得部)23で取得されたテストラインの輝度(LT)およびコントロールラインの輝度(LC)から、テストラインの輝度(LT)のコントロールラインの輝度(LC)に対する比(LT/LC)を算出し、全ての領域における比(LT/LC)の平均値を算出する。さらに、入出力パネル25の入力部(検量線設定部)で設定された検量線を用いて、算出された比(LT/LC)の平均値から、検体に含まれる測定対象物質の濃度を得る(ステップS24)。
第三実施形態の方法を実施する装置では、撮像素子(発光量取得部)23において、イムノクロマトグラフシートのシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、領域毎に、流れ方向における輝度の変化を示すグラフを得る(ステップS31)。
また、情報処理基盤(演算部、濃度取得部)24において、ステップS32~ステップS39の処理を行い、検体に含まれる測定対象物質の濃度を得る。
[その他]
上記実施形態では発光量として輝度を使用している。つまり、撮像素子で得られた画像からR、G、Bの三原色を数値に変換し、輝度(0.30*R+0.59*G+0.11*B)を算出している。しかし、発光量としては、輝度以外に、R/G/Bをそのまま数値データ化したRGB値、グレースケール値などを使用することも可能である。
10 検査プレート
11 イムノクロマトグラフシート
12 テストライン
120 テストラインの中央部分
121 テストラインの上流側部分
122 テストラインの下流側部分
13 コントロールライン
130 コントロールラインの中央部分
131 コントロールラインの上流側部分
132 コントロールラインの下流側部分
14 背景領域
15 背景領域
100 検査プレートのハウジング
101 ハウジングの窓部
102 滴下部
2 イムノクロマトリーダー
20 イムノクロマトリーダーのハウジング
201 ハウジングの第一の部分
202 ハウジングの第二の部分
21 検査プレートの配置部
22 発光素子(光照射部)
23 撮像素子(発光量取得部)
24 情報処理基盤(演算部、濃度取得部)
25 入出力パネル(検量線設定部、出力部)
27 プレート挿入口

Claims (6)

  1. イムノクロマトグラフシートの流れ方向上流側の一端部に検体が滴下されて、前記検体が展開された状態の検査プレートを使用し、前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求めるイムノクロマト定量方法であって、
    前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、前記領域毎に、前記検査プレートのテストラインの発光量(LT)およびコントロールラインの発光量(LC)を測定し、
    前記領域毎に、測定された前記発光量を用いて、テストラインの発光量(LT)のコントロールラインの発光量(LC)に対する比(LT/LC)を算出し、全ての前記領域における前記比(LT/LC)の平均値を算出し、
    前記測定対象物質の濃度が既知である検体から作成した、前記比(LT/LC)の平均値と前記測定対象物質の濃度との関係を示す検量線を用いて、前記算出された比(LT/LC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求めるイムノクロマト定量方法。
  2. イムノクロマトグラフシートの流れ方向上流側の一端部に検体が滴下されて、前記検体が展開された状態の検査プレートを使用し、前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求めるイムノクロマト定量方法であって、
    前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、
    前記領域毎に、
    前記イムノクロマトグラフシートの発光量を測定して、前記流れ方向における前記発光量の変化を示すグラフを作成し、
    前記グラフにおいて、前記流れ方向におけるテストラインよりも上流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、前記流れ方向におけるテストラインよりも下流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、を直線で繋いで第一の初期ベースラインとし、
    前記第一の初期ベースラインを基準とした、前記グラフにおける前記テストラインの発光強度を示すピークの半値幅の1.5倍以上の範囲であって、前記半値幅の中心点から前記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、前記テストラインの発色値測定範囲に設定するとともに、
    前記テストラインの発色値測定範囲の上流端および下流端から、前記発色値測定範囲の前記第一の初期ベースラインに沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域に設定し、前記グラフにおける前記背景領域の発光量を示すラインを使用したカーブフィッティングを行うことにより、前記グラフの前記テストラインの背景領域におけるベースラインの発光量を最適化し、
    最適化された前記ベースラインの発光量(LhT)を前記発色値測定範囲におけるテストラインの発光量(LT)から引いた差異値(ΔLT)を、前記テストラインの発色値として算出するとともに、
    前記グラフにおいて、前記流れ方向におけるコントロールラインよりも上流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、前記流れ方向におけるコントロールラインよりも下流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、を直線で繋いで第二の初期ベースラインとし、
    前記第二の初期ベースラインを基準とした、前記グラフにおける前記コントロールラインの発光強度を示すピークの半値幅の1.5倍以上の範囲であって、前記半値幅の中心点から前記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、前記コントロールラインの発色値測定範囲に設定するとともに、
    前記コントロールラインの発色値測定範囲の上流端および下流端から、前記発色値測定範囲の前記第二の初期ベースラインに沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域に設定し、前記グラフにおける前記背景領域の発光量を示すラインを使用したカーブフィッティングを行うことにより、前記グラフの前記コントロールラインの背景領域におけるベースラインの発光量を最適化し、
    最適化された前記ベースラインの発光量(LhC)を前記コントロールラインの発光量(LC)から引いた差異値(ΔLC)を、前記コントロールラインの発色値として算出し、
    前記領域毎に、前記コントロールラインの差異値(ΔLC)に対する前記テストラインの差異値(ΔLT)の比(ΔLT/ΔLC)を算出し、
    全ての前記領域における前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値を算出し、
    前記測定対象物質の濃度が既知である検体から作成した、前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値と前記測定対象物質の濃度との関係を示す検量線を用いて、前記算出された比(ΔLT/ΔLC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求めるイムノクロマト定量方法。
  3. 前記算出された比(LT/LC)の平均値が1より小さい場合は、前記測定対象物質の濃度に対して前記比(LT/LC)の平均値が線形近似されたグラフを前記検量線として用いて、前記算出された比(LT/LC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求め、
    前記比(LT/LC)の平均値が1より大きい場合は、前記測定対象物質の濃度に対して前記比(LT/LC)の平均値が対数近似されたグラフを前記検量線として用いて、前記算出された比(LT/LC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求め、
    前記比(LT/LC)の平均値が1の場合は、二つの前記グラフのいずれかを前記検量線として用いて、前記算出された比(LT/LC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める請求項記載のイムノクロマト定量方法。
  4. 前記算出された前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値が1より小さい場合は、前記測定対象物質の濃度に対して前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値が線形近似されたグラフを前記検量線として用いて、前記算出された比(ΔLT/ΔLC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求め、
    前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値が1より大きい場合は、前記測定対象物質の濃度に対して前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値が対数近似されたグラフを前記検量線として用いて、前記算出された比(ΔLT/ΔLC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求め、
    前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値が1の場合は、二つの前記グラフのいずれかを前記検量線として用いて、前記算出された比(ΔLT/ΔLC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める請求項記載のイムノクロマト定量方法。
  5. イムノクロマトグラフシートの流れ方向上流側の一端部に検体が滴下されて、前記検体が展開された状態の検査プレートを使用し、前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を測定するイムノクロマトリーダーであって、
    前記検査プレートの配置部と、
    前記配置部に配置された前記検査プレートの前記イムノクロマトグラフシートの上面に対する光照射部と、
    前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、前記領域毎に、前記検査プレートのテストラインからの反射光の発光量(LT)およびコントロールラインからの反射光の発光量(LC)を取得する発光量取得部と、
    前記発光量取得部で取得された、前記テストラインの前記発光量(LT)および前記コントロールラインの前記発光量(LC)から、両者の比(LT/LC)を算出し、全ての前記領域における前記比(LT/LC)の平均値を算出する演算部と、
    前記測定対象物質の濃度が既知である検体を用いて予め作成された、前記比(LT/LC)の平均値と前記測定対象物質の濃度との関係を示す標準曲線を、検量線として設定する検量線設定部と、
    前記検量線設定部で設定された検量線を用いて、前記演算部で算出された比(LT/LC)の平均値から、前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を得る濃度取得部と、
    前記濃度取得部で得られた前記濃度を出力する出力部と、
    を有するイムノクロマトリーダー。
  6. イムノクロマトグラフシートの流れ方向上流側の一端部に検体が滴下されて、前記検体が展開された状態の検査プレートを使用し、前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を測定するイムノクロマトリーダーであって、
    前記検査プレートの配置部と、
    前記配置部に配置された前記検査プレートの前記イムノクロマトグラフシートの上面に対する光照射部と、
    前記流れ方向に垂直な方向であるシート幅方向の全体を、複数の領域に分割し、前記領域毎に、前記イムノクロマトグラフシートの発光量を測定して、前記流れ方向における前記発光量の変化を示すグラフを作成する発光量取得部と、
    前記発光量取得部で作成された前記グラフにおいて、前記流れ方向におけるテストラインよりも上流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、前記流れ方向におけるテストラインよりも下流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、を直線で繋いで第一の初期ベースラインとし、
    前記第一の初期ベースラインを基準とした、前記グラフにおける前記テストラインの発光強度を示すピークの半値幅の1.5倍以上の範囲であって、前記半値幅の中心点から前記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、前記テストラインの発色値測定範囲に設定するとともに、
    前記テストラインの発色値測定範囲の上流端および下流端から、前記発色値測定範囲の前記第一の初期ベースラインに沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域に設定し、前記グラフにおける前記背景領域の発光量を示すラインを使用したカーブフィッティングを行うことにより、前記グラフの前記テストラインの背景領域におけるベースラインの発光量を最適化し、
    最適化された前記ベースラインの発光量(LhT)を前記発色値測定範囲におけるテストラインの発光量(LT)から引いた差異値(ΔLT)を、前記テストラインの発色値として算出するとともに、
    前記グラフにおいて、前記流れ方向におけるコントロールラインよりも上流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、前記流れ方向におけるコントロールラインよりも下流側の部分における発光量が最低値となる部分に連続して発光量が一定となるラインと、を直線で繋いで第二の初期ベースラインとし、
    前記第二の初期ベースラインを基準とした、前記グラフにおける前記コントロールラインの発光強度を示すピークの半値幅の1.5倍以上の範囲であって、前記半値幅の中心点から前記範囲の両端までの距離が同一である範囲を、前記コントロールラインの発色値測定範囲に設定するとともに、
    前記コントロールラインの発色値測定範囲の上流端および下流端から、前記発色値測定範囲の前記第二の初期ベースラインに沿う寸法の0.5倍以上離れた領域を背景領域に設定し、前記グラフにおける前記背景領域の発光量を示すラインを使用したカーブフィッティングを行うことにより、前記グラフの前記コントロールラインの背景領域におけるベースラインの発光量を最適化し、
    最適化された前記ベースラインの発光量(LhC)を前記コントロールラインの発光量(LC)から引いた差異値(ΔLC)を、前記コントロールラインの発色値として算出し、
    前記領域毎に、前記コントロールラインの差異値(ΔLC)に対する前記テストラインの差異値(ΔLT)の比(ΔLT/ΔLC)を算出し、
    全ての前記領域における前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値を算出する演算部と、
    前記測定対象物質の濃度が既知である検体から作成した、前記比(ΔLT/ΔLC)の平均値と前記測定対象物質の濃度との関係を示す標準曲線を、検量線として設定する検量線設定部と、
    前記検量線設定部で設定された検量線を用いて、前記演算部で算出された比(ΔLT/ΔLC)の平均値から前記検体に含まれる測定対象物質の濃度を求める濃度取得部と、
    前記濃度取得部で得られた前記濃度を出力する出力部と、
    を有するイムノクロマトリーダー。
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