JP7831434B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

車両の制御装置

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Description

この発明は、車両の制御装置に関する。
特許文献1に開示されている内燃機関は、燃料噴射弁と、フィルタとを備えている。燃料噴射弁は、気筒内に供給するための燃料を噴射する。フィルタは、排気通路の途中に位置している。フィルタは、排気中の粒子状物質を捕集する。この内燃機関の制御装置は、所定の実行条件が成立すると、燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを行う。制御装置が燃料カットを行うと、フィルタに酸素が供給される。これに伴い、フィルタに堆積している粒子状物質が燃焼する。
ところで、燃料カットを行うと、フィルタに堆積している粒子状物質の燃焼に伴い、フィルタの温度が上昇する。このときにフィルタが過昇温すると、フィルタが損傷するおそれがある。そこで、制御装置は、フィルタの過昇温を避けることができるように、必要に応じて燃料カットを中断する。
特開2019-190358号公報
燃料カットを中断する特許文献1のような技術では、燃料カットを中断すると、燃料噴射が再開されることに伴い、内燃機関がトルクを出力する。そのため、車両の減速途中で車両の減速度が変化する。仮にこのような減速度の変化が何度も繰り返されると乗員は違和感を覚える。その一方で、燃料カットの中断を行わないと、フィルタの過昇温を避けられない。
上記課題を解決するための車両の制御装置は、気筒内に供給するための燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記気筒から排出される排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、を有する内燃機関を備えた車両に適用され、前記車両の減速中に前記燃料噴射弁による燃料噴射を停止する燃料カットを行うことと、前記燃料カットを開始してからの継続時間が予め定められた許容時間よりも長くなった場合に前記燃料カットを中断することと、予め定められた所定時間内において、前記燃料カットを中断する回数が予め定められた所定回数に至った場合、前記フィルタの温度が予め定められた判定温度以下になるまで前記燃料カットの開始を禁止することと、を実行する。
上記の技術思想では、フィルタの過昇温を防止し、且つ車両において減速度の変化が繰り返されることを防止できる。
図1は、内燃機関の概略構成図である。 図2は、時間マップの例を表した図である。 図3は、フラグ設定処理の処理手順を表したフローチャートである。 図4は、実行用処理の処理手順を表したフローチャートである。 図5は、燃料カットの中断に係る、各パラメータの時間変化の例を表したタイムチャートである。
<内燃機関>
以下、車両の制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に示すように、車両500は、内燃機関10を備えている。内燃機関10は、車両500の駆動源である。
内燃機関10は、複数の気筒12と、クランクシャフト11と、を備えている。気筒12は、機関本体10Aに区画された、燃料と吸入空気との混合気を燃焼させるための空間である。気筒12内での混合気の燃焼に応じて、クランクシャフト11が回転する。クランクシャフト11は、自動変速機501などを介して車輪502に連結している。
内燃機関10は、複数の点火プラグ19を有する。点火プラグ19は、気筒12毎に設けられている。点火プラグ19は、気筒12内の混合気に点火を行う。
内燃機関10は、吸気通路20と、スロットルバルブ21と、複数の燃料噴射弁22と、を備えている。吸気通路20は、各気筒12に吸入空気を導入するための通路である。吸気通路20は、各気筒12に接続している。スロットルバルブ21は、吸気通路20の途中に位置している。スロットルバルブ21は、吸入空気量GAを調節する。燃料噴射弁22は、気筒12毎に設けられている。燃料噴射弁22は、吸気通路20における、スロットルバルブ21に対して下流側に位置している。燃料噴射弁22は、燃料を噴射する。燃料噴射弁22が噴射した燃料は、吸気通路20を介して気筒12内に至る。すなわち、燃料噴射弁22は、気筒12内に供給するための燃料を噴射する。
内燃機関10は、排気通路30と、三元触媒32と、ガソリンパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタと記す。)34と、を備えている。排気通路30は、各気筒12から排気を排出するための通路である。排気通路30は、各気筒12に接続している。三元触媒32は、排気通路30の途中に位置している。三元触媒32は、排気中の炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物を浄化する。フィルタ34は、排気通路30における、三元触媒32に対して下流側に位置している。フィルタ34は、排気中の粒子状物質(以下、PMと記す。)を捕集する。
内燃機関10は、エアフロメータ61と、空燃比センサ62と、排気温度センサ63と、クランクポジションセンサ64と、を備えている。エアフロメータ61は、吸入空気量GAと、吸入空気の温度TIと、を検出する。空燃比センサ62は、フィルタ34に流入する排気の空燃比である排気空燃比AFを検出する。排気温度センサ63は、フィルタ34に流入する排気の温度TOを検出する。クランクポジションセンサ64は、クランクシャフト11の回転位置CRを検出する。これらの各センサは、それぞれが検出した情報に応じた信号を後述の制御装置100に繰り返し出力する。
<車両の他の構成>
車両500は、アクセルセンサ91と、車速センサ92と、イグニッションスイッチ93と、を備えている。アクセルセンサ91は、車両500におけるアクセルペダルの踏み込み量をアクセル操作量ACCとして検出する。車速センサ92は、車両500の走行速度を車速SPとして検出する。これらの各センサは、それぞれが検出した情報に応じた信号を後述の制御装置100に繰り返し出力する。イグニッションスイッチ93は、車両500の起動用のスイッチである。イグニッションスイッチ93は、乗員の操作に応じた信号Yを後述の制御装置100に出力する。
<制御装置>
車両500は、制御装置100を備えている。制御装置100は、CPU101と、メモリ102と、を備えている。メモリ102は、CPU101が実行するべき処理が記述された各種のプログラムを予め記憶している。CPU101は、メモリ102が記憶しているプログラムを実行することにより内燃機関10を制御する。なお、メモリ102には、RAM、ROM、及び電気的に書き換え可能な不揮発性タイプの3種が存在している。
CPU101は、イグニッションスイッチ93からの信号Yを受信する。CPU101は、イグニッションスイッチ93がオン操作されることに応じた信号Yを受信すると、内燃機関10を始動させる。以下では、イグニッションスイッチ93がオン操作されてから次にオフ操作されるまでの期間のことを、「1トリップ」と呼称する。CPU101は、1トリップの間、車両500に取り付けられている各種センサからの検出信号を繰り返し受信する。
CPU101は、1トリップ中、各種センサから受信した検出信号に基づいて、各種パラメータを繰り返し算出する。例えば、CPU101は、クランクシャフト11の回転位置CRに基づいて、クランクシャフト11の回転速度である機関回転速度を算出する。また、CPU101は、以下のようにしてPM堆積量DAを算出する。PM堆積量DAは、フィルタ34に堆積しているPMの量である。なお、以下のとおり、CPU101は、PM堆積量DAの算出過程でフィルタ34の温度であるフィルタ温度TFも算出する。
CPU101は、PM堆積量DAを算出するにあたっては、PM生成量とPM再生量とを算出する。そして、CPU101は、PM堆積量DAを更新することで、PM堆積量DAを算出している。具体的には、CPU101は、PM生成量からPM再生量を引くことによって得られた差を、更新前のPM堆積量DAに対して加算することによって、PM堆積量DAを更新する。PM生成量は、気筒12内の混合気の燃焼により生成されるPMの量である。CPU101は、吸入空気量GA、燃料噴射量などからPM生成量を算出する。PM再生量は、フィルタ34内で燃焼するPMの量である。フィルタ34に流入する排気の温度TOが高いほど、フィルタ温度TFも高くなる。よって、排気温度センサ63によって検出される排気の温度TOからフィルタ温度TFを求めることができる。CPU101は、フィルタ34に流入する排気の温度TO及び流量、外気の温度に基づくフィルタ34の熱収支モデルを用いてフィルタ温度TFを算出する。なお、フィルタ34に流入する排気の流量は、吸入空気量GAと燃料噴射量とから求めることができる。また、外気の温度は、エアフロメータ61によって検出される吸気空気の温度TIを用いることができる。フィルタ温度TFがPMの発火点以上となっている状態で、酸素を含んだ排気がフィルタ34に流入すると、フィルタ34に堆積したPMが燃焼するようになる。PMの燃焼には酸素が必要であるから、このときにフィルタ34内で燃焼するPMの量は、フィルタ34に流入する排気中の酸素の量に応じて決まる。フィルタ34に流入する排気の酸素濃度は、空燃比センサ62の検出結果から求めることができる。そこで、CPU101は、排気温度センサ63によって検出される排気の温度TO、空燃比センサ62によって検出される酸素濃度すなわち排気空燃比AF、吸入空気量GA、及び燃料噴射量に基づいてPM再生量を算出している。
<通常処理>
CPU101は、1トリップ中、基本的には通常処理によって内燃機関10を制御する。CPU101は、通常処理では、アクセル操作量ACC及び車速SPなどに基づいて、内燃機関10の目標トルクを算出する。そして、CPU101は、目標トルクが得られるように、スロットルバルブ21の開度を調整したり、燃料噴射弁22から燃料を噴射させたり、点火プラグ19による点火を行ったりする。そのことで、CPU101は、気筒12内で混合気を燃焼させる。通常処理において、CPU101は、目標トルクの算出と、目標トルクに基づく各種部位の制御とを繰り返す。そのことで、CPU101、各気筒12で混合気の燃焼を繰り返す。
CPU101は、車両500の減速中は、上記の通常処理をキャンセルし、各燃料噴射弁22による燃料噴射を停止する燃料カットを行うことがある。以下では、燃料カットとの関連でCPU101が行う処理について説明する。
<フラグ設定処理>
CPU101は、フラグ設定処理を実行可能である。フラグ設定処理は、禁止フラグのオンオフをセットするための処理である。禁止フラグは、燃料カットの開始の禁止を示すフラグである。禁止フラグがオフであることは、燃料カットの開始を許可することを意味する。禁止フラグがオンであることは、燃料カットの開始を禁止することを意味する。
CPU101は、1トリップ中、フラグ設定処理を繰り返し実行する。なお、CPU101は、フラグ設定処理の実行途中でイグニッションスイッチ93がオフ操作された場合、その時点でフラグ設定処理を終了する。
図3に示すように、CPU101は、フラグ設定処理を開始すると、先ずステップS310の処理を行う。ステップS310において、CPU101は、禁止フラグをオフにセットする。この後、CPU101は、処理をステップS320に進める。
ステップS320において、CPU101は、燃料カットの中断回数Nをゼロにリセットする。この中断回数Nは、後述の実行用処理で随時更新される。この後、CPU101は、処理をステップS330に進める。
ステップS330において、CPU101は、中断回数Nが「1」に一致するか否かを判定する。CPU101は、中断回数Nが「1」ではない場合、再度ステップS330の処理を実行する。CPU101は、中断回数Nが「1」になるまでステップS330の処理を繰り返す。そして、CPU101は、中断回数Nが「1」になると、時間計測を開始するとともに、処理をステップS340に進める。
ステップS340において、CPU101は、中断回数Nが「1」になってからの経過時間が所定時間Pよりも長くなったか否かを判定する。メモリ102は、所定時間Pを予め記憶している。本実施形態の所定時間Pは、10秒である。所定時間Pがどういった観点で定められているかについては、後述の所定回数NKと共に後で説明する。ステップS340において、CPU101は、中断回数Nが「1」になってからの経過時間が所定時間P以下の場合(ステップS340:NO)、処理をステップS350に進める。
中断回数Nより1つ少ない数を暫定中断回数と呼称する。ステップS350において、CPU101は、暫定中断回数が所定回数NKに一致するか否かを判定する。メモリ102は、所定回数NKを予め記憶している。本実施形態の所定回数NKは、2回である。CPU101は、暫定中断回数が所定回数NKに一致していない場合(ステップS350:NO)、ステップS340の処理に戻る。そして、CPU101は、再度ステップS340の処理を実行する。この後、ステップS340の判定がNOであり、且つステップS350の判定がNOの状況が続く場合、CPU101は、ステップS340とステップS350の処理を繰り返す。そうした繰り返しの中で、CPU101は、暫定中断回数が所定回数NKに至る前に(ステップS350:NO)、中断回数Nが「1」になってからの経過時間が所定時間Pよりも長くなった場合(ステップS340:YES)、フラグ設定処理の一連の処理を終了する。そして、CPU101は、再度ステップS310の処理を実行する。なお、CPU101は、フラグ設定処理を終了する場合、ステップS330で開始した時間計測も終了する。
一方、CPU101は、中断回数Nが「1」になってからの経過時間が所定時間P以内である状況下で(ステップS340:NO)暫定中断回数が所定回数NKに一致した場合(ステップS350:YES)、処理をステップS360に進める。この場合、CPU101は、この時点で、ステップS330で開始した時間計測を終了する。
ステップS360において、CPU101は、禁止フラグをオンに切り替える。そして、CPU101は、処理をステップS370に進める。
ステップS370において、CPU101は、フィルタ温度TFが判定温度TK以下であるか否かを判定する。メモリ102は、判定温度TKを予め記憶している。本実施形態の判定温度TKは、500度である。判定温度TKは、フィルタ34でのPM燃焼が可能でありながらもフィルタ34が損傷する温度よりは相当に低い温度として、例えば実験又はシミュレーションで予め定められている。CPU101は、最新のフィルタ温度TFが判定温度TKよりも高い場合(ステップS370:NO)、再度ステップS370の処理を実行する。CPU101は、フィルタ温度TFが判定温度TK以下になるまでステップS370の処理を繰り返す。そして、CPU101は、フィルタ温度TFが判定温度TK以下になると(ステップS370:YES)、フィルタ設定処理の一連の処理を終了する。そして、CPU101は、再度ステップS310の処理を実行する。
以上のフラグ設定処理において、CPU101は次のような処理をしていることになる。すなわち、CPU101は、中断回数Nが「1」になってからの経過時間が所定時間P内である状況下で暫定中断回数が所定回数NKに至った場合、フィルタ温度TFが判定温度TK以下になるまで禁止フラグをオンにする。暫定中断回数は、燃料カットを1回中断した後の、燃料カットの中断の回数である。
<実行用処理>
CPU101は、実行用処理を実行可能である。実行用処理は、燃料カットを実行するための処理である。CPU101は、1トリップ中、燃料カットの実行条件が不成立状態から成立状態に切り替わると、実行用処理を開始する。燃料カットの実行条件は、次の3つの要件を全て満たしていることである。第1要件は、車両500が減速中であることである。第2要件は、機関回転速度が復帰回転速度以上であることである。第3要件は、禁止フラグがオフであることである。CPU101は、車速SP、機関回転速度、及び禁止フラグといった、各要件を判断する上で必要なパラメータの最新の情報に基づいて、燃料カットの実行条件の成立可否を随時判断する。そして、CPU101は、燃料カットの実行条件が成立状態に切り替わる度に、実行用処理を開始する。なお、CPU101は、第1要件の成立可否については、アクセル操作量ACCに基づいて判断してもよい。この場合、CPU101は、アクセル操作量ACCがゼロよりも大きい状態からアクセル操作量ACCがゼロに切り替わったことをもって車両500が減速を開始した、すなわち車両500は減速中であると判断できる。第2要件における復帰回転速度は、燃料カットの後に燃料噴射及び混合気の燃焼を再開したときに、内燃機関10のストールを回避できる値として予め定められている。
図4に示すように、CPU101は、実行用処理を開始すると、先ずステップS110の処理を実行する。ステップS110において、CPU101は、許容時間Hを算出する。許容時間Hは、現時点のフィルタ34の状態から許容される、1度の燃料カットを継続できる時間の長さである。CPU101が許容時間Hを算出する前提として、メモリ102は時間マップを予め記憶している。時間マップは、フィルタ温度TFと、PM堆積量DAと、許容時間Hとの関係性を表したものである。具体的には、時間マップは、フィルタ温度TFとPM堆積量DAの様々な組み合わせに関して、それぞれの組み合わせに当てはまる許容時間Hを表したグラフ又は表である。図2に示す例では、フィルタ温度TFをX軸、PM堆積量DAをY軸にとったグラフとして時間マップを表している。なお、図2では、フィルタ温度TFと、PM堆積量DAと、許容時間Hとの関係をわかりやすくするために、便宜上、3つの許容時間Hのみを代表で示している。図2における3つの許容時間Hは、「第1時間H1<第2時間H2<第3時間H3」という関係にある。図2に示す例において、第1時間H1、第2時間H2、及び第3時間H3のそれぞれに対応する等値線は直線で表されているが、これも便宜上のものである。図2に示すように、フィルタ温度TFと、PM堆積量DAと、許容時間Hは次のような関係を有している。同一のフィルタ温度TFであれば、PM堆積量DAが多いほど許容時間Hは短くなっている。また、同一のPM堆積量DAであれば、フィルタ温度TFが高いほど許容時間Hは短くなっている。CPU101は、こうした時間マップに基づいて許容時間Hを算出する。具体的には、CPU101は、この時間マップと共に、最新のPM堆積量DAと、最新のフィルタ温度TFと、を参照する。そして、CPU101は、時間マップに基づいて、最新のPM堆積量DAと最新のフィルタ温度TFとに対応する許容時間Hを、今回の燃料カットの許容時間Hとして算出する。時間マップの内容を反映し、CPU101は、同一のフィルタ温度TFであれば、PM堆積量DAが多いほど許容時間Hを短く設定する。また、CPU101は、同一のPM堆積量DAであれば、フィルタ温度TFが高いほど許容時間Hを短く設定する。図4に示すように、CPU101は、許容時間Hを設定すると、処理をステップS120に進める。
ステップS120において、CPU101は、通常処理をキャンセルするとともに燃料カットを開始する。すなわち、CPU101は、各燃料噴射弁22による燃料噴射を停止する。また、CPU101は、時間計測を開始する。この後、CPU101は、処理をステップS130に進める。
ステップS130において、CPU101は、燃料カットを開始してからの継続時間が、ステップS110で予め定めた許容時間Hよりも長くなったか否かを判定する。燃料カットを開始してからの継続時間は、燃料カットを開始してからの経過時間ともいう。CPU101は、上記継続時間が許容時間H以下の場合(ステップS130:NO)、処理をステップS210に進める。
ステップS210において、CPU101は、現時点において燃料カットの実行条件が成立しているか否かを判定する。CPU101は、燃料カットの実行条件が成立している場合(ステップS210:YES)、ステップS130の処理に戻る。そして、CPU101は、再度ステップS130の処理を実行する。この後、ステップS130の判定がNOであり、且つステップS210の判定がYESである状況が続く場合、CPU101は、ステップS130とステップS210の処理を繰り返す。そうした繰り返しの中で、CPU101は、燃料カットを開始してからの継続時間が許容時間Hよりも長くなる前に燃料カットの実行条件が不成立になった場合(ステップS210:NO)、ステップS220に処理を進める。この場合、CPU101は、ステップS220で燃料カットを終了するとともに通常処理を再開する。そして、CPU101は、実行用処理の一連の処理を終了する。CPU101は、実行用処理を終了すると、ステップS120で開始した時間計測も終了する。なお、ステップS210の処理に関して、CPU101は、燃料カットの実行条件が不成立になったことを把握するにあたり、当該実行条件における第1要件については、アクセル操作量ACCに基づいて判断してもよい。すなわち、CPU101はアクセル操作量ACCがゼロよりも大きくなったことをもって減速が終了した、すなわち車両500は減速中ではない、と判断できる。
さて、CPU101は、燃料カットの実行条件が成立した状態のまま当該燃料カットを開始してからの継続時間が許容時間Hよりも長くなった場合(ステップS130:YES)、処理をステップS140に進める。この場合、ステップS140において、CPU101は、燃料カットを中断する。そして、CPU101は、通常処理を再開する。すなわち、CPU101は、燃料噴射及び混合気の燃焼を再開する。CPU101は、車両500が減速を終了するまでは内燃機関10にアイドル運転させることになる。CPU101は、燃料カットを中断すると、処理をステップS150に進める。
ステップS150において、CPU101は、中断回数Nを更新する。すなわち、CPU101は、現時点の中断回数Nに「1」を加算した値を、新たな中断回数Nとして算出する。この後、CPU101は、ステップS150の処理を終了する。そして、CPU101は、実行用処理の一連の処理を終了する。上記と同様、CPU101は、実行用処理を終了すると、ステップS120で開始した時間計測も終了する。
<所定時間と所定回数について>
上記時間マップに定められている、各フィルタ温度TF及び各PM堆積量DAの組み合わせに対応する様々な許容時間Hのうち、最も長い許容時間Hを最長許容時間と呼称する。所定時間Pは、最長許容時間よりも長い時間に設定されている。
また、所定時間Pは、以下の点も考慮して設定されている。CPU101が燃料カットを中断すると、車両500の減速途中で各燃料噴射弁22による燃料噴射ひいては混合気の燃焼が再開される。混合気の燃焼が再開されると、車両500の減速度が変化する。こうした減速度の変化は、乗員のアクセル操作とは関係なく、フィルタ34の保護のためにCPU101が行う処理の結果として生じるものである。したがって、仮に、比較的短い時間の中でCPU101が燃料カットの中断を繰り返すと、乗員のアクセル操作とは関係なく、当該時間の中で減速度の変化が繰り返されることから乗員が違和感を覚えるおそれがある。所定時間Pと所定回数NKは、乗員が違和感を覚える前に燃料カットの開始を禁止できるように、互いに関連付けて実験又はシミュレーションで予め定められている。
ここで、例えば10分といった相応に長い時間スケールの中で燃料カットの中断が何度か行われても、燃料カットの中断の頻度が低いことから、乗員が違和感を覚える可能性は相当に低い。また、例えば1ミリ秒といった相当に短い時間スケールの中で燃料カットの中断を行っても、乗員が燃料カットの中断ひいては減速度の変化そのものを略把握できないことから、乗員が違和感を覚える可能性は相当に低い。所定時間Pは、仮に燃料カットの中断を複数回繰り返したときに、乗員が自身のアクセル操作とは関係なく減速度の変化が生じていることを把握し得る時間スケールに設定されている。所定回数NKは、こうした時間スケールで定められた所定時間Pの中で、乗員が減速度の変化に伴う違和感を覚える前に燃料カットの開始を禁止できる値として定められている。
<実施形態の作用>
以下の説明では、車両500の減速中、燃料カットの実行条件における第2要件は常に満たされているものとする。
図5の(b)に示すように、乗員のアクセル操作に応じて車両500が加速と減速を繰り返すものとする。なお、図5では、車両500の減速中の期間をドットで表している。さて、車両500が減速を開始した時刻T1で、禁止フラグがオフであるとする。この場合、CPU101は、時刻T1で車両500が減速を開始すると、図5の(c)で示すように、実行用処理を通じて燃料カットを開始する(ステップS120)。CPU101は、燃料カットの開始後、車両500の減速途中の時刻T2において、当該燃料カットの継続時間が許容時間Hよりも長くなると(ステップS130:YES)、燃料カットを中断する(ステップS140)。CPU101は、時刻T3で車両500が再度減速を開始すると、燃料カットを開始する。そして、CPU101は、燃料カットの継続時間が許容時間Hよりも長くなると、車両500の減速途中の時刻T4で燃料カットを中断する。CPU101は、実行用処理では、このような、燃料カットの中断回数Nを逐次カウントしていく(ステップS150)。
ここで、燃料カットの中断回数Nが「1」になった時刻T2から所定時間Pが経過するよりも前に(ステップS340:NO)、時刻T5において暫定中断回数が所定回数NKに達したとする(ステップS350:YES)。この場合、CPU101は、フラグ設定処理において禁止フラグをオンに切り替える(ステップS360)。これに伴い、燃料カットの実行条件における第3要件が満たされなくなる。そのため、時刻T5以降では、CPU101は、車両500が減速しても実行用処理ひいては燃料カットを行わない。
ここで、時刻T1から時刻T5までの間、CPU101は燃料カットを繰り返し行う。CPU101が燃料カットを行うと、フィルタ34に酸素が供給されることでフィルタ34に堆積しているPMが燃焼する。これに伴い、図5の(a)に示すように、フィルタ温度TFは徐々に上昇する。そして、時刻T5の時点において、フィルタ温度TFはかなり高くなっている。さて、上述のとおり、本実施形態のCPU101は、時刻T5以降は燃料カットを行わない。CPU101が燃料カットを行わない状況が続くと、フィルタ温度TFは徐々に低下する。CPU101は、フィルタ温度TFが判定温度TK以下にまで減少すると(ステップS370:YES)、禁止フラグをオフに切り替える(ステップS310)。すると、CPU101は、車両500が減速したときに実行用処理ひいては燃料カットを再び行うようになる。
<実施形態の効果>
(1)上記実施形態の作用に記載したとおり、燃料カットが繰り返される状況下では、PMの燃焼に伴いフィルタ温度TFが徐々に高まる。燃料カットを継続する許容時間Hを設定しているとはいえ、燃料カットを繰り返す状況がそのまま続くと、やがてはフィルタ34が過昇温するおそれがある。さて、燃料カットを継続する許容時間Hを設定する場合、フィルタ34の過昇温抑制に有利である一方で、燃料カットを中断する機会も生じることになる。仮に、比較的短い期間の中で燃料カットの中断を繰り返すと、乗員が意図しないにもかかわらず、車両500の減速中に当該減速の度合いの変化が繰り返されることになる。このことから、比較的短い期間の中で燃料カットの中断を繰り返すと、乗員が違和感を覚えるおそれがある。
そこで、本実施形態では、所定時間P内において燃料カットの中断が所定回数NK行われた場合、燃料カットの開始を禁止する。このことで、フィルタ34の過昇温を防止でき、且つ車両500において減速度の変化が繰り返されることも防止できる。
(2)フィルタ34の過昇温を避ける上では、本実施形態の時間マップのように、フィルタ温度TFが高い場合、又はPM堆積量DAが多い場合には、燃料カットを継続する許容時間Hを短くすることが好ましい。一方で、許容時間Hが短いと、燃料カットを中断する可能性ひいては減速度の変化が生じる可能性が高くなる。
この点、本実施形態では、許容時間Hを短く定めることに伴って燃料カットの中断頻度が多くなる状況下では燃料カットの開始を禁止する。こうした構成であれば、フィルタ34の状態に合わせて最適な許容時間Hを設定しつつ、車両500の減速度の変化で乗員が違和感を覚えることも防止できる。
(3)上述のとおり、所定時間Pは、CPU101が燃料カットの中断を繰り返したときに乗員がそのことを把握し得る時間スケールに設定されている。このような時間スケールを対象にして燃料カットに係る設定を定めることは、乗員の乗り心地を十分に考慮しつつ内燃機関10の制御を組む上で好適である。
(4)燃料カットの禁止を解除する判定温度TKは、フィルタ34でのPM燃焼が可能でありながらもフィルタ34が損傷しない温度となっている。そのため、燃料カットの禁止が解除された後、ある程度長い時間に亘ってフィルタ34の再生を行うことができる。
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・判定温度TKは、上記実施形態の例に限定されない。フィルタ34でのPM燃焼とフィルタ34の損傷防止とを両立する観点では、判定温度TKは、400度以上、600度以下の範囲内で定められていることが好ましい。しかし、判定温度TKがこの範囲内の値に定められていることは必須ではない。判定温度TKは、燃料カットの禁止を解除する上で適切な温度を適宜設定してよい。
・所定時間Pは、上記実施形態の例に限定されない。燃料カットの中断を乗員が把握し得る時間スケールという観点では、所定時間Pは、1秒以上、20秒以下の範囲内で定められていることが好ましい。しかし、所定時間Pがこの範囲内の値に定められていることは必須ではない。所定時間Pは、燃料カットの禁止を判断する上で適切な時間スケールを適宜定めてよい。なお、所定時間Pは、許容時間Hよりも長い時間に設定される。
・所定回NK数は、上記実施形態の例に限定されない。所定回数NKは、乗員が違和感を覚える前に燃料カットの開始を禁止できる値として定めてあればよい。
・時間マップは、表またはグラフに限らず、数式でもよい。
・中断回数Nが「1」になってからの経過時間や燃料カットの中断の回数によって燃料カットの禁止を定めることは必須ではない。どういったタイミングを契機として、所定時間Pや燃料カットの禁止を定める上での中断回数を数えるかは適宜変更可能である。所定時間P内に燃料カットの中断の回数が所定回数NKに至った場合に燃料カットを禁止するように構成されていればよい。
・許容時間Hと、フィルタ温度TFと、PM堆積量DAと、の関係は、上記実施形態の例に限定されない。許容時間Hは、次のように設定されていることが好ましい。同一のフィルタ温度TFに関して、PM堆積量DAが第1堆積量の場合、PM堆積量DAが第1堆積量よりも少ない第2堆積量の場合に比べて許容時間が短い。また、同一のPM堆積量DAに関して、フィルタ温度TFが第1温度の場合、フィルタ温TK度が第1温度よりも低い第2温度の場合に比べて許容時間Hが短い。ただし、ここに記載したような関係に限らず、フィルタ34の損傷を防止する観点において許容時間Hを適宜設定してよい。許容時間Hを、フィルタ温度TF及びPM堆積量DAとは関係なく定めてもよい。例えば、許容時間Hを予め定められた固定値としてもよい。
・PM堆積量DAの算出方法は、上記実施形態の例に限定されない。PM堆積量DAを適切に算出できるのであれば当該PM堆積量DAの算出手法は問わない。
・フィルタ温度TFの算出方法は、上記実施形態の例に限定されない。フィルタ温度TFを適切に算出できるのであれば当該フィルタ温度TFの算出手法は問わない。
・内燃機関10の全体構成は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、燃料噴射弁22は、気筒12内に直接燃料を噴射するタイプのものでもよい。
10…内燃機関 12…気筒 22…燃料噴射弁 34…フィルタ 100…制御装置 500…車両

Claims (4)

  1. 気筒内に供給するための燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記気筒から排出される排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、を有する内燃機関を備えた車両に適用され、
    前記車両の減速中に前記燃料噴射弁による燃料噴射を停止する燃料カットを行うことと、
    前記燃料カットを開始してからの継続時間が予め定められた許容時間よりも長くなった場合に前記燃料カットを中断することと、
    予め定められた所定時間内において、前記燃料カットを中断する回数が予め定められた所定回数に至った場合、前記フィルタの温度が予め定められた判定温度以下になるまで前記燃料カットの開始を禁止することと、
    を実行する
    車両の制御装置。
  2. 同一の前記フィルタの温度に関して、前記フィルタに堆積している粒子状物質の堆積量が第1堆積量の場合、前記堆積量が前記第1堆積量よりも少ない第2堆積量の場合に比べて前記許容時間を短く設定し、
    同一の前記堆積量に関して、前記フィルタの温度が第1温度の場合、前記フィルタの温度が前記第1温度よりも低い第2温度の場合に比べて前記許容時間を短く設定する
    請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記所定時間は、1秒以上、20秒以下の範囲内で定められている
    請求項1に記載の車両の制御装置。
  4. 前記判定温度は、400度以上、600度以下の範囲内で定められている
    請求項1に記載の車両の制御装置。
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